JP4167555B2 - 絶縁被覆電線とその製造方法及び製造装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は新規な電磁波障害EMC(Electromagnetic Compatibility)対策を有する絶縁被覆電線とその製造方法及びその製造装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
【特許文献1】
特開2000-251545号公報
【特許文献2】
特開平11-40979号公報
【特許文献3】
特開平11-40981号公報
従来のEMC対策電線として、可撓性被覆によって軟磁性の薄帯又は軟磁性箔を巻回した複数個の磁性チューブを、互いに離間させて配置し、磁性チューブを可撓性被覆で1個毎又は複数個覆う例が特許文献1に記載されている。更に、特許文献2及び3にはノイズ対策部品として、軟磁性粉末を有機結合材によって一体にした筒状又はテープにしたものが示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
特許文献1に記載のEMC対策として、軟磁性薄帯又は軟磁性箔を巻回した磁性チューブを可撓性被覆で覆ったものであるが、電線全体の可撓性は、磁性チューブ間の間隔によって左右され、より高い可撓性が得られないだけでなく、このような巻回工程は生産性が低く、また電線表面に磁性チューブによる段差が生じケーブルの取り扱い性が低い。
又、特許文献2及び3においては、ノイズ対策部品を導線自身に直接形成するものではなく、取り扱い性が低いこと、更に配線の高密度化が困難である。
本発明の目的は、導線のノイズを効果的に低減でき、より高い可撓性を有する絶縁被覆電線とその製造方法及び製造装置を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は、導線の外周に、樹脂中に分散した磁性粉を有する複合材が連続的に供給されて前記樹脂の溶融凝固によって被覆され、前記磁性粉の少なくとも一部のアスペクト比が2〜10の形状を有し、その長手方向が前記導線の周方向に沿って配置しており、前記複合材の前記導線に対する周方向の透磁率がその長手方向より高い異方性を有することを特徴とする絶縁被覆電線にある。
又、本発明は、導線の外周に、少なくとも一部のアスペクト比が2〜10の形状を有する磁性粉と樹脂とを有する複合材の被覆を形成する電線の製造方法において、前記導線の外周に前記複合材を連続的に供給して前記樹脂の溶融凝固によって被覆する際に、溶融した前記樹脂に前記導線の周方向のベクトル成分を持つ磁界を印加しながら前記被覆を形成することを特徴とする絶縁被覆電線の製造方法にある。
前記導線の周方向成分を持つ磁界の印加により、磁性粉の少なくとも一部を磁界の方向に沿って配列させること、又、加熱されたダイスの入口から導線と絶縁材とを連続的に導入すると共に、ダイスの出口側に配置された磁界発生手段によって絶縁材に磁界を印加しながら被覆を形成することが好ましい。
【0005】
更に、本発明は、入口側と出口側とを有するダイスの前記入口に導線と樹脂からなる絶縁材中に磁性粉を分散した複合材とを連続的に導入し、前記導線の外周に溶融した前記複合材によって被覆を形成する絶縁被覆電線の製造装置であって、前記ダイスの出口側で溶融した前記複合材に前記導線の周方向のベクトル成分を持つ磁界を印加する磁界印加手段を有することを特徴とする絶縁被覆電線の製造装置にある。
ダイスはその少なくとも出口側が非磁性金属からなること、その磁界印加手段が磁石又は電磁石であること、更に、出口側外周部に設けられた磁石又は電磁石とダイスの出口側先端に磁石又は電磁石に接して設けられた軟磁性材料からなるヨークとを有し、磁石がSm-Co系焼結磁石であることが好ましい。絶縁材の被覆形成工程において磁界を印加するためには、磁石又は電磁石はダイスを挟んで対向して配置させ、更に導線外周部に磁界が集中するようにヨークを絶縁被覆電線を挟んで対向して一対配置させることにより磁気ギャップを通して磁気回路を形成させると共に、各ヨークは互いに絶縁被覆電線の径方向に対して異なる幅を有するものとすることにより導線の周方向に沿った効果的な磁界が形成され、磁性粉の長手方向が導線の周方向に揃ったものとなる。
ダイスの外周部に加熱手段を有すること、ダイスは絶縁材が導線の全周に供給されるように導入口を有することが好ましい。
【0006】
磁性粉には、γ-Fe2O3、Fe3O4、Fe、Co、Ni、Fe−Co、Fe−Co−Ni、Fe-Si-Alの中から少なくとも一つの軟磁性材料を選択し、樹脂材としては、ポリオレフィン、塩化ビニル、塩素化ポリエチレン、塩素化ブチルゴム、熱可塑性エラストマー、エチレン−酢酸エチル共重合体、エチレン−エチルアクリレート共重合体ナドノエチレン共重合体、エチレンプロピレンゴムが挙げられる。これらの樹脂の少なくとも1種類と磁性粉との混合物からなる複合材が用いられる。複合材を導線外周側に被覆する際に、複合材を加熱して磁性粉が磁界により動きやすくし、印加磁界を所定の値以上とすることにより、磁性粉の容易磁化方向又は形状異方性の方向が磁界に沿って揃うようになる。磁性粉が揃う磁界の大きさは、磁性粉の材質や樹脂の粘度、磁性粉体積率と被覆速度などに依存する。磁性粉は、アトマズ等によって得られた粉末を圧延して偏平にする方法、合金においてはその溶湯を回転するロールの周面に注湯して箔帯としそれを切断する方法等によってアスペク比が1を越えるものとする。樹脂は粉末でも、チップでもよく、チップにおいては加熱ローダによって磁性粉末を加えて混練して供給する。
【0007】
樹脂と磁性粉の複合材は、加熱押し出し又は引き抜き用のダイス内に充填される。この充填室内では加熱されて溶融した樹脂と磁性粉に圧力が付加されているので、磁界による異方性の付加は困難であるが、ダイスにより被覆形状が一定になるダイス出口付近に磁界を集中させて被覆部に印加させることにより、樹脂内の磁性粉に印加磁界方向の異方性を付与させることができる。このとき必要な磁界は、導線の周方向のベクトル成分をもつ磁界である。このような磁界は、軟磁性体の一部にコイルを設け、磁界発生部をギャップとする電磁石による磁気回路とするか、又は軟磁性体に磁石を組み入れた磁気回路を利用できる。
【0008】
前者の磁気回路は、コイルに流す電流により磁界を制御するものであり、ダイス周囲の磁気回路以外にコイル電源が必要である。これに対し、後者の場合には、磁界発生源としてエネルギー積の大きな希土類磁石を使用するので、コイル電源は必要ない。ダイス温度は100℃以上となるように加熱されるため、希土類磁石には、キュリー温度が高く、エネルギー積の温度係数の小さなSm−Co系磁石が望ましい。このような磁気回路は、磁界をダイス出口付近に集中させるために、ダイス出口付近に磁気ギャップを設け、ダイス出口付近の磁性体断面積が最小になるように作製する。
ダイスの外周に設けられた加熱手段によって複合材を加熱溶融し、導線に被覆する際に、導線外周部に1kOe以上の磁界を発生させることができ、その結果磁性粉に異方性を付加させることが可能となる。
【0009】
以上のように、本発明は、軟磁性粉と樹脂からなる複合材を導線外周部に連続的に被覆することにより、段差等の凹凸の無い磁性体を有する被覆層による絶縁被覆電線が得られる。そのために、被覆層には軟磁性体と樹脂材料から構成された複合材を使用し、複合材を導線外周部に形成する際、外部磁界を印加して磁界方向に異方性をもった複合材を形成する。複合材として導線の周方向での透磁率を高めることで少ない磁性粉で磁界を印加しないものよりも導線のノイズを効果的に低減できると共に、より高い可撓性を有する絶縁被覆電線が得られ、電子機器などに使用するEMC対策を有する電線として、パーソナルコンピュータ等の各種電子装置の電源ケーブル、信号線などに適用される。
【0010】
【発明の実施の形態】
(実施例1)
図1は、本発明に係る絶縁被覆形成装置の断面図である。図1では、ダイス2の出口側の一部に強磁性体からなる材料を用いて磁石1とダイス2の強磁性体で構成された磁気回路を形成し、磁性粉と樹脂との複合材14に磁界が印加される。磁石1にはNdFeB系磁石又はSmCo系焼結磁石が用いられ、ダイスの上下にそれぞれ配置される。ダイス2の外周には加熱手段が設けられており、その加熱によってダイス2内の温度が150℃〜200℃になるため、NdFeBにDyを添加した焼結磁石やSm2Co17系磁石が望ましい。
【0011】
このような磁石1を用いる代わりに、磁石位置に電磁石を用いて磁気回路を構成することも可能である。電磁石を用いる場合、電磁石用電源を用いてダイス先端部の磁界強度を制御することが可能である。電流値を増加させることにより、ダイス2の先端部の磁界は増加するが、その増加により導線4外周部の周方向磁界成分も増加する。周方向磁界成分の増加により、複合材14の異方性も増加する。磁石又は電磁石により印加された磁界により、異方性が付加されたか否かは、導線4の外周部に成形された複合材14の磁気特性を測定することにより確認することが可能である。
【0012】
図1に示す絶縁被覆形成装置を用いて、アスペクト比(長径/短径比)2〜10、Fe-5〜11重量%Si-3〜8重量%Al合金磁性粉30体積%と塩素化ポリエチレンとの複合材14を、外周部に配置された加熱手段によって加熱したダイス2内に、導線4の全周に亘って導線4と共に左側から連続的に供給されるようにリング状の導入口10より複合材挿入部3に流し込み、導線4の外周部に溶融した樹脂を有する複合材14を被覆する。この時、導線を引っ張るか又は後方から押し出して、複合材14がダイス2の出口付近で均一に被覆され、その後に強制的に冷却される。図1においては、ダイス2は導線4と複合材14の入口側とW合金などの非磁性金属からなる出口側とを有し、電磁石又は磁石1がダイス2の出口側より外側に配置され、複合材14にN-Sの磁界が形成され、磁性粉の長手方向が磁界方向に沿って配列される。又、ダイス2の出口側は徐々に細くなるテーパを有している。
【0013】
測定には磁化曲線の方向依存性や、トルクメータ、カー効果などが使用でき、複合材の周方向の磁気特性と軸方向(電線の長手方向)の磁気特性の差を測定することにより、異方性の評価を行うことができ、又、被覆された複合材から円形試料を採取してトルク曲線を測定することにより、磁気異方性エネルギーに関して評価を行うことができる。本実施例においては、複合材は500 Oe以上の磁界印加により、磁界無しに比べてその印加磁界が大きくなるに従っていずれも、軸方向に比較して周方向でより高い透磁率を有することが交流磁気測定により確認した。
【0014】
更に、本実施例においては、磁性粉の長手方向が導線4の周方向に沿って配置されており、そのため樹脂自身の可撓性からなるもので複合材全体として優れた可撓性を有するものであった。
【0015】
(実施例2)
図2は、本発明に係る他の絶縁被覆形成装置の断面図である。図3は図2の右側面上半分の側面図である。図2では、図1の装置にダイス2の出口側に軟磁性体からなるヨーク6を設けたものである。このヨーク6の形成により、複合14に磁界が集中するようにしている。又、図3に示すように、磁石又は電磁石(上部)5、磁石又は電磁石(下部)7が省略されているが、ヨーク6からの磁界は下側のヨーク6に向かって磁界方向22のような導線4の周方向に沿った磁界となってヨーク間に印加される。導線4の外周部には複合材14が形成され、複合材14中の磁性粉の比透磁率は周囲のダイスの非磁性体よりも高いため、磁界は磁性粉を通って印加される。このとき、複合材14の周方向に磁界が印加され、磁性粉は異方性が付加されると共に、その長手方向が磁界の方向に沿って配列する。ダイス2はその出口側のヨーク6の周囲を非磁性部23とし、磁界が磁性粉に集中するようにする。
【0016】
本実施例では、アスペクト比(長径/短径)が3以上のFe-Si系磁性粉を用い、この磁性粉と塩素化ポリエチレンとの複合材を、実施例1と同様に、図2に示す絶縁被覆形成装置の加熱したダイス2内のリング状の導入口10より複合材挿入部3に流し込み、導線4の外周部に複合材14を形成する。この時、導線4を引っ張るか又は後方から押し出すことにより複合材14をダイス2の出口付近で導線4に均一に被覆できる。
図4は、印加磁界と異方性エネルギーとの関係を示す線図である。図4に示すように、本実施例によって作製された導線4の周囲に被覆された複合材14の異方性エネルギーはFe-Si系粉(アスペクト比3、体積率30%)で磁界に依存して増加している。磁界が500 Oe以上で磁界印加無しの複合材と比較して異方性エネルギーが増加している。尚、磁気異方性エネルギーはトルク曲線の測定、又は磁化測定から求めることができる。異方性が増加するのは、磁界印加により磁性粉の向きが印加磁界の方向に揃うためである。即ち、図3のように磁界がダイス2の端部の上下ヨーク間に印加された場合、磁性粉は磁界方向22に沿って回転し、磁界22の方向に異方性の方向が沿うようになる。磁性粉の回転は磁性粉周囲の樹脂の粘度(温度)、磁界強度、磁粉の粒度などに依存する。磁界の方向は、ヨーク6の形状、複合材の径方向及び厚さにも依存する。
【0017】
更に、本実施例においても、磁性粉の長手方向が導線4の周方向に沿って配置されていることから、複合材全体として優れた可撓性を有するものであった。
【0018】
(実施例3)
本実施例では、アスペクト比(長径/短径比)が3のFe-B系磁性粉を用い、磁性粉と低密度ポリエチレンとを混合し、その混合物を図2に示す被覆装置を用いて、約200℃に加熱したダイス2内の複合材挿入部3に流し込み、導線4の外周部に複合材を被覆形成する。この時、導線を引っ張るか又は後方から押し出して、複合材14がダイス2の出口付近で均一に被覆できるようにする。図2において磁界発生源に磁石5を用い、磁石材としてSm2Co17焼結磁石を使用した。ダイス2の出口側側面に磁界を集中させるために、磁石間にヨーク6を設けており、ヨーク材として、Fe又はFeCo合金を用いた。ダイス2の後方に強磁性体を配置して磁気回路を形成しても良い。また磁石5は片側に配置するだけでもダイス2の出口部に磁界印加可能である。
【0019】
図5は、透磁率と磁性粉体積率との関係を示す線図である。ここで、透磁率は、{周方向/軸方向(長手方向)}の透磁率の比である。図5に示すように、磁界を3000 Oe印加した場合の透磁率は、磁性粉体積率が10〜50%では図5のようにほぼ一定になる。無磁界中では、この2つの方向間に透磁率の差はほとんどない。磁界中では図5のように10%以上の少ない磁性粉でも透磁率の方向依存性が現れ、透磁率(相対値)が1.8-2.0となっている。
このように透磁率に方向依存性が見られるのは、図3で示すような磁界方向22の周方向成分により、磁粉の方向に異方性が付加された結果である。
更に、本実施例においても、磁性粉の長手方向が導線4の周方向に沿って配置されており、そのため樹脂自身の可撓性からなるもので複合材全体として優れた可撓性を有するものであった。
【0020】
(実施例4)
本実施例では、アスペクト比(長径/短径比)が3、粒径が3-50μmのFe-B系磁性粉を用い、実施例3と同様にエチレンオクテン共重合体とを混合物を図2に示す被覆装置を用いて、約150℃に加熱したダイス2内の複合材挿入部3に流し込み、導線4の外周部に複合材を被覆する。この時の装置構成及び導線4への被覆についても実施例3と同様であるが、ダイス2の出口側側面に強磁性体を配置して磁気回路を形成した。
【0021】
図6は、透磁率(相対値)と磁性粉体積率との関係を示す線図である。透磁率(相対値)は図5と同じである。図6に示すように、磁界を1000 Oe印加した場合の透磁率(相対値)は、磁性粉の体積率が10%から50%と多くなるに従って磁性粉体積率とともに単調に減少している。しかし体積率50%でも1.5以上の高い値となっており、更に10%と少ない量の方が2.0と高い値となっている。無磁界中では、この2つの方向間に透磁率の差はほとんどないが、磁界中では透磁率(相対値)の方向依存性が現れるため、透磁率(相対値)が1.5-2.0となっている。透磁率(相対値)が磁性粉体積率の増加とともに減少するのは、磁界が1000Oeと弱いため、体積率が増加すると磁粉の回転が困難になったためと考えられる。
【0022】
更に、本実施例においても、磁性粉の長手方向が導線4の周方向に沿って配置されており、そのため樹脂自身の可撓性からなるもので複合材全体として優れた可撓性を有するものであった。
【0023】
(実施例5)
図7は、本発明に係る他の絶縁被覆形成装置の断面図である。図8は図7のダイス出口の右側側面図である。本実施例では、ダイス2の出口側に強磁性体からなる上側ヨーク12と下側ヨーク13により、ダイス2の出口側で磁界が集中するようにしている。上側ヨーク12は複合材14の外径より大きく外側に配置して、複合材14に接触することはない。複合材挿入部3に挿入された複合材14はダイス2後方の加圧部15により押し出され、ダイス2の出口側で外径が決定され、導線16の外周側に被覆される。磁石11として、磁界発生源にはSm2Co17焼結磁石を使用する。
【0024】
図8に示すように、磁石11が省略されているが、下側ヨーク13は上側ヨーク12の径方向の幅を小さくして磁界が導線外周に集中するようにしてある。又、上側ヨーク12は下側ヨーク13の幅よりも広くしてあり、導線16外径の複合材14よりも狭い。このような形状にすることにより、より導線外周部の磁界を強くすることが可能である。
磁性粉としてアスペクト比(長径/短径比)3、粒径3-50μmのFe-B系磁性粉を用い、その磁性粉と塩素化ポリエチレンとを混合し、その混合物を図7に示す被覆装置を用いて磁性粉と塩素化ポリエチレンを混合した材料を約150℃に加熱したダイス2内の複合材挿入部3に流し込み、導線4の外周部に複合材を被覆する。この時、複合材を後方から押し出して、複合材がダイス先端付近で均一に被覆できるようにする。印加磁界は最大10kOeとすることが可能である。
図9は透磁率(相対値)と印可磁界との関係を示す線図である。透磁率(相対値)は図5と同じである。図9に示すように、図7及び図8に示すダイス2及びヨーク形状をもった磁気回路を使用して複合材14を被覆した結果、導線16外径2mm、複合材14外径3mmの場合の透磁率(相対値)は印可磁界の増加と共に高くなる結果が得られた。その時の透磁率(相対値)は2.4である。このように高い透磁率(相対値)になるのは、磁界強度によるものと考えられる。
【0025】
図7のような被覆装置のように磁界を印加した場合、磁界又は磁束の方向に沿って磁性粉が配向する。その向きはアスペクト比が2以上の時、磁性粉の長軸方向が磁界に沿ってより十分に配列するようになる。これは長軸方向が揃った方が、静磁エネルギーが低くなるためである。磁性粉が磁界の方向に沿って配向することで、複合材14の磁気特性には異方性が認められ、透磁率にも方向により差が生じる。配向方向の確認は、X線回折法、SEMなどによる組織観察、磁気特性評価がある。磁気特性評価には、トルク曲線の測定、透磁率、磁化曲線の評価により異方性の方向について確認することができる。
更に、本実施例においても、磁性粉の長手方向が導線4の周方向に沿って配置されており、そのため樹脂自身の可撓性からなるもので複合材全体として優れた可撓性を有するものであった。
【0026】
【発明の効果】
本発明によれば、被覆材として磁性粉を用い、導線の周方向での透磁率を効果的に高めることで、少ない磁性粉で導線のノイズを効果的に低減できると共に、優れた可撓性を有する絶縁被覆電線とその製造方法及びその製造装置を提供できるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の絶縁被覆電線の製造装置の断面図。
【図2】 ヨークを配置した本発明の絶縁被覆電線の製造装置の断面図。
【図3】 図2のダイス出口側の側面図。
【図4】 異方性エネルギーと印加磁界との関係を示す線図。
【図5】 透磁率(相対値)と磁性粉体積率との関係を示す線図。
【図6】 透磁率(相対値)と磁性粉体積率との関係を示す線図。
【図7】 ヨークを配置した本発明の被覆材被覆装置の断面図。
【図8】 図7のダイス出口側の側面図。
【図9】 透磁率(相対値)と印加磁界との関係を示す線図。
Claims (12)
- 導線の外周に、樹脂中に分散した磁性粉を有する複合材が連続的に供給されて前記樹脂の溶融凝固によって被覆され、前記磁性粉の少なくとも一部のアスペクト比が2〜10の形状を有し、その長手方向が前記導線の周方向に沿って配置しており、前記複合材の前記導線に対する周方向の透磁率がその長手方向より高い異方性を有することを特徴とする絶縁被覆電線。
- 導線の外周に、少なくとも一部のアスペクト比が2〜10の形状を有する磁性粉と樹脂とを有する複合材の被覆を形成する電線の製造方法において、
前記導線の外周に前記複合材を連続的に供給して前記樹脂の溶融凝固によって被覆する際に、溶融した前記樹脂に前記導線の周方向のベクトル成分を持つ磁界を印加しながら前記被覆を形成することを特徴とする絶縁被覆電線の製造方法。 - 請求項2において、前記電線の周方向成分を持つ磁界の印加により、前記磁性粉の少なくとも一部を前記磁界の方向に沿って配列させることを特徴とする絶縁被覆電線の製造方法。
- 請求項3において、加熱されたダイスの入口から前記導線と絶縁材とを連続的に導入すると共に、前記ダイスの出口側に配置された磁界発生手段によって前記複合材に磁界を印加しながら前記被覆を形成することを特徴とする絶縁被覆電線の製造方法。
- 入口側と出口側とを有するダイスの前記入口に導線と樹脂からなる絶縁材中に磁性粉を分散した複合材とを連続的に導入し、前記導線の外周に溶融した前記複合材によって被覆を形成する絶縁被覆電線の製造装置であって、前記ダイスの出口側で溶融した前記複合材に前記導線の周方向のベクトル成分を持つ磁界を印加する磁界印加手段を有することを特徴とする絶縁被覆電線の製造装置。
- 請求項5において、前記ダイスはその少なくとも出口側が非磁性金属からなることを特徴とする絶縁被覆電線の製造装置。
- 請求項5において、前記磁界印加手段が磁石又は電磁石であることを特徴とする絶縁被覆電線の製造装置。
- 請求項5において、前記磁界印加手段は、前記出口側外周部に設けられた前記磁石又は電磁石と、前記ダイスの出口側先端に前記磁石又は電磁石に接して設けられた軟磁性材料からなるヨークとを有することを特徴とする絶縁被覆電線の製造装置。
- 請求項5において、前記磁石がSm-Co系焼結磁石であることを特徴とする絶縁被覆電線の製造装置。
- 請求項8において、前記磁石又は電磁石は前記ダイスを挟んで対向して配置され、前記ヨークは前記絶縁被覆電線を挟んで対向して一対配置され、各前記ヨークは互いに前記絶縁被覆電線の径方向における幅が異なることを特徴とする絶縁被覆電線の製造装置。
- 請求項5において、前記ダイスの外周部に加熱手段を有することを特徴とする絶縁被覆電線の製造装置。
- 請求項5において、前記ダイスは、前記絶縁材が前記導線の全周に供給されるように導入口を有することを特徴とする絶縁被覆電線の製造装置。
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