JP4168128B2 - ポリ乳酸繊維用防炎加工剤およびポリ乳酸繊維構造物の防炎加工方法 - Google Patents

ポリ乳酸繊維用防炎加工剤およびポリ乳酸繊維構造物の防炎加工方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリ乳酸繊維用防炎加工剤およびポリ乳酸繊維構造物の防炎加工方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、カーテン、寝具類(布団類、毛布類)等の防炎製品としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)等に代表されるポリエステル繊維を防炎加工したものが用いられていた。しかし、近年、地球環境保全の観点から、上記PET等のポリエステル繊維に代えて、生分解性のポリ乳酸繊維が注目され、このポリ乳酸繊維を防炎製品に応用する技術が待望されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記ポリ乳酸繊維は、PET等のポリエステル繊維と比較して融点が低い等の物性上の理由により、PET等のポリエステル繊維と同様の防炎加工を行った場合、繊維の強度が低下する等の難点がある。このように、上記ポリ乳酸繊維に対しては、適切な防炎加工の技術が確立されていないのが実情である。
【0004】
本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、繊維の強度を保持しつつ、生分解性のポリ乳酸繊維に対して防炎加工を行うことができるポリ乳酸繊維用防炎加工剤およびポリ乳酸繊維構造物の防炎加工方法の提供をその目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本発明は、下記の脂環式臭素化合物(イ)およびリン酸エステル系化合物の双方を含有し、その重量混合比が、脂環式臭素化合物(イ):リン酸エステル系化合物=1:0.05〜1:1の範囲に設定されているポリ乳酸繊維用防炎加工剤を第1の要旨とする。
(イ)融点200℃以上の脂環式臭素化合物と融点200℃未満の脂環式臭素化合物との混合物であり、かつ上記混合物の融点が200℃未満である脂環式臭素化合物。
【0006】
また、本発明は、上記ポリ乳酸繊維用防炎加工剤を含有する処理液を準備し、この処理液にポリ乳酸繊維構造物を浸漬した状態において110〜130℃の温度で熱処理するポリ乳酸繊維構造物の防炎加工方法を第2の要旨とする。
【0007】
すなわち、本発明者らは、繊維の強度を保持しつつ、生分解性のポリ乳酸繊維に対して防炎加工を行うことができる防炎加工剤を得るべく、鋭意研究を重ねた。その結果、脂環式臭素化合物として、融点200℃以上のものと融点200℃未満のものとの混合物であってその融点が200℃未満である脂環式臭素化合物(イ)を用い、これとリン酸エステル系化合物の双方を、特定の混合割合で併用すると、これらを単独で使用する場合に比べて、難燃性が向上することを見出し、本発明に到達した。
【0008】
【発明の実施の形態】
つぎに、本発明の実施の形態を詳しく説明する。
【0009】
本発明のポリ乳酸繊維用防炎加工剤は、脂環式臭素化合物とリン酸エステル系化合物の双方を用いて得ることができる。
【0010】
本発明において、防炎加工対象のポリ乳酸繊維としては、光学純度が90%以上のものが好ましく、さらに95%以上であればより好ましい。特に、97%以上のものは繊維化するのに最適である。
【0011】
上記脂環式臭素化合物としては、特に限定はなく、例えば、ヘキサブロモシクロドデカン(HBCD)、テトラブロモシクロヘキサン、テトラブロモシクロドデカン(TBCD)等があげられる。これらは2種以上併せて用いられる。
【0012】
ただし、上記脂環式臭素化合物は、2種以上併用された混合物融点が200℃未満になるよう設定することが必要で、特に好ましくは150〜200℃未満の範囲である。すなわち、脂環式臭素化合物の融点が200℃以上であると、ポリ乳酸繊維への内部浸透が少なくなる傾向がみられ、150℃未満ではポリ乳酸繊維の防炎性が低下する傾向がみられるからである。なお、上記脂環式臭素化合物、例えば、HBCD等には数種類の立体異性体が存在するため、同一化合物であっても立体異性体の種類に応じて融点が異なる場合がある。
【0013】
そして、上記脂環式臭素化合物混合物、融点200℃以上の脂環式臭素化合物(X)と、融点200℃未満の脂環式臭素化合物(Y)とを混合して用いなければならない。この場合、両者の重量混合比は、X:Y=1:0.1〜1:1の範囲に設定することが好ましく、特に好ましくはX:Y=1:0.3〜1:0.6である。すなわち、融点200℃未満の脂環式臭素化合物(Y)の重量混合比が0.1未満であると、ポリ乳酸繊維への内部浸透が少なくなる傾向がみられ、逆に、融点200℃未満の脂環式臭素化合物(Y)の重量混合比が1を超えると、ポリ乳酸繊維の防炎性が低下する傾向がみられるからである。
【0014】
上記脂環式臭素化合物とともに用いられるリン酸エステル系化合物としては、特に限定はなく、例えば、トリクレジルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリフェニルホスフェート(TPP)、クレジルジフェニルホスフェート、キシレニルジフェニルホスフェート等のリン酸エステル類、トリス(トリブロモネオペンチル)ホスフェート、トリス(ブロモエチル)ホスフェート、トリス(ジブロモプロピル)ホスフェート等の含ハロゲンリン酸エステル類、1,3−フェニレンビス(2,6−ジメチルフェニルホスフェート)等の縮合リン酸エステル類等があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。
【0015】
本発明のポリ乳酸繊維用防炎加工剤において、上記脂環式臭素化合物(融点200℃以上の脂環式臭素化合物と融点200℃未満の脂環式臭素化合物との混合物)とリン酸エステル系化合物との重量混合比は、脂環式臭素化合物:リン酸エステル系化合物=1:0.05〜1:1の範囲に設定しなければならず、特に好ましくは脂環式臭素化合物:リン酸エステル系化合物=1:0.1〜1:0.7である。すなわち、リン酸エステル系化合物の重量混合比が0.05未満であると、ポリ乳酸繊維への内部浸透が少なくな、逆に、リン酸エステル系化合物の重量混合比が1を超えると、ポリ乳酸繊維の防炎性が低下するからである。
【0016】
本発明のポリ乳酸繊維用防炎加工剤において、上記脂環式臭素化合物は分散物として用いることが好ましく、また、上記リン酸エステル系化合物は乳化物もしくは分散物として用いることが好ましい。これら化合物を分散または乳化させるための分散剤または乳化剤としては、特に限定はなく、例えば、高級アルコールアルキレンオキサイド付加物、アルキルフェノールアルキレンオキサイド付加物、スチレン化アルキルフェノールアルキレンオキサイド付加物、スチレン化フェノールアルキレンオキサイド付加物、脂肪酸アルキレンオキサイド付加物、多価アルコール脂肪酸エステルアルキレンオキサイド付加物、高級アルキルアミンアルキレンオキサイド付加物、脂肪酸アミドアルキレンオキサイド付加物、油脂のアルキレンオキサイド付加物、ポリプロピレングリコールエチレンオキサイド付加物等のポリアルキレングリコール型非イオン界面活性剤、グリセロールの脂肪酸エステル、ペンタエリスリトールの脂肪酸エステル、ソルビトールおよびソルビタンの脂肪酸エステル、ショ糖の脂肪酸エステル、多価アルコールのアルキルエーテル、アルカノールアミン類の脂肪酸アミド等の多価アルコール型非イオン界面活性剤、および脂肪酸セッケン等のカルボン酸塩、高級アルコール硫酸エステル塩、高級アルキルポリアルキレングリコールエーテル硫酸エステル塩、硫酸化油、硫酸化脂肪酸エステル、硫酸化脂肪酸、硫酸化オレフィン等の硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸等のホルマリン縮合物、α−オレフィンスルホン酸塩、パラフィンスルホン酸塩、イゲポンT型、スルホコハク酸ジエステル塩等のスルホン酸塩、高級アルコールリン酸エステル塩等のリン酸エステル塩等のアニオン界面活性剤等があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。さらに、分散物の場合には、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース等の安定化剤を使用することもできる。
【0017】
上記脂環式臭素化合物やリン酸エステル系化合物を分散または乳化させる方法としては、特に限定はなく、例えば、ホモジナイザー、コロイドミル、ボールミル、サンドグラインダー等の分散機や乳化機等を用いて行うことができる。この場合、化合物の平均粒子径は、1μm以下に設定することが好ましい。
【0018】
そして、本発明のポリ乳酸繊維用防炎加工剤は、例えば、脂環式臭素化合物とリン酸エステル系化合物の双方を所定の割合で混合するとともに、分散剤、乳化剤、安定化剤等の添加剤を必要に応じて適宜配合することにより作製することができる。
【0019】
つぎに、本発明のポリ乳酸繊維構造物の防炎加工方法で特に好ましい方法について説明する。すなわち、まず、本発明の防炎加工剤を含有する処理液(水希釈液)を準備する。ついで、液流染色機、ビーム染色機、チーズ染色機等のパッケージ染色機を用い、上記防炎加工剤を含有する処理液(水希釈液)にポリ乳酸繊維構造物を浸漬した状態において、所定の条件で熱処理することにより、上記ポリ乳酸繊維構造物に対して防炎加工を行うことができる。
【0020】
このように防炎加工剤を含有する処理液(水希釈液)にポリ乳酸繊維構造物を浸漬することにより、本発明の防炎加工剤がポリ乳酸繊維の表面に付着するため、ポリ乳酸繊維構造物に対して難燃性を付与することができる。そして、さらに上記処理液に浸漬した状態で熱処理を行うことにより、本発明の防炎加工剤がポリ乳酸繊維の内部にまで浸透して固着するため、ポリ乳酸繊維構造物に対して洗濯耐久性をも付与することができる。その結果、本発明の防炎加工方法により処理したポリ乳酸繊維構造物は、難燃性はもちろん、洗濯耐久性にも優れたものとなる。
【0021】
なお、上記のような浸漬熱処理によって防炎加工剤をポリ乳酸繊維に付与するにあたっては、ポリ乳酸繊維を染色する前、染色と同時、染色した後のいずれの時期に行ってもよいが、染色と同時に行うことにより作業工数が少なくなり、作業効率がよくなる。
【0022】
上記熱処理の温度条件としては、110〜130℃の範囲に設定することが好ましく、特に好ましくは115〜120℃である。すなわち、熱処理の温度は高い方がポリ乳酸繊維への防炎加工剤の付着がより強固になるが、130℃を超えると、ポリ乳酸繊維に強度低下等の悪影響を与え、ポリ乳酸繊維の性質を損なうおそれがあるからである。逆に、熱処理の温度が110℃未満であると、ポリ乳酸繊維に防炎加工剤がうまく付着しないおそれがあるからである。
【0023】
また、上記熱処理の時間としては、15〜90分間が好ましく、特に好ましくは30〜60分間である。すなわち、熱処理の時間が15分間未満であると、ポリ乳酸繊維に防炎加工剤がうまく付着しないおそれがあり、逆に90分間を超えると、ポリ乳酸繊維に強度低下等の悪影響を与え、ポリ乳酸繊維の性質を損なうおそれがあるからである。
【0024】
本発明の防炎加工方法において、ポリ乳酸繊維に対する防炎加工剤の吸着量は0.5%o.w.f以上に設定することが好ましく、特に好ましくは2.0%o.w.f以上である。なお、%o.w.fは、未処理のポリ乳酸繊維に対する重量率である(この場合、絶乾重量増加率を意味する)。
【0025】
なお、上記ポリ乳酸繊維構造物に対して耐光堅牢度等が要求される場合には、本発明の防炎加工剤を含有する処理液中に、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系等の紫外線吸収剤や従来より用いられている他の薬剤を配合しても差し支えない。
【0026】
本発明におけるポリ乳酸繊維構造物としては、ポリ乳酸繊維を用いた製品であれば特に限定はなく、例えば、カーテン、暗幕、じゅうたん等の消防法により防炎性を有することが定められている防炎物品や、消防庁の行政指導により防炎性能を有するものが望ましいとされている寝具類(布団類、毛布類)、テント、幕類、シート類、非常持ち出し袋、防災頭巾、衣類、布張家具類や、自動車用シート等のメーカーにより難燃規格が設定されている自動車用材料等があげられる。
【0027】
なお、本発明の防炎加工剤による防炎加工方法は、パッド−ドライ−スチーム方式、パッド−スチーム方式、パッド−ドライ−キュア方式等によっても行うことができる。具体的には、本発明の防炎加工剤を含有する処理液(水希釈液)にポリ乳酸繊維構造物をパッド処理した後、110〜130℃の温度で熱処理を行うことによっても、上記ポリ乳酸繊維構造物に対して防炎加工を行うこともできる。
【0028】
つぎに、実施例について比較例と併せて説明する。
【0029】
〔防炎加工剤の作製〕
【0030】
【実施例A】
HBCD(融点:205℃)21gとHBCD(融点:170℃)9gの混合物(融点:195℃)に、トリクレジルホスフェート10g、および分散剤としてトリスチレン化フェノールのエチレンオキサイド20モル付加物5gを加え、これに水53gを攪拌しながら加えた。その後、安定化剤としてカルボキシメチルセルロースの10%水溶液2gを加えて、白色分散液状の防炎加工剤を作製した。
【0031】
【実施例B】
脂環式臭素化合物として、HBCD(融点:205℃)26.6gとHBCD(融点:170℃)11.4gの混合物(融点:195℃)を用い、かつ、トリクレジルホスフェートの配合量を2gに変更した。それ以外は実施例Aと同様にして防炎加工剤を作製した。
【0032】
【実施例C】
脂環式臭素化合物として、HBCD(融点:205℃)14gとHBCD(融点:170℃)6gの混合物(融点:195℃)を用い、かつ、トリクレジルホスフェートの配合量を20gに変更した。それ以外は実施例Aと同様にして防炎加工剤を作製した。
【0033】
【実施例D】
脂環式臭素化合物として、HBCD(融点:205℃)11.2gとHBCD(融点:170℃)4.8gの混合物(融点:195℃)を用い、かつ、トリクレジルホスフェートの配合量を24gに変更した。それ以外は実施例Aと同様にして防炎加工剤を作製した。
【0034】
【実施例E】
脂環式臭素化合物として、HBCD(融点:205℃)27.3gとHBCD(融点:170℃)2.73gの混合物(融点:199℃)を用いた。それ以外は実施例Aと同様にして防炎加工剤を作製した。
【0035】
【実施例F】
脂環式臭素化合物として、HBCD(融点:205℃)15gとHBCD(融点:170℃)15gの混合物(融点:185℃)を用いた。それ以外は実施例Aと同様にして防炎加工剤を作製した。
【0036】
【比較例A】
脂環式臭素化合物として、HBCD(融点:205℃)28gとHBCD(融点:170℃)12gの混合物(融点:195℃)を用い、トリクレジルホスフェートは用いなかった。それ以外は実施例Aと同様にして防炎加工剤を作製した。
【0037】
【比較例B】
脂環式臭素化合物として、HBCD(融点:205℃)30gを用い、トリクレジルホスフェートは用いなかった。それ以外は実施例Aと同様にして防炎加工剤を作製した。
【0038】
【比較例C】
トリクレジルホスフェート10gに代えて、トリフェニルホスフェート(TPP)40gを用い、脂環式臭素化合物は用いなかった。それ以外は実施例Aと同様にして防炎加工剤を作製した。
【0039】
〔防炎加工方法〕
【0040】
【実施例1〜6、比較例1〜3】
ポリ乳酸繊維織物に対して、後記の表1および表2に示す防炎加工剤を用いて、下記に示す方法で防炎加工処理を行った。なお、ポリ乳酸繊維織物の組織は、経糸:83.3dtexf24、密度280本/5cm、緯糸:111.1dtexf24、密度160本/5cm、組織:2/2綾織り、質量:88g/m2 であり、前処理として、非イオン系界面活性剤を少量含む水溶液中で、80℃×10分間の洗浄を行った。
【0041】
〔防炎加工処理a〕
ミニカラー染色機(テクサム技研社製)を使用して、分散染料(C.I.Disperse Blue56)1%o.w.f、分散均染剤(日華化学社製、ニッカサンソルトSN−130)0.5g/l、防炎加工剤20%o.w.fを含む処理液に上記ポリ乳酸繊維織物を浴比1:15で浸漬した状態において、120℃×30分間熱処理した。その後、ソーピング剤(日華化学社製、エスクードFR)2g/lを加えた水溶液中で、80℃×20分間還元洗浄し、湯洗、水洗した後、自然乾燥させた。なお、%o.w.fは、未処理のポリ乳酸繊維織物に対する重量率である。
【0042】
このようにして防炎加工処理を行ったポリ乳酸繊維織物を用いて、下記の基準に従い、難燃性試験を行った。これらの結果を、後記の表1および表2に併せて示した。
【0043】
〔難燃性試験〕
残炎時間および炭化面積は、JIS L−1091 A−1法に準じて測定した。接炎回数は、JIS L−1091 D法に準じて測定した。引裂強度は、JIS L−1096 D法(ペンジュラム法)に準じて測定した。なお、洗濯は、JIS L−1042に準じて行った。
【0044】
【表1】
Figure 0004168128
【0045】
【表2】
Figure 0004168128
【0046】
上記表1および表2の結果から、いずれの実施例も、融点が200℃以上の脂環式臭素化合物と融点が200℃未満の脂環式臭素化合物とを混合してなる、融点200℃未満の混合物と、リン酸エステル系化合物の双方を、特定の混合割合で含有する防炎加工剤を用いて処理しているため、難燃性および洗濯耐久性の双方の特性に優れていることがわかる。
【0047】
これに対して、比較例1は、脂環式臭素化合物のみを用い、リン酸エステル系化合物と併用していない防炎加工剤(比較例A品)を用いているため、防炎性が不充分であることがわかる。比較例2は、高融点HBCD(融点:205℃)のみを用い、リン酸エステル系化合物と併用していない防炎加工剤(比較例B品)を用いているため、全く防炎性が付与されていないことがわかる。比較例3は、リン酸エステル系化合物のみを用い、脂環式臭素化合物と併用していない防炎加工剤(比較例C品)を用いているため、全く防炎性が付与されていないことがわかる。なお、防炎加工処理をしなかった従来例は、当然ながら難燃性および洗濯耐久性を備えていないことがわかる。
【0048】
【実施例7〜12、比較例4〜6】
前記と同様のポリ乳酸繊維織物に対して、後記の表3および表4に示す防炎加工剤を用いて、下記に示す方法で防炎加工処理を行った。
【0049】
〔防炎加工処理b〕
上記ポリ乳酸繊維織物を、防炎加工剤20重量%の処理浴中でパディング処理(絞り率:70%)した後、乾燥(110℃×1分間)し、その後ヒートセット処理(120℃×30秒間)を行った。
【0050】
このようにして防炎加工処理を行ったポリ乳酸繊維織物を用いて、前記と同様にして難燃性試験を行った。これらの結果を、下記の表3および表4に併せて示した。
【0051】
【表3】
Figure 0004168128
【0052】
【表4】
Figure 0004168128
【0053】
上記表3および表4の結果から、防炎加工処理bをした実施例7〜12は、防炎加工処理aをした実施例1〜6と略同等の優れた結果が得られることがわかる。また、防炎加工処理bをした比較例4〜6は、防炎加工処理aをした比較例1〜3と同様に、防炎性が不充分あるいは全く防炎性が付与されていないことがわかる。
【0054】
【発明の効果】
以上のように、本発明のポリ乳酸繊維用防炎加工剤は、融点200℃以上のものと融点200℃未満のものとを混合してなる、融点200℃未満の脂環式臭素化合物と、リン酸エステル系化合物の双方を、特定の混合割合で含有するものであるため、これらを単独で使用する場合に比べて、難燃性に優れているとともに、洗濯耐久性にも優れている。また、本発明の防炎加工方法は、本発明の防炎加工剤を含有する処理液に、ポリ乳酸繊維構造物を浸漬した状態において110〜130℃の温度で熱処理するものである。すなわち、本発明の防炎加工剤を含有する処理液にポリ乳酸繊維構造物を浸漬することにより、本発明の防炎加工剤がポリ乳酸繊維の表面に付着するため、ポリ乳酸繊維構造物に対して難燃性を付与することができる。そして、さらに上記処理液に浸漬した状態で熱処理を行うことにより、本発明の防炎加工剤がポリ乳酸繊維の内部にまで浸透して固着するため、ポリ乳酸繊維構造物に対して洗濯耐久性をも付与することができる。その結果、本発明の防炎加工方法により処理したポリ乳酸繊維構造物は、難燃性はもちろん、洗濯耐久性にも優れたものとなる。このように本発明によると、従来のポリエステル繊維で行われてきた消防法に基づく難燃性能が義務づけられているカーテン等の防炎物品や、メーカーにより難燃規格が設定されている自動車材料等に、生分解性を有するポリ乳酸繊維を用いることができるようになり、地球環境保全の観点からも好ましいものとなる。

Claims (5)

  1. 下記の脂環式臭素化合物(イ)およびリン酸エステル系化合物の双方を含有し、その重量混合比が、脂環式臭素化合物(イ):リン酸エステル系化合物=1:0.05〜1:1の範囲に設定されていることを特徴とするポリ乳酸繊維用防炎加工剤。
    (イ)融点200℃以上の脂環式臭素化合物と融点200℃未満の脂環式臭素化合物との混合物であり、かつ上記混合物の融点が200℃未満である脂環式臭素化合物。
  2. 上記脂環式臭素化合物(イ)において、融点200℃以上の脂環式臭素化合物(X)と融点200℃未満の脂環式臭素化合物(Y)との重量混合比が、X:Y=1:0.1〜1:1の範囲に設定されている請求項記載のポリ乳酸繊維用防炎加工剤。
  3. 上記リン酸エステル系化合物が、乳化物もしくは分散物である請求項1または2に記載のポリ乳酸繊維用防炎加工剤。
  4. 請求項1〜のいずれか一項に記載のポリ乳酸繊維用防炎加工剤を含有する処理液を準備し、この処理液にポリ乳酸繊維構造物を浸漬した状態において110〜130℃の温度で熱処理することを特徴とするポリ乳酸繊維構造物の防炎加工方法。
  5. 上記熱処理の時間が15〜90分間である請求項記載の防炎加工方法。
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