JP4104213B2 - 欠陥検出方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は欠陥検出方法に関し、特に、たとえばCRTパネル等に用いられるシャドウマスクのように、1つの検査体の中に極めて多数の検査対象部分が一定の規則で並んでおり、このため処理時間の短縮を目的として欠陥検出のための濃淡画像の濃度データを圧縮処理することが必要で、かつその際に失われる特徴が欠陥判定に有効な場合の、欠陥検出方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
欠陥検出方法として、検査対象を撮像したうえで、得られた画像を処理する手法が一般に知られている。しかしながら、一つの検査体において検査対象が極めて多い場合は、撮像して得られる濃淡画像すなわち原画像をそのまま用いたのでは、データ量が極めて多く、処理時間が非常に長くなってしまう。そこで従来は、判定に極めて大きな影響を及ぼす重要な部分にのみ注目して、データの圧縮を行っている。
【0003】
たとえばシャドウマスクでは極めて多数の孔が並んでいるが、それぞれの孔が検査対象となる。この場合は孔の面積が良否の判定の基準となるが、画像処理に際しては、各孔を通過してくる光量に注目して判定を行うことで、処理時間の短縮を図っている。
【0004】
つまり、1)検査対象である孔の部分を画像上において他の部分から分離して、2)その孔の部分のみの画像データを抽出し、3)孔の位置をその画像データの最も明るい部分(以後「ピーク点」と呼ぶ)を示す画素の位置であるとして、4)そのピーク点と周辺との濃度データの演算によって得られた結果をその部分の代表濃度データとし、5)代表濃度データが基準を超えるものを欠陥として検出している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
CRTパネル等に用いられるシャドウマスクの欠陥を画像処理によって検出する場合においては、孔の面積がその周辺の孔と比較して大きいまたは小さい場合に欠陥であるとしている。図9において、(a)の11は正常孔すなわち良品部を示す。これに対し、(b)の12は、良品部11に比べて孔の面積が小さな孔小すなわち欠陥部を示す。
【0006】
欠陥としての孔の面積が小さいものを例として取り上げると、(b)の孔小12と呼ばれる本当に孔の面積が小さい場合と、(c)の異物13と呼ばれる単にゴミ14が孔の上にのっている場合とがある。前者の場合は欠陥として取り扱わなければならないが、後者の場合はその後に焼成工程があるために問題とならず、良品として取り扱われるべきものである。
【0007】
しかし、光量のみに注目した圧縮データではこのような孔の形状に関する特徴が失われているため、この孔の形状を判定に反映させることができない。
この場合は、圧縮データを用いるために上記のような課題が生じるのであって、圧縮を行わない原画像のデータで良否の判定を行えば、このような問題点は生じない。しかし、処理時間を考慮すれば、すべての判定を原画像のデータで行うことは現実的でない。
【0008】
そこで本発明は、このような問題点を解決して、短時間の処理だけで欠陥か否かの判定を精度よく行えるようにすることを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するため本発明は、検査対象を光が透過した撮像画像により、周囲の濃度より一定以上の濃度差がある画素を欠陥候補として抽出し、欠陥候補のみに対して光が透過する部分を抽出することにより、その透過部分の個数で異物の付着であるか欠陥であるかを判定するものである。
【0010】
このようにすると、短い処理時間で詳細な判定を行うことが可能となる。
【0011】
【発明の実施の形態】
請求項1記載の本発明は、複数の孔が設けられた検査対象を透過した光を撮像した画像において隣接する周囲の画素より濃度が大きい画素をピーク点として検出し、前記画像においてピーク点毎に前記ピーク点を中心とした周辺部の画素の濃度に基づいて濃度データを算出し、前記ピーク点での濃度データに基づいて欠陥候補の抽出を行う第1判定処理工程と、前記第1判定処理工程で欠陥候補が抽出された場合に、前記ピーク点および前記周辺部に対応する前記画像の領域における光の透過部分を抽出し、前記光の透過部分が2以上あるものを異物の付着と判定し、前記光の透過部分が1つであるものを欠陥と判定する第2判定処理工程とを有することを特徴とする。
【0013】
請求項2記載の本発明は、撮像した前記画像のデータと、前記ピーク点のデータ及び前記濃度データとを、異なる記憶素子に保存することを特徴とする。
【0015】
請求項3記載の本発明は、前記第1判定処理工程で、隣り合うピーク点との濃度差が10以上のピーク点を欠陥候補として抽出することを特徴とする。
【0018】
このようにすると、孔自体の面積に異常があるのか、または異物が付着していることによって孔がふさがれているのかの見極めが容易に可能となる。
【0021】
次に、本発明の実施の形態を、シャドウマスク検査を例にとって説明する。図1は、本発明の欠陥検出方法にもとづく処理についてのフローチャートを示す。この図1において、ステップS1の被検査体の撮像工程では、シャドウマスクを撮像して、その被検画像の各画素の濃淡の程度を表わす濃度データを作成する。詳細には、図2に示すようにシャドウマスクからなる検査体31の裏面から光源32の光を照射し、この検査体31に送りを与えながら1次元CCDラインセンサ(撮像素子)33を走査することによって、シャドウマスクの面の全体についての2次元の濃淡信号を得る。この濃淡信号は、デジタル信号としてコンピュータ34に送信される。そのデータは、CCDラインセンサ33の各画素の行と列に対応した形で、コンピュータ34内の記憶素子35に、たとえば8bitの濃度データとして保存される。
【0022】
図1のステップS2の圧縮データ作成工程においては、ステップS1で得られた濃淡画像から、ピーク点の座標と、代表濃度データからなる圧縮データとを作成する。詳細には、まず図2の撮像素子としてのCCDラインセンサ33から送られてくる図3のようなデータをX方向に走査し、この図3における右端まで走査したら、Y方向に1つ進んで左端まで戻って、同様の操作を繰り返す。図3において、表示された数値は濃度データを示す。
【0023】
その過程において、一つの画素aに対して行方向および列方向に隣り合う他の四つの画素b〜eの濃度が小さい場合に、このaをピーク点として検出する。次に孔の面積を判定するため、孔を通過する光量を8bitの代表濃度データに置きかえる。この場合にaを中心としてたとえば11×11画素の濃度総和をとり、8bitのデータとなるような適当な数値で除算する。こうして得られたピーク点の座標と代表濃度データとを、図2に示すコンピュータ34の記憶素子36に保存する。
【0024】
コンピュータ34において、別の記憶素子37には、下記の処理を行うプログラムを保存しておく。すなわち、図1のステップS3の欠陥候補抽出工程において、ステップS2で得られた圧縮データすなわち記憶素子36内のデータを用いて、孔のうち欠陥と思われるものを抽出する。そのときには、まずピーク点の座標を用いて孔についてのデータを並べ直し、図4(a)に示す実際の孔の並びと、図4(b)に示すそれらの孔の代表濃度データの並びとが同じになるようにする。そしてすべての孔についてその代表濃度データを近辺の孔の代表濃度データと比較し、その光量があるしきい値以上または以下であるときに欠陥候補とする。比較方法として、たとえば注目孔の代表濃度データとその両隣の孔の代表濃度データの平均値とに10以上の差がある場合に欠陥とすることができる。その場合には、図4(b)において太枠で示された場所53、54に対応する図4(a)の孔51、52が欠陥候補となる。
【0025】
図1のステップS4の欠陥候補再判定工程においては、ステップS3で抽出された欠陥候補に対して、圧縮データで失われた特徴を判定に用いるために、ステップS1で得られた原画像すなわち記憶素子35内のデータについての再判定を行う。つまり、上述の代表濃度データのみを用いて欠陥の検出をした場合は、図5に示すように(a)の正常孔61の代表濃度データは200になるのに対し、(b)の孔小62の場合と(c)の異物63の場合とは、いずれも代表濃度データが120と同じ値となってしまい、これらを区別して判定をすることは不可能であるため、再判定を行うのである。
【0026】
図6は、この再判定についての詳細なフローチャートを示す。ステップS6において、欠陥候補となった孔の原画像データを記憶素子35から切り出し、特徴を顕著にするために各画素間の補間により疑似拡大処理を行って、そのデータを図2の記憶素子38に保存する。次に、ステップS7のラベリング処理において、拡大した画像データをあるしきい値を境にして2値化し、光が透過している部分(クラスタ)を抽出する。
【0027】
そしてステップS8において、1つの孔に対してクラスタが2つ以上ある場合には異物と判断し、そうでない場合すなわちクラスタが1つである場合にはステップS9へと進む。
【0028】
ステップS9においては、孔の円形度を計算する。円形度とは、図7に示すように、ピーク点と孔の外周部におけるある点との距離と、ピーク点と孔の外周部におけるその隣の点との距離の差の絶対値の総和をとったものである。この円形度の値が小さいほど真円に近づき、反対に大きいほど真円からの形のくずれが大きくなる。そして、ステップS10において、円形度があるしきい値より大きければ異物として判定し、小さければ孔小として判定する。
【0029】
このとき、ステップS6において拡大処理しておくことにより、図8に示すように拡大前の孔小91と異物92との円形度の差よりも拡大後の孔小93と異物94との円形度の差の方が大きくなり、より正確に判定を行うことが可能となる。
【0030】
このように孔小か異物かの判定を行うことで、図1に示すステップS5の欠陥/良品判定が行われる。
【0031】
【発明の効果】
以上のように本発明によると、まず圧縮データを用いて粗欠陥判定処理を行うことで欠陥候補を抽出し、それらの欠陥候補に対してのみ、原画像に戻って、再判定としての欠陥判定処理を行うため、原画像データを用いてすべての孔の大きさ、形状を見るよりはるかに計算量が少なく、また圧縮データだけを用いて判定を行うのとほぼ同じだけの時間でより詳細な判定が行えることになって、短い処理時間で詳細な判定を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の欠陥検出方法の処理のフロー図である。
【図2】本発明の実施の形態の欠陥検出装置の概略構成を示す図である。
【図3】本発明の実施の形態における画像データの圧縮処理を説明する図である。
【図4】本発明の実施の形態における粗欠陥判定処理を説明する図である。
【図5】本発明にもとづく精欠陥判定処理の必要性を説明する図である。
【図6】本発明の実施の形態における精欠陥判定処理のフロー図である。
【図7】本発明にもとづく円形度を説明する図である。
【図8】本発明にもとづく疑似拡大処理の必要性を説明する図である。
【図9】本発明にもとづく欠陥検出方法の検出対象である孔の模式図である。
【符号の説明】
31 検査対象
32 光源
33 CCDラインセンサ(撮像素子)
34 コンピュータ
35〜38 記憶素子
Claims (3)
- 複数の孔が設けられた検査対象を透過した光を撮像した画像において隣接する周囲の画素より濃度が大きい画素をピーク点として検出し、
前記画像においてピーク点毎に前記ピーク点を中心とした周辺部の画素の濃度に基づいて濃度データを算出し、
前記ピーク点での濃度データに基づいて欠陥候補の抽出を行う第1判定処理工程と、
前記第1判定処理工程で欠陥候補が抽出された場合に、前記ピーク点および前記周辺部に対応する前記画像の領域における光の透過部分を抽出し、前記光の透過部分が2以上あるものを異物の付着と判定し、前記光の透過部分が1つであるものを欠陥と判定する第2判定処理工程と
を有することを特徴とする欠陥検出方法。 - 撮像した前記画像のデータと、前記ピーク点のデータ及び前記濃度データとを、異なる記憶素子に保存することを特徴とする請求項1記載の欠陥検出方法。
- 前記第1判定処理工程で、隣り合うピーク点との濃度差が10以上のピーク点を欠陥候補として抽出することを特徴とする請求項1または請求項2のいずれかに記載の欠陥検出方法。
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