JP4165109B2 - 液晶表示装置および電子機器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、液晶表示装置および電子機器に関し、特に反射モードのみならず、透過モード時にも十分に明るい表示が可能な優れた視認性を有する半透過反射型の液晶表示装置の構成に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
反射型の液晶表示装置は、バックライト等の光源を持たないために消費電力が小さく、従来から種々の携帯電子機器などに多用されている。ところが、反射型の液晶表示装置は、自然光や照明光などの外光を利用して表示を行うため、暗い場所では表示を視認するのが難しいという問題があった。そこで、明るい場所では通常の反射型液晶表示装置と同様に外光を利用し、暗い場所では内部の光源により表示を視認可能にした液晶表示装置が提案されている。つまり、この液晶表示装置は、反射型と透過型を兼ね備えた表示方式を採用しており、周囲の明るさに応じて反射モードまたは透過モードのいずれかの表示方式に切り替えることにより、消費電力を低減しつつ周囲が暗い場合でも明瞭な表示を行うことができるものである。以下、本明細書では、この種の液晶表示装置のことを「半透過反射型液晶表示装置」という。
【0003】
半透過反射型液晶表示装置の形態として、アルミニウム等の金属膜に光透過用のスリット(開口部)を形成した反射膜を下基板の内面(以下、本明細書では基板の液晶側の面を内面、それと反対側の面を外面ということもある)に備え、この反射膜を半透過反射膜として機能させる液晶表示装置が提案されている。この液晶表示装置は、金属膜を下基板の内面に設けることにより、下基板の厚みによるパララックスの影響を防ぎ、特にカラーフィルタを用いた構造では混色を防ぐという効果を持っている。
【0004】
図8は、この種の半透過反射膜を用いた半透過反射型液晶表示装置の一例を示している。
この液晶表示装置100では、一対の透明基板101,102間に液晶103が挟持されており、下基板101上に反射膜104、絶縁膜106が積層され、その上にインジウム錫酸化物(Indium Tin Oxide, 以下、ITOと略記する)等の透明導電膜からなる下部電極108が形成され、下部電極108を覆うように配向膜107が形成されている。一方、上基板102上には、R(赤)、G(緑)、B(青)の各色素層を有するカラーフィルタ109が形成され、その上に平坦化膜111が積層され、この平坦化膜111上にITO等の透明導電膜からなる上部電極112が形成されており、この上部電極112を覆うように配向膜113が形成されている。
【0005】
反射膜104は、アルミニウムなどの光反射率の高い金属膜で形成されており、この反射膜104には、各ドット毎に光透過用のスリット110が形成されている。このスリット110により、反射膜104は半透過反射膜として機能する(よって以下、この膜のことを半透過反射膜と呼ぶ)。また、上基板102の外面側には、上基板102側から順に前方散乱板118、位相差板119、上偏光板114が配置され、下基板101の外面側には、1/4波長板115、下偏光板116がこの順に設けられている。また、バックライト117(照明手段)が下基板101の下面側、下偏光板116のさらに下方に配置されている。
【0006】
図8に示す液晶表示装置100を明るい場所で反射モードで使用する際には、上基板102の上方から入射する太陽光、照明光などの外光が、液晶103を透過して下基板101上の半透過反射膜104の表面で反射した後、再度液晶103を透過し、上基板102側に出射される。また、暗い場所で透過モードで使用する際には、下基板101の下方に設置したバックライト117から出射される光が、スリット110の部分で反射膜104を透過し、その後、液晶103を透過して上基板102側に出射される。これらの光が各モードでの表示に寄与することになる。
【0007】
ところで、この種の液晶表示装置の反射層としては、例えばアルミニウムや銀等の光反射率の高い金属膜が従来から用いられていた。これに対して、近年、異なる屈折率を有する誘電体薄膜を交互に積層した誘電体ミラーや、コレステリック液晶を用いたコレステリック反射板、あるいはホログラム素子を用いたホログラム反射板などが提案されている。これら新型の反射板は、構成材料の特徴を生かしてただ単に光を反射する反射板としてだけではなく、特有の機能も有している。
【0008】
中でもコレステリック液晶はある温度(液晶転移温度)以上で液晶相を呈し、液晶相においては液晶分子が一定のピッチで周期的ならせん構造を採るものである。この構造により、らせんのピッチに一致した波長の光を選択的に反射させ、それ以外の光を透過するという性質を有している。したがって、例えば液晶を硬化させる際の紫外線強度や温度によりらせんのピッチを制御できることから、局所的に反射光の色を変えることができ、反射型カラーフィルターとしても用いられる。また、異なる色の色光を選択反射させるコレステリック液晶層を複数積層すれば、積層構造全体を白色光を反射させる反射板として機能させることもできる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、図8に示すような従来の半透過反射型液晶表示装置においては、外光の有無に関わらず表示の視認が可能であるものの、反射モード時に比べて透過モード時の表示の明るさがはるかに低下するという問題があった。これは、透過モード時の表示が、バックライトから出射した光のうちの略半分のみしか表示に利用できない点、半透過反射膜のスリットを通過した光のみを表示に利用している点、下基板の外面側に1/4波長板および下偏光板が設けられている点、等に起因する問題である。
【0010】
従来の半透過反射型液晶表示装置では、反射時と透過時とで表示モードが異なっており、特に透過時はバックライトから出射した光のうちの略半分が上偏光板で吸収され、残りの略半分のみしか表示に利用していない。すなわち、反射モードでは、上基板側から入射させた直線偏光の大部分を明表示に利用しているのに対して、透過モードでは、反射モード時と同様に表示を行うために液晶層の下面から上基板側へ向かう光がほぼ円偏光でなければならない。ところが、この円偏光のうちの半分は上基板から外部に出射する際に上偏光板で吸収されてしまうので、結果的には液晶層に入射した光のうちの略半分しか表示に寄与していないことになる。このように、表示原理からしてそもそも透過モードでの表示が暗くなる要因を持っていた。
【0011】
次に、半透過反射型液晶表示装置では、その表示原理から下基板の外面側に1/4波長板が必要であるが、そのために透過モード時の明るさが不足する理由を以下に説明する。ただし、以下の説明では非選択電圧印加状態で暗表示、選択電圧印加状態で明表示を行う構成について説明する。
【0012】
まず、図8に示す液晶表示装置100において、反射モードの暗表示を行う場合には、上基板102の外側から入射した光は、上偏光板114の透過軸を紙面に平行とした場合、上基板102上の上偏光板114を透過すると紙面に平行な偏光軸を有する直線偏光となり、液晶103を透過する間に液晶103の複屈折効果によりほぼ円偏光となる。そして、下基板101上の半透過反射膜104の表面で反射すると逆回りの円偏光となり、再び液晶103を透過すると、紙面に垂直な偏光軸を有する直線偏光となって上基板102へ到達する。ここで、上基板102の上偏光板114は、紙面に平行な透過軸を有する偏光板であるから、半透過反射膜104で反射した光は、上偏光板114に吸収されて外部(観察者側)へは戻らず、暗表示される。
【0013】
逆に、反射モードの明表示を行う場合には、液晶103に電圧が印加されると液晶103の配向方向が変わるため、上基板102の外側から入射した外光は、液晶103を透過すると直線偏光となり、半透過反射膜104でそのまま反射され、紙面に平行な偏光軸を有する直線偏光のまま上基板102の上偏光板114を透過して外部(観察者側)へ戻り、明表示される。
【0014】
一方、透過モードでの表示を行う場合には、バックライト117からの光が、下基板101の外側から液晶セルに入射し、この光のうちスリット110を通過した光が表示に寄与する光となる。ここで、暗表示を行うためには、上述したように、反射モード時と同様にスリット110から上基板102へ向かう光が略円偏光でなければならない。したがって、バックライト117から出射されてスリット110を通過する光が略円偏光となっている必要があるので、下偏光板116を透過した後の直線偏光を略円偏光に変換するための1/4波長板115が必要となる。
【0015】
ここで、バックライト117からの光のうち、スリット110を通過しない光に着目すると、下偏光板116の透過軸を紙面に垂直とした場合、下偏光板116を透過した時点で紙面に垂直な直線偏光となった後、1/4波長板115を透過することで略円偏光となって半透過反射膜104に到達する。さらに半透過反射膜104の下面で反射されると、逆回りの円偏光となり、再び1/4波長板115を透過すると紙面に平行な偏光軸を有する直線偏光になる。そして、この直線偏光が紙面に垂直な透過軸を有する下偏光板116によって吸収される。つまり、バックライト117から出射された光のうち、スリット110を通過しなかった光は半透過反射膜104の下面で反射した後、下基板101の下偏光板116によってほぼ全てが吸収されてしまう。
【0016】
このように、半透過反射型の液晶表示装置100においては、透過モード時にスリット110を通過せずに半透過反射膜104で反射された光はほぼ全て下基板101の下偏光板116に吸収されるため、バックライト117から出射される光の一部のみしか表示に利用することができなかった。つまり、仮に下偏光板116に吸収されることなく、バックライト117まで戻ってくれば、この戻り光によりバックライト117の輝度が実効的に向上することになり、透過モードの明るさを向上させることができる。言い換えると、スリット110を通過せずに半透過反射膜104で反射した光を表示に再利用することができれば、透過モードの明るさを向上させることができるが、従来の構成ではそれを実現することができなかった。
【0017】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであって、半透過反射型液晶表示装置において、特に透過モード時の表示の明るさを向上させた視認性に優れる液晶表示装置を提供することを目的とする。また、本発明は、優れた視認性を有する上記液晶表示装置を備えた電子機器を提供することを目的とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本発明の液晶表示装置は、互いに対向配置された第1基板と第2基板との間に液晶層が挟持された液晶セルを有する液晶表示装置であって、第2基板の内面側に、所定の回転方向を持つ楕円偏光のうちの一部の楕円偏光を反射させ、一部の楕円偏光を透過させるコレステリック液晶層を有する半透過反射層と、透明導電膜からなる第2電極とが基板側からこの順に設けられるとともに、第1基板の内面側に透明導電膜からなる第1電極が設けられ、液晶層に対して第1基板側から楕円偏光を入射させる第1楕円偏光入射手段と第2基板側から楕円偏光を入射させる第2楕円偏光入射手段とが設けられるとともに、液晶セルの一方の側に照明手段が設けられ、照明手段から入射された光が第2楕円偏光入射手段を透過した後の楕円偏光と、照明手段から入射されて非選択電圧印加時にλ/2(λ:入射光の波長)の位相差が生じた前記液晶層を透過した光が前記第1楕円偏光入射手段に入射される前の楕円偏光とは、、その回転方向が逆回りであり、かつ、その長軸方向が±40°以内の角度をなすことを特徴とする。
【0019】
コレステリック液晶は、波長が液晶分子のらせんピッチと等しく、かつ、らせんの巻き方向と同じ回転方向の円偏光を選択的に反射する、いわゆる選択反射性を有している。逆に言えば、液晶分子のらせんピッチと等しくない波長の光、および波長が液晶分子のらせんピッチと等しくても、らせんの巻き方向と逆の回転方向を持つ円偏光はコレステリック液晶を透過する。さらに、本発明で用いるコレステリック液晶層は、波長が液晶分子のらせんピッチと等しく、らせんの巻き方向と同じ回転方向の円偏光を100%透過するのではなく、一部を反射させ、一部を透過させる機能を有しており、この点が本発明の特徴点となっている。以上の作用によって、このコレステリック液晶層は半透過反射層として機能する。
【0020】
本発明者は、反射型液晶表示装置において近年提案されているコレステリック液晶からなる反射層を用いた場合、液晶セルに入射させる光の偏光状態を楕円偏光とし、液晶層への選択電界印加時、非選択電界印加時のいずれかの時に楕円偏光状態の回転方向を反転させるように液晶モードを設定すれば、反射時と透過時で表示モードを同じにすることができ、表示原理的に透過モードが暗くならないようにできることを見い出した。また、透過表示時にコレステリック液晶の選択反射により下基板側に反射した光は、下基板の外面側の構成を従来と同じにしたままでも再利用できることを見い出した。これらの点に着目した構成の液晶表示装置を既に出願している。以下、その液晶表示装置の表示原理と半透過反射層で反射した光を再利用できる理由を図2を用いて説明する。
【0021】
図2は表示原理を説明するための図である。
一対の透光性基板からなる上基板(第1基板)1と下基板(第2基板)2との間に液晶層3が挟持されることにより液晶セル4が構成されている。下基板2の内面側には、顔料を含む色素層5(図2では例えば赤色(R)の色素層として説明する)を有するカラーフィルター層6(以下、顔料カラーフィルター層ともいう)と、コレステリック液晶層8からなる半透過反射層7とが基板側からこの順に設けられている。コレステリック液晶層8は、所定の波長帯域(色)および所定の回転方向を持つ円偏光のうちの一部を反射させ、一部を透過させるものであり、本説明では例えば赤色の右回りの円偏光(以下、右円偏光という)のうち、80%を反射させ、20%を透過させるものである。顔料カラーフィルター層6の色素層5の透過波長帯域とその上に位置するコレステリック液晶層8の反射波長帯域とが重なっており、この場合、赤色光を透過させる色素層5上に赤色光を選択反射させるコレステリック液晶層8が配置されている。
【0022】
また、この液晶表示装置は、液晶層3に対して上基板1側から楕円偏光を入射させる上基板側楕円偏光入射手段(第1楕円偏光入射手段)が設けられており、図2では一方向の直線偏光を透過する上偏光板9とこの上偏光板9を透過した直線偏光を円偏光に変換する上1/4波長板10とが上基板側楕円偏光入射手段を構成している。さらに、図2では液晶層3に対して下基板2側から楕円偏光を入射させる下基板側楕円偏光入射手段(第2楕円偏光入射手段)も設けられており、上基板1側と同様、下偏光板11と下1/4波長板12とが下基板側楕円偏光入射手段を構成している。ここでは、上基板側、下基板側ともに、偏光板9,11の透過軸を図2の紙面に平行な方向とし、この方向の直線偏光が1/4波長板10,12に入射された場合に右円偏光が出射されるものとする。
【0023】
液晶層3は、選択電界印加の有無により入射した円偏光の回転方向を反転させるものであり、例えば非選択電圧印加時(液晶OFF時)に液晶分子13が寝た状態でλ/2(λ:入射光の波長)の位相差を有するものとなり、したがって、入射した右円偏光は液晶層3を透過した後、左円偏光に変化し、左円偏光は右円偏光に変化する。一方、選択電圧印加時(液晶ON時)に液晶分子13が立った状態では位相差がなくなり、円偏光の回転方向は変化しない。
【0024】
反射モードの明表示を行う場合(図2の左端)には、上基板1の外側から入射した光は、上基板1上の上偏光板9を透過すると紙面に平行な偏光軸を有する直線偏光となり、次いで、上1/4波長板10を透過することにより右円偏光となる。この時、液晶をON状態としておくと、上述のように円偏光の回転方向は変化しないので、液晶層3に右円偏光が入射された場合、この光が液晶層3を透過して半透過反射層7に到達しても右円偏光のままである。
【0025】
ここで、金属膜等を用いた従来の半透過反射層とコレステリック液晶を用いた本発明の半透過反射層との大きな違いは、金属膜からなる半透過反射層の場合は反射時に円偏光の回転方向が逆になる、すなわち右円偏光が反射すると左円偏光に変わるのに対して、コレステリック液晶を用いた半透過反射層の場合は反射時に円偏光の回転方向が変わらない、すなわち右円偏光が反射しても右円偏光のままであるという点である。したがって、赤色の右円偏光の80%が下基板2上の半透過反射層7で反射した後、再び上基板1に向けて液晶層3を透過することになる。この時も液晶がON状態であるため、偏光状態は右円偏光のままで変わらないが、その後、上1/4波長板10を透過することにより紙面に平行な偏光軸を有する直線偏光に変化し、この直線偏光は上偏光板9を透過できるので、外部(観察者側)へ戻り、明(赤色)表示される。
【0026】
逆に反射モードの暗表示を行う場合(図2の右から2番目)には、液晶をOFF状態とすると、液晶層3がλ/2の位相差を持つため、上基板1側から入射した右円偏光は液晶層3を透過すると左円偏光となる。図2においては、半透過反射層7を構成するコレステリック液晶層8はあくまでも右円偏光の一部を反射するものであるため、左円偏光は半透過反射層7を透過する。その後、下1/4波長板12を透過することにより紙面に垂直な偏光軸を有する直線偏光に変化し、この直線偏光は下偏光板11で吸収されるので、外部(観察者側)へは戻らず、暗表示される。
【0027】
一方、透過モードでの表示を行う場合、例えばバックライト等から出射された光が下基板2の外側から液晶セル4に入射し、この光が表示に寄与する光となる。ここで、透過モードの暗表示を行う場合(図2の右端)には、反射モード時とほぼ同様の作用が下基板2側から上基板1側に向けて生じることになる。すなわち、図2においては下基板2側にも上基板1側と同様の下偏光板11と下1/4波長板12が備えられているので、液晶層3に下基板2側から右円偏光が入射され、その20%が半透過反射層7を透過する。ここで、液晶がOFF状態であれば、上基板1側に到達した時点で左円偏光となり、上1/4波長板10を透過することにより紙面に垂直な偏光軸を有する直線偏光に変化し、この直線偏光は上偏光板9で吸収されるので、外部(観察者側)へは出射せず、暗表示される。
【0028】
透過モードの明表示を行う場合(図2の左から2番目)には、下基板2側から入射する光は、下偏光板11を透過すると紙面に平行な偏光軸を有する直線偏光となり、次いで、下1/4波長板12を透過すると右円偏光となって顔料カラーフィルター層6の色素層5を透過し、赤色の右円偏光となって出射される。このうちの20%がコレステリック液晶からなる半透過反射層7を透過することができ、液晶がON状態であれば、20%の右円偏光がその偏光状態を維持したまま上基板1側に到達する。よって、この右円偏光が上1/4波長板10を透過することで紙面に平行な偏光軸を有する直線偏光に変化し、この直線偏光は上偏光板9を透過できるので、外部(観察者側)へ戻り、明(赤色)表示される。
【0029】
一方、透過モードの明表示では、顔料カラーフィルター層6の色素層5を透過した赤色の右円偏光のうち、80%がコレステリック液晶からなる半透過反射層7で下側に向けて反射することになる。この際、上述したように、コレステリック液晶は反射円偏光の回転方向を変えないという性質を持っているので、反射光は右円偏光である。このため、その後、右円偏光が下1/4波長板12を透過すると紙面に平行な偏光軸を有する直線偏光になり、この直線偏光が紙面に平行な透過軸を有する下偏光板11を透過することができる。このようにして、下偏光板11の透過軸と同じ偏光軸を有する直線偏光が下基板2側から出射されると、この光を例えばバックライトに備えられた反射板などで反射させることにより液晶セル4側に再度導入し、表示に再利用することができる。
【0030】
なお、上では説明を省略したが、透過モードの暗表示の際にも顔料カラーフィルター層6の色素層5を透過した右円偏光の80%がコレステリック液晶からなる半透過反射層7で反射し、下基板2側から一旦液晶セル4の外部に出射された後、再度液晶セル4に導入されるが、この光はいずれにしろ上偏光板9で吸収されてしまうので、暗表示にとって特に支障はない。また、反射モードの明表示では上から入射した右円偏光の20%が半透過反射層7を透過するので、下基板2側から一旦液晶セル4の外部に出射された後、再度液晶セル4に導入される。この光は表示に寄与するので、反射モードの表示も明るく維持することができる。
【0031】
この液晶表示装置では、反射時と透過時で同じ表示モードを用いることができ、特に透過モードの明表示に着目した場合、従来の半透過反射型液晶表示装置のように下基板側から入射した光の一部が上偏光板で吸収されることがなく、コレステリック液晶からなる半透過反射層を透過した光の多くが表示に寄与する。一方、コレステリック液晶からなる半透過反射層で反射した光は、表示に再利用することができる。勿論、上の説明で用いたコレステリック液晶での反射:80%、透過:20%という割合はほんの一例であって、反射と透過の比率はいかようにも変えることができる。しかしながら、どのような比率であっても、コレステリック液晶からなる半透過反射層を透過した円偏光を最大限に利用できることと、半透過反射層で反射した円偏光を表示に再利用できることの効果が相俟って、反射表示の明るさを維持しながら透過表示の明るさを従来より向上でき、視認性に優れた半透過反射型の液晶表示装置を実現することができる。なお、上の説明では、理想的な形態として上基板側、下基板側から導入する光をともに「(右)円偏光」としたが、上述した本発明の液晶表示装置の動作を実現するためには必ずしも完全な円偏光である必要はなく、広い意味で「楕円偏光」であればよい。
【0032】
ここで、本発明者は、上記の既出願の液晶表示装置において、1/4波長板によって得られるはずの円偏光は、実際には入射光が波長分散を持っているため、コレステリック液晶が反射するようなきれいな円偏光にはならず、楕円偏光となってしまい、これによってコントラスト等の表示品位が低下する点を問題視し、この点を改善すべく本発明の構成に到った。すなわち、上で述べた表示原理は、あくまでも理想的な円偏光が得られた場合の話であって、実際には楕円偏光が表示に係わっており、これによりコントラストが低下する。
【0033】
そこで、本発明の液晶表示装置は、特に、透過表示に係わる照明手段からの入射光が下基板側楕円偏光入射手段を透過した後の楕円偏光と、その後に液晶層を透過した光が上基板側楕円偏光入射手段に入射される前の楕円偏光は、その回転方向が逆回りであり、かつ、その長軸方向が±40°以内の角度をなすことを特徴とする。すなわち、一方の楕円偏光の長軸方向を基準としたとき、他方の楕円偏光の長軸方向が右回りに40°以下、もしくは左回りに40°以下の角度をなすことを特徴とする。
【0034】
下の表1は、回転方向の異なる円偏光板を重ね、照明手段から光を入射し、もう一方で受光したときの光の強さを示している。これは理想的な液晶セルを模擬したものである。目安となるのはコントラスト500が得られる角度である。理想的な状態で500のコントラストが取れない場合、実際の位相差を持つ液晶セルにした場合、表示品位のよい、高コントラストは望めない。よって、楕円偏光の長軸のなす角度は±40°以内が望ましい。
【0035】
【表1】
【0036】
この構成によれば、透過モードで暗表示を行う場合、例えば上の表示原理で説明したのと同様、液晶層に下基板側から右楕円偏光が入射された場合、液晶がOFF状態であれば、液晶層を透過して上基板側に到達した時点で左楕円偏光となる。そして、上基板側には楕円偏光入射手段が備えられており、左楕円偏光は、楕円偏光入射手段を構成する偏光板で吸収される。このとき、下基板側楕円偏光入射手段を透過した後の楕円偏光と、上基板側楕円偏光入射手段に入射される前の楕円偏光の回転方向が逆回りで長軸方向が略一致していると、楕円偏光成分が相殺され、上基板側の偏光板を透過する前の偏光状態は略直線偏光に近くなる。これにより、透過モードにおける透過率をより低くすることができ、コントラストを向上させることができる。
【0037】
前記上基板側楕円偏光入射手段(第1楕円偏光入射手段)や前記下基板側楕円偏光入射手段(第2楕円偏光入射手段)は、一方向の直線偏光を透過する偏光板とこの偏光板を透過した直線偏光を楕円偏光に変換する位相差板とを有することが望ましい。
これら偏光板、位相差板からなる2つの光学部材を上基板(第1基板)側、下基板(第2基板)側のそれぞれに設置することによって、太陽光、照明光などの外光と照明手段(バックライト)からの照明光を容易に楕円偏光に変換することができ、本発明の液晶表示装置に好適なものとすることができる。
【0038】
また、位相差板を、1/4波長板と1/2波長板とを組み合わせた広帯域1/4波長板とすることが望ましい。
この構成によれば、通常用いる可視光の波長帯域にわたって透過表示のコントラストの高い液晶表示装置を実現することができる。
【0039】
さらに、本発明の液晶表示装置においては、前記コレステリック液晶層が、所定の領域毎に液晶分子のらせんピッチに応じた波長の異なる色光を選択的に反射させる反射型カラーフィルターとして機能するものであり、前記所定の領域毎に前記コレステリック液晶層の反射波長帯域と前記カラーフィルター層の各色素層の透過波長帯域とが少なくとも一部重なるものを用いることもできる。別の表現をすれば、前記所定の領域毎に前記コレステリック液晶層からの反射光の色と前記カラーフィルター層の各色素層の透過光の色が一致しているものを用いることができる。
【0040】
本発明の液晶表示装置におけるコレステリック液晶層は、液晶分子のらせんピッチが異なる複数の層を積層することによって種々の波長帯域を含む円偏光を反射させる反射層、いわゆる白色反射板として機能させることができる。または、所定の領域毎に液晶分子のらせんピッチを変え、その領域のらせんピッチに応じた波長の光を選択的に反射させるようにすれば、領域毎に例えば赤(R)、緑(G)、青(B)の光がそれぞれ反射する反射型カラーフィルターとして機能させることもできる。反射型カラーフィルターとして機能させた場合、上記の表示原理によって表示領域内の各ドット毎に異なる色のカラー表示が可能となる。この場合、コレステリック液晶層は主に反射表示用のカラーフィルター、顔料を含むカラーフィルター層は主に透過表示用のカラーフィルターとして機能する。
【0041】
さらに、下基板とカラーフィルター層との間に、前記所定の領域毎に半透過反射層を構成するコレステリック液晶層の反射波長帯域以外の波長帯域の色光の少なくと一部を反射するコレステリック液晶層をさらに設ける構成としてもよい。別の表現をすれば、下基板とカラーフィルター層との間に、前記所定の領域毎にカラーフィルター層の各色素層の透過光の色と補色の関係にある色の色光の少なくとも一部を反射するコレステリック液晶層をさらに設ける構成としてもよい。
【0042】
ここで、新たに付加したコレステリック液晶層の作用、効果について図2を用いて説明する。
図2では、具体的には半透過反射層を構成するコレステリック液晶層の反射光および顔料カラーフィルター層の透過光の色が赤(R)であるのに対し、緑(G)と青(B)の光をそれぞれ選択反射するコレステリック液晶層を2層積層して用いている。
【0043】
反射モードに関しては、上基板1側から下基板2側に向けて顔料カラーフィルター層6の色素層5を透過した赤色の円偏光は、緑色光を選択反射するコレステリック液晶層14および青色光を選択反射するコレステリック液晶層15を透過することができる。また、下側のコレステリック液晶層14,15でそれぞれ選択反射され、再度上基板1側に向かう緑色光および青色光があるが、これらの光は顔料カラーフィルター層6の赤の色素層5で吸収されるので、液晶層3側に出射されることはない。したがって、反射モードの場合、表示原理的には上の説明とほぼ変わるところはない。
【0044】
次に、透過モードに関しては、下側のコレステリック液晶層14,15の作用、効果を説明するために、特に明表示(図2の左から2番目)の場合に着目すると、下1/4波長板12を透過して右円偏光となった光は、コレステリック液晶層15で青色の右円偏光が、コレステリック液晶層14で緑色の右円偏光がそれぞれ反射される。これに対して、赤色の右円偏光はコレステリック液晶層14,15を透過し、顔料カラーフィルター層6の赤の色素層5も透過した後、そのうちの80%が半透過反射層7で反射される。
【0045】
下側のコレステリック液晶層がなかったとすると、下1/4波長板12側から入射される右円偏光が全て顔料カラーフィルター層6の赤の色素層5に入射されるため、入射光中の緑色光成分および青色光成分は赤色の色素層5で吸収されてしまい、これらの成分はそれ以降再利用のサイクルに回ることはない。これに対して、下側のコレステリック液晶層14,15を設けた場合、下1/4波長板12側から入射される右円偏光が顔料カラーフィルター層6の赤の色素層5に入射される前にコレステリック液晶層14,15に入射されるので、右円偏光の中の緑色光成分および青色光成分は赤色の色素層5で吸収されることなくその前に反射され、赤色光成分中の半透過反射層7からの反射分とともに再利用のサイクルに回される。その結果、全体として再利用の効率が向上し、より明るい透過表示を得ることができる。
【0046】
本発明の電子機器は、上記本発明の液晶表示装置を備えたことを特徴とする。この構成によれば、透過モード時の表示も明るく、視認性に優れた液晶表示部を備えた電子機器を提供することができる。
【0047】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施の形態を図1を参照して説明する。
図1は本実施の形態の液晶表示装置の断面構造を示す図であり、本実施の形態は半透過反射型カラー液晶表示装置の例である。なお、以下の図面においては、図面を見やすくするため、各構成要素の膜厚や寸法の比率などは適宜異ならせてある。
【0048】
本実施の形態の液晶表示装置50は、図1に示すように、液晶セル21とバックライト22(照明手段)とを備えたものである。液晶セル21は、下基板(第2基板)23と上基板(第1基板)24とが対向配置され、これら上基板24と下基板23との間に、位相差を例えばλ/2に設定したSTN(Super Twisted Nematic)液晶などからなる液晶層26が挟持されている。液晶セル21の後面側(下基板23の外面側)にバックライト22が配置されている。バックライト22は、LED(発光ダイオード)等からなる光源27、導光板28、反射板29などを備えている。
【0049】
ガラスやプラスチックなどの透光性材料からなる下基板23の内面側には、例えばR、G、Bの異なる色の顔料を含む色素層31r,31g,31bを有する顔料カラーフィルター層32が形成され、その上にオーバーコート層33を介してR、G、Bの異なる色の色光を選択反射させるコレステリック液晶層34r,34g,34bからなる半透過反射層35が形成されている。コレステリック液晶層34r,34g,34bは、各色光において所定の回転方向を持つ円偏光のうちの一部を反射させ、一部を透過させるものであり、具体的には例えば右円偏光のうちの80%を反射させ、20%を透過させるものである。反射と透過の比率は、反射:透過=8:2〜1:9程度の範囲で設定することができ、この設定の方法としてはコレステリック液晶層34r,34g,34bの厚さを制御することが一つの方法である。
【0050】
顔料カラーフィルター層32の各色素層31r,31g,31bの透過波長帯域とその上に位置するコレステリック液晶層34r,34g,34bの反射波長帯域はほぼ重なっており、この場合、赤色光を透過させる色素層31r上に赤色光を選択反射させるコレステリック液晶層34rが、緑色光を透過させる色素層31g上に緑色光を選択反射させるコレステリック液晶層34gが、青色光を透過させる色素層31b上に青色光を選択反射させるコレステリック液晶層34bがそれぞれ配置されている。コレステリック液晶層34r,34g,34bは液晶分子のらせんのピッチに一致した波長の光を選択反射させるものである。また、例えばコレステリック液晶を硬化させる際の紫外線強度や温度を変えることで局所的にらせんピッチを制御することができ、らせんピッチを450nm程度に制御すれば青色光を選択反射させるもの、550nm程度に制御すれば緑色光を選択反射させるもの、650nm程度に制御すれば赤色光を選択反射させるものが得られ、全体が反射型カラーフィルターとして機能する。
【0051】
コレステリック液晶層34r,34g,34bが主に反射表示時の色を形成するためのカラーフィルターとして機能するのに対し、顔料カラーフィルター層32は主に透過表示時の色を形成するためのカラーフィルターとして機能する。これら顔料カラーフィルター層32の色素層31r,31g,31bとその上に位置するコレステリック液晶層34r,34g,34bの各色毎の平面的なパターン形状は、例えばストライプ状、モザイク状、デルタ状として知られる従来のカラーフィルターと同様のものを採用することができる。
【0052】
また、下基板23上の顔料カラーフィルター層32の下側に、半透過反射層35を構成するコレステリック液晶層34r,34g,34bの反射波長帯域(顔料カラーフィルター層32の各色素層31r,31g,31bの透過波長帯域)以外の波長帯域の色光、すなわち、顔料カラーフィルター層32の各色素層31r,31g,31bの透過光の色と補色の関係にある色光を選択反射するコレステリック液晶層51が設けられている。
【0053】
具体的には半透過反射層35を構成するコレステリック液晶層の反射光および顔料カラーフィルター層32の透過光の色が赤(R)の領域(34r,31r)では、緑(G)と青(B)の光をそれぞれ選択反射するコレステリック液晶層52g,52b、緑(G)の領域(34g,31g)では、青(B)と赤(R)の光をそれぞれ選択反射するコレステリック液晶層52b,52r、青(B)の領域(34b,31b)では、赤(R)と緑(G)の光をそれぞれ選択反射するコレステリック液晶層52r,52gの2層ずつを積層して用いている。このように、顔料カラーフィルター層32の各色素層31r,31g,31bの透過光の色とコレステリック液晶層51全体の選択反射光の色が補色の関係にあればよいので、上記のような2層のコレステリック液晶層を積層することに代えて、赤(R)の領域にシアンの光を選択反射するコレステリック液晶層、緑(G)の領域にマゼンタの光を選択反射するコレステリック液晶層、青(B)の領域にイエローの光を選択反射するコレステリック液晶層の1層のみを配置してもよい。また、選択反射色が補色の関係にあるコレステリック液晶層を3層以上の多層にして形成してもよい。
【0054】
下基板23の内面側の半透過反射層35の上方には、オーバーコート層36を介してITO等の透明導電膜からなる下部電極(第2電極)37が形成され、その上にポリイミド等の樹脂からなる配向膜38が形成されている。一方、上基板24の内面側にも、ITO等の透明導電膜からなる上部電極(第1電極)39が形成され、その上にポリイミド等の樹脂からなる配向膜40が形成されている。これら下部電極37、上部電極39からなる電極構成には、薄膜トランジスタ(TFT)、薄膜ダイオード(TFD)等のスイッチング素子を用いたアクティブマトリクス方式、パッシブマトリクス方式のいずれも採用することができる。
【0055】
上基板24の外面側には、1/4波長板47と1/2波長板42と偏光板43(これらの部材で上基板側楕円偏光入射手段(第1楕円偏光手段)を構成する)とが基板側からこの順に設けられている。一方、下基板23の外面側には、1/4波長板44と1/2波長板48と偏光板45(これらの部材で下基板側楕円偏光入射手段(第2楕円偏光手段)を構成する)とが基板側からこの順に設けられている。これら1/4波長板47,44、1/2波長板42,48、偏光板43,45は、液晶層26に対して所定の回転方向を持つ楕円偏光を入射させるものであり、特に1/4波長板47,44と1/2波長板42,48は広帯域1/4波長板として機能する。そして、バックライト22から液晶セルに入射した光が1/2波長板48を透過した後の楕円偏光と、その後、液晶層26を透過した光が1/2波長板42に入射される前の楕円偏光はその回転方向が逆回りであり、かつ、その長軸方向が±40°以内の角度をなすように、より好ましくは略一致するように、各偏光板43,45の透過軸と1/4波長板47,44および1/2波長板42,48の遅相軸が配置されている。ただし、特に上基板24側に設ける位相差板に色補償の機能も持たせたい場合には必ずしも1/4波長板と1/2波長板の組み合わせを用いることはなく、任意の位相差を持つ位相差板を選択すればよい。
【0056】
上記構成の液晶表示装置50の表示原理については[課題を解決するための手段]の項で詳細に説明したので、ここでは省略する。上述したように、本実施の形態の液晶表示装置50によれば、反射時と透過時で同じ表示モードを用いることができ、特に透過モードの明表示に着目した場合、従来の半透過反射型液晶表示装置のように下基板側から入射した光の一部が上偏光板で吸収されることがなく、コレステリック液晶層34r,34g,34bからなる半透過反射層35を透過した光の大部分が表示に寄与する。一方、コレステリック液晶層34r,34g,34bからなる半透過反射層35で反射し、液晶層26に導入されなかった光は透過表示に再利用することができる。このように、コレステリック液晶層34r,34g,34bからなる半透過反射層35を透過した円偏光を最大限に利用できることと、半透過反射層35で反射した円偏光を表示に再利用できることの効果が相俟って、反射表示の明るさを維持しながら透過表示の明るさを従来より向上でき、視認性に優れた半透過反射型の液晶表示装置を実現することができる。
【0057】
また、透過表示時に下位相差板44側から入射される円偏光が顔料カラーフィルター層32の各色の色素層31r,31g,31bに入射される前にコレステリック液晶層51に入射されるので、円偏光のうち、顔料カラーフィルター層32の色素層31r,31g,31bの色に対して補色にあたる色光成分はこれら色素層31r,31g,31bで吸収されることなくその前にコレステリック液晶層52r,52g,52bで反射され、再利用のサイクルに回される。したがって、全体として光の再利用の効率が向上し、より明るい透過表示を得ることができる。
【0058】
さらに本実施の形態の場合、特に透過モードで暗表示を行う際に、例えば液晶層26に下基板23側から右楕円偏光が入射されると、液晶層26を透過して上基板24側に到達した時点で左楕円偏光となり、この左楕円偏光は、上基板側楕円偏光入射手段を構成する偏光板43で吸収される。このとき、下基板23側での楕円偏光と上基板24側での楕円偏光の回転方向が逆回りで長軸方向が略一致しているので、楕円偏光成分が相殺され、上記2つの楕円偏光の長軸方向が一致していない場合に比べて上基板24側の偏光板43を透過する前の偏光状態が略直線偏光に近くなる。これにより、透過モードにおける透過率を低くすることができ、従来に比べてコントラストを向上させることができる。
【0059】
[電子機器]
上記実施の形態の液晶表示装置を備えた電子機器の例について説明する。
図5は、携帯電話の一例を示した斜視図である。図5において、符号1000は携帯電話本体を示し、符号1001は上記の液晶表示装置を用いた液晶表示部を示している。
【0060】
図6は、腕時計型電子機器の一例を示した斜視図である。図6において、符号1100は時計本体を示し、符号1101は上記の液晶表示装置を用いた液晶表示部を示している。
【0061】
図7は、ワープロ、パソコンなどの携帯型情報処理装置の一例を示した斜視図である。図7において、符号1200は情報処理装置、符号1202はキーボードなどの入力部、符号1204は情報処理装置本体、符号1206は上記の液晶表示装置を用いた液晶表示部を示している。
【0062】
図5〜図7に示す電子機器は、上記実施の形態の液晶表示装置を用いた液晶表示部を備えているので、透過モードでも明るい表示が得られ、あらゆる使用環境で視認性に優れた液晶表示部を備えた電子機器を実現することができる。
【0063】
なお、本発明の技術範囲は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。例えば上記実施の形態では、楕円偏光入射手段として偏光板と1/4波長板とを用いたが、液晶層に対して楕円偏光を入射できるものであれば、その他の光学部材を用いてもよい。また、上記実施の形態では、領域毎に顔料カラーフィルター層の各色素層の透過光の色と前記各色素層に対応する位置のコレステリック液晶層の反射光の色が同色である、すなわち、顔料カラーフィルター層の各色素層の透過波長帯域と各色素層に対応する位置のコレステリック液晶層の反射波長帯域がほぼ重なっている例を挙げたが、これについても光の利用効率が多少低下するのを許容すれば、前記2つの波長帯域の少なくとも一部が重なっていればよい。
【0064】
【実施例】
本発明者は、上記実施の形態の液晶表示装置の基本構成において、バックライトから入射した光が下基板側の1/2波長板を透過した後の楕円偏光(以下の説明ではこの楕円偏光を便宜的に「下楕円偏光」と呼ぶ)と、上基板側の1/2波長板に入射される前の楕円偏光(以下の説明ではこの楕円偏光を便宜的に「上楕円偏光」と呼ぶ)の長軸方向が一致している場合と一致していない場合とで透過モードの暗表示時の透過率の分光特性をシミュレーションにより求めた。
【0065】
図3(a)、(b)は、液晶表示装置内の各所における偏光状態をシミュレーションしたものであり、波長550nmの光に対する偏光状態を表している。符号Aは下楕円偏光の偏光状態、符号Bは下基板側から上基板側に入射される楕円偏光の偏光状態、符号Cは上楕円偏光の偏光状態、符号Dは上基板側の偏光板に入射される前の楕円偏光の偏光状態、をそれぞれ表している。
【0066】
図3(a)は下楕円偏光の長軸方向と上楕円偏光の長軸方向が一致していない従来の場合のシミュレーション結果であり、上基板側の偏光板に入射される前の光(符号D)が若干の楕円偏光となっているため、偏光板を透過する成分を有しており、この成分が暗表示のコントラストを低下させる。なお、この図では上偏光板の透過軸の方向を上下方向とする。これに対して、図3(b)は下楕円偏光の長軸方向と上楕円偏光の長軸方向を一致させた本発明の場合のシミュレーション結果であり、上基板側の偏光板に入射される前の光(符号D)がほとんど直線偏光となっている。よって、偏光板を透過する成分がほとんどなく、従来の場合に比べて暗表示のコントラストが向上することがわかった。
【0067】
図4は、図3(a)、(b)のそれぞれの場合の透過モードの暗表示時の透過率の分光特性を示している。図3(a)に示す下楕円偏光の長軸方向と上楕円偏光の長軸方向が一致していない場合(図4中、破線で示す)、波長550nm近傍では透過率は0%に近い値を示すものの、短波長側と長波長側で透過率が上昇し、コントラストが低下することを表している。これに対して、図3(b)に示す下楕円偏光の長軸方向と上楕円偏光の長軸方向が一致している場合(図4中、実線で示す)、短波長側と長波長側でも透過率はほとんど0%であり、広帯域にわたって高いコントラストを維持できることを表している。
【0068】
【発明の効果】
以上、詳細に説明したように、本発明によれば、透過モードにおいて、従来の液晶表示装置のように下基板側から入射した光の一部が上偏光板で吸収されることがなく、コレステリック液晶からなる半透過反射層を透過した光の大部分が表示に寄与する。一方、コレステリック液晶からなる半透過反射層で反射し、液晶層に導入されなかった下基板側からの光は透過表示に再利用することができる。また、下基板側の楕円偏光と上基板側の楕円偏光の回転方向が逆回りで長軸方向が略一致しているので、上基板側の偏光板を透過する前の偏光状態は略直線偏光に近くなり、透過モードにおけるコントラストを向上させることができる。このようにして、透過表示品位を従来より向上でき、視認性に優れた半透過反射型の液晶表示装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施の形態に係る液晶表示装置の断面構造を示す図である。
【図2】 同、液晶表示装置の表示原理を説明するための模式図である。
【図3】 液晶表示装置内の各所における偏光状態をシミュレーションした図であり、(a)は従来の場合、(b)は本発明の場合を示す。
【図4】 図3(a)、(b)のそれぞれの場合の透過モードの暗表示時の透過率の分光特性を示す図である。
【図5】 本発明に係る電子機器の一例を示す斜視図である。
【図6】 本発明に係る電子機器の他の例を示す斜視図である。
【図7】 本発明に係る電子機器のさらに他の例を示す斜視図である。
【図8】 従来の液晶表示装置の一例を示す断面図である。
【符号の説明】
1,24 上基板
2,23 下基板
3,26 液晶層
4,21 液晶セル
5,31r,31g,31b 色素層
6,32 顔料カラーフィルター層
7,35 半透過反射層
8,34r,34g,34b,51,52r,52g,52b コレステリック液晶層
9,43 上偏光板(上基板側楕円偏光入射手段)
10 上位相差板(上基板側楕円偏光入射手段)
11,45 下偏光板(下基板側楕円偏光入射手段)
12 下位相差板(下基板側楕円偏光入射手段)
14,15 コレステリック液晶層
50 液晶表示装置
22 バックライト(照明手段)
42,48 1/2波長板(位相差板)
44,47 1/4波長板(位相差板)
Claims (9)
- 互いに対向配置された第1基板と第2基板との間に液晶層が挟持された液晶セルを有する液晶表示装置であって、
前記第2基板の内面側に、所定の回転方向を持つ楕円偏光のうちの一部の楕円偏光を反射させ、一部の楕円偏光を透過させるコレステリック液晶層を有する半透過反射層と、透明導電膜からなる第2電極とが基板側からこの順に設けられるとともに、前記第1基板の内面側に透明導電膜からなる第1電極が設けられ、前記液晶層に対して前記第1基板側から楕円偏光を入射させる第1楕円偏光入射手段と前記第2基板側から楕円偏光を入射させる第2楕円偏光入射手段とが設けられるとともに、液晶セルの一方の側に照明手段が設けられ、該照明手段から入射された光が前記第2楕円偏光入射手段を透過した後の楕円偏光と、前記照明手段から入射されて非選択電圧印加時にλ/2(λ:入射光の波長)の位相差が生じた前記液晶層を透過した光が前記第1楕円偏光入射手段に入射される前の楕円偏光とは、その回転方向が逆回りであり、かつ、その長軸方向が±40°以内の角度をなすことを特徴とする液晶表示装置。 - 前記第1楕円偏光入射手段が、一方向の直線偏光を透過する偏光板と該偏光板を透過した直線偏光を楕円偏光に変換する位相差板とを有することを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
- 前記第2楕円偏光入射手段が、一方向の直線偏光を透過する偏光板と該偏光板を透過した直線偏光を楕円偏光に変換する位相差板とを有することを特徴とする請求項1または2に記載の液晶表示装置。
- 前記位相差板が、1/4波長板と1/2波長板とを組み合わせてなる広帯域1/4波長板であることを特徴とする請求項2または3に記載の液晶表示装置。
- 異なる色の顔料を含む複数の色素層を有するカラーフィルターが設けられるとともに、前記コレステリック液晶層が、所定の領域毎に液晶分子のらせんピッチに応じた波長の異なる色光を選択的に反射させる反射型カラーフィルターとして機能するものであり、前記所定の領域毎に前記コレステリック液晶層の反射波長帯域と前記カラーフィルターの各色素層の透過波長帯域とが少なくとも一部重なっていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一項に記載の液晶表示装置。
- 異なる色の顔料を含む複数の色素層を有するカラーフィルターが設けられるとともに、前記コレステリック液晶層が、所定の領域毎に液晶分子のらせんピッチに応じた波長の異なる色光を選択的に反射させる反射型カラーフィルターとして機能するものであり、前記所定の領域毎に前記コレステリック液晶層からの反射光の色と前記カラーフィルターの各色素層の透過光の色が一致していることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一項に記載の液晶表示装置。
- 前記第2基板と前記カラーフィルターとの間に、前記所定の領域毎に前記コレステリック液晶層の反射波長帯域以外の波長帯域の色光の少なくとも一部を反射するコレステリック液晶層がさらに設けられたことを特徴とする請求項5または6に記載の液晶表示装置。
- 前記第2基板と前記カラーフィルターとの間に、前記所定の領域毎に前記カラーフィルターの各色素層の透過光の色と補色の関係にある色の色光の少なくとも一部を反射するコレステリック液晶層がさらに設けられたことを特徴とする請求項5または6に記載の液晶表示装置。
- 請求項1ないし8のいずれか一項に記載の液晶表示装置を備えたことを特徴とする電子機器。
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