JP4167722B2 - ハリスキャッチ - Google Patents

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本願の発明は、釣り用付属具として、釣り糸のハリスを巻き取り、繰り出し、収納するために使用されるハリス巻取り装置に関し、本明細書においては、特にこれをハリスキャッチと称している。
一般に、釣り糸は、釣り竿から重りまでの部分のミチ糸(道糸)と、重りよりも先方部分のハリス(鉤索)とにより構成されている。ハリスの先端には、釣り針が結び付けられている。釣り針は、釣り上げようとする魚の種類に応じて、その単数本もしくは複数本が用いられる。複数本が用いられる場合には、それらの釣り針は、ハリスのミキ糸(幹糸)となる部分に所定間隔を隔てて分岐糸により結び付けて用いられる。このようなハリスは、魚を捕獲するための仕掛けの一種である。
ところで、釣りをしている時、釣り場を移動することがよくある。釣り場を移動する時、釣り具の一部又は全部は、しばしば一時的に収納される。また、釣りを終える時(納竿時)、釣り具の全部が長期的に収納される。これらの場合の釣り具の収納は、多くの場合、次のようにして行われる。先ず、ミチ糸をリールに巻き取り、リールに巻き取ることができないハリスを手元に手繰り寄せ、必要に応じて釣り竿を畳んで、手繰り寄せられたハリスを特別に用意された巻取り具に巻き取るか、そのまま小さく束ねて、ゴム紐等により釣り竿にくくり付けたり、ハリス部分を切り離して、同様な処置をした上で適所に収納したり、または、収納しないで持ち歩いたりしている。さもなくば、手繰り寄せられたハリスに対して何らの処置もせずに、結局、切断して捨てているのが現状である。
また、釣りを再開する時には、以上の手順の逆の手順にて、先ず、巻き取られるか束ねられたハリスを繰り出してセットアップし、次いで、巻き取られたミチ糸を繰り出し、ハリスが切り離されている場合には、ハリスとミチ糸とを結び合わせ、畳まれた釣り竿を伸長させることにより、釣りの準備ができることになる。
このように、ハリスは、その先端に釣り針を備えていて、ミチ糸と同じ扱いができないので、釣りにおいて、釣り場を移動する時や釣りを終える時、また、釣りを再開する時、ハリスの処置は、手間と時間とを要する面倒な作業となる。このような面倒な作業をできるだけ簡単化し、快適な釣りを楽しむことができるようにするためには、ハリスの巻取り、収納、繰出しに、特別な工夫を要するものである。
従来、そのような工夫の1例として、針付き釣り糸を巻き付けるフレームの一部又は全体に網部を張設したものがある(特許文献1)。この針付き釣り糸の巻取り具よれば、複数の釣り針が付いた釣り糸であっても、網部中、釣り糸の適度な張力が得られる任意の個所に釣り針を掛け止めて、釣り糸を巻き取ることにより、釣り針と釣り糸とが縺れることなく、これらを確実に巻き取り、保持することができる。しかしながら、このものは、その使用中、これを手に持って釣り糸の巻取り、繰出しを行わなければならず、それらの作業が面倒である。また、使用を途中休止している時でも、別途保管の手間が掛かり、ゴム紐等により釣り竿にくくり付けるとしても、その取付け、取外しの作業が面倒なものとなる。
また、他の工夫の例として、針付き釣り糸の巻取り装置を釣り竿のヘッドキャップに取り付けるようにしたものがある(特許文献2)。このものにおいては、ヘッドキャップの長手方向に沿って取り付けられた巻取り装置の上下に、釣り糸ガイド用の突起がそれぞれ設けられ、また、巻取り装置の上下間には、多数の釣り針引っ掛け穴が設けられている。そして、これらにより、巻き取られた釣り糸が外れないようにされるとともに、釣り針の引っ掛け穴を適宜選択して、ハリスが緩まないように釣り針を引っ掛け穴に引っ掛けながら、釣り糸を巻き取ることができるように工夫されている。しかしながら、このものは、ヘッドキャップに外部に露出した状態で固定的に取り付けられるので、長期間収納される場合には、スペースを浪費し、邪魔になるとともに、釣り糸の巻取り専用の装置ではないので、使用しづらく、また、釣りをしていて、釣り場を移動する時、釣り竿を畳まないで釣り糸を一時的に収納したい場合には、使用できない不便さがある。
特開2000−161245号公報 特開2005−295985号公報
本願の発明は、従来のハリス巻取り装置が有する前記のような問題点を解決して、釣り竿への取付け、取外しをワンタッチで簡易に行え、ハリスの取扱い(巻取り、繰出し、収納、交換)が簡単で、使い勝手が良く、子供から大人まで幅広く使用可能で、環境保全にも寄与することができるハリス巻取り装置(ハリスキャッチ)を提供することを課題とする。
前記のような課題は、本願の各請求項に記載された次のような発明により解決される。 すなわち、その請求項1に記載された発明は、釣り糸のハリスを巻き取り、繰り出し、収納するために使用されるハリスキャッチが、ハリス巻取り部と、釣り竿への取付け部をなす竿取付け部とから成り、前記ハリス巻取り部は、左右の縦杆と、これらの縦杆を連結する複数本の横杆とから成る梯子状フレームにより構成されて、前記竿取付け部に、ボルトとナットとから成る締結手段を用いて取り付けられ、前記ボルトは、前記竿取付け部の側から前記竿取付け部及び前記左右の縦杆を横方向に貫通し、その貫通して突出したネジ部に、前記ナットが螺合させられ、前記ハリス巻取り部は、前記ナットの螺合を解くか、もしくは螺合させて締め量を調節することにより、前記竿取付け部に対して分解、組立、固定、回転及び交換の全てが可能にされており、前記竿取付け部は、釣り竿把持部を備え、前記釣り竿把持部は、弾発的に開閉可能にされていて、弾発的に閉じられた時、前記釣り竿を把持し、弾発的に開かれた時、前記釣り竿を解放することができるようにされていることを特徴とするハリスキャッチである。
請求項1に記載された発明は、前記のように構成されているので、そのハリスキャッチは、ハリス巻取り部が竿取付け部に取り付けられて一体化されることにより構成される。しかも、竿取付け部に備えられた釣り竿把持部を弾発的に閉じたり、開いたりすることによって、該釣り竿把持部が、釣り竿を把持したり、解放したりすることができるので、釣り竿把持部を弾発的に閉じたり、開いたりすることによって、ハリスキャッチ全体を釣り竿にワンタッチで簡易に取り付けたり、取り外したりすることができることになり、安全で、確実で、しかも、短時間でのハリスの取扱いが可能になる。
また、ハリス巻取り部は、竿取付け部に対して分解、組立可能にされて、該竿取付け部に取り付けられているので、釣り場において、ハリス巻取り部全体を交換することによって、ハリスの交換を容易に行うことができる。
また、ハリス巻取り部は、竿取付け部に対して固定、回転可能にされて、該竿取付け部に取り付けられているので、釣り開始時、ハリス巻取り部からハリスを繰り出したり、釣り場の移動時や釣り終了(納竿)時、ハリス巻取り部にハリスを巻き取って収納したりする時には、ハリス巻取り部全体を手動で回転させながら行うことができ、ハリスの繰出し、巻取りを迅速に、円滑に行うことができる。
これらにより、ハリスキャッチの使い勝手が向上する。
さらに、以上のとおり、ハリスキャッチの取扱いが簡単で、容易であり、その使い勝手が良いので、子供から大人まで幅広い釣り人を対象にして、その使用が可能である。
また、使用済みのハリスを簡単に巻き取り、収納することができるので、釣り場の移動時や釣り終了(納竿)時、仕掛けを釣り場に放棄する等の防止対策となり、環境保全に寄与することができる。
また、ハリス巻取り部は、左右の縦杆と、これらの縦杆を連結する複数本の横杆とから成る梯子状フレームにより構成されているので、コンパクトでありながら、巻取り容量が大きく、取り扱い易いハリスキャッチを得ることができる。
また、ハリス巻取り部は、竿取付け部に、ボルトとナットとから成る締結手段を用いて取り付けられ、ボルトは、竿取付け部の側から該竿取付け部及び左右の縦杆を横方向に貫通し、その貫通して突出したネジ部に、ナットが螺合させられており、ハリス巻取り部は、該ナットの螺合を解くか、もしくは螺合させて締め量を調節することにより、竿取付け部に対して分解、組立、固定、回転及び交換の全てが可能にされているので、汎用のボルトとナットとから成る締結手段を用いて、ハリス巻取り部を竿取付け部に取り付けるとともに、ハリス巻取り部と竿取付け部とから成るハリスキャッチをきわめて簡単に組み立て、分解し、また、交換等することができ、多機能なハリスキャッチを得ることができる。
さらに、その請求項に記載された発明は、請求項に記載のハリスキャッチにおいて、その左右の縦杆の一方もしくは双方には、それらの長さ方向に沿って、ハリスに結び付けられた釣り針を任意の位置に掛け止めることができる細長板状の針掛止め部材が取り付けられていることを特徴としている。
請求項に記載された発明は、この構成により、釣り針の固定を自由自在に行うことができるので、複数の釣り針が付いた釣り糸であっても、釣り針をそこに引っ掛けることにより適度なハリスの張力が得られる針掛止め部材中の個所を適宜選択して、そこに釣り針を掛け止めて、ハリスが緩まないようにしながら釣り糸を巻き取ることにより、釣り針と釣り糸とが縺れることなく、これらを確実に巻き取り、安全に保持することができ、特にサビキ仕掛けのような釣り針の多い仕掛けの収納が容易になる。
また、その請求項に記載された発明は、請求項に記載のハリスキャッチにおいて、その針掛止め部材が、ウレタン材から成ることを特徴としている。
請求項に記載された発明は、この構成により、針掛止め部材を、入手容易な材料を用いて簡易に製作することができる。
また、その請求項に記載された発明は、請求項ないしのいずれかに記載のハリスキャッチにおいて、その左右の縦杆の一方もしくは双方の両端面には、少なくとも1条のハリス止め溝がそれぞれ形成されていることを特徴としている。
請求項に記載された発明は、この構成により、ハリスキャッチに巻き取られた釣り糸(ハリス)の終端部を、このハリス止め溝に食い込ませて保持することができ、ハリスの収納及び繰出し開始をきわめて簡単に手際よく行えて、操作性が良い。
前記のとおり、本願の発明によれば、そのハリスキャッチは、そのハリス巻取り部が、その竿取付け部に取り付けられて一体化されることにより構成される。しかも、竿取付け部に備えられた釣り竿把持部を弾発的に閉じたり、開いたりすることによって、該釣り竿把持部が、釣り竿を把持したり、解放したりすることができるので、釣り竿把持部を弾発的に閉じたり、開いたりすることによって、ハリスキャッチ全体を釣り竿にワンタッチで簡易に取り付けたり、取り外したりすることができることになり、安全で、確実で、しかも、短時間でのハリスの取扱いが可能になる。
また、ハリス巻取り部は、竿取付け部に対して分解、組立可能にされて、該竿取付け部に取り付けられているので、釣り場において、ハリス巻取り部全体を交換することによって、ハリスの交換を容易に行うことができる。
また、ハリス巻取り部は、竿取付け部に対して固定、回転可能にされて、該竿取付け部に取り付けられているので、釣り開始時、ハリス巻取り部からハリスを繰り出したり、釣り場の移動時や釣り終了(納竿)時、ハリス巻取り部にハリスを巻き取って収納したりする時には、ハリス巻取り部全体を手動で回転させながら行うことができ、ハリスの繰出し、巻取りを迅速に、円滑に行うことができる。
これらにより、ハリスキャッチの使い勝手が向上する。
また、以上のとおり、ハリスキャッチの取扱いが簡単で、容易であり、その使い勝手が良いので、子供から大人まで幅広い釣り人を対象にして、その使用が可能である。
さらに、使用済みのハリスを簡単に巻き取り、収納することができるので、釣り場の移動時や釣り終了(納竿)時、仕掛けを釣り場に放棄する等の防止対策となり、環境保全に寄与することができる。
さらに、そのハリス巻取り部が、左右の縦杆と、これらの縦杆を連結する複数本の横杆とから成る梯子状フレームにより構成されているので、コンパクトでありながら、巻取り容量が大きく、取り扱い易いハリスキャッチを得ることができる。
また、そのハリス巻取り部が、竿取付け部に、ボルトとナットとから成る締結手段を用いて取り付けられ、該ボルトが、該竿取付け部の側から該竿取付け部及び左右の縦杆を横方向に貫通し、その貫通して突出したネジ部に、該ナットが螺合させられ、ハリス巻取り部は、該ナットの螺合を解くか、もしくは螺合させて締め量を調節することにより、該竿取付け部に対して分解、組立、固定、回転及び交換の全てが可能にされているので、汎用の締結手段を用いて、ハリス巻取り部を竿取付け部に取り付けるとともに、ハリス巻取り部と竿取付け部とから成るハリスキャッチをきわめて簡単に組み立て、分解し、また、交換等することができ、多機能なハリスキャッチを得ることができる。
また、その左右の縦杆の一方もしくは双方に、それらの長さ方向に沿って、ハリスに結び付けられた釣り針を任意の位置に掛け止めることができる細長板状の針掛止め部材が取り付けられる場合には、釣り針の固定を自由自在に行うことができるので、複数の釣り針が付いた釣り糸であっても、釣り針をそこに引っ掛けることにより適度なハリスの張力が得られる針掛止め部材中の個所を適宜選択して、そこに釣り針を掛け止めて、ハリスが緩まないようにしながら釣り糸を巻き取ることにより、釣り針と釣り糸とが縺れることなく、これらを確実に巻き取り、安全に保持することができ、特にサビキ仕掛けのような釣り針の多い仕掛けの収納が容易になる。
なお、この針掛止め部材は、ウレタン材から成るものとすることができ、その場合には、針掛止め部材を、入手容易な材料を用いて簡易に製作することができる。
さらに、その左右の縦杆の一方もしくは双方の両端面に、少なくとも1条のハリス止め溝がそれぞれ形成される場合には、ハリスキャッチに巻き取られた釣り糸(ハリス)の終端部を、このハリス止め溝に食い込ませて保持することができ、ハリスの収納及び繰出し開始をきわめて簡単に手際よく行えて、操作性が良い。
釣り糸のハリスを巻き取り、繰り出し、収納するために使用されるハリスキャッチを、ハリス巻取り部と、釣り竿への取付け部をなす竿取付け部とから成るものとする。ハリス巻取り部は、竿取付け部に対して分解、組立、固定、回転及び交換の全てが可能にして、該竿取付け部に取り付ける。該竿取付け部は、釣り竿把持部を備えるものとし、該釣り竿把持部は、弾発的に開閉可能に構成して、弾発的に閉じられた時、釣り竿を把持し、弾発的に開かれた時、釣り竿を解放することができるようにする。
ハリス巻取り部は、左右の縦杆と、これらの縦杆を連結する複数本の横杆とから成る梯子状フレームにより構成し、左右の縦杆の一方もしくは双方には、それらの長さ方向に沿って、ハリスに結び付けられた釣り針を任意の位置に掛け止めることができる細長板状の針掛止め部材を取り付ける。この針掛止め部材は、ウレタン材から成るものとする。さらに、左右の縦杆の一方もしくは双方の両端面には、少なくとも1条のハリス止め溝をそれぞれ形成する。
ハリス巻取り部は、竿取付け部に、ボルトとナットとから成る締結手段を用いて取り付ける。ボルトは、竿取付け部の側から該竿取付け部及び左右の縦杆を横方向に貫通させ、その貫通させて突出したネジ部に、ナットを螺合させる。ハリス巻取り部は、このナットの螺合を解くか、もしくは螺合させて締め量を調節することにより、竿取付け部に対して分解、組立、固定、回転及び交換の全てが可能にする。
次に、本願の発明の一実施例について説明する。
図1は、本実施例のハリスキャッチを使用した釣り具の部分正面図、図2は、同ハリスキャッチの斜視図、図3は、ハリスの斜視図である。なお、以下の説明においては、ハリスキャッチにハリスを巻き取る時、巻取りの芯杆が走る方向を左右方向とし、これと直交する方向を前後方向とする。これを図2について言えば、図2において左右方向を左右方向とし、斜視した手前側を前、それと反対側を後とする。
図1に図示されるように、本実施例のハリスキャッチ10を使用した釣り具1は、入れ子式に伸縮自在に構成された釣り竿2の根元把持部の近傍に、リール本体3が取り付けられている。そして、このリール本体3が取り付けられた個所の直ぐ先方には、本実施例のハリスキャッチ10が取り付けられている。ハリスキャッチ10を取り付ける位置は、リール本体3のリール4からミチ糸5を繰り出すのに干渉がなく、且つ、ハリスキャッチ10にハリス6を巻き取るのに干渉がない位置であって、できるだけ釣り竿2の根元把持部に近い位置とされるのが良い。
リール本体3のリール4から繰り出されたミチ糸5は、釣り竿2の複数個所に取り付けられた糸ガイドリング9を抜けて、釣り竿2の先端から送り出されながら、釣り時には、その糸の先端に繋がれていて、ハリスキャッチ10から繰り出されたハリス6が、水中の釣り場に投入される。ミチ糸5とハリス6とは、サルカン7の部分で繋がれている。通常、この部分には、重りが付着される。浮き8は、必要に応じて使用され、重りよりも上方のミチ糸5の適所に取り付けられる。
釣りをしていて、釣り場を移動したい時には、リール4にミチ糸5を巻き取りながら、ハリス6を水中から引き上げて手繰り寄せ、ハリスキャッチ10に巻き取る。ハリス6をハリスキャッチ10に巻き取る要領については、後で詳しく説明する。ハリス6をハリスキャッチ10に巻き取った状態で、リール4をさらに巻き方向に回転させて、ミチ糸5を十分に巻き取り、ミチ糸5とハリス6とを緊張させる。この状態で、リール4を固定すれば、次いで、釣り具1を担ぎながら、安全に釣り場を移動することができる。
また、釣りを終了する時には、前記した、釣り場を移動する時の釣り具1の状態において、ミチ糸5とハリス6とをサルカン7の部分で切断して、浮き8及び重りを外し、ミチ糸5をリール4に完全に巻き取るとともに、ハリス6をハリスキャッチ10に完全に巻き取る。そして、ハリスキャッチ10を釣り竿2から取り外し、必要に応じてリール4を釣り竿2から取り外し、釣り竿2を短縮させて、これら釣り竿2、リール4、ハリスキャッチ10を適宜用意された収納バッグ等に収納する。このようにして、釣りを終了(納竿)することができる。なお、前記したミチ糸5とハリス6との切断は、ミチ糸5をリール4に巻き取る前や、その他の時点に行われることもあり、その時点は、釣り人に応じて適宜選択される。
次に、ハリスキャッチ10の構造について、詳細に説明する。
図2に図示されるように、ハリスキャッチ10は、ハリス6を巻き取り、繰り出し、収納する部分となるハリス巻取り部20と、釣り竿2にハリスキャッチ10を取り付ける部分をなす竿取付け部30とから成っている。ハリス巻取り部20は、竿取付け部30に、ボルト41とナット42とから成る締結手段40を用いて取り付けられており、ナット42を緊締することにより、ハリス巻取り部20と竿取付け部30とは一体化される。しかしながら、ハリス巻取り部20は、ナット42の螺合を解くか、もしくは螺合させて締め量を調節することにより、竿取付け部30に対して分解、組立、固定、回転及び交換の全てが可能である。
ここで、ハリス巻取り部20の構造について、さらに詳細に説明する。
ハリス巻取り部20は、左右の縦杆21l、21rと、これらの縦杆を連結する複数本の横杆22a、22b、22cとから成る梯子状フレームにより構成されている。横杆は、本実施例においては、3本使用されているが、中央の横杆22bを省略して2本とされても良いし、適数本使用されれば良いものである。上下の横杆22a、22cは、ハリス6を巻き取る時の芯杆となる。中央の横杆22bは、中空の円柱体から成っており、内部をボルト41が貫通する。また、上中下の横杆22a、22b、22cは、協同して梯子状フレームの構造的強度を支えている。縦杆の断面は、一般に矩形であり、横杆の断面は、一般に円形である。縦杆及び横杆の材質は、プラスチック又は木製とされる。
左右の縦杆21l、21rの一方もしくは双方の両端面には、少なくとも1条のハリス止め溝24がそれぞれ形成される。本実施例においては、左側の縦杆21lの両端面に、2条のハリス止め溝24がそれぞれ形成されており、また、右側の縦杆21rの両端面に、1条のハリス止め溝24がそれぞれ形成されている。これらのハリス止め溝24には、ハリスキャッチ10に巻き取られたハリス6の終端部が食い込ませられて、そこに保持される。ハリス6の終端部がこのように処置されることによって、ハリス6の収納及び繰出し開始をきわめて簡単に手際よく行うことができる。
左右の縦杆21l、21rの一方もしくは双方には、また、それらの長さ方向に沿って、ハリス6のミキ糸6aから分岐した複数本の分岐糸6bの先端にそれぞれ結び付けられた釣り針6c(図3参照) を任意の位置に掛け止めることができる細長板状の針掛止め部材23が取り付けられる。本実施例においては、左側の縦杆21lの前面と後面とに、針掛止め部材23がそれぞれ取り付けられている。これらの針掛止め部材23は、ウレタン材から製作されるのが望ましい。ウレタン材は、入手が容易であり、接着剤等を用いて容易に縦杆に固着させることができ、また、軟質であるので、釣り針6cを任意の個所に容易に食い込ませて掛け止めることができる。なお、釣り針6cの本数は、1本の場合もあれば、2本の場合もあり、さらに、サビキ仕掛けのように多数本の場合もある。
次に、竿取付け部30の構造について、さらに詳細に説明する。
竿取付け部30は、釣り竿把持部31と基端部32とから成っている。釣り竿把持部31は、図2に図示されるように、あらまし、円筒体の周壁の一部が軸方向(中心軸方向)に切除されてできた断面C字の形状をなしていて、その円周方向中央部の外表面には、突条31aが軸方向に突出形成されている。釣り竿把持部31は、この突条31aを境にして、前曲板部31bと後曲板部31cとに分けられており、これら前後両曲板部31b、31cは、突条31aを中心にして、それぞれ同じ形状に形成されている。
基端部32は、釣り竿把持部31の軸方向中央部に位置して、その断面C字の背後に連なり、釣り竿把持部31と一体にプラスチックの成形加工により形成されている。竿取付け部30は、ハリスキャッチ10が釣り竿2に取り付けられた時、ハリス6を巻き取った状態にあるハリス巻取り部20の荷重及びそこに加わる外力に十分に耐え得る強度を備えるものとされる。
釣り竿把持部31の壁体内には、前後両曲板部31b、31cに跨がって、バネ部材33が埋め込まれている。このバネ部材33の構造としては、板状のバネ部材の1枚もしくは複数枚を採用して、これらのバネ部材を、釣り竿把持部31の軸方向に沿って、その壁体内に埋設するようにしても良いし、また、線状のバネ部材の複数本を採用して、これらのバネ部材を、釣り竿把持部31の軸方向に沿って並べて、その壁体内に埋設するようにしても良い。バネ部材33を釣り竿把持部31の壁体内に埋め込むのには、竿取付け部30全体をプラスチックの成形加工により形成するに際して、その溶融材料中に鋳込めば良い。
なお、これらのバネ部材を釣り竿把持部31の壁体内に埋め込まずに、その上下両端面もしくは内周面に沿わせて付設するようにしても良い。さらに、竿取付け部30全体をバネ性のある金属材料を用いて製作することも可能であり、このようにすれば、それ自体、弾発性を備えた前後両曲板部31b、31cを得ることができる。
このようにして形成された竿取付け部30は、その釣り竿把持部31の前後両曲板部31b、31cが弾発的に開閉可能にされているので、これらが弾発的に閉じられた時、釣り竿2を把持し、弾発的に開かれた時、釣り竿2を解放するように用いることができる。したがって、これらを弾発的に閉じたり、開いたりすることによって、竿取付け部30のみならず、ハリスキャッチ10全体を釣り竿2にワンタッチで簡易に取り付けたり、取り外したりすることができる。
締結手段40の構成要素をなすボルト41は、竿取付け部30の側から、その釣り竿把持部31及び基端部32の各中心部、ハリス巻取り部20の左右の縦杆21l、21rの各中心部を横方向(左右方向)に貫通しており、その貫通して突出したネジ部に、締結手段40のもう1つの構成要素をなすナット42が螺合させられている。ボルト41がそれらの部材を貫通するに際しては、きつく貫通することなく、柔らかく貫通する程度にわずかの隙間を設けてやれば、それらの部材の分解、組立を楽に行うことができる。また、ナット42としては、図2に図示されるように、円形の袋ナットが使用されるのが良く、このようにすれば、摘み易く、ナット42の締め量の調節が容易になるとともに、ボルト41の端部が突出しないことにより、安全上からも好ましい。
なお、締結手段40を用いてハリス巻取り部20を竿取付け部30に取り付けるに際しては、ハリス巻取り部20の左側の縦杆21lと竿取付け部30の基端部32との間、ハリス巻取り部20の右側の縦杆21rとナット42との間にワッシャー25a、25bがそれぞれ介装されている。ボルト41、ナット42、ワッシャー25a、25bは、ステンレス材料により製作されている。
ハリス巻取り部20が、前記のようにして締結手段40を用いて竿取付け部30に取り付けられているので、ナット42を緊締することにより、ハリス巻取り部20と竿取付け部30とは一体化される。また、ナット42の螺合を解くか、もしくは螺合させて締め量を調節することにより、ハリス巻取り部20は、竿取付け部30に対して分解、組立、固定、回転及び交換のいずれもが可能にされる。ハリス巻取り部20が竿取付け部30に対して回転する時には、ボルト41がその回転支軸となる。
次に、本実施例のハリスキャッチ10の使用法について説明する。
先ず、締結手段40によりハリス巻取り部20と竿取付け部30とが一体化されて成るハリスキャッチ10を、釣り竿2に取り付ける。その取付けは、釣り竿把持部31の前後両曲板部31b、31c間の開口隙間部を釣り竿2に押し当て、強く押して、その隙間を開かせ、これら両曲板部間の空間内に釣り竿2を滑り込ませることにより、ワンタッチで行うことができる。両曲板部間の空間内に釣り竿2を滑り込ませると、これら両曲板部は、一旦開いた後、弾発的に閉じようとするので、その閉じようとする力により、釣り竿2を把持することができ、両曲板部を含む竿取付け部30、牽いては、ハリスキャッチ10全体を釣り竿2に取り付けることができるのである。
次いで、手繰り寄せられたハリス6の分岐糸6bの先端に結び付けられた釣り針6cを針掛止め部材23の任意の位置に掛け止め、ハリス6を巻き取る。複数の釣り針6cが用いられている場合には、それらの釣り針6cを針掛止め部材23の適切な位置に順次掛け止め、ハリス6の分岐糸6b及びミキ糸6aに弛みが生じないようにしながら、ハリス6を巻き取って行く。ハリス6を巻き取るに際しては、ボルト42を緩め、ハリス巻取り部20を手動で回転させながら行うことができ、これにより、ハリス6を迅速に、円滑に巻き取ることができる。ハリス6を巻き取り終わると、次いで、ミチ糸5をリール4に巻き取り、ミチ糸5とハリス6とを緊張させながら、リール4を固定する。この状態で、釣り具1を担ぎながら、安全に釣り場を移動することができる。
新しい釣り場に着いて、釣りを再開する時には、以上の手順の逆の手順にて、ミチ糸5及びハリス6を繰り出せば良い。この時も、ハリス6を巻き取る時と同様にして、ハリス巻取り部20を手動で回転させながら行うことができ、ハリス6を迅速に、円滑に繰り出すことができる。
釣りを終了する時には、前記した、釣り場を移動する時の釣り具1の状態において、ミチ糸5とハリス6とをサルカン7の部分で切断して、浮き8及び重りを外し、ミチ糸5をリール4に完全に巻き取るとともに、ハリス6をハリスキャッチ10に完全に巻き取る。この際、ハリス6の終端は、複数のハリス止め溝24のうちの適切なハリス止め溝24を選択して、そこに食い込ませて保持する。そして、ハリスキャッチ10を釣り竿2から引き抜いて取り外す。ハリスキャッチ10は、単に釣り竿2からこれを引き抜くのみのワンタッチ操作で、前後両曲板部31b、31cが弾発的に開いて、これを釣り竿2から取り外すことができる。なお、ミチ糸5とハリス6との切断が、釣り具1が前記の状態にある時に限られないことは、既に述べたとおりである。
ハリスキャッチ10は、ナット42を取り外す(ボルト41との螺合を解く)ことにより、これを分解することが可能である。これにより、そのハリス巻取り部20を、異なるハリスが巻回された他のハリス巻取り部20に交換することが可能になる。特に、ボルト41の太さを同一規格とすることによって、あらゆる種類の仕掛けへの交換が可能になる。
本実施例のハリスキャッチ10は、前記のように構成されているので、次のような作用、効果を奏することができる。
ハリスキャッチ10は、ハリス巻取り部20が竿取付け部30に取り付けられて一体化されることにより構成されている。しかも、竿取付け部30に備えられた釣り竿把持部31を弾発的に閉じたり、開いたりすることによって、該釣り竿把持部31が、釣り竿2を把持したり、解放したりすることができるので、釣り竿把持部31を弾発的に閉じたり、開いたりすることによって、ハリスキャッチ10全体を釣り竿2にワンタッチで簡易に取り付けたり、取り外したりすることができることになり、安全で、確実で、しかも、短時間でのハリス6の取扱いが可能になる。
また、ハリス巻取り部20は、竿取付け部30に対して分解、組立可能にされて、該竿取付け部30に取り付けられているので、釣り場において、ハリス巻取り部20全体を交換することによって、ハリス6の交換を容易に行うことができる。特に、締結手段40の構成要素をなすボルト41の太さを同一規格とすることによって、あらゆる種類の仕掛けへの交換が可能になる。
また、ハリス巻取り部20は、竿取付け部30に対して固定、回転可能にされて、該竿取付け部30に取り付けられているので、釣り開始時、ハリス巻取り部20からハリス6を繰り出したり、釣り場の移動時や釣り終了(納竿)時、ハリス巻取り部20にハリス6を巻き取って収納したりする時には、ハリス巻取り部20全体を手動で回転させながら行うことができ、ハリス6の繰出し、巻取りを迅速に、円滑に行うことができる。
これらにより、ハリスキャッチ10の使い勝手が向上する。
さらに、以上のとおり、ハリスキャッチ10の取扱いが簡単で、容易であり、その使い勝手が良いので、子供から大人まで幅広い釣り人を対象にして、その使用が可能である。 また、使用済みのハリス6を簡単に巻き取り、収納することができるので、釣り場の移動時や釣り終了(納竿)時、仕掛けを釣り場に放棄する等の防止対策となり、環境保全に寄与することができる。
また、ハリス巻取り部20は、その骨格構造が左右の縦杆21l、21rと、これらの縦杆を連結する複数本の横杆22a、22b、22cとから成る梯子状フレームにより構成されているので、コンパクトでありながら、巻取り容量が大きく、取り扱い易いハリスキャッチ10を得ることができる。
また、その左右の縦杆21l、21rの一方もしくは双方には、それらの長さ方向に沿って、ハリス6に結び付けられた釣り針6cを任意の位置に掛け止めることができる細長板状の針掛止め部材23が取り付けられており、釣り針6cの固定を自由自在に行うことができるので、複数の釣り針6cが付いた釣り糸であっても、釣り針6cをそこに引っ掛けることにより適度なハリス6(ミキ糸6a、分岐糸6b)の張力が得られる針掛止め部材23中の個所を適宜選択して、そこに釣り針6cを掛け止めて、ハリス6が緩まないようにしながら釣り糸を巻き取ることにより、釣り針6cと釣り糸とが縺れることなく、これらを確実に巻き取り、安全に保持することができ、特にサビキ仕掛けのような釣り針6cの多い仕掛けの収納が容易になる。また、この針掛止め部材23は、ウレタン材から成るものとされているので、入手容易な材料を用いて簡易に製作、取付けすることができ、また、釣り針6cを任意の個所に容易に食い込ませて掛け止めることができる。
さらに、左右の縦杆21l、21rの一方もしくは双方の両端面には、少なくとも1条のハリス止め溝24がそれぞれ形成されているので、ハリスキャッチ10に巻き取られた釣り糸(ハリス)の終端部を、このハリス止め溝24に食い込ませて保持することができ、ハリス6の収納及び繰出し開始をきわめて簡単に手際よく行えて、操作性が良い。
また、ハリス巻取り部20は、竿取付け部30に、ボルト41とナット42とから成る締結手段40を用いて取り付けられ、ボルト41は、竿取付け部30の側から該竿取付け部30及び左右の縦杆21l、21rを横方向に貫通し、その貫通して突出したネジ部に、ナット42が螺合させられており、ハリス巻取り部20は、該ナット42の螺合を解くか、もしくは螺合させて締め量を調節することにより、竿取付け部30に対して分解、組立、固定、回転及び交換の全てが可能にされているので、汎用のボルト41とナット42とから成る締結手段40を用いて、ハリス巻取り部20を竿取付け部30に取り付けるとともに、ハリス巻取り部20と竿取付け部30とから成るハリスキャッチ10をきわめて簡単に組み立て、分解し、また、交換等することができ、多機能なハリスキャッチ10を得ることができる。
なお、本願の発明は、以上の実施例に限定されず、その要旨を逸脱しない範囲において、種々の変形が可能である。
本願の発明の一実施例のハリスキャッチを使用した釣り具の部分正面図である。 同ハリスキャッチの斜視図である。 ハリスの斜視図である。
符号の説明
1…釣り具、2…釣り竿、3…リール本体、4…リール、5…ミチ糸、6…ハリス、6a…ミキ(幹)糸、6b…分岐糸、6c…釣り針、7…サルカン、8…浮き、9…糸ガイドリング、10…ハリスキャッチ、20…ハリス巻取り部、21l、21r…左右の縦杆、22a〜22c…横杆、23…針掛止め部材、24…ハリス止め溝、25a、25b…ワッシャー、30…竿取付け部、31…釣り竿把持部、31a…突条、31b…前曲板部、31c…後曲板部、32…基端部、33…バネ部材、40…締結手段、41…ボルト、42…ナット。

Claims (4)

  1. 釣り糸のハリスを巻き取り、繰り出し、収納するために使用されるハリスキャッチが、ハリス巻取り部と、釣り竿への取付け部をなす竿取付け部とから成り、
    前記ハリス巻取り部は、
    左右の縦杆と、これらの縦杆を連結する複数本の横杆とから成る梯子状フレームにより構成されて、前記竿取付け部に、ボルトとナットとから成る締結手段を用いて取り付けられ、
    前記ボルトは、前記竿取付け部の側から前記竿取付け部及び前記左右の縦杆を横方向に貫通し、その貫通して突出したネジ部に、前記ナットが螺合させられ、
    前記ハリス巻取り部は、前記ナットの螺合を解くか、もしくは螺合させて締め量を調節することにより、前記竿取付け部に対して分解、組立、固定、回転及び交換の全てが可能にされており、
    前記竿取付け部は、釣り竿把持部を備え、
    前記釣り竿把持部は、弾発的に開閉可能にされていて、弾発的に閉じられた時、前記釣り竿を把持し、弾発的に開かれた時、前記釣り竿を解放することができるようにされている
    ことを特徴とするハリスキャッチ。
  2. 前記左右の縦杆の一方もしくは双方には、それらの長さ方向に沿って、前記ハリスに結び付けられた釣り針を任意の位置に掛け止めることができる細長板状の針掛止め部材が取り付けられていることを特徴とする請求項に記載のハリスキャッチ。
  3. 前記針掛止め部材は、ウレタン材から成ることを特徴とする請求項に記載のハリスキャッチ。
  4. 前記左右の縦杆の一方もしくは双方の両端面には、少なくとも1条のハリス止め溝がそれぞれ形成されていることを特徴とする請求項ないしのいずれかに記載のハリスキャッチ。
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