JP4167659B2 - 透過型スクリーン及び背面投射型表示装置 - Google Patents
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Description
従来、このような透過型スクリーンに使用されるレンチキュラーレンズシート及びフレネルレンズシートは、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂等のプラスチック製の基板に、レンズ等の光学要素が形成されている。
特に、薄型のリアプロジェクションテレビでは、透過型スクリーンへの映像光の入射角度が大きいため、スクリーンに生じたわずかな反りや浮きが、画質に与える影響は非常に大きいという問題があった。
また、透過型スクリーンは、大型化すると環境の変化によって生じた反りや浮きによる画像の劣化が小型のものに比べて目立ちやすくなるという問題や、自重により撓みやすくなるという問題があった。
特許文献1では、フレネルレンズシート(特許文献1には「フレネルレンズ板」と記載)と、ガラス基板にレンチキュラーレンズ層(特許文献1には「レンチキュラーレンズシート」と記載)が積層されたレンチキュラーレンズシート(特許文献1には「レンチキュラーレンズ板」と記載)とを組み合わせた透過型スクリーンの例を開示している。
しかし、特許文献1に開示された手法は、スクリーンの出射側の最前面(最観察側面)がガラス基板となるため、事故等によりガラス基板が割れる等した場合、その破片が飛散するという問題があった。
また、特許文献1では、ガラス基板に拡散材を混合して拡散効果を持たせる例が開示されているが、ガラス基板に拡散材を混合することは容易ではなく、生産コストがかかるという問題や、拡散材を混合することにより、ガラス基板が脆くなり、割れやすくなるという問題があった。
しかし、特許文献2に開示された手法は、フレネルレンズシートの入射側にフレネルレンズ形状が設けられたフレネルレンズシートでは可能であるが、フレネルレンズシートの出射側(ガラス基板側)にフレネルレンズ形状が設けられたものでは、ガラス基板とレンズ面とが密着し、レンズ面が擦れるため、適用できないという問題があった。
しかし、ガラス基板に直接フレネルレンズを成形することは、技術的に容易ではなく、生産コストがかかるという問題があった。また、プラスチックシートにより保護されるのは、ガラス基板の片面のみであるため、フレネルレンズが形成された側の平面は保護されておらず、事故等によりガラス基板が割れる等した場合に、破片が飛散するという問題や、レンズに傷や汚れが付着するという問題があった。さらに、フレネルレンズ形状の谷部分は、応力が集中しやすく、割れやすいという問題があった。
しかし、特許文献4に開示された手法は、最表面がガラス基板となるために、ガラス基板が割れる等した場合に破片が飛散するという問題があった。
請求項1の発明は、入射側から投射された映像光を出射側に出射する透過型スクリーンであって、入射側に設けられ、光透過性を有し、剛性の高い第1の高剛性基板層(211,511)と、前記第1の高剛性基板層に積層され、前記映像光を屈折又は反射させ、出射側へ向ける偏向光学要素(212a,512a)を有する偏向光学シート(210,510)と、出射側に設けられ、光透過性を有し、剛性の高い第2の高剛性基板層(221,521)と、前記第2の高剛性基板層に積層され、前記映像光を屈折又は反射させ、拡散させる拡散光学要素(222a,522a)とを有する拡散光学シート(220,520)とを有し、前記第1及び第2の高剛性基板層の両面に一体的に積層され、最も入射側の面及び最も出射側の面に配置され、前記第1及び第2の高剛性基板層の飛散を防止する飛散防止層(212,213,222,223,512,513,522,523)と、前記第1の高剛性基板層及び/又は前記第2の高剛性基板層の入射側及び出射側に設けられ、光を拡散させる拡散部とを備え、前記偏向光学シート(210,510)は、前記飛散防止層の1つであり前記第1の高剛性基板層(211,511)の入射側に一体的に積層された前記偏向光学要素(212a,512a)を有する第1の飛散防止層(212,512)と、前記第1の飛散防止層とは別層であり、前記第1の高剛性基板層の出射側に一体的に積層された第3の飛散防止層(213,513)とを備え、前記偏向光学要素は、光が入射する入射面(212c)と、前記入射面から入射した光の少なくとも一部を所定の方向に全反射する全反射面(212d)とを有する単位プリズム(212e)が複数配列されたプリズム部(212a,512a)であること、を特徴とする透過型スクリーン(200,500)である。
請求項2の発明は、請求項1に記載の透過型スクリーンにおいて、前記第1及び第2の高剛性基板層(211,221,511,521)は、ガラス又は透光性セラミックスにより形成されていること、を特徴とする透過型スクリーン(200,500)である。
(1)透過型スクリーンは、光透過性を有し、剛性が高い高剛性基板層を備えたので、温度や湿度等の環境の変化による反りや自重による撓み等が生じ難い。また、高剛性基板層は、その少なくとも片面に、一体的に飛散防止層が積層され、飛散防止層は透過型スクリーンの最も入射側の面及び最も出射側の面となるように配置されているので、事故等により高剛性基板が割れたり、ひびが入ったりした場合に、その破片が飛散することを防止でき、安全性の高い透過型スクリーンを提供できる。
また、ガラス製等の基板は、事故により割れる等した場合、その破片が飛散し危険であるが、高剛性基板層は、その両面が飛散防止層によって覆われた形態となっており、高剛性基板層が割れる等した場合にもその破片は飛散せず、安全である。
このような偏向光学シートを用いた透過型スクリーンは、映像光の入射角度が大きいため、スクリーンに生じた僅かな反りや撓み等であっても、その影響は大きく、著しい画質の劣化が生じる。しかし、高剛性基板層を用いることにより、偏向光学シートは、温度や湿度等の変化よる反りや自重による撓み等が防止できるので、高画質の画像を得られる透過型スクリーンを、安全な形で提供できる。
また、接合層は、少なくとも1つが、光を拡散させる拡散材、紫外線を吸収する紫外線吸収剤の少なくとも1つを含む。よって、飛散防止層にこれらを混合することができない場合に、接合層は、拡散材を含むことにより光を拡散させてシンチレーション(画面のぎらつき)を低減でき、また、紫外線吸収剤を含むことにより紫外線によるスクリーンの黄変を防止できる。
図2は、本発明による実施例1の透過型スクリーンを用いたリアプロジェクションテレビの断面図である。
実施例1の透過型スクリーン100は、図1に示すように、映像光Lの入射側(光源側)に設けられたフレネルレンズシート110と、映像光Lの出射側(観察面側)に設けられたレンチキュラーレンズシート120とを備え、これらを組み合わせることにより1組のスクリーンとして形成され、映像光Lの結像面に配置され、映像を観察者に表示する。
リアプロジェクションテレビ1は、図2に示すように、光源部21、ミラー部31、透過型スクリーン100等を備えた背面投射型表示装置である。このリアプロジェクションテレビ1は、透過型スクリーン100の観察面側とは反対側に設けられた、DMDを用いた単管方式の光源部21から投射された映像光Lを、ミラー部31で反射させ、透過型スクリーン100に投射して表示する。
映像光Lは、図中の矢印で示され、図中の右側から実施例1の透過型スクリーン100に入射し、図中の左側から出射する。また、図中の白抜きの円が分布した層は、光を拡散させる拡散材を含むことを示す。
まず、フレネルレンズシート110について説明する。
フレネルレンズシート110は、第1のガラス基板111、第1の飛散防止層112、第3の飛散防止層113、接合層114−1,114−2等を有し、映像光Lを屈折させて出射側へ向ける偏向光学シートであり、透過型スクリーン100の入射側に配置されている。
第1のガラス基板111は、光透過性を有し、剛性の高い高剛性基板層であり、ケイ酸塩ガラスにより形成された、厚さ2mmのガラス板である。第1のガラス基板111に用いるガラス板の厚さは、2〜3mmの範囲内であればよく、本実施例では2mmとした。
また、この第1のガラス基板111は、波長帯域が400〜700nmにおける光の透過率が90%以上である。
この第1の飛散防止層112は、アクリル樹脂等により形成された反射防止の機能を有する汎用の反射防止シートであり、その厚さは80μmである。
第3の飛散防止層113は、予め、フレネル基材部113bの片面に、フレネルレンズ部113aを一体的に形成したものを、第1のガラス基板111に積層している。
ここで、拡散部とは、基材となる部材に対し、有機又は無機の化合物の粒子を練りこむ、又は、その表面に有機又は無機の化合物の粒子をコーティングする、又は、その表面に微細な凹凸形状を設ける等により、光を拡散させる機能を有する部分のことである。
このフレネルレンズ部113aは、フレネルレンズの逆型形状を有する不図示のフレネルレンズ成型用金型を加温し、紫外線硬化型樹脂を金型面に塗布し、塗布された紫外線硬化型樹脂の温度を保ちながら、金型に充填された紫外線硬化型樹脂の上にフレネル基材部113bを加圧積層し、紫外線を照射して樹脂を硬化させ、金型から剥離することによりフレネル基材部113bにフレネルレンズ形状を一体的に形成されている。紫外線硬化型樹脂は、特に限定はしないが、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート等が好ましい。
次に、レンチキュラーレンズシート120について説明する。
レンチキュラーレンズシート120は、図3に示すように、第2のガラス基板121、第2の飛散防止層123、第4の飛散防止層122、接合層124−1,124−2を有し、映像光Lを屈折させ、拡散する拡散光学シートであり、透過型スクリーン100の出射側に配置されている。
第2のガラス基板121は、光透過性を有し、剛性の高い高剛性基板層であり、第1のガラス基板111と同様に、ケイ酸塩ガラスにより形成された厚さ2mmのガラス板である。この第2のガラス基板121は、第1のガラス基板111と同様に、波長帯域400〜700nmにおける光の透過率が90%以上である。
接合層124−1は、第2のガラス基板121と第4の飛散防止層122との間に設けられ、接合層124−2は、第2のガラス基板121と第2の飛散防止層123との間に設けられている。
この第4の飛散防止層122は、予め、レンチキュラー基材部122bの一方の面に、熱可塑性樹脂を用いてレンチキュラーレンズ部122aが形成され、もう一方の面に、光を吸収する光吸収部122cが形成されたものを、第2のガラス基板121に積層している。本実施例において、レンチキュラーレンズ部122aは、熱可塑性樹脂を用いて形成する例を示したが、これに限らず、フレネルレンズ部113aと同様に、紫外線硬化型樹脂等により形成してもよい。
レンチキュラー基材部122bは、第4の飛散防止層122のベースとなる厚さ200μmのシート状の部材であり、ガラスビーズを拡散材として混合したアクリル樹脂により形成され、拡散部としての機能を有する。
このレンチキュラーレンズ部122aは、水平方向への拡散効果を有する単位レンズが水平方向に複数配列され、形成されている。この単位レンズは、断面が略楕円形状の出射側に突出した形状であり、入射した光の少なくとも一部を屈折する屈折面を有する単位光学形状である。
光吸収部122cは、レンチキュラー基材部122bの出射側の面の映像光が通過しない領域に、透過型スクリーン100の垂直方向の縞状に配置された層である。
この第2の飛散防止層123は、ポリエチレンテレフタレート樹脂に拡散材としてガラスビーズが略均一に混合され形成された厚さ188μmの層であり、拡散部としての機能を有する。
フレネルレンズシート110及びレンチキュラーレンズシート120は、その基板として、温度や湿度等の環境の変化による反りや自重による撓み等が生じ難い、ガラスを材料として形成された第1及び第2のガラス基板111,121が用いられている。よって、環境の変化等による反りや浮き、自重による撓み等で生じる画像の歪みを防止でき、平面性が高いことにより高画質の画像を得られる透過型スクリーンを提供できる。
(1)図4は、本発明による実施例1の透過型スクリーンにおけるフレネルレンズシートの変形例の層構成を模式的に示した図である。
図中において、白抜きの円が分布した層は、光を拡散させる拡散材を含むことを示す。また、境界部分が微小な曲線により表示された層は、その層の表面に微細な凹凸形状が形成されていることを示す。
本実施例において、フレネルレンズシート110は、フレネル基材部113bに、ガラスビーズを拡散材として略均一に混合し、拡散部としての機能を付与しているが、拡散部としての機能を付与する層とその数は、特に限定しない。以下に例を示すが、この限りではない。
フレネルレンズシート110は、フレネル基材部113bに拡散材を混合せず(フレネル基材部113b−2)、図4(a)に示すように、第1のガラス基板111と第1の飛散防止層112との間に設けられた接合層114−1に拡散材を混合し、拡散部(接合層114−1−2)としてもよいし、図4(b)に示すように、第1のガラス基板111と第3の飛散防止層113との間に設けられた接合層114−2に拡散材を略均一に混合して拡散部(接合層114−2−2)としてもよい。
本実施例において、レンチキュラーレンズシート120は、レンチキュラー基材部122b、第2の飛散防止層123に、ガラスビーズ等の拡散材を略均一に混合して拡散部とする例を示したが、拡散効果を有する拡散部としての機能を付与する層やその数は、特に限定しない。以下に、例として拡散部を2ヶ所設ける場合の層構成の例を示すが、この限りではない。
また、レンチキュラーレンズシート120は、前述のように拡散層125−1を設け、図5(b)に示すように、第2の飛散防止層123に拡散材を混合せず(第2の飛散防止層123−2)、第2のガラス基板121と第2の飛散防止層123−2との間に設けられた接合層124−2に拡散材を混合して拡散部(接合層124−2−2)としてもよいし、図5(c)に示すように、第2の飛散防止層123に拡散材を混合せず、その表面に微細な凹凸形状を設けて、拡散部(第2の飛散防止層123−3)としてもよい。
また、レンチキュラーレンズシート120は、前述のように拡散層125−2を設け、図5(e)に示すように、レンチキュラー基材部122bに拡散材を混合せず(レンチキュラー基材部122b−2)、第2のガラス基板121と第4の飛散防止層122との間に設けられた接合層124−1に拡散材を略均一に混合して拡散部(接合層124−1−2)としてもよい。
さらに、レンチキュラーレンズシート120は、前述のように拡散層125−2を設け、図5(f)に示すように、レンチキュラー基材部122bに拡散材を混合せず、その表面に微細な凹凸形状を設けて拡散部(レンチキュラー基材部122b−3)としてもよい。
24−1に拡散材を混合して拡散部(接合層124−1−2)としてもよいし、図6(j)に示すように、接合層124−1に拡散材を混合して拡散部(接合層124−1−2)とし、第2の飛散防止層123に拡散材を混合せず、その表面に微小な凹凸形状を設けて拡散部(第2の飛散防止層123−3)としてもよい。
さらに、レンチキュラーレンズシート120は、レンチキュラー基材部122b及び第2の飛散防止層123に拡散材を混合せず(レンチキュラー基材部122b−2、第2の飛散防止層123−2)、第2のガラス基板121と第4及び第2の飛散防止層122,123とを一体的に積層する接合層124−1,124−2に拡散材を混合して拡散部(接合層124−1−2,124−2−2)としてもよい。
図7(m)において、レンチキュラーレンズシート120は、レンチキュラー基材部123b−4と第4の飛散防止層122−2とにガラスビーズを拡散材として略均一に混合し、拡散部とする例を示しているが、拡散部としての機能を付与する層と数は、前述の変形例に示した場合と同様に、特に限定しない。
実施例2の透過型スクリーン400は、映像光Lの入射側に設けられたフレネルレンズシート410と、映像光Lの出射側に設けられた拡散光学シート420とを備え、これらを組み合わせることにより1組のスクリーンとして形成され、実施例1に示した透過型スクリーン100と同様に、図2に示すリアプロジェクションテレビ1に用いられる。
映像光Lは、図中の矢印で示され、図中の右側から透過型スクリーン400に入射し、図中の左側から出射する。また、白抜きの円が分布した層は、光を拡散させる拡散材を含むことを示す。
よって、本実施例のフレネルレンズシート410における第1のガラス基板411、第1の飛散防止層412、第3の飛散防止層413、接合層414−1,414−2は、それぞれ、実施例1のフレネルレンズシート110における第1のガラス基板111、第1の飛散防止層112、第3の飛散防止層113、接合層114−1,114−2に対応しており、同様の機能を有する。よって、重複する説明は省略する。
拡散光学シート420は、透過型スクリーン400の出射側に設けられ、第2のガラス基板421、第2の飛散防止層423、第4の飛散防止層422、接合層424−1,424−2を有し、映像光を反射させて拡散させる光学シートである。
第2のガラス基板421は、光透過性を有し、剛性の高い高剛性基板層であり、ケイ酸塩ガラスによって形成された厚さ3mmのガラス板である。この第2のガラス基板421を、波長帯域400〜700nmの光が透過する透過率は、90%以上である。
接合層424−1は、第2のガラス基板421と第4の飛散防止層422との間に設けられ、接合層424−2は、第2のガラス基板421と第2の飛散防止層423との間に設けられている。
第4の飛散防止層422は、予め、拡散光学要素基材部422bの片面に、実施例1に示したフレネルレンズ部113aと同様に、紫外線硬化型樹脂を用いて拡散光学要素422aを形成したものを、第2のガラス基板421に積層している。
拡散光学要素基材部422bは、第4の飛散防止層422のベースとなる厚さ200μmのシート状の部材であり、拡散材としてガラスビーズが略均一に混合されたアクリル樹脂により形成され、拡散部としての機能を有する。
拡散光学要素422aは、拡散光学要素基材部422bの出射側の面に、実施例1に示したフレネルレンズ113aと同様の紫外線硬化型樹脂により形成された複数の単位光学形状422cが出射側に突出して配列され、形成されている。
この単位光学形状422cは、図10に示すように、その断面が略台形状の出射側に突出した形状であり、隣接する単位光学形状との間の断面が三角形状の部分には、光を吸収する光吸収部422dが形成されている。この光吸収部422dは、単位光学形状422cより、屈折率の低い材料により形成されている。
拡散光学要素422aは、単位光学形状422cの下底部分から入射した光の少なくとも一部を、単位光学形状422cの斜辺部分422eで所定の方向に全反射して上底部分から出射させ、拡散させる効果を有する。
この第2の飛散防止層423は、ポリエチレンテレフタレート樹脂等に拡散材としてガラスビーズを略均一に混合して形成された厚さ188μmのシート状の部材であり、拡散部としての機能を有する。
また、フレネルレンズシート410は、第1のガラス基板411の両面に、第1及び第3の飛散防止層412,413が一体的に積層され、拡散光学シート420は、第2のガラス基板421の両面に、第2及び第4の飛散防止層423,422が一体的に積層されいる。よって、透過型スクリーン400は、その最入射側面及び最出射側面が、飛散防止層で覆われた形態となり、第1、第2のガラス基板411,421が割れる等した場合、その破片の飛散を防止でき、安全である。
また、拡散光学シート420は、ファインピッチが可能であるので、透過型スクリーン400は、実施例1に示したレンチキュラーレンズシート120を用いた透過型スクリーン100に比べて、高精細、高品位の画像を提供できる。
(1)本実施例のフレネルレンズシート410は、実施例1に示したフレネルレンズシート110と同一の部材である。よって、本実施例のフレネルレンズシート410は、その変形例として、実施例1に示したフレネルレンズシート110の変形例を用いることができる。
拡散光学シート420は、拡散光学要素基材部422bに拡散材を混合して拡散部とする場合、第2の飛散防止層423に汎用の反射防止シート等を積層し、接合層424−1又は接合層424−2にガラスビーズ等の拡散材を混合し、拡散部としてもよい。
また、第2の飛散防止層423が拡散部としての機能を有する場合、拡散光学シート420は、拡散光学要素基材部422bではなく、接合層424−1又は接合層424−2に拡散材を混合して拡散部としてもよい。
さらに、例えば、拡散光学シート420は、拡散光学要素基材部422b等に拡散材を混合して拡散部とし、第2の飛散防止層423に汎用の反射防止シート等を積層し、ポリエチレンテレフタレート樹脂に拡散材を略均一に混合して形成した拡散層を、第2のガラス基板421と第2の飛散防止層423との間、または、第2のガラス基板421と第4の飛散防止層422との間に積層してもよい。
本実施例において、拡散光学シート420は、拡散光学要素422a及び拡散光学要素基材部422bが第4の飛散防止層422に設けられる例を示したが、これに限らず、例えば、図11(a)に示すように、第2の飛散防止層423−2に、拡散光学要素423a−2、拡散光学要素基材部423b−2を設けてもよい。このとき、透過型スクリーン400の最出射側に、拡散光学部423b−2の光吸収部が設けられる形となり、外光がスクリーンに入射することにより生じるコントラストの低下を低減できる。
図11(a)において、拡散光学シート420は、第2の飛散防止層423−2に設けられた拡散光学要素基材部423b−2と第4の飛散防止層422−2とに拡散材を混合し、拡散部とする例を示しているが、拡散部が設けられる層や数は、これに限らず、特に限定しない。
また、このとき、拡散光学シート420は、図11(b)に示すように、拡散光学要素423a−2の出射側に、ポリエチレンテレフタレート樹脂等にガラスビーズ等の拡散材を略均一に混合して形成された厚さ188μmの拡散層425を、接合層424−3を介して一体的に積層することにより、映像光の拡散を均一化し、画質の向上を図ってもよい。このとき、拡散光学シート420は、拡散層425ではなく、汎用の拡散シート等を積層してもよい。
図13は、本発明による実施例3の透過型スクリーンを用いたリアプロジェクションテレビの断面図である。
実施例3の透過型スクリーン200は、図12に示すように、光源部22側にプリズムシート210を備え、観察面側にレンチキュラーレンズシート220を備え、これらを組み合わせることにより1組のスクリーンとして形成され、図13に示すリアプロジェクションテレビ2に用いられる。
リアプロジェクションテレビ2は、図13に示すように、光源部22、ミラー部32、透過型スクリーン200を備えた背面投射型表示装置である。光源部22は、DMDを用いた単管方式の光源であり、透過型スクリーン200の下方から映像光Lを投射する。そのため、映像光Lが透過型スクリーン200に入射する入射角度は、実施例1に示したリアプロジェクションテレビ1に比べて大きい。
映像光Lは、図中の矢印で示され、図中の右側から透過型スクリーン200に入射し、図中の左側から出射する。また、図中の白抜きの円が分布した層は、光を拡散させる拡散材を含むことを示す。
このレンチキュラーレンズシート220は、実施例1に示したレンチキュラーレンズシート120と同一の部材であり、レンチキュラーレンズシート220の第2のガラス基板221、第4の飛散防止層222、第2の飛散防止層223、接合層224−1,224−2は、実施例1のレンチキュラーレンズシート120における第2のガラス基板121、第4の飛散防止層122、第2の飛散防止層123、接合層124−1,124−2にそれぞれ対応し、同様の機能を有するので、重複する説明は省略する。
プリズムシート210は、第1のガラス基板211、第1の飛散防止層212、第3の飛散防止層213、接合層214−1,214−2等を有し、映像光Lを反射させて出射側へ向ける偏向光学シートであり、透過型スクリーン200の入射側に設けられている。
第1のガラス基板211は、光透過性を有し、剛性の高い高剛性基板層である。この第1のガラス板211は、ケイ酸塩ガラスによって形成された厚さ3mmのガラス板であり、波長帯域400〜700nmの光の透過率は、90%以上である。
接合層214−1は、第1のガラス基板211と第1の飛散防止層212との間に設けられ、接合層214−2は、第1のガラス基板211と第3の飛散防止層213との間に設けられている。
この第1の飛散防止層212は、予め、プリズム基材部212bの片面に、実施例1に示したフレネルレンズ部113aと同様に、紫外線硬化型樹脂を用いて後述するプリズム部212aを形成したものを、第1のガラス基板211に積層している。
プリズム基材部212bは、第1の飛散防止層212のベースとなる厚さ200μmのシート状の部材であり、ガラスビーズ等の拡散材が混合されたアクリル樹脂により形成され、拡散部としての機能を有する。
プリズム部212aは、図15に示すように、映像光Lが入射する入射面212cと、入射面212cから入射した光の少なくとも一部が全反射する全反射面212dとを有する複数の単位プリズム212eが、図12に示すように、プリズムシート210の外部にある中心Pから同心円状に配列され、形成されている。
この第3の飛散防止層213は、ポリエチレンテレフタレート樹脂等にガラスビーズ等の拡散材を混合して形成された厚さ188μmのシート状の部材であり、拡散部としての機能を有する。
リアプロジェクションテレビ2は、光源部22が透過型スクリーン200の下方に設けられるため、図13に示すように、光源部22から投射された映像光Lの透過型スクリーン200への入射角度は大きい。しかし、プリズム部212aは、透過型スクリーン200の入射側に設けられ、映像光を観察面側(出射側)へ略平行光として出射できるので、リアプロジェクションテレビ2の奥行きを小さく、薄型にすることができる。
(1)本実施例のレンチキュラーレンズシート220は、実施例1に示したレンチキュラーレンズシート120と同一の部材であるので、レンチキュラーレンズシート220は、その変形例として、レンチキュラーレンズシート120の変形例を用いることが可能である。
本実施例において、プリズムシート210は、プリズム基材部212b、第3の飛散防止層213にガラスビーズ等の拡散材を混合し、拡散部とする例を示したが、これに限らず、プリズムシート210において、拡散部としての機能を付与する層及びその数は、特に限定しない。
例えば、図16に示すように、プリズムシート210は、プリズム基材部212bに拡散材を混合せず(プリズム基材部212b−2)、接合層214−1に拡散材を混合して拡散部(接合層214−1−2)としてもよい。このとき、図示しないが、プリズムシート210は、第3の飛散防止層213ではなく、接合層214−2に拡散材を混合して拡散部としてもよい。
また、図示しないが、第3の飛散防止層213は、その表面に微細な凹凸形状を設けて拡散部としてもよいし、汎用の拡散シート等を用いてもよいし、透過型スクリーン200の垂直方向に光を拡散する、弱い拡散効果を有するレンチキュラーレンズが形成された光学シート等を用いてもよい。
本発明による実施例4の透過型スクリーン500は、光源部22側に設けられたプリズムシート510と、観察面側に設けられた拡散光学シート520とを備え、1組のスクリーンとして形成されている。
また、この透過型スクリーン500は、実施例3の透過型スクリーン200と同様に、図13に示すリアプロジェクションテレビ2に用いられる。
映像光Lは、図中の矢印で示され、図中の右側から透過型スクリーン500に入射し、図中の左側から出射する。また、図中の白抜きの円が分布した層は、光を拡散させる拡散材を含むことを示す。
プリズムシート510は、実施例3に示したプリズムシート210と同一の部材であり、本実施例のプリズムシート510における第1のガラス基板511、第1の飛散防止層512、第3の飛散防止層513、接合層514−1,514−2は、それぞれ、実施例3のプリズムシートにおける第1のガラス基板211、第1の飛散防止層212、第3の飛散防止層213、接合層214−1,214−2に対応し、同様の機能を有する。よって、重複する説明は省略する。
また、透過型スクリーン500は、事故等により第1、第2のガラス基板511,521が割れる等した場合に、その破片が飛散せず、安全である。
さらにまた、拡散光学シート520に用いられた拡散光学要素522aは、製造が容易であり、高精細のものが製造できるので、生産コストを低く抑えることができ、高画質の透過型スクリーンを提供できる。
本実施例の透過型スクリーン500に用いられたプリズムシート510は、実施例3に示したプリズムシート210と同一の部材である。よって、プリズムシート510は、その変形例として、プリズムシート210の変形例を用いることができる。
また、本実施例の透過型スクリーン500に用いられた拡散光学シート520は、実施例2に示された拡散光学シート420と同一の部材である。よって、拡散光学シート520は、その変形例として、拡散光学シート420の変形例を用いることができる。
以上説明した実施例に限定されることなく、種々の変形や変更が可能であって、それらも本発明の均等の範囲内である。
また、これらの層は、その表面に微細な凹凸形状を設けることにより拡散効果を付与し、拡散部としてもよい。このように、拡散部としての効果を付与する場合、微細な凹凸形状を設ける面を介して隣接する2つの層は、その屈折率差が大きいほうが好ましい。
拡散材は、ガラスビーズに限らず、光の波長に依存しない大きさであれば、例えば、プラスチック等の有機系化合物により形成された粒子等でもよく、特に限定はしない。
なお、拡散部を設ける層は、特に限定しないが、ガラス基板に拡散材を混合させると、脆くなり、割れやすくなるので好ましくない。
また、光源部21,22が、LCD等の偏光依存性を有する光源である場合、各基材部は、トリアセチルセルロース等のセルロース系樹脂により形成されたシート状の部材や無延伸のポリカーボネート板等の複屈折性の低い部材を用いて、迷光を低減し、画質の向上を図ってもよい。
第2の飛散防止層123,223,423,523は、最も出射側(最観察面側)に積層されているので、反射防止機能を有する場合は、外光の映り込みを防止する効果がある。紫外線吸収機能を有する場合は、外光に含まれる紫外線によるスクリーンの黄変を防止する効果がある。防眩機能を有する場合は、画面のぎらつきを抑制することができる。ハードコート機能を有する場合は、スクリーンに傷が付くことを防止し、スクリーンの強度をあげる効果がある。帯電防止機能を有する場合は、透過型スクリーンに生じる静電気を除去し、埃等の付着を防止できる。防汚機能を有する場合は、スクリーン表面に汚れが付くことを防止できる。着色及び減光機能を有する場合は、コントラストを向上させ、画質の向上を図ることができる。センサー機能を有する場合は、タッチセンサー等に利用できる。
さらに、第2の飛散防止層123,223,423,523に限らず、他の飛散防止層にも、適宜このような機能を持たせてもよい。
このとき、基板として用いる部材の厚さは、2〜3mmの範囲内であれば特に限定しない。
実施例2から実施例4に示した接合層214−1,214−2,224−1,224−2,414−1,414−2,424−1,424−2,514−1,514−2,524−1,524−2もこれと同様である。
21,22 光源部
31,32 ミラー部
100,400,200,500 透過型スクリーン
110,410 フレネルレンズシート
111,211,411,511 第1のガラス基板
112,212,412,512 第1の飛散防止層
113,213,413,513 第3の飛散防止層
113a,413a フレネルレンズ部
113b,413b フレネル基材部
114−1,114−2,124−1,124−2 接合層
414−1,414−2,424−1,424−2 接合層
214−1,214−2,224−1,224−2 接合層
514−1,514−2,524−1,524−2 接合層
210,510 プリズムシート
212a,512a プリズム部
212b,512b プリズム基材部
120,220 レンチキュラーレンズシート
121,221,421,521 第2のガラス基板
122,222,422,522 第4の飛散防止層
122a,222a レンチキュラーレンズ部
122b,222b レンチキュラー基材部
122c 光吸収部
123,223,423,523 第2の飛散防止層
420,520 拡散光学シート
422a,522a 拡散光学要素部
422b,522b 拡散光学要素基材部
L 映像光
Claims (9)
- 入射側から投射された映像光を出射側に出射する透過型スクリーンであって、
入射側に設けられ、光透過性を有し、剛性の高い第1の高剛性基板層と、前記第1の高剛性基板層に積層され、前記映像光を屈折又は反射させ、出射側へ向ける偏向光学要素を有する偏向光学シートと、
出射側に設けられ、光透過性を有し、剛性の高い第2の高剛性基板層と、前記第2の高剛性基板層に積層され、前記映像光を屈折又は反射させ、拡散させる拡散光学要素とを有する拡散光学シートとを有し、
前記第1及び第2の高剛性基板層の両面に一体的に積層され、最も入射側の面及び最も出射側の面に配置され、前記第1及び第2の高剛性基板層の飛散を防止する飛散防止層と、
前記第1の高剛性基板層及び/又は前記第2の高剛性基板層の入射側及び出射側に設けられ、光を拡散させる拡散部と
を備え、
前記偏向光学シートは、前記飛散防止層の1つであり前記第1の高剛性基板層の入射側に一体的に積層された前記偏向光学要素を有する第1の飛散防止層と、前記第1の飛散防止層とは別層であり、前記第1の高剛性基板層の出射側に一体的に積層された第3の飛散防止層とを備え、
前記偏向光学要素は、光が入射する入射面と、前記入射面から入射した光の少なくとも一部を所定の方向に全反射する全反射面とを有する単位プリズムが複数配列されたプリズム部であること、
を特徴とする透過型スクリーン。 - 請求項1に記載の透過型スクリーンにおいて、
前記第1及び第2の高剛性基板層は、ガラス又は透光性セラミックスにより形成されていること、
を特徴とする透過型スクリーン。 - 請求項1又は請求項2に記載の透過型スクリーンにおいて、
前記拡散光学シートは、前記飛散防止層の1つであり前記第2の高剛性基板層の入射側に一体的に積層される第4の飛散防止層と、前記第4の飛散防止層とは別層であり、前記第2の高剛性基板層の出射側に一体的に積層された第2の飛散防止層と、前記飛散防止層の少なくとも1つに設けられた前記拡散光学要素とを備えること、
を特徴とする透過型スクリーン。 - 請求項3に記載の透過型スクリーンにおいて、
前記拡散光学要素は、入射した光の少なくとも一部を屈折する屈折面を有する単位光学形状が水平又は垂直方向に複数配列されたレンチキュラーレンズであること、
を特徴とする透過型スクリーン。 - 請求項3に記載の透過型スクリーンにおいて、
前記拡散光学要素は、入射した光の少なくとも一部を全反射する全反射面を有する単位光学形状が複数配列されていること、
を特徴とする透過型スクリーン。 - 請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載の透過型スクリーンにおいて、
前記飛散防止層の少なくとも1つは、拡散、反射防止、防眩、着色、減光、紫外線吸収、帯電防止、防汚、センサー、ハードコートの少なくとも1つの機能を有すること、
を特徴とする透過型スクリーン。 - 請求項1から請求項6までのいずれか1項に記載の透過型スクリーンにおいて、
前記第1及び第2の高剛性基板層と前記飛散防止層とを一体的に接合する接合層を有すること、
を特徴とする透過型スクリーン。 - 請求項7に記載の透過型スクリーンにおいて、
前記接合層の少なくとも1つは、光を拡散させる拡散材、紫外線を吸収する紫外線吸収剤の少なくとも1つを含むこと、
を特徴とする透過型スクリーン。 - 請求項1から請求項8までのいずれか1項に記載の透過型スクリーンと、
映像光を投射する光源部と、
前記光源部から投射された映像光を、前記透過型スクリーンに向けて反射させるミラー部と、
を備えた背面投射型表示装置。
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