JP4164636B2 - パターン検査方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体ウエハに形成したパターンや半導体チップを搭載する基板などに形成したパターンの欠陥を検出する方法に係り、特に検査対象に形成した検査対象パターンと標準パターン(マスタパターン)とをランレグスを用いて比較し、検査対象パターンの良否を判定するパターン検査方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体装置を製造するウエハや、半導体チップを搭載する基板などには、銅薄膜などによる複雑で微細なパターンが形成される。これらの微細なパターンを形成した場合、本来離れているべきパターン同士が接続されてしまったり、本来繋がっているべきパターンが途中で切れていたり、パターンに突起や欠けなどの欠陥が形成されることがある。このため、パターンを形成した場合、上記のようなパターンの欠陥を検出して不良品を除去する必要がある。
【0003】
従来、パターンの欠陥を検出する方法として、パターンマッチングがしばしば用いられている。このパターンマッチングは、例えばCCDからなるラインセンサによって検査対象を撮像し、ラインセンサの出力する映像信号から2値画像を得、検査対象の検査対象パターン(サンプルパターン)と標準パターン(マスタパターン)とを比較するもので、両パターンを重ね合わせ、両者の不一致となった部分の収縮処理、膨張処理などを施し、残っている部分を欠陥と判断する。
【0004】
また、別のパターン検査方法として、検査対象パターンをラスタ方向に走査して撮像し、画像データから1ラインずつのランレグスを求め、このランレグスを用いて検査対象パターンのエッジ(縁)からエッジまでの水平距離、垂直距離を使ってパターンの幅や間隔などを求め、求めたパターン幅やパターン間隔をマスタパターンと比較して欠陥を有するか否か判定する方法もある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記したパターンマッチングにおいては、検査対象パターンとマスタパターンとの位置ずれがあると、欠陥の検出を行なうことができず、位置合わせが容易でない。そして、パターンマッチングをする場合、画素ごとに検査対象パターンとマスタパターンとを比較をするため、多くの時間を要し得る。しかも、微妙なエッジの変形(欠陥)を検出することが困難である。
【0006】
また、ランレグスを用いるパターン検査方法においても、画素の水平方向または垂直方向のそれぞれについて1ライン(1行)ずつ比較していくため、欠陥の検出に多くの時間を要するとともに、検査対象パターンとマスタパターンとの位置ずれがないようにしなければならない。さらに、ランレグスを用いたパターン検査方法においても、微妙なエッジ変形を検出することが困難であるとともに、図8のようにパターン1が水平走査方向(X方向)、垂直走査方向(Y方向)に対して傾斜している場合、パターン1の欠け2、3ような欠陥によってパターン1が細くなっているときにも検出することができない。すなわち、欠け2、3の間隔dが良品としての許容範囲から外れている場合であっても、欠け2に対する水平方向のエッジ間距離XA および垂直方向のエッジ間距離YA 、並びに欠け3対する水平方向のエッジ間距離XB および垂直方向のエッジ間距離YB は、許容範囲内となり、欠け2、3を欠陥として検出することができない。しかも、ランレグスによるパターン検査は、ランレグスデータを平行移動させたり、回転させたりして位置補正を行なうためにデータ自身の劣化を招き、欠陥の検出精度が低下する。
【0007】
また、上記したパターンマッチングやランレグスを用いたパターン検査方法においては、検査対象パターンに欠陥となる凹凸部が存在せず、検査対象パターンがマスタパターンに比較して全体的に細くなっていたり、太くなっているが、製品として支障のない不良品とはいえない場合であっても、欠陥として判断されしまい、多くの無駄を生ずる。
【0008】
本発明は、前記従来技術の欠点を解消するためになされたもので、パターンの検査に要する時間を短縮できるようにすることを目的としている。
また、本発明は、検査対象パターンとマスタパターンとの厳密な位置合わせをせずに欠陥を容易に検出できるようにすることを目的としている。
【0009】
そして、本発明は、検査対象パターンが全体的にマスタパターンより細くなっていたり、太くなっている場合に、それを無視できるようにすることを目的としている。
【0010】
さらに、本発明は、検査対象パターンの向きによらずに欠陥を確実に検出できるようにすることを目的としている。
また、本発明は、データ自身の劣化などが生じないようにすることなどを目的としている。
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本発明に係るパターン検査方法は、検査対象パターンの画像データからランレグスデータを求め、検査対象ランレグスデータの各行のランレグスについて隣接するランレグスとの連続関係を調べ、隣接する各行のランレグスが相互に1つのランレグスと連続している一群の検査対象ランレグスデータごとに1つの領域としてラベリングをし、ラベリングした前記各領域に対してマスタパターンについて求めた領域とのマッチング処理をしたのち、前記各領域ごとに前記マスタパターンについて求めたマスタランレグスデータと前記検査対象パターンとを比較して前記検査対象パターンの良否を判断する、ことを特徴としている。領域のラベリング処理は、水平方向(X方向)のランレグスデータと、垂直方向(Y方向)のランレグスデータとに基づいて、それぞれ別々に行なう。
【0011】
検査対象ランレグスデータと比較するマスタランレグスデータは、マスタパターンの各領域におけるマスタランレグスデータの各行のランレグスが、予め定めた第1基準値以内であり、その終点位置と隣接した行のランレグスの終点位置との間の距離が予め定めた第2基準値以内であって、この第2基準値以内で隣接するランレグスの数が予め定めた第3基準値以上連続するマスタランレグスデータの一群を検査用ランレグスデータとして有するようにできる。そして、検査対象ランレグスデータと検査用ランレグスデータとの比較の際に、隣接する行における検査対象ランレグスの終点位置間の距離が所定値以内であるか否かを判断し、所定値以上のときに検査対象パターンに欠陥が存在すると判断するようにしてよい。
【0012】
そして、マスタランレグスデータと検査対象ランレグスデータとの比較は、検査対象ランレグスデータの第1検査対象ランレグスの始点位置または終点位置を求めるとともに、第1検査対象ランレグスから所定行離間した第2検査対象ランレグスの終点位置または始点位置を求め、第1検査対象ランレグスの始点位置と第2検査対象ランレグスの終点位置との差、または第1検査対象ランレグスの終点位置と第2検査対象ランレグスの始点位置との差を求め、この差をマスタパターンの対応する位置における差との比較することが望ましい。
【0013】
また、マスタランレグスデータと検査対象ランレグスデータとの比較は、検査対象ランレグスデータの第1検査対象ランレグスの始点位置または終点位置を求めるとともに、第1検査対象ランレグスから所定行離間した第2検査対象ランレグスの終点位置または始点位置を求め、第1検査対象ランレグスの始点位置と第2検査対象ランレグスの終点位置と距離、または第1検査対象ランレグスの終点位置と第2検査対象ランレグスの始点位置との距離を求め、この距離をマスタパターンの対応する位置における距離と比較するようにしてもよい。
【0014】
【作用】
上記のごとく構成した本発明は、検査対象パターンから得た検査対象ランレグスデータの各行について、隣接する行との連続関係を調べる。そして、相互に1つのランレグスによって連続している一群のランレグスを1つの領域としてラベリングする。すなわち、例えば1つのパターンが途中において2つに分岐している場合、分岐する前のパターンの領域と、分岐した各パターンの領域とをそれぞれ異なる領域としてラベリングする。このため、例えば検査対象パターンに本来存在してはならない孔(ピンホール)や凹部(欠け)、断線やショート(パターン間の接続)などの欠陥が存在すると、1つの領域として認識されるべきパターンが複数の領域を有するように認識される。従って、検査対象パターンの上記した領域についてマスタパターンの領域とのマッチングを行なうことにより、ピンホールや欠け、断線やショートなどの欠陥を有する検査対象パターンを容易に識別でき、正常でないものとして除去することができるため、パターンの検査を効率よく行なえ、検査に要する時間を短縮することができる。
【0015】
検査対象ランレグスデータと比較するマスタランレグスデータとして、マスタランレグスデータの各行におけるランレグスが予め定めた第1基準値以内であり、隣接した行間におけるランレグスの終点間の距離が予め定めた第2基準値以内であって、この第2基準値以内で隣接しているランレグスの数が予め定めた第3基準値以上連続するマスタランレグスデータの一群を検査用ランレグスデータとして有するようにすると、欠陥が形成されやすいランレグス(画素数)が所定値以下であって、パターンのエッジ(縁)の勾配(変化)が滑らかな細長いパターンについて迅速に検査をすることができる。しかも、勾配が滑らかな部分を検査対象としているため、信頼性の低いパターン端部のデータについての比較を避けることができる。このような部分は、従来と同様に検査を行なってよい。
【0016】
そして、隣接する行における検査対象ランレグスの終点位置間の距離が所定値以内であるか否かを判断し、所定値以上のときに検査対象パターンに欠陥が存在すると判断するようにすると、マスタパターンにはないパターンエッジ(パターンの縁)の急激な変化を検出することができ、パターンエッジに形成された凸部や凹部などの欠陥を容易に検出することができる。しかも、パターンエッジの変化により欠陥を検出することができるため、必要に応じて検査用ランレグスについての許容範囲を大きくすることが可能で、検査対象パターンが全体的に細くなっていたり、太くなっていたとしても、必要に応じてこれを無視してパターンの欠陥としないようにでき、検査の自由度が大きくなって、製品として支障のない、従来欠陥とされていたようなものを救済することができる。
【0017】
また、検査対象ランレグスデータの第1検査対象ランレグスの始点位置または終点位置を求めるとともに、第1検査対象ランレグスから所定行離間した第2検査対象ランレグスの終点位置または始点位置を求め、第1検査対象ランレグスの始点位置と第2検査対象ランレグスの終点位置との差、または第1検査対象ランレグスの終点位置と第2検査対象ランレグスの始点位置との差を求め、
この差をマスタパターンの対応する位置における差との比較することにより、X方向またはY方向と交差した斜め方向のデータが得られ、X方向、Y方向に対して傾斜しているパターンに形成された欠陥を容易、確実に検出することができる。なお、ランレグスの終点位置(または始点位置)と始点位置(または終点位置)との差は、ランレグスの方向の沿った差でもよく、斜め方向の差、すなわちランレグスの終点位置(または始点位置)と始点位置(または終点位置)との距離である斜め方向のランレグスを用いてもよい。
【0018】
【発明の実施の形態】
本発明に係るパターン検査方法の好ましいい実施の形態を、添付図面に従って詳細に説明する。
【0019】
図1は、本発明の実施の形態に係るパターン検査方法の概略手順を示すフローチャートである。
実施形態に係るパターン検査方法は、まずステップ10に示したように、検査対象パターンを撮像手段によって撮像する。この撮像は、例えば水平方向(X方向)にCCDを直線状に配列したラインセンサを、垂直方向(Y方向)に走査して行なうことができる。そして、撮像手段の出力する映像信号に基づいて、検査対象パターンの2値画像データを作成する(ステップ14)。その後、2値画像データに基づいて、検査対象パターンのX方向ランレグスデータを求める(ステップ14)。すなわち、撮像して表示装置に表示された検査対象パターンの画像の上方から、水平方向の各行について順次ランレグスを求め、各ランレグスの始点と終点との位置、ランレグスの値(画素数)などを求めて記憶していく。その後、X方向のランレグスデータに基づいて、垂直方向(Y方向)のランレグスデータを求めて記憶する(ステップ16)。
【0020】
なお、検査対象パターンの撮像は、通常のCCDカメラなどによって行なってもよい。また、画像データは多値画像データであってもよい。この場合、X方向のランレグスデータを求める際に、適宜の閾値を設定して行なう。
【0021】
次に、X方向のランレグスデータに基づいて構造体ラベリング処理を行なうとともに、Y方向のランレグスデータに基づいて構造体ラベリングを行なう(ステップ18)。この構造体ラベリング処理は、基本的には通常のラベリング処理と同様にして行なうが、より細かな領域ごとにラベリング処理をする。また、構造体ラベリング処理は、X方向のランレグスによるものと、Y方向のランレグスによるものとを独立に行なう。そして、例えばX方向のランレグスデータに基づいて構造体ラベリング処理を行なう場合、図2のようにして行なう。
【0022】
すなわち、図2に示したように、X方向の各行X1、X2、X3、………についてのランレグスデータからランレグスを求める。そして、例えば行X4に示したように、背景と異なる部分(検査対象パターン)30のランレグスが存在すると、第1の領域(領域A)のテーブルを作成して行X4のランレグスのデータ、例えば領域Aの一部をなすランレグスの始点位置、終点位置、ランレグス値(画素数)などをテーブルに書き込む。行X5についても同様ランレグスを求める。そして、行X5についてのランレグスを求めたときに、行X4と行X5とのランレグスの連続状態を調べる。図2のように、行X4と行X5とのランレグスが相互に1つのランレグスで連続している場合、行X5のランレグスデータを行X4のランレグスデータが書き込んである領域Aのテーブルに書き込む。また、行X6のように領域Aとは異なる位置にランレグスが存在する場合、同一の検査対象パターン30の一部であったとしても、領域Aと異なる領域Bに対応したテーブルを作成し、領域Aの場合と同様のランレグスデータを書き込む。すなわち、行X6の段階で、領域Aと領域Bとの2つのテーブルが作成される。
【0023】
このようにして各領域のテーブルにX方向のランレグスデータを書き込んでいったときに、例えば検査対象パターン30が領域Aの位置30aにおいて下方に向けて2つに分岐していると、行Xiのランレグスは、領域Bに対応しているランレグスB2と、領域Aに連続しているランレグスA2、A3とが存在する。ランレグスB2は、その上の領域Bのランレグスと相互に1つのランレグスで連続しているため、ランレグスB2に関する情報(データ)が領域Bのテーブルに書き込まれる。
【0024】
一方、行XiのランレグスA2、A3は、その上の行X(i−1)のランレグスA1と連続しており、ランレグスA2、A3側から見た場合、それぞれ1つのランレグスA1と連続している。しかし、ランレグスA1側から見ると、ランレグスA1は、ランレグスA2とランレグスA3との2つランレグスに連続しており、相互に1対1の連続関係にない。そこで、領域Aのテーブルを行X(i−1)で閉じて領域Aを確定し、領域Aについてラベリング処理をするとともに、ランレグスA2、A3に対応した新たな領域Cと領域Dとのテーブルを作成し、これらのテーブルにランレグスA2、A3のデータを書き込む。
【0025】
また、図2に示したように、位置30bにおいて領域Bと領域Cとが連続している場合、行X(m−1)のランレグスBm、Cnと、行XmのランレグスE1とは、相互に1つのランレグスで連続していない。このような場合、領域Bと領域Cとを行X(m−1)で確定してこれらの領域についてラベリング処理をする。そして、行XmのランレグスE1に対応した領域Eのテーブルを作成してランレグスE1のデータを書き込む。以下同様にして図示しない検査対象に形成してあるすべての検査対象パターンについて、上下方向で隣接する行のランレグスが相互に1つのランレグスによって連続している領域を抽出してラベリング処理を行なう。さらに、Y方向(垂直方向)のランレグスに対しても同様にしてランレグスが相互に1つのランレグスで連続している領域を抽出してラベリング処理し、構造体ラベリングを行なう。
【0026】
このように、構造体ラベリング処理においては、隣接する行間におけるランレグスが相互に1つのランレグスによって連続している一群ごとに領域A、B、C、………が抽出され、その領域に対応したテーブルにランレグスがソートされて書き込まれるとともに、領域に対するラベリングが行なわれる。そして、領域ごとにランレグスをソートして記録することにより、以下のパターンの検査を容易、迅速に行なうことができる。
【0027】
その後、検査対象パターンについて構造体ラベリングにより求めた領域と、予め上記と同様にして求めてあるマスタパターンの領域とのマッチングを行なう(ステップ20)。この領域についてのマッチング処理は、X方向のランレグスに基づいた領域と、Y方向のランレグスに基づいた領域との両方に対して行なう。そして、領域についてのマッチング処理によって、検査対象パターンに例えばピンホールや凹部(欠け)、断線やショートなどの欠陥が存在すると、その検査対象パターンを欠陥のあるものとして抽出することができる。すなわち、図3(1)に示したように、検査対象パターン32にマスタパターンには存在しないピンホール34が形成されている場合、例えばX方向のランレグスに基づいた構造体ラベリングによって、本来1つの領域であるべきものが領域32a〜32dのように複数の領域に分割され、マスタパターンの領域と異なってくる。従って、領域のマッチングを行なうことによってどの領域に欠陥が存在するかを容易に見出すことができる。そして、欠陥がピンホール34である場合には、Y方向のランレグスに基づいた構造体ラベリングにより抽出した領域のマッチングにおいても、同様に欠陥を検出することができる。
【0028】
また、図3(2)に示したように、垂直方向に長い検査対象パターン36の側部に欠陥となる凹部38が存在する場合、X方向のランレグスに基づいた構造体ラベリング処理を行なうと、検査対象パターン36の領域は1つである。このため、マスタパターンの領域とのマッチングを行なった場合、検査対象パターン36が欠陥を有していると判断することが困難となる。しかし、検査対象パターン36は、Y方向のランレグスに基づいた構造体ラベリング処理を行なうと、1つの領域であるべきものが領域36a〜36cに分割され、マスタパターンの領域とのマッチング処理によって、欠陥を有するパターンであることを容易に判断することができる。
【0029】
このようにして、構造体ラベリングにより求めた領域のマッチング処理を行なうことにより、ピンホールや欠け、断線やショートなどの欠陥を有するパターンが形成された検査対象を、不良品として容易に除去することが可能となり、後述するランレグスデータの比較をすべき検査対象を減少させることができ、検査の時間を短縮することができる。
【0030】
上記の領域についてのマッチング処理が終了すると、ステップ22に示した検査対象パターンのランレグスデータとマスタパターンとのランレグスデータとの比較が行なわれる(ステップ20)。このランレグスデータの比較は、X方向のランレグスに基づいた領域とY方向のランレグスに基づいて領域とのそれぞれについて、各領域ごとに行なわれる。そして、ランレグスデータの比較により欠陥のある検査対象パターンを抽出してパターン検査を終了する。
【0031】
ランレグスデータの比較は、実施形態の場合、まず検査対象パターンのマスタパターンとマッチした領域について、マスタパターンの対応する領域と局所位置合わせを行なう。そして、検査対象パターンとマスタパターンとの領域を概念的に縦並びにし、マスタパターンから抽出した検査用ランレグスを用いて、検査対象パターンのランレグスの距離(幅、間隔など)が許容範囲以内であるかを確認して行なう。マスタパターンから抽出する検査用ランレグスは、マスタパターンの各領域ごとに、次の条件を満足するランレグスを選択し、この選択したランレグスの一群を検査用ランレグスとする。すなわち、例えばX方向のランレグスデータの場合、
(1)ある領域についての、ある行(Xjとする)のランレグスの値(画素数)が予め定めた第1基準値M以内であること。
(2)行Xjのランレグスの終点位置と、行Xjと隣接する行X(j−1)、行X(j+1)のランレグスの終点位置とのX方向における相対距離が予め定めた第2基準値N(N画素)以内であること。
(3)上記(2)の条件を満たすランレグスの数が第3基準値であるP個以上連続していること。
の条件を満足する一群のランレグスを検査用ランレグスとして抽出して保存する。
【0032】
図4は、上記の検査用ランレグスを抽出する手順を示すフローチャートである。まず、図4のステップ40に示したように、任意の領域のテーブルに書き込まれている最初の行のランレグスデータを読み出し、ランレグスの値(画素数)Lを求める。そして、そのランレグスの画素数Lが第1基準値M以内であるか否かを判断する(ステップ42)。画素数Lが第1基準値Mより大きい場合、後述するステップ48にスキップする。すなわち、例えば図5に示したランレグスjの画素数が破線に示したように第1基準値の画素数Mを超えている場合、ステップ42からステップ48に進む。
【0033】
一方、例えば図5のランレグスjの画素数が実線に示したように、第1基準値M以下のLである場合、ステップ42からステップ44に進み、ランレグスjの終点位置dj と、このランレグスjに隣接する行のランレグス(j−1)、(j+1)の終点位置dj-1 、dj+1 とのランレグス方向の相対距離を求める。そして、
【数1】
【数2】
を満足するか否かを判断する。
【0034】
ランレグスjの終点位置dj が数式1および数式2の条件を満たしている場合、すなわち上下に隣接しているランレグス(j−1)、ランレグス(j+1)の終点位置とのX方向の距離がN画素以内である場合、ランレグスjのデータ(始点位置、終点位置、ランレグス値Lなど)を図示しない検査データテーブルなどに書き込んで記憶する(ステップ46)。ランレグスjの終点位置dj が数式1と数式2とのいずれか一方、または両方を満たしていない場合、あるいは先頭のランレグスや最後のランレグスの場合などの時には、ステップ44からステップ48に進み、検査データテーブルに記憶したランレグスデータの数を調べる。そして、検査データテーブルに記憶したランレグスデータの数が予め定めた第3基準値Pより少ない場合、検査データテーブルに記憶したランレグスデータをクリアし(ステップ50)、ステップ40に戻って次のランレグスデータを読み出し、ステップ42ないしステップ48の処理を行なう。
【0035】
ステップ48において、検査データテーブルに書き込んだランレグス(ランレグスデータ)の数が第3基準値P以上である場合、ステップ52に進んでそれら一群のランレグスデータ、すなわち連続したP個以上のランレグスデータの一群を検査用データとして記憶、保存する。その後、ステップ54においてすべてのランレグスデータを読み出したか否かを判断し、すべてのランレグスデータを読み出していないときは、ステップ40に戻って次のランレグスデータを読み出し、ステップ42ないしステップ54の処理を行なう。また、ステップ54においてすべてのランレグスデータの読み出しを終了している場合、この検査用ランレグスの抽出処理を終了する。
【0036】
この検査用ランレグスの抽出は、マスタパターンについて、X方向とY方向との構造体ラベリング処理により求めた領域ごとに行なう。また、パターンとパターンとの間の検査用ランレグスについても同様に求めることができる。なお、上記した第1基準値M、第2基準値N、第3基準値Pは、パターン検査を行なうオペレータによって変更することができないようになっていて、設計者等の技術者のみが変更できるようにしている。また、第1基準値M、第2基準値N、第3基準値Pは、ある程度のシミュレーションによって決定したのち、多くのサンプル(検査対象)を検査して最適の値に修正することが望ましい。
【0037】
このような検査用ランレグスの抽出を行なうことにより、信頼性の低いパターンの端部のランレグスを検査用とせず、またパターンのエッジ(縁)の勾配が小さな滑らかに変化する細長いパターンの部分の検査用データが得られる。そして、図6(1)に示したように、X方向(水平方向)に長いパターン56(56a、56b、56c)に対しては、Y方向(垂直方向)の検査用ランレグス58が抽出され、これを用いて検査対象パターンの検査が行なわれる。また、同図(2)に示したように、Y方向に長いパターン60(60a、60b、60c)を検査する場合には、X方向のランレグス62が用いられる。なお、図6においては、理解を容易にするために、パターン間のランレグス58、62を示したが、パターン56、60の幅方向のランレグスを用いる場合も同様である。
【0038】
このようにして求めたマスタパターンの各領域ごとの検査用ランレグスを、検査対象パターンの対応する領域のランレグスと比較し、検査対象パターンの幅(ランレグス)が予め定めた許容値の範囲内にあるか否かを調べる。そして、検査対象パターンのランレグスが検査用ランレグスについての許容範囲より大きい場合、または許容範囲より小さな場合には、そのパターンを欠陥と判断する。
【0039】
また、このパターン幅の比較の際に、検査対象パターンのエッジの勾配、すなわち任意の行におけるランレグスの終点位置と、この行の両側に隣接しているランレグスの終点位置とのランレグス方向における相対距離を求め、この距離が予め設定した許容値、例えば前記した第2基準値N以内であるか否かを調べる。検査対象パターンの隣接する行におけるランレグスの終点位置間の距離が許容値より大きな場合には、パターンエッジ(パターンの縁)に凹部(欠け)や凸部による、マスタパターンに存在しない急激な変化部が存在することになり、これを欠陥として検出することができる。また、このようにしてパターンエッジの勾配(変化)の状態を検出しているために、マスタパターンについて求めた検査用ランレグスに対する許容値を緩和しても、検査対象パターンに存在する凹部や凸部などの欠陥を容易に検出することができ、検査対象パターンが全体的に細くなっている場合や、太くなっている場合に、必要に応じてこれを無視してパターンの欠陥としないようにすることが可能で、パターン検査の自由度を大きくすることができ、歩留まりの向上などを図ることができる。
【0040】
ところで、従来技術において説明したように、X方向およびY方向に対して傾斜しているパターンに凹部などの欠陥が存在していても、これを検出することが困難である場合が多い。そこで、この実施形態においては、以下に説明する方法により、傾斜しているパタ−ンに存在するパターンの細りなどを検出する。
【0041】
例えば、図7に示したように、検査対象パターン70が左上方から右下方に向けて傾いているとする。そして、検査対象パターン70には、凹部72、74が形成されていて、細くなっている部分が存在するものとする。このような場合、図の破線に示したX方向のランレグスS、または図示しないY方向のランレグスをマスタパターンのランレグスと比較しても、許容範囲ないとなって検出できないことが多い。そこで、検査対象パターン70が図7のように左上方から右下方に傾斜している場合、ランレグスS(例えば、j番目のランレグスSj)の始点位置Sjbを求める。さらに、ランレグスSjより予め定めた数Nだけ前(例えば、3つ前)のランレグスS(j−3)の終点位置S(j−3)eを求める。その後、始点位置Sjbと終点位置S(j−3)eとの間のX方向における差(距離)DX (DXj)を求め、この差をマスタパターンの対応する始点位置と終点位置との差と比較する。差DX がマスタパターンについて求めた差に対して許容範囲内にあれば正常であると見なす。
【0042】
一方、凹部72、74によって検査対象パターン70が細っている部分においては、ランレグスSmの始点位置SmbとランレグスS(m−3)の終点位置S(m−3)eとのX方向における差DXm、またはランレグスS(m+1)の始点位置S(m+1)bとランレグスS(m−2)の終点位置S(m−2)eとのX方向における差DXm+1のように、マスタパターンについて求めてある差に対して許容範囲を超えて短く検出される。従って、この部分に欠陥が存在していることを検知することができる。このことは、Y方向のランレグスの場合においても同様である。
【0043】
なお、検査対象パターンが図7と反対に右上方から左下方に向けて傾斜している場合には、例えばランレグスSjの終点位置Sjeと、ランレグスSjより所定数Nだけ前のランレグスS(j−N)の始点位置S(j−N)bとのX方向における差を用いるようにするとよい。そして、始点位置(または終点位置)と終点位置(または始点位置)との間の差を求めるランレグスの間隔Nは、上記説明においては3としたが、パターンの傾斜角度とパターン幅となどを考慮して適宜に定める。また、前記実施形態においては、ランレグスの始点位置(または終点位置)と終点位置(または始点位置)との間の、ランレグスに沿った方向の差を求める場合について説明したが、図7の実線に示したように、X方向のランレグスデータに基づいて、ランレグスの始点位置(または終点位置)と終点位置(または始点位置)との間の距離、すなわち斜め方向のランレグスRSを求め、これをマスタパターンについて求めた斜め方向のランレグスと比較するようにしてもよい。
【0044】
なお、上記実施形態において説明をしていない検査対象パターンの検査は、従来のランレグスを用いた検査方法と同様にして行なってよい。
【0045】
【発明の効果】
以上に説明したように、本発明によれば、検査対象パターンから得た検査対象ランレグスデータの各行について、隣接する行との連続関係を調べ、相互に1つのランレグスによって連続している一群のランレグスを1つの領域としてラベリングとし、マスタパターンの領域とのマッチングを行なうことにより、ピンホールや欠け、断線やショートなどの欠陥を有する検査対象パターンを容易に識別でき、正常でないものとして除去することができるため、パターンの検査を効率よく行なえ、検査に要する時間を短縮することができる。
【0046】
検査対象ランレグスデータと比較するマスタランレグスデータとして、マスタランレグスデータの各行におけるランレグスが予め定めた第1基準値以内であり、隣接した行間におけるランレグスの終点間の距離が予め定めた第2基準値以内であって、この第2基準値以内で隣接しているランレグスの数が予め定めた第3基準値以上連続するマスタランレグスデータの一群を検査用ランレグスデータとして有するようにすると、パターンのエッジ(縁)の勾配(変化)が滑らかな細長いパターンについて迅速に検査をすることができる。しかも、勾配が滑らかな部分を検査対象としているため、信頼性の低いパターン端部のデータについての比較を避けることができる。このような部分は、従来と同様に検査を行なってよい。
【0047】
そして、隣接する行における検査対象ランレグスの終点位置間の距離が所定値以内であるか否かを判断し、所定値以上のときに検査対象パターンに欠陥が存在すると判断するようにすると、マスタパターンにはないパターンエッジ(パターンの縁)の急激な変化を検出することができ、パターンエッジに形成された凸部や凹部などの欠陥を容易に検出することができる。しかも、パターンエッジの変化により欠陥を検出することができるため、必要に応じて検査用ランレグスについての許容範囲を大きくすることが可能で、検査対象パターンが全体的に細くなっていたり、太くなっていたとしても、必要に応じてこれを無視してパターンの欠陥としないようにでき、検査の自由度が大きくなって、製品として支障のない、従来欠陥とされていたようなものを救済することができる。
【0048】
また、検査対象ランレグスデータの第1検査対象ランレグスの始点位置または終点位置を求めるとともに、第1検査対象ランレグスから所定行離間した第2検査対象ランレグスの終点位置または始点位置を求め、第1検査対象ランレグスの始点位置と第2検査対象ランレグスの終点位置との差、または第1検査対象ランレグスの終点位置と第2検査対象ランレグスの始点位置との差を求め、この差をマスタパターンの対応する位置における差との比較することにより、X方向またはY方向と交差した斜め方向のデータが得られ、X方向、Y方向に対して傾斜しているパターンに形成された欠陥を容易、確実に検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係るパターン検査方法の概略手順を示すフローチャートである。
【図2】本発明の実施の形態に係る構造体ラベリングを説明する図である。
【図3】実施の形態に係るパターン検査方法の一部を説明する図であって、構造体ラベリングにより抽出した領域のマッチングによる欠陥の検出方法を説明する図である。
【図4】実施の形態に係るマスタパターンから検査用ランレグスを抽出する方法を説明するフローチャートである。
【図5】実施の形態に係るマスタパターンから検査用ランレグスを抽出する方法の説明図である。
【図6】実施の形態に係る検査用ランレグスの説明図である。
【図7】実施の形態に係る傾斜したパターンの欠陥を検出する方法の説明図である。
【図8】従来のランレグスを用いた検査方法の説明図である。
【符号の説明】
30、32、36、70………検査対象パターン、
A〜E、32a〜32d、36a〜36c………領域、
A2、A3、B2、Bm、Cn、E1………ランレグス、
34………ピンホール、38、72、74………凹部、
58、62、j、S、RS………ランレグス、
Sjb、Smb、S(m+1)b………始点位置、
S(j−3)e、S(m−3)e、S(m−2)e………終点位置、
DXj、DXm、DXm+1………差。
Claims (5)
- 検査対象パターンの画像データからランレグスデータを求め、
検査対象ランレグスデータの各行のランレグスについて隣接するランレグスとの連続関係を調べ、
隣接する各行のランレグスが相互に1つのランレグスと連続している一群の検査対象ランレグスデータごとに1つの領域としてラベリングをし、
ラベリングした前記各領域に対してマスタパターンについて求めた領域とのマッチング処理をしたのち、
前記各領域ごとに前記マスタパターンについて求めたマスタランレグスデータと前記検査対象パターンとを比較して前記検査対象パターンの良否を判断する、
ことを特徴とするパターン検査方法。 - 請求項1に記載のパターン検査方法において、
前記検査対象ランレグスデータと比較するマスタランレグスデータは、
前記マスタパターンの前記各領域におけるマスタランレグスデータの各行のランレグスが、予め定めた第1基準値以内であり、その終点位置と隣接した行のランレグスの終点位置との間の距離が予め定めた第2基準値以内であって、この第2基準値以内で隣接するランレグスの数が予め定めた第3基準値以上連続するマスタランレグスデータの一群を検査用ランレグスデータとして有している、
ことを特徴とするパターン検査方法。 - 請求項2に記載のパターン検査方法において、
前記検査対象ランレグスデータと前記検査用ランレグスデータとの比較の際に、隣接する行における検査対象ランレグスの終点位置間の距離が所定値以内であるか否かを判断し、所定値以上のときに検査対象パターンに欠陥が存在すると判断することを特徴とするパターン検査方法。 - 請求項1ないし3のいずれか1に記載のパターン検査方法において、
前記マスタランレグスデータと前記検査対象ランレグスデータとの比較は、
前記検査対象ランレグスデータの第1検査対象ランレグスの始点位置または終点位置を求めるとともに、前記第1検査対象ランレグスから所定行離間した第2検査対象ランレグスの終点位置または始点位置を求め、
前記第1検査対象ランレグスの始点位置と前記第2検査対象ランレグスの終点位置との差、または前記第1検査対象ランレグスの終点位置と前記第2検査対象ランレグスの始点位置との差を求め、
この差を前記マスタパターンの対応する位置における差との比較を有している、
ことを特徴とするパターン検査方法。 - 請求項1ないし3のいずれか1に記載のパターン検査方法において、
前記マスタランレグスデータと前記検査対象ランレグスデータとの比較は、
前記検査対象ランレグスデータの第1検査対象ランレグスの始点位置または終点位置を求めるとともに、前記第1検査対象ランレグスから所定行離間した第2検査対象ランレグスの終点位置または始点位置を求め、
前記第1検査対象ランレグスの始点位置と前記第2検査対象ランレグスの終点位置と距離、または前記第1検査対象ランレグスの終点位置と前記第2検査対象ランレグスの始点位置との距離を求め、
この距離をマスタパターンの対応する位置における距離との比較を含んでいる、
ことを特徴とするパターン検査方法。
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