JP4167980B2 - 回転体の偏重心キャンセル機構およびこれを備えたモータ - Google Patents
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Description
本発明は、回転軸に取り付けられた回転体の偏重心を打ち消す偏重心キャンセル機構およびこれを備えたモータに関する。更に詳述すると、本発明は、CD(コンパクトディスク)やDVD(ディジタルビデオディスク)等のディスクをターンテーブルに載置して回転させるディスクドライブ機構により高速回転するディスクを含む回転体の偏心振動を抑制するのに適した偏重心キャンセル機構およびこれを備えたモータに関する。
背景技術
CD−ROMやCD−R/WやDVD−ROM等のディスクメモリの普及に伴い、ディスクに対するアクセス速度の向上が望まれている。例えば、ディスクメモリの回転速度を通常のCDの回転速度の24倍速や32倍速に増速させることが検討されているが、これらの場合はディスクの回転数は5000〜6000rpmにも達する。また、将来的にはディスクの回転数を10000rpm程度にまで増加させる必要もあり得る。
このような高速で回転するディスクドライブ機構の駆動用モータを含むモータに取付けられる回転体の偏重心を打消すために、種々の偏重心キャンセル機構が開発されている。
例えばリング形状のウエイトをバランスリングとして使用した偏重心キャンセル機構100として、Fig.31に示すように回転軸101と一体に回転する収容部の外壁102と内壁105の間に移動可能な複数のバランスリング103,104を収容したものが開発されている(特開平11−103557号公報参照)。この偏重心キャンセル機構100では、2枚のバランスリング103,104が同一軸直角平面に配置されており、回転軸101の回転により回転軸101と一体の収容部が回転して内部のバランスリング103,104がそれぞれ外壁102と内壁105とに接触してバランスを取る。
また、リング形状のウエイトをバランスリングとして使用した偏重心キャンセル機構200の他の例として、Fig.32に示すように回転軸と一体回転する収容部201に移動可能なバランスリング202を収容したものが開発されている(特開平11−39784号公報参照)。この偏重心キャンセル機構200では、回転軸の回転により収容部201が一体回転して内部のバランスリング202が外壁に接触してバランスを取る。
また、Fig.34に示すように、複数のリング状のウエイトをバランスリングとし、互いに干渉しないように上下に配置してモータの回転軸に一部で直接接触し得るように挿通させた偏重心キャンセル機構も提案されている(特開平10−243604号)。このキャンセル機構400では、回転軸401の回転により、Fig.35A〜Fig.35Cに示すように、バランスリング402、403が回転軸401とともに回転されるようになると、バランスリング402、403と回転体の合成した重心が回転体と一致する位置にバランス部材が移動しバランスを取る。
更に、ボール形状のウエイトを使用した偏重心キャンセル機構300として、Fig.33に示すように回転軸301と一体回転する収容部302に移動可能な複数のボール303を収容したものが開発されている。
しかしながら、上述した偏重心キャンセル機構では、いずれもキャンセル機能が不十分であり、振動および騒音を十分に除去することが困難である。このため、モータ軸受の寿命低下につながり、また高速化の障害になってしまう。しかも、モータ制御に負荷がかかるので、立上り回転速度制御が煩雑になったり、偏重心をキャンセルできずにディスクの読取りができない時は規定速度を段階的に低下させ対応させなければならないことから、コスト増加になってしまう。
さらに、Fig.31に示す偏重心キャンセル機構100では、2つのバランスリング103,104は内径が共に大きく、図からも明らかなようにモータの回転軸101とバランスリング103,104自身の重心位置の距離は僅かなので、キャンセルしようとする偏重心量が大きい場合は偏重心キャンセル機構100自体を大型化させなければならない。また、バランスリング103,104が収容部に対して、軸方向に全面で接触するため、偏重心による多少の振動程度では、バランスリングの接触抵抗が大きいため、モータの回転に対し相対的に移動する手段が無い。すなわち、偏重心キャンセル機構100としての機能が不充分であった。
そして、Fig.32に示す1枚のバランスリング202を備えている偏重心キャンセル機構200では、バランスリング202が1枚のため、バランスのとれた回転体が組み合わされた時は、逆にバランスリング202が偏重心を生む原因となってしまう。
さらに、Fig.33に示す複数のボール303を備えた偏重心キャンセル機構300では、3000rpm以下の低速域ではキャンセルできないという知見を得た。また、起動時および停止時ともにボール303が移動し易く、収容部302との間で騒音が発生してしまう。さらに、ボール303と当接する収容部302の内周壁の摩耗粉によりキャンセル性能が不安定となってしまう。
Fig.34に示す複数のリング状のウエイトをバランスリングとし、回転軸に挿通した偏重心キャンセル機構400では、バランスリング402,403に対しての減速比(リング比)が小さいため、振れ回り(公転)をしている時にバランスリング402,403と回転体との相対速度差が極端に大きいために停止し難く、キャンセル精度が悪く、あるいは、停止できずにキャンセル位置を通り越し何度もキャンセル位置に停止しようと繰り返すため時間がかかったり、大幅に通り越してしまうためキャンセルできない場合が起こる可能性がある。しかも、バランスの取れた回転体が組み合わされた時は、バランスリング402、403がFig.34のように反対位置に分離される手段が無いという問題があった。また、仮にスムーズに動作したとしてもFig.35A〜35Cから解るようにバランスリング402、403と支えるワッシャ404との接触面が少なく、結果として摩擦が少ないため、回転軸401の立上り速度に追従するためには時間がかかり、キャンセルするまでの時間が長いものとなってしまう。
そこで、本発明は、回転体の偏重心を十分に除去できると共に迅速かつ円滑にキャンセル状態に移行することができる偏重心キャンセル機構およびこれを備えたモータを提供することを目的とする。
発明の開示
かかる目的を達成するため、本発明にかかる回転体の偏重心を打ち消す偏重心キャンセル機構は、回転軸と、回転軸に対して軸方向に離間させて配置されると共に回転軸に対して径方向に移動可能に嵌められた少なくとも2枚のバランスリングと、バランスリングのそれぞれの内側に配置され回転軸に対して径方向に移動可能に嵌められた少なくとも1つの差動リングと、回転軸と一体に回転しバランスリングおよび差動リングと軸方向において接触して摩擦によって回転を与えると共に軸方向への移動を規制する軸方向規制部材とを備えるようにしている。ここで、バランスリングは第1のバランスリングと第2のバランスリングとの2枚から成り、第1及び第2のバランスリングのそれぞれの内側に第1及び第2の差動リングが配置されると共に、2つの軸直角平面に配置された第1のバランスリングと第1の差動リング並びに第2のバランスリングと第2の差動リングとの組の間並びに外に軸方向規制部材をそれぞれ備えることが好ましい。この場合には、最小限のスペースと部品点数で偏重心を除くことができる。
回転体の偏重心キャンセル機構において、振れ回り動作中のバランスリングがキャンセル位置に近づくと振動が治まってくると、バランスリングは軸方向規制部材に徐々に接触し摩擦抵抗を受ける割合を増やしながら、振動で遠心力が勝り振れ回り移動する割合を減らしながらキャンセル位置に停止し回転軸と等速で回転することとなる。この停止直前の移動距離が大きすぎるとバランスリングの慣性力でキャンセル位置を通り越して、また、振動が大きくなる方に移動すると摩擦抵抗が勝り、停止すると不充分な振動が残ったままになるか、次のタイミングまで時間がかかることとなるか、あるいは、停止できずにいつまでたってもキャンセルできないこととなる。しかし、差動リングがバランスリングと回転軸との間に介在することによって、バランスリングを動かすことに対しての減速比(リング比)が大きくとれるので、軸方向規制部材に速度差が小さい状態で接触することができ、軸方向規制部材に停止する時に停止し易くキャンセル精度が高まると共に安定した性能が得られる。複数のバランスリングの間において、差動リングの寸法や径方向移動量をバランスリング毎に適宜設定することによって、移動速度が異なる差動運動を行わせ、回転体の総合した偏重心をキャンセルすることができるようになる。特に、複数のバランスリングを互いに逆方向に相対回転させる場合には、より早く安定したバランスリングの動作が実現できる。そして、偏重心のバランスを取ることができるようになる。また、差動リングを使用したことにより、低速回転域から偏重心のバランスを取ることができるようになる。これにより、早く安定したバランスリングの動作が実現できるので、偏重心のバランスを取ることができるようになる。更に、規定スペースの中にコンパクトにできる。
また、本発明の偏重心キャンセル機構は、回転軸と一体に回転すると共に、差動リングの外周面に当接することにより差動リングの内周面が回転軸に当接しない範囲で差動リングの径方向への移動範囲を規制する差動リング規制部を備えることが好ましい。特に、差動リング規制部を少なくとも1つ有し、差動リングの少なくとも1つの径方向への移動範囲を差動リング規制部によって規制し、他の差動リングの径方向への移動範囲を前記回転軸との接触で規制することが好ましい。この場合には、少なくとも2枚のバランスリングが互いに逆方向に相対回転するために、より早く安定したバランスリングの動作が実現できる。そして、偏重心のバランスを取ることができるようになる。
ここで、差動リング規制部は、差動リングを挟む軸方向規制部材の少なくとも何れか一方に形成されることが好ましい。この場合には、差動リング規制部を形成するための別個の部材を要しないので、部品点数を増加させることがない。
また、本発明の偏重心キャンセル機構は、軸方向規制部材のバランスリングに回転を与える面に、差動リングに接触するバランスリングを部分的に支持する凸部を有することが好ましい。この場合には、回転開始時や低速回転時には各バランスリングと軸方向規制部材が軸方向規制部材の外周部分の広い面積で接触して大きな摩擦力の下で回転力を受けるが、高速回転になるとバランスリングが差動リングとの接触点を中心にして凸部と部分的に接触するため、バランスリングと軸方向規制部材との摩擦力が減少されて安定したバランスリングの動作が得られる。
また、本発明の偏重心キャンセル機構は、凸部に凹凸が形成されていることが好ましい。この場合には、バランスリングと軸方向規制部材との間の摩擦力を減少させて安定化させることができるので、安定したバランスリングの動作を実現できる。
また、本発明の偏重心キャンセル機構は、バランスリングを軸方向に付勢して軸方向規制部材に押し当てる付勢手段を有することが好ましい。ここで、付勢手段は、バランスリングを軸方向に付勢する板ばねであることが好ましく、より好ましくは、中央部にバランスリングと当接する平坦面を有し、外周部に円周方向に延びる少なくとも3本のばね足を均等に配置して成るものの使用である。板ばねは、バランスリングを挟んで対向する軸方向規制部材の少なくとも一方に載置されてバランスリングをいずれか他方の軸方向規制部材に向けて付勢するばねであることが好ましい。また、付勢手段は軸方向に突出する弾性体でも良いし、マグネットによって発生する磁束であっても良い。
この場合には、回転軸が垂直または水平方向あるいはその中間でも一定の摩擦力がバランスリングと軸方向規制部材との間に付与されているので、偏重心キャンセル機構の姿勢に関係なく、性能変化の小さい安定した偏重心キャンセル機構が得られる。したがって、回転軸が垂直から水平までのあらゆる角度で使用できる。
また、本発明にかかるモータは、上述の本発明の回転体の偏重心キャンセル機構を備え、回転軸の一端側にはディスク状記録媒体を搭載するターンテーブルが嵌着され、ターンテーブルが一方の前記軸方向規制部材を兼ねていることを特徴とするものである。したがって、ターンテーブルおよび該ターンテーブルに搭載された被回転体を含む全ての回転体を合わせたものの偏重心をキャンセルすることができるので、モータの回転がスムーズに行われるようになる。このため、ディスクメモリに対するアクセス速度および読取精度の向上に対応することができる。
ここで、回転軸には駆動マグネットを装着した有底円筒状のロータヨークが設けられ、当該ロータヨークの底部が他方の軸方向規制部材を兼ねていることが好ましい。この場合には、ロータヨークが軸方向規制部材を兼ねているので、部品点数を抑えることができる。更に、ロータヨークの底部に差動リング規制部が形成されていることが好ましい。この場合には、部品点数の削減が可能となり、コストダウンと装置のコンパクト化が可能となる。
発明を実施するための最良の形態
以下、本発明の構成を図面に示す実施の形態の一例に基づいて詳細に説明する。Fig1〜Fig.9に、本発明の回転体の偏重心キャンセル機構1をディスク回転機構2のモータ3の回転軸4に設けた一実施形態を示す。この偏重心キャンセル機構1は回転軸4並びにこれと一体回転するように装着されるCD−ROM等のディスク状記録媒体またはその他の被回転体(本明細書ではこれらを称して被回転体と呼ぶ)5を含む全ての回転体の偏重心を打ち消すものであり、回転軸4に対して軸方向に離間させて配置されると共に回転軸4に対して径方向に移動可能に嵌められた少なくとも2枚のバランスリング9,10と、このバランスリング9,10のそれぞれの内側に配置され回転軸4に対して径方向に移動可能に嵌められた差動リング11,12と、回転軸4と一体に回転しバランスリング9,10および差動リング11,12と軸方向において接触して摩擦によって回転を与える軸方向規制部材6,7,8とを備えるようにしている。
この実施形態では、バランスリングは第1のバランスリング9と第2のバランスリング10との2枚から成り、第1及び第2のバランスリング9,10のそれぞれの内側に配置され回転軸4に対して径方向に移動可能に第1、第2差動リング11,12が嵌められている。また、バランスリング9,10および第1、第2差動リング11,12に回転を与えると共に軸方向移動を規制する軸方向規制部材としては、回転軸4の軸方向に配置された第1及び第2のバランスリング9,10の間に配置されて回転軸4と一体に回転し第1、第2バランスリング9,10が相互に接触しないように隔てる第3軸方向規制部材7と、回転軸4と一体に回転すると共に第1、第2バランスリング9,10および第1、第2差動リング11,12の軸方向外側(図1では上下)に配置されて軸方向への移動を規制する第1軸方向規制部材6及び第2軸方向規制部材8とから成る。また、第2軸方向規制部材8と第3軸方向規制部材7との互いに対向する面の第2差動リング12の周辺には、第2差動リング12の径方向移動を規制する差動リング規制部14が形成されている。
上述の第1〜第3の軸方向規制部材6,7,8は、特に回転軸4が垂直に配置されてモータロータが下側に配置される姿勢においては、第2軸方向規制部材8と第3軸方向規制部材7とは第1、第2バランスリング9,10及び第1、第2差動リング11,12の軸方向への移動即ち降下を規制すると同時に、第1、第2バランスリング9,10及び第1、第2差動リング11,12に摩擦力で回転を付与する。そして、このときの第1の軸方向規制部材6は第1バランスリング9と第1差動リング11の軸方向への移動即ち浮上を規制するものとして主に機能する。
Fig.2A及びFig.2Bに示すように、第1差動リング11は、径方向に移動可能に回転軸4に対して挿通され、その内径は回転軸4の外径よりも大きく形成されている。ここで、第1差動リング11の内径と回転軸4の外径に対しての大きさの関係は設計要素であり、回転体の偏重心量の大きさ、回転軸の使用回転数、キャンセルまでの到達時間、許容スペース等で適宜決まる。また、第1バランスリング9は第1差動リング11の外径よりも内径が大きく形成され、第1差動リング11に対して径方向に移動可能に設けられている。ここで、第1バランスリング9の内径と第1差動リング11の外径に対しての大きさの関係は設計要素であり、回転体の偏重心量の大きさ、回転軸の使用回転数、キャンセルまでの到達時間、許容スペース等で適宜決まる。第2差動リング12は、第1差動リング11と同様に径方向に移動可能に回転軸4に対して挿通され、その内径は回転軸4の外径よりも大きい。第2バランスリング10は、第2差動リング12の外径よりも内径が大きく形成され、第2差動リング12に対して径方向に移動可能に設けられている。第3軸方向規制部材7は、回転軸4と一体に回転し、第1及び第2バランスリング9,10並びに差動リングを受け支え摩擦力で回転を伝えると共に第1バランスリング9および第2バランスリング10が相互に接触しないように隔てる。第1及び第2軸方向規制部材6,8は回転軸4と一体に回転する。ここでは、第1差動リング11および第1バランスリング9の軸方向への移動を規制する第1軸方向規制部材6と、第2差動リング12および第2バランスリング10の軸方向への移動を規制する第2軸方向規制部材8とを備えている。
差動リング規制部14は、第2軸方向規制部材8並びに第3軸方向規制部材7の差動リング12と向かい合う面の中心部に形成され、第2差動リング12の両端部を収容できる大きさに形成された円形の凹部によって構成され、この凹部の内周面が第2差動リング12の外周面に当接することにより第2差動リング12の内周面が回転軸4に当接しないように規制する。ここで、第1、第2バランスリング9、10の内径が同じであるとき、差動リング規制部14により一方の差動リングの径方向への移動範囲を規制し、他方の差動リングの径方向への移動範囲を回転軸との接触で規制するように設けることによって、第1バランスリング9と第2バランスリング10の相対的な移動方向をそれぞれ進み方向、遅れ方向にとるようにしている。即ち、第2差動リング12の外径と差動リング規制部材14の内径との差が第1バランスリング9と第2バランスリング10の速度差になり、差動リング規制部材14を設けて一方のバランスリング例えば11を回転軸4と接触させないことが第1バランスリング9と第2バランスリング10の相対的な移動方向をそれぞれ反対方向にしている。
第1差動リング11は内周面が回転軸4に当接してその径方向への移動が規制され、また第2差動リング12は外周面が差動リング規制部14に当接して規制されることから、各々の第1、第2差動リング11,12に当接する第1、第2バランスリング9,10は次のようにして回転軸4の回転に対して相対的に反対方向に移動される。
A)差動リング外周接触組合わせ
1)回転軸4が回転を始めると、差動リング規制部14を持つ第2軸方向規制部材8に載った第2バランスリング10と第2差動リング12は慣性力があり、当初は第2軸方向規制部材8より遅い角速度でまわり始めるが、やがて、その重力による摩擦抵抗で第2軸方向規制部材8に載ったままの位置で等速に回転し始める。
2)全回転体は偏重心を持っており、振動する。
3)第2バランスリング10と第2差動リング12は回転軸4を挿通しており、第2バランスリング10は第2軸方向規制部材8の凸部20に第2差動リング12は第2軸方向規制部材8の差動リング規制部14を構成する凹部に載ってはいるものの、その位置は任意の位置で回転しているため、回転速度が増してくると遠心力が第2バランスリング10と第2差動リング12に働き、重力による摩擦抵抗より優り、また、振動により摩擦係数が低下し、回転軸4から外周方向に移動する。
4)さらに、回転速度が上がり遠心力が増えると、第2バランスリング10の遠心力が優り、回転軸4、差動リング規制部14、第2差動リング12、第2バランスリング10は直列状態となる(Fig.2B参照)。第2バランスリング10の内径と第2差動リング12の外径の接触点と差動リング規制部材14の凹部の内径と第2差動リング12の外径との接触点と回転軸4の中心が直線状態となる。
5)さらに、回転速度が上がり、遠心力が増え、回転軸がCWに回転し、それぞれの接触点は滑りが無いことを前提にすると、回転軸4が1回転すると、回転軸4に固定された第2軸方向規制部材8もCW方向に1回転する。
6)差動リング規制部材14の凹部の内径が第2差動リング12の外径と接触しており、差動リング規制部材14の凹部の内径が第2差動リング12をCW方向に回転させる。接触点は滑りが無いことを前提にすると、回転軸4が1回転した時には、その接触点は位置を変えながら、1周した時に、差動リング規制部材14の凹部の内径は第2差動リング12の外径より僅かに大きいため、第2差動リング12は径差分だけ相対的にCW方向に進んだ接触点となっている。このとき、差動リングは回転軸より早く同方向に回転する。
7)一方第2バランスリング10は、第2差動リング12からの回転力を接触点で受け、回転軸4が1回転した時は、差動リング規制部材14の凹部の内径距離分と等しい距離のバランスリングの内径距離だけ、接触点をCW方向に移動させ自転する。第2差動リング12は回転軸4より早く回転するが、第2バランスリング10は内径が大きく、例えば図示実施形態の場合には差動リングの約3倍程度あるため、その回転速度は3分の1程度となる。
8)第2バランスリング10が自転することにより、第2軸方向規制部材8の凸部20との摩擦抵抗により、第2バランスリング10はCW方向に差動リングとの接触点を変えながら回転軸4の回りにフラフープのように、振れ回る、いわゆる公転する。このとき、回転速度は回転軸より遅い。
B)差動リング内周接触組合わせ
9)回転軸4が回転を始めると、第3軸方向規制部材7に載った第1バランスリング9と第1差動リング11は慣性力があり、当初は第3軸方向規制部材7より遅い角速度でまわり始めるが、やがて、その重力による摩擦抵抗で第3軸方向規制部材7に載ったままの位置で等速に回転し始める。
10)全回転体は偏重心を持っており、振動する。
11)第1バランスリング9と第1差動リング11は回転軸4を挿通しており、第1バランスリング9と第1差動リング11は第3軸方向規制部材7の凸部20に載ってはいるものの、その位置は任意の位置で回転しているため、回転速度が増してくると遠心力が第1バランスリング9と第1差動リング11に働き、重力による摩擦抵抗より優り、また、振動により摩擦係数が低下し、回転軸4から外周方向に移動する。
12)さらに、回転速度が上がり遠心力が増えると、第1バランスリング9の遠心力が優り、回転軸4、第1差動リング11、第1バランスリング9は直列状態となる(Fig.2A参照)。このとき、第1バランスリング9の内径と第1差動リング11の外径の接触点と第1差動リング11の内径と回転軸4の外径の接触点が直線状態となる。
13)さらに、回転速度が上がり、遠心力が増え、回転軸4がCWに回転し、それぞれの接触点は滑りが無いことを前提にすると、回転軸4が1回転したときには、回転軸4に固定された第3軸方向規制部材7もCW方向に1回転する。
14)回転軸4の外径が第1差動リング11の内径と接触しており、回転軸4の外径が第1差動リング11をCW方向に回転させる。接触点は滑りが無いことを前提にすると、回転軸4が1回転した時には、その接触点は位置を変えながら、1周した時に、回転軸4の外径は第1差動リング11の内径より僅かに小さいため、第1差動リング11は径差分だけ相対的にCCW方向に遅れた接触点となっている。このとき、第1差動リング11は回転軸4より遅く同方向に回転する。
15)一方、第1バランスリング9は、第1差動リング11からの回転力を接触点で受け、回転軸4が1回転した時は、回転軸4の外径距離分と等しい距離×差動リング11の内径と外径の半径増分に等しい距離だけバランスリング9の内径距離を接触点をCCW方向に移動させ自転する。第1差動リング11は回転軸4より遅く回転するが、第1バランスリング9は内径が大きく、例えば図示の実施形態の場合には差動リングの約3倍程度あるため、その回転速度は3分の1程度となる。
16)第1バランスリング9が自転することにより、第3軸方向規制部材7の凸部20との摩擦抵抗により、第1バランスリング9はCCW方向に第1差動リング11との接触点を変えながら回転軸4の回りにフラフープのように、
公転する。このとき、回転速度は回転軸4より遅い。
このようにして、スムーズに偏重心のバランスが取れるようになる。ここで、第1差動リング11の内径と第2差動リング12の外径とに差を設けて、第1及び第2バランスリング9,10に速度差を生じさせることもできる。これにより、スムーズに偏重心のバランスが取れるようになる。
第1軸方向規制部材6は、本実施形態の場合には回転軸4の先端に圧入固定されているターンテーブルによって構成されている。この第1軸方向規制部材6には被回転体5が載置されて図示省略されているクランプとの間で挟持されて一体に回転する。このため、本実施形態では、被回転体5及び第1軸方向規制部材6(第3軸方向規制部材7や第2軸方向規制部材8も含まれる)及びモータを含む全ての回転体を合わせたものの偏重心をキャンセルするものとしている。
そして、第3軸方向規制部材7および第2軸方向規制部材8は、第1軸方向規制部材6よりもモータ3側寄りで回転軸4に圧入固定されている。また、Fig.3に示すように、このディスク回転機構2は、基台13の上にモータ3、偏重心キャンセル機構1及び第1軸方向規制部材を兼ねるターンテーブル6が順に組み上げられてターンテーブル6の上に被回転体5が搭載されるように構成されている。
そして、Fig.25に示すように回路基板を兼用した基台13には、ステータコア41を支える段付きの中空の軸受支持体40が固定されている。軸受支持体40の内側には、回転軸4を支持するラジアル軸受42と、スラスト軸受43とが固定されている。軸受支持体40の外側には、コイル15が巻きつけられたステータコア41が固定されている。なお、本実施形態において回転軸4は鉛直に配置されている。
モータ3は、ステータコア41に巻きつけられたコイル15と、ロータヨーク16および該ヨーク16に固定された駆動マグネット17とを備えている。ロータヨーク16は、カップ状すなわち底付きの円筒形状をしている。ロータヨーク16の底部の中央に回転軸4が圧入固定されている。ロータヨーク16の円筒部の内側に、ステータコア41のコイル15と対向する円筒形状の多極着磁された駆動マグネット17が固定されている。なお、Fig.25に示す偏重心キャンセル機構1は、後述するように第2軸方向規制部材8をロータヨーク16と兼用した実施形態である。
第1軸方向規制部材6は、回転体に含まれるディスク状記録媒体などの被回転体5が搭載されて回転する。第1軸方向規制部材6の中央部には、モータ3の反対側に突出した凸部31が形成されている。この凸部31に回転体5の中央部の透孔を嵌合することによって位置決めするようにしている。この凸部31の縁部は面取りされ、被回転体5を容易に嵌合することができる。
また、第1軸方向規制部材6の凸部31には環状の凹部19が形成されている。この凹部19には、マグネット18が嵌め込まれている。このマグネット18は、磁性材から成るあるいは磁性材を含むクランプ(図示省略)を吸着するためのもので、第1軸方向規制部材6とこれのマグネット18に吸着されるクランプとの間で被回転体5を挟んで固定するように設けられている。また、図示していないが、クランプは装置本体例えばCD/CDRW/DVD記録再生装置本体のヒンジアーム(図示せず)に回転自在に取り付けられている。
第1差動リング11および第1バランスリング9は、同一軸直角平面に配置され、円板状の第1軸方向規制部材6と第3軸方向規制部材7に軸方向の両側から挟まれて軸方向に若干の遊びを有して回転移動可能なようにこれらの厚み及び第1軸方向規制部材6と第3軸方向規制部材7との間隔が設定されている。ここで、第1バランスリング9の回転軸4に対する内径の相対回転移動距離は、第1差動リング11の外周面及び第1差動リング11の内周面と回転軸4の外周面において滑りが無いことを前提に、回転軸4の直径をd1、第1差動リング11の内径をd2、第1差動リング11の外径をd3とすると、回転軸4を中心に第1バランスリング9が1回転振れ回った時にπ(d2−d1)×d3/d2となるように構成している。
また、第1軸方向規制部材6および第3軸方向規制部材7は、回転軸4に対して回転方向と軸方向の双方において一体化されるよう例えば圧入で固定されている。第1軸方向規制部材6および第3軸方向規制部材7の第1バランスリング9と向かい合う面の中央部には、Fig.5に示すように円形状に突出した凸部20が形成されている。この凸部20は、第1、第2バランスリング9,10と接触する面積が広すぎると第1、第2バランスリング9,10との間の摩擦力が過度となり独自の回転運動を行うことが妨げられ、その反面狭すぎるとバランスリングを回転させるに十分な摩擦力が得られなくなってバランスリングの動作を不安定にすることから、それらがバランスし得る広さの接触面積が得られるようにするためのものである。例えば、第1バランスリング9の移動回転の支点は第1差動リング11との接触点であるため、第1軸方向規制部材6および第3軸方向規制部材7の外周部分を中央部分よりも薄くして、第1バランスリング9と向かい合う面の第1差動リング11に接触する第1バランスリング9を少なくとも支持できる部分を凸部20とした形状にしている。このため、第1バランスリング9と第3軸方向規制部材7との摩擦力が減少されるので、安定した第1バランスリング9の動作を得ることができる。
第2差動リング12の径方向の移動を制限する差動リング規制部14は、本実施形態の場合には第2軸方向規制部材8と第3軸方向規制部材7との第2差動リング12側と向かい合う面に形成された凹部によって構成されている。つまり、第2軸方向規制部材8と第3軸方向規制部材7とは、差動リング規制部14を形成する部品を兼ねている。ここで、第2差動リング12の内径は、差動リング規制部14の内径と第2差動リング12の外径との差と回転軸4の直径との和よりも大きい。更に、(差動リング規制部14の内径−第2差動リング12の外径)<(第2差動リング12の内径−回転軸4の外径)の関係に設けられている。したがって、第2バランスリング10の回転軸4に対する内径の相対回転移動距離は、第2差動リング12の外周面と第3軸方向規制部材7の差動リング規制部14および第2軸方向規制部材8の差動リング規制部14の内周面および第2差動リング12の外周面と第2バランスリング10の内周面において滑りが無いことを前提に、差動リング規制部14の直径をd4、第2差動リング12の外径をd5とすると、回転軸4を中心に第2バランスリング10が1回転振れ回った時にπ(d4−d5)となるように構成している。
尚、第2バランスリング10の内径は第2差動リング12の外径より大きい。そして、第1バランスリング及び、第2バランスリングの外径は前記条件を満たす範囲内で自由に選択でき、また、第1バランスリング及び第2バランスリングの質量は厚みを変えること、及び、材質を変えることで任意に設定が可能である。
第2差動リング12および第2バランスリング10は、第1差動リング11および第1バランスリング9と同様に、同一軸直角平面に配置され、円板状の第2軸方向規制部材8と第3軸方向規制部材7に軸方向の両側から挟まれて軸方向に若干の遊びを有して回転移動可能なようにこれらの厚み及び第2軸方向規制部材8と第3軸方向規制部材7との間隔が設定されている。
また、第2軸方向規制部材8は、回転軸4に回転方向と軸方向が一体化されるよう例えば圧入で固定されている。第2軸方向規制部材8の第2バランスリング10と向かい合う面の中央部には、Fig.6に示すように第1軸方向規制部材6および第3軸方向規制部材7と同様に、円形状に突出した凸部20が形成されている。すなわち、第2バランスリング10の移動回転の支点は第2差動リング12との接触点であるため、第2差動リング12に接触する第2バランスリング10を少なくとも支持できる部分を凸部20として残した形状にしている。このため、第2バランスリング10と第2軸方向規制部材8との摩擦力が減少されるので、安定した第2バランスリング10の動作を得ることができる。さらに、第2差動リング12および第2バランスリング10は、第1差動リング11および第1バランスリング9と同様に、同一軸直角平面に配置され、軸方向に若干の遊びを有して回転移動可能なようにこれらの厚み及び第2軸方向規制部材8と第3軸方向規制部材7との間隔が設定されている。
さらに、第1、第2差動リング11,12、第1、第2バランスリング9,10、第3軸方向規制部材7、第1、第2軸方向規制部材6,8は、耐摩耗性かつ低摩擦係数の材料を使用するか、またはそのような表面処理を施すことが好ましい。
上述した偏重心キャンセル機構1の動作を以下に説明する。
モータ3が駆動されると、回転軸4に連結されていない第1バランスリング9、第1差動リング11、第2バランスリング10、第2差動リング12は自身の慣性と第3軸方向規制部材7および各軸方向規制部材6,8との間の摩擦力で、回転軸4よりも遅れて回転軸4と同方向に回転し始める。
第1バランスリング9は遠心力によって径方向に移動し、Fig.2Aに示すように第1差動リング11と接触状態になると同時に、更に第1差動リング11は回転軸4と接触状態になる。また、第2バランスリング10は遠心力によって径方向に移動し、Fig.2Bに示すよう第2差動リング12と接触状態になると同時に、更に第2差動リング12は第3軸方向規制部材7および第2軸方向規制部材8の差動リング規制部14の内周面と接触状態になり、さらに回転軸4の回転が上昇すると、第1バランスリング9および第2バランスリング10は回転軸4に対し、差動運転へと移行していく。
回転軸4に対する差動運動の詳細について説明すると、第1バランスリング9の内径の回転軸4に対する相対回転移動距離は、第1差動リング11の外周面及び第1差動リング11の内周面と回転軸4の外周面において滑りが無いことを前提に、回転軸4の直径をd1、第1差動リング11の内径をd2、第1差動リング11の外径をd3とすると、回転軸4を中心に第1バランスリング9が1回転振れ回った時にπ(d2−d1)×d3/d2となるように構成している。そのため、回転軸4に対して第1バランスリング9と第1差動リング11が振れ回り運動をすることにより相対的に遅れ側に差動運動する。
他方第2バランスリング10の内径の回転軸4に対する相対回転移動距離は、第2差動リング12の外周面と第3軸方向規制部材7の差動リング規制部14および第2軸方向規制部材8の差動リング規制部14の内周面および第2差動リング12の外周面と第2バランスリング10の内周面において滑りが無いことを前提に、差動リング規制部14の直径をd4、第2差動リング12の外径をd5とすると、回転軸4を中心に第2バランスリング10が1回転振れ回った時にπ(d4−d5)となるように構成している。そのため、回転軸4に対して第2バランスリング10と第2差動リング12が振れ回り運動をすることにより相対的に進み側に差動運動する。
よって、Fig.7A,7B並びにFig.8A,8Bに示すように、第1バランスリング9と第2バランスリング10の回転軸4から見た回転方向は差動運動により互いに反対方向になる。このため、偏重心をキャンセルする位置へ最も早く到達できる。
本実施形態の偏重心キャンセル機構1を備える装置において、偏重心が存在すると、偏重心キャンセル機構1の装置全体の被回転体5を含む回転体全体の総合した偏重心により振動が発生する。一般的に共振周波数が異なる物体間の摩擦係数は、振動が発生すると小さくなる。そこで、各バランスリング9,10に働く遠心力により、Fig.2A、Fig.2Bに示すように、第1バランスリング9、第1差動リング11並びに回転軸が接触し、更に第2バランスリング10と第2差動リング12並びに差動リング規制部14の内周面と接触する状態で回転体全体のバランスが崩れていれば振動が発生することにより、第1バランスリング9と第3軸方向規制部材7及び第2バランスリング10と軸方向規制部材8の間の摺動抵抗が振動による増加、減少を繰り返す作用により、摺動抵抗が減少した瞬間に、第1バランスリング9と第1差動リング11および第2バランスリング10と第2差動リング12は、回転軸4に対して振れ回わる。そして、第1バランスリング9と第1差動リング11および第2バランスリング10と第2差動リング12は回転軸4に対して相対的に差動運動を間欠的に繰り返し、回転体全体のバランスが取れ、振動が収束すると、第1バランスリング9と第3軸方向規制部材7及び第2バランスリング10と第2軸方向規制部材8の間の摺動抵抗が増え、第1バランスリング9と第1差動リング11および第2バランスリング10と第2差動リング12は、回転軸4と等速回転に移行しバランス取りが完了する。
また、ある回転速度で若干のアンバランスが残っていて、回転軸4と第1バランスリング9と第1差動リング11及び第2バランスリング10と第2差動リング12が等速で回転しており、さらに、モータ3の回転速度がさらに増加した場合は、それに見合う振動が発生する。このため、第1バランスリング9と第3軸方向規制部材7及び第2バランスリング10と第2軸方向規制部材8の間の摺動抵抗が振動による増加、減少を繰り返す作用により、摺動抵抗が減少した瞬間に、各バランスリング9,10は空気抵抗を受けて回転軸4との等角速度回転から脱出し、上述したFig.9に示す振れまわり差動運動に移行し、回転軸4に対して相対的に差動運動を間欠的に繰り返す。そして、回転体全体のバランスが取れ、振動が収束すると、第1バランスリング9と第3軸方向規制部材7及び第2バランスリング10と第2軸方向規制部材8の間の摺動抵抗が増え、第1バランスリング9と第1差動リング11および第2バランスリング10と第2差動リング12は、回転軸4と等速回転に移行しバランス取りが完了する。尚、図中の符号38は偏重心方向を、αは回転軸4が1回転したときの第1差動リング11の移動量、βは回転軸4が1回転したときの第2差動リング12の移動量を示す。
次に、上述した偏重心キャンセル機構1の調整について以下に説明する。
キャンセルすべき偏重心量を調整するときは、例えば第1、第2バランスリング9,10あるいは第1、第2差動リング11,12の外径、内径、板厚を変更することによって行われる。または、第1、第2バランスリング9,10あるいは第1、第2差動リング11,12の材質変更などによる比重の変更により偏重心量の調整が行われる。
また、第1、第2バランスリング9,10の回転軸4に対する相対的な回転角速度条件を変える時は、リング径比を調整する。例えば差動リングの径方向移動を回転軸との接触で規制する第1バランスリング9および第1差動リング11については、第1差動リング11の内径、外径、及び第1バランスリング9の内径を変更する。また、差動リングの径方向移動を差動リング規制部14の内周面との接触で規制する第2バランスリング10および第2差動リング12については、第2差動リング12の外径、差動リング規制部14の内径及び第2バランスリング10の内径を変更する。このときに、第1、第2バランスリング9,10が移動するようにリング比を設定することが望ましい。
なお、上述の実施形態は本発明の好適な実施の一例ではあるがこれに限定されるものではなく本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変形実施可能である。例えば本実施形態では、第1及び第2の2枚のバランスリング9,10と差動リング11,12を用いた例について主に説明したが、これに特に限定されるものではなく、少なくとも2枚以上のバランスリングと差動リングの組が存在すれば良く、場合によっては3枚以上のバランスリングと差動リングを用いるようにしても良い。もっとも、2枚のバランスリングと差動リングの組で構成する場合には、最小限のスペースと部品点数で偏重心を除くことができる。
また、Fig.1の実施形態では第3軸方向規制部材7のモータ3側寄りに差動リング規制部14および該差動リング規制部14の内周面に当接する第2差動リング12を設けると共に第3軸方向規制部材7よりもモータ3から離れた側に回転軸4に当接する第1差動リング11を設けているが、これとは上下逆の配置にするようにしても良い。即ち、第3軸方向規制部材7のモータ3側に回転軸4に当接する第1差動リング11を設けると共に第3軸方向規制部材7のモータ3と反対側に差動リング規制部14および該差動リング規制部14の内周面に当接する第2差動リング12を設けるようにしても良い。
また、Fig.1の実施形態では一方の差動リング例えば第2差動リング12の径方向への移動を規制する手段として差動リング規制部14を用い、他方の差動リング例えば第1差動リング11の径方向への移動を規制する手段として回転軸4を利用するようにしているが、これに限られず、Fig.14に示すように双方の差動リング11,12に対して差動リング規制部14を備えても良い。
即ち、Fig.18およびFig.19A,19Bに示すように第1及び第2差動リング11,12のそれぞれの周囲に差動リング規制部14を設けて、第1差動リング11と第2差動リング12の双方を差動リング規制部14の内周面との接触で径方向移動を規制するようにしても良い。この場合、各差動リング11,12は同様の挙動をとる。ここで、第1バランスリング9と第2バランスリング10との内径比や、第1差動リング11と第2差動リング12との内径比、各差動リング規制部14の内径を若干異ならせることにより、回転軸4の回転に対し進んで移動回転するときに異なった移動速度で差動運動するように設定する。これにより、被回転体5を含む回転体の総合した偏重心をキャンセルすることができる。
また、Fig.16およびFig.17A,17Bに示すように差動リング規制部14を設けずに第1差動リング11及び第2差動リング12の径方向移動を回転軸4との接触で規制するようにしても良い。この場合、各差動リング11,12は同様の挙動をとる。そこで、第1バランスリング9と第2バランスリング10との内径比や、第1差動リング11と第2差動リング12の内径並びに外径の比を若干異ならせることにより、回転軸4の回転に対し遅れて移動回転するときに異なった移動速度で差動運動するように設定する。これにより、被回転体5を含む回転体の総合した偏重心をキャンセルすることができる。
また、Fig.1の実施形態では、差動リング規制部14が第2差動リング12と向かい合う軸方向規制部材、例えば第3軸方向規制部材7と第2軸方向規制部材8の双方の面に形成されて第2差動リング12の両端を同時に規制するようにしている。しかし、これには限られず、少なくとも一方、例えば第2バランスリング10が常時押し当てられる側の面に設けられていれば良い。例えばFig.10に示すように、1つの第2差動リング12を挟むように対向する2つの軸方向規制部材のいずれか一方、例えば第3軸方向規制部材7のみに形成されたものとしても良い。
また、上述したFig.1の実施形態では第2軸方向規制部材8を単独の部材として設けているが、これには限られず、Fig.10およびFig.25に示すように、モータ3のロータヨーク16と兼用するようにしても良い。この場合、部材点数を減らすことができる。このように第2軸方向規制部材8をロータヨーク16と兼用するときには、Fig.10に示すように第2軸方向規制部材8に差動リング規制部14を設けない場合や、Fig.25に示すように第2軸方向規制部材8に差動リング規制部14を設ける場合のいずれとすることもできる。
さらに、上述した実施形態では回転軸4が鉛直方向上向きである場合について主に説明したが、これには限られず例えば水平方向までの間の傾斜方向にしても良い。鉛直方向上向き以外の場合には、各差動リング11,12とバランスリング9,10に働く重力の影響が異なり、各差動リング11,12とバランスリング9,10の第3軸方向規制部材7または第2軸方向規制部材8への接触状態が変化して摩擦係数が変わるので、偏重心キャンセルの性能が変わる。このため、垂直方向、水平方向あるいはそれらの間の傾斜方向でも性能変化を少なくするために、第1、第2バランスリング9,10を軸方向に付勢して第3軸方向規制部材7または第1、第2軸方向規制部材6または8のいずれかあるいは場合によっては双方に押し当てる付勢手段を設け、第1、第2バランスリング9,10に微弱な弾性負荷を加えるようにすることが好ましい。
例えばFig.11及びFig.13A,13Bに示すように、各バランスリング9,10の両面に微弱な弾性力を与える付勢部材例えば弾性体21を設ける。第1バランスリング9の弾性体21は、第1軸方向規制部材6と第3軸方向規制部材7とに接触することにより第1バランスリング9を安定保持する。第2バランスリング10の弾性体21は、第2軸方向規制部材8と第3軸方向規制部材7とに接触することにより第2バランスリング10を安定保持する。これにより、回転軸4が垂直または水平方向あるいはその中間でも摩擦力が一定になるので、性能変化の小さい安定した偏重心キャンセル機構1が得られる。弾性体21としては、例えば、Fig.11〜Fig.13A,13Bに示すように各バランスリング9,10と同心状に配置された環状物であり、各軸方向規制部材6,7,8と接触する先端部分が尖った円錐形状の横断面を成すものが使われる。この環状弾性体21は一部が各バランスリング9,10の表面の凹部に嵌合すると共に環状に点在する軸面が各バランスリング9,10を貫通するように嵌められることによって離脱しないように設けられている。尚、弾性体としては、合成ゴムやゴム状弾性を示すプラスチック(これらを総称してエラストマーという)、シリコーンゴム等からなるものを利用することができる。
尚、本実施形態では各バランスリング9,10を挟んで対向する第1軸方向規制部材6と第3軸方向規制部材7並びに第3軸方向規制部材7と第2軸方向規制部材8の面に同時に弾性体21が摺接するように設けられているため、それぞれ対向する面に凸部20が設けられているが、重力あるい付勢手段による付勢で一定の方向に第1、第2バランスリング9,10や差動リングが当接されている場合に、少なくとも第1、第2バランスリング9,10等が常時押し当てられる側の面に設けられていれば良い。
また、垂直方向および水平方向でも性能変化を少なくするために、各バランスリング9,10を磁性体からなるようにしても良い。すなわち、Fig.14及びFig.15A,15Bに示すように、第1バランスリング9は、第1軸方向規制部材6に取り付けられたクランプ吸着用のマグネット18の磁力の影響を受けて第1軸方向規制部材6側に吸引されるようにする。また、第2バランスリング10は、モータ3の駆動マグネット17の磁力の影響を受け軸方向規制部材8側により吸引されるようにする。これにより、各バランスリング9,10に互いに対応する第1、第2軸方向規制部材6,8に引き寄せられる微弱な磁性負荷(磁気吸引力)が軸方向に加えられるので、装置の姿勢の変化の影響を受け難く、垂直方向および水平方向でも性能変化を少なくすることができ、安定した偏重心のバランスが取れるようになる。
また、Fig.26〜Fig.28に示す実施形態のように、第1バランスリング9と第3軸方向規制部材7との間に第1バランスリング9を軸方向に付勢する第1付勢手段32と、第2バランスリング10と第2軸方向規制部材8との間に第2バランスリング10を軸方向に付勢する第2付勢手段33を備え、第1バランスリング9を第1軸方向規制部材(ターンテーブル)6に第2バランスリング10を第3軸方向規制部材7へそれぞれ軽く押しつけるようにしても良い。第1及び第2の付勢手段32,33としては、第3軸方向規制部材7または軸方向規制部材8ないし6の少なくとも一方に載置されてバランスリング9あるいは10を第3軸方向規制部材7または軸方向規制部材8ないし6と対向する軸方向規制部材6ないし8または第3軸方向規制部材7に向けて付勢する金属の板ばねであることが好ましい。この板ばねは、Fig.27に示すように、中央部に第1、第2バランスリング9,10と当接する平坦面34を有し、外周部に円周方向に延びる少なくとも3本のばね足35を均等に配置して成る皿ばねであることが好ましい。この場合には、第1、第2バランスリング9,10に対して均等なばね力を平行に付加することができると共に、ばね足35の長さを調整することにより付加するばね力を調整することが容易となる。ここで、平坦面34の広さは、前述の凸部20と同程度の広さとすることが好ましい。更に、この平坦面34部分は前述の凸部20と同様に周囲よりも僅かに突出させることによって、第1、第2バランスリング9,10とのスムースな摺動を可能とすると共に、変形し難くすることができる。更に、第1及び第2の付勢手段32,33としてのばねは、Fig.29に示すようにばね足35の先端を環状の連結部材36で連結した一体構造とすることも可能である。この場合には、更に第1、第2バランスリング9,10に加えられるばね圧が均等に分散され、第1、第2バランスリング9,10の偏重心キャンセルのための移動をよりスムーズにできる。尚、図中の符号37は回転軸4を貫通させる孔である。
また、Fig.30に示すように、Fig.29のばね32,33を互いに逆向きにして環状の連結部材36同士を合わせて第1、第2バランスリング9,10の間に配置することによって、第1、第2バランスリング9,10をそれぞれ逆向きに付勢して、第1、第2軸方向規制部材6並びに8に径方向に摺動可能な程度の力で直接押し当てるようにしても良い。この場合、第1軸方向規制部材6に向けて付勢される第1バランスリング9の内側に配置されている第1差動リング11はばね32の平坦面34部分に載置されて径方向に摺動可能に支持されている。また、第1、第2軸方向規制部材6並びに8の各バランスリング9,10が押しつけられる面には、各バランスリング9,10と部分的に当接する凸部20が形成され、各バランスリング9,10の径方向並びに周方向への動きが滑らかに行えるようにされている。この実施形態の場合には、第1、第2バランスリング9,10並びにその内側に配置されている第1、第2差動リング11,12が、それぞれ第1及び第2付勢手段32,33たるばねの平坦面部34上を径方向並びに周方向に滑ることによって偏重心をキャンセルする。そして、第1、第2バランスリング9,10の間に配置される第3軸方向規制部材7を省くことができ、部品点数の削減によるコスト低減と偏重心キャンセル機構のコンパクト化を図ることができる。尚、ばね32,33は外周の環状連結部材36部分をスポット溶接やろう付け、接着などで接合すれば、1部品として取り扱うことができるので組み立て作業が容易となる。
更には、図示していないが垂直方向および水平方向でも性能変化を少なくするために、温度変化に耐える耐熱性を有して、遠心力でも飛ばない粘性グリスを付加するようにしても良い。
また、上述した各実施形態では第1、第2差動リング11,12および第1、第2バランスリング9,10の材質は特に限定されずに通常は耐摩耗性等を考慮して磁性体などを使用しているが、例えば第1、第2差動リング11,12をマグネット製にすると共に第1、第2バランスリング9,10を磁性体から成るようにしても良い。この場合、径方向の摩擦力の原因となる回転軸4と第1、第2バランスリング9,10と第1、第2差動リング11,12の摩擦力を増加させることができるので、差動を止めようとする摩擦力との差をつけることができ、キャンセル動作を安定させることができる。
さらに、上述した各実施形態では第3軸方向規制部材7および各軸方向規制部材6,8の各バランスリング9,10との接触面は平滑面とされているが、これには限られずFig.20およびFig.21A,21Bに示すようにこの接触面に凹凸28を施したり波形状に加工しても良い。この場合、第1、第2バランスリング9,10と第3軸方向規制部材7および各軸方向規制部材6,8との摩擦力を減少させて安定化させることができるので、安定した第1、第2バランスリング9,10の動作を実現できる。
そして、上述した実施形態では第3軸方向規制部材7および各軸方向規制部材6,8をいずれも回転軸4に直接固定しているが、これには限られず回転軸4と一体的に回転する部材に固定するようにしても良い。例えばFig.22に示すように、第3軸方向規制部材7の外周にモータ3側に突出するフランジ7aを形成して、該フランジ7aをモータ3のロータヨーク16に固定するようにしても良い。または、Fig.23に示すように、第3軸方向規制部材7の外周に第1軸方向規制部材6側に突出するフランジ7aを形成して、該フランジ7aを第1軸方向規制部材6に固定するようにしても良い。あるいは、Fig.24に示すように、円筒形状の支持部材29を第3軸方向規制部材7の外周に設けて、該支持部材29を第1軸方向規制部材6および第2軸方向規制部材8(ここではロータヨーク16)に固定するようにしても良い。
ところで、上述した各実施形態では、偏重心キャンセル機構1が被回転体5を含む回転体としてディスクを支持するものとしているが、これには限られず様々な回転体の偏重心キャンセル機構1として使用することができる。
また、回転軸4と各バランスリング9、10とのリング比を増加させるために、複数の差動リングを配置しても良い。例えば、図1に示す偏重心キャンセル機構において、第1差動リング11と第1バランスリング9との間に径方向に移動可能に挿通された別の差動リングを設けても良い。同様に、第2差動リング12と第2バランスリング10との間に、径方向に移動可能に挿通された別の差動リングを設けてもよい。さらには、差動リングの数は、これに限られることなく、複数の差動リングを配置しても良い。また、この複数の差動リングは、差動リング一個のものと組合せで使用しても良い。
このように、複数の差動リングを用いることにより、1つの差動リングの場合と比べると、リング比が増加するので、回転軸4の回転に対した第1、第2バランスリング9,10はさらに相対的に遅れ、進み方向における距離を小さくすることができる。
また、図示したそれぞれの第1、第2バランスリング、第1、第差動リングおよび回転軸4の寸法の関係(例えば外径、内径等)は本願発明において理解し易いするために記載したものであり、図面に示される回転軸、バランスリング、差動リングに示す寸法及びこの比率等に影響されるものではない。
【図面の簡単な説明】
Fig.1は本発明の回転体の偏重心キャンセル機構の一実施形態を示す縦断面側面図である。Fig.2AはFig1のIIA−IIA線に沿う断面図で、Fig.2BはFig1のIIB−IIB線でそれぞれ切断した状態を示す。Fig.3は回転体の偏重心キャンセル機構を搭載したディスク回転機構を示す斜視図である。Fig.4は回転体の偏重心キャンセル機構の分解組立図である。Fig.5は第1バランスリングと第3軸方向規制部材および第1軸方向規制部材とを示す拡大図である。Fig.6は第2バランスリングと第3軸方向規制部材および第2軸方向規制部材とを示す拡大図である。Fig.7Aは第1のバランスリングと差動リングとの関係を示す原理図、Fig.7Bはその要部拡大図である。Fig.8Aは第2のバランスリングと差動リングとの関係を示す原理図、Fig.8Bはその要部拡大図である。Fig.9は第1及び第2のバランスリングの差動回転の状態を示す説明図である。Fig.10は回転体の偏重心キャンセル機構の第2軸方向規制部材をロータヨークと兼用した実施形態を示す縦断面側面図である。Fig.11は回転体の偏重心キャンセル機構の各バランスリングに弾性体を設けた実施形態を示す縦断面側面図である。Fig.12はFig.11の要部の拡大図である。Fig.13AはFig.11の回転体の偏重心キャンセル機構をXIIIA−XIIIA線で切断した状態を示す平面図である。Fig.13BはXIIIB−XIIIB線でそれぞれ切断した状態を示す。Fig.14は回転体の偏重心キャンセル機構の他の実施形態を示す縦断面側面図である。Fig.15AはFig.10の回転体の偏重心キャンセル機構をXVA−XVA線で切断した状態を示す平面図である。Fig.15BはXVB−XVB線でそれぞれ切断した状態を示す。Fig.16は回転体の偏重心キャンセル機構の別の実施形態を示す縦断面側面図である。Fig.17AはFig.16の回転体の偏重心キャンセル機構をXVIIA−XVIIA線で切断した状態を示す平面図である。Fig.17BはXVIIB−XVIIB線でそれぞれ切断した状態を示す。Fig.18は回転体の偏重心キャンセル機構の更に他の実施形態を示す縦断面側面図である。Fig.19AはFig.18の回転体の偏重心キャンセル機構をXIXA−XIXA線で切断した状態を示す平面図である。Fig.19BはFig.18のXIXB−XIXB線でそれぞれ切断した状態を示す。Fig.20は回転体の偏重心キャンセル機構の別の実施形態を示す縦断面側面図である。Fig.21AはFig.20の回転体の偏重心キャンセル機構をXXIA−XXIA線で切断した状態を示す平面図である。Fig.21BはXXIB−XXIB線でそれぞれ切断した状態を示す。Fig.22は回転体の偏重心キャンセル機構の第3軸方向規制部材を第2軸方向規制部材に固定した実施形態を示す縦断面側面図である。Fig.23は回転体の偏重心キャンセル機構の第3軸方向規制部材を第1軸方向規制部材に固定した実施形態を示す縦断面側面図である。Fig.24は回転体の偏重心キャンセル機構の第3軸方向規制部材を第1軸方向規制部材および第2軸方向規制部材に固定した実施形態を示す縦断面側面図である。Fig.25は回転体の偏重心キャンセル機構の第2軸方向規制部材をロータヨークと兼用した実施形態を示す縦断面側面図である。Fig.26はバランスリングをばねで軸方向規制部材に押しつけるようにしたキャンセル機構の実施形態を示す縦断面図である。Fig.27はFig.26に示すキャンセル機構のばねと第3軸方向規制部材との関係を示す平面図である。Fig.28はFig.26のキャンセル機構の分解斜視図である。Fig.29はFig.26のキャンセル機構に用いられるばねの他の実施形態を示す斜視図である。Fig.31は従来の回転体の偏重心キャンセル機構を示す横断面平面図である。Fig.32は従来の回転体の偏重心キャンセル機構の他の例を示す横断面平面図である。Fig.33は従来の回転体の偏重心キャンセル機構の別の例を示す横断面平面図である。Fig.34は従来の回転体の偏重心キャンセル機構の別の例を示す縦断面とバランスリングの動きを示す平面図である。Fig.35A〜35CはFig.34のキャンセル機構のバランスリングの動きを示す説明図である。
Claims (9)
- 回転体の偏重心を打ち消す偏重心キャンセル機構において、
回転軸と、
前記回転軸に対して軸方向に離間させて配置されると共に前記回転軸に対して径方向に移動可能に嵌められた少なくとも2枚のバランスリングと、
前記バランスリングのそれぞれの内側に配置され前記回転軸に対して径方向に移動可能に嵌められた少なくとも1つの差動リングと、
前記回転軸と一体に回転し前記バランスリングおよび差動リングと軸方向において接触して摩擦によって回転を与えると共に軸方向への移動を規制する軸方向規制部材と、
を備え、
前記回転体の回転時には、前記バランスリングの内周壁と前記差動リングの外周壁とがそれぞれの一部において当接し合うことを特徴とする回転体の偏重心キャンセル機構。 - 前記バランスリングは第1のバランスリングと第2のバランスリングとの2枚から成り、前記第1及び第2のバランスリングのそれぞれの内側に第1及び第2の差動リングが配置されると共に、2つの軸直角平面に配置された前記第1のバランスリングと差動リング並びに第2のバランスリングと差動リングとの組の間並びに外に前記軸方向規制部材をそれぞれ備えることを特徴とする請求項1に記載の回転体の偏重心キャンセル機構。
- 前記回転軸と一体に回転すると共に、前記差動リングの外周面に当接することにより前記差動リングの内周面が前記回転軸に当接しない範囲で前記差動リングの径方向への移動範囲を規制する差動リング規制部を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の回転体の偏重心キャンセル機構。
- 前記差動リング規制部を少なくとも1つ有し、前記差動リングの少なくとも1つの径方向への移動範囲を前記差動リング規制部によって規制し、他の前記差動リングの径方向への移動範囲を前記回転軸との接触で規制することを特徴とする請求項3に記載の回転体の偏重心キャンセル機構。
- 前記軸方向規制部材の前記バランスリングに回転を与える面に、前記差動リングに接触する前記バランスリングを部分的に支持する凸部を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の回転体の偏重心キャンセル機構。
- 前記凸部に凹凸が形成されていることを特徴とする請求項5に記載の回転体の偏重心キャンセル機構。
- 前記バランスリングを軸方向に付勢して前記軸方向規制部材に押し当てる付勢手段を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の回転体の偏重心キャンセル機構。
- 請求項1又は2に記載の回転体の偏重心キャンセル機構を備え、前記回転軸の一端側にはディスク状記録媒体を搭載するターンテーブルが嵌着され、前記ターンテーブルが一方の前記軸方向規制部材を兼ねていることを特徴とするモータ。
- 前記回転軸には駆動マグネットを装着した有底円筒状のロータヨークが設けられ、当該ロータヨークの底部が他方の前記軸方向規制部材を兼ねていることを特徴とする請求項8に記載のモータ。
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