JP3849923B2 - 液晶表示装置 - Google Patents
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Description
【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、液晶表示装置に関し、特に、バックライトを用いた透過型表示と外光を利用した反射型表示が可能な液晶表示装置に関するものである。
【０００２】
【従来の技術】
従来、カラーフィルターとしてコレステリック液晶を分散したコレステリックフィルムを用いることが、例えば特開平９−３１８８０７号に開示されている。このカラーフィルターは、輝度、色純度において、従来の顔料や染料を用いたカラーフィルターと比較して優れた性能を有している。特に、温度やカイラル剤比によりその選択反射光の波長が変化し、さらに紫外線照射によって液晶における状態を保持したまま硬化できる紫外線硬化型コレステリック液晶を用いることにより、従来と比較して簡単に製造することができるという利点がある。
【０００３】
前記のようなコレステリック液晶、及び、カイラルネマチック液晶は、液晶分子軸の長距離配向秩序に加えて、ダイレクタが螺旋的に空間変化をしているという特性がある。すなわち、液晶分子軸と平行な平面内では、液晶はネマティック相と同様な配向秩序があるが、隣接する平面へ移ると、この局所的な配向方向がわずかに回転しているので、これが順次連続して螺旋構造となっている。
【０００４】
一方、自然光は、右旋円偏光と左旋円偏光に分けることが可能であり、コレステリック液晶若しくはカイラルネマチック液晶は、右旋及び左旋両成分の光が、液晶の螺旋軸に平行に入射した場合、その液晶のねじれ方向と同じ回転方向の円偏光成分のみを反射し、他方の円偏光成分は透過するという特性がある。
【０００５】
このとき、反射光の、入射光に対する位相の変化が生じないので、反射光の入射前後における偏光方向は不変であり、また、反射光の波長は、コレステリック液晶若しくはカイラルネマチック液晶のねじれのピッチにより変化する。このピッチは、液晶にねじれの力を発生させるカイラル剤の添加量や、適当な外場（例えば温度、電場、磁場等）により変化する。
【０００６】
したがって、上記のようなパラメータを、可視域で制御することにより、赤、緑、青の透過光を形成させることができ、かつ、透過させた光以外の光を光源側に反射し、再利用して、輝度を従来のカラーフィルターと比較して高く設定することができる。
【０００７】
このような螺旋構造の液晶を利用した反射フィルターを、本発明では以下に、コレステリック液晶フィルターと呼ぶが、コレステリック液晶フィルターは、特定の波長域の特定の円偏光を反射し、他の波長域及び他の円偏光を透過する特性を有する。
【０００８】
ところで、従来、このようなコレステリック液晶フィルターを用いた透過型のカラー液晶表示装置としては、特開平８−３２０４８０号、特開平８−２３４１９６号、特開２０００−３４７１７９において、Ｒ（赤色）、Ｇ（緑色）、Ｂ（青色）画素に、それぞれバックライト側からＲ、Ｇ、Ｂの波長域の光を透過し、他の色の波長域の光を反射するコレステリック液晶フィルターとその観察側にそれぞれＲ、Ｇ、Ｂの波長域の光のみを透過し他の色の波長域の光を吸収する吸収型カラーフィルターとを配置し、バックライト利用効率を向上させると共に、外光の影響を防止したものが提案されている。
【０００９】
また、特開２０００−１９３９６２においては、半透過型のコレステリック液晶フィルター、すなわち、特定の波長域の特定の円偏光を１００％ではなく所定割合、例えば１０％だけ透過するように構成した半透過型のコレステリック液晶フィルターを液晶表示素子の液晶層の観察側と反対側に配置して、反射型の表示の場合には、外光の特定の円偏光成分をこの半透過型のコレステリック液晶フィルターで反射させ、透過型の表示の場合には、バックライトの特定の円偏光成分のその例えば１０％だけ透過させるようにしたものが提案されている。なお、そのような半透過型のコレステリック液晶フィルターをＲ、Ｇ、Ｂの波長域の光を所定割合反射する３層のコレステリック液晶フィルターで構成するものが特開２００１−４８４３においては提案されている。
【００１０】
さらに、特開２０００−１３１６８４においては、液晶表示素子の液晶層の観察側とバックライト側の双方に吸収型のカラーフィルターを配置し、バックライト側の吸収型のカラーフィルターと液晶層の間にコレステリック液晶フィルターを配置して、反射型、透過型何れの表示においても、照明光は吸収型のカラーフィルターを２度透過するようにして何れの場合も色濃度を確保するようにしたものが提案されている。
【００１１】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は従来技術のこのような状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、コレステリック液晶フィルターを用いてさらに光利用効率を上げ、反射型、透過型何れの表示においても色濃度を確保するようにした透過型表示と反射型表示が可能な液晶表示装置を提供することである。
【００１２】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成する本発明の第１の液晶表示装置は、２枚の透明基板間に印加電圧に応じて入射光の位相を変調する液晶層が挟持され、その液晶層に画素毎に独立に電圧を印加する電極及び駆動回路が設けられた液晶表示素子と、その観察側と反対側に設けられた照明光源と、前記照明光源と前記液晶表示素子の間に配置された円偏光板と、前記液晶表示素子の観察側に設けられた円偏光板とを備えた液晶表示装置において、
前記液晶層の照明光入射側に、Ｒ、Ｇ、Ｂ全ての波長域の光に対して半透過型のコレステリック液晶フィルターが配置され、前記液晶層の観察側に、画素配列に応じてＲ、Ｇ、Ｂの波長域の光のみを透過し他の色の波長域の光を反射するアレー状のコレステリック液晶カラーフィルターと、その観察側に整列してＲ、Ｇ、Ｂの波長域の光のみを透過し他の色の波長域の光を吸収するアレー状の吸収型カラーフィルターとが配置されていることを特徴とするものである。
【００１３】
この場合に、アレー状のコレステリック液晶カラーフィルターの照明光入射側に整列してＲ、Ｇ、Ｂの波長域の光のみを透過し他の色の波長域の光を吸収するアレー状の第２の吸収型カラーフィルターが配置されていることが望ましい。
【００１４】
本発明の第２の液晶表示装置は、２枚の透明基板間に印加電圧に応じて入射光の位相を変調する液晶層が挟持され、その液晶層に画素毎に独立に電圧を印加する電極及び駆動回路が設けられた液晶表示素子と、その観察側と反対側に設けられた照明光源と、前記照明光源と前記液晶表示素子の間に配置された円偏光板と、前記液晶表示素子の観察側に設けられた円偏光板とを備えた液晶表示装置において、
前記液晶層の照明光入射側に、照明光入射側から順に、Ｒ、Ｇ、Ｂ全ての波長域の光に対して半透過型のコレステリック液晶フィルターと、画素配列に応じてＲ、Ｇ、Ｂの波長域の光のみを透過し他の色の波長域の光を反射するアレー状のコレステリック液晶カラーフィルターと、それに整列してＲ、Ｇ、Ｂの波長域の光のみを透過し他の色の波長域の光を吸収するアレー状の吸収型カラーフィルターとが配置されていることを特徴とするものである。
【００１５】
本発明の第３の液晶表示装置は、２枚の透明基板間に印加電圧に応じて入射光の位相を変調する液晶層が挟持され、その液晶層に画素毎に独立に電圧を印加する電極及び駆動回路が設けられた液晶表示素子と、その観察側と反対側に設けられた照明光源と、前記照明光源と前記液晶表示素子の間に配置された円偏光板と、前記液晶表示素子の観察側に設けられた円偏光板とを備えた液晶表示装置において、
前記液晶層の照明光入射側に、照明光入射側から順に、画素配列に応じてＲ、Ｇ、Ｂの波長域の光のみを透過し他の色の波長域の光を反射するアレー状のコレステリック液晶カラーフィルターと、それに整列してＲ、Ｇ、Ｂの波長域の光のみを透過し他の色の波長域の光を吸収するアレー状の第１の吸収型カラーフィルターと、Ｒ、Ｇ、Ｂ全ての波長域の光に対して半透過型のコレステリック液晶フィルターとが配置され、前記液晶層の観察側に、画素配列に応じてＲ、Ｇ、Ｂの波長域の光のみを透過し他の色の波長域の光を吸収するアレー状の第２の吸収型カラーフィルターが配置されていることを特徴とするものである。
【００１７】
以上において、照明光源側に配置された円偏光板が照明光源からの透過光成分と反対の偏光特性の光を反射する構成のものであることが望ましい。
【００１８】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の液晶表示装置の実施例を図面を参照にして説明する。
【００１９】
図１は、本発明の第１の実施例のカラー液晶表示装置の構成を示す断面図である。
【００２０】
図１において、このカラー液晶表示装置は、ガラス基板１と２の間に液晶層３が挟持されるが、バックライト側の基板１の内面には、Ｒ（赤色）、Ｇ（緑色）、Ｂ（青色）全ての波長域の光に対して半透過型のコレステリック液晶フィルター４が配置され、反対側の基板２の内面には、画素配列に応じてＲ、Ｇ、Ｂの波長域の光のみを透過し他の色の波長域の光を吸収するアレー状の吸収型カラーフィルター６と、それに整列してＲ、Ｇ、Ｂの波長域の光のみを透過し他の色の波長域の光を反射するアレー状のコレステリック液晶カラーフィルター５とが、観察側に吸収型カラーフィルター６がくるように配置される。
【００２１】
ここで、コレステリック液晶カラーフィルター５の例えばＲ画素は、Ｇ波長域の光を反射するコレステリック液晶フィルターとＢ波長域の光を反射するコレステリック液晶フィルターとを重畳して構成する（特開平８−２３４１９６号）。Ｇ画素、Ｂ画素についても同様。
【００２２】
また、Ｒ、Ｇ、Ｂ全ての波長域の光に対して半透過型のコレステリック液晶フィルター４は、反射率が１００％より小さいＲ波長域の光を反射するコレステリック液晶フィルターと、反射率が１００％より小さいＧ波長域の光を反射するコレステリック液晶フィルターと、反射率が１００％より小さいＢ波長域の光を反射するコレステリック液晶フィルターとを重畳して構成する（特開２００１−４８４３）。
【００２３】
戻って、バックライト側のガラス基板１の入射側には、直線偏光板７と４分の１波長板８とからなる円偏光板１０が配置されており、観察側のガラス基板２の観察側には、４分の１波長板８と直線偏光板７とからなる円偏光板１１が配置されており、円偏光板１０の入射側には、照明光源９とそのための反射板１２が配置されている。なお、ガラス基板１と２の内面には、フィルター５、６の画素と整列して画素電極、対向電極、ＴＦＴ（ＴＦＤ）等は設けられるが、図示は省く（以下、同じ。）。なお、この場合、ＴＦＴ（ＴＦＤ）は、ガラス基板１、２何れの側でもよいが、バックライト側の基板１の内面に設ける方が、特に反射型の場合に明るくなる。
【００２４】
なお、円偏光板１０の代わりに、特開２０００−３４７１７９に開示されているように、複屈折性を有するフィルムを３層以上に積層し、さらにこれに４分の１波長板を積層した円偏光分離フィルムを用いてもよい。
【００２５】
以上のような配置であるので、透過型の表示の場合、光源９から出た自然偏光の照明光は、円偏光板１０で半透過型のコレステリック液晶フィルター４の反射特性に合致する円偏光成分、例えば右円偏光成分のみが通過し、反対の円偏光成分は吸収される。円偏光板１０を透過した例えば右円偏光の白色光は、半透過型のコレステリック液晶フィルター４を所定割合、例えば５０％だけ透過し、液晶層３に達し、画素の変調状態に応じて右円偏光のまま、あるいは、左円偏光に変換され、コレステリック液晶フィルター５に達する。ここで、コレステリック液晶フィルター５のＲ、Ｇ、Ｂのフィルターが、半透過型のコレステリック液晶フィルター４と同様に左円偏光成分を反射する特性の場合、液晶層３を右円偏光のまま透過する場合は、Ｒ、Ｇ、Ｂの波長域の光がそれぞれコレステリック液晶フィルター５のＲ、Ｇ、Ｂのフィルターを通り、それぞれ対応する波長域以外の光は反射され、その反射光はコレステリック液晶フィルター４と円偏光板１０を反対に透過して光源９側に戻る。コレステリック液晶フィルター５のＲ、Ｇ、Ｂのフィルターを通った右円偏光の光は、吸収型カラーフィルター６のＲ、Ｇ、Ｂのフィルターをそれぞれ通り、円偏光板１１を経て直線偏光として観察側に出て明状態の表示をする。
【００２６】
液晶層３で左円偏光に変換された光は、コレステリック液晶フィルター５を透過し、吸収型カラーフィルター６のＲ、Ｇ、Ｂのフィルターを経て円偏光板１１に達するが、それが通過させる円偏光とは反対の左円偏光であるため、ここで遮断され暗状態の表示をする。
【００２７】
なお、上記で光源９側に戻った光は、反射板１２等で反射散乱して再び照明光に用いられるため、バックライトの利用効率が向上し、明るい表示が可能になる。
【００２８】
次に、外光による反射型の表示の場合、円偏光板１１を経て右円偏光になり、吸収型カラーフィルター６を経てＲ、Ｇ、Ｂのフィルターに対応する波長域以外の光は吸収され、Ｒ、Ｇ、Ｂの波長域の右円偏光の光は、コレステリック液晶フィルター５のＲ、Ｇ、Ｂのフィルターを通過し、液晶層３を右円偏光のまま透過する場合は、半透過型のコレステリック液晶フィルター４で５０％だけ反射され、再び液晶層３とコレステリック液晶フィルター５と吸収型カラーフィルター６を透過して、円偏光板１１を経て直線偏光として観察側に出て明状態の表示をする。
【００２９】
液晶層３で左円偏光に変換される場合は、半透過型のコレステリック液晶フィルター４を透過し円偏光板１０に達するが、それが通過させる円偏光とは反対の左円偏光であるため、ここで遮断され暗状態の表示をする。
【００３０】
なお、この構成において、吸収型カラーフィルター６が配置されていない場合、コレステリック液晶フィルター５が外光の対応する色の波長域であって反射する特性の円偏光成分を反射することになるため、色再現性が悪くなり、正確な表示が困難になる。
【００３１】
図２は、図１のカラー液晶表示装置の変形例の構成を示す断面図である。この実施例においては、図１の構成におけるアレー状の吸収型カラーフィルター６を第２の吸収型カラーフィルター６２とすると、それと同様のアレー状の第１の吸収型カラーフィルター６１が半透過型のコレステリック液晶フィルター４に配置される点で図１の構成が異なる。この配置においては、透過型の場合、照明光は２枚の吸収型カラーフィルター６１、６２を通過し、反射型の場合は、照明光は吸収型カラーフィルター６１を２回通過し、反射型、透過型何れの表示においても、照明光は吸収型カラーフィルターを２回通過するようになっているので、何れの場合も十分な色濃度が確保できる。
【００３２】
図３は、図１のカラー液晶表示装置の別の変形例の構成を示す断面図である。この実施例においては、図１の構成におけるアレー状の吸収型カラーフィルター６とコレステリック液晶カラーフィルター５とが、バックライト側の基板１の半透過型のコレステリック液晶フィルター４の上に積層される点で図１の構成と異なる。
【００３３】
この配置において、透過型の表示の場合、光源９から出た自然偏光の照明光は、円偏光板１０で半透過型のコレステリック液晶フィルター４の反射特性に合致する円偏光成分、例えば右円偏光成分のみが通過し、反対の円偏光成分、例えば左円偏光成分は吸収される。円偏光板１０を透過した例えば右円偏光の白色光は、半透過型のコレステリック液晶フィルター４を例えば５０％だけ透過し、コレステリック液晶フィルター５に達し、Ｒ、Ｇ、Ｂの波長域の光がそれぞれコレステリック液晶フィルター５のＲ、Ｇ、Ｂのフィルターを通り、それぞれ対応する波長域以外の光は反射され、その反射光はコレステリック液晶フィルター４と円偏光板１０を反対に透過して光源９側に戻る。
【００３４】
コレステリック液晶フィルター５のＲ、Ｇ、Ｂのフィルターを通っったＲ、Ｇ、Ｂの波長域の光は、吸収型カラーフィルター６のそれぞれＲ、Ｇ、Ｂのフィルターをそれぞれ通り、液晶層３に達し、画素の変調状態に応じて右円偏光のまま、あるいは、左円偏光に変換される。そして、円偏光板１１により右円偏光の場合は、明状態の表示、左円偏光に変換された場合は、暗状態の表示となる。
【００３５】
この場合も、光源９側に戻った光は、反射板１２等で反射散乱して再び照明光に用いられるため、バックライトの利用効率が向上し、明るい表示が可能になる。
【００３６】
次に、外光による反射型の表示の場合、円偏光板１１を経て右円偏光になり、液晶層３を右円偏光のまま透過する場合は、吸収型カラーフィルター６を経てＲ、Ｇ、Ｂのフィルターに対応する波長域以外の光は吸収され、Ｒ、Ｇ、Ｂの波長域の右円偏光の光は、コレステリック液晶フィルター５のＲ、Ｇ、Ｂのフィルターを通過し、半透過型のコレステリック液晶フィルター４で５０％だけ反射され、再びコレステリック液晶フィルター５と吸収型カラーフィルター６と液晶層３を透過して、円偏光板１１を経て直線偏光として観察側に出て明状態の表示し、液晶層３で左円偏光に変換される場合は、吸収型カラーフィルター６、コレステリック液晶フィルター５、半透過型のコレステリック液晶フィルター４を透過して円偏光板１０に達するが、それが通過させる円偏光とは反対の左円偏光であるため、ここで遮断され暗状態の表示をする。
【００３７】
図４は、本発明の別の実施例のカラー液晶表示装置の構成を示す断面図である。
【００３８】
図４において、ガラス基板１と２の間に液晶層３が挟持されるが、バックライト側の基板１の内面には、画素配列に応じてＲ、Ｇ、Ｂの波長域の光のみを透過し他の色の波長域の光を吸収するアレー状の第１の吸収型カラーフィルター６１と、Ｒ、Ｇ、Ｂ全ての波長域の光に対して半透過型のコレステリック液晶フィルター４が配置され、反対側の基板２の内面には、画素配列に応じてＲ、Ｇ、Ｂの波長域の光のみを透過し他の色の波長域の光を吸収するアレー状の第２の吸収型カラーフィルター６２が配置される。
【００３９】
バックライト側のガラス基板１の入射側には、円偏光板１０が、観察側のガラス基板２の観察側には、４分の１波長板８と直線偏光板７とからなる円偏光板１１が配置されており、円偏光板１０の入射側には、照明光源９とそのための反射板１２が配置されている。ガラス基板１と２の内面には、フィルター６１、６２の画素と整列して画素電極、対向電極、ＴＦＴ（ＴＦＤ）等が設けられる（図示を省く。）。
【００４０】
以上のような配置であるので、透過型の表示の場合、光源９から出た自然偏光の照明光は、円偏光板１０で半透過型のコレステリック液晶フィルター４の反射特性に合致する円偏光成分、例えば右円偏光成分のみが通過し、反対の円偏光成分、例えば左円偏光成分は吸収される。円偏光板１０を透過した例えば右円偏光の白色光は、第１の吸収型カラーフィルター６１のＲ、Ｇ、Ｂのフィルターを経てＲ、Ｇ、Ｂの波長域の右円偏光の光のみが半透過型のコレステリック液晶フィルター４に達し、例えば５０％だけ透過し、液晶層３に達し、画素の変調状態に応じて右円偏光のまま、あるいは、左円偏光に変換され、第２の吸収型カラーフィルター６２を経て円偏光板１１に達し、右円偏光の場合は明状態の表示、左円偏光に変換された場合は暗状態の表示となる。
【００４１】
半透過型のコレステリック液晶フィルター４で反射されたＲ、Ｇ、Ｂの波長域の右円偏光の光は、第１の吸収型カラーフィルター６１を経て円偏光板１０に戻り、通過して光源９側に戻る。
【００４２】
光源９側に戻った光は、反射板１２等で反射散乱して再び照明光に用いられるため、バックライトの利用効率が向上し、明るい表示が可能になる。
【００４３】
次に、外光による反射型の表示の場合、円偏光板１１を経て右円偏光になり、第２の吸収型カラーフィルター６２のＲ、Ｇ、Ｂのフィルターを経てＲ、Ｇ、Ｂの波長域の右円偏光の光のみが液晶層３に達し、液晶層３を右円偏光のまま透過する場合は、半透過型のコレステリック液晶フィルター４で例えば５０％だけ反射され、再び液晶層３と第２の吸収型カラーフィルター６２を透過して、円偏光板１１を経て直線偏光として観察側に出て明状態の表示し、液晶層３で左円偏光に変換される場合は、半透過型のコレステリック液晶フィルター４、第１の吸収型カラーフィルター６１を透過して円偏光板１０に達するが、それが通過させる円偏光とは反対の左円偏光であるため、ここで遮断され暗状態の表示をする。
【００４４】
この実施例の場合は、反射型、透過型何れの表示においても、照明光は２枚の吸収型カラーフィルター６１、６２を通過するようになっているので、何れの場合も十分な色濃度が確保できる。
【００４５】
図５は、図４のカラー液晶表示装置の変形例の構成を示す断面図である。この実施例においては、図４の構成における第１の吸収型カラーフィルター６１のバックライト入射側に、第１の吸収型カラーフィルター６１に整列してＲ、Ｇ、Ｂの波長域の光のみを透過し他の色の波長域の光を反射するアレー状のコレステリック液晶カラーフィルター５を配置した点で図４の構成と異なる。
【００４６】
この配置において、透過型の表示の場合、光源９から出た自然偏光の照明光は、円偏光板１０で半透過型のコレステリック液晶フィルター４の反射特性に合致する円偏光成分、例えば右円偏光成分のみが通過し、反対の円偏光成分、例えば左円偏光成分は吸収される。円偏光板１０を透過した例えば右円偏光の白色光は、コレステリック液晶カラーフィルター５のＲ、Ｇ、Ｂのフィルターに入射し、Ｒ、Ｇ、Ｂの波長域の光がそれぞれ通り、それぞれ対応する波長域以外の光は反射され、その反射光は円偏光板１０を反対に透過して光源９側に戻る。
【００４７】
コレステリック液晶カラーフィルター５のＲ、Ｇ、Ｂのフィルターを透過した光は、それぞれ第１の吸収型カラーフィルター６１のＲ、Ｇ、Ｂのフィルターを経て半透過型のコレステリック液晶フィルター４に達し、例えば５０％だけ透過し、液晶層３に達し、画素の変調状態に応じて右円偏光のまま、あるいは、左円偏光に変換され、第２の吸収型カラーフィルター６２を経て円偏光板１１に達し、右円偏光の場合は明状態の表示、左円偏光に変換された場合は暗状態の表示となる。
【００４８】
この場合にも、光源９側に戻った光は、反射板１２等で反射散乱して再び照明光に用いられるため、バックライトの利用効率が向上し、明るい表示が可能になる。
【００４９】
次に、外光による反射型の表示の場合、円偏光板１１を経て右円偏光になり、第２の吸収型カラーフィルター６２のＲ、Ｇ、Ｂのフィルターを経てＲ、Ｇ、Ｂの波長域の右円偏光の光のみが液晶層３に達し、液晶層３を右円偏光のまま透過する場合は、半透過型のコレステリック液晶フィルター４で例えば５０％だけ反射され、再び液晶層３と第２の吸収型カラーフィルター６２を透過して、円偏光板１１を経て直線偏光として観察側に出て明状態の表示し、液晶層３で左円偏光に変換される場合は、半透過型のコレステリック液晶フィルター４、第１の吸収型カラーフィルター６１、コレステリック液晶カラーフィルター５を透過して円偏光板１０に達するが、それが通過させる円偏光とは反対の左円偏光であるため、ここで遮断され暗状態の表示をする。
【００５０】
この実施例の場合は、図４の場合の特長に加えて、コレステリック液晶カラーフィルター５のＲ、Ｇ、Ｂのフィルターに入射し、Ｒ、Ｇ、Ｂの波長域以外の反射光が光源９側に戻る分、バックライトの利用効率が上がる。
【００５１】
なお、以上の実施例において、バックライト入射側の円偏光板１０は照明光源９から照射される一方の偏光を吸収カットしてしまうが、透過できない偏光成分を反射するタイプの円偏光板１０を用いると、バックライト利用効率はさらに向上する。また、円偏光板１０の直線偏光板７の入射側に特開平１０−２３２３１３号に開示されているような右円偏光又は左円偏光の一方を反射し他方を透過させる円偏光選択層と４分の１波長板とが積層されてなる円偏光分離フィルムを配置することにより、照明光源９から照射される一方の円偏光成分を照明に利用し、透過できない他方の円偏光成分を反射するようにしても、バックライト利用効率はさらに向上する。
【００５２】
以上、本発明の液晶表示装置をいくつかの実施例に基づいて説明してきたが、本発明はこれら実施例に限定されず種々の変形が可能である。
【００５３】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明の液晶表示装置によると、Ｒ、Ｇ、Ｂ全ての波長域の光に対して半透過型のコレステリック液晶フィルターと、画素配列に応じてＲ、Ｇ、Ｂの波長域の光のみを透過し他の色の波長域の光を反射するアレー状のコレステリック液晶カラーフィルターとを用いることにより、バックライト利用効率をさらに上げて反射型と透過型の表示が可能な液晶表示装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の第１の実施例のカラー液晶表示装置の構成を示す断面図である。
【図２】図１のカラー液晶表示装置の変形例の構成を示す断面図である。
【図３】図１のカラー液晶表示装置の別の変形例の構成を示す断面図である。
【図４】本発明の別の実施例のカラー液晶表示装置の構成を示す断面図である。
【図５】図４のカラー液晶表示装置の変形例の構成を示す断面図である。
【符号の説明】
１、２…ガラス基板
３…液晶層
４…半透過型のコレステリック液晶フィルター
５…アレー状のコレステリック液晶カラーフィルター
６…アレー状の吸収型カラーフィルター
７…直線偏光板
８…４分の１波長板
９…照明光源
１０…円偏光板
１１…円偏光板
１２…反射板
６１…第１のアレー状の吸収型カラーフィルター
６２…第２のアレー状の吸収型カラーフィルター
【発明の属する技術分野】
本発明は、液晶表示装置に関し、特に、バックライトを用いた透過型表示と外光を利用した反射型表示が可能な液晶表示装置に関するものである。
【０００２】
【従来の技術】
従来、カラーフィルターとしてコレステリック液晶を分散したコレステリックフィルムを用いることが、例えば特開平９−３１８８０７号に開示されている。このカラーフィルターは、輝度、色純度において、従来の顔料や染料を用いたカラーフィルターと比較して優れた性能を有している。特に、温度やカイラル剤比によりその選択反射光の波長が変化し、さらに紫外線照射によって液晶における状態を保持したまま硬化できる紫外線硬化型コレステリック液晶を用いることにより、従来と比較して簡単に製造することができるという利点がある。
【０００３】
前記のようなコレステリック液晶、及び、カイラルネマチック液晶は、液晶分子軸の長距離配向秩序に加えて、ダイレクタが螺旋的に空間変化をしているという特性がある。すなわち、液晶分子軸と平行な平面内では、液晶はネマティック相と同様な配向秩序があるが、隣接する平面へ移ると、この局所的な配向方向がわずかに回転しているので、これが順次連続して螺旋構造となっている。
【０００４】
一方、自然光は、右旋円偏光と左旋円偏光に分けることが可能であり、コレステリック液晶若しくはカイラルネマチック液晶は、右旋及び左旋両成分の光が、液晶の螺旋軸に平行に入射した場合、その液晶のねじれ方向と同じ回転方向の円偏光成分のみを反射し、他方の円偏光成分は透過するという特性がある。
【０００５】
このとき、反射光の、入射光に対する位相の変化が生じないので、反射光の入射前後における偏光方向は不変であり、また、反射光の波長は、コレステリック液晶若しくはカイラルネマチック液晶のねじれのピッチにより変化する。このピッチは、液晶にねじれの力を発生させるカイラル剤の添加量や、適当な外場（例えば温度、電場、磁場等）により変化する。
【０００６】
したがって、上記のようなパラメータを、可視域で制御することにより、赤、緑、青の透過光を形成させることができ、かつ、透過させた光以外の光を光源側に反射し、再利用して、輝度を従来のカラーフィルターと比較して高く設定することができる。
【０００７】
このような螺旋構造の液晶を利用した反射フィルターを、本発明では以下に、コレステリック液晶フィルターと呼ぶが、コレステリック液晶フィルターは、特定の波長域の特定の円偏光を反射し、他の波長域及び他の円偏光を透過する特性を有する。
【０００８】
ところで、従来、このようなコレステリック液晶フィルターを用いた透過型のカラー液晶表示装置としては、特開平８−３２０４８０号、特開平８−２３４１９６号、特開２０００−３４７１７９において、Ｒ（赤色）、Ｇ（緑色）、Ｂ（青色）画素に、それぞれバックライト側からＲ、Ｇ、Ｂの波長域の光を透過し、他の色の波長域の光を反射するコレステリック液晶フィルターとその観察側にそれぞれＲ、Ｇ、Ｂの波長域の光のみを透過し他の色の波長域の光を吸収する吸収型カラーフィルターとを配置し、バックライト利用効率を向上させると共に、外光の影響を防止したものが提案されている。
【０００９】
また、特開２０００−１９３９６２においては、半透過型のコレステリック液晶フィルター、すなわち、特定の波長域の特定の円偏光を１００％ではなく所定割合、例えば１０％だけ透過するように構成した半透過型のコレステリック液晶フィルターを液晶表示素子の液晶層の観察側と反対側に配置して、反射型の表示の場合には、外光の特定の円偏光成分をこの半透過型のコレステリック液晶フィルターで反射させ、透過型の表示の場合には、バックライトの特定の円偏光成分のその例えば１０％だけ透過させるようにしたものが提案されている。なお、そのような半透過型のコレステリック液晶フィルターをＲ、Ｇ、Ｂの波長域の光を所定割合反射する３層のコレステリック液晶フィルターで構成するものが特開２００１−４８４３においては提案されている。
【００１０】
さらに、特開２０００−１３１６８４においては、液晶表示素子の液晶層の観察側とバックライト側の双方に吸収型のカラーフィルターを配置し、バックライト側の吸収型のカラーフィルターと液晶層の間にコレステリック液晶フィルターを配置して、反射型、透過型何れの表示においても、照明光は吸収型のカラーフィルターを２度透過するようにして何れの場合も色濃度を確保するようにしたものが提案されている。
【００１１】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は従来技術のこのような状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、コレステリック液晶フィルターを用いてさらに光利用効率を上げ、反射型、透過型何れの表示においても色濃度を確保するようにした透過型表示と反射型表示が可能な液晶表示装置を提供することである。
【００１２】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成する本発明の第１の液晶表示装置は、２枚の透明基板間に印加電圧に応じて入射光の位相を変調する液晶層が挟持され、その液晶層に画素毎に独立に電圧を印加する電極及び駆動回路が設けられた液晶表示素子と、その観察側と反対側に設けられた照明光源と、前記照明光源と前記液晶表示素子の間に配置された円偏光板と、前記液晶表示素子の観察側に設けられた円偏光板とを備えた液晶表示装置において、
前記液晶層の照明光入射側に、Ｒ、Ｇ、Ｂ全ての波長域の光に対して半透過型のコレステリック液晶フィルターが配置され、前記液晶層の観察側に、画素配列に応じてＲ、Ｇ、Ｂの波長域の光のみを透過し他の色の波長域の光を反射するアレー状のコレステリック液晶カラーフィルターと、その観察側に整列してＲ、Ｇ、Ｂの波長域の光のみを透過し他の色の波長域の光を吸収するアレー状の吸収型カラーフィルターとが配置されていることを特徴とするものである。
【００１３】
この場合に、アレー状のコレステリック液晶カラーフィルターの照明光入射側に整列してＲ、Ｇ、Ｂの波長域の光のみを透過し他の色の波長域の光を吸収するアレー状の第２の吸収型カラーフィルターが配置されていることが望ましい。
【００１４】
本発明の第２の液晶表示装置は、２枚の透明基板間に印加電圧に応じて入射光の位相を変調する液晶層が挟持され、その液晶層に画素毎に独立に電圧を印加する電極及び駆動回路が設けられた液晶表示素子と、その観察側と反対側に設けられた照明光源と、前記照明光源と前記液晶表示素子の間に配置された円偏光板と、前記液晶表示素子の観察側に設けられた円偏光板とを備えた液晶表示装置において、
前記液晶層の照明光入射側に、照明光入射側から順に、Ｒ、Ｇ、Ｂ全ての波長域の光に対して半透過型のコレステリック液晶フィルターと、画素配列に応じてＲ、Ｇ、Ｂの波長域の光のみを透過し他の色の波長域の光を反射するアレー状のコレステリック液晶カラーフィルターと、それに整列してＲ、Ｇ、Ｂの波長域の光のみを透過し他の色の波長域の光を吸収するアレー状の吸収型カラーフィルターとが配置されていることを特徴とするものである。
【００１５】
本発明の第３の液晶表示装置は、２枚の透明基板間に印加電圧に応じて入射光の位相を変調する液晶層が挟持され、その液晶層に画素毎に独立に電圧を印加する電極及び駆動回路が設けられた液晶表示素子と、その観察側と反対側に設けられた照明光源と、前記照明光源と前記液晶表示素子の間に配置された円偏光板と、前記液晶表示素子の観察側に設けられた円偏光板とを備えた液晶表示装置において、
前記液晶層の照明光入射側に、照明光入射側から順に、画素配列に応じてＲ、Ｇ、Ｂの波長域の光のみを透過し他の色の波長域の光を反射するアレー状のコレステリック液晶カラーフィルターと、それに整列してＲ、Ｇ、Ｂの波長域の光のみを透過し他の色の波長域の光を吸収するアレー状の第１の吸収型カラーフィルターと、Ｒ、Ｇ、Ｂ全ての波長域の光に対して半透過型のコレステリック液晶フィルターとが配置され、前記液晶層の観察側に、画素配列に応じてＲ、Ｇ、Ｂの波長域の光のみを透過し他の色の波長域の光を吸収するアレー状の第２の吸収型カラーフィルターが配置されていることを特徴とするものである。
【００１７】
以上において、照明光源側に配置された円偏光板が照明光源からの透過光成分と反対の偏光特性の光を反射する構成のものであることが望ましい。
【００１８】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の液晶表示装置の実施例を図面を参照にして説明する。
【００１９】
図１は、本発明の第１の実施例のカラー液晶表示装置の構成を示す断面図である。
【００２０】
図１において、このカラー液晶表示装置は、ガラス基板１と２の間に液晶層３が挟持されるが、バックライト側の基板１の内面には、Ｒ（赤色）、Ｇ（緑色）、Ｂ（青色）全ての波長域の光に対して半透過型のコレステリック液晶フィルター４が配置され、反対側の基板２の内面には、画素配列に応じてＲ、Ｇ、Ｂの波長域の光のみを透過し他の色の波長域の光を吸収するアレー状の吸収型カラーフィルター６と、それに整列してＲ、Ｇ、Ｂの波長域の光のみを透過し他の色の波長域の光を反射するアレー状のコレステリック液晶カラーフィルター５とが、観察側に吸収型カラーフィルター６がくるように配置される。
【００２１】
ここで、コレステリック液晶カラーフィルター５の例えばＲ画素は、Ｇ波長域の光を反射するコレステリック液晶フィルターとＢ波長域の光を反射するコレステリック液晶フィルターとを重畳して構成する（特開平８−２３４１９６号）。Ｇ画素、Ｂ画素についても同様。
【００２２】
また、Ｒ、Ｇ、Ｂ全ての波長域の光に対して半透過型のコレステリック液晶フィルター４は、反射率が１００％より小さいＲ波長域の光を反射するコレステリック液晶フィルターと、反射率が１００％より小さいＧ波長域の光を反射するコレステリック液晶フィルターと、反射率が１００％より小さいＢ波長域の光を反射するコレステリック液晶フィルターとを重畳して構成する（特開２００１−４８４３）。
【００２３】
戻って、バックライト側のガラス基板１の入射側には、直線偏光板７と４分の１波長板８とからなる円偏光板１０が配置されており、観察側のガラス基板２の観察側には、４分の１波長板８と直線偏光板７とからなる円偏光板１１が配置されており、円偏光板１０の入射側には、照明光源９とそのための反射板１２が配置されている。なお、ガラス基板１と２の内面には、フィルター５、６の画素と整列して画素電極、対向電極、ＴＦＴ（ＴＦＤ）等は設けられるが、図示は省く（以下、同じ。）。なお、この場合、ＴＦＴ（ＴＦＤ）は、ガラス基板１、２何れの側でもよいが、バックライト側の基板１の内面に設ける方が、特に反射型の場合に明るくなる。
【００２４】
なお、円偏光板１０の代わりに、特開２０００−３４７１７９に開示されているように、複屈折性を有するフィルムを３層以上に積層し、さらにこれに４分の１波長板を積層した円偏光分離フィルムを用いてもよい。
【００２５】
以上のような配置であるので、透過型の表示の場合、光源９から出た自然偏光の照明光は、円偏光板１０で半透過型のコレステリック液晶フィルター４の反射特性に合致する円偏光成分、例えば右円偏光成分のみが通過し、反対の円偏光成分は吸収される。円偏光板１０を透過した例えば右円偏光の白色光は、半透過型のコレステリック液晶フィルター４を所定割合、例えば５０％だけ透過し、液晶層３に達し、画素の変調状態に応じて右円偏光のまま、あるいは、左円偏光に変換され、コレステリック液晶フィルター５に達する。ここで、コレステリック液晶フィルター５のＲ、Ｇ、Ｂのフィルターが、半透過型のコレステリック液晶フィルター４と同様に左円偏光成分を反射する特性の場合、液晶層３を右円偏光のまま透過する場合は、Ｒ、Ｇ、Ｂの波長域の光がそれぞれコレステリック液晶フィルター５のＲ、Ｇ、Ｂのフィルターを通り、それぞれ対応する波長域以外の光は反射され、その反射光はコレステリック液晶フィルター４と円偏光板１０を反対に透過して光源９側に戻る。コレステリック液晶フィルター５のＲ、Ｇ、Ｂのフィルターを通った右円偏光の光は、吸収型カラーフィルター６のＲ、Ｇ、Ｂのフィルターをそれぞれ通り、円偏光板１１を経て直線偏光として観察側に出て明状態の表示をする。
【００２６】
液晶層３で左円偏光に変換された光は、コレステリック液晶フィルター５を透過し、吸収型カラーフィルター６のＲ、Ｇ、Ｂのフィルターを経て円偏光板１１に達するが、それが通過させる円偏光とは反対の左円偏光であるため、ここで遮断され暗状態の表示をする。
【００２７】
なお、上記で光源９側に戻った光は、反射板１２等で反射散乱して再び照明光に用いられるため、バックライトの利用効率が向上し、明るい表示が可能になる。
【００２８】
次に、外光による反射型の表示の場合、円偏光板１１を経て右円偏光になり、吸収型カラーフィルター６を経てＲ、Ｇ、Ｂのフィルターに対応する波長域以外の光は吸収され、Ｒ、Ｇ、Ｂの波長域の右円偏光の光は、コレステリック液晶フィルター５のＲ、Ｇ、Ｂのフィルターを通過し、液晶層３を右円偏光のまま透過する場合は、半透過型のコレステリック液晶フィルター４で５０％だけ反射され、再び液晶層３とコレステリック液晶フィルター５と吸収型カラーフィルター６を透過して、円偏光板１１を経て直線偏光として観察側に出て明状態の表示をする。
【００２９】
液晶層３で左円偏光に変換される場合は、半透過型のコレステリック液晶フィルター４を透過し円偏光板１０に達するが、それが通過させる円偏光とは反対の左円偏光であるため、ここで遮断され暗状態の表示をする。
【００３０】
なお、この構成において、吸収型カラーフィルター６が配置されていない場合、コレステリック液晶フィルター５が外光の対応する色の波長域であって反射する特性の円偏光成分を反射することになるため、色再現性が悪くなり、正確な表示が困難になる。
【００３１】
図２は、図１のカラー液晶表示装置の変形例の構成を示す断面図である。この実施例においては、図１の構成におけるアレー状の吸収型カラーフィルター６を第２の吸収型カラーフィルター６２とすると、それと同様のアレー状の第１の吸収型カラーフィルター６１が半透過型のコレステリック液晶フィルター４に配置される点で図１の構成が異なる。この配置においては、透過型の場合、照明光は２枚の吸収型カラーフィルター６１、６２を通過し、反射型の場合は、照明光は吸収型カラーフィルター６１を２回通過し、反射型、透過型何れの表示においても、照明光は吸収型カラーフィルターを２回通過するようになっているので、何れの場合も十分な色濃度が確保できる。
【００３２】
図３は、図１のカラー液晶表示装置の別の変形例の構成を示す断面図である。この実施例においては、図１の構成におけるアレー状の吸収型カラーフィルター６とコレステリック液晶カラーフィルター５とが、バックライト側の基板１の半透過型のコレステリック液晶フィルター４の上に積層される点で図１の構成と異なる。
【００３３】
この配置において、透過型の表示の場合、光源９から出た自然偏光の照明光は、円偏光板１０で半透過型のコレステリック液晶フィルター４の反射特性に合致する円偏光成分、例えば右円偏光成分のみが通過し、反対の円偏光成分、例えば左円偏光成分は吸収される。円偏光板１０を透過した例えば右円偏光の白色光は、半透過型のコレステリック液晶フィルター４を例えば５０％だけ透過し、コレステリック液晶フィルター５に達し、Ｒ、Ｇ、Ｂの波長域の光がそれぞれコレステリック液晶フィルター５のＲ、Ｇ、Ｂのフィルターを通り、それぞれ対応する波長域以外の光は反射され、その反射光はコレステリック液晶フィルター４と円偏光板１０を反対に透過して光源９側に戻る。
【００３４】
コレステリック液晶フィルター５のＲ、Ｇ、Ｂのフィルターを通っったＲ、Ｇ、Ｂの波長域の光は、吸収型カラーフィルター６のそれぞれＲ、Ｇ、Ｂのフィルターをそれぞれ通り、液晶層３に達し、画素の変調状態に応じて右円偏光のまま、あるいは、左円偏光に変換される。そして、円偏光板１１により右円偏光の場合は、明状態の表示、左円偏光に変換された場合は、暗状態の表示となる。
【００３５】
この場合も、光源９側に戻った光は、反射板１２等で反射散乱して再び照明光に用いられるため、バックライトの利用効率が向上し、明るい表示が可能になる。
【００３６】
次に、外光による反射型の表示の場合、円偏光板１１を経て右円偏光になり、液晶層３を右円偏光のまま透過する場合は、吸収型カラーフィルター６を経てＲ、Ｇ、Ｂのフィルターに対応する波長域以外の光は吸収され、Ｒ、Ｇ、Ｂの波長域の右円偏光の光は、コレステリック液晶フィルター５のＲ、Ｇ、Ｂのフィルターを通過し、半透過型のコレステリック液晶フィルター４で５０％だけ反射され、再びコレステリック液晶フィルター５と吸収型カラーフィルター６と液晶層３を透過して、円偏光板１１を経て直線偏光として観察側に出て明状態の表示し、液晶層３で左円偏光に変換される場合は、吸収型カラーフィルター６、コレステリック液晶フィルター５、半透過型のコレステリック液晶フィルター４を透過して円偏光板１０に達するが、それが通過させる円偏光とは反対の左円偏光であるため、ここで遮断され暗状態の表示をする。
【００３７】
図４は、本発明の別の実施例のカラー液晶表示装置の構成を示す断面図である。
【００３８】
図４において、ガラス基板１と２の間に液晶層３が挟持されるが、バックライト側の基板１の内面には、画素配列に応じてＲ、Ｇ、Ｂの波長域の光のみを透過し他の色の波長域の光を吸収するアレー状の第１の吸収型カラーフィルター６１と、Ｒ、Ｇ、Ｂ全ての波長域の光に対して半透過型のコレステリック液晶フィルター４が配置され、反対側の基板２の内面には、画素配列に応じてＲ、Ｇ、Ｂの波長域の光のみを透過し他の色の波長域の光を吸収するアレー状の第２の吸収型カラーフィルター６２が配置される。
【００３９】
バックライト側のガラス基板１の入射側には、円偏光板１０が、観察側のガラス基板２の観察側には、４分の１波長板８と直線偏光板７とからなる円偏光板１１が配置されており、円偏光板１０の入射側には、照明光源９とそのための反射板１２が配置されている。ガラス基板１と２の内面には、フィルター６１、６２の画素と整列して画素電極、対向電極、ＴＦＴ（ＴＦＤ）等が設けられる（図示を省く。）。
【００４０】
以上のような配置であるので、透過型の表示の場合、光源９から出た自然偏光の照明光は、円偏光板１０で半透過型のコレステリック液晶フィルター４の反射特性に合致する円偏光成分、例えば右円偏光成分のみが通過し、反対の円偏光成分、例えば左円偏光成分は吸収される。円偏光板１０を透過した例えば右円偏光の白色光は、第１の吸収型カラーフィルター６１のＲ、Ｇ、Ｂのフィルターを経てＲ、Ｇ、Ｂの波長域の右円偏光の光のみが半透過型のコレステリック液晶フィルター４に達し、例えば５０％だけ透過し、液晶層３に達し、画素の変調状態に応じて右円偏光のまま、あるいは、左円偏光に変換され、第２の吸収型カラーフィルター６２を経て円偏光板１１に達し、右円偏光の場合は明状態の表示、左円偏光に変換された場合は暗状態の表示となる。
【００４１】
半透過型のコレステリック液晶フィルター４で反射されたＲ、Ｇ、Ｂの波長域の右円偏光の光は、第１の吸収型カラーフィルター６１を経て円偏光板１０に戻り、通過して光源９側に戻る。
【００４２】
光源９側に戻った光は、反射板１２等で反射散乱して再び照明光に用いられるため、バックライトの利用効率が向上し、明るい表示が可能になる。
【００４３】
次に、外光による反射型の表示の場合、円偏光板１１を経て右円偏光になり、第２の吸収型カラーフィルター６２のＲ、Ｇ、Ｂのフィルターを経てＲ、Ｇ、Ｂの波長域の右円偏光の光のみが液晶層３に達し、液晶層３を右円偏光のまま透過する場合は、半透過型のコレステリック液晶フィルター４で例えば５０％だけ反射され、再び液晶層３と第２の吸収型カラーフィルター６２を透過して、円偏光板１１を経て直線偏光として観察側に出て明状態の表示し、液晶層３で左円偏光に変換される場合は、半透過型のコレステリック液晶フィルター４、第１の吸収型カラーフィルター６１を透過して円偏光板１０に達するが、それが通過させる円偏光とは反対の左円偏光であるため、ここで遮断され暗状態の表示をする。
【００４４】
この実施例の場合は、反射型、透過型何れの表示においても、照明光は２枚の吸収型カラーフィルター６１、６２を通過するようになっているので、何れの場合も十分な色濃度が確保できる。
【００４５】
図５は、図４のカラー液晶表示装置の変形例の構成を示す断面図である。この実施例においては、図４の構成における第１の吸収型カラーフィルター６１のバックライト入射側に、第１の吸収型カラーフィルター６１に整列してＲ、Ｇ、Ｂの波長域の光のみを透過し他の色の波長域の光を反射するアレー状のコレステリック液晶カラーフィルター５を配置した点で図４の構成と異なる。
【００４６】
この配置において、透過型の表示の場合、光源９から出た自然偏光の照明光は、円偏光板１０で半透過型のコレステリック液晶フィルター４の反射特性に合致する円偏光成分、例えば右円偏光成分のみが通過し、反対の円偏光成分、例えば左円偏光成分は吸収される。円偏光板１０を透過した例えば右円偏光の白色光は、コレステリック液晶カラーフィルター５のＲ、Ｇ、Ｂのフィルターに入射し、Ｒ、Ｇ、Ｂの波長域の光がそれぞれ通り、それぞれ対応する波長域以外の光は反射され、その反射光は円偏光板１０を反対に透過して光源９側に戻る。
【００４７】
コレステリック液晶カラーフィルター５のＲ、Ｇ、Ｂのフィルターを透過した光は、それぞれ第１の吸収型カラーフィルター６１のＲ、Ｇ、Ｂのフィルターを経て半透過型のコレステリック液晶フィルター４に達し、例えば５０％だけ透過し、液晶層３に達し、画素の変調状態に応じて右円偏光のまま、あるいは、左円偏光に変換され、第２の吸収型カラーフィルター６２を経て円偏光板１１に達し、右円偏光の場合は明状態の表示、左円偏光に変換された場合は暗状態の表示となる。
【００４８】
この場合にも、光源９側に戻った光は、反射板１２等で反射散乱して再び照明光に用いられるため、バックライトの利用効率が向上し、明るい表示が可能になる。
【００４９】
次に、外光による反射型の表示の場合、円偏光板１１を経て右円偏光になり、第２の吸収型カラーフィルター６２のＲ、Ｇ、Ｂのフィルターを経てＲ、Ｇ、Ｂの波長域の右円偏光の光のみが液晶層３に達し、液晶層３を右円偏光のまま透過する場合は、半透過型のコレステリック液晶フィルター４で例えば５０％だけ反射され、再び液晶層３と第２の吸収型カラーフィルター６２を透過して、円偏光板１１を経て直線偏光として観察側に出て明状態の表示し、液晶層３で左円偏光に変換される場合は、半透過型のコレステリック液晶フィルター４、第１の吸収型カラーフィルター６１、コレステリック液晶カラーフィルター５を透過して円偏光板１０に達するが、それが通過させる円偏光とは反対の左円偏光であるため、ここで遮断され暗状態の表示をする。
【００５０】
この実施例の場合は、図４の場合の特長に加えて、コレステリック液晶カラーフィルター５のＲ、Ｇ、Ｂのフィルターに入射し、Ｒ、Ｇ、Ｂの波長域以外の反射光が光源９側に戻る分、バックライトの利用効率が上がる。
【００５１】
なお、以上の実施例において、バックライト入射側の円偏光板１０は照明光源９から照射される一方の偏光を吸収カットしてしまうが、透過できない偏光成分を反射するタイプの円偏光板１０を用いると、バックライト利用効率はさらに向上する。また、円偏光板１０の直線偏光板７の入射側に特開平１０−２３２３１３号に開示されているような右円偏光又は左円偏光の一方を反射し他方を透過させる円偏光選択層と４分の１波長板とが積層されてなる円偏光分離フィルムを配置することにより、照明光源９から照射される一方の円偏光成分を照明に利用し、透過できない他方の円偏光成分を反射するようにしても、バックライト利用効率はさらに向上する。
【００５２】
以上、本発明の液晶表示装置をいくつかの実施例に基づいて説明してきたが、本発明はこれら実施例に限定されず種々の変形が可能である。
【００５３】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明の液晶表示装置によると、Ｒ、Ｇ、Ｂ全ての波長域の光に対して半透過型のコレステリック液晶フィルターと、画素配列に応じてＲ、Ｇ、Ｂの波長域の光のみを透過し他の色の波長域の光を反射するアレー状のコレステリック液晶カラーフィルターとを用いることにより、バックライト利用効率をさらに上げて反射型と透過型の表示が可能な液晶表示装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の第１の実施例のカラー液晶表示装置の構成を示す断面図である。
【図２】図１のカラー液晶表示装置の変形例の構成を示す断面図である。
【図３】図１のカラー液晶表示装置の別の変形例の構成を示す断面図である。
【図４】本発明の別の実施例のカラー液晶表示装置の構成を示す断面図である。
【図５】図４のカラー液晶表示装置の変形例の構成を示す断面図である。
【符号の説明】
１、２…ガラス基板
３…液晶層
４…半透過型のコレステリック液晶フィルター
５…アレー状のコレステリック液晶カラーフィルター
６…アレー状の吸収型カラーフィルター
７…直線偏光板
８…４分の１波長板
９…照明光源
１０…円偏光板
１１…円偏光板
１２…反射板
６１…第１のアレー状の吸収型カラーフィルター
６２…第２のアレー状の吸収型カラーフィルター
Claims (5)
- ２枚の透明基板間に印加電圧に応じて入射光の位相を変調する液晶層が挟持され、その液晶層に画素毎に独立に電圧を印加する電極及び駆動回路が設けられた液晶表示素子と、その観察側と反対側に設けられた照明光源と、前記照明光源と前記液晶表示素子の間に配置された円偏光板と、前記液晶表示素子の観察側に設けられた円偏光板とを備えた液晶表示装置において、
前記液晶層の照明光入射側に、Ｒ、Ｇ、Ｂ全ての波長域の光に対して半透過型のコレステリック液晶フィルターが配置され、前記液晶層の観察側に、画素配列に応じてＲ、Ｇ、Ｂの波長域の光のみを透過し他の色の波長域の光を反射するアレー状のコレステリック液晶カラーフィルターと、その観察側に整列してＲ、Ｇ、Ｂの波長域の光のみを透過し他の色の波長域の光を吸収するアレー状の吸収型カラーフィルターとが配置されていることを特徴とする液晶表示装置。 - 前記アレー状のコレステリック液晶カラーフィルターの照明光入射側に整列してＲ、Ｇ、Ｂの波長域の光のみを透過し他の色の波長域の光を吸収するアレー状の第２の吸収型カラーフィルターが配置されていることを特徴とする請求項１記載の液晶表示装置。
- ２枚の透明基板間に印加電圧に応じて入射光の位相を変調する液晶層が挟持され、その液晶層に画素毎に独立に電圧を印加する電極及び駆動回路が設けられた液晶表示素子と、その観察側と反対側に設けられた照明光源と、前記照明光源と前記液晶表示素子の間に配置された円偏光板と、前記液晶表示素子の観察側に設けられた円偏光板とを備えた液晶表示装置において、
前記液晶層の照明光入射側に、照明光入射側から順に、Ｒ、Ｇ、Ｂ全ての波長域の光に対して半透過型のコレステリック液晶フィルターと、画素配列に応じてＲ、Ｇ、Ｂの波長域の光のみを透過し他の色の波長域の光を反射するアレー状のコレステリック液晶カラーフィルターと、それに整列してＲ、Ｇ、Ｂの波長域の光のみを透過し他の色の波長域の光を吸収するアレー状の吸収型カラーフィルターとが配置されていることを特徴とする液晶表示装置。 - ２枚の透明基板間に印加電圧に応じて入射光の位相を変調する液晶層が挟持され、その液晶層に画素毎に独立に電圧を印加する電極及び駆動回路が設けられた液晶表示素子と、その観察側と反対側に設けられた照明光源と、前記照明光源と前記液晶表示素子の間に配置された円偏光板と、前記液晶表示素子の観察側に設けられた円偏光板とを備えた液晶表示装置において、
前記液晶層の照明光入射側に、照明光入射側から順に、画素配列に応じてＲ、Ｇ、Ｂの波長域の光のみを透過し他の色の波長域の光を反射するアレー状のコレステリック液晶カラーフィルターと、それに整列してＲ、Ｇ、Ｂの波長域の光のみを透過し他の色の波長域の光を吸収するアレー状の第１の吸収型カラーフィルターと、Ｒ、Ｇ、Ｂ全ての波長域の光に対して半透過型のコレステリック液晶フィルターとが配置され、前記液晶層の観察側に、画素配列に応じてＲ、Ｇ、Ｂの波長域の光のみを透過し他の色の波長域の光を吸収するアレー状の第２の吸収型カラーフィルターが配置されていることを特徴とする液晶表示装置。 - 前記照明光源側に配置された円偏光板が前記照明光源からの透過光成分と反対の偏光特性の光を反射する構成のものであることを特徴とする請求項１から４の何れか１項記載の液晶表示装置。
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