JP4164629B2 - ホール素子を備えた電流検出装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電気回路に流れる電流を検出又は測定するためのホール素子を用いた電流検出又は測定装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
ホール素子は、ここに印加される磁界の強さに正比例した電圧即ちホール電圧を発生する。従って、ホール素子を電流通路に沿って配置すると、電流通路を流れる電流に基づいて発生する磁界がホール素子に作用し、ホール素子から電流に比例した電圧を得ることができる。電流通路の電流の検出感度を高めるために、電流通路形成用導体の電流に基づいて発生した磁力線をホール素子に有効に作用させるために電流通路形成用導体を包囲するように高透磁率の磁性材料から成るコアを配置することが例えば特開平4−364472号公報等で知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、コアを使用すると、電流検出装置が比較的大型になり且つコスト高に成る。
【0004】
そこで、本発明の目的は、大型且つコスト高になることを抑制して電流検出感度の向上を図ることができる電流検出装置を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決し、上記目的を達成するための本発明は、電気回路に流れる電流を検出又は測定するための電流検出装置であって、ホール素子と、前記電気回路の電流を流すためのものであって、ここに流れた電流に基づいて発生した磁界を前記ホール素子に作用させることができるように前記ホール素子に対して位置決めされた電流通路形成用導体と、前記電流通路形成用導体に流れた電流に基づいて発生した磁界の前記ホール素子に対する作用を強めることができるように前記電流通路形成用導体の一部に被着された磁性体層とを備え、前記電流通路形成用導体は中間部と前記中間部の一方の端に連結された第1の端子部と前記中間部の他方の端に連結された第2の端子部とを有し、前記電流通路形成用導体の前記中間部は、平面的に見て前記ホ−ル素子の外周の半分以上を囲むように形成された屈曲部であり、前記屈曲部は互いに対向する第1及び第2の主面と内側面と外側面とを有し、前記ホール素子は前記電流通路形成用導体の前記屈曲部に流れる電流によって発生した磁界に感応することができるように平面的に見て前記屈曲状部の内側に配置され且つ前記屈曲部の前記第1の主面側に配置され、前記磁性体層は、前記屈曲部の前記第1の主面に対向する前記第2の主面に配置されていることを特徴とする電流検出装置に係わるものである。
【0006】
なお、請求項2に示すように、前記電流通路形成用導体の前記中間部は、平面的に見て前記ホ−ル素子の外周の半分以上を囲むように形成された屈曲部であり、前記屈曲部は互いに対向する第1及び第2の主面と内側面と外側面とを有し、前記ホール素子は平面的に見て前記屈曲部の内側に配置され且つ前記屈曲部の前記第1の主面側に配置され、前記磁性体層は前記屈曲部の前記外側面に配置されていることが望ましい。
また、請求項3に示すように、前記電流通路形成用導体の前記中間部は、平面的に見て前記ホ−ル素子の外周の半分以上を囲むように形成された屈曲部であり、前記屈曲部は互いに対向する第1及び第2の主面と内側面と外側面とを有し、前記ホール素子は平面的に見て前記屈曲部の内側に配置され且つ前記屈曲部の前記第1の主面側に配置され、前記磁性体は前記第2の主面と前記外側面との両方に配置されていることが望ましい。
また、請求項4に示すように、前記磁性体は、パーマロイから成ることが望ましい。
また、請求項5に示すように、前記ホール素子は第1及び第2の主面を有する半導体基板に形成されており、前記半導体基板は前記半導体基板の前記第1の主面が前記電流通路形成用導体に対向するように配置されており、更に、前記半導体基板の前記第2の主面側に別の磁性体層が設けられていることが望ましい。
また、請求項6に示すように、更に、前記磁性体層を伴なった前記電流通路形成用導体と前記ホール素子とを包囲する絶縁性外囲体と、前記外囲体の外周面の一部に被着された別の磁性体層とを有していることが望ましい。
【0007】
【発明の効果】
各請求項の発明によれば、電流通路形成用導体に直接に磁性体層を被着させる構成であるので、比較的容易且つ安価に集磁効果を得ることができる。また、磁気コアによって集磁路を形成する従来の方法に比べて電流検出装置を小型にすることができる。
また、ホ−ル素子の半分以上を囲む屈曲部を設けるので、ホール素子における磁束密度の向上を図ることができ、電流検出の感度を更に高めることができる。
また、請求項5及び6の発明によれば、付加した磁性体層の働きによって磁力線の漏れを抑制して電流検出の感度を更に高めることができる。また、磁性体層によって外来ノイズを防ぐことができる。
【0008】
【実施形態】
次に、図1〜図14を参照して本発明の実施形態に係わる電気回路に流れる電流を検出又は測定するための電流検出装置を説明する。
【0009】
【第1の実施形態】
本発明に従う第1の実施形態の電流検出装置1は、図1〜図3に示すようにホール素子を含む半導体装置2と、電流通路形成用導体3と、磁性体層4と、絶縁性外囲体5とから成る。
【0010】
半導体装置2は、一般にホールICと呼ばれているものであり、図3及び図5から明らかなように半導体基板6と、この支持板7と、4本の外部リード8、9、10、11と、絶縁性樹脂被覆体12とから成る。
半導体基板6には図7に概略的に示すようにホ−ル素子13の他に、増幅器31、制御電流供給回路32、第1、第2、第3及び第4の端子33、34、35、36が設けられている。
【0011】
ホ−ル素子13、増幅器31及び制御電流供給回路32は化合物半導体(例えばガリウム砒素)から成る同一の半導体基板6の中に周知の方法で形成されている。半導体装置2の形成方法及び構成は周知であるので、図8及び図9には磁気検出に直接に関係するホ‐ル素子13のみが示され、増幅器31及び制御電流供給回路32の図示が省略されている。
【0012】
平面的に見て四角形の半導体基板6の中には、ホ−ル素子13を形成するためにn型の第1、第2、第3、第4及び第5の半導体領域41、42、43、44、45と、p型の第6、第7及び第8の半導体領域46、47、48が形成されている。n型の第5の半導体領域46は半導体基板6の大部分を占めるp型の第8の半導体領域48の中に島状に形成され、図8に示すように平面的に見て十字状のパタ−ンを有する。n型の第1及び第2の半導体領域41、42はn型の第5の半導体領域45の不純物濃度よりも高い不純物濃度を有するn+型半導体領域であって、図8に示すようにY軸方向において互いに離間して対向配置され且つ第5の半導体領域45の中に島状に形成されている。この第1及び第2の半導体領域41、42には図7に示すように第1及び第2の電極49、50がオ−ミック接触している。第1及び第2の電極49、50は制御電流供給回路32に接続されているので、第5の半導体領域45に第1の半導体領域41から第2の半導体領域42に向かって周知の制御電流Icが流れる。従って、第1及び第2の半導体領域41、42を制御電流供給用半導体領域と呼ぶこともできる。なお、第1及び第2の電極49、50は周知の制御電流供給回路32を介して直流電源接続用の第3及び第4の端子35、36に接続されている。
【0013】
n型の第3及び第4の半導体領域43、44は、n型の第5の半導体領域45の不純物濃度よりも高い不純物濃度を有するn+型半導体領域であって、第5の半導体領域45のY軸方向の中央部分の両端の近くに配置されている。この第3及び第4の半導体領域43、44の一部は第5の半導体領域45に隣接し、残部はp型半導体から成る第6及び第7の半導体領域46、47に隣接している。X軸方向において互いに対向している第3及び第4の半導体領域43、44には図7及び図9に示すように第3及び第4の電極51、52がオ−ミック接触している。従って、第3及び第4の半導体領域43、44をホ−ル電圧検出用半導体領域と呼ぶこともできる。p型の第6及び第7の半導体領域46、47はn+型の第3及び第4の半導体領域43、44の第5の半導体領域45に対する接触面積を制限するものである。
【0014】
第1及び第2の半導体領域41、42間に制御電流Icが流れ、図3及び図9でY軸方向(垂直方向)即ち制御電流Icに対して直交する方向に磁界が印加されると、第3及び第4の半導体領域43、44間に周知のホ−ル効果の原理に従ってホ−ル電圧が得られる。従って、ホ−ル素子13のホ−ル電圧を発生させるための主動作領域は、第5の半導体領域45における第1及び第2の半導体領域41、42の相互間及び第3及び第4の半導体領域43、44の相互間である。しかし、概略的には第5の半導体領域45の全体をホ−ル素子の主動作領域と呼ぶことができる。
ホ−ル電圧検出用の第3及び第5の電極51、52は、図7に示すように周知の増幅器31を介して第1及び第2の端子39、34に接続されている。
【0015】
図9に示すように、半導体基板6の一方の主面には例えばシリコン酸化膜から成る絶縁膜53が設けられ、他方の主面には例えばアルミニウムから成る金属層54が設けられている。絶縁層53は多層配線構造とするために第1及び第2の絶縁膜53a、53bの積層体から成る。図7に示した第1及び第2の電極49、50は第1及び第2の絶縁膜53a、53bの開口を介して第1及び第2の半導体領域41、42に接続され、第3及び第4の電極51、52は第1の絶縁膜53aの開口を介して第3及び第4の半導体領域43、44に接続されている。図9に示すように半導体基板6の他方の主面の金属層54は導電性又は絶縁性の接合材55によって金属製支持板7に固着されている。
なお、図3においては、図示を簡略化するために、図9の接合材55が省略されている。
【0016】
支持板7は、図2及び図3から明らかなように、この主面に垂直な方向から見て即ち平面的に見て全体的に四角形のパタ−ンに形成されており、半導体基板6よりも大きな面積を有する。支持板7と第1〜第4の外部リ−ド端子8〜11とはリ−ドフレ−ムに基づいて形成されており、互いに同一厚み且つ同一の材料の例えば銅板にニッケルメッキした金属板から成る。
支持板7は図5に示すように第1の外部リード8に連結されている。第2、第3及び第4の外部リード9、10、11は金属細線14によって半導体基板6の端子33〜36に接続されている、この実施形態では第1及び第2の外部リード8、9がホール素子13の出力電圧即ちホール電圧を出力するための端子として使用され、第3及び第4の外部リード10、11がホール素子13の制御電流供
給に使用されている。
【0017】
電流通路形成用導体3は、例えば100A程度の電流を流すことができる比較的厚い銅板にニッケルメッキ層を設けた金属板をプレス加工したものであり、平面的に見て図6に示すように全体としてU字状に形成され、溝15を介して並置された第1及び第2の部分16、17と、第1及び第2の部分16、17の一方の端を相互に連結するように配置された第3の部分18とを有している。帯状に延びている第1及び第2の部分16、17の開放側端部は被測定電流又は被検出電流が流れる電気回路(図示せず)に接続される第1及び第2の端子部16a、17aとして機能する。電流通路形成用導体3の第3の部分18とここに隣接する第1及び第2の部分16、17の一部とから成るU字状に屈曲された中間部19はホール素子13に与える磁界を発生する。屈曲中間部19における溝15の幅はホール素子13の幅以上に設定されている。即ち溝15は平面的に見てホール素子18を収容することができるような幅を有する。
【0018】
U字状屈曲中間部19は、第1及び第2の主面20、21と内側面22と外側面23とを有する。第1及び第2の主面20、21は互いに対向している。溝15は第1の主面20から第2の主面21に貫通するように形成されている。内側面22は溝15の壁面であって、第1及び第2の主面20、21に対して直角に延びている。外側面23は第1及び第2の主面20、21に対して直角に延びている。
【0019】
磁性体層4は、屈曲中間部19の第2の主面21と外側面23とに被着された鉄−ニッケル系合金のパーマロイ膜から成り、電流通路形成用導体3、空気及び外囲体5の比透磁率よりも大きい約5500の比透磁率を有し、且つ電流通路形成用導体3よりも薄い約100μmの厚さを有する。なお、この実施形態ではパーマロイ磁性体層4はメッキによって形成されている。しかし、パーマロイのシートをエポキシ樹脂等の接合材によって電流通路形成用導体3に固着して磁性体層4を形成することもできる。また、磁性体層4を磁性体材料の蒸着、圧着、溶着等で形成することもできる。
【0020】
ホール素子13を含む半導体装置2は、図3に示すようにその絶縁被覆体12の上面を導体3の中間部19の第1の主面20に当接させるように配置される。また、平面的に見てホール素子13が溝15の内側に位置するように半導体装置2が導体3に対して位置決めされる。要するに、導体3に被検出電流を流すことによって生じた磁力線がホール素子13の主面に対して垂直成分を有して作用するように導体3とホール素子13との位置関係を設定する。磁性体層4を伴なった導体3と半導体装置2とは相互の位置関係を一定に保持させるために例えばエポキシ樹脂から成る絶縁性外囲体5によって被覆されている。電流検出装置1を外部回路に接続させるために導体3の第1及び第2の接続部16a、17a及び第1〜第4の外部リード8〜11の一部を外囲体5から露出させる。
なお、多数の電流検出装置1を能率的に製造するために、電流通路形成用導体3はリードフレームに基づいて形成されている。
【0021】
電流検出装置1で電気回路(図示せず)の電流を検出又は測定する時には、電気回路の電流が導体3を通って流れるように第1及び第2の接続部16a、17aを電気回路に接続する。例えば導体3において第2の接続部17aから第1の接続部16aに向って電流が流れると、アンペアの右ネジの法則に従って第1の部分16側では図3において時計回り方向の磁界即ち磁力線が発生し、第2の部分17側では反時計回り方向の磁力線が発生する。従って、これ等の磁力線はホール素子13に対して同一の方向性を有する。導体3の第3の部分18の電流に基づく磁力線もホール素子13に対して第1及び第2の部分16、17の電流に基づく磁力線と同一の方向性を有する。この結果、ホール素子13は3方向からの磁力線に感応し、高感度に電流を検出する。ところで、導体3に流れる電流に基づいて発生する磁力線は、電流が流れている導体3を中心にしてこれを囲むように発生する。導体3の電流に基づいて発生した磁力線の出来るだけ多くをホール素子13に作用させることが電流検出の感度向上に重要である。本発明に従う導体3に被着された磁性体層4は集磁機能を有する。磁性体層4は、ホール素子13に近い導体3の第1の主面20及び内周面22には形成されておらず、ホール素子13から遠い導体3の第2の主面21及び外側面23に設けられている。換言すると、ホール素子13と導体3とを直線で結ぶことができる導体3の表面には磁性体層4が形成されておらず、ホール素子13と直線で結ぶことができない導体3の表面に磁性体層4が形成されている。磁性体層4は透磁率が空気及び外囲体5の透磁率よりも大きいので、磁気抵抗の小さい磁束通路として機能し、磁力線の広がりを防いでホール素子における磁束密度を増大させる。
【0022】
本実施形態は次の効果を有する。
(1) 電流通路形成用導体3の表面の一部にこれよりも薄い磁性体層4を設けるという極めて簡単且つ安価且つ小型な構成によって電流検出感度を高めることができる。
(2) U字状屈曲部から成る中間部19を設けるので、ホ−ル素子13の外周の半分以上の約75%を中間部19で囲むことができ、電流検出感度が向上する。
(3) ホール素子13を含む半導体装置2と電流通路形成用導体3とを絶縁性外囲体5で一体にするので、両者の位置関係を一定に保って正確な電流検出を行うことができる。
【0023】
【第2の実施形態】
次に、図10を参照して第2の実施形態の電流検出装置1aを説明する。但し、図10及び後述する図11図〜図14において図1〜図9と実質的に同一の部分には同一の符号を付してその説明を省略する。
図10に示す電流検出装置1aは、図1〜図9に示した第1の実施形態の電流検出装置1と同一の第1の磁性体層4を有する他に、追加された第2及び第3の磁性体層31、32を有する。図10において追加された第2及び第3の磁性体層31,32は図1〜図6と同一に構成されている。第2の磁性体層31は支持板7に固着され、この上に半導体基板6が固着されている。第2の磁性体層31は比透磁率が5500、厚さが100μmの鉄−ニッケル系合金のパ−マロイのシ−トから成る。第2の磁性体層31は好ましくは支持板7よりも大きな透磁率を有する材料から選ばれる。第3の磁性体層32は、絶縁性外囲体5の外周表面に設けられている。この第3の磁性体層32は、比透磁率が5500、厚みが100μmのパ−マロイのシ−トから成り、図示が省略されているエポキシ樹脂から成る接着材によって絶縁性外囲体5の表面の一部に固着されている。なお、第3の磁性体層32は導体3の第1及び第2の接続部16a、17aと第1〜第4の外部リード8〜11は接触しないように配置されている。
【0024】
図10の実施形態によれば、導体3に被着された第1の磁性体層4の働きと同様に第2及び第3の磁性体層31、32が磁力線の不要な広がりを防止して電流検出感度を更に高めることができる。
【0025】
【第3の実施形態】
図11に示す第3の実施形態の電流検出装置1bは図1〜図9の第1の実施形態の磁性体層4の形成位置を変えた磁性体層4aを設け、この他は図1〜図9と同一に形成したものである。
図11の磁性体層4aは導体3の中間部19の第2の主面21にのみ配置され、外側面23には配置されていない。この様に磁性体層4aを導体3の第2の主面21にのみ設けても、磁力線の上方向への広がりを抑制することができるので、第1の実施形態と同様に電流検出感度の向上を図ることができる。
【0026】
【第4の実施形態】
図12は第4の実施形態の磁性体層4bを伴なっている導体3を示す。この第4の実施形態では、磁性体層4bが導体3の外側面23のみに設けられ、第2の主面21には設けられていない。第4の実施形態において磁性体層4b以外は第1の実施形態と同一に構成する。
図12に示すように磁性体層4bは導体3の外側面23のみに設けても磁力線の外側への広がりを防止して電流検出感度を高めることができる。
【0027】
【第5の実施形態】
図13に示す第5の実施形態の電流検出装置1cは、第1の実施形態の1つの電流通路形成用導体3の代りに第1及び第2の電流通路用形成導体3a、3bを設け、この他は第1の実施形態と同一に形成したものである。第1及び第2の電流通路形成用導体3a、3bは図1の溝15に相当する隙間15aを有して平行に配置され、ホール素子13は平面的に見て隙間15aの中に配置されている。第1の電流通路形成用導体3aは、第1及び第2の端子部61、62と第1の中間部63とから成る。第1及び第2の端子部61、62には第1及び取付孔64、65が形成されている。第2の電流通路形成用導体3bは第3及び第4の端子部66、67と、第2の中間部68とから成る。第3及び第4の端子部66、67には第3及び第4の取付孔69、70が形成されている。隙間15aを有して平行に配置された第1及び第2の中間部63、68には、図3の磁性体層4と同一の機能を発揮することができるようにパーマロイから成る第1及び第2の磁性体層71、72が被着されている。
【0028】
図15から明らかなようにホ−ル素子13と第1及び第2の磁性体層71、72との位置関係は図3と同一である。即ち、第1の磁性体層71は第1の電流通路形成用導体3aの図15で上面と左側面に設けられ、第2の磁性体層72は第2の電流通路形成用導体3bの上面と右側面に設けられている。従って、図13〜図15の実施形態においても図1〜図6の実施形態と同一の感度向上効果を得ることができる。
【0029】
図13の電流検出装置1cを漏れ電流検出装置として使用する時には、第1の電流通路形成用導体3aを対の電源ラインの一方即ち往路に直列に接続し、第2の電流通路形成用導体3bを対の電源ラインの他方即ち復路に直列に接続する。また、第1及び第2の電流通路形成用導体3a、3bにおける電流Ia、Ibの流れる方向を図13において矢印で示すように同一方向とする。電気回路において漏れ電流がなければ、往路の電流Iaと復路の電流Ibとは同一である。ホール素子13における電流Ia、Ibに基づく磁束の向きは互いに逆であるので、IaとIbとが等しい時にはホール電圧は発生しない。しかし、漏れ電流が有ると電流IaとIbとが不一致になるので、この差に対応した磁束がホール素子13に作用し、漏れ電流に比例したホール電圧が発生する。
【0030】
図13の電流検出器1cは電流バランス検出器としても使用することができる。第1及び第2の被測定電流を第1及び第2の電流通路形成用導体3a、3bに流すと、この差に比例したホール電圧が得られる。
なお、図13の第2及び第4の端子部分62、67を相互に接続し、第1の実施形態と同様にU字状電流通路を形成し、第1の実施形態と同様に使用することもできる。
第5の実施形態の電流検出装置1cによれば、通常の電流、漏れ電流及び電流バランスの測定又は検出を選択的に行うことができる。
【0031】
【変形例】
本発明は上述の実施形態に限定されるものでなく、例えば次の変形が可能なものである。
(1) 図11及び図12に示すように磁性体層4a、4bを設ける場合においても、図10に示す第2及び第3の磁性体層31、32のいずれか一方又は両方を設けることができる。
(2) ホール素子13を電流通路形成用導体3又は3a、3bと同一の高さ位置に配置し、ホール素子13を溝15又は隙間15aの中に配置することができる。
(3) 磁性体層4又は71、72をメッキで形成する代りにパーマロイシート等の磁性体シートを接合材によって導体3又は3a、3bに貼り付けることができる。
(4) 導体3の中間部19の形状をL字状又はI字状又は円弧状又はΩ状等に変形することができる。
(5) 図10の第2の磁性体層31を支持板7の下面側に配置することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態の電流検出装置を外囲体を省いた状態で示す平面図である。
【図2】図1の電流検出装置の左側面図である。
【図3】第1の実施形態の電流検出装置を図1のA−A線で示す断面図である。
【図4】図1の磁性体層を伴なった導体と半導体装置との分解斜視図である。
【図5】図1の半導体装置の平面図である。
【図6】図1の磁性体層を伴なった導体の平面図である。
【図7】図1の半導体基板の平面図である。
【図8】図7の半導体基板のホ−ル素子部分を示す平面図である。
【図9】図7のB−B線の一部を示す断面図である。
【図10】第2の実施形態の電流検出装置を図3と同様に示す断面図である。
【図11】第3の実施形態の電流検出装置を図3と同様に示す断面図である。
【図12】第4の実施形態の磁性体層を伴なった導体を図3と同様に示す断面図である。
【図13】第5の実施形態の電流検出装置を示す平面図である。
【図14】図13の第1及び第2の電流通路形成用導体と半導体基板とを示す平面図である。
【図15】図14のC−C線を示す断面図である。
【符号の説明】
1 電流検出装置
2 半導体装置
3 電流通路形成用導体
4 磁性体層
5 絶縁性外囲体
15 溝
16 第1の部分
17 第2の部分
18 第3の部分
16a、17a 第1及び第2の接続部
19 屈曲中間部
20 第1の主面
21 第2の主面
22 内側面
23 外側面
Claims (6)
- 電気回路に流れる電流を検出又は測定するための電流検出装置であって、
ホール素子と、
前記電気回路の電流を流すためのものであって、ここに流れた電流に基づいて発生した磁界を前記ホール素子に作用させることができるように前記ホール素子に対して位置決めされた電流通路形成用導体と、
前記電流通路形成用導体に流れた電流に基づいて発生した磁界の前記ホール素子に対する作用を強めることができるように前記電流通路形成用導体の一部に被着された磁性体層と
を備え、前記電流通路形成用導体は中間部と前記中間部の一方の端に連結された第1の端子部と前記中間部の他方の端に連結された第2の端子部とを有し、
前記電流通路形成用導体の前記中間部は、平面的に見て前記ホ−ル素子の外周の半分以上を囲むように形成された屈曲部であり、前記屈曲部は互いに対向する第1及び第2の主面と内側面と外側面とを有し、
前記ホール素子は前記電流通路形成用導体の前記屈曲部に流れる電流によって発生した磁界に感応することができるように平面的に見て前記屈曲状部の内側に配置され且つ前記屈曲部の前記第1の主面側に配置され、
前記磁性体層は、前記屈曲部の前記第1の主面に対向する前記第2の主面に配置されていることを特徴とする電流検出装置。 - 電気回路に流れる電流を検出又は測定するための電流検出装置であって、
ホール素子と、
前記電気回路の電流を流すためのものであって、ここに流れた電流に基づいて発生した磁界を前記ホール素子に作用させることができるように前記ホール素子に対して位置決めされた電流通路形成用導体と、
前記電流通路形成用導体に流れた電流に基づいて発生した磁界の前記ホール素子に対する作用を強めることができるように前記電流通路形成用導体の一部に被着された磁性体層と
を備え、前記電流通路形成用導体は中間部と前記中間部の一方の端に連結された第1の端子部と前記中間部の他方の端に連結された第2の端子部とを有し、
前記電流通路形成用導体の前記中間部は、平面的に見て前記ホ−ル素子の外周の半分以上を囲むように形成された屈曲部であり、前記屈曲部は互いに対向する第1及び第2の主面と内側面と外側面とを有し、
前記ホール素子は前記電流通路形成用導体の前記屈曲部に流れる電流によって発生した磁界に感応することができるように平面的に見て前記屈曲部の内側に配置され且つ前記屈曲部の前記第1の主面側に配置され、
前記磁性体層は前記屈曲部の前記外側面に配置されていることを特徴とする電流検出装置。 - 電気回路に流れる電流を検出又は測定するための電流検出装置であって、
ホール素子と、
前記電気回路の電流を流すためのものであって、ここに流れた電流に基づいて発生した磁界を前記ホール素子に作用させることができるように前記ホール素子に対して位置決めされた電流通路形成用導体と、
前記電流通路形成用導体に流れた電流に基づいて発生した磁界の前記ホール素子に対する作用を強めることができるように前記電流通路形成用導体の一部に被着された磁性体層と
を備え、前記電流通路形成用導体は中間部と前記中間部の一方の端に連結された第1の端子部と前記中間部の他方の端に連結された第2の端子部とを有し、
前記電流通路形成用導体の前記中間部は、平面的に見て前記ホ−ル素子の外周の半分以上を囲むように形成された屈曲部であり、前記屈曲部は互いに対向する第1及び第2の主面と内側面と外側面とを有し、
前記ホール素子は前記電流通路形成用導体の前記屈曲部に流れる電流によって発生した磁界に感応することができるように平面的に見て前記屈曲部の内側に配置され且つ前記屈曲部の前記第1の主面側に配置され、
前記磁性体層は前記第2の主面と前記外側面との両方に配置されていることを特徴とする電流検出装置。 - 前記磁性体層は、パーマロイから成ることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の電流検出装置。
- 前記ホール素子は第1及び第2の主面を有する半導体基板に形成されており、前記半導体基板は前記半導体基板の前記第1の主面が前記電流通路形成用導体に対向するように配置されており、更に、前記半導体基板の前記第2の主面側に別の磁性体層が設けられていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の電流検出装置。
- 更に、前記磁性体層を伴なった前記電流通路形成用導体と前記ホール素子とを包囲する絶縁性外囲体と、前記外囲体の外周面の一部に被着された別の磁性体層とを有していることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の電流検出装置
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