JP4165061B2 - 結露防止装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、一般住宅などにおいて窓ガラスや壁面等に結露が生じるのを未然に防止する装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般住宅の窓ガラスや壁などには結露が発生しやすいが、この結露の発生を防止するものとして、図9は、特開昭63−307509号公報に開示される結露防止装置の構造を表す構造図であり、図中、制御回路101は、窓ガラス102の室内側の面に設けられた温度センサ103の測定する窓ガラス102の室内側の面の表面温度と、室内中央部付近に設置された露点モジュール104が室内温度と湿度を測定して算出した露点とを受け取り、表面温度と露点との差を求め、この差と予め設定された値との大小関係によって異なる制御信号を作動制御手段105へ送信し、作動制御手段105でこれら異なるそれぞれの制御信号に対応する換気扇106への駆動指令信号を送信する。
【0003】
この結露防止装置では、例えば、外気が冷えて窓温度が低下して、温度センサ103が測定した窓ガラス102の室内側の面の表面温度と、露点モジュール104が算出した露点との差が、予め設定した値よりも小さくなった場合、制御回路101では結露が発生しやすくなったと判断し、制御信号を作動制御手段105へ出力し、作動制御手段105から換気扇106へ湿度を低減するために駆動するように駆動指令信号が出力される。これにより、速やかに結露防止対策が講じられる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、このように結露防止装置で使用される露点モジュール104の測定精度は、温度が低く、湿度が高くなると悪くなるため、窓ガラス102のそばに設置すると露点の算出精度が落ちてしまっていた。例えば、一般的な湿度センサには、温度25℃、湿度55%の条件で湿度を測定すると、測定精度は±5%であるが、温度が10℃、湿度85%の条件で湿度を測定すると、測定精度は±9%であるものもある。
このため、露点モジュール104は、部屋の中央部のようにあまり温度や湿度の影響を受けない場所に設置しなければならないため、窓際との露点のずれが生じたり、装置が大掛かりになるという問題があった。
【0005】
この発明はこのような結露防止装置の問題点を解決し、測定精度が高く、取付が簡単な結露防止装置を提供することにである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
放熱面と放熱面よりも低い温度となる冷却面とを有するペルチェ素子と、
冷却面に取り付けられ放熱面よりも低い温度となる結露センサと、
結露センサが結露したことを知らせる信号を受ける制御手段と、
信号を受けた制御手段によって制御される空調機とを有する結露防止装置であって、
結露センサが結露したことを検知すると制御手段により空調機を制御する。
【0007】
また、制御手段によって制御されるのは室内の空気を送風する送風機である。
【0008】
さらに、ペルチェ素子の前記放熱面は、車両のフロントウィンドウに取付けられている。
【0009】
またさらに、ペルチェ素子の冷却面と放熱面との温度差を計測し、前記温度差が予め定められた範囲内となるように制御する。
【0010】
さらにまた、ペルチェ素子の放熱面には熱伝導性がガラスより高い柔軟材を取付けている
【0011】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1における結露防止装置の構成図である。図中、制御回路1は、窓ガラス2の室内側の面に設けられたペルチェ素子3に取り付けられた結露センサ4に結露が生じると信号を発生するので、この信号を受け取り、制御信号を、例えばリレーなどで構成される作動制御手段5へ送信し、作動制御手段5で換気扇6の電源をONにする。なお、制御回路1と作動制御手段5とは一つのコントローラに集約することも可能であるため、以下、制御回路1と作動制御手段5とを合わせて制御手段7とする。
【0012】
次に、この装置の各部の働きについて詳細な説明をする。結露センサ4とは、
センサ部分に結露することで通電し、特定の信号を生じさせるものであり、これにより結露が発生したことを検知できる。仮に、この結露センサ4を直接窓ガラス2の室内側の面に取付けた場合は、結露センサ4の温度が窓ガラス2の室内側の表面温度と等しくなり、結露センサ4に結露が生じて結露の発生を検知した時点で既に窓ガラス2の室内側の面には結露が発生してしまっており、結露を防止することができなくなってしまう。
【0013】
そのため、窓ガラス2の室内側の面の表面温度よりも結露センサ4の温度が常に一定量低く保たれるようにし、実際に窓ガラス2に結露が生じるよりも早めに結露センサ4では結露が発生するようにしなければならない。
【0014】
図2は、窓ガラス2の室内側の面の表面温度と結露センサ4の温度とに差を生じさせるために、窓ガラス2と結露センサ4との間にペルチェ素子3を設けた装置の構成図である。図中、窓ガラス2と結露センサ4との間に設けられたペルチェ素子3は、P型半導体8の一端とN型半導体9の一端とが共通の電極10に接続され、P型半導体8の他端には電極11が、N型半導体9の他端には電極12がそれぞれ設けられている。このような構成のペルチェ素子3の電極11と電極12とを直流電源と接続し、直流電流を流すことでP型半導体8とN型半導体9のそれぞれの内部で熱の移動が起き、電極10に接続されている端部と、電極11と電極12とに接続されている端部との間で温度差が生じ、いわゆるペルチェ効果が発生する。
【0015】
このとき電極10は温度が低くなり、この電極10と接する冷却面13によって結露センサ4は冷却される。一方、電極11及び電極12と接する放熱面14を窓ガラス2の室内側の面に接触させて表面温度と同じにすることで、冷却面13は窓ガラス2の室内側の面の表面温度より低い温度となり、冷却面13に設置されている結露センサ4も窓ガラス2の室内側の面の表面温度よりも低い温度となる。従って、結露センサ4には窓ガラス2の表面よりも早く結露が発生し、これにより通電し制御手段7へ信号を出力し、換気扇6が運転される。
【0016】
なお、ペルチェ素子3の放熱面14の放熱により、窓ガラス2と放熱面14が接している部分の表面温度が上昇し、結露を予測できないこともありえる。そのため、放熱面14からの放熱を減らすためにペルチェ素子3の大きさ等を考慮する必要がある。
【0017】
図3は、この装置を住宅に用いた一例であり、図中、住宅15は、室内と室外の空気を入れ換えるための換気扇6と、窓ガラス2に取付けられたペルチェ素子3と結露センサ4とからなる結露予測手段16と、結露予測手段16からの信号に基いて換気扇6を制御する制御手段7(図示せず)とを有している。
【0018】
このようにすることで、窓ガラス2の表面に結露が発生する前に室内雰囲気を変えることができる。
また、結露センサ4を用いているため、温度や湿度の測定などを必要とせず、結露が発生するかしないかを基準として判断しているため、測定結果の信頼性が高い。
さらに、測定部はペルチェ素子3と結露センサ4だけの構成であるので、装置自体のダウンサイジングと設置場所の自由度が高い。
【0019】
次に、結露センサ4の出力と換気扇6の運転の関係について図4をもとに説明する。図中、横軸は経過時刻であり、縦軸にはその時刻毎に換気扇が運転状態であるのか停止状態であるのかを示すとともに、結露センサ4からの信号によるセンサ出力が幾つであるかをを示している。
【0020】
この図について、図1及び図3の構成に基いて、外気の変化に応じて換気扇を制御する方法を説明する。いま室外の温度が高く、窓ガラス2に結露していない状態から、室外の温度が低下すると、結露センサ4に結露が発生しセンサ出力が高くなる。センサ出力は結露による通電量が増えるに従って、徐々に高くなる。そのため、センサ出力に予め定められた第一のしきい値(図4中点A)を与えておき、センサ出力が第一のしきい値を越えた場合に制御回路1から制御出力が出されて、換気扇6の運転が開始される(図4中の時刻T1)。
【0021】
これにより、室内の湿度が低下して結露が防止され、結露センサ4への結露も止まるので、センサ出力は低下し始める。ここでセンサ出力が予め定められた第二のしきい値(図4中点B)以下になる場合に制御回路1から制御出力が出されて、換気扇6の運転が停止される(図4中の時刻T2)。
【0022】
このような換気扇の制御により適切な状態に室内湿度を低下させながらも、湿度が低下しすぎて過乾燥状態になることを避けられる。また、換気扇の運転を最小限にとどめることができて省エネの効果がある。
【0023】
なお、図4ではセンサ出力のしきい値がA点とB点で同じ値となっているが、A点の第一のしきい値とB点の第二のしきい値とは必ずしも等しくなる訳ではない。つまり、一旦、結露センサ4に結露が生じた後、換気扇の運転により、センサ出力がしきい値まで下がったとしても、完全にセンサ部が乾燥した状態となっているとは限らず、B点をA点よりも低く設定した方がよい場合や、室内のセンサを取り付けている場所以外の場所との湿度のずれを考慮してB点をA点よりも高くしたり、低くしたりする必要も生じる。
【0024】
実施の形態2.
実施の形態1における装置ではペルチェ素子3を用いて結露センサ3の温度を窓ガラス2の室内側の面の表面温度よりも低くなるようにして早めに結露を発生させているが、それにはペルチェ素子3の冷却面13と放熱面14とを一定の温度の差分ΔTに設定、維持する必要がある。温度の差分を一定に維持できない場合、周囲環境条件によっては、冷却面13の温度が著しく低くなり、本来なら窓表面に結露が発生しない条件にもかかわらず結露センサ4に結露を発生させて、換気扇を運転させてしまうことになる。
【0025】
図5は、この発明の実施の形態2におけるペルチェ素子の構成図である。なお、実施の形態1と同じ構成部分には同一の番号を付し、説明を省略する。
【0026】
図中、ペルチェ素子3内の冷却面13には第一のサーミスタ17が設けられており、放熱面14には第二のサーミスタ18が設けられている。この第一のサーミスタ17によって冷却面13の温度が測定され、第二のサーミスタ18によって放熱面14の温度が測定されており、制御手段7により、これらの温度差ΔTを監視し、温度差が予め定めた範囲に対してずれた場合に電流の量を変更することで、結露センサ4をガラス窓2の室内側の面の表面温度から所定の温度差の範囲に設定するよう制御できる。
【0027】
なお、図5ではサーミスタを用いた場合を図示したが、冷却面13と放熱面14との温度差を検知する手段であればサーミスタに限定されず、同様の効果が得られる。
【0028】
実施の形態3.
実施の形態1や実施の形態2における装置ではペルチェ素子3の放熱面14を直接窓ガラス2に取付けているが、この方法だと金属製の放熱面14と窓ガラス2の室内側の面との間にわずかではあるが隙間が生じる。このような隙間が存在すると放熱面14の温度と窓ガラス2の室内側の面の表面温度との間に温度差が生じてしまう。
【0029】
図6は、この発明の実施の形態3におけるペルチェ素子の構成図である。なお、実施の形態1と同じ構成部分には同一の番号を付し、説明を省略する。
【0030】
図中、ペルチェ素子3の放熱面14と窓ガラス2の内側の面との間には良熱伝導ラバー19が設けられている。この良熱伝導ラバー19を設けることで、放熱面14と窓ガラス2の内側の面との間に隙間が生じるのを防止し、窓ガラス2の内側の面の表面温度と放熱面14の温度との間に温度差が生じるのを抑制し、窓ガラスに結露が発生する温度の予測精度を高めている。
【0031】
このような良熱伝導ラバー19の性能は、ゴムの中で比較的熱伝導性の良いものの一つであるクロロプレンゴムであっても熱伝導率が0.25W/m/Kであるところ、良熱伝導ラバー19は熱伝導率が約1W/m/Kであり、約4倍程度熱伝導性が良い。なお、ガラスも約1W/m/K程度であり、ほぼ同程度の熱伝導率を示している。従って、良熱伝導ラバー19が熱の伝わりをガラス以上に妨げることはない。
【0032】
なお、ここでは熱伝導性の良好なラバー(ゴム)としているが、柔軟性があって変形しやすく放熱面14と窓ガラス2との密着性を高め、熱伝導性が高いもの、であれば他の物資でも構わない。例えばグリースなどが考えられる。
【0033】
実施の形態4.
図7は、この発明の実施の形態4における結露防止装置の構成図である。なお、実施の形態1と同じ構成部分には同一の番号を付し、説明を省略する。
【0034】
図中、制御回路1は、窓ガラス2の室内側の面に設けられたペルチェ素子3に密着固定された結露センサ4に結露が生じると信号を発生するので、この信号を受け取り、制御信号を、例えばリレーなどで構成される作動制御手段5へ送信し、作動制御手段5で結露防止送風機20の電源をONにする。
【0035】
ここまでの実施の形態では、結露防止装置により主に換気扇を制御して室外の乾燥した空気を取り込んで湿度を下げ、露点を下げる方法を検討してきたが、エアコンの暖房運転などを利用して室内の温度を上げることによって結露を防止することもできる。
【0036】
ただし、この場合、エアコンの吹出方向を設定可能な範囲に結露しそうな場所があるとは限らない。また、暖房機機にはエアコンのように温風を吹き出すものの他に、ストーブのように周辺の空気を暖めるものもある。
【0037】
この結露防止用送風機20はモータとファンから構成されており、室内の窓ガラス2に風を送風可能な向きに設置され、結露センサ4からの信号により結露防止用送風機20を動作させると、エアコンやストーブなどの暖房機機により暖められた室内の空気を送風し、窓の室内側表面に積極的に吹き付けて、窓の室内側表面温度を上昇させることで窓の表面温度を露点よりも高く保持することができ、これにより結露を予防することができる。
【0038】
このような単純な構成の結露防止用送風機20と組み合わせて使用することで、わざわざ外気を導入するための工事などをせずに結露を防止できるようになるため、今まで位置的に対応しずらかった場所であっても、結露防止ができるようになる。
【0039】
実施の形態5.
図8は、この発明の実施の形態5における車両用の結露防止装置の構成図である。なお、実施の形態1と同じ構成部分には同一の番号を付し、説明を省略する。
【0040】
図中、車両21には、送風機の機能も有するカーエアコン22が備えられている。このような車両21のフロントウィンドウ23とリヤウィンドウ24のそれぞれに結露予測手段15を取付ける。なお、実施の形態1乃至実施の形態4における制御手段7に相当する機能がカーエアコン22に組み込まれている。
【0041】
したがって、フロントウィンドウ23とリヤウィンドウ24に結露が発生しそうな状態となれば、カーエアコン22が動作し、フロントウィンドウ23及びリヤウィンドウ24の表面温度を上昇させるか、外気が乾燥した状態であれば外気を取込んで車両21内の湿度の低下を図ることにより、結露を未然に防ぐことが可能となる。
【0042】
このようにすることで、運転中にフロントウィンドウ23やリヤウィンドウ24が結露して視認性が悪化することを防止することができる。
【0043】
【発明の効果】
本発明の結露防止装置は、窓面温度と室内中央の温度湿度とを別に測定する必要が無く設置性が向上するとともに、室温や湿度の把握と結露の予測とを同一の場所で判断するので精度が高い。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の実施の形態1による結露防止装置を示す構成図である。
【図2】 この発明の実施の形態1におけるペルチェ素子の構成を示す構成図である。
【図3】 この発明の実施の形態1による結露防止装置を住宅に用いた場合の配置を示す配置図である。
【図4】 この発明の実施の形態1による結露防止装置の制御信号の関係を示す信号図である。
【図5】 この発明の実施の形態2によるペルチェ素子の構成を示す構成図である。
【図6】 この発明の実施の形態3によるペルチェ素子の構成を示す構成図である。
【図7】 この発明の実施の形態4による結露防止装置を示す構成図である。
【図8】 この発明の実施の形態5による結露防止装置を示す構成図である。
【図9】 従来の結露防止装置の構成を示す構成図である。
【符合の説明】
1 制御回路、 2 窓ガラス、 3 ペルチェ素子、 4 結露センサ、 5 作動制御手段、 6 換気扇、 7 制御手段、 8 P型半導体、 9 N型半導体、 10 電極、 11 電極、 12 電極、 13 冷却面、 14 放熱面、 15 住宅、 16 結露予測手段、 17 第一のサーミスタ、 18 第二のサーミスタ、 19 良熱伝導ラバー、 20 結露防止用送風機、 21 車両、 22 カーエアコン、 23 フロントウィンドウ、 24 リヤウィンドウ。
Claims (5)
- 放熱面と前記放熱面よりも低い温度となる冷却面とを有するペルチェ素子と、
前記冷却面に取り付けられ前記放熱面よりも低い温度となる結露センサと、
前記結露センサが結露したことを知らせる信号を受ける制御手段と、
前記信号を受けた前記制御手段によって制御される空調機とを有する結露防止装置であって、
前記結露センサが結露したことを検知すると前記制御手段により前記空調機を制御することを特徴とする結露防止装置。 - 制御手段によって制御されるのは室内の空気を送風する送風機であることを特徴とする請求項1記載の結露防止装置。
- ペルチェ素子の放熱面は、車両のフロントウィンドウに取付けられていることを特徴とする請求項1および請求項2記載の結露防止装置。
- ペルチェ素子の冷却面と放熱面との温度差を計測し、前記温度差が予め定められた範囲内となるように制御することを特徴とする請求項1から請求項3いずれか記載の結露防止装置。
- ペルチェ素子の放熱面には熱伝導性がガラスより高い柔軟材を取付けていることを特徴とする請求項1および請求項4いずれか記載の結露防止装置。
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