JP4165926B2 - 部品の搬送方法およびその装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は部品の搬送方法およびその装置に関し、例えば、部品供給部の電子部品をバンプ形成などの各種の作業に供した後、直接あるいはレベラーによりレベル調整を行う補助作業を経て部品収納部に収納するような場合に用いられる部品の搬送方法およびその装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
例えば、回路基板にICチップを装着して電子回路基板を製造する際に、ICチップと回路基板上の回路パターンとの電気的な接続を図るため、ICチップに予め金や銀などの金属のバンプをワイヤボンディングによって形成し、あるいはそれに加え形成したバンプのレベルをレベラーにより調整する補助作業を行うワイヤボンダで前記のような部品の搬送が行われる。
【0003】
本出願人は、このようなICチップへのバンプ形成作業を能率よく行うのに図10に示すような搬送方法を先に提案している。この搬送には図20に示すような1つの部品取り扱い機構48を用いている。部品取り扱い機構48はICチップ15を吸引により保持して取り扱う吸着ノズル21を有している。吸着ノズル21を持った吸着ヘッド101は直交するXY2方向に移動されるXYロボット107に保持され、吸着ノズル21をXY2方向に移動させるとともに、シリンダ109によって昇降させられるようにしている。
【0004】
これにより、図20の(a)に示すように、部品収納マガジン42のICチップ15を部品取り扱い機構48が吸着ノズル21によって吸着して保持し、それをボンディングステージ14にある第1、第2の各作業位置LB、RBに交互に供給して、そこでの作業に順次に供していき、各作業位置LB、RBで作業が終了したICチップ15を部品取り扱い機構48が吸着ノズル21によって吸着して保持し、それをレベラー44の位置にまで持ち運んで移載しそこでバンプ22のレベルを調整する補助作業に供し、補助作業が終了すると部品取り扱い機構48が吸着ノズル21によってそのICチップ15を吸着して保持し、再度部品収納マガジン42に収納することを繰り返す。ここに、部品収納マガジン42はICチップ15を所定の作業に供するための部品供給部と、所定の作業を終えた部品を収納する部品収納部とに共用されている。
【0005】
図20の(b)はレベラー44を用いない場合のICチップ15の搬送経路、図20の(c)は部品供給用の部品収納マガジン42とは別に、バンプ22形成後のICチップ15を収納する収納マガジン42aを設けた場合のICチップ15の搬送経路をそれぞれ示している。なお、図20の(a)に示すTBは試し作業ステージを示し、所定の作業を開始するときや、所定の回数作業し、あるいは作業が所定の累計時間行われたようなとき、あるいは、ワイヤの交換時や作業が中断した後に再開されるときなどに行う。
【0006】
以上のように、ICチップ15にバンプを形成するのに、第1、第2の作業位置LB、RBを交互に使用すると、一方の作業位置で所定の作業を行っている間に、他方の作業位置では先に作業を終えたICチップ15を取り出して収納などし、また、次の新たなICチップ15を次の作業のために予め供給すると云ったことが行える。これによって、1つの作業位置で所定の作業を繰り返し行う場合よりは作業能率が向上する。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記従来の搬送方法では1つのICチップ15に設けられるバンプ数がある程度以上のものでないと能率は上がらない。例えば、図21の部品取り扱い機構48を、図1に示す本実施の形態のワイヤボンダに採用した場合の実験例を示すと、レベリングを行わないときでは、バンプ数が50以下のときにICチップ1つの生産時間が5sec程度が下限であるのに対し、レベリングを行うときでは、バンプ数が131以下では、ICチップ1つの生産時間は14sec程度が下限になる。このため、ICチップ15が微小化しバンプ数が減少している近時の傾向に対応しにくく、レベリングを行い、また、バンプ数が少なくなるほど作業に遊び時間ができ作業能率の向上の妨げになっている。
【0008】
本発明の目的は、小パンプ数でレベリングを行う場合でも作業能率が向上する部品の搬送方法およびその装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記のような目的を達成するために、本発明の部品の搬送方法は、部品供給部で供給される部品を第1、第2の作業位置に交互に移載して所定の作業に供し、第1、第2の作業位置で所定の作業を終えた部品を、直接または補助作業位置に一旦移載して事後の補助作業に供してから部品収納部に移載して収納するのに、部品供給部の部品を第1、第2の作業位置に交互に移載して供給することを、部品を部品取り扱いツールによって保持して必要な取り扱いを行う第1の部品取り扱い機構により順次に行い、第1、第2の作業位置での所定の作業を終えた部品を直接または補助作業位置での補助作業に供した後部品収納部に移載して収納することを、部品を部品取り扱いツールによって保持して必要な取り扱いを行う第2の部品取り扱い機構により行い、第1の部品取り扱い機構と第2の部品取り扱い機構とを互いに干渉し合わない位相を持って複合して働かせ、第2の部品取り扱い機構はそれに備える第1、第2の部品取り扱いツールのうちの、第1の部品取り扱いツールにより第1、第2の作業位置で所定の作業に供された後の部品を保持して補助作業位置に移載し、第2の部品取り扱いツールによって前記移載に先立ち補助作業位置で先に補助作業に供された後の部品を保持して部品収納部に収納することを特徴としている。
【0010】
このように、第1、第2の2つの作業位置に部品を交互に供給して、一方の作業位置での作業時に他方の作業位置では所定の作業後の部品を持ち去り、次の作業のための部品を供給することにより作業の能率化が図れるが、特に、第1、第2の2つの部品取り扱い機構を併用し、その一方により、部品供給部の部品を部品取り扱いツールにて保持して取り扱い第1、第2の作業位置に交互に移載して供給することと、第1、第2の2つの部品取り扱い機構の他方により、第1、第2の作業位置での所定の作業を終えた部品を部品取り扱いツールにて保持して取り扱い直接または補助作業位置での補助作業に供した後部品収納部に移載して収納することとを、第1の部品取り扱い機構と第2の部品取り扱い機構とが互いに干渉し合わない位相を持って複合して行わせることにより、部品の第1、第2の2つの作業位置での効率のよい所定の作業に影響することなく、第1、第2の2つの作業位置で順次に所定の作業を終えた部品を直接または補助作業位置での補助作業に供して後に部品収納部に収納することが前記部品の供給作業と最大限重なったタイミングで行えるので、部品の作業位置への供給から作業後の部品を収納するまでの作業を1つの部品取り扱い機構によって行う従来の場合に比して、部品の供給のための作業と作業後の部品を収納するまでの作業とが重なって行える分だけ作業能率がさらに向上し、生産性の向上、製品コストの低減が図れる。特に、第1、第2の作業位置で作業を終えた部品を補助作業位置に移載して補助作業に供することと、補助作業位置で補助作業を終えた部品を部品収納部に移載して収納することとを、第1、第2の部品取り扱いツールによって分担し、補助作業位置での補助作業後の部品を一方の部品取り扱いツールによって保持して持ち上げた後、他方の部品取り扱いツールが第1、第2の作業位置から持ち運んできた作業後の部品を移載して補助作業に供することとが、第2の部品取り扱い機構1つの上で一連に瞬時に達成することができ、部品取り扱い機構が1つの部品取り扱いツールによって補助作業位置での補助作業後の部品を保持して部品収納部に収納した後、第1、第2の作業位置での作業後の部品を保持して補助作業位置に持ち運んで移載し補助作業に供するような場合に比し、作業手順および作業経路が半減して部品供給部の部品を第1、第2の作業位置に供給する作業手順および作業経路とほぼ同程度になるので、部品供給作業と補助作業を含む所定の作業後の部品の収納作業とを複合して行うのに作業分担の時間バランスがよく、一方の作業が極端に長くなって他方の作業に待ち時間が生じるような不都合を解消することができ、作業時間が最大限短縮される。
【0011】
このような方法は、部品を所定の作業に供する第1、第2の作業ステージと、これら第1、第2の作業ステージでの作業に供する部品を供給する部品供給部と、所定の作業を終えた部品を直接または第1、第2の作業ステージに必要に応じ併設した補助作業ステージでの補助作業を経てから収納する部品収納部と、部品供給部の部品を部品取り扱いツールによって保持して第1、第2の作業位置に交互に移載し供給する第1の部品取り扱い機構と、第1、第2の作業位置での所定の作業を終えた部品を部品取り扱いツールによって保持して直接または補助作業位置での補助作業に供した後部品収納部に移載して収納する第2の部品取り扱い機構と、第1の部品取り扱い機構と第2の部品取り扱い機構とを互いに干渉し合わない位相を持って複合して働かせる制御手段とを備え、少なくとも第2の部品取り扱い機構は、第1、第2の部品取り扱いツールを備え、制御手段は第1の部品取り扱いツールにより第1、第2の作業位置で所定の作業に供された後の部品を保持して補助作業位置に移載し、第2の部品取り扱いツールによって前記移載に先立ち補助作業位置で先に補助作業に供された後の部品を保持して部品収納部に収納するように第2の部品取り扱い機構を制御することを特徴とする部品の搬送装置によって、予め設定されたプログラムに従って自動的に安定して的確に達成される。
【0016】
本発明のそれ以上の目的および特徴は、以下の詳細な説明および図面の記載によって明らかになる。本発明の各特徴は、可能な限りそれ単独で、あるいは種々な組み合わせで複合して用いることができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の代表的な一実施の形態についてその実施例とともに図1〜図19を参照しながら説明し、本発明の理解に供する。
【0018】
本実施の形態は図5、図10、図14に示すようなICチップ15を部品供給部と部品収納部との間で搬送して取り扱い所定の作業に供する対象部品とし、所定の作業としてこのICチップ15に図13に示すような金属のバンプ22を形成するバンプボンダに本発明を適用した場合の一例である。しかし、これに限られることはなく、各種の部品を部品供給部と部品収納部との間で搬送して取り扱い、各種の作業を施すあらゆる場合に本発明は適用できる。
【0019】
本実施の形態のICチップ15にバンプ22を形成するためのICチップ15の搬送方法につき説明すると、図1に示すように、部品供給部であるローディング専用のマガジン42から供給されるICチップ15を、作業ステージであるボンディングステージ14に例えば左右、つまりX方向に並ぶように設定された第1、第2の左右2つの作業位置LB、RBに交互に移載して所定の作業であるバンプ22の形成に供し、第1、第2の作業位置LB、TBで所定の作業を終えたICチップ15を、直接または補助作業装置であるレベラー44によるレベリングをレベリング台47上で行う補助作業位置としてのレベリング位置LVに一旦移載して事後の補助作業であるレベリングに供してから部品収納部であるアンローディング専用のマガジン42aに移載して収納することを繰り返し行うように、例えば図1、図2に示すように前記X方向に併設されて前記第1、第2の作業位置LB、RBを境にその両側に位置した第1、第2の左右2つの部品取り扱い機構48A、48BによってICチップ15を保持し取り扱う。つまりICチップ15を持ち運んで搬送し、移載する。
【0020】
特に、マガジン42で供給されるICチップ15を第1、第2の左右作業位置LB、RBに交互に移載して供給するのに必要な搬送の作業を、第1の右側部品取り扱い機構48Aにより、これに備える部品取り扱いツールとしての吸着ノズル21AにてICチップ15を保持して順次に行い、第1、第2の作業位置LB、TBでの所定の作業を終えたICチップ15を直接またはレベリング位置LVでのレベリングに供した後マガジン42aに移載して収納するのに必要な作業を、第2の左側部品取り扱い機構48Bにより、これに備える部品取り扱いツールとしての吸着ノズル21BにてICチップ15を保持して行う。この際、第1の部品取り扱い機構48Aと、第2の部品取り扱い機構48Bとは、互いに干渉し合わない位相を持って複合して働かせる。
【0021】
図17の(b)に示す○印内の番号を参照し、その番号にアンダーラインを付して用いながら具体的に説明すると、右側部品取り扱い機構48Aは、図17において、マガジン42で供給されるICチップ15を吸着ノズル21Aにて吸着保持し原点位置で待機した状態から、動作線10で示すように前記保持したICチップ15を第1、第2の左右作業位置LB、RBの一方例えば、第2の左側作業位置LBに持ち運び、この左側作業位置LBにICチップ15を移載する動作11を行う。次いで、右側部品取り扱い機構48Aは動作線12で示すようにマガジン42に戻って、供給されるICチップ15を保持してピックアップする動作13を行い、保持したICチップ15を動作線14で示すように原点位置に戻って次のICチップ15の供給タイミングまで待機することを繰り返し、次のICチップ15の供給は右側作業位置RBに持ち運んで供給すると云うように、ICチップ15の各回の供給対象は第1、第2の作業位置LB、RBに対し交互に行う。これによって、第1、第2の作業位置LB、RBでバンプ22の形成が交互に行われる。
【0022】
これに複合して左側部品取り扱い機構48Bは、図17において、マガジン42aでの部品収納済みの位置から動作線で示すように第1、第2の作業位置LB、RBのうちのICチップ15へのバンプ22の形成が終了している側である例えば右側作業位置RBに移動して、バンプ22の形成が終了しているICチップ15を保持してピックアップする動作を行う。次いで、ピックアップした所定の作業後のICチップ15を動作線で示すようにレベリング位置LVまで持ち運び、このレベリング位置LVにICチップ15を移載する動作を行って補助作業に供し、補助作業後のICチップ15を動作線で示すようにマガジン42aまで持ち運んでここに収納する動作を行い次の部品取り扱い動作まで待機することを繰り返す。次の動作は左側作業位置LBで所定の作業を終了しているICチップ15を取り扱ってレベリング位置LVでの補助作業に供してマガジン42aに収納すると云うように、所定の作業後のICチップ15の補助作業および収納のための取り扱いが第1、第2の作業位置LB、RBにて交互に所定の作業が行われるのに対応して、その所定の作業が終了する都度、所定の作業が終了している第1、第2の作業位置LB、RBに対して交互に行われる。
【0023】
これによって、マガジン42で供給されるICチップ15についての第1、第2の作業位置LB、RBでの所定の作業、レベリング位置LVでのレベラー44による補助作業、および補助作業後のマガジン42aへの収納が連続的に達成される。
【0024】
以上から、第1、第2の作業位置LB、RBにICチップ15を交互に供給して、一方の作業位置での作業時に他方の作業位置では、バンプ22を形成した後のICチップ15を持ち去って次の作業のためのICチップ15を供給することにより作業の能率化が図れるが、特に、第1、第2の2つの部品取り扱い機構48A、48Bを併用し、その一方の右側部品取り扱い機構48Aにより、マガジン42のICチップ15を吸着ノズル21Aにて保持して取り扱い第1、第2の作業位置LB、RBに交互に移載して供給することと、第1、第2の2つの部品取り扱い機構48A、48Bの他方右側部品取り扱い機構48Aにより、第1、第2の作業位置LB、RBでの所定の作業を終えたICチップ15を吸着ノズル21Bにて保持して取り扱い直接またはレベリング位置LVでの補助作業に供した後部マガジン42aに移載して収納することとを、第1の右側部品取り扱い機構48Aと第2の左側部品取り扱い機構48Bとが互いに干渉し合わない位相を持って複合して行わせることにより、ICチップ15の第1、第2の作業位置LB、RBでの効率のよい所定の作業に影響することなく、第1、第2の作業位置LB、RBで順次に所定の作業を終えたICチップ15を直接またはレベリング位置LVでの補助作業に供して後にマガジン42aに収納することが前記ICチップ15の供給作業と最大限重なったタイミングで行える。
【0025】
従って、ICチップ15の作業位置への供給から作業後のICチップ15を収納するまでの作業を1つの部品取り扱い機構によって行う従来の場合に比して、ICチップ15の供給のための作業と作業後のICチップ15を収納するための作業とが重なって行える分だけ作業能率がさらに向上し、生産性の向上、製品コストの低減が図れる。
【0026】
図1に全体構成を示した本実施の形態のワイヤボンダでは、本体台41の上のほぼ中央位置にボンディング作業を行うボンディングステージ14とボンディングヘッド1とが位置し、1つの実施例としてボンディングステージ14には超音波熱圧着によるボンディングのためにヒートステージを採用し、例えば、ボンディング作業中はヒータ温度で最大350℃程度に保つ。この温度はワイヤ4の材料や太さ、バンプ22の大きさ等種々な条件に応じて設定される。
【0027】
ボンディングステージ14の右側にはローディング、アンローディング専用のマガジン42を昇降させるリフタ43が設けられ、左側には複数のバンプ22を形成したICチップ15を上下から挟圧して各バンプ22の高さを所定の高さに揃えるレベリングを行うレベラー44が設けられている。リフタ43に保持されたマガジン42のボンディングステージ14と対向する側にトレイ搬送部45が設けられ、マガジン42内のICチップ15を保持したトレイ46を授受する。
【0028】
ボンディングステージ14とレベラー44との間には、レベリングを行うICチップ15を受載する図1、図16に示すようなレベリング台47が設けられ、ICチップ15を受載する都度レベラー44がICチップ15の上に移動してきて、所定位置まで下動し、図6に示すようにICチップ15をレベラー44とレベリング台47との間で挟持し、各バンプ22を所定の高さに揃える。
【0029】
ボンディングステージ14の手前にはICチップ15を既述した吸着ノズル21A、21Bにより吸着保持して種々に搬送し取り扱う第1、第2の2つの部品取り扱い機構48A、48B、およびこの第1、第2の2つの部品取り扱い機構48A、48Bによってボンディングステージ14のボンディング作業位置に移載されたICチップ15を所定のボンディング作業位置に規正する図1、図3、図6、図14に示すような位置規正板32を持った位置規正手段81が設けられている。
【0030】
レベラー44は必要に応じて用いればよい。用いない場合、レベラー44の位置にマガジン42aを設置して必要スペースを縮小することができる。もっとも、レベラー44は常設しておいて必要に応じて用いたり、用いなかったりすることができる。また、ローディング用のマガジンとアンローディング用のマガジンとを1つのもので共用することもできるが、これらを本実施の形態のようにそれぞれに専用のマガジン42、マガジン42aとしておくことにより、供給されるICチップ15をピックアップして所定の作業に供するように取り扱う動作と、所定の作業や補助作業を終えたICチップ15を収納するように取り扱う作業とを、第1、第2の2つの部品取り扱い機構48A、48Bで分担して複合して行うのに、互いの干渉を避けやすい利点がある。
【0031】
なお、レベリング位置LVからマガジン42aの直近までにアンローディング用のトレイ搬送部を設け、バンプ22形成後のICチップ15をアンローディング用のトレイ搬送部に位置するトレイに収容し、これが満杯になる都度トレイをマガジン42aに収納するようにしてもよい。この場合、マガジン42に対すると同様にマガジン42aを昇降させるリフタも設ける。
【0032】
ボンディングステージ14の後方には、既述した図13に示すようなボンディングヘッド1が設けられ、これに装備したワイヤリール3からワイヤテンショナー7およびエアーテンショナー11を介し供給されるワイヤ4をボンディング作業機構5によって取扱い、ボンディングステージ14の第1、第2の作業位置LB、RBに移載され図14に示すように吸着保持されたICチップ15の各電極15aの上に順次にボンディングを行いバンプ22を形成する。
【0033】
本体台41の上部最前部には主操作盤51が設けられ、この主操作盤51によって各種データや動作モードの設定、ボンディングのフルオート動作開始および終了、セミオート動作の開始、進行、停止、あるいはマニュアル動作の開始、進行、停止、緊急停止と云ったボンディングのための各種の操作を行うようにしてある。このような操作のために、本体台41の最後部の補助ボックス52の上に操作モニタ53が設けられ、その横にはボンディング作業状態を認識カメラ131で認識した画像を表示する認識用モニタ54が設けられている。
【0034】
本体台1内には、ボンディングのための予備的な操作を行う副操作盤55、ボンディング動作を制御する制御プログラム等を記録したフレキシブルディスクを装着して読み書きするフレキシブルディスクデッキ56、ワイヤ4の先端にワイヤボンディングのための図15に示すようなボール4aを作るためにトーチ13からワイヤ4の先端にスパークを飛ばすための制御を行うスパークユニット57、ボンディング作業機構5のホーン12に超音波を与える超音波ユニット58、フレキシブルディスクに記録されたプログラム内容や、別に設定されているプログラムに従って全体の動作の制御を行う制御手段としての1つの実施例であるマイクロコンピュータ59、真空源ドライバ61、真空圧力計62、およびメインブレーカー63が設けられ、本体台41の後部下側にはメイン空圧バルブ64が設けられている。また、上記の補助ボックス52内にはワイヤ4の供給動作を制御するワイヤ供給コントローラ65が設けられている。
【0035】
ボンディングステージ14は、図7、図14に示すように、カートリッジヒータ71を数本挿入した金属製のヒートブロック72の上に、ストッパ73および位置規正ピン74によって位置決めした状態で金属製のステージプレート75をねじ76によって取付けて構成してあり、左右一対の金属製で放熱孔77aを持った脚部材77によって本体台41の上に設置されている。ステージプレート75にはボンディングステージ14の左右2か所のボンディング位置LB、RB、およびこれらの間に設定される試しボンディング位置TBには、それぞれの位置に移載されるICチップ15を吸着保持する吸着手段31の吸引孔14aが複数設けられている。
【0036】
リフタ43は図4に示すように、リフタフレーム91に保持された左右2本の縦向きのガイドシャフト92によってスライドベアリング93を介し案内される昇降台94を有し、この昇降台94をリフタフレーム91の背面に取付けたステッピングモータ95とこれによって正逆転駆動されるタイミングベルト96とによって昇降動作され、ローディング、アンローディング兼用のマガジン42の出し入れ対象となるトレイ46がトレイ搬送部45と同じレベルになるように調節されて、トレイ46がトレイ搬送部45との間で図3に矢印で示すように出し入れできるようにする。このリフタ43はアンローディング用のマガジン42aを用いる場合のリフタにも同様に用いられる。
【0037】
ICチップ15を所定の配列ピッチにて所定数収容するトレイ46は、図5に示すようにトレイプレイト97に受載し、Y方向ストッパ97aおよびこれにトレイ46を押当てる板ばね97bと、X方向ストッパ97cとによって位置決め保持された状態で、マガジン42の各段に出し入れされ、またトレイ搬送部45によって搬送されマガジン42との間で授受される。これによってICチップ搬送手段48の吸着ノズル21がトレイ46内の所定のICチップ15を確実に吸着保持してピックアップでき、また、バンプ22を形成した後のICチップ15をトレイ46の所定の位置に確実に収容できる。
【0038】
位置規正手段81は、図6、図8に示すように位置規正板32を平面より見て直交するX、Y2方向に移動させるX方向移動機構82、およびY移動機構83を順次に介して本体台41の上に設置されている。X方向移動機構82はX方向駆動サーボモータ84によってボールネジ85を正逆転駆動することにより位置規正板32をX方向に往復移動させ、Y方向移動機構83はY方向駆動サーボモータ86によってボールネジ87を正逆転駆動することにより位置規正板32をY方向に往復移動させる。また、位置規正板32はこれと前記XY2方向の移動機構82、83との間に設けた脚部98によって所定の高さになるように調節される。
【0039】
位置規正板32は先端の左右両側にICチップ15の四角形な形状に合わせた鉤型の切欠き32aを有し、左側の切欠き32aによってはボンディングステージ14の左側のボンディング作業位置LBに移載されたICチップ15の位置を、図14の(b)に示すように規正し、右側の切欠き32aによってはボンディングステージ14の右側のボンディング作業位置RBに移載されたICチップ15の位置を左側と同様であるが全く左右逆の動きによって規正する。
【0040】
ボンディングステージ14の中央に設定した試しボンディング位置TBに移載されたICチップ15は特に位置規正せず、ワイヤ4の種類が変わったときなどの最初に試しボンディングを行い、ボンディング状態の確認や調整を行うようにする。もっとも、試しボンディングでも高精度が要求される場合はICチップ15の位置を規正する。この規正には左右どちらかの切欠き32aを用いればよいが、試しボンディング専用の位置規正用切欠き等を設けることもできる。
【0041】
第1、第2の2つの部品取り扱い機構48A、48Bは、図2、図3、図9、図10に示すように吸着ノズル21をX方向に並列にして吸着ヘッド101に保持することにより、ICチップ15の各種搬送を合理的に行うようにしてある。
【0042】
それぞれの具体的構成は共通しているので、以下同じものとして説明する。吸着ヘッド101はX方向移動台105と、このX方向移動台105に保持されたY方向スライダ106とを順次に介して保持されている。X方向移動台105はX方向ガイド102に案内される。第1、第2の2つの部品取り扱い機構48A、48Bはそれぞれに専用のボールネジ103A、103Bのサーボモータ104A、104Bによる正逆転駆動でX方向に個別に往復移動されて、吸着ヘッド101をX方向に往復移動させる。Y方向スライダ106はX方向移動台105上のY方向ガイド107に案内され、サーボモータ108の正逆転駆動によって図9に示すタイミングベルト110を介しY方向に往復移動されて、吸着ヘッド101をY方向に往復移動させる。これによって吸着ヘッド101は各吸着ノズル21をX方向移動範囲およびY方向移動範囲のうちのどの位置へも移動されることができる。
【0043】
また、吸着ヘッド101は、図9、図10に示すように、第1、第2の2つの部品取り扱い機構48A、48Bそれぞれにつき2本ずつの吸着ノズル21Aと吸着ノズル21Bと、これらを上下動させるエアーシリンダ109と、高さ調節を行う調節ネジ111とを有し、図10に示すようにボンディングステージ14等の上のICチップ15に対しては0.1〜0.2mm程度の高さ位置まで下降して移載のための吸着解除、持ち運びのための吸着を行う。しかし、これに限られることはない。
【0044】
ボンディングヘッド1は、図11に示すようなクロスガイドローラ121によってXY2方向に移動できるように支持されたXY2方向に移動するXYテーブル122に支持され、X方向のボールネジ123がサーボモータ124によって正逆転駆動されることによってX方向に往復移動され、Y方向のボールネジ125がサーボモータ126によって正逆転駆動されることによってY方向に往復移動される。これによって、ボンディングヘッド1はX方向移動範囲とY方向移動範囲のうちのどの位置へも移動されることができる。
【0045】
ところで、第1、第2の2つの部品取り扱い機構48A、48Bがそれぞれ吸着ノズル21Aおよび吸着ノズル21Bを2本ずつ持っていることに関連して、図17の(b)を参照して説明した既述のICチップ15を搬送する取り扱い動作は、1つの実施例として、右側部品取り扱い機構48Aは2つの吸着ノズル21Aの一方、例えば右側の吸着ノズル21Aを用いているが、左側部品取り扱い機構48Bの左右吸着ノズル21Bはこれを巧みに使い分ける。
【0046】
具体的には、左側部品取り扱い機構48Bによる作業で、それに備える2つの吸着ノズル21Bのうちの、右側吸着ノズル21Bにより第1、第2の作業位置LB、RBでバンプ22の形成に供された後のICチップ15を保持してレベリング位置LVに移載し、左側吸着ノズル21Bによって前記移載に先立ちレベリング位置LVで先にバンプ22の形成に供された後のICチップ15を保持してマガジン42aに収納するようにする。このときの動作タイニングは図17の(a)に示すタイムチャートの通りであり、図17の(b)に対応した動作部分に図17の(b)と同じ○印付きの符号を付して示してある。
【0047】
これによると、第1、第2の作業位置LB、RBを終えたICチップ15をレベリング位置LVに移載して補助作業としてのレベリングに供することと、レベリング位置LVでレベリングを終えたICチップ15をマガジン42aに移載して収納することとを、2つの吸着ノズル21Bによって分担し、レベリング位置LVでのレベリング後のICチップ15を左側吸着ノズル21Bによって保持して持ち上げた後、右側吸着ノズル21Bが第1、第2の作業位置LB、RBから持ち運んできたバンプ形成後のICチップ15を移載してレベリングに供することとが、1つの左側部品取り扱い機構48Bの上で一連に瞬時に達成することができ、左側部品取り扱い機構48Bが1つの吸着ノズル21Bによってレベリング位置LVでのレベリング後のICチップ15を保持してマガジン42aに収納した後、第1、第2の作業位置LB、RBでのバンプ形成後のICチップ15を保持してレベリング位置LVに持ち運んで移載しレベリングに供するような場合に比し、作業手順および作業経路が半減する。
【0048】
従って、マガジン42のICチップ15を第1、第2の作業位置LB、RBに供給する作業手順および作業経路とほぼ同程度になるので、部品供給作業と補助作業を含む所定の作業後の収納作業とを複合して行うのに作業分担の時間バランスがよく、一方の作業が極端に長くなって他方の作業に待ち時間が生じるような不都合を解消することができ、作業時間が最大限短縮される。
【0049】
特に、2つの吸着ノズル21Bは左側部品取り扱い機構48Bの第1、第2の作業位置LB、RBからレベリング位置LVへの移動の進行方向となるX方向に並び、右側の吸着ノズル21Bは左側の吸着ノズル21Bに対し前記進行方向下流側に位置していて、右側吸着ノズル21Bにて第1、第2の作業位置LB、RBでバンプ形成後のICチップ15を保持してレベリング位置LVへの移載のために左側部品取り扱い機構48BがX方向に移動していくとき、この移動の進行方向において左側の吸着ノズル21Bが右側の吸着ノズル21Bの上流側位置にあって、右側の吸着ノズル21Bに先行してレベリング位置LVに到達する。
【0050】
これにより、この到達時に左側の吸着ノズル21Bでレベリング位置LVでのレベリング後のICチップ15を保持して持ち上げた後、左側部品取り扱い機構48BがX方向に少し進行するだけで、左側の吸着ノズル21Bが保持したレベリング後のICチップ15がレベリング位置LVから持ち去られるのと同時に、右側の吸着ノズル21Bがレベリング位置LVに到達して、保持しているバンプ形成後のICチップ15をレベリング位置LVに移載してレベリングに供せるようになる。
【0051】
従って、1つの左側部品取り扱い機構48Bの単純な一方向の動作によってレベリング位置LVでのレベリング後のICチップ15のレベリング位置LVからの持ち運びと、バンプ形成後のICチップ15のレベリング位置LVへの供給とを一連にごく短い時間で達成することができ、作業能率がさらに向上する。
【0052】
本発明者等の実験によれば、図18に従来の場合と比較して示してあるように、レベリング有りの場合で、バンプ数が38以下でICチップ1つの生産時間は6.5sec程度が下限になり、レベリング無しでは、バンプ数が25以下でICチップ1つの生産時間は5sec程度が下限になる。従って、従来の場合に比しより小バンプ数に対応して生産時間を大きく低減することができる。従って生産能率が向上するとともに製品コストを低減することができる。
【0053】
もっとも、第1、第2の2つの部品取り扱い機構48A、48Bはどのような機構のものでもよく、種々な動作形式の作業ロボットを採用して好適である。また、部品を供給する機構や器具および部品を収納する機構や器具も上記した実施の形態および実施例のものに限定されることはなく、種々な機構や器具を用いることができる。
【0054】
ボンディングヘッド1は既述した構成を有しているほか、図13に示すようにボンディング作業の状態を視覚認識する認識カメラ131がボンディング作業機構5の上に設けられ、認識画像が既述した認識用モニタ54に表示される。必要に応じてマイクロコンピュータ59等のデータ処理装置に認識信号を入力してデータ処理することもできる。また、ボンディングヘッド1には、ボンディング作業機構5を図示しない支点軸を中心に往復回動させて先端部を上下動させる上下動電磁駆動部132と、クランパ8を開閉する開閉電磁駆動部133とが設けられ、ホーン12に与える超音波振動とでボンディング作業を行う。
【0055】
ボンディング作業の具体例を示すと、ワイヤ4はキャピラリ12aを通じて送り出され、これがICチップ15の上の所定の電極15aと対向する位置にボンディングヘッド1が移動する都度、トーチ13からのスパーク電流によって先端部が溶かされ、図15の(a)に示すようなボール4aが形成される。ワイヤ4の各電極15aとの対向位置は認識カメラ131の視覚認識のもとに高精度に制御される。前記のように形成されたボール4aはICチップ15の電極15a上に熱圧着と超音波とによって図15の(b)に示すように接合される。この際の圧着力は30g〜50g程度が好適である。
【0056】
次いで、ワイヤ4を挟持したクランパ8およびキャピラリ12aの上動によって、図15の(c)に示すようにワイヤ4を切断して、電極15aの上にボール4aと、ボール4aから30μm〜40μm程度の高さに突出したワイヤ部分4bとからなる突出長約60μm程度のバンプ22が形成される。
【0057】
ワイヤ4の切断が所定位置で確実に行われるように、ワイヤ4は高ヤング率・低熱伝導率のものを用いている。具体的には、ワイヤ4の材質はAuまたはAuとPdの合金成分のものを使用し、AuとPdの合金の場合には少なくともPdが約30%以下のものを用いるのが好適である。
【0058】
バンプ22が形成されたICチップ15は図16に示すようにレベラー44によってレベリング台47との間で所定の高さに矯正した後、マガジン42aに収納する。
【0059】
ボンディングヘッド1には、上記のようなボンディングが首尾良く達成されるように以下のような構成を付加している。これについて述べると、図13に示すようにワイヤリール装着部2に装着されたワイヤリール3と、このワイヤリール3からのワイヤ4を上方から通されて、ボンディングステージ14上のICチップ15にボンディングを行うボンディング作業機構5との間で、ワイヤリール3からボンディング作業機構5側に至るワイヤ4の途中を2枚のガイド板401、402の間で上向きの湾曲状態にエアー6により吹き上げてワイヤ4にテンションを与えるワイヤテンショナー7と、ボンディング作業機構5のワイヤ通し部であるクランパ8のワイヤガイド8aの真上でワイヤ4をワイヤガイド403内での上方への吹き上げエアー10にさらして上向きのエアーテンションを掛けるエアーテンショナー11とが設けられている。
【0060】
本実施の形態のボンダーはまた、上記のようなボンディングを首尾良く達成するために、図19の(a)に示すようなエアー制御回路を採用している。このエアー制御回路では、真空ポンプ161がICチップ搬送手段48の各吸着ノズル21、ボンディングステージ14の吸着手段31に接続され、コンプレッサ162がメインレギュレータ163を介してワイヤテンショナー7、エアーテンショナー11、各吸着ノズル21の上下動用の各エアーシリンダ109、およびICチップ搬送手段48におけるローディング、アンローディング兼用のマガジン42からのトレイ46の引出し、収納を行うエアーシンダ164の他、ボンディングヘッド1側のホーン冷却部165、ワイヤ4の揺らぎ防止部166、およびボンディングステージ14側の左右ボンディング作業位置LB、RBにおけるICチップクリーナ部167等に接続され、ワイヤテンショナー7、エアーテンショナー11に関しては上述した機能を発揮できる構成とされている。
【0061】
吸着ノズル21への真空経路には、ICチップ15の吸着の有無を検出する吸着センサ171、172が設けられ、吸着手段31の各位置LB、RB、TBへの真空経路には、それぞれの位置でのICチップ15の吸着の有無を検出する吸着センサ173〜175が設けられている。また、ワイヤテンショナー7へのエアー経路には空気の供給、供給停止を行う電磁開閉弁181、182が設けられ、各吸着ノズル21への真空経路には吸着、吸着解除の切換えを行う開閉弁183、184が設けられ、これらを電磁弁185、186によるパイロット圧の供給、停止によって開閉するようにしてある。同様に、吸着手段31の各位置LB、RB、TBの吸着部への真空経路にも吸着、吸着解除の切換えを行う開閉弁191〜193が設けられ、これらを電磁弁194〜196によるパイロット圧の供給、停止によって開閉するようにしてある。また、各吸着ノズル21、21の上下動用のエアーシリンダ109、109、およびトレイ46の出し入れ用のエアーシリンダ164のエアー経路には、これらを必要に応じて伸長、収縮、停止を行う電磁切換え弁221〜223が設けられている。
【0062】
さらに、各吸着ノズル21A、21Aおよび吸着手段31の各位置LB、RB、TBの吸着部への真空経路には真空破壊用の電磁開閉弁201〜205が設けられ、真空破壊時にメインレギュレータ163によって所定の前記パイロット圧、例えば5Kgf/cm2 程度に調圧された後のエアーをさらに補助レギュレータ160によって2Kgf/cm2 程度に落として供給するようにしてある。
【0063】
また、各吸着ノズル21A、21Aのエアー経路には吸着初期とICチップ15の吸着が検出された後とで低真空状態と高真空状態とに切換える真空高低切換え用の電磁弁206、207が設けられ、吸着手段31の各位置LB、RBの吸着部への真空経路には、ICチップ15が移載されてこれを吸着し始め、位置規正が終了するまでの時点と、位置規正が終了した以降とで低真空状態と高真空状態とに切換える真空高低切換え用の電磁弁211、212が設けられている。
【0064】
そして、ワイヤテンショナー7およびエアーテンショナー11に供給するエアーは補助レギュレータ303によって前記パイロット圧よりも2Kgf/cm2 程度に低圧にしたエアーを供給するが、最終に供給する流量を調節する流量調節手段143、144と、それぞれのエアーの流量を検出する流量センサ145、146と、前記エアーの流量をボンディング作業機構5に供給されるワイヤ4の種類、特に太さに応じて自動的に設定する図1に示すマイクロコンピュータ59の内部機能を利用した流量設定手段147と、前記流量センサ145、146で検出される各エアーの流量が、流量設定手段147によって設定されたエアー流量になるように前記エアー流量調節手段143、144を制御する図8のマイクロコンピュータ59の内部機能を利用した流量制御手段148とを設けてある。 この流量制御のために、各流量調節手段143、144はモータ151、152を持ったものとしてあり、流量制御手段148はこれらモータ151、152を必要に応じて正逆転駆動して流量調節を行う。
【0065】
ワイヤテンショナー7およびエアーテンショナー11が、ワイヤリール3からボンディング作業機構5に供給されるワイヤ4を所定のテンション状態にフローティング支持するのに、ワイヤ4の太さ等の種類によってフローティング支持のテンション状態が異なり、ワイヤテンショナー7およびエアーテンショナー11に供給するエアーの流量Q、qを微妙に調整しなければならない。
【0066】
また、本実施の形態の前記エアー制御回路とマイクロコンピュータ59の動作制御では、吸着ノズル21A、21BがICチップ15の吸着を開始する時点から、ICチップ15が吸着ノズルに吸着するまでの間、吸着ノズルを電磁切換え弁206、207の切換えにより補助レギュレータ301、302を通った20〜100mmHg程度の低真空状態で働かせ、それ以降ICチップ15の吸着を解除する時点まではにて、吸着ノズル21A、21Bを電磁切換え弁206、207の切換えにより補助レギュレータ301、302を通らない80〜650mmHg程度の高真空状態で働かせる。このための制御手段235を図1に示すようにマイクロコンピュータ59の内部機能として得ている。
【0067】
このように、吸着ノズル21A、21BがICチップ15の吸着を開始する時点から、ICチップ15が吸着ノズル21A、21Bに吸着するまでの間、吸着ノズル21A、21Bを低真空状態で働かせることにより、ICチップ15が吸着ノズル21A、21Bに弱く無理なく予備吸着されるようにするので、吸着時のICチップ15の損傷や破損を防止しながら、それ以降移載や持ち運びの終了等によって吸着を解除する時点までは吸着ノズル21A、21Bを高真空状態で働かせることにより、ICチップ15を確実に本吸着するようになるので、吸着したICチップ15を吸着ノズル21A、21Bが取り扱っている間、ICチップ15が脱落するようなことも防止することができ、連続したボンディングを首尾良く達成することができ、歩留りが向上する。
【0068】
しかも、吸着ノズル21A、21Bの高真空状態を開閉弁183、184によって停止する時点で、真空破壊手段としての電磁切換え弁201、202の切換えにより前記補助レギュレータ160を通った2Kgf/cm2 程度の低圧の真空破壊エアーを吸着ノズル21に所定時間与える。このために、電磁切換え弁201、202を適宜に働かせる制御手段237を図1に示すマイクロコンピュータ59の内部機能として得ている。
【0069】
吸着ノズル21A、21BはICチップ15を高真空状態で吸着保持してボンディングステージ14への移載や、ボンディングステージ14からの持ち運び等を行うが、これら移載や持ち運びが終了するなどにより高真空状態が停止されるとき、上記のように真空破壊手段である電磁切換え弁201、202が吸着ノズル21A、21Bに低圧の真空破壊エアーを所定時間与えるので、吸着ノズル21A、21Bの高真空状態の停止とともに低圧の真空破壊エアーによって、高真空状態を瞬時に破壊してICチップ15のノズル離れを良くしながら、真空破壊エアーの供給経路の長さや長さの違いの影響なく真空破壊エアーによるICチップ15の吹き落としを確実に防止することができる。
【0070】
また、ICチップ15がボンディングステージ14に移載されて位置規正手段81による位置の規正が終了するまでの間、吸着手段31を電磁切換え弁211、212の切替えにより補助レギュレータ304を通った50〜150mmHg程度の低真空状態で働かせ、それ以降ボンディングの作業が終了する時点まで吸着手段31を電磁切換え弁211、212の切換えにより補助レギュレータ304を通らない80〜650mmHg程度の高真空状態で働かせる。このための制御手段238を図1のマイクロコンピュータ59の内部機能として得ている。
【0071】
ボンディングステージ14に移載されたICチップ15は吸着手段31によって吸着保持して、位置規正手段81による位置の規正やボンディング作業に供するが、上記のように吸着手段31は、ICチップ15がボンディングステージ14に移載されて位置規正手段81による位置の規正が終了するまでの間、制御手段238によって低真空状態で働かされ、ICチップ15をボンディングステージ14にやや弱く吸着保持しておき、不用意な移動を防止して位置規正手段81による位置規正にずれなく応動させながら、位置規正による移動のときの吸着による抵抗を軽減するので、高精度な位置決めを確保しながら、移載および位置規正して順次ボンディングに供するICチップ15の損傷や破損を防止することができ、かつ、ボンディング作業開始時点から吸着手段31は制御手段238によって高真空状態で働かされることにより、ICチップ15がボンディング作業時の押圧や超音波振動を受けても、これの影響なく高精度な規正位置にずれが生じないので、ボンディング位置が狂わず、連続したボンディングを首尾よく達成することができ、歩留りが向上する。
【0072】
しかも、吸着手段31の高真空状態を停止する時点で、真空破壊手段としての電磁切換え弁203、204の切換えにより前記した2Kgf/cm2 程度の低圧の真空破壊エアーを吸着手段31に所定時間与える。このように電磁切換え弁203、204を制御するのに図1に示すマイクロコンピュータ59の内部機能を利用した制御手段239が設けられている。
【0073】
吸着手段31はボンディングステージ14上のICチップ15を高真空状態で吸着保持してボンディング作業に供するが、ボンディング作業が終了するなどにより高真空状態が停止されるとき、上記のように真空破壊手段である電磁切換え弁203、204の切換えにより吸着手段31に低圧の真空破壊エアーを所定時間与えるので、吸着手段31の高真空状態の停止とともに低圧の真空破壊エアーによって、高真空状態が瞬時に破壊しICチップ15のステージ離れを良くしながら、真空破壊エアーの供給経路の長さや長さの違いの影響なく真空破壊エアーによるICチップ15の吹き飛ばしを確実に防止することができる。
【0074】
【発明の効果】
本発明の部品の搬送方法によれば、2つの作業位置に部品を交互に供給して、一方の作業位置での作業時に他方の作業位置では次の作業のための部品を供給する作業を行うことにより作業の能率化を図るのに、2つの部品取り扱い機構により、部品供給部の部品を2つの作業位置に交互に移載して供給することと、2つの作業位置での所定の作業を終えた部品を部取り扱い直接または補助作業位置での補助作業に供した後部品収納部に移載して収納することとを分担して、互いに干渉し合わない位相を持って複合して行うので、2つの作業位置での効率のよい所定の作業に影響することなく、2つの作業位置で順次に所定の作業を終えた部品を直接または補助作業位置での補助作業に供して後に部品収納部に収納することが前記部品の供給作業と最大限重なったタイミングで行って、部品の作業位置への供給から作業後の部品を収納するまでの作業を1つの部品取り扱い機構によってう従来の場合に比して、部品の供給のための作業と作業後の部品を収納するための作業とが重なって行える分だけ作業能率がさらに向上し、生産性の向上、製品コストの低減が図れる。特に、第1、第2の作業位置で作業を終えた部品を補助作業位置に移載して補助作業に供することと、補助作業位置で補助作業を終えた部品を部品収納部に移載して収納することとを、第1、第2の部品取り扱いツールによって分担し、補助作業位置での補助作業後の部品を一方の部品取り扱いツールによって保持して持ち上げた後、他方の部品取り扱いツールが第1、第2の作業位置から持ち運んできた作業後の部品を移載して補助作業に供することとが、第2の部品取り扱い機構1つの上で一連に瞬時に達成することができ、部品取り扱い機構が1つの部品取り扱いツールによって補助作業位置での補助作業後の部品を保持して部品収納部に収納した後、第1、第2の作業位置での作業後の部品を保持して補助作業位置に持ち運んで移載し補助作業に供するような場合に比し、作業手順および作業経路が半減して部品供給部の部品を第1、第2の作業位置に供給する作業手順および作業経路とほぼ同程度になるので、部品供給作業と補助作業を含む所定の作業後の部品の収納作業とを複合して行うのに作業分担の時間バランスがよく、一方の作業が極端に長くなって他方の作業に待ち時間が生じるような不都合を解消することができ、作業時間が最大限短縮される。
【0075】
本発明の部品の搬送装置によれば、前記のような方法を、予め設定されたプログラムに従って自動的に安定して的確に達成することができる。
【0077】
しかも、2つの部品取り扱いツールが部品取り扱い機構の第1、第2の作業位置から補助作業位置への移動の進行方向に並ぶことにより、部品取り扱い機構が同じ方向に少し進行するだけで、一方の部品取り扱いツールにより補助作業後の部品を補助作業位置から持ち去るのと同時に、他方の部品取り扱いツールによりそれが保持している作業後の部品を補助作業位置に移載して補助作業に供せるので、第2の部品取り扱い機構の単純な一方向の動作によって補助作業位置での補助作業後の部品の持ち運びと、所定の作業後の部品の供給とが一連にごく短い時間で達成することができ、作業能率がさらに向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の代表的な一実施の形態を示すバンプボンダの全体構成図である。
【図2】図1のバンプボンダの一部を除いて示す斜視図である。
【図3】図1のバンプボンダの主要部を示す斜視図である。
【図4】図8のバンプボンダのリフタを示す斜視図である。
【図5】図11のリフタによって昇降されるマガジンとこれに収容されるトレイを示す斜視図である。
【図6】図1のバンプボンダのボンディングステージのステージ部および位置規正手段の位置規正板部分の分解斜視図である。
【図7】図1のバンプボンダーのボンディングステージの全体の斜視図である。
【図8】図1のバンプボンダの位置規正手段の全体の斜視図である。
【図9】図1のバンプボンダの部品取り扱い機構に備える吸着ヘッドの斜視図である。
【図10】図9の吸着ヘッドとボンディングステージ上のICチップとの関係を示す斜視図である。
【図11】図1のバンプボンダのボンディングヘッドの移動機構を示す斜視図である。
【図12】図1のバンプボンダに備えるボンディングヘンドの斜視図である。
【図13】図12のボンディングヘッドのボンディング作業機構にワイヤを通す状態を示す斜視図である。
【図14】図1のバンプボンダのボンディングステージへのICチップの移載状態を示し、その(a)はボンディングステージのICチップの吸着状態および位置規正状態を示し、その(b)は(a)の平面図である。
【図15】ボンディング作業の工程の具体例を示し、その(a)はワイヤの先端にボールを形成する工程を示す断面図、その(b)はボールをICチップの電極に接合する工程を示す断面図、その(c)はワイヤを切断してバンプを形成する工程を示す断面図である。
【図16】ICチップに形成したバンプの高さをレベラーせ調整するレベリング状態を示す断面図である。
【図17】第1、第2の2つの部品取り扱い機構でICチップを搬送し取り扱う作業の操作状態を示し、その(a)は動作のタイムチャート、その(b)は動作線図である。
【図18】図1のバンプボンダでのICチップのバンプ数と生産時間の関係を、従来の場合と比較して示すグラフである。
【図19】図1のバンプボンダのエアー制御回路図である。
【図20】従来のバンプボンダでのICチップの取り扱いバリエーションを示し、その(a)はローディング、アンローディング兼用のマガジンを利用してレベリングを行う場合の平面図、その(b)はレベリングを行わない場合の平面図、その(c)はローディング専用のマガジンと、アンローディング専用のマガジンを利用して、レベリングを行わない場合の平面図である。
【図21】図20に示すようなICチップの取り扱いを行う従来の部品取り扱い機構を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 ボンディングヘッド
14 ボンディングステージ
15 ICチップ
21A、21B 吸着ノズル
22 バンプ
42、42a マガジン
44 レベラー
47 レベリング台
48A、48B 部品取り扱い機構
59 マイクロコンピュータ
LB、RB 作業位置
LV レベリング位置

Claims (3)

  1. 部品供給部で供給される部品を第1、第2の作業位置に交互に移載して所定の作業に供し、第1、第2の作業位置で所定の作業を終えた部品を、直接または補助作業位置に一旦移載して事後の補助作業に供してから部品収納部に移載して収納する部品の搬送方法であって、
    部品供給部の部品を第1、第2の作業位置に交互に移載して供給することを、部品を部品取り扱いツールによって保持して必要な取り扱いを行う第1の部品取り扱い機構により順次に行い、第1、第2の作業位置での所定の作業を終えた部品を直接または補助作業位置での補助作業に供した後部品収納部に移載して収納することを、部品を部品取り扱いツールによって保持して必要な取り扱いを行う第2の部品取り扱い機構により行い、第1の部品取り扱い機構と第2の部品取り扱い機構とを互いに干渉し合わない位相を持って複合して働かせ、第2の部品取り扱い機構はそれに備える第1、第2の部品取り扱いツールのうちの、第1の部品取り扱いツールにより第1、第2の作業位置で所定の作業に供された後の部品を保持して補助作業位置に移載し、第2の部品取り扱いツールによって前記移載に先立ち補助作業位置で先に補助作業に供された後の部品を保持して部品収納部に収納することを特徴とする部品の搬送方法。
  2. 部品を所定の作業に供する第1、第2の作業ステージと、これら第1、第2の作業ステージでの作業に供する部品を供給する部品供給部と、所定の作業を終えた部品を直接または第1、第2の作業ステージに必要に応じて併設した補助作業ステージでの補助作業を経てから収納する部品収納部と、部品供給部の部品を部品取り扱いツールによって保持して第1、第2の作業位置に交互に移載し供給する第1の部品取り扱い機構と、第1、第2の作業位置での所定の作業を終えた部品を部品取り扱いツールによって保持して直接または補助作業位置での補助作業に供した後部品収納部に移載して収納する第2の部品取り扱い機構と、第1の部品取り扱い機構と第2の部品取り扱い機構とを互いに干渉し合わない位相を持って複合して働かせる制御手段とを備え、少なくとも第2の部品取り扱い機構は、第1、第2の部品取り扱いツールを備え、制御手段は第1の部品取り扱いツールにより第1、第2の作業位置で所定の作業に供された後の部品を保持して補助作業位置に移載し、第2の部品取り扱いツールによって前記移載に先立ち補助作業位置で先に補助作業に供された後の部品を保持して部品収納部に収納するように第2の部品取り扱い機構を制御することを特徴とする部品の搬送装置。
  3. 第1、第2の部品取り扱いツールは第2の部品取り扱い機構の第1、第2の作業位置から補助作業位置への移動の進行方向に並び、第1の部品取り扱いツールは第2の部品取り扱いツールに対し前記進行方向の下流側に位置している請求項に記載の部品の搬送装置。
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