JP2004117750A - 液晶表示装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】簡便な構造、簡便な駆動でありながら、光利用効率が高く、外光の影響を受けることなく良好な透過表示を実現し得る反射透過両用型の液晶表示装置を提供する。
【解決手段】第1及び第2の基板4・7間に、映像信号が入力される第1の液晶層5が介在され、第2及び第3基板7・9間に、偏光軸回転手段6としての機能を有する第2の液晶層8が介在されている。第3の基板9の表示面側には、偏光板10が配置され、第1の基板4の背面側には、偏光選択反射層3、バックライト2、吸収層1が配置されている。ここで、第1の液晶層5を構成するネマチック液晶には、二色性色素12が添加されており、透過表示の暗表示に表示面側から偏光板10を介して入射する光14を吸収する外光吸収手段としての機能が付与されている。
【選択図】 図4
【解決手段】第1及び第2の基板4・7間に、映像信号が入力される第1の液晶層5が介在され、第2及び第3基板7・9間に、偏光軸回転手段6としての機能を有する第2の液晶層8が介在されている。第3の基板9の表示面側には、偏光板10が配置され、第1の基板4の背面側には、偏光選択反射層3、バックライト2、吸収層1が配置されている。ここで、第1の液晶層5を構成するネマチック液晶には、二色性色素12が添加されており、透過表示の暗表示に表示面側から偏光板10を介して入射する光14を吸収する外光吸収手段としての機能が付与されている。
【選択図】 図4
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、反射及び透過の両方の機能を併せ持つ液晶表示装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、パーソナルコンピュータ、携帯情報端末、携帯電話、テレビなどへの液晶表示装置の応用が急速に進展している。液晶表示装置の中でも反射透過両用型の液晶表示装置は、周囲が明るいときは外光反射して良好な表示を実現でき、且つバックライトが不要であるため消費電力が低く、また周囲が暗くなるとバックライト(照明装置)を点灯することによって良好な表示を得られることから、最近特に携帯電話用ディスプレイとして注目されている。
【0003】
従来の反射透過両用型の液晶表示装置は、主に超薄膜半透過反射板(ハーフミラー)により一部の光を反射に利用し、一部の光を透過に利用する方法や、穴空き反射板により穴の部分は光を透過し、それ以外の部分で反射表示を行う方式が一般的である。
【0004】
しかしながら、これらの表示方式は、画素に入射した光の一部を反射し、一部を透過する方式であるため、光の利用効率が悪く、反射も透過も暗い表示となってしまう。
【0005】
このような不具合に鑑み、超薄膜半透過反射板に代えて、特定の方向の直線偏光のみを反射し、前記直線偏光に直交する直線偏光は透過する層である偏光選択反射手段(偏光分離手段)を用いることが行われている。これによれば、透過表示と反射表示とを偏光選択反射手段にて偏光方向で分離するため、画素開口部は反射透過両用に利用することができ、光の利用効率を高めて反射透過両方の表示を明るい良好なものとできる(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
また、本願出願人は、さらに、偏光選択反射手段に加えて、映像信号入力により明暗をコントロールする液晶層の下層に、透過表示と反射表示を切り換えるための偏光軸回転手段としての第2の液晶層を有する構成を提案している。これによれば、第2の液晶層の透過光の偏光軸を切り換えることで、透過表示と反射表示とのネガポジ反転を防止することができる。
【0007】
つまり、偏光選択反射手段の上に液晶層が1層のみの場合、透過表示と反射表示とで表示がネガポジ反転するため、これを防止するためには、映像信号を白黒反転させるための回路等を別途具備させる必要があり、駆動が複雑化する。しかしながら、このように、液晶層を2層構造とし、一方を透過表示と反射表示とで90°偏光方向を切り換えることで、簡便な構造、簡便な駆動でもって、ネガポジ反転を防止することができる(例えば、特許文献2参照)。
【0008】
【特許文献1】
特開平11−258603号公報(公開日1999年9月24日)
【0009】
【特許文献2】
特開2002−40409号公報(公開日2002年2月6日)
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、一般的な使用環境では透過表示時でも外光が入射されるため、たとえ透過表示と反射表示を切り換えるための第2の液晶層、つまり、偏光軸回転手段を備えた構造であっても、透過表示の暗表示(暗状態の表示)を行った場合に、外光の反射が加わった表示となり、透過表示のコントラスト比の低下が生じ、さらに、外光の照度がバックライトの照度を上回ると、ネガポジ反転してしまうといった不具合を生じる。
【0011】
これについて、図26を用いて、詳細に説明する。該図は、第2の液晶層を備えた液晶表示装置における透過表示の動作原理を説明する断面図であり、図の左側に明状態の表示、図の右側に暗状態の表示を示す。
【0012】
該図では、表示面側から、偏光板134、第1の液晶層135、第2の液晶層136、拡散板137、偏光選択反射手段138、及びバックライト139の順に積層された構成となっている。
【0013】
バックライト139より出射された光140は、偏光選択反射手段138により直線偏光となり、拡散板137を通過後の第2の液晶層136で偏光方向が90°回転した直線偏光となる。そして、第1の液晶層135を通過することで偏光方向がさらに90°回転し、この偏光方向と偏光板134の透過軸とが一致することで、明状態を表示できる。
【0014】
このとき、外光141は、上記光路と同じ軌跡をたどるため、偏光選択反射手段138を透過していき、その後反射されれば明状態、吸収されれば暗状態の表示となる。したがって、透過表示の明表示では、外光141は問題とならない。
【0015】
一方、バックライト139より出射された光142は、偏光選択反射手段138により直線偏光となり、拡散板137通過後の第2の液晶層136で偏光方向が90°回転した直線偏光となる。第1の液晶層135は電圧印加により液晶分子が立ち上がっているため、そのままの偏光状態で通過していき、偏光板134の透過軸に対して直交した直線偏光となるため、暗状態を表示できる。
【0016】
このとき、外光143は、偏光板134で直線偏光となり、第1の液晶層135をそのままの偏光状態で通過し、第2の液晶層136で90°回転し、偏光選択反射手段138の透過軸方向に対して直交した直線偏光となる。すなわち、偏光選択反射手段138の反射軸方向と一致するため、ここで反射され、同じ光路を逆にたどりながら戻っていき、偏光板134を透過し、明状態の表示となる。したがって、透過表示の暗表示を行った場合、外光143の反射が加わった表示となり、透過表示のコントラスト比の低下や、ネガポジ反転が生じる。
【0017】
また、上記液晶表示装置では、上層の第1の液晶層135で映像信号入力による明暗をコントロールしているため、反射表示時に反射板となる偏光選択反射手段138までの光路が長く、視差による像の二重映り、カラーフィルタを用いた場合の混色が生じ、表示品位が著しく低下するといった不具合もある。
【0018】
本発明は、上述したような従来の反射透過両用型の液晶表示装置の問題を解決するためになされたものであり、第1の目的は、簡便な構造、簡便な駆動でありながら、光利用効率が高く、外光の影響を受けることなく良好な透過表示を実現し得る反射透過両用型の液晶表示装置を提供することにある。
【0019】
また、本発明の第2の目的は、さらに、視差による像の二重映りや、カラーフィルタを用いた場合の混色を無くして、良好な表示品位を実現し得る反射透過両用型の液晶表示装置を提供することにある。
【0020】
【課題を解決するための手段】
本発明の液晶表示装置は、上記課題を解決するために、表示面側に配された偏光手段と、背面側に配された偏光選択反射手段との間に、映像信号に基づいて透過光の偏光軸を選択的に切り換える第1の液晶層と、透過光の偏光軸を選択的に切り換えて透過表示と反射表示とを切り換える偏光軸回転手段とが配設されてなる液晶表示装置において、透過表示の暗状態表示時に表示面側から上記偏光手段を介して入射する光を吸収する外光吸収手段が設けられていることを特徴としている。
【0021】
上記構成では、偏光選択反射手段を用いることで、透過表示及び反射表示共に光利用効率の高い表示が実現でき、かつ、偏光軸回転手段を備えて透過光の偏光軸を回転させることで透過表示と反射表示を切り換えるようになっているので、透過表示と反射表示とのネガポジ反転を、映像信号を白黒反転させるための回路等を別途具備させて駆動を複雑化したりすることなく防止できる。
【0022】
そして、特に、上記構成では、外光吸収手段が設けられており、該外光吸収手段にて、透過表示の暗状態表示時に表示面側から偏光手段を介して入射する光が吸収されるようになっている。したがって、透過表示の暗状態表示に、表示面側から入射する光が反射して、透過表示におけるコントラスト比を低下させたり、ネガポジ反転させたりするといった不具合をなくすることができ、表示品位を向上させることができる。
【0023】
ここで、上記外光吸収手段は、第3の液晶層に異方性吸収体が添加されてなる構成とすることができる。液晶層に異方性吸収体を添加することで、液晶分子の配向制御にて異方性吸収体における吸収性を制御することができる。したがって、このような構成で、上記外光吸収手段を容易に得ることができる。
【0024】
また、本発明の上記液晶表示装置は、異方性吸収体が添加された状態の上記第3の液晶層の透過率であって、透過表示の明状態における透過率が、透過率100%を1として、√0.5よりも大きく0.92以下であることが好ましい。
【0025】
透過表示の明状態における透過率が、透過率100%を1として、√0.5以下となると、光路が2倍の反射表示の明るさが50%以下となってしまい、従来の技術で示すハーフミラーを用いた半透過型あるいは、穴空き反射板による透過表示と反射表示の画素分割による半透過型と同程度の光利用効率となり、偏光選択反射手段を設けた反射透過両用型の液晶表示装置としてのメリットがなくなる。一方、該透過率が、透過率100%を1として、0.92を超える、つまり92%を超えると、異方性吸収体による、透過表示の暗状態表示で表示面側から入る光の吸収が不十分となり、透過表示のコントラスト比の低下、またはネガポジ反転が生じてしまう。したがって、異方性吸収体が添加された状態の上記第3の液晶層における透過表示の明状態の透過率は、上記範囲とすることが望ましい。
【0026】
また、本発明の上記液晶表示装置は、上記異方性吸収体が、正の吸収異方性を有する二色性色素であり、上記第3の液晶層を挟持する一対の基板のうちの表示面側に位置する基板の表面の液晶分子の長軸方向と、表示面側より入射して該基板に至る外光の直線偏光方向とが、略平行である構成とすることが好ましい。
【0027】
異方性吸収体としては正の吸収異方性を有する二色性色素を用いることができる。そして、正の吸収異方性を有する二色性色素を用いた場合、第3の液晶層を挟持する一対の基板のうちの表示面側に位置する基板の表面の液晶分子の長軸方向と、表示面側より入射して該基板に至る外光の直線偏光方向とを略平行とすることで、第3の液晶層の液晶分子に添って配向する二色性色素にて、透過表示の暗状態表示時に表示面側から偏光手段を介して入射する光を効率良く吸収することができる。そして、吸収性を上げることで、第3の液晶層に添加させる二色性色素の色素濃度をも低く抑えることができ、反射表示及び透過表示を明るくできる。
【0028】
また、この場合、上記偏光選択反射手段の直線偏光を透過させる透過軸と、上記第3の液晶層を挟持する一対の基板のうちの背面側に位置する基板の表面の液晶分子の長軸方向とを、略直交する構成としておくことが好ましい。
【0029】
このような構成とすることで、透過表示に寄与する背面側から出射され、偏光選択反射手段を透過した直線偏光は、第3の液晶層に添加されている二色性色素の分子長軸に対して直交する位置関係で入射されるため、二色性色素による光吸収が殆ど起こらず、明るい透過表示を実現することができる。
【0030】
また、本発明の上記液晶表示装置は、上記第3の液晶層と上記第1の液晶層とが同一であり、共用されている構成とすることもできる。
【0031】
外光吸収手段を構成する第3の液晶層と、映像信号に基づいて透過光の偏光軸を選択的に切り換える第1の液晶層とを共用することで、液晶表示装置における液晶層の層数を減らすことができるので、駆動電圧の削減、及び液晶表示装置の軽量・薄型化を図ることができる。
【0032】
また、本発明の上記液晶表示装置は、上記偏光選択反射手段に隣り合うように上記第1の液晶層が配設されている構成とすることが好ましい。
【0033】
上記構成とすることで、第1の液晶層と偏光選択反射手段との距離が近くなり、視差による像の二重映りや、カラーフィルタを用いた場合の混色が発生せず、これらによる表示品位の低下を阻止して、表示品位の向上を図ることができる。
【0034】
【発明の実施の形態】
〔実施の形態1〕
本発明にかかる実施の一形態を、図1〜図5を用いて以下に説明する。
【0035】
本実施の形態の液晶表示装置は、バックライト(照明装置)を消灯し、外光の反射を利用して表示を行う反射表示と、上記照明装置を点灯し、バックライトからの光を利用して表示を行う透過表示とを、切り換え可能な反射透過両用型の液晶表示装置である。
【0036】
図1に、本実施の形態の液晶表示装置の断面構造を示す。該図に示すように、本液晶表示装置は、第1の基板4と第2の基板7との間に、映像信号入力による明暗をコントロールする第1の液晶層5が介在されている。また、第1の液晶層5の表示面側となる、上記第2の基板7と第3の基板9との間に、透過光の偏光軸を回転させることで透過表示と反射表示を切り換える偏光軸回転手段6としての第2の液晶層8が介在されている。
【0037】
また、上記第3の基板9の表示面側となる最表面には、透過軸方向と平行な方向の直線偏光のみを透過させ、それ以外の偏光を透過させない偏光板(偏光手段)10が配置されている。そして、第1の基板4の下側(背面側)には、特定の方向(以下、反射軸方向と称する)の直線偏光のみを反射し、該直線偏光に直交する直線偏光は透過させる層である偏光選択反射層(偏光選択反射手段)3、光源となるバックライト2、偏光選択反射層3を通過して入射する光を吸収する吸収層1の順に配置されている。
【0038】
上記第1の基板4、第2の基板7、及び第3の基板9における第1の液晶層5或いは第2の液晶層8と面する(接する)側の各面には、特に図示してはいないが、面する第1の液晶層5或いは第2の液晶層8を駆動するための電極と、配向膜とがそれぞれ設けられている。
【0039】
また、上記第1及び第2の液晶層5・8は、第1〜第3の基板4・7・9に形成された上記配向膜にて、それぞれ90°捩れ配向されている。また、第1及び第2の液晶層5・8は、第1〜第3の基板4・7・9に形成された上記電極を介して所定の電圧が印加されると、捩れを解いて基板面に垂直に立ち上がった状態で配向する。上記第1及び第2の液晶層5・8を構成する液晶材料としては、90°捩れ配向し得る液晶材料であればよく、ネマチック液晶が適している。
【0040】
そして、本液晶表示装置の場合、上記第1の液晶層5を構成するネマチック液晶に、異方性吸収体として二色性色素12が添加されており、上述した映像信号入力による明暗をコントロールする機能以外に、透過表示の暗表示に表示面側から偏光板10を介して入射する光を吸収する外光吸収手段としての機能を有している。つまり、透過表示の暗表示時に表示面側から偏光板10を介して入射する光を、該光が第1の液晶層5を通過する間に、添加されている二色性色素12にて吸収するようになっている。
【0041】
したがって、この第1の液晶層5は、暗表示では、90°捩れ配向として二色性色素12にて光を吸収し得るように、電圧無印加で駆動され、明表示では、液晶分子11を立ち上がらせる電圧印加で駆動される。明表示において、液晶分子11を立ち上がらせることで、二色性色素12も液晶分子11に添って立ち上がっているため、二色性色素12による表示に寄与する光吸収が殆どなく、明るい透過および反射表示が可能となる。
【0042】
二色性色素12としては、その配向状態によって選択的に光の吸収、非吸収を切り換え得ることが必要であるため、分子長軸方向の吸収係数をα//、分子短軸方向の吸収係数をα⊥としたとき、α//>α⊥となる正の吸収異方性を有するものを用いる。
【0043】
なお、第2の液晶層8は、上述したように、透過表示と反射表示を切り換えるための偏光軸回転手段6として機能するものであるため、透過表示と反射表示とで、90°捩れ配向或いは立ち上がった配向の何れかをとるように駆動すればよい。
【0044】
図2に、このような構成の液晶表示装置における、偏光板10の透過軸方向、第1及び第2の液晶層5・8の配向方向、及び偏光選択反射層3の透過軸方向の一例を示す。
【0045】
該図では、偏光板10の透過軸方向を両矢印Aにて示すA方向とし、偏光選択反射層3の透過軸方向(透過偏光方向)を、A方向と直交する、両矢印Bにて示すB方向としている。偏光選択反射層3の反射軸方向(反射偏光方向)は、偏光板10の透過軸方向と一致するA方向である。
【0046】
また、第1の液晶層5に添加されている二色性色素12にて、透過表示の暗表示時に表示面側から偏光板10を介して入射する光を効率良く吸収するためには、第1の液晶層5の表示面側の配向方向を、第2の液晶層8を通過して第1の液晶層5に至る外光の直線偏光方向と一致させておくことが望ましい。二色性色素12による吸収の効率をよくすることで、第1の液晶層5に添加させる二色性色素12の色素濃度を低く抑えることができる。ここでは、第1の液晶層5の上面(表示面側)の配向方向と、第2の液晶層8の下面(背面側)の配向方向とを、共にB方向として一致させている。
【0047】
図3、図4を用いて、本液晶表示装置が、図2に示した、偏光板10の透過軸方向、第1及び第2の液晶層5・8の配向方向、及び偏光選択反射層3の透過軸方向を有するものとして、その表示について説明する。
【0048】
まずは、図3を用いて、反射表示について説明する。図3は、反射表示の動作原理を説明する断面図であり、図の左側に暗表示、図の右側に明表示を示す。また、図3では、図2で両矢印Aにて示したA方向を紙面に平行な方向として示し、図2で両矢印Bにて示したB方向を紙面に垂直な方向として示している。
【0049】
反射表示時、透過表示と反射表示とを切り換えるための層である上記第2の液晶層8には電圧を印加し、液晶分子を立ち上がらせておく。
【0050】
入射光である外光17は、偏光板10によりB方向の直線偏光となり、第2の液晶層8に入射される。該直線偏光は、第2の液晶層8の液晶分子は立ち上がっているため、そのままのB方向の偏光状態で通過し、第1の液晶層5へと入射する。第1の液晶層5は、暗表示時、電圧無印加として90°捩れ配向となるように制御される。そのため、第1の液晶層5を通過した後の偏光は、入射時のB方向の直線偏光に対して90°回転した、A方向の直線偏光となる。
【0051】
第1の液晶層5を通過する際、二色性色素12の分子長軸に対して直交の直線偏光が入射されるため、二色性色素12による吸収は殆どない。また、二色性色素12による光の吸収が若干発生しても、暗状態を表示する場合であるので問題はない。
【0052】
第1の液晶層5を通過した該A方向の直線偏光は、偏光選択反射層3の透過軸方向と一致するため、偏光選択反射層3を透過していき、バックライト2の下に配置された吸収層1により吸収され、これにて、暗状態が表示される。
【0053】
一方、明状態を表示させるためには、第1の液晶層5に電圧を印加し、液晶分子を立ち上がらせる。これにより、外光18は、偏光板10でB方向の直線偏光となり、第2の液晶層8をそのままの偏光状態で通過したあと、さらに、そのままのB方向の偏光状態で第1の液晶層5を通過する。第1の液晶層5を通過する際、第1の液晶層5は液晶分子11と共に二色性色素12は立ち上がっているので、上述したように二色性色素12による光の吸収は殆ど起こらない。
【0054】
第1の液晶層5を通過したB方向の直線偏光は、偏光選択反射層3の反射軸方向と一致するため、偏光選択反射層3で反射され、反射された光は、入射時とは同じ光路を逆にたどって、第1及び第2の液晶層5・8をそのまま通過し、偏光板10を透過する。これにて、明状態が表示される。
【0055】
次いで、図4を用いて、透過表示について説明する。図4は、透過表示の動作原理を説明する断面図であり、図の左側に暗表示、図の右側に明表示を示す。また、図4では、図2で両矢印Aにて示したA方向を紙面に平行な方向として示し、図2で両矢印Bにて示したB方向を紙面に垂直な方向として示している。
【0056】
透過表示時、上記第2の液晶層8には電圧を印加せず、液晶分子を90°捩れ配向させておく。
【0057】
バックライト2から出射された光13は、偏光選択反射層3を通過することで、A方向の直線偏光となり、第1の液晶層5へ入射される。第1の液晶層5は、暗表示時、電圧無印加として90°捩れ配向となるように制御される。そのため、第1の液晶層5を通過した後の偏光は、入射時のA方向の直線偏光に対して90°回転した、B方向の直線偏光となる。
【0058】
第1の液晶層5を通過する際、二色性色素12の分子長軸に対して直交の直線偏光が入射されるため、二色性色素12による吸収は殆どない。また、二色性色素12による光の吸収が若干発生しても、暗状態を表示する場合であるので問題はない。
【0059】
第2の液晶層8は、透過表示時、電圧無印加で90°捩れ配向とされているので、第2の液晶層8を通過した後の直線偏光は、第2の液晶層8に入射した時のB方向の直線偏光に対して90°回転したA方向の直線偏光となって出射される。
【0060】
この第2の液晶層8を通過したA方向の直線偏光は、偏光板10の透過軸方向と直交する吸収軸方向と一致するため、偏光板10で吸収されてしまい、これにて、暗状態が表示される。
【0061】
このとき、表示面側から外光14が入射されると、従来の液晶表示装置では、コントラスト比の低下や、ネガポジ反転の原因となり問題であったが、本液晶表示装置では、外光14は以下のようにして吸収されることとなる。
【0062】
表示面側から入射された外光14は、偏光板10で、B方向の直線偏光となり、電圧無印加の第2の液晶層8を通過することで90°回転したA方向の直線偏光となる。そして、その後、該直線偏光は、90°捩れ配向している第1の液晶層5に入射する。
【0063】
ここで、該A方向の直線偏光は、第1の液晶層5を形成する第2の基板7の基板界面の液晶分子11の分子長軸及び二色性色素12の分子長軸に対して平行に入射する。二色性色素12は分子長軸の平行方向に吸収の遷移モーメントを有しているため、第1の液晶層5に入射した直線偏光は、第1の液晶層5内で、旋光しながら二色性色素12にて吸収される。そして、第1の液晶層5を、二色性色素12にて吸収されながら通過した直線偏光は、B方向の直線偏光となって偏光選択反射層3に至る。
【0064】
B方向の直線偏光は、偏光選択反射層3の反射軸方向と一致するため、偏光選択反射層3で反射され、再度第1の液晶層5に戻される。このときも、第1の液晶層5を形成する第1の基板4の基板界面の液晶分子11の分子長軸及び二色性色素12の分子長軸に対して平行に入射するので、第1の液晶層5に入射した直線偏光は、第1の液晶層5内で、旋光しながら二色性色素12にて再び効率よく吸収される。
【0065】
一方、明状態を表示させるためには、第1の液晶層5のみに電圧を印加し、液晶分子を立ち上がらせる。これにより、バックライト2から出射された光15は、偏光選択反射層3を通過してA方向の直線偏光となり、液晶分子の立ち上がった第1の液晶層5をそのままの偏光状態で通過し、90°捩れ配向した第2の液晶層8を通過して90°回転したB方向の直線偏光となる。ここでも、第1の液晶層5を通過する際、第1の液晶層5は液晶分子11と共に二色性色素12は立ち上がっているので、上述したように二色性色素12による光の吸収は殆ど起こらない。
【0066】
第2の液晶層8を通過した該B方向の直線偏光は、偏光板10の透過軸方向と一致するため、偏光板10を透過し、これにて、明状態が表示される。
【0067】
このとき、表示面側から外光16が入射されると、外光16は偏光板10でB方向の直線偏光となり、第2の液晶層8で90°回転したA方向の直線偏光となる。その後、液晶分子が立ち上がった第1の液晶層5をそのまま通過し、偏光選択反射層3に至る。
【0068】
A方向の直線偏光は、偏光選択反射層3の透過偏光方向と一致するため、偏光選択反射層3を通過し、バックライト2の下に配置された吸収層1により吸収される。
【0069】
次に、このような構成の液晶表示装置において、外光吸収手段としての機能を有する液晶層の透過率、本実施の形態では、第1の液晶層5の透過率がこれに相当するが、該透過率は、異方性吸収体である二色性色素12の色素濃度、或いは第1の液晶層5のセル厚により調整を行う。以下、この透過率に設定について説明する。
【0070】
透過表示の明状態における二色性色素が添加された液晶層(以下、添加液晶層と称する)の透過率を70%以下とすると、二色性色素の吸収が大きくなり、透過表示および反射表示の明状態の明るさが低下し、暗い表示となってしまう。特に、反射表示では、光路が透過表示の2倍であるため、添加液晶層を2回透過する時の所謂反射率は、70%×70%の49%以下となってしまう。言い換えれば、透過率100%を1とすると、0.7×0.7=0.49以下となってしまうことである。
【0071】
添加液晶層の透過率または反射率が50%以下となることは、従来の技術に示す、ハーフミラーを用いた場合、または穴空き反射板による画素分割と同様で、光の利用効率が悪くなり、偏光選択反射手段(偏光選択反射層)を用いた意味が無くなってしまう。
【0072】
したがって、透過表示の明状態における添加液晶層の透過率の下限は、明るい透過表示および反射表示が得られる最低限の値であり、少なくとも、光路が透過表示の2倍となる反射表示の明状態で、50%よりも大きい値を確保できる、透過率100%を1として、√0.5よりも大きい、√0.5を超える値となる。
【0073】
また、一般的に、反射型のカラー液晶表示装置の明るさは、偏光板、カラーフィルタ等での吸収により、入射光に対して20%程度の明るさであり、この明るさが半分の10%以下となると暗い表示となり、室内の照明環境では明暗の認識が困難となる。すなわち、透過表示の暗状態での外光の反射率を10%以下とすることで、外光の明るさに影響されない透過表示を実現でき、コントラスト比の低下、またはネガポジ反転を防ぐことができる。
【0074】
図5に、反射透過両用型の液晶表示装置の、透過表示の明状態における液晶層の透過率と、透過表示の暗状態における外光が液晶層を2回透過する時の所謂反射率の関係を示す。
【0075】
この図よりわかるように、透過表示の明状態における液晶層の透過率を92%とした時の、透過表示の暗状態における外光が液晶層を2回透過する時の所謂反射率は50%以下となっている。
【0076】
これより、透過表示の明状態における添加液晶層の透過率を92%以下とすることで、偏光板、カラーフィルタ等を含めた透過表示の暗状態での外光の反射率を10%以下に抑えることができ、室内の照明環境ではコントラスト比の低下、またはネガポジ反転を防ぐことができる。
【0077】
したがって、透過表示の明状態における添加液晶層の透過率の上限は、偏光板、カラーフィルタ等を含めた透過表示の暗状態での外光の反射率を10%以下に抑えることができる、92%以下の値となる。
【0078】
以上のように、本液晶表示装置では、まず、偏光選択反射層3を用いることで、透過及び反射共に光利用効率の高い表示が実現できる。次に、透過光の偏光軸を回転させることで透過表示と反射表示を切り換えるための偏光軸回転手段6を備えることで、透過表示と反射表示とのネガポジ反転を、映像信号を白黒反転させるための回路等を別途具備させて駆動を複雑化することなく防止できる。
【0079】
そして、特に、本液晶表示装置では、第1の液晶層5に、透過表示の暗表示に入射する外光14を吸収するための二色性色素12を添加し、外光吸収手段としての機能を具備させているので、透過表示の暗表示に入射する外光14が吸収され、外光14の反射が透過表示に悪影響を及ぼし、透過表示のコントラスト比の低下や、ネガポジ反転等の不具合をもたらすことはない。さらに、ここでは、第1の液晶層5の配向状態が明状態の場合も、外光16は吸収されるようになっているので、透過表示において、外光14・16の反射が透過表示に悪影響を及ぼすことが一切ない。
【0080】
なお、図2に示した透過偏方向や液晶配向方向は、一例であって、これに限定されるものではない。例えば、偏光軸回転手段6としての第2の液晶層8を、上記の説明では、透過表示において電圧無印加として90°捩れ配向させ、反射表示において電圧印加として立ち上がらせた配向としたが、これを逆にして、透過表示において電圧印加として立ち上がらせた配向とし、反射表示において電圧印加として90°捩れ配向させることもできる。その場合は、偏光板10の透過軸方向をB方向とし、偏光選択反射層3の透過軸方向と一致させ、偏光選択反射層3の反射軸方向と直交させることで、上で述べたと同じ効果を得ることができる。
【0081】
また、ここでは、映像信号入力による明暗をコントロールする第1の液晶層5を偏光選択反射層3に近い側としているが、偏光軸回転手段6としての第2の液晶層8と上下を入れ換えることも可能である。但し、順序を逆にすると、第1の液晶層5と偏光選択反射層3との距離が長くなるので、視差による像の二重映りや、カラーフィルタを用いた場合の混色が発生して表示品位が低下するため、図1に示す順序とすることが望ましい。
【0082】
また、ここでは、バックライト2は、導光板のエッジに光源が配されたバックライト導光板を例示しているが、この構成に限定されるものではない。同様に、ここでは、偏光選択反射層3を通過する光を吸収層1で吸収させる構成としているが、第2の偏光板、λ/4板、ミラー反射板を組み合せた構成とすることもでき、上記構成に限定されるものではない。
【0083】
〔実施の形態2〕
本発明にかかるその他の実施の形態を、図6を用いて以下に説明する。なお、説明の便宜上、実施の形態1で用いたものと同じ機能を有する部材には同じ符号を付して説明を省略する
本実施の形態の液晶表示装置も、反射表示と透過表示とを切り換え可能な反射透過両用型の液晶表示装置であり、図1に示した前述の実施の形態1の液晶表示装置と、偏光選択反射層3の配設位置が異なる以外は、同じ構成を有している。したがって、ここでは、異なる点のみを説明する。
【0084】
図6に、本実施の形態の液晶表示装置の断面構造を示す。該図に示すように、本液晶表示装置の場合、第1の基板4の上面(表示面側)、つまり、第1の液晶層5と面する(接する)側に、偏光選択反射層3が配設されている。
【0085】
このような構成とすることで、映像信号入力による明暗をコントロールする第1の液晶層5と、反射表示時に反射板となる偏光選択反射層3までの光路が、図1の液晶表示装置よりも短くなり、視差による像の二重映りや、カラーフィルタを用いた場合の混色の問題をより効果的に解決して、二重映りや混色による表示品位の低下をより一層防止できる。
【0086】
また、このような構成とすることで、映像信号入力による明暗をコントロールする駆動素子の開口率に左右されることなく、明るい反射表示を得ることが可能となる。つまり、第1の基板4の第1の液晶層5と面する(接する)側に偏光選択反射層3を形成することで、映像信号入力による明暗をコントロールする図示していない、駆動素子上、ソースバスラインまたはゲートバスライン上にも偏光選択反射層3が形成されることとなる。したがって、反射表示の画素電極となるITOの面積を大きくとることができ、明るい反射表示を得ることが可能となる。
【0087】
〔実施の形態3〕
本発明にかかるその他の実施の形態を、図7〜10を用いて以下に説明する。なお、説明の便宜上、実施の形態1で用いたものと同じ機能を有する部材には同じ符号を付して説明を省略する。
【0088】
本実施の形態の液晶表示装置も、反射表示と透過表示とを切り換え可能な反射透過両用型の液晶表示装置である。実施の形態1では、映像信号入力による明暗をコントロールする第1の液晶層5に、異方吸収体としての二色性色素12を添加していたが、ここでは、外光吸収手段としてのみ機能する第3の液晶層を別途設けており、この点が、実施の形態1の液晶表示装置と異なる。したがって、ここでは、異なる点のみを説明する。
【0089】
図7に、本実施の形態の液晶表示装置の断面構造を示す。該図に示すように、本液晶表示装置は、第1の基板4と第2の基板7との間に、第4の基板31を新たに備えており、該第4の基板31と第1の基板4との間に、映像信号入力による明暗をコントロールする第1の液晶層5aが介在されている。上述したように、本実施の形態では、第1の液晶層5aは、映像信号入力による明暗をコントロールする機能のみを有し、外光吸収手段としての機能を有するものではない。
【0090】
そして、第3の基板9とで偏光軸回転手段6となる第2の液晶層8を挟持する第2の基板7と、上記第4の基板31との間に、外光吸収手段として機能のみを有する第3の液晶層30が配置されている。
【0091】
なお、第3の基板9の表示面側となる最表面に、偏光板10が配置され、第1の基板4の下側(背面側)に、偏光選択反射層3、バックライト2、吸収層1がこの順に配置されている点は、同じである。
【0092】
これら第1〜第4の基板4・7・9・31における第1の液晶層5a或いは第2の液晶層8、或いは第3の液晶層30と面する(接する)側の各面には、特に図示してはいないが、面する第1の液晶層5a、第2の液晶層8、或いは第3の液晶層30を駆動するための電極(不図示)と所定の配向状態に配向させるための配向膜とが形成されている。
【0093】
第1及び第2の液晶層5a・8は、第1〜第4の基板4・7・9・31に形成された上記配向膜にて、電圧無印加で90°捩れ配向するように形成されており、第3の液晶層30のみ、第2及び第4の基板7・31に形成された配向膜にて、電圧無印加で基板に平行な平行配向するように形成されている。これら第1〜第3の液晶層5a・8・30は何れも、所定の電圧が印加されると、基板面に垂直に立ち上がった状態で配向する。そして、第3の液晶層30には、第1の液晶層5aと同期した映像信号が入力される。
【0094】
第3の液晶層30の液晶材料としては、ネマチック液晶が望ましく、異方性吸収体として正の吸収異方性を有する二色性色素12が添加され、液晶分子11が平行配向し、これに添って二色性色素12が平行に配向している状態で、該第3の液晶層30を通過する光を吸収する。
【0095】
したがって、この第3の液晶層30は、暗表示では、平行配向して二色性色素12にて光を吸収し得るように、電圧無印加で駆動され、明表示では、液晶分子11を立ち上がらせる電圧印加で駆動される。この場合も、明表示において、液晶晶分子11を立ち上がらせることで、二色性色素12も液晶分子11に添って立ち上がっているため、二色性色素12による表示に寄与する光吸収が殆どなく、明るい透過および反射表示が可能となる。
【0096】
図8に、このような構成の液晶表示装置における、偏光板10の透過軸方向、第1〜第3の液晶層5a・8・30の配向方向、及び偏光選択反射層3の透過軸方向の一例を示す。
【0097】
該図では、偏光板10の透過軸方向を両矢印Aにて示すA方向とし、偏光選択反射層3の透過軸方向を、A方向と直交する、両矢印Bにて示すB方向としている。偏光選択反射層3の反射軸方向は、偏光板10の透過軸方向と一致するA方向である。
【0098】
また、実施の形態1の液晶表示装置と同様に、第3の液晶層30に添加されている二色性色素12にて、透過表示の暗表示時に表示面側から偏光板10を介して入射する光を効率良く吸収するためには、第3の液晶層30の表示面側の配向方向を、第2の液晶層8を通過して第3の液晶層30に至る外光の直線偏光方向と一致させておくことが望ましい。ここでは、第3の液晶層30の上面の配向方向と、第2の液晶層8の下面の配向方向とを、共にB方向として一致させている。
【0099】
図9、図10を用いて、本液晶表示装置が、図8に示した、偏光板10の透過軸方向、第1〜第3の液晶層5a・8・30の配向方向、及び偏光選択反射層3の透過軸方向を有するものとして、その表示について説明する。
【0100】
まずは、図9を用いて、反射表示について説明する。図9は、反射表示の動作原理を説明する断面図であり、図の左側に暗表示、図の右側に明表示を示す。また、図9では、図8で両矢印Aにて示したA方向を紙面に平行な方向として示し、図8で両矢印Bにて示したB方向を紙面に垂直な方向として示している。
【0101】
反射表示時、透過表示と反射表示とを切り換えるための層である上記第2の液晶層8には電圧を印加し、液晶分子を立ち上がらせておく。
【0102】
入射光である外光33は、偏光板10によりB方向の直線偏光となり、第2の液晶層8に入射される。該直線偏光は、第2の液晶層8の液晶分子は立ち上がっているため、そのままのB方向の偏光状態で通過し、第3の液晶層30へと入射する。第3の液晶層30は、暗表示時、電圧無印加で平行配向となっており、二色性色素12の分子長軸に対して直交の直線偏光が入射されるため、二色性色素12による吸収は殆どなく、そのまま透過して、第1の液晶層5aへと入射する。
【0103】
第1の液晶層5aは、暗表示時、電圧無印加として90°捩れ配向となるように制御されるため、第1の液晶層5aを通過した後の偏光は、入射時のB方向の直線偏光に対して90°回転した、A方向の直線偏光となる。
【0104】
第1の液晶層5aを通過した該A方向の直線偏光は、偏光選択反射層3の透過軸方向と一致するため、偏光選択反射層3を透過していき、バックライト2の下に配置された吸収層1により吸収され、これにて、暗状態が表示される。
【0105】
一方、明状態を表示させるためには、第1及び第2の液晶層5aに電圧を印加し、液晶分子を立ち上がらせる。
【0106】
これにより、外光34は、偏光板10でB方向の直線偏光となり、第2の液晶層8をそのままの偏光状態で通過したあと、さらに、そのままのB方向の偏光状態で第3の液晶層30と第1の液晶層5aと順にそのまま通過する。第3の液晶層30を通過する際、第3の液晶層30の二色性色素12は立ち上がっているので、上述したように二色性色素12による光の吸収は殆ど起こらない。
【0107】
第1の液晶層5aを通過したB方向の直線偏光は、偏光選択反射層3の反射軸方向と一致するため、偏光選択反射層3で反射され、反射された光は、入射時とは同じ光路を逆にたどって、第1液晶層5a、第3の液晶層30、第2液晶層8を順にそのまま通過し、偏光板10を透過する。これにて、明状態が表示される。
【0108】
次いで、図10を用いて、透過表示について説明する。図10は、透過表示の動作原理を説明する断面図であり、図の左側に暗表示、図の右側に明表示を示す。また、図10では、図8で両矢印Aにて示したA方向を紙面に平行な方向として示し、図8で両矢印Bにて示したB方向を紙面に垂直な方向として示している。
【0109】
透過表示時、上記第2の液晶層8には電圧を印加せず、液晶分子を90°捩れ配向させておく。
【0110】
バックライト2から出射された光35は、偏光選択反射層3を通過することで、A方向の直線偏光となり、第1の液晶層5aへ入射される。第1の液晶層5aは、暗表示時、電圧無印加として90°捩れ配向となるように制御されるため、第1の液晶層5aを通過した後の偏光は、入射時のA方向の直線偏光に対して90°回転した、B方向の直線偏光となって、第3の液晶層30へと入射する。
【0111】
第3の液晶層30は、暗表示時、電圧無印加で平行配向となっており、二色性色素12の分子長軸に対して直交の直線偏光が入射されるため、二色性色素12による吸収は殆どなく、そのまま透過して、第2の液晶層8へと入射する。なお、ここで、二色性色素12による光の吸収が若干発生しても、暗状態を表示する場合であるので問題はない。
【0112】
第2の液晶層8は、透過表示時、電圧無印加で90°捩れ配向とされているので、第2の液晶層8を通過した後の直線偏光は、第2の液晶層8に入射した時のB方向の直線偏光に対して90°回転したA方向の直線偏光となって出射される。
【0113】
この第2の液晶層8を通過したA方向の直線偏光は、偏光板10の透過軸方向と直交する吸収軸方向と一致するため、偏光板10で吸収されてしまい、これにて、暗状態が表示される。
【0114】
このとき、表示面側から外光36が入射されると、従来の液晶表示装置では、コントラスト比の低下や、ネガポジ反転の原因となり問題であったが、本液晶表示装置では、外光36は以下のようにして吸収されることとなる。
【0115】
表示面側から入射された外光36は、偏光板10で、B方向の直線偏光となり、電圧無印加の第2の液晶層8を通過することで90°回転したA方向の直線偏光となる。そして、その後、該直線偏光は、平行配向している第3の液晶層30に入射する。
【0116】
ここで、該A方向の直線偏光は、第3の液晶層30を形成する第2の基板7の基板界面の液晶分子11の分子長軸及び二色性色素12の分子長軸に対して平行に入射する。二色性色素12は分子長軸の平行方向に吸収の遷移モーメントを有しているため、第3の液晶層30に入射した直線偏光は、第3の液晶層30内で二色性色素12にて吸収される。そして、第3の液晶層30を、二色性色素12にて吸収されながら通過した直線偏光は、90°捩れ配向している第1の液晶層5aを通過することでB方向の直線偏光となって、偏光選択反射層3に至る。
【0117】
B方向の直線偏光は、偏光選択反射層3の反射軸方向と一致するため、偏光選択反射層3で反射され、再度第1の液晶層5aに戻され、同じ光路を逆にたどる。このときも、第3の液晶層30を形成する第4の基板31の基板界面の液晶分子11の分子長軸及び二色性色素12の分子長軸に対して平行に入射するので、第3の液晶層30に入射した直線偏光は、第3の液晶層30内で二色性色素12にて再び効率よく吸収される。
【0118】
一方、明状態を表示させるためには、第1及び第3の液晶層5a・30に電圧を印加し、液晶分子を立ち上がらせる。これにより、バックライト2から出射された光37は、偏光選択反射層3を通過してA方向の直線偏光となり、液晶分子の立ち上がった第1の液晶層5a、液晶分子11と共に二色性色素12も立ち上がった第3の液晶層30をそれぞれ順にそのままの偏光状態で通過し、その後、90°捩れ配向した第2の液晶層8を通過して90°回転したB方向の直線偏光となる。ここでも、第3の液晶層30を通過する際、第3の液晶層30は液晶分子11と共に二色性色素12は立ち上がっているので、上述したように二色性色素12による光の吸収は殆ど起こらない。
【0119】
第2の液晶層8を通過した該B方向の直線偏光は、偏光板10の透過軸方向と一致するため、偏光板10を透過し、これにて、明状態が表示される。
【0120】
このとき、表示面側から外光38が入射されると、外光38は偏光板10でB方向の直線偏光となり、第2の液晶層8で90°回転したA方向の直線偏光となる。その後、液晶分子が立ち上がった第1の液晶層5a、第3の液晶層30をそのまま通過し、偏光選択反射層3に至る。
【0121】
A方向の直線偏光は、偏光選択反射層3の透過偏光方向と一致するため、偏光選択反射層3を通過し、バックライト2の下に配置された吸収層1により吸収される。
【0122】
【実施例】
以下、実施例を挙げてより詳細に本発明の液晶表示装置を説明する。
【0123】
〔実施例1〕
図11は、本発明に基づいて作成した本実施例の反射透過両用型の液晶表示装置の断面図である。
【0124】
それぞれガラス基板からなる第1の基板4と第2の基板7との間に、第1の液晶層5となる90°ツイスト配向のネマチック液晶が挟持されており、ネマチック液晶には異方性吸収体として数種類のアゾ系およびアントラキノン系の、正の吸収異方性を有する二色性色素が添加されている。二色性色素の二色性比は10とし、透過表示の明状態における液晶層の透過率が90%となるように色素濃度を調整した。
【0125】
第1の基板4の第1の液晶層5が接する側には、アクティブ素子としてTFT素子19を形成し、画素電極である透明電極20、配向膜21が形成され、第2の基板7の第1の液晶層5が接する側には、カラーフィルタ22、透明電極20、配向膜21が形成されている。
【0126】
上記TFT素子19は、ゲート電極23、絶縁層24、I型a−Si層25、N+型a−Si層26、ソース電極27、ドレイン電極28により形成されている。
【0127】
さらに、偏光軸回転手段6として、第2の基板7とガラス基板からなる第3の基板9との間には、第2の液晶層8となる90°ツイスト配向のネマチック液晶が挟持され、それぞれの基板の第2の液晶層8が接する側には透明電極20、配向膜21が形成され、二層構造の液晶素子を形成している。
【0128】
液晶素子上面には偏光板10を配置し、液晶素子下面には偏光選択反射層3として、住友3M社製のD−BEFを配置し、バックライト2の導光板、吸収層1の順で配置している。
【0129】
なお、本実施例では、構造を簡略化するために、偏光選択反射層3として住友3M社製のD−BEFを第1の基板4の外側に配置しているが、同様の効果を得るためには、偏光選択反射層3として、反射性の金属(例えばアルミニウム)を用いて波長以下(例えば150nm)の間隔でスリットを形成したワイヤーグリッド偏光板を用いてもよい。
【0130】
さらに、本実施例では、偏光選択反射層3を通過する外光を吸収層1で吸収させているが、偏光選択反射層3の下層の構成は、図12に示すように第2の偏光板41、λ/4板42、ミラー反射板43を組み合せた構成としてもよい。これにより、偏光選択反射層3を透過した外光は、第2の偏光板41も透過し、λ/4板42で円偏光となる。円偏光がミラー反射板43で反射すると、入射時に対して逆円偏光となり、再びλ/4板42を通過すると入射時に対して直交した直線偏光となる。従って、第2の偏光板41により吸収される。
【0131】
偏光板10の透過軸方向、第1および第2の液晶層5・8の配向方向、偏光選択反射層3の透過軸方向は、図2のとおりとした。
【0132】
透過表示時に黒及び白を表示するための駆動波形を図13に、反射表示時に黒及び白を表示するための駆動波形を図14に示す。
【0133】
このようにして作成された液晶表示装置における、透過率の第1の液晶層5に対する電圧依存性を図15に、また反射率の第1の液晶層5に対する電圧依存性を図16に示す。また、透過表示時に表示面から外光が入射した時のコントラスト比変化を図17に示す。
【0134】
以上のように、第2の液晶層8に印加する電圧を切り換えることによって、透過表示と反射表示を切り換えることが可能となり、透過及び反射表示でネガポジ反転しない表示を得られることを確認した。
【0135】
また、透過表示は透過型に近い透過率(透過型比90%―電圧4V印加時)を有し、反射表示は反射型に近い反射率(反射型比81%―電圧4V印加時)を有する明るい表示が得られることを確認した。
【0136】
さらに、透過表示時に表示面から外光が入射した場合、外光照度が1000ルクスの環境下でもコントラスト比が50:1以上あり、一般的な室内の照明環境では充分なコントラスト比が得られ、ネガポジ反転しないことを確認した。
【0137】
〔実施例2〕
図18は、本発明に基づいて作成した本実施例の反射透過両用型の液晶表示装置の断面図である。
【0138】
実施例1と同様の構成、同様の表示原理の液晶表示装置において、偏光選択反射層3を第1の液晶層5を構成している第1の基板4のTFT素子19等が形成されている液晶層と接する側に配置している。したがって、本実例2では、第1の基板4上の構成のみについて説明する。
【0139】
第1の基板4のTFT素子19等を形成後、透明な層間絶縁膜44を平坦化膜として塗布する。その上に、住友3M社製のD−BEFを配置し、各画素ごとにスルーホール45を形成し、透明電極20をデポした。これにより透明電極20とTFT素子19のドレイン電極28はスルーホール45を介して接続される。また、透明電極20は各画素ごとにパターニングを行い、画素電極を形成している。さらに画素電極である透明電極20上には、配向膜21が塗布されている。
【0140】
なお、本実例では、偏光選択反射層3として住友3M社製のD−BEFを第1の基板4の内側に配置しているが、同様の効果を得るためには、データ線切換回路説明と同様に、偏光選択反射層3として、反射性の金属(例えばアルミニウム)を用いて波長以下(例えば150nm)の間隔でスリットを形成したワイヤーグリッド偏光板を用いてもよい。
【0141】
このようにして作成された液晶表示装置における反射率の第1の液晶層5に対する電圧依存性を図19に示す。
【0142】
以上のように、偏光選択反射層3を第1の基板4のTFT素子19等の上に配置することにより、反射表示領域が拡大し、反射効率が向上する。本実施例では、実施例1の反射率に対して約1.2倍(電圧4V印加時)の反射率が得られることを確認した。
【0143】
さらに、偏光選択反射層3を第1の基板4のTFT素子19等の上に配置することにより、反射表示時の視差による像の二重映り、カラーフィルタの色の混色が解消されることを確認した。
【0144】
〔実施例3〕
図20は、本発明に基づいて作成した本実施例の反射透過両用型の液晶表示装置の断面図である
第1〜第4の基板4・7・9・31はガラス基板から構成し、第1の基板4と第4の基板31との間には、90°ツイスト配向のネマチック液晶が挟持されて第1の液晶層5aを形成している。第4の基板31と第2の基板7との間には、平行配向のネマチック液晶が狭持され、第3の液晶層30を形成しており、第3の液晶層30には、異方性吸収体として数種類のアゾ系およびアントラキノン系の正の吸収異方性を有する二色性色素が混入されている。二色性色素の二色性比は10とし、透過表示の明状態における液晶層の透過率が90%となるように色素濃度を調整した。第2の基板7と第3の基板9との間には、90°ツイスト配向のネマチック液晶が挟持され、第2の液晶層8を形成している。
【0145】
第1の基板4の第1の液晶層5aが接する側には、アクティブ素子としてTFT素子19を形成し、画素電極である透明電極20、配向膜21が形成され、第4の基板31の第1の液晶層5aが接する側には、カラーフィルタ22、透明電極20、配向膜21が形成されている。
【0146】
上記TFT素子19は、ゲート電極23、絶縁層24、I型a−Si層25、N+型a−Si層26、ソース電極27、ドレイン電極28により形成されている。
【0147】
さらに、第4の基板31と第2の基板7との間で、第3の液晶層30を形成するために、第4の基板31の第3の液晶層30が接する側には、透明電極20、配向膜21が形成されている。第2の基板7の第3の液晶層30が接する側には、第1の基板5aと同じTFT素子19を形成し、画素電極である透明電極20、配向膜21が形成されている。
【0148】
さらに、偏光軸回転手段6として、第2の基板7とガラス基板からなる第3の基板9との間には、第2の液晶層8として、90°ツイスト配向のネマチック液晶が挟持され、それぞれの基板の第2の液晶層8が接する側には透明電極20、配向膜21が形成され、三層構造の液晶素子を形成している。
【0149】
液晶素子上面には偏光板10を配置し、液晶素子下面には偏光選択反射層3として、住友3M社製のD−BEFを配置し、バックライト2の導光板、吸収層1の順で配置している。
【0150】
なお、本実施例では、構造を簡略化するために、偏光選択反射層3として住友3M社製のD−BEFを第1の基板4の外側に配置しているが、同様の効果を得るためには、偏光選択反射層3として、反射性の金属(例えばアルミニウム)を用いて波長以下(例えば150nm)の間隔でスリットを形成したワイヤーグリッド偏光板を用いてもよい。
【0151】
さらに、本実施例では、偏光選択反射層3を通過する外光を吸収層1で吸収させているが、偏光選択反射層3の下層の構成は、実施例1で説明したように、図12に示すように第2の偏光板41、λ/4板42、ミラー反射板43を組み合せた構成としてもよい。
【0152】
偏光板10の透過軸方向、第1〜第3の液晶層5・8・30の配向方向、偏光選択反射層3の透過軸方向は、図8のとおりとした。
【0153】
透過表示時に黒及び白を表示するための駆動波形を図21に、反射表示時に黒及び白を表示するための駆動波形を図22に示す。
【0154】
このようにして作成された液晶表示装置における、透過率の第1の液晶層5a及び第3の液晶層30に対する電圧依存性を図23に、また反射率の第1の液晶層5a及び第3の液晶層30に対する電圧依存性を図24に示す。また、透過表示時に表示面から外光が入射した時のコントラスト比変化を図25に示す。
【0155】
以上のように、第2の液晶層8に印加する電圧を切り換えることによって、透過表示と反射表示を切り換えることが可能となり、透過及び反射表示でネガポジ反転しない表示を得られることを確認した。
【0156】
また、透過表示は透過型に近い透過率(透過型比90%―電圧4V印加時)を有し、反射表示は反射型に近い反射率(反射型比81%―電圧4V印加時)を有する明るい表示が得られることを確認した。
【0157】
さらに、透過表示時に表示面から外光が入射した場合、外光照度が1000ルクスの環境下でもコントラスト比が50:1以上あり、一般的な室内の照明環境では充分なコントラスト比が得られ、ネガポジ反転しないことを確認した。
【0158】
【発明の効果】
本発明の液晶表示装置は、以上のように、表示面側に配された偏光手段と、背面側に配された偏光選択反射手段との間に、映像信号に基づいて透過光の偏光軸を選択的に切り換える第1の液晶層と、透過光の偏光軸を選択的に切り換えて透過表示と反射表示とを切り換える偏光軸回転手段とが配設されてなる液晶表示装置において、透過表示の暗状態表示時に表示面側から上記偏光手段を介して入射する光を吸収する外光吸収手段が設けられていることを特徴としている。
【0159】
これにより、透過及び反射共に光利用効率の高い表示が実現でき、かつ、透過表示と反射表示とのネガポジ反転を、映像信号を白黒反転させるための回路等を別途具備させて駆動を複雑化したりすることなく防止できる。
【0160】
そして、特に、外光吸収手段にて、透過表示の暗状態表示時に表示面側から偏光手段を介して入射する光が吸収されるようになっているので、透過表示の暗状態表示に、表示面側から入射する光が反射して、透過表示におけるコントラスト比を低下させたり、ネガポジ反転させたりするといった不具合をなくすることができ、表示品位を向上させることができる。
【0161】
その結果、簡便な構造、簡便な駆動でありながら、光利用効率が高く、外光の影響を受けることなく良好な透過表示を実現し得る反射透過両用型の液晶表示装置を提供することができるという効果を奏する。
【0162】
上記外光吸収手段は、第3の液晶層に異方性吸収体が添加されてなる構成とすることができる。液晶層に異方性吸収体を添加することで、液晶分子の配向制御にて異方性吸収体における吸収性を制御することができるので、このような構成で、上記外光吸収手段を容易に得ることができる。
【0163】
また、本発明の上記液晶表示装置は、異方性吸収体が添加された状態の上記第3の液晶層の透過率であって、透過表示の明状態における透過率が、透過率100%を1として、√0.5よりも大きく0.92以下である構成とすることが好ましい。
【0164】
このような構成とすることで、偏光選択反射手段を設けた反射透過両用型の液晶表示装置としてのメリットをなくすることなく、外光吸収手段としての機能を確実に担うことができる。
【0165】
また、本発明の上記液晶表示装置は、上記異方性吸収体が、正の吸収異方性を有する二色性色素であり、上記第3の液晶層を挟持する一対の基板のうちの表示面側に位置する基板の表面の液晶分子の長軸方向と、表示面側より入射して該基板に至る外光の直線偏光方向とが、略平行である構成とすることが好ましい。
【0166】
これにより、第3の液晶層の液晶分子に添って配向する二色性色素にて、透過表示の暗状態表示時に表示面側から偏光手段を介して入射する光を効率良く吸収することができ、第3の液晶層に添加させる二色性色素の色素濃度を低く抑えることもできるという効果を併せて奏する。
【0167】
また、この場合、上記偏光選択反射手段の直線偏光を透過させる透過軸と、上記第3の液晶層を挟持する一対の基板のうちの背面側に位置する基板の表面の液晶分子の長軸方向とを、略直交する構成としておくことが好ましい。
【0168】
これにより、透過表示に寄与する背面側から出射され、偏光選択反射手段を透過した直線偏光は、第3の液晶層に添加されている二色性色素の分子長軸に対して直交する位置関係で入射されるため、二色性色素にて吸収されることが殆ど起こらず、明るい透過表示を実現することができるという効果を併せて奏する。
【0169】
また、本発明の上記液晶表示装置は、上記第3の液晶層と上記第1の液晶層とが同一であり共用されている構成とすることもできる。
【0170】
外光吸収手段を構成する第3の液晶層と、映像信号に基づいて透過光の偏光軸を選択的に切り換える第1の液晶層とを共用することで、液晶層の層数を減らすことができるので、駆動電圧の削減、及び液晶表示装置の軽量・薄型化を図ることができるという効果を併せて奏する。
【0171】
また、本発明の上記液晶表示装置は、上記偏光選択反射手段に隣り合うように上記第1の液晶層が配設されている構成とすることが好ましい。
【0172】
上記構成とすることで、第1の液晶層と偏光選択反射手段との距離が近くなり、視差による像の二重映りや、カラーフィルタを用いた場合の混色が発生せず、これらによる表示品位の低下を阻止して、表示品位の向上を図ることができるという効果を併せて奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態を示すもので、反射透過両用型の液晶表示装置の構成を示す断面図である。
【図2】図1の液晶表示装置において設定し得る偏光板の透過軸方向、各液晶層の配向方向、偏光選択反射層の透過軸方向の一例を示す図である。
【図3】図1の液晶表示装置の反射表示における表示原理を示す断面図である。
【図4】図1の液晶表示装置の透過表示における表示原理を示す断面図である。
【図5】反射透過両用型の液晶表示装置の透過表示の明状態における液晶層の透過率と、透過表示の暗状態における外光が液晶層を2回透過する時の所謂反射率の関係を示すグラフである。
【図6】本発明の実施のその他の形態を示すもので、反射透過両用型の液晶表示装置の構成を示す断面図である。
【図7】本発明の実施のさらに他の形態を示すもので、反射透過両用型の液晶表示装置の構成を示す断面図である。
【図8】図7の液晶表示装置において設定し得る偏光板の透過軸方向、各液晶層の配向方向、偏光選択反射層の透過軸方向の一例を示す図である。
【図9】図7の液晶表示装置の反射表示における表示原理を示す断面図である。
【図10】図7の液晶表示装置の透過表示における表示原理を示す断面図である。
【図11】本発明の一実施例を示すもので、反射透過両用型の液晶表示装置の構成を示す断面図である。
【図12】図11の液晶表示装置に採用可能な、外光を吸収させるための別の例を示す断面図である。
【図13】図11の液晶表示装置における透過表示時の印加電圧波形を示す波形図である。
【図14】図11の液晶表示装置における反射表示時の印加電圧波形を示す波形図である。
【図15】図11の液晶表示装置における透過表示時の印加電圧と透過光強度との関係を示すグラフである。
【図16】図11の液晶表示装置における反射表示時の印加電圧と反射光強度との関係を示すグラフである。
【図17】図11の液晶表示装置における透過表示時に外光が入射した場合のコントラスト比と外光の照度との関係を示すグラフである。
【図18】本発明のその他の実施例を示すもので、反射透過両用型の液晶表示装置の構成を示す断面図である。
【図19】図18の液晶表示装置における反射表示時の印加電圧と反射光強度との関係を示すグラフである。
【図20】本発明のさらに他の実施例を示すもので、反射透過両用型の液晶表示装置の構成を示す断面図である。
【図21】図20の液晶表示装置における透過表示時の印加電圧波形を示す波形図である。
【図22】図20の液晶表示装置における反射表示時の印加電圧波形を示す波形図である。
【図23】図20の液晶表示装置における透過表示時の印加電圧と透過光強度との関係を示すグラフである。
【図24】図20の液晶表示装置における反射表示時の印加電圧と反射光強度との関係を示すグラフである。
【図25】図20の液晶表示装置における透過表示時に外光が入射した場合のコントラスト比と外光の照度との関係を示すグラフである。
【図26】透過表示と反射表示とで偏光軸を回転させる偏光軸回転手段と偏光選択反射手段とを備えた従来の反射透過両用型の液晶表示装置の構成を示す断面図である。
【符号の説明】
2 バックライト
3 偏光選択反射層(偏光選択反射手段)
5 第1の液晶層(第1の液晶層、第3の液晶層、外光吸収手段)
5a 第1の液晶層(第1の液晶層)
6 偏光軸回転手段
8 第2の液晶層
10 偏光板(偏光手段)
30 第3の液晶層(第3の液晶層、外光吸収手段)
【発明の属する技術分野】
本発明は、反射及び透過の両方の機能を併せ持つ液晶表示装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、パーソナルコンピュータ、携帯情報端末、携帯電話、テレビなどへの液晶表示装置の応用が急速に進展している。液晶表示装置の中でも反射透過両用型の液晶表示装置は、周囲が明るいときは外光反射して良好な表示を実現でき、且つバックライトが不要であるため消費電力が低く、また周囲が暗くなるとバックライト(照明装置)を点灯することによって良好な表示を得られることから、最近特に携帯電話用ディスプレイとして注目されている。
【0003】
従来の反射透過両用型の液晶表示装置は、主に超薄膜半透過反射板(ハーフミラー)により一部の光を反射に利用し、一部の光を透過に利用する方法や、穴空き反射板により穴の部分は光を透過し、それ以外の部分で反射表示を行う方式が一般的である。
【0004】
しかしながら、これらの表示方式は、画素に入射した光の一部を反射し、一部を透過する方式であるため、光の利用効率が悪く、反射も透過も暗い表示となってしまう。
【0005】
このような不具合に鑑み、超薄膜半透過反射板に代えて、特定の方向の直線偏光のみを反射し、前記直線偏光に直交する直線偏光は透過する層である偏光選択反射手段(偏光分離手段)を用いることが行われている。これによれば、透過表示と反射表示とを偏光選択反射手段にて偏光方向で分離するため、画素開口部は反射透過両用に利用することができ、光の利用効率を高めて反射透過両方の表示を明るい良好なものとできる(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
また、本願出願人は、さらに、偏光選択反射手段に加えて、映像信号入力により明暗をコントロールする液晶層の下層に、透過表示と反射表示を切り換えるための偏光軸回転手段としての第2の液晶層を有する構成を提案している。これによれば、第2の液晶層の透過光の偏光軸を切り換えることで、透過表示と反射表示とのネガポジ反転を防止することができる。
【0007】
つまり、偏光選択反射手段の上に液晶層が1層のみの場合、透過表示と反射表示とで表示がネガポジ反転するため、これを防止するためには、映像信号を白黒反転させるための回路等を別途具備させる必要があり、駆動が複雑化する。しかしながら、このように、液晶層を2層構造とし、一方を透過表示と反射表示とで90°偏光方向を切り換えることで、簡便な構造、簡便な駆動でもって、ネガポジ反転を防止することができる(例えば、特許文献2参照)。
【0008】
【特許文献1】
特開平11−258603号公報(公開日1999年9月24日)
【0009】
【特許文献2】
特開2002−40409号公報(公開日2002年2月6日)
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、一般的な使用環境では透過表示時でも外光が入射されるため、たとえ透過表示と反射表示を切り換えるための第2の液晶層、つまり、偏光軸回転手段を備えた構造であっても、透過表示の暗表示(暗状態の表示)を行った場合に、外光の反射が加わった表示となり、透過表示のコントラスト比の低下が生じ、さらに、外光の照度がバックライトの照度を上回ると、ネガポジ反転してしまうといった不具合を生じる。
【0011】
これについて、図26を用いて、詳細に説明する。該図は、第2の液晶層を備えた液晶表示装置における透過表示の動作原理を説明する断面図であり、図の左側に明状態の表示、図の右側に暗状態の表示を示す。
【0012】
該図では、表示面側から、偏光板134、第1の液晶層135、第2の液晶層136、拡散板137、偏光選択反射手段138、及びバックライト139の順に積層された構成となっている。
【0013】
バックライト139より出射された光140は、偏光選択反射手段138により直線偏光となり、拡散板137を通過後の第2の液晶層136で偏光方向が90°回転した直線偏光となる。そして、第1の液晶層135を通過することで偏光方向がさらに90°回転し、この偏光方向と偏光板134の透過軸とが一致することで、明状態を表示できる。
【0014】
このとき、外光141は、上記光路と同じ軌跡をたどるため、偏光選択反射手段138を透過していき、その後反射されれば明状態、吸収されれば暗状態の表示となる。したがって、透過表示の明表示では、外光141は問題とならない。
【0015】
一方、バックライト139より出射された光142は、偏光選択反射手段138により直線偏光となり、拡散板137通過後の第2の液晶層136で偏光方向が90°回転した直線偏光となる。第1の液晶層135は電圧印加により液晶分子が立ち上がっているため、そのままの偏光状態で通過していき、偏光板134の透過軸に対して直交した直線偏光となるため、暗状態を表示できる。
【0016】
このとき、外光143は、偏光板134で直線偏光となり、第1の液晶層135をそのままの偏光状態で通過し、第2の液晶層136で90°回転し、偏光選択反射手段138の透過軸方向に対して直交した直線偏光となる。すなわち、偏光選択反射手段138の反射軸方向と一致するため、ここで反射され、同じ光路を逆にたどりながら戻っていき、偏光板134を透過し、明状態の表示となる。したがって、透過表示の暗表示を行った場合、外光143の反射が加わった表示となり、透過表示のコントラスト比の低下や、ネガポジ反転が生じる。
【0017】
また、上記液晶表示装置では、上層の第1の液晶層135で映像信号入力による明暗をコントロールしているため、反射表示時に反射板となる偏光選択反射手段138までの光路が長く、視差による像の二重映り、カラーフィルタを用いた場合の混色が生じ、表示品位が著しく低下するといった不具合もある。
【0018】
本発明は、上述したような従来の反射透過両用型の液晶表示装置の問題を解決するためになされたものであり、第1の目的は、簡便な構造、簡便な駆動でありながら、光利用効率が高く、外光の影響を受けることなく良好な透過表示を実現し得る反射透過両用型の液晶表示装置を提供することにある。
【0019】
また、本発明の第2の目的は、さらに、視差による像の二重映りや、カラーフィルタを用いた場合の混色を無くして、良好な表示品位を実現し得る反射透過両用型の液晶表示装置を提供することにある。
【0020】
【課題を解決するための手段】
本発明の液晶表示装置は、上記課題を解決するために、表示面側に配された偏光手段と、背面側に配された偏光選択反射手段との間に、映像信号に基づいて透過光の偏光軸を選択的に切り換える第1の液晶層と、透過光の偏光軸を選択的に切り換えて透過表示と反射表示とを切り換える偏光軸回転手段とが配設されてなる液晶表示装置において、透過表示の暗状態表示時に表示面側から上記偏光手段を介して入射する光を吸収する外光吸収手段が設けられていることを特徴としている。
【0021】
上記構成では、偏光選択反射手段を用いることで、透過表示及び反射表示共に光利用効率の高い表示が実現でき、かつ、偏光軸回転手段を備えて透過光の偏光軸を回転させることで透過表示と反射表示を切り換えるようになっているので、透過表示と反射表示とのネガポジ反転を、映像信号を白黒反転させるための回路等を別途具備させて駆動を複雑化したりすることなく防止できる。
【0022】
そして、特に、上記構成では、外光吸収手段が設けられており、該外光吸収手段にて、透過表示の暗状態表示時に表示面側から偏光手段を介して入射する光が吸収されるようになっている。したがって、透過表示の暗状態表示に、表示面側から入射する光が反射して、透過表示におけるコントラスト比を低下させたり、ネガポジ反転させたりするといった不具合をなくすることができ、表示品位を向上させることができる。
【0023】
ここで、上記外光吸収手段は、第3の液晶層に異方性吸収体が添加されてなる構成とすることができる。液晶層に異方性吸収体を添加することで、液晶分子の配向制御にて異方性吸収体における吸収性を制御することができる。したがって、このような構成で、上記外光吸収手段を容易に得ることができる。
【0024】
また、本発明の上記液晶表示装置は、異方性吸収体が添加された状態の上記第3の液晶層の透過率であって、透過表示の明状態における透過率が、透過率100%を1として、√0.5よりも大きく0.92以下であることが好ましい。
【0025】
透過表示の明状態における透過率が、透過率100%を1として、√0.5以下となると、光路が2倍の反射表示の明るさが50%以下となってしまい、従来の技術で示すハーフミラーを用いた半透過型あるいは、穴空き反射板による透過表示と反射表示の画素分割による半透過型と同程度の光利用効率となり、偏光選択反射手段を設けた反射透過両用型の液晶表示装置としてのメリットがなくなる。一方、該透過率が、透過率100%を1として、0.92を超える、つまり92%を超えると、異方性吸収体による、透過表示の暗状態表示で表示面側から入る光の吸収が不十分となり、透過表示のコントラスト比の低下、またはネガポジ反転が生じてしまう。したがって、異方性吸収体が添加された状態の上記第3の液晶層における透過表示の明状態の透過率は、上記範囲とすることが望ましい。
【0026】
また、本発明の上記液晶表示装置は、上記異方性吸収体が、正の吸収異方性を有する二色性色素であり、上記第3の液晶層を挟持する一対の基板のうちの表示面側に位置する基板の表面の液晶分子の長軸方向と、表示面側より入射して該基板に至る外光の直線偏光方向とが、略平行である構成とすることが好ましい。
【0027】
異方性吸収体としては正の吸収異方性を有する二色性色素を用いることができる。そして、正の吸収異方性を有する二色性色素を用いた場合、第3の液晶層を挟持する一対の基板のうちの表示面側に位置する基板の表面の液晶分子の長軸方向と、表示面側より入射して該基板に至る外光の直線偏光方向とを略平行とすることで、第3の液晶層の液晶分子に添って配向する二色性色素にて、透過表示の暗状態表示時に表示面側から偏光手段を介して入射する光を効率良く吸収することができる。そして、吸収性を上げることで、第3の液晶層に添加させる二色性色素の色素濃度をも低く抑えることができ、反射表示及び透過表示を明るくできる。
【0028】
また、この場合、上記偏光選択反射手段の直線偏光を透過させる透過軸と、上記第3の液晶層を挟持する一対の基板のうちの背面側に位置する基板の表面の液晶分子の長軸方向とを、略直交する構成としておくことが好ましい。
【0029】
このような構成とすることで、透過表示に寄与する背面側から出射され、偏光選択反射手段を透過した直線偏光は、第3の液晶層に添加されている二色性色素の分子長軸に対して直交する位置関係で入射されるため、二色性色素による光吸収が殆ど起こらず、明るい透過表示を実現することができる。
【0030】
また、本発明の上記液晶表示装置は、上記第3の液晶層と上記第1の液晶層とが同一であり、共用されている構成とすることもできる。
【0031】
外光吸収手段を構成する第3の液晶層と、映像信号に基づいて透過光の偏光軸を選択的に切り換える第1の液晶層とを共用することで、液晶表示装置における液晶層の層数を減らすことができるので、駆動電圧の削減、及び液晶表示装置の軽量・薄型化を図ることができる。
【0032】
また、本発明の上記液晶表示装置は、上記偏光選択反射手段に隣り合うように上記第1の液晶層が配設されている構成とすることが好ましい。
【0033】
上記構成とすることで、第1の液晶層と偏光選択反射手段との距離が近くなり、視差による像の二重映りや、カラーフィルタを用いた場合の混色が発生せず、これらによる表示品位の低下を阻止して、表示品位の向上を図ることができる。
【0034】
【発明の実施の形態】
〔実施の形態1〕
本発明にかかる実施の一形態を、図1〜図5を用いて以下に説明する。
【0035】
本実施の形態の液晶表示装置は、バックライト(照明装置)を消灯し、外光の反射を利用して表示を行う反射表示と、上記照明装置を点灯し、バックライトからの光を利用して表示を行う透過表示とを、切り換え可能な反射透過両用型の液晶表示装置である。
【0036】
図1に、本実施の形態の液晶表示装置の断面構造を示す。該図に示すように、本液晶表示装置は、第1の基板4と第2の基板7との間に、映像信号入力による明暗をコントロールする第1の液晶層5が介在されている。また、第1の液晶層5の表示面側となる、上記第2の基板7と第3の基板9との間に、透過光の偏光軸を回転させることで透過表示と反射表示を切り換える偏光軸回転手段6としての第2の液晶層8が介在されている。
【0037】
また、上記第3の基板9の表示面側となる最表面には、透過軸方向と平行な方向の直線偏光のみを透過させ、それ以外の偏光を透過させない偏光板(偏光手段)10が配置されている。そして、第1の基板4の下側(背面側)には、特定の方向(以下、反射軸方向と称する)の直線偏光のみを反射し、該直線偏光に直交する直線偏光は透過させる層である偏光選択反射層(偏光選択反射手段)3、光源となるバックライト2、偏光選択反射層3を通過して入射する光を吸収する吸収層1の順に配置されている。
【0038】
上記第1の基板4、第2の基板7、及び第3の基板9における第1の液晶層5或いは第2の液晶層8と面する(接する)側の各面には、特に図示してはいないが、面する第1の液晶層5或いは第2の液晶層8を駆動するための電極と、配向膜とがそれぞれ設けられている。
【0039】
また、上記第1及び第2の液晶層5・8は、第1〜第3の基板4・7・9に形成された上記配向膜にて、それぞれ90°捩れ配向されている。また、第1及び第2の液晶層5・8は、第1〜第3の基板4・7・9に形成された上記電極を介して所定の電圧が印加されると、捩れを解いて基板面に垂直に立ち上がった状態で配向する。上記第1及び第2の液晶層5・8を構成する液晶材料としては、90°捩れ配向し得る液晶材料であればよく、ネマチック液晶が適している。
【0040】
そして、本液晶表示装置の場合、上記第1の液晶層5を構成するネマチック液晶に、異方性吸収体として二色性色素12が添加されており、上述した映像信号入力による明暗をコントロールする機能以外に、透過表示の暗表示に表示面側から偏光板10を介して入射する光を吸収する外光吸収手段としての機能を有している。つまり、透過表示の暗表示時に表示面側から偏光板10を介して入射する光を、該光が第1の液晶層5を通過する間に、添加されている二色性色素12にて吸収するようになっている。
【0041】
したがって、この第1の液晶層5は、暗表示では、90°捩れ配向として二色性色素12にて光を吸収し得るように、電圧無印加で駆動され、明表示では、液晶分子11を立ち上がらせる電圧印加で駆動される。明表示において、液晶分子11を立ち上がらせることで、二色性色素12も液晶分子11に添って立ち上がっているため、二色性色素12による表示に寄与する光吸収が殆どなく、明るい透過および反射表示が可能となる。
【0042】
二色性色素12としては、その配向状態によって選択的に光の吸収、非吸収を切り換え得ることが必要であるため、分子長軸方向の吸収係数をα//、分子短軸方向の吸収係数をα⊥としたとき、α//>α⊥となる正の吸収異方性を有するものを用いる。
【0043】
なお、第2の液晶層8は、上述したように、透過表示と反射表示を切り換えるための偏光軸回転手段6として機能するものであるため、透過表示と反射表示とで、90°捩れ配向或いは立ち上がった配向の何れかをとるように駆動すればよい。
【0044】
図2に、このような構成の液晶表示装置における、偏光板10の透過軸方向、第1及び第2の液晶層5・8の配向方向、及び偏光選択反射層3の透過軸方向の一例を示す。
【0045】
該図では、偏光板10の透過軸方向を両矢印Aにて示すA方向とし、偏光選択反射層3の透過軸方向(透過偏光方向)を、A方向と直交する、両矢印Bにて示すB方向としている。偏光選択反射層3の反射軸方向(反射偏光方向)は、偏光板10の透過軸方向と一致するA方向である。
【0046】
また、第1の液晶層5に添加されている二色性色素12にて、透過表示の暗表示時に表示面側から偏光板10を介して入射する光を効率良く吸収するためには、第1の液晶層5の表示面側の配向方向を、第2の液晶層8を通過して第1の液晶層5に至る外光の直線偏光方向と一致させておくことが望ましい。二色性色素12による吸収の効率をよくすることで、第1の液晶層5に添加させる二色性色素12の色素濃度を低く抑えることができる。ここでは、第1の液晶層5の上面(表示面側)の配向方向と、第2の液晶層8の下面(背面側)の配向方向とを、共にB方向として一致させている。
【0047】
図3、図4を用いて、本液晶表示装置が、図2に示した、偏光板10の透過軸方向、第1及び第2の液晶層5・8の配向方向、及び偏光選択反射層3の透過軸方向を有するものとして、その表示について説明する。
【0048】
まずは、図3を用いて、反射表示について説明する。図3は、反射表示の動作原理を説明する断面図であり、図の左側に暗表示、図の右側に明表示を示す。また、図3では、図2で両矢印Aにて示したA方向を紙面に平行な方向として示し、図2で両矢印Bにて示したB方向を紙面に垂直な方向として示している。
【0049】
反射表示時、透過表示と反射表示とを切り換えるための層である上記第2の液晶層8には電圧を印加し、液晶分子を立ち上がらせておく。
【0050】
入射光である外光17は、偏光板10によりB方向の直線偏光となり、第2の液晶層8に入射される。該直線偏光は、第2の液晶層8の液晶分子は立ち上がっているため、そのままのB方向の偏光状態で通過し、第1の液晶層5へと入射する。第1の液晶層5は、暗表示時、電圧無印加として90°捩れ配向となるように制御される。そのため、第1の液晶層5を通過した後の偏光は、入射時のB方向の直線偏光に対して90°回転した、A方向の直線偏光となる。
【0051】
第1の液晶層5を通過する際、二色性色素12の分子長軸に対して直交の直線偏光が入射されるため、二色性色素12による吸収は殆どない。また、二色性色素12による光の吸収が若干発生しても、暗状態を表示する場合であるので問題はない。
【0052】
第1の液晶層5を通過した該A方向の直線偏光は、偏光選択反射層3の透過軸方向と一致するため、偏光選択反射層3を透過していき、バックライト2の下に配置された吸収層1により吸収され、これにて、暗状態が表示される。
【0053】
一方、明状態を表示させるためには、第1の液晶層5に電圧を印加し、液晶分子を立ち上がらせる。これにより、外光18は、偏光板10でB方向の直線偏光となり、第2の液晶層8をそのままの偏光状態で通過したあと、さらに、そのままのB方向の偏光状態で第1の液晶層5を通過する。第1の液晶層5を通過する際、第1の液晶層5は液晶分子11と共に二色性色素12は立ち上がっているので、上述したように二色性色素12による光の吸収は殆ど起こらない。
【0054】
第1の液晶層5を通過したB方向の直線偏光は、偏光選択反射層3の反射軸方向と一致するため、偏光選択反射層3で反射され、反射された光は、入射時とは同じ光路を逆にたどって、第1及び第2の液晶層5・8をそのまま通過し、偏光板10を透過する。これにて、明状態が表示される。
【0055】
次いで、図4を用いて、透過表示について説明する。図4は、透過表示の動作原理を説明する断面図であり、図の左側に暗表示、図の右側に明表示を示す。また、図4では、図2で両矢印Aにて示したA方向を紙面に平行な方向として示し、図2で両矢印Bにて示したB方向を紙面に垂直な方向として示している。
【0056】
透過表示時、上記第2の液晶層8には電圧を印加せず、液晶分子を90°捩れ配向させておく。
【0057】
バックライト2から出射された光13は、偏光選択反射層3を通過することで、A方向の直線偏光となり、第1の液晶層5へ入射される。第1の液晶層5は、暗表示時、電圧無印加として90°捩れ配向となるように制御される。そのため、第1の液晶層5を通過した後の偏光は、入射時のA方向の直線偏光に対して90°回転した、B方向の直線偏光となる。
【0058】
第1の液晶層5を通過する際、二色性色素12の分子長軸に対して直交の直線偏光が入射されるため、二色性色素12による吸収は殆どない。また、二色性色素12による光の吸収が若干発生しても、暗状態を表示する場合であるので問題はない。
【0059】
第2の液晶層8は、透過表示時、電圧無印加で90°捩れ配向とされているので、第2の液晶層8を通過した後の直線偏光は、第2の液晶層8に入射した時のB方向の直線偏光に対して90°回転したA方向の直線偏光となって出射される。
【0060】
この第2の液晶層8を通過したA方向の直線偏光は、偏光板10の透過軸方向と直交する吸収軸方向と一致するため、偏光板10で吸収されてしまい、これにて、暗状態が表示される。
【0061】
このとき、表示面側から外光14が入射されると、従来の液晶表示装置では、コントラスト比の低下や、ネガポジ反転の原因となり問題であったが、本液晶表示装置では、外光14は以下のようにして吸収されることとなる。
【0062】
表示面側から入射された外光14は、偏光板10で、B方向の直線偏光となり、電圧無印加の第2の液晶層8を通過することで90°回転したA方向の直線偏光となる。そして、その後、該直線偏光は、90°捩れ配向している第1の液晶層5に入射する。
【0063】
ここで、該A方向の直線偏光は、第1の液晶層5を形成する第2の基板7の基板界面の液晶分子11の分子長軸及び二色性色素12の分子長軸に対して平行に入射する。二色性色素12は分子長軸の平行方向に吸収の遷移モーメントを有しているため、第1の液晶層5に入射した直線偏光は、第1の液晶層5内で、旋光しながら二色性色素12にて吸収される。そして、第1の液晶層5を、二色性色素12にて吸収されながら通過した直線偏光は、B方向の直線偏光となって偏光選択反射層3に至る。
【0064】
B方向の直線偏光は、偏光選択反射層3の反射軸方向と一致するため、偏光選択反射層3で反射され、再度第1の液晶層5に戻される。このときも、第1の液晶層5を形成する第1の基板4の基板界面の液晶分子11の分子長軸及び二色性色素12の分子長軸に対して平行に入射するので、第1の液晶層5に入射した直線偏光は、第1の液晶層5内で、旋光しながら二色性色素12にて再び効率よく吸収される。
【0065】
一方、明状態を表示させるためには、第1の液晶層5のみに電圧を印加し、液晶分子を立ち上がらせる。これにより、バックライト2から出射された光15は、偏光選択反射層3を通過してA方向の直線偏光となり、液晶分子の立ち上がった第1の液晶層5をそのままの偏光状態で通過し、90°捩れ配向した第2の液晶層8を通過して90°回転したB方向の直線偏光となる。ここでも、第1の液晶層5を通過する際、第1の液晶層5は液晶分子11と共に二色性色素12は立ち上がっているので、上述したように二色性色素12による光の吸収は殆ど起こらない。
【0066】
第2の液晶層8を通過した該B方向の直線偏光は、偏光板10の透過軸方向と一致するため、偏光板10を透過し、これにて、明状態が表示される。
【0067】
このとき、表示面側から外光16が入射されると、外光16は偏光板10でB方向の直線偏光となり、第2の液晶層8で90°回転したA方向の直線偏光となる。その後、液晶分子が立ち上がった第1の液晶層5をそのまま通過し、偏光選択反射層3に至る。
【0068】
A方向の直線偏光は、偏光選択反射層3の透過偏光方向と一致するため、偏光選択反射層3を通過し、バックライト2の下に配置された吸収層1により吸収される。
【0069】
次に、このような構成の液晶表示装置において、外光吸収手段としての機能を有する液晶層の透過率、本実施の形態では、第1の液晶層5の透過率がこれに相当するが、該透過率は、異方性吸収体である二色性色素12の色素濃度、或いは第1の液晶層5のセル厚により調整を行う。以下、この透過率に設定について説明する。
【0070】
透過表示の明状態における二色性色素が添加された液晶層(以下、添加液晶層と称する)の透過率を70%以下とすると、二色性色素の吸収が大きくなり、透過表示および反射表示の明状態の明るさが低下し、暗い表示となってしまう。特に、反射表示では、光路が透過表示の2倍であるため、添加液晶層を2回透過する時の所謂反射率は、70%×70%の49%以下となってしまう。言い換えれば、透過率100%を1とすると、0.7×0.7=0.49以下となってしまうことである。
【0071】
添加液晶層の透過率または反射率が50%以下となることは、従来の技術に示す、ハーフミラーを用いた場合、または穴空き反射板による画素分割と同様で、光の利用効率が悪くなり、偏光選択反射手段(偏光選択反射層)を用いた意味が無くなってしまう。
【0072】
したがって、透過表示の明状態における添加液晶層の透過率の下限は、明るい透過表示および反射表示が得られる最低限の値であり、少なくとも、光路が透過表示の2倍となる反射表示の明状態で、50%よりも大きい値を確保できる、透過率100%を1として、√0.5よりも大きい、√0.5を超える値となる。
【0073】
また、一般的に、反射型のカラー液晶表示装置の明るさは、偏光板、カラーフィルタ等での吸収により、入射光に対して20%程度の明るさであり、この明るさが半分の10%以下となると暗い表示となり、室内の照明環境では明暗の認識が困難となる。すなわち、透過表示の暗状態での外光の反射率を10%以下とすることで、外光の明るさに影響されない透過表示を実現でき、コントラスト比の低下、またはネガポジ反転を防ぐことができる。
【0074】
図5に、反射透過両用型の液晶表示装置の、透過表示の明状態における液晶層の透過率と、透過表示の暗状態における外光が液晶層を2回透過する時の所謂反射率の関係を示す。
【0075】
この図よりわかるように、透過表示の明状態における液晶層の透過率を92%とした時の、透過表示の暗状態における外光が液晶層を2回透過する時の所謂反射率は50%以下となっている。
【0076】
これより、透過表示の明状態における添加液晶層の透過率を92%以下とすることで、偏光板、カラーフィルタ等を含めた透過表示の暗状態での外光の反射率を10%以下に抑えることができ、室内の照明環境ではコントラスト比の低下、またはネガポジ反転を防ぐことができる。
【0077】
したがって、透過表示の明状態における添加液晶層の透過率の上限は、偏光板、カラーフィルタ等を含めた透過表示の暗状態での外光の反射率を10%以下に抑えることができる、92%以下の値となる。
【0078】
以上のように、本液晶表示装置では、まず、偏光選択反射層3を用いることで、透過及び反射共に光利用効率の高い表示が実現できる。次に、透過光の偏光軸を回転させることで透過表示と反射表示を切り換えるための偏光軸回転手段6を備えることで、透過表示と反射表示とのネガポジ反転を、映像信号を白黒反転させるための回路等を別途具備させて駆動を複雑化することなく防止できる。
【0079】
そして、特に、本液晶表示装置では、第1の液晶層5に、透過表示の暗表示に入射する外光14を吸収するための二色性色素12を添加し、外光吸収手段としての機能を具備させているので、透過表示の暗表示に入射する外光14が吸収され、外光14の反射が透過表示に悪影響を及ぼし、透過表示のコントラスト比の低下や、ネガポジ反転等の不具合をもたらすことはない。さらに、ここでは、第1の液晶層5の配向状態が明状態の場合も、外光16は吸収されるようになっているので、透過表示において、外光14・16の反射が透過表示に悪影響を及ぼすことが一切ない。
【0080】
なお、図2に示した透過偏方向や液晶配向方向は、一例であって、これに限定されるものではない。例えば、偏光軸回転手段6としての第2の液晶層8を、上記の説明では、透過表示において電圧無印加として90°捩れ配向させ、反射表示において電圧印加として立ち上がらせた配向としたが、これを逆にして、透過表示において電圧印加として立ち上がらせた配向とし、反射表示において電圧印加として90°捩れ配向させることもできる。その場合は、偏光板10の透過軸方向をB方向とし、偏光選択反射層3の透過軸方向と一致させ、偏光選択反射層3の反射軸方向と直交させることで、上で述べたと同じ効果を得ることができる。
【0081】
また、ここでは、映像信号入力による明暗をコントロールする第1の液晶層5を偏光選択反射層3に近い側としているが、偏光軸回転手段6としての第2の液晶層8と上下を入れ換えることも可能である。但し、順序を逆にすると、第1の液晶層5と偏光選択反射層3との距離が長くなるので、視差による像の二重映りや、カラーフィルタを用いた場合の混色が発生して表示品位が低下するため、図1に示す順序とすることが望ましい。
【0082】
また、ここでは、バックライト2は、導光板のエッジに光源が配されたバックライト導光板を例示しているが、この構成に限定されるものではない。同様に、ここでは、偏光選択反射層3を通過する光を吸収層1で吸収させる構成としているが、第2の偏光板、λ/4板、ミラー反射板を組み合せた構成とすることもでき、上記構成に限定されるものではない。
【0083】
〔実施の形態2〕
本発明にかかるその他の実施の形態を、図6を用いて以下に説明する。なお、説明の便宜上、実施の形態1で用いたものと同じ機能を有する部材には同じ符号を付して説明を省略する
本実施の形態の液晶表示装置も、反射表示と透過表示とを切り換え可能な反射透過両用型の液晶表示装置であり、図1に示した前述の実施の形態1の液晶表示装置と、偏光選択反射層3の配設位置が異なる以外は、同じ構成を有している。したがって、ここでは、異なる点のみを説明する。
【0084】
図6に、本実施の形態の液晶表示装置の断面構造を示す。該図に示すように、本液晶表示装置の場合、第1の基板4の上面(表示面側)、つまり、第1の液晶層5と面する(接する)側に、偏光選択反射層3が配設されている。
【0085】
このような構成とすることで、映像信号入力による明暗をコントロールする第1の液晶層5と、反射表示時に反射板となる偏光選択反射層3までの光路が、図1の液晶表示装置よりも短くなり、視差による像の二重映りや、カラーフィルタを用いた場合の混色の問題をより効果的に解決して、二重映りや混色による表示品位の低下をより一層防止できる。
【0086】
また、このような構成とすることで、映像信号入力による明暗をコントロールする駆動素子の開口率に左右されることなく、明るい反射表示を得ることが可能となる。つまり、第1の基板4の第1の液晶層5と面する(接する)側に偏光選択反射層3を形成することで、映像信号入力による明暗をコントロールする図示していない、駆動素子上、ソースバスラインまたはゲートバスライン上にも偏光選択反射層3が形成されることとなる。したがって、反射表示の画素電極となるITOの面積を大きくとることができ、明るい反射表示を得ることが可能となる。
【0087】
〔実施の形態3〕
本発明にかかるその他の実施の形態を、図7〜10を用いて以下に説明する。なお、説明の便宜上、実施の形態1で用いたものと同じ機能を有する部材には同じ符号を付して説明を省略する。
【0088】
本実施の形態の液晶表示装置も、反射表示と透過表示とを切り換え可能な反射透過両用型の液晶表示装置である。実施の形態1では、映像信号入力による明暗をコントロールする第1の液晶層5に、異方吸収体としての二色性色素12を添加していたが、ここでは、外光吸収手段としてのみ機能する第3の液晶層を別途設けており、この点が、実施の形態1の液晶表示装置と異なる。したがって、ここでは、異なる点のみを説明する。
【0089】
図7に、本実施の形態の液晶表示装置の断面構造を示す。該図に示すように、本液晶表示装置は、第1の基板4と第2の基板7との間に、第4の基板31を新たに備えており、該第4の基板31と第1の基板4との間に、映像信号入力による明暗をコントロールする第1の液晶層5aが介在されている。上述したように、本実施の形態では、第1の液晶層5aは、映像信号入力による明暗をコントロールする機能のみを有し、外光吸収手段としての機能を有するものではない。
【0090】
そして、第3の基板9とで偏光軸回転手段6となる第2の液晶層8を挟持する第2の基板7と、上記第4の基板31との間に、外光吸収手段として機能のみを有する第3の液晶層30が配置されている。
【0091】
なお、第3の基板9の表示面側となる最表面に、偏光板10が配置され、第1の基板4の下側(背面側)に、偏光選択反射層3、バックライト2、吸収層1がこの順に配置されている点は、同じである。
【0092】
これら第1〜第4の基板4・7・9・31における第1の液晶層5a或いは第2の液晶層8、或いは第3の液晶層30と面する(接する)側の各面には、特に図示してはいないが、面する第1の液晶層5a、第2の液晶層8、或いは第3の液晶層30を駆動するための電極(不図示)と所定の配向状態に配向させるための配向膜とが形成されている。
【0093】
第1及び第2の液晶層5a・8は、第1〜第4の基板4・7・9・31に形成された上記配向膜にて、電圧無印加で90°捩れ配向するように形成されており、第3の液晶層30のみ、第2及び第4の基板7・31に形成された配向膜にて、電圧無印加で基板に平行な平行配向するように形成されている。これら第1〜第3の液晶層5a・8・30は何れも、所定の電圧が印加されると、基板面に垂直に立ち上がった状態で配向する。そして、第3の液晶層30には、第1の液晶層5aと同期した映像信号が入力される。
【0094】
第3の液晶層30の液晶材料としては、ネマチック液晶が望ましく、異方性吸収体として正の吸収異方性を有する二色性色素12が添加され、液晶分子11が平行配向し、これに添って二色性色素12が平行に配向している状態で、該第3の液晶層30を通過する光を吸収する。
【0095】
したがって、この第3の液晶層30は、暗表示では、平行配向して二色性色素12にて光を吸収し得るように、電圧無印加で駆動され、明表示では、液晶分子11を立ち上がらせる電圧印加で駆動される。この場合も、明表示において、液晶晶分子11を立ち上がらせることで、二色性色素12も液晶分子11に添って立ち上がっているため、二色性色素12による表示に寄与する光吸収が殆どなく、明るい透過および反射表示が可能となる。
【0096】
図8に、このような構成の液晶表示装置における、偏光板10の透過軸方向、第1〜第3の液晶層5a・8・30の配向方向、及び偏光選択反射層3の透過軸方向の一例を示す。
【0097】
該図では、偏光板10の透過軸方向を両矢印Aにて示すA方向とし、偏光選択反射層3の透過軸方向を、A方向と直交する、両矢印Bにて示すB方向としている。偏光選択反射層3の反射軸方向は、偏光板10の透過軸方向と一致するA方向である。
【0098】
また、実施の形態1の液晶表示装置と同様に、第3の液晶層30に添加されている二色性色素12にて、透過表示の暗表示時に表示面側から偏光板10を介して入射する光を効率良く吸収するためには、第3の液晶層30の表示面側の配向方向を、第2の液晶層8を通過して第3の液晶層30に至る外光の直線偏光方向と一致させておくことが望ましい。ここでは、第3の液晶層30の上面の配向方向と、第2の液晶層8の下面の配向方向とを、共にB方向として一致させている。
【0099】
図9、図10を用いて、本液晶表示装置が、図8に示した、偏光板10の透過軸方向、第1〜第3の液晶層5a・8・30の配向方向、及び偏光選択反射層3の透過軸方向を有するものとして、その表示について説明する。
【0100】
まずは、図9を用いて、反射表示について説明する。図9は、反射表示の動作原理を説明する断面図であり、図の左側に暗表示、図の右側に明表示を示す。また、図9では、図8で両矢印Aにて示したA方向を紙面に平行な方向として示し、図8で両矢印Bにて示したB方向を紙面に垂直な方向として示している。
【0101】
反射表示時、透過表示と反射表示とを切り換えるための層である上記第2の液晶層8には電圧を印加し、液晶分子を立ち上がらせておく。
【0102】
入射光である外光33は、偏光板10によりB方向の直線偏光となり、第2の液晶層8に入射される。該直線偏光は、第2の液晶層8の液晶分子は立ち上がっているため、そのままのB方向の偏光状態で通過し、第3の液晶層30へと入射する。第3の液晶層30は、暗表示時、電圧無印加で平行配向となっており、二色性色素12の分子長軸に対して直交の直線偏光が入射されるため、二色性色素12による吸収は殆どなく、そのまま透過して、第1の液晶層5aへと入射する。
【0103】
第1の液晶層5aは、暗表示時、電圧無印加として90°捩れ配向となるように制御されるため、第1の液晶層5aを通過した後の偏光は、入射時のB方向の直線偏光に対して90°回転した、A方向の直線偏光となる。
【0104】
第1の液晶層5aを通過した該A方向の直線偏光は、偏光選択反射層3の透過軸方向と一致するため、偏光選択反射層3を透過していき、バックライト2の下に配置された吸収層1により吸収され、これにて、暗状態が表示される。
【0105】
一方、明状態を表示させるためには、第1及び第2の液晶層5aに電圧を印加し、液晶分子を立ち上がらせる。
【0106】
これにより、外光34は、偏光板10でB方向の直線偏光となり、第2の液晶層8をそのままの偏光状態で通過したあと、さらに、そのままのB方向の偏光状態で第3の液晶層30と第1の液晶層5aと順にそのまま通過する。第3の液晶層30を通過する際、第3の液晶層30の二色性色素12は立ち上がっているので、上述したように二色性色素12による光の吸収は殆ど起こらない。
【0107】
第1の液晶層5aを通過したB方向の直線偏光は、偏光選択反射層3の反射軸方向と一致するため、偏光選択反射層3で反射され、反射された光は、入射時とは同じ光路を逆にたどって、第1液晶層5a、第3の液晶層30、第2液晶層8を順にそのまま通過し、偏光板10を透過する。これにて、明状態が表示される。
【0108】
次いで、図10を用いて、透過表示について説明する。図10は、透過表示の動作原理を説明する断面図であり、図の左側に暗表示、図の右側に明表示を示す。また、図10では、図8で両矢印Aにて示したA方向を紙面に平行な方向として示し、図8で両矢印Bにて示したB方向を紙面に垂直な方向として示している。
【0109】
透過表示時、上記第2の液晶層8には電圧を印加せず、液晶分子を90°捩れ配向させておく。
【0110】
バックライト2から出射された光35は、偏光選択反射層3を通過することで、A方向の直線偏光となり、第1の液晶層5aへ入射される。第1の液晶層5aは、暗表示時、電圧無印加として90°捩れ配向となるように制御されるため、第1の液晶層5aを通過した後の偏光は、入射時のA方向の直線偏光に対して90°回転した、B方向の直線偏光となって、第3の液晶層30へと入射する。
【0111】
第3の液晶層30は、暗表示時、電圧無印加で平行配向となっており、二色性色素12の分子長軸に対して直交の直線偏光が入射されるため、二色性色素12による吸収は殆どなく、そのまま透過して、第2の液晶層8へと入射する。なお、ここで、二色性色素12による光の吸収が若干発生しても、暗状態を表示する場合であるので問題はない。
【0112】
第2の液晶層8は、透過表示時、電圧無印加で90°捩れ配向とされているので、第2の液晶層8を通過した後の直線偏光は、第2の液晶層8に入射した時のB方向の直線偏光に対して90°回転したA方向の直線偏光となって出射される。
【0113】
この第2の液晶層8を通過したA方向の直線偏光は、偏光板10の透過軸方向と直交する吸収軸方向と一致するため、偏光板10で吸収されてしまい、これにて、暗状態が表示される。
【0114】
このとき、表示面側から外光36が入射されると、従来の液晶表示装置では、コントラスト比の低下や、ネガポジ反転の原因となり問題であったが、本液晶表示装置では、外光36は以下のようにして吸収されることとなる。
【0115】
表示面側から入射された外光36は、偏光板10で、B方向の直線偏光となり、電圧無印加の第2の液晶層8を通過することで90°回転したA方向の直線偏光となる。そして、その後、該直線偏光は、平行配向している第3の液晶層30に入射する。
【0116】
ここで、該A方向の直線偏光は、第3の液晶層30を形成する第2の基板7の基板界面の液晶分子11の分子長軸及び二色性色素12の分子長軸に対して平行に入射する。二色性色素12は分子長軸の平行方向に吸収の遷移モーメントを有しているため、第3の液晶層30に入射した直線偏光は、第3の液晶層30内で二色性色素12にて吸収される。そして、第3の液晶層30を、二色性色素12にて吸収されながら通過した直線偏光は、90°捩れ配向している第1の液晶層5aを通過することでB方向の直線偏光となって、偏光選択反射層3に至る。
【0117】
B方向の直線偏光は、偏光選択反射層3の反射軸方向と一致するため、偏光選択反射層3で反射され、再度第1の液晶層5aに戻され、同じ光路を逆にたどる。このときも、第3の液晶層30を形成する第4の基板31の基板界面の液晶分子11の分子長軸及び二色性色素12の分子長軸に対して平行に入射するので、第3の液晶層30に入射した直線偏光は、第3の液晶層30内で二色性色素12にて再び効率よく吸収される。
【0118】
一方、明状態を表示させるためには、第1及び第3の液晶層5a・30に電圧を印加し、液晶分子を立ち上がらせる。これにより、バックライト2から出射された光37は、偏光選択反射層3を通過してA方向の直線偏光となり、液晶分子の立ち上がった第1の液晶層5a、液晶分子11と共に二色性色素12も立ち上がった第3の液晶層30をそれぞれ順にそのままの偏光状態で通過し、その後、90°捩れ配向した第2の液晶層8を通過して90°回転したB方向の直線偏光となる。ここでも、第3の液晶層30を通過する際、第3の液晶層30は液晶分子11と共に二色性色素12は立ち上がっているので、上述したように二色性色素12による光の吸収は殆ど起こらない。
【0119】
第2の液晶層8を通過した該B方向の直線偏光は、偏光板10の透過軸方向と一致するため、偏光板10を透過し、これにて、明状態が表示される。
【0120】
このとき、表示面側から外光38が入射されると、外光38は偏光板10でB方向の直線偏光となり、第2の液晶層8で90°回転したA方向の直線偏光となる。その後、液晶分子が立ち上がった第1の液晶層5a、第3の液晶層30をそのまま通過し、偏光選択反射層3に至る。
【0121】
A方向の直線偏光は、偏光選択反射層3の透過偏光方向と一致するため、偏光選択反射層3を通過し、バックライト2の下に配置された吸収層1により吸収される。
【0122】
【実施例】
以下、実施例を挙げてより詳細に本発明の液晶表示装置を説明する。
【0123】
〔実施例1〕
図11は、本発明に基づいて作成した本実施例の反射透過両用型の液晶表示装置の断面図である。
【0124】
それぞれガラス基板からなる第1の基板4と第2の基板7との間に、第1の液晶層5となる90°ツイスト配向のネマチック液晶が挟持されており、ネマチック液晶には異方性吸収体として数種類のアゾ系およびアントラキノン系の、正の吸収異方性を有する二色性色素が添加されている。二色性色素の二色性比は10とし、透過表示の明状態における液晶層の透過率が90%となるように色素濃度を調整した。
【0125】
第1の基板4の第1の液晶層5が接する側には、アクティブ素子としてTFT素子19を形成し、画素電極である透明電極20、配向膜21が形成され、第2の基板7の第1の液晶層5が接する側には、カラーフィルタ22、透明電極20、配向膜21が形成されている。
【0126】
上記TFT素子19は、ゲート電極23、絶縁層24、I型a−Si層25、N+型a−Si層26、ソース電極27、ドレイン電極28により形成されている。
【0127】
さらに、偏光軸回転手段6として、第2の基板7とガラス基板からなる第3の基板9との間には、第2の液晶層8となる90°ツイスト配向のネマチック液晶が挟持され、それぞれの基板の第2の液晶層8が接する側には透明電極20、配向膜21が形成され、二層構造の液晶素子を形成している。
【0128】
液晶素子上面には偏光板10を配置し、液晶素子下面には偏光選択反射層3として、住友3M社製のD−BEFを配置し、バックライト2の導光板、吸収層1の順で配置している。
【0129】
なお、本実施例では、構造を簡略化するために、偏光選択反射層3として住友3M社製のD−BEFを第1の基板4の外側に配置しているが、同様の効果を得るためには、偏光選択反射層3として、反射性の金属(例えばアルミニウム)を用いて波長以下(例えば150nm)の間隔でスリットを形成したワイヤーグリッド偏光板を用いてもよい。
【0130】
さらに、本実施例では、偏光選択反射層3を通過する外光を吸収層1で吸収させているが、偏光選択反射層3の下層の構成は、図12に示すように第2の偏光板41、λ/4板42、ミラー反射板43を組み合せた構成としてもよい。これにより、偏光選択反射層3を透過した外光は、第2の偏光板41も透過し、λ/4板42で円偏光となる。円偏光がミラー反射板43で反射すると、入射時に対して逆円偏光となり、再びλ/4板42を通過すると入射時に対して直交した直線偏光となる。従って、第2の偏光板41により吸収される。
【0131】
偏光板10の透過軸方向、第1および第2の液晶層5・8の配向方向、偏光選択反射層3の透過軸方向は、図2のとおりとした。
【0132】
透過表示時に黒及び白を表示するための駆動波形を図13に、反射表示時に黒及び白を表示するための駆動波形を図14に示す。
【0133】
このようにして作成された液晶表示装置における、透過率の第1の液晶層5に対する電圧依存性を図15に、また反射率の第1の液晶層5に対する電圧依存性を図16に示す。また、透過表示時に表示面から外光が入射した時のコントラスト比変化を図17に示す。
【0134】
以上のように、第2の液晶層8に印加する電圧を切り換えることによって、透過表示と反射表示を切り換えることが可能となり、透過及び反射表示でネガポジ反転しない表示を得られることを確認した。
【0135】
また、透過表示は透過型に近い透過率(透過型比90%―電圧4V印加時)を有し、反射表示は反射型に近い反射率(反射型比81%―電圧4V印加時)を有する明るい表示が得られることを確認した。
【0136】
さらに、透過表示時に表示面から外光が入射した場合、外光照度が1000ルクスの環境下でもコントラスト比が50:1以上あり、一般的な室内の照明環境では充分なコントラスト比が得られ、ネガポジ反転しないことを確認した。
【0137】
〔実施例2〕
図18は、本発明に基づいて作成した本実施例の反射透過両用型の液晶表示装置の断面図である。
【0138】
実施例1と同様の構成、同様の表示原理の液晶表示装置において、偏光選択反射層3を第1の液晶層5を構成している第1の基板4のTFT素子19等が形成されている液晶層と接する側に配置している。したがって、本実例2では、第1の基板4上の構成のみについて説明する。
【0139】
第1の基板4のTFT素子19等を形成後、透明な層間絶縁膜44を平坦化膜として塗布する。その上に、住友3M社製のD−BEFを配置し、各画素ごとにスルーホール45を形成し、透明電極20をデポした。これにより透明電極20とTFT素子19のドレイン電極28はスルーホール45を介して接続される。また、透明電極20は各画素ごとにパターニングを行い、画素電極を形成している。さらに画素電極である透明電極20上には、配向膜21が塗布されている。
【0140】
なお、本実例では、偏光選択反射層3として住友3M社製のD−BEFを第1の基板4の内側に配置しているが、同様の効果を得るためには、データ線切換回路説明と同様に、偏光選択反射層3として、反射性の金属(例えばアルミニウム)を用いて波長以下(例えば150nm)の間隔でスリットを形成したワイヤーグリッド偏光板を用いてもよい。
【0141】
このようにして作成された液晶表示装置における反射率の第1の液晶層5に対する電圧依存性を図19に示す。
【0142】
以上のように、偏光選択反射層3を第1の基板4のTFT素子19等の上に配置することにより、反射表示領域が拡大し、反射効率が向上する。本実施例では、実施例1の反射率に対して約1.2倍(電圧4V印加時)の反射率が得られることを確認した。
【0143】
さらに、偏光選択反射層3を第1の基板4のTFT素子19等の上に配置することにより、反射表示時の視差による像の二重映り、カラーフィルタの色の混色が解消されることを確認した。
【0144】
〔実施例3〕
図20は、本発明に基づいて作成した本実施例の反射透過両用型の液晶表示装置の断面図である
第1〜第4の基板4・7・9・31はガラス基板から構成し、第1の基板4と第4の基板31との間には、90°ツイスト配向のネマチック液晶が挟持されて第1の液晶層5aを形成している。第4の基板31と第2の基板7との間には、平行配向のネマチック液晶が狭持され、第3の液晶層30を形成しており、第3の液晶層30には、異方性吸収体として数種類のアゾ系およびアントラキノン系の正の吸収異方性を有する二色性色素が混入されている。二色性色素の二色性比は10とし、透過表示の明状態における液晶層の透過率が90%となるように色素濃度を調整した。第2の基板7と第3の基板9との間には、90°ツイスト配向のネマチック液晶が挟持され、第2の液晶層8を形成している。
【0145】
第1の基板4の第1の液晶層5aが接する側には、アクティブ素子としてTFT素子19を形成し、画素電極である透明電極20、配向膜21が形成され、第4の基板31の第1の液晶層5aが接する側には、カラーフィルタ22、透明電極20、配向膜21が形成されている。
【0146】
上記TFT素子19は、ゲート電極23、絶縁層24、I型a−Si層25、N+型a−Si層26、ソース電極27、ドレイン電極28により形成されている。
【0147】
さらに、第4の基板31と第2の基板7との間で、第3の液晶層30を形成するために、第4の基板31の第3の液晶層30が接する側には、透明電極20、配向膜21が形成されている。第2の基板7の第3の液晶層30が接する側には、第1の基板5aと同じTFT素子19を形成し、画素電極である透明電極20、配向膜21が形成されている。
【0148】
さらに、偏光軸回転手段6として、第2の基板7とガラス基板からなる第3の基板9との間には、第2の液晶層8として、90°ツイスト配向のネマチック液晶が挟持され、それぞれの基板の第2の液晶層8が接する側には透明電極20、配向膜21が形成され、三層構造の液晶素子を形成している。
【0149】
液晶素子上面には偏光板10を配置し、液晶素子下面には偏光選択反射層3として、住友3M社製のD−BEFを配置し、バックライト2の導光板、吸収層1の順で配置している。
【0150】
なお、本実施例では、構造を簡略化するために、偏光選択反射層3として住友3M社製のD−BEFを第1の基板4の外側に配置しているが、同様の効果を得るためには、偏光選択反射層3として、反射性の金属(例えばアルミニウム)を用いて波長以下(例えば150nm)の間隔でスリットを形成したワイヤーグリッド偏光板を用いてもよい。
【0151】
さらに、本実施例では、偏光選択反射層3を通過する外光を吸収層1で吸収させているが、偏光選択反射層3の下層の構成は、実施例1で説明したように、図12に示すように第2の偏光板41、λ/4板42、ミラー反射板43を組み合せた構成としてもよい。
【0152】
偏光板10の透過軸方向、第1〜第3の液晶層5・8・30の配向方向、偏光選択反射層3の透過軸方向は、図8のとおりとした。
【0153】
透過表示時に黒及び白を表示するための駆動波形を図21に、反射表示時に黒及び白を表示するための駆動波形を図22に示す。
【0154】
このようにして作成された液晶表示装置における、透過率の第1の液晶層5a及び第3の液晶層30に対する電圧依存性を図23に、また反射率の第1の液晶層5a及び第3の液晶層30に対する電圧依存性を図24に示す。また、透過表示時に表示面から外光が入射した時のコントラスト比変化を図25に示す。
【0155】
以上のように、第2の液晶層8に印加する電圧を切り換えることによって、透過表示と反射表示を切り換えることが可能となり、透過及び反射表示でネガポジ反転しない表示を得られることを確認した。
【0156】
また、透過表示は透過型に近い透過率(透過型比90%―電圧4V印加時)を有し、反射表示は反射型に近い反射率(反射型比81%―電圧4V印加時)を有する明るい表示が得られることを確認した。
【0157】
さらに、透過表示時に表示面から外光が入射した場合、外光照度が1000ルクスの環境下でもコントラスト比が50:1以上あり、一般的な室内の照明環境では充分なコントラスト比が得られ、ネガポジ反転しないことを確認した。
【0158】
【発明の効果】
本発明の液晶表示装置は、以上のように、表示面側に配された偏光手段と、背面側に配された偏光選択反射手段との間に、映像信号に基づいて透過光の偏光軸を選択的に切り換える第1の液晶層と、透過光の偏光軸を選択的に切り換えて透過表示と反射表示とを切り換える偏光軸回転手段とが配設されてなる液晶表示装置において、透過表示の暗状態表示時に表示面側から上記偏光手段を介して入射する光を吸収する外光吸収手段が設けられていることを特徴としている。
【0159】
これにより、透過及び反射共に光利用効率の高い表示が実現でき、かつ、透過表示と反射表示とのネガポジ反転を、映像信号を白黒反転させるための回路等を別途具備させて駆動を複雑化したりすることなく防止できる。
【0160】
そして、特に、外光吸収手段にて、透過表示の暗状態表示時に表示面側から偏光手段を介して入射する光が吸収されるようになっているので、透過表示の暗状態表示に、表示面側から入射する光が反射して、透過表示におけるコントラスト比を低下させたり、ネガポジ反転させたりするといった不具合をなくすることができ、表示品位を向上させることができる。
【0161】
その結果、簡便な構造、簡便な駆動でありながら、光利用効率が高く、外光の影響を受けることなく良好な透過表示を実現し得る反射透過両用型の液晶表示装置を提供することができるという効果を奏する。
【0162】
上記外光吸収手段は、第3の液晶層に異方性吸収体が添加されてなる構成とすることができる。液晶層に異方性吸収体を添加することで、液晶分子の配向制御にて異方性吸収体における吸収性を制御することができるので、このような構成で、上記外光吸収手段を容易に得ることができる。
【0163】
また、本発明の上記液晶表示装置は、異方性吸収体が添加された状態の上記第3の液晶層の透過率であって、透過表示の明状態における透過率が、透過率100%を1として、√0.5よりも大きく0.92以下である構成とすることが好ましい。
【0164】
このような構成とすることで、偏光選択反射手段を設けた反射透過両用型の液晶表示装置としてのメリットをなくすることなく、外光吸収手段としての機能を確実に担うことができる。
【0165】
また、本発明の上記液晶表示装置は、上記異方性吸収体が、正の吸収異方性を有する二色性色素であり、上記第3の液晶層を挟持する一対の基板のうちの表示面側に位置する基板の表面の液晶分子の長軸方向と、表示面側より入射して該基板に至る外光の直線偏光方向とが、略平行である構成とすることが好ましい。
【0166】
これにより、第3の液晶層の液晶分子に添って配向する二色性色素にて、透過表示の暗状態表示時に表示面側から偏光手段を介して入射する光を効率良く吸収することができ、第3の液晶層に添加させる二色性色素の色素濃度を低く抑えることもできるという効果を併せて奏する。
【0167】
また、この場合、上記偏光選択反射手段の直線偏光を透過させる透過軸と、上記第3の液晶層を挟持する一対の基板のうちの背面側に位置する基板の表面の液晶分子の長軸方向とを、略直交する構成としておくことが好ましい。
【0168】
これにより、透過表示に寄与する背面側から出射され、偏光選択反射手段を透過した直線偏光は、第3の液晶層に添加されている二色性色素の分子長軸に対して直交する位置関係で入射されるため、二色性色素にて吸収されることが殆ど起こらず、明るい透過表示を実現することができるという効果を併せて奏する。
【0169】
また、本発明の上記液晶表示装置は、上記第3の液晶層と上記第1の液晶層とが同一であり共用されている構成とすることもできる。
【0170】
外光吸収手段を構成する第3の液晶層と、映像信号に基づいて透過光の偏光軸を選択的に切り換える第1の液晶層とを共用することで、液晶層の層数を減らすことができるので、駆動電圧の削減、及び液晶表示装置の軽量・薄型化を図ることができるという効果を併せて奏する。
【0171】
また、本発明の上記液晶表示装置は、上記偏光選択反射手段に隣り合うように上記第1の液晶層が配設されている構成とすることが好ましい。
【0172】
上記構成とすることで、第1の液晶層と偏光選択反射手段との距離が近くなり、視差による像の二重映りや、カラーフィルタを用いた場合の混色が発生せず、これらによる表示品位の低下を阻止して、表示品位の向上を図ることができるという効果を併せて奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態を示すもので、反射透過両用型の液晶表示装置の構成を示す断面図である。
【図2】図1の液晶表示装置において設定し得る偏光板の透過軸方向、各液晶層の配向方向、偏光選択反射層の透過軸方向の一例を示す図である。
【図3】図1の液晶表示装置の反射表示における表示原理を示す断面図である。
【図4】図1の液晶表示装置の透過表示における表示原理を示す断面図である。
【図5】反射透過両用型の液晶表示装置の透過表示の明状態における液晶層の透過率と、透過表示の暗状態における外光が液晶層を2回透過する時の所謂反射率の関係を示すグラフである。
【図6】本発明の実施のその他の形態を示すもので、反射透過両用型の液晶表示装置の構成を示す断面図である。
【図7】本発明の実施のさらに他の形態を示すもので、反射透過両用型の液晶表示装置の構成を示す断面図である。
【図8】図7の液晶表示装置において設定し得る偏光板の透過軸方向、各液晶層の配向方向、偏光選択反射層の透過軸方向の一例を示す図である。
【図9】図7の液晶表示装置の反射表示における表示原理を示す断面図である。
【図10】図7の液晶表示装置の透過表示における表示原理を示す断面図である。
【図11】本発明の一実施例を示すもので、反射透過両用型の液晶表示装置の構成を示す断面図である。
【図12】図11の液晶表示装置に採用可能な、外光を吸収させるための別の例を示す断面図である。
【図13】図11の液晶表示装置における透過表示時の印加電圧波形を示す波形図である。
【図14】図11の液晶表示装置における反射表示時の印加電圧波形を示す波形図である。
【図15】図11の液晶表示装置における透過表示時の印加電圧と透過光強度との関係を示すグラフである。
【図16】図11の液晶表示装置における反射表示時の印加電圧と反射光強度との関係を示すグラフである。
【図17】図11の液晶表示装置における透過表示時に外光が入射した場合のコントラスト比と外光の照度との関係を示すグラフである。
【図18】本発明のその他の実施例を示すもので、反射透過両用型の液晶表示装置の構成を示す断面図である。
【図19】図18の液晶表示装置における反射表示時の印加電圧と反射光強度との関係を示すグラフである。
【図20】本発明のさらに他の実施例を示すもので、反射透過両用型の液晶表示装置の構成を示す断面図である。
【図21】図20の液晶表示装置における透過表示時の印加電圧波形を示す波形図である。
【図22】図20の液晶表示装置における反射表示時の印加電圧波形を示す波形図である。
【図23】図20の液晶表示装置における透過表示時の印加電圧と透過光強度との関係を示すグラフである。
【図24】図20の液晶表示装置における反射表示時の印加電圧と反射光強度との関係を示すグラフである。
【図25】図20の液晶表示装置における透過表示時に外光が入射した場合のコントラスト比と外光の照度との関係を示すグラフである。
【図26】透過表示と反射表示とで偏光軸を回転させる偏光軸回転手段と偏光選択反射手段とを備えた従来の反射透過両用型の液晶表示装置の構成を示す断面図である。
【符号の説明】
2 バックライト
3 偏光選択反射層(偏光選択反射手段)
5 第1の液晶層(第1の液晶層、第3の液晶層、外光吸収手段)
5a 第1の液晶層(第1の液晶層)
6 偏光軸回転手段
8 第2の液晶層
10 偏光板(偏光手段)
30 第3の液晶層(第3の液晶層、外光吸収手段)
Claims (7)
- 表示面側に配された偏光手段と、背面側に配された偏光選択反射手段との間に、映像信号に基づいて透過光の偏光軸を選択的に切り換える第1の液晶層と、透過光の偏光軸を選択的に切り換えて透過表示と反射表示とを切り換える偏光軸回転手段とが配設されてなる液晶表示装置において、
透過表示の暗状態表示時に表示面側から上記偏光手段を介して入射する光を吸収する外光吸収手段が設けられていることを特徴とする液晶表示装置。 - 上記外光吸収手段が、第3の液晶層に異方性吸収体が添加されてなることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
- 異方性吸収体が添加された状態の上記第3の液晶層の透過率であって、透過表示の明状態における透過率が、透過率100%を1として、√0.5よりも大きく0.92以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の液晶表示装置。
- 上記異方性吸収体が、正の吸収異方性を有する二色性色素であり、
上記第3の液晶層を挟持する一対の基板のうちの表示面側に位置する基板の表面の液晶分子の長軸方向と、表示面側より入射して該基板に至る外光の直線偏光方向とが、略平行であることを特徴とする請求項2又は3に記載の液晶表示装置。 - 上記偏光選択反射手段の直線偏光を透過させる透過軸と、上記第3の液晶層を挟持する一対の基板のうちの背面側に位置する基板の表面の液晶分子の長軸方向とが、略直交することを特徴とする請求項4に記載の液晶表示装置。
- 上記第3の液晶層と上記第1の液晶層とが同一であり、共用されていることを特徴とする請求項2〜5の何れかに記載の液晶表示装置。
- 上記偏光選択反射手段に隣り合うように上記第1の液晶層が配設されていることを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載の液晶表示装置。
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JP2008521059A (ja) * | 2004-11-19 | 2008-06-19 | ローム アンド ハース デンマーク ファイナンス エーエス | 暗状態光再循環膜及びディスプレイ |
KR101200769B1 (ko) * | 2011-01-13 | 2012-11-13 | 삼성코닝정밀소재 주식회사 | 액정 디스플레이 장치용 컬러시프트 저감 광학필터 및 이를 구비하는 액정 디스플레이 장치 |
US8634043B2 (en) | 2011-02-01 | 2014-01-21 | Samsung Display Co., Ltd. | Reflective and transparent liquid crystal display device |
CN103558708A (zh) * | 2013-08-02 | 2014-02-05 | 友达光电股份有限公司 | 可切换镜面模式及显示模式的显示装置 |
-
2002
- 2002-09-25 JP JP2002279995A patent/JP2004117750A/ja not_active Withdrawn
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