JP4166523B2 - 内視鏡用ドレナージチューブ留置具 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、ドレナージチューブを体腔内に留置するために内視鏡の処置具挿通チャンネルに挿通して使用される内視鏡用ドレナージチューブ留置具に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、膵管や胆管内等に溜まった分泌液を排出させるために経内視鏡的にドレナージチューブを体内に留置する手技に用いられる内視鏡用ドレナージチューブ留置具は、生体組織に穿刺される穿刺部が先端に設けられた可撓性のガイドワイヤと、ガイドワイヤの先端寄りの位置に被嵌されて摩擦抵抗によってそこに保持されたドレナージチューブと、ドレナージチューブを先側に押し出せるようにガイドワイヤに緩く被嵌された可撓性チューブからなるプッシャーとを有している。
【0003】
そして内視鏡用ドレナージチューブ留置具には、ガイドワイヤとプッシャーとを手元側において係脱させるための係脱機構が設けられていて、使用時には、まずガイドワイヤを、手元側にプッシャーが係止されて先端寄りの位置にドレナージチューブが摩擦保持された状態で体内の目標部位に突き刺す。
【0004】
そして、手元側におけるガイドワイヤとプッシャーとの係止状態を解除して、プッシャーによりドレナージチューブをガイドワイヤの先端から押し出すようになっている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上述のような内視鏡用ドレナージチューブ留置具においては、ガイドワイヤで目標部位を穿刺をする際に目標部位の状態に合わせて穿刺深さを調整できるよう、ガイドワイヤとプッシャーとの係止位置を調整してドレナージチューブ先端からのガイドワイヤの突出長を調整できるようにするのが望ましい。
【0006】
そこで、ガイドワイヤとプッシャーとを手元側において係脱させるための係脱機構として、従来は手動固定ネジが用いられており、手動固定ネジの摘まみを軸線周りに回転させることによってガイドワイヤとプッシャーとを任意の位置関係で手元側で係止及び係止解除できるようになっている(例えば特開平11−318821号)。
【0007】
しかし、ガイドワイヤの先端を膵管内又は胆管内等の目標部位に突き刺した状態で手元側の手動固定ネジを回転操作するのは、操作が面倒でやり難いので、その操作でもたついている間にガイドワイヤの先端が目標部位の正面から移動してしまって、穿刺操作をやり直さなければならない場合がある等の不都合があった。
【0008】
そこで本発明は、プッシャー先端から先のガイドワイヤの突出長を手元側で容易かつ確実に調整することができる内視鏡用ドレナージチューブ留置具を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本発明の内視鏡用ドレナージチューブ留置具は、生体組織に穿刺される穿刺部が先端に設けられた可撓性のガイドワイヤと、ガイドワイヤの先端寄りの位置に被嵌されて摩擦抵抗によってそこに保持されたドレナージチューブと、ドレナージチューブを先側に押し出せるようにガイドワイヤに緩く被嵌された可撓性チューブからなるプッシャーと、ガイドワイヤとプッシャーとを手元側において係脱させるための係脱機構とを有し、内視鏡の処置具挿通チャンネルに挿通して使用される内視鏡用ドレナージチューブ留置具において、プッシャーの手元側部分にシリンダ状筒体を取り付けて、そのシリンダ状筒体に対して軸線方向に進退自在に嵌合する内側筒体をガイドワイヤの手元側部分に取り付け、係脱機構として、付勢手段により待機状態に戻される押しボタンをシリンダ状筒体に取り付けると共に、押しボタンが押された状態のときにだけ押しボタンに連なる係合部が係合する被係合部を、内側筒体の複数箇所に軸線方向に間隔をあけて設けたものである。
【0010】
なお、押しボタンが、両筒体の軸線に対して垂直な線と平行方向に進退するように取り付けられていてもよく、被係合部が内側筒体の外周面の複数箇所に回転方向に位置を変えて設けられていてもよい。
【0011】
【発明の実施の形態】
図面を参照して本発明の実施例を説明する。
図1は本発明の参考例の内視鏡用ドレナージチューブ留置具を示しており、1は、例えば導電性のあるステンレス鋼線の単線又は撚り線からなる可撓性のあるガイドワイヤであり、使用される内視鏡の処置具挿通チャンネルより例えば10〜20cm程度長い全長に形成されて、先端部分には、生体組織に穿刺するための穿刺部1aが形成されている。
【0012】
ガイドワイヤ1の表面部には、四フッ化エチレン樹脂、ポリイミド樹脂又はポリエチレン樹脂等のコーティング又はチューブ等からなる電気絶縁性の被覆1bが穿刺部1aを除くほぼ全体にガイドワイヤ1と一体になるように施されている。
【0013】
ガイドワイヤ1の先端近傍の位置には、体内における排液をするために留置されるドレナージチューブ3が、例えばガイドワイヤ1の先端の穿刺部1aから数mm〜数cm程度の間隔Lをあけて被嵌されている。
【0014】
このドレナージチューブ3は、二点鎖線で示されるように、自然状態において両端がカールしたいわゆるピッグテール型ドレナージチューブであり、体内臓器内に留置されたときに、両端のカール部が臓器内に納まってアンカーの役割を果たすものである。ただし、ドレナージチューブ3は真っ直ぐ又はS字形等各種のタイプのものを用いてもよい。
【0015】
ピッグテール型のドレナージチューブ3は、例えばフッ素樹脂等の軟質プラスチックからなり、ガイドワイヤ1に被嵌された状態では弾性変形して真っ直ぐになり、元の形状に戻ろうとする自己の弾性でガイドワイヤ1との間に生じる摩擦抵抗によって、ガイドワイヤ1に保持される。
【0016】
ドレナージチューブ3が保持された部分より手元側の部分には、ドレナージチューブ3を先側に押し出すための可撓性チューブからなるプッシャー4が、ガイドワイヤ1に全長にわたって緩く被嵌されている。
【0017】
プッシャー4は、四フッ化エチレン樹脂、ポリイミド樹脂又はポリエチレン樹脂等の電気絶縁性の可撓性チューブによって形成されて、ガイドワイヤ1に対して進退自在に被嵌され、その先端面がドレナージチューブ3の後端面に当接している。
【0018】
したがって、ガイドワイヤ1に沿ってプッシャー4を前方に押せば、手元側からの操作によりドレナージチューブ3をガイドワイヤ1の先端から押し出すことができる。
【0019】
ドレナージチューブ留置具の手元側に配置された手元部本体11は、内視鏡の処置具挿通チャンネルの入口部分に着脱自在なルアーロック雌口金部11aが支持筒体部11bの一端側に固着され、その支持筒体部11bの他端側にキャップ部11cが螺合により取り付けられた構成になっている。
【0020】
そして、プッシャー4の基端に連結固着された例えばステンレス鋼等からなるシリンダ状筒体12が支持筒体部11b内に軸線方向に進退自在に嵌挿されていて、そのシリンダ状筒体12を手元部本体11に任意に固定するための手動固定ネジ13がキャップ部11cの側面に形成されたネジ孔に螺合している。14は、手動固定ネジ13の抜け止めのための抜け止めピンである。
【0021】
したがって、手動固定ネジ13を緩めれば、プッシャー4を内視鏡の処置具挿通チャンネルに対して挿脱方向に移動させるようにシリンダ状筒体12を進退させることができ、手動固定ネジ13を締め付ければ、シリンダ状筒体12が手元部本体11に固定されてプッシャー4が内視鏡に対して移動しない状態になる。
【0022】
ガイドワイヤ1の基端部分には、一部がシリンダ状筒体12の基端から突出した状態になる例えば電気絶縁性のプラスチックパイプ等からなる内側筒体15が被覆1bを囲む状態に固着されて、シリンダ状筒体12に対して軸線方向に進退自在に嵌挿されている。
【0023】
そして、内側筒体15の基端には、高周波電源コードを接続するための接続コネクタ16が取り付けられていて、接続コネクタ16の接続端子16aがガイドワイヤ1と電気的に導通している。したがって、ガイドワイヤ1を介してその先端の穿刺部1aに高周波電流を通電し、目標部位への穿刺の際に出血させることなく円滑に穿刺することができる。
【0024】
シリンダ状筒体12の突出端には、ガイドワイヤ1とプッシャー4とを手元側において係脱させるための係脱機構18を支持する台座17が固着されており、その部分のII−II断面が図2に示されている。
【0025】
係脱機構18には、外方から指先で押し込み操作することにより、両筒体15,12の軸線に対して垂直な線と平行な方向に移動するように、押しボタン18aが圧縮コイルスプリング18b(付勢手段)により外方に付勢された状態で配置されている。
【0026】
したがって、押しボタン18aを押し込み操作してからその押し込み力を緩めると、押しボタン18aが圧縮コイルスプリング18bの付勢力によって図2に示される待機状態に弾力的に戻される。
【0027】
内側筒体15の外周面の押しボタン18aに隣接する部分には円周溝からなる係合凹部15a(被係合部)が形成されていて、押しボタン18aに連続してその部材の奥の部分には係合凹部15aと係合する係合部18cが形成され、係合部18cと押しボタン18aとの中間の部分は係合凹部15aに対して退避した退避部18dになっている。
【0028】
係合凹部15aは、内側筒体15の外周面に軸線方向に間隔をあけて複数箇所(この実施例では3ヵ所)に形成されており、係脱機構18の係合部18cを係合させる係合凹部15aを選択することによって、シリンダ状筒体12に対する内側筒体15の軸線方向固定位置を変えて、図1に二点鎖線で示されるように、ドレナージチューブ3から先側に突出するガイドワイヤ1の穿刺部1aの突出長Lを調整することができる。
【0029】
そのような構成により、押しボタン18aが押されない待機状態では、図2に示されるように、係脱機構18の係合部18cが内側筒体15の係合凹部15aの一つと係合状態になり、それによって内側筒体15がシリンダ状筒体12に係止された状態になる。
【0030】
そして、ガイドワイヤ1とプッシャー4との相対的軸線方向移動が阻止されるので、ガイドワイヤ1の穿刺部1aを目標部位へ誘導、穿刺する操作等は、係脱機構18の待機状態で行われる。
【0031】
その際に、目標部位の状態に合わせてガイドワイヤ1の穿刺部1aの突出長Lを調整する際には、図3に示されるように、係脱機構18の押しボタン18aを指先で押し込み操作することにより係合部18cと係合凹部15aとの係合が外れる。
【0032】
そして、押しボタン18aから指先を離してシリンダ状筒体12と内側筒体15とを相対的に軸線方向に移動させれば、係合部18cが隣の係合凹部15aに係合して、ガイドワイヤ1の穿刺部1aの突出長が変化した状態でガイドワイヤ1とプッシャー4とが係止状態になり、ガイドワイヤ1の穿刺部1aの突出長Lを瞬時に簡単に調整することができる。
【0033】
そして、ガイドワイヤ1の穿刺部1aが目標部位に穿刺されたら、押しボタン18aを押し込み操作して、係脱機構18の係合部18cと内側筒体15の係合凹部15aとの係合が外れた状態にすることにより、ガイドワイヤ1とプッシャー4との相対的軸線方向移動が自由になるので、プッシャー4をシリンダ状筒体12によって先側に押し込むことにより、ドレナージチューブ3をガイドワイヤ1の先端から押し出して目標部位に留置することができる。
【0034】
なお、本発明は上記参考例に限定されるものではなく、例えば図4に示されるように、複数の係合凹部15aを各々円周溝ではない部分的な凹部状に形成して、内側筒体15の外周面に回転方向に位置を変えて(例えば係合凹部15aが3ヵ所の場合には120°間隔で)配置してもよい。
【0035】
そのように構成することにより、穿刺後に係脱機構18の押しボタン18aを押し込んで係合部18cと係合凹部15aとの係合を外した後、シリンダ状筒体12を軸線方向に真っ直ぐに進退させる時に、押しボタン18aから指先を離しても係合部18cが他の係合凹部15aと係合せず円滑に操作することができる。
【0036】
【発明の効果】
本発明によれば、プッシャーの手元側部分にシリンダ状筒体を取り付けて、そのシリンダ状筒体に対して軸線方向に進退自在に嵌合する内側筒体をガイドワイヤの手元側部分に取り付け、係脱機構として、付勢手段により待機状態に戻される押しボタンをシリンダ状筒体に取り付けると共に、押しボタンが押された状態のときにだけ押しボタンに連なる係合部が係合する被係合部を、内側筒体の複数箇所に軸線方向に間隔をあけて設けたことにより、指先で押しボタンを押し込み操作するだけで、手元側におけるガイドワイヤとプッシャーとの係止位置調整を行って、プッシャー先端から先のガイドワイヤの突出長を極めて容易かつ確実に調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の参考例の内視鏡用ドレナージチューブ留置具の側面断面図である。
【図2】 本発明の参考例の内視鏡用ドレナージチューブ留置具の待機状態の図1におけるII−II断面図である。
【図3】 本発明の参考例の内視鏡用ドレナージチューブ留置具の係脱機構の押しボタンが押された状態の図1におけるII−II断面図である。
【図4】 本発明の実施例の内視鏡用ドレナージチューブ留置具の手元側部分の側面部分断面図である。
【符号の説明】
1 ガイドワイヤ
1a 穿刺部
3 ドレナージチューブ
4 プッシャー
11 手元部本体
12 シリンダ状筒体
15 内側筒体
15a 係合凹部(被係合部)
17 台座
18 係脱機構
18a 押しボタン
18b 圧縮コイルスプリング(付勢手段)
18c 係合部
18d 退避部
L 突出長
Claims (2)
- 生体組織に穿刺される穿刺部が先端に設けられた可撓性のガイドワイヤと、上記ガイドワイヤの先端寄りの位置に被嵌されて摩擦抵抗によってそこに保持されたドレナージチューブと、上記ドレナージチューブを先側に押し出せるように上記ガイドワイヤに緩く被嵌された可撓性チューブからなるプッシャーと、上記ガイドワイヤと上記プッシャーとを手元側において係脱させるための係脱機構とを有し、内視鏡の処置具挿通チャンネルに挿通して使用される内視鏡用ドレナージチューブ留置具において、
上記プッシャーの手元側部分にシリンダ状筒体を取り付けて、そのシリンダ状筒体に対して軸線方向に進退自在に嵌合する内側筒体を上記ガイドワイヤの手元側部分に取り付け、上記係脱機構として、付勢手段により待機状態に戻される押しボタンを上記シリンダ状筒体に取り付けると共に、上記押しボタンが押されていない状態のときにだけ上記押しボタンに連なる係合部が係合する係合凹部を、上記内側筒体の複数箇所に軸線方向に間隔をあけて且つ軸線周り方向に位置を変えて設け、上記押しボタンが押されていない状態で上記内側筒体が上記シリンダ状筒体に対し軸線方向に真っ直ぐに進退操作されたときに上記係合部が上記複数の係合凹部のうちの一つ以外と係合しないようにしたことを特徴とする内視鏡用ドレナージチューブ留置具。 - 上記押しボタンが、上記両筒体の軸線に対して垂直な線と平行方向に進退するように取り付けられている請求項1記載の内視鏡用ドレナージチューブ留置具。
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- 2002-07-15 JP JP2002205500A patent/JP4166523B2/ja not_active Expired - Fee Related
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