JP4166912B2 - ドウガネブイブイの性誘引剤 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は重要な農業害虫であるドウガネブイブイ成虫に対して優れた誘引性を示す性誘引剤に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ドウガネブイブイ(学名:Anomala cuprea)は、幼虫がイチゴ・サツマイモ・ラッカセイなどの地下部を加害する土壌害虫であるうえに、成虫がブドウ・クリ・ダイズなどの果樹類・畑作物の葉を食害する農業上極めて重要な害虫である。この虫の成虫は夜行性で、かつ広範囲を飛翔移動するため、また幼虫は土壌中に生息するため、共に発生を正確に把握することが難しく、また、有効量の薬剤を直接に接触させることが難しいことから薬剤防除が困難ないわゆる難防除害虫のひとつとなっている。すなわち、従来この害虫の防除には、幼虫に対してクロルピクリン等の土壌燻蒸、カルボスルファン・ダイアジノン・MPPなどの粒剤の土壌混和処理等が行われているものの、これらの薬剤は残効性が充分でなく栽培期間全般にわたって防除効果を維持することは極めて困難となっている。また、安定した防除効果を得るためには、土壌全体に薬剤を浸透させる必要があるため、薬剤の投入量も多くなることから環境上の問題も生じやすい。
【0003】
このような状況の中、薬剤防除に代わる防除方法のひとつとして、近年、誘引剤の研究が進展しつつある。その成果として、雄成虫を誘引する性フェロモン(性誘引剤)として(R,Z)-5-(1-オクテニル)オキサシクロペンタン-2-オン、(R,Z)-5-(1-デセニル)オキサシクロペンタン-2-オン、および(Z)-5-テトラデセン酸メチルが(特開平5-86046号公報、特開平6-87702号公報、特開平9-323906号公報)、雄雌両性の成虫を誘引するカイロモン(食物誘引剤)として青葉アルコール及びそのエステル類、メチルイソオイゲノール及びその類縁化合物が明らかにされており(特開平7-242506号公報、特開平9-124409号公報)、これらを誘引剤として利用したトラップがすでに発生調査等に利用されている。しかしながら、これらの誘引物質のうち特に性誘引剤として作用する上記3種の化合物は、光学異性あるいは幾何異性を有する化合物であることから、特定の立体構造を有する活性体のみを選択的に安価に合成することは困難となっている。そのため、それらの化合物を配合した誘引剤の価格が高くなってしまい、このことが防除場面での普及を妨げる一因となっていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような背景のもとになされたものであり、その目的とするところは、ドウガネブイブイ成虫に対して高い効果を保持しながら、より安価な性誘引剤を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決すべく、3種の性誘引剤成分をラセミ体あるいは純度の低いより安価な化合物等に置き換えて、その誘引効果を調べた。その結果、(R,Z)-5-(1-オクテニル)オキサシクロペンタン-2-オンおよび(R,Z)-5-(1-デセニル)オキサシクロペンタン-2-オンの2成分については、異性体の混和によって誘引効果が失われてしまうのに対して、(Z)-5-テトラデセン酸メチルについては、ドデカン酸メチルおよびテトラデカン酸メチル等の幾何異性体の存在しない、不飽和化合物に比べ物質として安定かつ合成し易く、さらに安価である飽和化合物に置き換えても、ドウガネブイブイ成虫に対する誘引効果を全く低下させないことが明らかになった。本発明はかかる知見に基づいてなされたものである。
【0006】
すなわち、本発明は(R,Z)-5-(1-オクテニル)オキサシクロペンタン-2-オン、(R,Z)-5-(1-デセニル)オキサシクロペンタン-2-オンの2成分に一般式(I)
CH3(CH2)nCOOCH3 (I) (式中、nは8〜14の整数を示す。)
で表される化合物から選択される少なくとも1種の化合物を加えた3成分を有効成分として含有することを特徴とするドウガネブイブイ成虫に対する性誘引剤である。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の誘引剤は、公知の性誘引物質である(R,Z)-5-(1-オクテニル)オキサシクロペンタン-2-オン、(R,Z)-5-(1-デセニル)オキサシクロペンタン-2-オンの2成分と新たに活性を見いだした第3の成分の計3種の成分を有効成分とする。上記2成分に加える第3の有効成分としては、一般式(I)
【0008】
CH3(CH2)nCOOCH3 (I)
(式中、nは8〜14の整数を示す。好ましくはnは10〜12の整数。)
で表される化合物、すなわち、デカン酸メチル、ウンデカン酸メチル、ドデカン酸メチル、テトラデカン酸メチル、ペンタデカン酸メチル、ヘキサデカン酸メチルをあげることができる。それらの中でも入手の容易さおよび効果の点から特にドデカン酸メチルおよびテトラデカン酸メチルを好ましい化合物としてあげることができる。これらの化合物は、石鹸やエステル合成の原料として極めて安価に入手が可能である脂肪酸から、常法によって容易に合成が可能な物質である。上記有効成分3種は任意の比率で配合することが可能であるが、通常(R,Z)-5-(1-オクテニル)オキサシクロペンタン-2-オン100重量部に対して、(R,Z)-5-(1-デセニル)オキサシクロペンタン-2-オンおよび一般式(I)
【0009】
CH3(CH2)nCOOCH3 (I)
(式中、nは8〜14の整数を示す。好ましくはnは10〜12の整数。)
で表される化合物をそれぞれ5〜100重量部、好ましくは10〜50重量部配合して用いる。さらに、必要に応じて本発明の性誘引剤と公知の食物誘引剤である青葉アルコールおよびそのエステル類、メチルイソオイゲノールおよびその類縁化合物とを組み合わせることも可能であり、この場合はドウガネブイブイの雌雄両性の成虫に対してより高い誘引効果を得ることができる。
【0010】
本発明に関わる誘引剤の調製は、これらの化合物を用いて通常誘引剤の調製に際して適用されている製剤化技術を利用して行うことができる。例えば、これらの化合物をそのまま、あるいはエーテル・アセトン等の適当な溶媒で希釈した後、適当な担体、例えば、各種合成高分子体・ゴム等に吸着させたり、綿や不織布・紙・繊維などに含浸させたり、さらに適当な高分子材料の成型物に封入して製剤化することができる。有効成分の含有量は使用環境に応じて適宜定めることができるが、通常製剤当たり有効成分量を1〜10 mg添加することが好ましい。本発明の誘引剤は水盤式、滑落式、粘着式等の任意の形態の捕虫器の誘引源として利用することが可能であるほか、接触毒作用を有するダイアジノン等の殺虫剤を塗布した木片、樹脂片等に含浸させ、誘引捕殺に利用することも可能である。
次に実施例を示し、本発明についてさらに具体的に説明する。
【0011】
【実施例】
〔実施例1〕
(R,Z)-5-(1-オクテニル)オキサシクロペンタン-2-オン、(R,Z)-5-(1-デセニル)オキサシクロペンタン-2-オンとテトラデカン酸メチル、もしくは対照として(Z)-5-テトラデセン酸メチルおよび(Z)-5-ドデセン酸メチルのそれぞれを表1に示す重量ずつ濾紙片に添加した後、ポリエチレンフィルムでシールして製剤化した。この製剤を乾式滑落式トラップ(商標名ウィンズパック、日本たばこ産業株式会社製)に装着し、神奈川県秦野市の落花生畑に設置した。トラップは各試験区共に4個ずつ用い、3〜7日毎に捕虫数を調査した。捕虫結果は、(R,Z)-5-(1-オクテニル)オキサシクロペンタン-2-オン、(R,Z)-5-(1-デセニル)オキサシクロペンタン-2-オン、(Z)-5-テトラデセン酸メチルの3成分を有効成分とする公知の性誘引剤(製剤3)による捕虫数を100とした捕虫比で示した(表1)。
【0012】
その結果、本発明の(R,Z)-5-(1-オクテニル)オキサシクロペンタン-2-オン、(R,Z)-5-(1-デセニル)オキサシクロペンタン-2-オンおよびテトラデカン酸メチルの3成分を有効成分とする性誘引剤(製剤1)は、(R,Z)-5-(1-オクテニル)オキサシクロペンタン-2-オンおよび(R,Z)-5-(1-デセニル)オキサシクロペンタン-2-オンの2成分のみを有効成分とする性誘引剤(製剤2)と比較して顕著に誘引効果が高いことが明らかになり、上記2成分に不飽和化合物である(Z)-5-テトラデセン酸メチルを加えた3成分を有効成分とする公知の性誘引剤(製剤3)、あるいは同じく不飽和化合物(Z)-5-ドデセン酸メチルを加えた3成分を有効成分とする性誘引剤(製剤4)と同等以上の誘引効果を示した。
【0013】
【表1】
【0014】
〔実施例2〕
(R,Z)-5-(1-オクテニル)オキサシクロペンタン-2-オン、(R,Z)-5-(1-デセニル)オキサシクロペンタン-2-オンとデカン酸メチル、ドデカン酸メチル、テトラデカン酸メチル、ヘキサデカン酸メチルのそれぞれを表2に示す重量ずつグラスウールに添加した後、ポリエチレンフィルムで覆い、シールして製剤化した。また対照として、(R,Z)-5-(1-オクテニル)オキサシクロペンタン-2-オン、(R,Z)-5-(1-デセニル)オキサシクロペンタン-2-オンだけを組み合わせたものを表2に示す重量ずつ調製し、製剤とした。これらの製剤を乾式滑落式トラップ(商標名ウインズパック、日本たばこ産業株式会社製)に装着し、神奈川県秦野市落花生畑に設置した。トラップは各試験区共に4トラップを設置し5日毎に捕虫数を調査した。捕虫結果は1日1トラップあたりに換算した雌雄別捕虫数を示した(表2)。
【0015】
その結果、(R,Z)-5-(1-オクテニル)オキサシクロペンタン-2-オン、(R,Z)-5-(1-デセニル)オキサシクロペンタン-2-オンにデカン酸メチルを加えた3成分を有効成分としたもの(製剤5)、ヘキサデカン酸メチルを加えたもの(製剤8)の性誘引剤は、(R,Z)-5-(1-オクテニル)オキサシクロペンタン-2-オン、(R,Z)-5-(1-デセニル)オキサシクロペンタン-2-オンの2成分のみを有効成分とする性誘引剤(製剤9、対照)と比較して、雄雌合計で3倍近い捕虫数を示し、さらに(R,Z)-5-(1-オクテニル)オキサシクロペンタン-2-オン、(R,Z)-5-(1-デセニル)オキサシクロペンタン-2-オンに、ドデカン酸メチルを加えたもの(製剤6)、テトラデカン酸メチルを加えたもの(製剤7)は、製剤9(対照)と比較して5倍以上の捕虫数を示した。
【0016】
【表2】
【0017】
【発明の効果】
本発明のドウガネブイブイ成虫に対する性誘引剤は、公知の3成分性誘引剤(有効成分:(R,Z)-5-(1-オクテニル)オキサシクロペンタン-2-オン、(R,Z)-5-(1-デセニル)オキサシクロペンタン-2-オン、(Z)-5-テトラデセン酸メチル)より安価でありながら、同等の誘引効果を示す。
Claims (1)
- (R,Z)-5-(1-オクテニル)オキサシクロペンタン-2-オン、(R,Z)-5-(1-デセニル)オキサシクロペンタン-2-オンの2成分に一般式(I)
CH3(CH2)nCOOCH3 (I) (式中、nは8〜14の整数を示す。)
で表される化合物から選択される少なくとも1種の化合物を加えた3種の成分を有効成分として含有することを特徴とするドウガネブイブイ成虫に対する性誘引剤。
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1999
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