JP4168545B2 - 浴用剤および浴用剤組成物 - Google Patents

浴用剤および浴用剤組成物 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、浴用剤および浴用剤組成物に関する。更に詳しくは、疎水性基含有多糖類誘導体を含有する浴用剤、更には、疎水性基含有多糖類誘導体と油性成分とを含む浴用剤組成物に関する。特に、入浴時に肌へのあたりがなめらかで、入浴後のしっとり感の持続性が優れた浴用剤および浴用剤組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、入浴は身体を清潔に保つとともに、血行を促進させ、精神的にもリラックスさせるといった効果がある。しかしその反面、入浴により肌から油分、天然保湿因子成分などが失われ、これにより生じる入浴後の肌のかさつきは、乾燥肌の人や老人性の皮脂欠乏性湿疹、乾皮症やアトピー性皮膚炎などの皮膚疾患を持つ人にとっては深刻な問題である。この様な問題があることから、最近では入浴後に肌がしっとりするものが望まれており、その要望にこたえるべく各種の浴用剤が提供されている。
従来の浴用剤には硫酸ナトリウムや炭酸水素ナトリウムなどの保温および保湿成分が主成分として配合されており、これに香料、着色料あるいは白濁剤や温泉成分、油性成分を配合することによって皮膚の湿潤効果ならびに心理効果をねらったものが開示されている(特開平6−57286号公報、特開平7−147522号公報)。
【0003】
油脂成分は皮膚に対してエモリエント効果を有し、皮膚や毛髪の保護効果も広く知られる。また浴用剤に配合した場合他の保湿成分との相互作用による相乗効果なども期待されるが、これらの効果を充分に発揮するために充分量を用いると入浴中や入浴後に肌がべたつき、使用感が悪いという問題があった。更に、入浴後の皮膚のかさつきが好ましくない人向けに保湿効果が高く、べたつき感の少ない浴用剤の開発が強く望まれていた。
【0004】
一方、油脂類の乳剤として、従来より疎水性基含有多糖類誘導体が医薬品分野などで知られていた(特開昭63−319046号公報、特開平3−292301号公報等)が、このものが入浴時に浴用剤として特に有効であることは、従来全く知られていなかった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の第1の目的は、入浴時に肌へのあたりがなめらかで、入浴後の肌のしっとり感の持続性が優れた保湿性の高い浴用剤を提供することにある。
本発明の第2の目的は、前記の入浴剤と油性成分とを配合してなる浴用剤組成物を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記問題点に鑑み鋭意検討した結果、疎水性表面に高い親和性を持つ疎水性基と、多糖類とを構成単位として合成した疎水性基含有多糖類誘導体が、浴用剤として効能が最も高く、浴用剤として優れた特徴を持つことを見いだし、本発明を完成した。さらに、疎水性基含有多糖類誘導体と油性成分を配合した浴用剤が、入浴時に肌へのあたりがなめらかで入浴後に保湿感が得られることを見出し、本発明を完成した。すなわち、本発明は次の(一)〜(八)に示すものである。
(一)、疎水性基含有多糖類誘導体からなる浴用剤。
(二)、多糖類100単糖当たり0.1〜10個の疎水性基を導入してなる疎水性基含有多糖類誘導体からなる浴用剤。
(三)、前記(一)または(二)のいずれかに記載の浴用剤を含有することを特徴とする浴用剤組成物。
(四)、前記(一)または(二)のいずれかに記載の浴用剤と、更に油性成分を含有することを特徴とする浴用剤組成物。
(五)、油性成分がリゾリン脂質である前記(四)に記載の浴用剤組成物。
(六)、疎水性基含有多糖類誘導体1〜50重量%および油性成分1〜50重量%を含有する浴用剤組成物。
(七)、疎水性基含有多糖類誘導体1〜50重量%およびリゾリン脂質1〜50重量%とを含有する浴用剤組成物。
(八)多糖類を構成する糖単位100個当たり、0.1〜10個の水酸基が下記一般式(1)
【0007】
【化1】
Figure 0004168545
【0008】
(このとき、R1は炭素数1〜50の炭化水素基を示す。また、R2は炭素数12〜50の炭化水素基またはステロール基を示す)で表される基で置換された、疎水性基含有多糖類誘導体からなる浴用剤。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明は、疎水性基含有多糖類誘導体からなる浴用剤である。
本発明でいう疎水性基含有多糖類誘導体とは、一般に疎水性基含有多糖類誘導体と見なされるものであり、多糖類に疎水性基を導入して得られる疎水性基含有多糖類誘導体をいう。
本発明に用いる疎水性基含有多糖類誘導体として好ましいものは、原料として多糖類を用い、その一部を疎水性基と反応して得た誘導体である。
そのような疎水性基含有多糖類誘導体として、プルラン、アミロース、キシログルカン、アミロペクチン、デキストラン、デキストリン、シクロデキストリン、マンナン、ヒドロキシエチルデキストラン、レバン、イヌリン、キチン、キトサン、水溶性セルロース等から選ばれる多糖類に、適当な分子を介して、疎水性基を化学結合してなる疎水性基含有多糖類誘導体があり、入手性の点から、これらを本発明に好ましく使用できる。
【0010】
例えば特開平10−29910号公報に用いられているシリコーン化多糖類や、特開平10−182341号公報および特開昭53−142540に用いられているプルラン脂肪酸エステル、特開昭63−66107号公報に用いられているデキストラン脂肪酸エステル、更に特開平2−144140号公報や、特開昭63−319046号公報、特開平3−292301号公報などに開示されている多糖類−ステロール誘導体などを本発明でいう疎水性基含有多糖類誘導体の一種として好ましく用いることができる。これらのもののうちでは、多糖類−ステロール誘導体が疎水性基含有多糖類誘導体として耐水性などの性能が良く、更には、多糖類部分がプルランであるプルラン−ステロール誘導体が最も性能が良い。
また、これらのもののうち、多糖類100単糖当たり0.1〜10個の疎水性基を導入してなる疎水性基含有多糖類誘導体が浴用剤として更に好ましく用いられる。このとき、疎水性基の導入数が、多糖類100単糖当たり0.1個未満の場合、皮膚表面から剥離しやすく浴用効果の持続期間が短くなり、10個より多い場合は、疎水性基により多糖類の保湿性を低下させたり、ゲル化して浴用効果が薄れる場合があるので、疎水性基の導入量は、多糖類100単糖当たり0.1〜10個程度の適切な範囲で調整されているのが好ましい。
【0011】
本発明に用いられる疎水性基含有多糖類誘導体の製造方法としては、目的の疎水性基含有多糖類誘導体を得るために、公知の化学知識を基に適宜工夫して合成しても良いし、疎水性基含有多糖類誘導体の製造方法が開示してある既知の公報類を参照して合成してもよい。例えば疎水性基含有多糖類誘導体として、多糖類−ステロール誘導体などを用いる場合、特開平3−292301号公報に記載される方法により製造することも、好ましく行われる。
より好ましくは、浴用剤としての効果などの点から、多糖類を構成する糖単位100個当たり、0.1〜10個の水酸基が下記の一般式(1)
【0012】
【化2】
Figure 0004168545
【0013】
で表される基で置換された、疎水性基含有多糖類誘導体が、環境分解性が高く、生体安全性も高いことから、ヒトや動物などの浴用剤として好適に用いられる。このとき、R1は炭素数1〜50の炭化水素基であり、2価の炭化水素基であれば、直鎖状、分岐鎖状、環状であってよく、また飽和であっても不飽和であってもどちらでもよいが、好ましくは炭素数3〜8の直鎖状飽和炭化水素基が最も好ましい。
また、R2は炭素数12〜50の炭化水素基またはステロール基であり、好ましくはステロールの残基である。例えば、コレステロール残基、スチグマステロール残基、β−シトステロール残基、ラノステロール残基、エルゴステロール残基が好ましい。入手性の点からは、コレステロール残基が最も好ましい。
この様な疎水性基含有多糖類誘導体は、分子の一端に疎水性基と他端にイソシアナート基を有する化合物を用い、多糖類の水酸基と反応させることにより合成することができる。
分子の一端に疎水性基と他端にイソシアナート基を有する化合物は、例えば下記の反応式(2)
【0014】
【化3】
Figure 0004168545
【0015】
に示されるように、ジイソシアネート化合物の一端のイソシアナート基を、例えば、水酸基含有疎水性分子である、炭素数12〜50の水酸基含有炭化水素またはステロールの水酸基と反応させ、ウレタン結合で結合して得られる。
このとき、ジイソシアネート化合物との反応に用いられる炭素数12〜50の水酸基含有炭化水素分子としては、一つ以上の水酸基を有する炭素数12〜50の公知の炭化水素であればいかなるものでも良いが、例えば、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、アラキニルアルコール、ドコサノール、ペンタコサノール、ヘキサコサノール、オクタコサノール等のアルコール由来の水酸基含有炭化水素が好ましく挙げられる。また、ステロールとしては、例えばコレステロール、スチグマステロール、β−シトステロール、ラノステロール、エルゴステロール等が用いられ、入手性の点からコレステロールが好ましく挙げられる。
また、ステロールと反応させるジイソシアネート化合物はOCN−R1−NCOで表され、R1が炭素数1〜50の炭化水素基である化合物が好ましく、例えばR1がエチレン基であるエチレンジイソシアネート、ブチレン基であるブチレンジイソシアネート、ヘキサメチレン基であるヘキサメチレンジイソシアネート、ジフェニルメタン基であるジフェニルメタンジイソシアネートなどが挙げられる。このうち特にブチレンジイソシアネートやヘキサメチレンジイソシアネート等が好ましく用いられる。
本発明に好ましく用いられる多糖類−ステロール誘導体は、以上に示される、分子の一端に疎水性基と他端にイソシアナート基を有する化合物を、多糖類と反応させることにより得ることができる。分子の一端に疎水性基と他端にイソシアナート基を有する化合物と、多糖類との反応は、例えば下記の反応式(3)
【0016】
【化4】
Figure 0004168545
【0017】
に示される様に、多糖類を構成する単糖の水酸基と、分子の一端に疎水性基と他端にイソシアナート基を有する化合物の持つイソシアナート基との1ステップ付加反応で行うことができる。反応式(3)には、1つの六単糖ユニットと、イソシアナート基を有する化合物との反応がモデルとして示されているが、本発明に用いられる疎水性基含有多糖類誘導体の合成においては、多糖類を構成する糖単位100個当たり、0.1〜10個の水酸基に対して、反応式(3)に示される様な反応を生じせしめるのが、浴用剤としての効果を高める上から好ましい。
上記反応に用いられる原料の多糖類としては、多糖類であればいかなるものを用いることも可能であるが、特にプルラン、アミロース、キシログルカン、アミロペクチン、デキストラン、デキストリン、シクロデキストリン、マンナン、ヒドロキシエチルデキストラン、レバン、イヌリン、キチン、キトサン、水溶性セルロース等から選ばれる多糖類が好ましく用いられる。これらの多糖類は、天然または合成由来のものであってよく、入手が可能なものであるならば分子量などはいかなるものであってもよいが、浴用剤として使用する際に、より効果を発揮するためには、平均分子量1000〜1000000程度のものがよい。また、多糖類の種類としては多糖類であれば通常いかなるものでも良いが、浴用剤として配合したとき効果の大きさから、特にプルランが好ましく用いられる。
【0018】
多糖類と、分子の一端に疎水性基と他端にイソシアナート基を有する化合物の持つイソシアナート基との反応を行う場合に用いられる溶媒としては、分子の一端に疎水性基と他端にイソシアナート基を有する化合物と多糖類の両方が溶解し、かつ反応生成物である疎水性基含有多糖類誘導体が溶解する溶媒が望ましく、通常、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ホルムアミド、ジオキサン、テトラヒドロフランなどの非プロトン性溶媒などが好ましく用いられる。このときの反応温度および時間は、用いられる多糖類と溶媒に応じて、反応の進行状態により適宜選択されるが、好ましくは0〜200℃で1〜48時間程度反応させるのがよい。
【0019】
多糖類と、分子の一端に疎水性基と他端にイソシアナート基を有する化合物との仕込比は、いかなる比率でもよく、この仕込比を変化させることで、多糖類に対する疎水性基の導入量を適宜制御することができるが、多糖類を構成する糖単位100個当たり、0.1〜10個の疎水性基を導入する場合には、多糖類の100単糖単位に対して、0.1〜500mol当量の範囲であるのが望ましい。この様にして得られる疎水性基含有多糖類誘導体の精製方法としては、再沈澱精製法、各種クロマトグラフィーによる分離精製法および透析法などが利用できる。また乾燥方法としては凍結乾燥法、または真空乾燥法が望ましい。
【0020】
以上、このようにして製造される疎水基含有多糖類誘導体のうち、安全性や製造のしやすさ、性能などの点からは、平均分子量1000〜1000000程度のプルランに、プルラン100単糖当たり0.1〜10個の割合でステロール基が導入される様に、分子の一端にステロール基と他端にイソシアナート基を有する化合物を反応させて得られた、プルラン−コレステロール誘導体が最も優れており、浴用剤として好適に用いられる。
【0021】
本発明の浴用剤には、必須の疎水性基含有多糖類誘導体成分の他に、油性成分を好ましく配合することができる。油性成分を配合することにより、浴用剤の保湿感をさらに高め、角質層水分含量を保ち、皮膚に対する保湿効果をさらに著しく向上することができる。
【0022】
本発明の浴用剤に用いられる、疎水性基含有多糖類誘導体、および油性成分を浴用剤組成物として利用する場合には、疎水性基含有多糖類誘導体を単独で浴湯に分散させるか、またはこれと油性成分とを浴湯に分散させ、共存して用いてもよい。このとき、疎水性基含有多糖類誘導体の浴湯中への分散量は、浴湯全体に対して0.01〜1000ppmになることが好ましく、特に1〜50ppmが好ましい。また、油性成分を加えた場合の分散量も、疎水性基含有多糖類誘導体と油性成分を合わせた浴湯中への分散量が、浴湯全体に対して0.01〜1000ppmになることが好ましく、特に1〜50ppmが好ましい。
本発明の浴用剤は、前記のように疎水性基含有多糖類誘導体を単独で、またはこれと油性成分とを直接浴湯に添加して使用することができるが、このほか、浴用剤に配合される添加剤として一般的に知られる添加剤をこれらに加え、剤型を整えて浴用組成物とし、これを浴湯中に分散させて使用することもできる。
【0023】
本発明に用いることができる油性成分としては、通常浴用剤に用いられる油性成分であればとくに限定はされないが、好ましくは、油脂類、ロウ類、高級脂肪酸類、炭化水素類、高級アルコール類、エステル類や精油、シリコーン類、リン脂質類がなどが挙げられる。
ここで、油脂類としては、大豆油、糠油、ホホバ油、アボガド油、ハッカ油、ヒノキ油、橙皮油、アーモンド油、オリーブ油、カカオ油、ゴマ油、パーシック油、ひまし油、椰子油、ミンク油、牛脂、豚脂などの天然油脂やこれらの天然油脂に水素添加して得られる効果油、ミリスチン酸グリセリド、2−エチルヘキサン酸グリセリドなどの合成グリセリドやジグリセリドなどが挙げられる。また、ロウ類としては、カルナウバオロウ、鯨ロウ、ミツロウ、ラノリンなどが挙げられる。また、高級脂肪酸としては、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ペンタデカン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、ラノリン酸、イソステアリン酸などが挙げられる。また、炭化水素類としては、流動パラフィン、ワセリン、パラフィン、マイクロクリスタリンワックス、セレシン、スクワレン、プリスタンなどが挙げられる。また、高級アルコール類としては、ラウリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール、コレステロール、2−ヘキシルデカノール、オクタコサノールなどである。また、エステル類としては、オクタン酸セチル、乳酸ミリスチル、乳酸セチル、ミリスチル酸ミリスチル、パルミチン酸イソプロピル、アジピン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、オレイン酸デシル、イソステアリン酸コレステロールなどが挙げられる。また、リン脂質類としては、ジパルミトイルホスファチジルコリン、ジオレオイルホスファチジルコリン、ジステアロイルホスファチジルコリン、ジミリストイルホスファチジルコリン、リゾリン脂質などが挙げられる。
【0024】
このうち、油性成分として、保湿感に優れたリン脂質が好ましく用いられ、特に使用感と保湿感に優れた点から、リゾリン脂質が最も好ましく用いられる。
本発明で用いるリゾリン脂質としては、通常リゾリン脂質として公知の知られているものであるならば、いかなるリゾリン脂質であっても用いることができる。より具体的には、例えば、1、2−ジアシルリン脂質をホスホリパーゼA2や、ホスホリパーゼDで処理することにより得た、1−アシルリゾリン脂質を用いることができる。
【0025】
またグリセロホスホコリンやグリセロリン酸に、脂肪酸無水物や脂肪酸ハロゲン化物を触媒下に反応させて得た、合成リゾホスファチジルコリンや合成リゾホスファチジン酸をリゾリン脂質として用いることもできる。
更に、大豆や卵黄由来のリン脂質を、ホスホリパーゼA2やホスホリパーゼDで処理して得た、リゾリン脂質も好ましく用いられる。
その他、1−O―炭化水素基を含有した、2−アシルリゾホスファチジルコリンをホスホリパーゼA2で処理することにより得た、1−O−炭化水素基含有リゾホスファチジルコリンも、リゾリン脂質として好ましく用いられる。
【0026】
本発明の浴用剤を浴用剤組成物にする場合は、浴用剤組成物中に、疎水性基含有多糖類誘導体を1〜50重量%配合して用いるのがよく、さらにここに油性成分を配合する場合には、油性成分を1〜50重量%加えて用いるのがよい。このとき、疎水性基含有多糖類誘導体が1重量%未満の場合は、よい保湿感が得られず好ましくなく、また50重量%より多い場合は、浴用剤組成物の粘度が高くなるので好ましくない。
また油性成分が1重量%未満の場合は、保湿感を高めて角質層水分含量を保ちにくく、50重量%より多い場合は、配合量に見合うだけの皮膚に対する保湿効果の著しい向上が認められないので好ましくない。
【0027】
さらに本発明の浴用剤を浴用剤組成物とする場合には、疎水性基含有多糖類誘導体、および油性成分以外に、必要があれば目的に応じて本発明の効果を損なわない範囲で、各種の添加物を適量加えることもできる。
各種の添加物としては、浴用剤組成物中に通常配合される添加剤であれば、いかなるものであっても自由に使用することができるが、例えば有機酸、無機塩類、酵素、温泉成分、界面活性剤、アルコール類、糖類、ビタミン類、アミノ酸類、酸化防止剤、防腐剤、ハーブ、生薬、香料、色素などを必要に応じて適量配合することができる。
前記の有機酸としては、本発明の効果を損なわない範囲で、いかなる有機酸であっても使用することができるが、具体的には例えば、安息香酸、コハク酸、リンゴ酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、ピロリドンカルボン酸などが用いられる。無機塩類としては、本発明の効果を損なわない範囲で、いかなる無機塩類であっても使用することができるが、硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、セスキ炭酸ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化アンモニウム、硝酸ナトリウム、硝酸カリウム、硝酸カルシウム、ポリリン酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、硫酸鉄リン酸ナトリウム、酸化カルシウム、炭酸カルシウム、酸化マグネシウム、硫酸アルミニウム、チオ硫酸ナトリウム、炭酸マグネシウム、塩化カリウム、硫化カリウム、ミョウバン、メタケイ酸、無水ケイ酸などが用いられる。酵素としては、本発明の効果を損なわない範囲で、いかなる酵素であっても使用することができるが、パンクレアチン、ペプシン、トリプシン、キモトリプシン、カテプシン、パパイン、プロメライン、フィシン、などが用いられる。
【0028】
界面活性剤としては、本発明の効果を損なわない範囲で、いかなる界面活性剤であっても使用することができるが、グリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、テトラオレイン酸ポリオキシエチレンソルビット、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリグリセリン脂肪酸エステル、α-オレフィンスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、セチル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンラウリル硫酸ナトリウム、スルホコハク酸ラウリル二ナトリウム、カルボキシベタイン類、アミノカルボン酸類、スルホベタイン類などが用いられる。前記のアルコール類としては、本発明の効果を損なわない範囲で、いかなるアルコール類であっても使用することができるが、ラウリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール、コレステロール、2−ヘキシルデカノールなどが用いられる。糖類としては、本発明の効果を損なわない範囲で、いかなる糖類であっても使用することができるが、ヒアルロン酸、コンドロイチン、コンドロイチン硫酸、キチン、マンナン、トレハロース、ラクトースなどが用いられる。
【0029】
ビタミン類としては、本発明の効果を損なわない範囲で、いかなるビタミン類であっても使用することができるが、ビタミンA、ビタミンB、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンF、ビタミンK、ビタミンP、ビタミンU、かるに陳、フェルラ酸、γ-オリザノールやそれらの誘導体が用いられる。アミノ酸類としては、本発明の効果を損なわない範囲で、いかなるアミノ酸類であっても使用することができるが、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、セリン、トレオニン、フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン、システイン、メチオニン、プロリン、ヒドロキシプロリン、アスパラギン酸、グルタミン酸、アルギニン、ヒスチジン、リジンなどが用いられる。酸化防止剤としては、本発明の効果を損なわない範囲で、いかなる酸化防止剤であっても使用することができるが、没食子酸プロピル、アスコルビン酸、アスコルビン酸パルミテート、アスコルビン酸ステアレートなどが用いられる。
【0030】
ハーブあるいは生薬としては、本発明の効果を損なわない範囲で、いかなるものであっても使用することができるが、ゴシュユ、ソウジュツ、ビャクジュツ、カノコソウ、カンゾウ、ケイガイ、コウボク、センキュウ、トウキ、トウヒ、ショウキョウ、オウゴン、サンシシ、ガイヨウ、アロエ、ニンジン、ケイヒ、シャクヤク、ハッカ葉、ブクリョウ、ドクカツ、ショウブ、マツブサ、ビャクシ、ジュウヤク、リュウノウ、サフラン、オウバク、ウイキョウ、チンピ、カンピ、カミツレ、メリッサ、ダイコン、ヤナギ、クスノキ、ニワトコ、ソクズ、ナギナタコウジュ、ユズ、ダイダイ、モモ、サイカチ、ビワ、スイカズラ、ヨロイグサ、ボダイジュ、トチノキ、ノコギリソウ、ホップ、ローズマリー、ラベンダー、カバノキ、キッソウコン、マロニエ、アルニカ(海草類)などが用いられる。
【0031】
香料としては、本発明の効果を損なわない範囲で、いかなる香料であっても使用することができるが、例えば天然香料または合成香料が好ましく用いられ、天然香料としては、イランイラン油、ラベンダー油、ローズ油、ジャスミン油、クラリーセージ油、サンダルウッド油、エレミ油、パチョウリ油、ペルーバルサム油、トルーバルサム油などが用いられ、合成香料としてはシス−3−ヘキセノール、ヘキシルシンナミックアルデハイド、シンナミックアルコール、バニリン、クマリン、リモネン、ガンマーウンデカラクトン、6−アセチル−1,1,3,4,4,6−ヘキサメチル−テトラヒドロナフタレン、5−アセチル−1,1,2,3,3,6−ヘキサメチルインダン、シクロヘンタデカノン、フェニルエチルアルコール、アミルシンナミックアルデハイド、ローズオキサイド、ヘリオトロピンなどが挙げられる。
【0032】
色素類としては、本発明の効果を損なわない範囲で、いかなる色素であっても使用することができるが、通常、合成色素である青色1号、青色2号、黄色4号、黄色5号、黄色202号の(1)、赤色106号、橙色205号が用いられ、また製品のナチュラルイメージを高める点からは、天然色素が好ましく用いられ、具体的にはカラメル色素、アナトー色素、パプリカ色素、コチニール色素、モナスカス色素、クチナシ色素、ベニバナ色素、赤ダイコン色素、赤キャベツ色素、ビートレッド、ベリー系色素、赤ジソ色素、紫イモ色素、スピルリナ色素、クロロフィル、イカスミ色素、カカオ色素、マリーゴールド色素、抽出カロチンなどが挙げられる。これらの種々の添加剤は、本発明の効果を妨げない範囲で、適量配合して用いることができる。
【0033】
添加剤は、任意の添加量はかりとられ、通常知られた方法で本発明の浴用剤と共に適宜配合され、その後、一般的な浴用剤組成物の製造方法を利用して、浴用剤組成物として製造され、さらには、浴用剤組成物の形状を、粉末、顆粒、錠剤、溶液などの任意の形状に加工することができる。このとき、取り扱いやすさの点から浴用剤組成物を、顆粒状、粉末状、溶液状に加工することが好ましく行われる。
対象としては、人体用以外に、家畜用あるいはペット用等にも好適に使用できる。家畜用としての対象は、馬、牛、豚、ロバ、羊、鶏等が挙げられる。また、ペット用としての対象は、犬、猫、サル、マウス、モルモット、りす、いたち、アライグマ、スカンク等が挙げられる。
【0034】
【発明の効果】
本発明の浴用剤は、疎水性基含有多糖類誘導体を使用するので、入浴時の肌へのあたりがなめらかで入浴後の保湿性が優れ、しっとり感の優れた入浴剤である。
また、本発明の浴用剤組成物は、疎水性基含有多糖類誘導体と油性成分とを配合した浴用剤組成物であり、その効果としては、入浴時の湯の肌へのあたりがなめらかで、入浴後も持続する保湿感がある。即ち、本発明の浴用剤組成物は、入浴時の湯の肌へのあたりがなめらかで、入浴後に持続性に優れた保湿感が得られる。
【0035】
【実施例】
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。
参考例1
<N−(6−イソシアナートヘキシル)コレステリルカルバメートの合成>
1Lのナス型フラスコに、コレステロール25g(0.065mol)、トルエン300mLを入れて溶かし、さらにトリエチルアミン17mL(0.12mol)を加えた。そこへ、トルエン300mLに溶かしたヘキサメチレンジイソシアナート161g(0.96mol)を入れ、窒素雰囲気下、80℃で約6時間反応させた。反応終了後、トルエンと過剰のヘキサメチレンジイソシアナートを減圧除去した。得られた黄色オイル状の残さを室温で一晩放置することにより、淡黄色の結晶が生成した。結晶を取り出し、約1リットルのヘキサンを加え、激しく振とうした後、上澄み液をデカンテーションにより除去した。この洗浄操作を計4回行った後、室温で3時間減圧乾燥することにより白色の固体を得た。収量は18.25g、収率は50.9%であった。
得られた生成物のIRの測定結果を示す。IR(KBr,cm-1):3260、2320、1680、1130。以上より、N−(6−イソシアナートヘキシル)コレステリルカルバメートが得られたことを確認した。
【0036】
合成例1
<プルラン100単糖当たり0.9個のコレステリル基を導入したプルラン−コレステロール誘導体(以下CHP0.9と略)の合成>
1Lのナス型フラスコに、プルラン(平均分子量、108000)40gとジメチルスルホキシド420mLを加え、窒素雰囲気下80℃でかき混ぜ溶解させた。そこへ参考例1で合成した、N−(6−イソシアナートヘキシル)コレステリルカルバメート1.78g(3.21mmol)をピリジン32.4ml(0.40mol)に溶かした溶液を入れ、90℃で1.5時間反応させた。反応終了後、ジメチルスルホキシドを減圧除去し、得られたオイル状の残さをアセトン6Lに滴下して沈殿を生成させた。
上澄み液を除去後、得られた沈殿にアセトン4Lを加え、室温で一晩放置した。沈殿を濾別採取した後、減圧乾燥した。得られた固体をジメチルスルホキシドに溶かし、これを透析膜(スペクトロポア社製、Spectra/Por3、分画分子量:3500)に充填し、蒸留水に対して一週間透析した。得られたポリマー溶液1.5Lを常法により凍結乾燥することによって、白色の固体を得た。収量31.7g(収率76.2%)。
次に、生成物の1H−NMRとIRの測定結果を示す。1H−NMR((δppm)、DMSO−d6/D2O=20/1,vol、TMS):0.68−2.40、2.60−4.60、4.60−5.05。IR(KBr,cm-1):1680、1180−900。また1H−NMRスペクトルより、コレステロール基由来のピーク面積(δ=0.6〜2.3)及びプルラン由来のピーク面積(δ=4.7〜5.1)から、100単糖当たりのコレステロール基の置換度を計算により算出した。その結果、100単糖当たりのコレステロール基の置換度は0.9個であった。以上のデータから、得られた化合物がCHP0.9であることを確認した。
【0037】
合成例2
<プルラン100単糖当たり0.1個のコレステリル基を導入したプルラン−コレステロール誘導体(以下CHP0.1と略)の合成>
合成例1と同じ反応操作により、N−(6−イソシアナトヘキシル)コレステリルカルバメイトの仕込み量のみを0.198g(0.357mmol)にかえて、CHP0.1を合成した。1H−NMRスペクトルより、コレステロール基由来のピーク面積及びプルラン由来のピーク面積から、100単糖当たりのコレステロール基の置換度を計算により算出した。その結果、100単糖当たりのコレステロール基の置換度は0.1個であった。
【0038】
合成例3
<プルラン100単糖当たり0.05個のコレステリル基を導入したプルラン−コレステロール誘導体(以下CHP0.05と略)の合成>
合成例1と同じ反応操作により、N−(6−イソシアナトヘキシル)コレステリルカルバメイトの仕込み量のみを0.099g(0.178mmol)にかえて、CHP0.05を合成した。1H−NMRスペクトルより、コレステロール基由来のピーク面積及びプルラン由来のピーク面積から、100単糖当たりのコレステロール基の置換度を計算により算出した。その結果、100単糖当たりのコレステロール基の置換度は0.05個であった。
【0039】
合成例4
<プルラン100単糖当たり10個のコレステリル基を導入したプルラン−コレステロール誘導体(以下CHP10と略)の合成>
合成例1と同じ反応操作により、N−(6−イソシアナトヘキシル)コレステリルカルバメイトの仕込み量のみを29.7g(53.6mmol)にかえて、CHP10を合成した。1H−NMRスペクトルより、コレステロール基由来のピーク面積及びプルラン由来のピーク面積から、100単糖当たりのコレステロール基の置換度を計算により算出した。その結果、100単糖当たりのコレステロール基の置換度は10個であった。
【0040】
合成例5
<プルラン100単糖当たり15個のコレステリル基を導入したプルラン−コレステロール誘導体(以下CHP15と略)の合成>
合成例1と同じ反応操作により、N−(6−イソシアナトヘキシル)コレステリルカルバメイトの仕込み量のみを49.5g(89.3mmol)にかえて、CHP15を合成した。1H−NMRスペクトルより、コレステロール基由来のピーク面積及びプルラン由来のピーク面積から、100単糖当たりのコレステロール基の置換度を計算により算出した。その結果、100単糖当たりのコレステロール基の置換度は15個であった。
【0041】
合成例6
<マンナン100単糖当たり0.9個のコレステリル基を導入したマンナン−コレステロール誘導体(以下、CHMと略)の合成>
合成例1と同じ反応操作により、プルランをマンナン(平均分子量、85000)26.2gにかえ、N−(6−イソシアナトヘキシル)コレステリルカルバメイトの仕込み量を1.08g(1.95mmol)、ピリジンの仕込み量を19.6mL、ジメチルスルホキシドの仕込み量を320mLにかえて、21.5gのマンナン−コレステロール誘導体を合成した。生成物の1H−NMRとIRの測定から、得られた化合物がマンナン−コレステロール(CHM)であることを確認した。1H−NMRスペクトルより、コレステロール基由来のピーク面積及びマンナン由来のピーク面積から、100単糖当たりのコレステロール基の置換度を計算により算出した。その結果、100単糖当たりのコレステロール基の置換度は0.9個であった。
【0042】
合成例7
<プルラン100単糖当たり1.7個のトリストリメチルシロキシシリルプロピル基を導入したトリストリメチルシロキシシリルプロピルカルバミド酸プルラン(以下、TSPと略)の合成>
プルラン(平均分子量、108000)10gをN−メチルピロリドン300mLに溶解し、触媒としてトリエチルアミン0.01gを加え、トリストリメチルシロキシシリルプロピルイソシアネート0.7gを滴下し、100℃で2時間反応させた。反応液をアセトンに注ぎ、生じた析出物をメタノールで洗浄し、乾燥して、トリストリメチルシロキシシリルプロピルカルバミド酸プルラン50gを得た。なお、この生成物のプルラン100単糖当たりのトリストリメチルシロキシシリルプロピル基の置換度を、元素分析値をもとに計算したところ、1.7個であった。
【0043】
実施例1
<浴用剤評価>
まず浴用剤評価に先立ち、評価するための浴用剤サンプルAを調製し、更にこれの官能試験、角質水分含量測定を行うことで浴用剤の評価を行った。これらについて以下に記載する。
(浴用剤サンプルAおよび、浴用剤サンプルAを含有する浴湯の調製)
浴用剤サンプルAの原料として、CHP0.9(合成例1で得たもの)30g、無水硫酸ナトリウム69g、および青色1号0.05g、および香料0.95gをそれぞれ乳鉢に計り取り、室温下に充分に混合して粉末状の浴用剤を得た。この組成の浴用剤組成物を30g/200リットルの割合で、40℃の浴湯に溶解して、浴用剤サンプルAを含有する浴湯を得た。尚、浴用剤サンプルAの原料の配合比は、重量%で表1にも記した。
(官能試験)
入浴後の肌のしっとり感を評価するために、一般人の中から、特に入浴に興味を抱く心理的傾向(温泉旅行、公衆浴場などに頻繁に出かけ、さらに市販の浴用剤などを習慣的に常用しているなどの共通の特徴がある)をもち、アンケート等から皮膚感覚の記憶能に優れていると観察された者(皮膚敏感人と思われる)を集めたボランティアからなるパネル30名(年令25才〜55才の男女)に対して、予め浴用剤サンプルAと異なる比較用浴用剤サンプルBを溶解した浴湯に、日をあけて数回入浴してもらい、比較用浴用剤サンプルBを用いたときの、入浴時および入浴後の皮膚感覚からなる入浴感を記憶してもらった。
ちなみに、比較用浴用剤サンプルBを含む浴湯の調製および、入浴官能試験は次のようにした。
比較用浴用剤サンプルBの原料として無水硫酸ナトリウム、99g、青色1号0.05gおよび香料0.95gをそれぞれ乳鉢に計り取り、室温下に充分に混合して粉末状の浴用剤を得た。この組成の比較用浴用剤サンプルBを30g/200リットルの割合で、40℃の浴湯に溶解して、比較用浴用剤サンプルBを含有する浴湯を得た。この比較用浴用剤サンプルBを添加した浴湯への入浴を10分間行い、これを日をあけて数日間行い、入浴時および入浴後の皮膚感覚を出来るだけ詳細に記憶してもらった。
その後、さらに日をおいて、官能試験の為に、前記した浴用剤サンプルAを含有する浴湯への入浴を10分間行ってもらい、(1)入浴時の湯あたり感を5段階評価法で測定してもらった。このとき、入浴時のお湯の肌への当たりが、予め記憶してもらった比較用浴用剤サンプルBを用いて入浴したときと同等の感覚のものを3点と評価し、これよりも優れた場合は4点、非常に優れた場合を5点、もしくは悪い場合を2点、非常に悪い場合を1点として点数化してもらった。このときの評価の結果をパネル全員の平均値として表1に示した。また、(2)入浴後の肌のすべすべ感、(3)しっとり感および(4)べたつき感についても、対照とした浴用剤サンプルAでない比較用浴用剤を用いたときに比べて同様の感覚ものを3点と評価し、これより良いものを4点、非常によいものを5点、もしくは悪いものを2点、非常に悪いものを1点として評価した。結果を、パネル全員の平均値として表1に合わせて示した。
【0044】
(皮質水分含量測定)
角質層水分量を水分測定器(IBS社製、商品名SKICON200)を用いて測定し、前記した浴用剤サンプルAを含有する浴湯に入浴直後、30、60分経過後に測定された抵抗値の逆数で示される値を入浴前の測定値に対する換算値として表し、その平均値を表1に示した。
【0045】
実施例2
浴用剤サンプルAの原料として、CHP0.1(合成例2で得たもの)、30g、無水硫酸ナトリウム、69g、青色1号0.05gおよび香料0.95gをそれぞれ用いた以外は実施例1と同様にして浴用剤組成物を得た。
実施例1と同様に浴湯に溶解し、評価した。その結果を表1に併せて記した。
【0046】
実施例3
浴用剤サンプルAの原料として、CHP0.05(合成例3で得たもの)、30g、無水硫酸ナトリウム、69g、青色1号0.05gおよび香料0.95gをそれぞれ用いた以外は実施例1と同様にして浴用剤組成物を得た。
実施例1と同様に浴湯に溶解し、評価した。その結果を表1に併せて記した。
【0047】
実施例4
浴用剤サンプルAの原料として、CHP10(合成例4で得たもの)、30g、無水硫酸ナトリウム、69g、青色1号0.05gおよび香料0.95gをそれぞれ用いた以外は実施例1と同様にして浴用剤組成物を得た。
実施例1と同様に浴湯に溶解し、評価した。その結果を表1に併せて記した。
【0048】
実施例5
浴用剤サンプルAの原料として、CHP15(合成例5で得たもの)、30g、無水硫酸ナトリウム、69g、青色1号0.05gおよび香料0.95gをそれぞれ用いた以外は実施例1と同様にして浴用剤組成物を得た。
実施例1と同様に浴湯に溶解し、評価した。その結果を表1に併せて記した。
【0049】
実施例6
浴用剤サンプルAの原料として、CHM(合成例6で得たもの)、30g、無水硫酸ナトリウム、69g、青色1号0.05gおよび香料0.95gをそれぞれ用いた以外は実施例1と同様にして浴用剤組成物を得た。
実施例1と同様に浴湯に溶解し、評価した。その結果を表1に併せて記した。
【0050】
実施例7
浴用剤サンプルAの原料として、TSP(合成例7で得たもの)、30g、無水硫酸ナトリウム、69g、青色1号0.05gおよび香料0.95gをそれぞれ用いた以外は実施例1と同様にして浴用剤組成物を得た。
実施例1と同様に浴湯に溶解し、評価した。その結果を表1に併せて記した。
【0051】
実施例8
浴用剤サンプルAの原料として、CHP0.9(合成例1で得たもの)、25g、大豆リゾリン脂質、5g、無水硫酸ナトリウム、69g、青色1号0.05gおよび香料0.95gをそれぞれ用いた以外は実施例1と同様にして浴用剤組成物を得た。
実施例1と同様に浴湯に溶解し、評価した。その結果を表1に併せて記した。
【0052】
実施例9
浴用剤サンプルAの原料として、CHP0.9(合成例1で得たもの)、25g、ホホバ油、5g、無水硫酸ナトリウム、69g、青色1号0.05gおよび香料0.95gをそれぞれ用いた以外は実施例1と同様にして浴用剤組成物を得た。
実施例1と同様に浴湯に溶解し、評価した。その結果を表1に併せて記した。
【0053】
比較例1
浴用剤サンプルAの原料として、無水硫酸ナトリウム、99g、青色1号0.05gおよび香料0.95gをそれぞれ用いた以外は実施例1と同様にして浴用剤組成物を得た。
実施例1と同様に浴湯に溶解し、評価した。その結果を表1に併せて記した。
【0054】
比較例2
浴用剤サンプルAの原料として、炭酸水素ナトリウム、49g、フマル酸、50g、青色1号0.05gおよび香料0.95gをそれぞれ用いた以外は実施例1と同様にして浴用剤組成物を得た。
実施例1と同様に浴湯に溶解し、評価した。その結果を表1に併せて記した。
【0055】
比較例3
浴用剤サンプルAの原料として、無水硫酸ナトリウム、94g、大豆リゾリン脂質、5g、青色1号0.05gおよび香料0.95gをそれぞれ用いた以外は実施例1と同様にして浴用剤組成物を得た。
実施例1と同様に浴湯に溶解し、評価した。その結果を表1に併せて記した。
【0056】
比較例4
浴用剤サンプルAの原料として、無水硫酸ナトリウム、94g、ホホバ油、5g、青色1号0.05gおよび香料0.95gをそれぞれ用いた以外は実施例1と同様にして浴用剤組成物を得た。
実施例1と同様に浴湯に溶解し、評価した。その結果を表1に併せて記した。
【0057】
比較例5
浴用剤サンプルAの原料として、市販のプルラン(商品名:プルランPF20、林原商事(株)製、分子量20万)、30g、無水硫酸ナトリウム、69g、青色1号0.05gおよび香料0.95gをそれぞれ用いた以外は実施例1と同様にして浴用剤組成物を得た。
実施例1と同様に浴湯に溶解し、評価した。その結果を表1に併せて記した。
【0058】
【表1】
Figure 0004168545
【0059】
尚、表に用いた略号は次のとおりである。
リゾリン脂質;大豆リゾリン脂質
炭酸水素Na;炭酸水素ナトリウム
無水硫酸Na;無水硫酸ナトリウム
色素・香料;青色1号、ジャスミン
官能試験;
(1)肌ヘノアタリ ;浴用剤評価試験の(1)入浴時の湯あたり感。
(2)スベスベカン;浴用剤評価試験の(2)入浴後の肌のすべすべ感。
(3)シットリカン ;浴用剤評価試験の(3)しっとり感。
(4)ベタツキカン; 浴用剤評価試験の(4)べたつき感。
【0060】
表1の結果より、本発明の疎水性基含有多糖類誘導体の浴用剤を配合した浴湯は、比較例1〜5に比べて肌へのあたりがマイルドで、べたつき感も少なく、入浴後肌の肌のかさかさ感がすくなく、入浴後の角質水分含量の減少が抑制された保湿効果の高い入浴剤として優れた性能を有していることがわかる。
更に、疎水性基含有多糖類誘導体に油性成分を補うと角層の水分量が入浴120分後でも2〜5倍高く保持され、顕著な相乗効果があることがわかる。
【0061】
実施例10
(CHP0.9含有浴用剤のリウマチに対する効果)
リウマチの症状に悩み、かつ浴用剤を用いたことのない30名の被験者を集めた。次に被験者を、無作為に実施群と比較群、15名づつ2群に分けた。この被験者に、4週間にわたり浴用剤を用いて毎日入浴してもらい、その後、リウマチの症状の変化についてアンケート調査した。
尚、実施群の被験者は、浴用剤に、CHP0.9(合成例1で得たもの)25重量%、大豆リゾリン脂質5重量%、無水硫酸ナトリウム69重量%、青色1号0.05重量%および香料0.95重量%含む浴用剤組成物を用いた。比較群の被験者は、浴用剤に、大豆リゾリン脂質5重量%、無水硫酸ナトリウム94重量%、青色1号0.05重量%および香料0.95重量%含む浴用剤組成物を用いた。被験者へのアンケート項目は、(一)治癒した、(二)著しく軽快になった、(三)かなり軽快になった、(四)やや軽快になった、(五)変わらない、(六)悪化した、の6項目からなり、択一式で回答を得た。結果を表2に示した。表2から、CHP0.9含有浴用剤は、顕著にリウマチの症状を軽減する効果があることがわかった。
【0062】
【表2】
Figure 0004168545
【0063】
実施例11
(CHP0.9含有浴用剤の神経痛に対する効果)
神経痛の症状に悩み、かつ浴用剤を用いたことのない30名の被験者を集めた。前記被験者を対象にして、神経痛の症状の変化についてアンケート調査した以外は、すべて実施例10と同様に行った。結果を表3に示した。表3から、CHP0.9含有浴用剤は、顕著に神経痛の症状を軽減する効果があることがわかった。
【0064】
【表3】
Figure 0004168545
【0065】
実施例12
(CHP0.9含有浴用剤の肩こりに対する効果)
肩こりの症状に悩み、かつ浴用剤を用いたことのない30名の被験者を集めた。前記被験者を対象にして、肩こりの症状の変化についてアンケート調査した以外は、すべて実施例10と同様に行った。結果を表4に示した。表4から、CHP0.9含有浴用剤は、顕著に肩こりの症状を軽減する効果があることがわかった。
【0066】
【表4】
Figure 0004168545
【0067】
実施例13
(CHP0.9含有浴用剤の腰痛に対する効果)
腰痛の症状に悩み、かつ浴用剤を用いたことのない30名の被験者を集めた。前記被験者を対象にして、腰痛の症状の変化についてアンケート調査した以外は、すべて実施例10と同様に行った。結果を表5に示した。表5から、CHP0.9含有浴用剤は、顕著に腰痛の症状を軽減する効果があることがわかった。
【0068】
【表5】
Figure 0004168545
【0069】
実施例14
(CHP0.9含有浴用剤の肩こりに対する効果)
疲労感に悩み、かつ浴用剤を用いたことのない30名の被験者を集めた。前記被験者を対象にして、疲労感の変化についてアンケート調査した以外は、すべて実施例10と同様に行った。結果を表6に示した。表6から、CHP0.9含有浴用剤は、顕著に疲労感を軽減する効果があることがわかった。
【0070】
【表6】
Figure 0004168545

Claims (4)

  1. 多糖類を構成する糖単位100個当たり、0.1〜10個の水酸基が下記式(1)
    Figure 0004168545
    [式(1)中、R 1 は炭素数1〜50の炭化水素基を示し、R 2 はステロール基を示す。]で表される基で置換された多糖類−ステロール誘導体からなる浴用剤。
  2. 請求項1に記載の浴用剤を含有することを特徴とする浴用剤組成物。
  3. 請求項1に記載の浴用剤と、更に油性成分を含有することを特徴とする浴用剤組成物。
  4. 油性成分がリゾリン脂質である請求項に記載の浴用剤組成物。
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