JP4164616B2 - 燃焼装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、液体燃料を使用する燃焼装置に関するものである。本発明の燃焼装置は、暖房機器や給湯器に採用する燃焼装置として好適である。
【0002】
【従来の技術】
都市ガスが普及していない地域で使用される給湯器や暖房機等には、灯油等の液体燃料を使用した燃焼装置が採用される場合が多い。またこの中でも、比較的発熱量が小さい用途に使用される場合は、気化部によって液体燃料を気化し、この気化ガスを燃焼部に送って燃焼させる形式のものが多用されている。
ここで、液体燃料を気化させる方策としては、例えば発熱体に液体燃料を滴下する等の方法による。すなわちこの種の燃焼装置では、液体燃料を加熱して気化し、燃焼させる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記した様にこの種の給湯器等では、液体燃料に熱エネルギーを与えて気化させる。ところが気化器から燃焼部に至るまでの経路の中で低温の部分があると、せっかく気化した燃料が元の液体に戻ってしまう。そのためこの種の給湯器等は、燃焼不良を起こす場合があった。
また近年では、発熱量を増大させるために、送風機によって強制的に二次空気を供給する構成の給湯器が多いが、このような送風機を備えた給湯器は、上記した故障の発生頻度が高い。
【0004】
すなわち送風機を備えた給湯器等では、内部のレイアウト上の制約から、二次空気の経路が、燃料ガスの経路に隣接したものとならざるを得ない。そのため燃料ガスの供給経路が送風機の空気流によって冷やされ、温度低下を来す。その結果、燃料ガス供給経路内の気化ガスが冷却され、再液化してしてしまう。
【0005】
そこで本発明は従来技術の上記した問題点に注目し、燃料ガスの再液化を防止し、安定した燃焼を確保することができる燃焼装置の開発を課題とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
そして上記した課題を解決するための請求項1に記載の発明は、燃料ガス又は燃料ガスと空気との混合ガスを燃焼部に供給する燃料供給路形成部を有し、燃料ガスを燃料供給路形成部を経て燃焼部に送り、当該燃焼部で燃焼させる燃焼装置において、燃料供給路形成部の外部にカバー部材が設けられ、さらに燃料ガスが導入される燃料ガス充満室と、複数 の燃料供給路形成部を有し、それぞれの燃料供給路形成部が燃料ガス充満室に接続されており、燃料供給路形成部の燃料ガス充満室に対する開口面積が、燃料供給路形成部の取付け位置に応じて異なることを特徴とする燃焼装置である。
【0007】
本発明の燃焼装置では、燃料供給路形成部の外部にカバー部材が設けられている。そのため本発明の燃焼装置では、送風機や自然通気による風が、直接的に燃料供給路形成部に当たることが防止される。その結果、燃料供給路形成部の温度低下が防止される。
また本発明の燃焼装置では、燃料ガス充満室を有し、当該充満室から各燃料供給路形成部に燃料ガスが分配される。ここで燃料ガス充満室が充分な大きさを持つものであれば、内部の圧力が均一化し、どの部位に接続された燃料供給路形成部にも均等に燃料が供給される。しかしながら、実際には燃料ガス充満室の大きさに制約があり、内部の圧力に部分的なばらつきがある。そこで本発明は、燃料供給路形成部の燃料ガス充満室に対する開口面積が、燃料供給路形成部の取付け位置に応じて異なるものとし、開口面積を補正することにより、燃料供給路形成部に供給される燃料ガスの量の均一化を図ったものである。
【0008】
また本発明の具体的な態様として液体燃料を気化して燃料ガス化する気化部と、燃料ガス又は燃料ガスと空気との混合ガスを燃焼部に供給する複数の燃料供給路形成部を有し、当該複数の燃料供給路形成部が間隔を開けて並列的に配され、気化部で気化された燃料ガスが燃料供給路形成部を経て燃焼部に送られ、さらに空気が燃料供給路形成部同士の間から燃焼部に供給されて燃焼される燃焼装置において、燃料供給路形成部の外部にはカバー部材が設けられ、カバー部材と燃料供給路形成部との間には空気層を形成する空間が設けられることを特徴とする燃焼装置が考えられる。
【0009】
本発明の燃焼装置では、複数の燃料供給路形成部が間隔を開けて並列的に配され、二次空気が燃料供給路形成部同士の間から燃焼部に供給されて燃焼に供される。そのため燃料供給路形成部の近傍を空気が流れることとなるが、本発明の燃焼装置では、燃料供給路形成部の外部にはカバー部材が設けられているので、送風機や自然通気による風が、直接的に燃料供給路形成部に当たることが防止される。加えて、本発明の燃焼装置では、カバー部材と燃料供給路形成部との間に空気層を形成する空間が設けられる。そのため空気層の断熱作用により燃料供給路形成部内の燃料ガスが保温され、再液化が阻止される。
【0010】
さらに他の具体的な態様としての構成は、カバー部材は、熱伝導率が40W/m℃以下の素材でつくられていることを特徴とする。
【0011】
本発明の燃焼装置では、カバー部材は、鋼等よりも熱伝導率が劣る素材でつくられているので、送風の風がカバー部材に当たっても、その冷熱が燃料供給路形成部内を流れる燃料ガスに伝わりにくい。そのため燃料ガスの再液化が阻止される。
【0012】
さらに他の具体的な態様としての構成は、カバー部材又は燃料供給路形成部の少なくともいずれかには突起が設けられ、当該突起の先端が他の表面と当接することにより、カバー部材と燃料供給路形成部の間に所定の空隙が形成されていることを特徴とする。
【0013】
本発明の燃焼装置では、カバー部材又は燃料供給路形成部の少なくともいずれかには突起が設けられ、当該突起の先端が他の表面と当接する。そのためカバー部材と燃料供給路形成部との間には、確実に空隙が形成される。したがってカバー部材と燃料供給路形成部との間には確実に空気層が形成され、燃料ガスが保温され、再液化が阻止される。
【0014】
またさらに他の具体的な態様としての構成は、カバー部材は、端面にフランジ状部が設けられていることを特徴とする。
【0015】
本発明の燃焼装置では、端面にフランジ状部が設けられている。当該フランジ状部は、保炎部として機能する。
【0016】
さらに他の具体的な態様としての構成は、カバー部材は、断面形状が略「U」字形であり、燃料供給路形部の燃焼部側を除く3面を覆うことを特徴とする。
【0017】
本発明の燃焼装置では、カバー部材が略「U」字形であり、燃料供給路形成部の燃焼部を除く3面を覆う。そのためカバー部材は、燃料供給路形成部の全域を保護し、燃料供給路形成部が冷えることを防ぐ。
【0018】
さらに他の具体的な態様としての構成は、カバー部材は、複数の部材で構成されて燃料供給路形成部の周囲を覆うことを特徴とする。
【0019】
本発明では、カバー部材が複数の部材によって構成されており、組み立て等が簡単である。
【0020】
また請求項2に記載の発明は、燃料供給路形成部は、燃料ガス充満室から遠ざかるにつれて漸次断面積が減少してゆくことを特徴とする請求項1に記載の燃焼装置である。
【0021】
本発明の燃焼装置では、燃料ガス充満室を有し、当該充満室から各燃料供給路形成部に燃料ガスが分配される。
本発明は、燃料供給路形成部の長手方向における燃料ガス噴射量の均一化を図ったものである。すなわち本発明の燃焼装置では、燃料供給路形成部は、燃料ガス充満室から遠ざかるにつれて漸次断面積が減少してゆく構成を採用している。そのため燃料供給路形成部から排出される燃料ガスに見合った面積が漸次減少してゆき、燃料供給路形成部内の圧力が略等しいものとなる。そのため本発明の燃焼装置では、燃料供給路形成部の長手方向における燃料ガス噴射量が均一となる。
【0022】
さらに請求項3に記載の発明は、燃料ガス充満室の壁の一部を構成する板体に燃料供給路形成部が取り付けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の燃焼装置である。
【0023】
本発明の燃焼装置では、燃料ガス充満室の壁の一部を構成する板体に燃料供給路形成部が取り付けられている。そのため燃料ガスが他に漏れにくい。
【0024】
さらに他の具体的な態様としての構成は、燃焼部は炎孔を有し、カバー部材は、炎孔よりも上流側にあることを特徴とする。
【0025】
本発明の燃焼装置では、燃焼部は炎孔を有し、カバー部材は、炎孔よりも上流側にある。そのため本発明の燃焼装置では、カバー部材は火炎に触れない。従って燃焼の邪魔にならず、火炎が安定する。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下さらに本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明の実施形態の燃焼装置の要部の斜視図である。図2は、本発明の実施形態の燃焼装置の断面図である。図3は、本発明の実施形態の燃焼装置の平面図である。図4は、図1の燃焼装置のバーナ部の分解斜視図である。図5は、図1の燃焼装置のバーナ部の断面図である。図6〜8は、本発明の他の実施形態のバーナ部の断面図である。
図1〜3において、1は、本発明の実施形態の燃焼装置を示す。本実施形態の燃焼装置1は、給湯器に内蔵されるものであり、図2、図3の様にステンレススチール等のケース2を有する。ケース2の中は、図2の様に大きく上下に仕切られ、上部側に気化部3とバーナ部5、燃料ガス充満室4が形成されている。一方、ケース2の下部側には、空気充満室13が構成されている。
【0027】
順次説明すると、気化部3は、気化室6と、ノズル7によって構成されている。気化室6は、図1,2の様に、断面形状が略「コ」の字状の様に凹状をした水平方向に延びる溝であり、その内面に発熱体8が設けられている。発熱体8には電極12を介して電力が供給され、ジュール熱によって発熱する。
【0028】
気化部3の背面には、多数のフィン11が垂直に設けられている。フィン11は、壁部10に対して垂直であり、かつ燃焼装置1を水平に設置した時に垂直方向に位置する。また各フィン11は互いに平行である。
フィン11は、バーナ部5が発生する火炎によって加熱され、当該熱を気化部3に伝導して気化部3の加熱を補助する働きをする。
【0029】
ノズル7は、圧力噴射形ノズルであり、燃料タンク15内の液体燃料(灯油)をポンプ16で加圧し、これを直接的に噴霧するものである。
なおノズルの形式は、いわゆる単一入力仕様でも、圧力戻し型による入力可変仕様であっても構わない。またさらに空気噴射型ノズルや超音波霧化式のものも採用可能である。
【0030】
本実施形態の燃焼装置1では、気化室6内に、2個のノズル7が設けられている。ノズル7は、いずれも水平方向に配置され、気化室6の垂直壁21に面している。
【0031】
バーナ部5は、図1の様にバーナ部材30が一定の間隔を開けて平行に並べられたものである。
ここでバーナ部材30は、図4、図5の様に、燃料供給路形成部材22とカバー部材31によって構成されるものである。
またさらに燃料供給路形成部材22は、本体部材32と炎孔部材33によって構成される。燃料供給路形成部材22は、通常燃焼管と称される部材である。
【0032】
ここで本体部材32は、銅板又は真鍮板等の銅の合金板を折り曲げて成形したものであり、本体部材32の断面形状は、「U」字状であって前端部分は開口する。そして燃料供給路形成部材22の本体部材32は、図4の様に、底面部分が傾斜している。すなわち本体部材32は、前端側の高さが高く、奥側に行くに連れて全高が低くなっており、奥に行くに従って「U」字によって囲まれる部位の面積が減少する。
また本実施形態では、燃料供給路形成部材22の本体部材32には、表面に多数の突起53が設けられている。突起53は、本体部材32をプレス成形する際に設けられたものであり、直径3mm程度の半球状をしている。
【0033】
炎孔部材33は、両端が折り返された溝形の板であり、二列の炎孔35が設けられている。炎孔35の位置は、炎孔部材33の頂面の角に沿った部位であり、その形状は、長穴状である。
燃料供給路形成部材22は、図4、図5の様に、本体部材32の上部の開口に炎孔部材33が装着されてなるものである。
【0034】
カバー部材31は、一枚の板を折り曲げて成形したものであり、断面形状は、「U」字状をしていて前後方向と上面側が開口する。前記した燃料供給路形成部材22は、底面部分が傾斜していたが、カバー部材31については、上辺と下辺は平行であり、側面形状は長方形である。
カバー部材31の内幅は、燃料供給路形成部材22の外幅よりも大きい。またカバー部材31の全高は、燃料供給路形成部材22の全高よりも高い。
またカバー部材31の開口端には、フランジ状部25が設けられている。フランジ状部25は、幅が数mm程度であり、上面の開口端に沿って設けられている。フランジ状部25は、カバー部材31に対してやや開口方向に傾斜している。
【0035】
カバー部材31は、本体部材32の外側に装着されており、燃料供給路形成部材22の両側面と、「U」字状の底面を覆う。また燃料供給路形成部材22の表面に設けられた突起53の先端が、カバー部材31の内面と当接する。ここでカバー部材31の幅は、燃料供給路形成部材22の幅よりも大きいので、燃料供給路形成部材22とカバー部材との間には、空隙36が形成される。すなわち燃料供給路形成部材22の本体部材32の表面に設けられた突起53がカバー部材31の内面と当接するので、燃料供給路形成部材22は、カバー部材31の中央に位置し、燃料供給路形成部材22の両脇に突起53の高さに相当する幅の空隙36が形成されることとなる。
またカバー部材31の全高は、燃料供給路形成部材22のそれよりも高いので、燃料供給路形成部材22の底とカバー部材31の底との間にも空隙が形成される。
【0036】
カバー部材31の材質は任意であるが、熱伝導率が小さい素材を選択することが望ましい。より具体的には、鋼よりも熱を伝えにくいものであることが推奨され、熱伝導率が40W/m℃以下の素材を選択するべきである。この条件に適合するものとして、例えばステンレススチールが挙げられる。本実施形態の燃焼装置1では、カバー部材31をステンレススチールで製造することとする。
【0037】
カバー部材31の上端と、燃料供給路形成部材22の上端に注目すると、図5の様に、カバー部材31の上端は燃料供給路形成部材22の上端よりも低い位置に装着されている。言い換えると、カバー部材31のフランジ状部25は、炎孔35よりも上流側に配置されている。カバー部材31の上端の位置は、火炎の基端部よりも上流側の位置であり、カバー部材31に火炎が接することはない。
【0038】
バーナ部材30は、燃料ガス充満室4の壁を構成する板体50に垂直方向に取り付けられている。板体50には図1、図4の様に複数の孔51が設けられている。板体50に設けられた孔51は、縦方向に並べられたものが一組となっており、その孔51の組が横方向に並べてバーナ部材30の数と同じ数だけ設けられている。そしてバーナ部材30は、燃料供給路形成部材22の前方の開口部が孔51を覆うように板体50に取り付けられている。
なお板体50に設けられた孔51は、本実施形態では、8組が図示されている。ここで各孔51の大きさはいずれも同一であるが、孔51の個数は、組によって異なる。すなわち本実施形態においては、板体50の両脇側に位置する組に数多くの孔51が設けられており、中央部分においては孔51の数は少ない。
この様に孔51の個数を変化させたのは、比較的圧力が高くなりがちな中央部の開口面積を小さくし、比較的低圧となりがちな周辺部の開口面積を大きくして、燃料ガス充満室4からバーナ部5側に流入する燃料ガスの量を均一化するためである。従って、孔の数を等しくして各孔の大きさを異なるものとしても同様の効果が期待できる。
【0039】
バーナ部材30が並べて配された部位の下部には、底板38が設けられている。バーナ部5は、前記した様にバーナ部材30が一定の間隔を開けて平行に並べられたものであり、バーナ部材30同士の間には隙間40がある。そしてバーナ部材30同士の隙間に沿って、その下方の底板38に一定間隔で空気孔41が設けられている。
【0040】
次に、本実施形態の燃焼装置1の各部材の配置について説明する。
本実施形態の燃焼装置1は、前記した様に、ケース2内に、気化部3とバーナ部5及び燃料ガス充満室4が構成されている。そして気化部3については、ケース2の短辺側の端部の上端部分に配置されている。なおケース2の側面であって、気化部3の気化室6に面する部位には、図2の様に上部通風開口が設けられている。
燃料ガス充満室4は、気化部3の下部にあり、気化部3と連通する部屋である。そして気化部3の下部には、遮蔽板34が設けられていて閉塞されている。燃料ガス充満室4は、燃料と空気との混合促進部として機能する他、燃料ガスをバーナ部5の各バーナ部材30に分配する機能を果たす。
ケース2内では、気化部3から燃料ガス充満室4を経て、板体50の孔51からバーナ部材30の燃料供給路形成部材22内に至る一連の流路が形成されている。
【0041】
バーナ部5は、前記した気化部3及び燃料ガス充満室4を除くケース2の上段全域に設けられている。
【0042】
またケース2の側面であって、バーナ部5の下部には、図2の様に下部通風開口が設けられている。下部通風開口は、空気充満室13へ送風する際の空気導入口となる。
【0043】
次に、本実施形態の燃焼装置1の機能について説明する。
本実施形態の燃焼装置1を使用する際には、電極12間に通電して発熱体8を発熱させる。
また図示しないファンにより、図2の様に、気化室6に向かって送風を行う。
さらに図1に示す燃料タンク15内の灯油を、ポンプ16によって加圧し、二つのノズル7に灯油を圧送する。そしてそれぞれのノズル7から液状の灯油を気化室6内に噴霧する。
【0044】
ノズル7から噴霧された液体燃料(灯油)は、所定のパターンで広がるが、気化室6の形状が凹溝状であるから、噴霧された全ての灯油は、気化室6の天井壁20、垂直壁21、水平壁23のいずれかに補足され、熱を受けて気化する。
【0045】
液体燃料が気化して、空気と混合された混合ガスは、図2の実線の矢印の様に燃料ガス充満室4に流れ、燃料ガス充満室4内で空気と燃料との混合が進む。
そして混合ガスは、燃料ガス充満室4の壁面(板体50)の孔51からバーナ部5側に流れる。より具体的には、燃料ガス充満室4の壁面(板体50)の孔51は、バーナ部材30の燃料供給路形成部材22内と連通しており、燃料ガスは、燃料ガス充満室4から孔51を介して燃料供給路形成部材22の流路内に入る。
ここで本実施形態の燃焼装置1では、比較的圧力が高くなりがちな幅方向の中央部の開口面積を小さくし、比較的低圧となりがちな周辺部の開口面積を大きく設計しているので、バーナ部5側に流入する燃料ガスの量は均等となる。
【0046】
バーナ部材30の燃料供給路形成部材22内に入った混合ガスは、上部に設けられた炎孔35から燃焼部52に噴射される。
なお本実施形態では、バーナ部材30の燃料供給路形成部材22の底部に傾斜が設けられており、燃料供給路形成部材22の断面積は、前端の開口部分から奥に向かうに従って小さくなるので、炎孔35から排出されることによる混合ガス量の減少が断面積の減少によって相殺される。そのため燃料供給路形成部材22内の圧力は略均一状態となり、混合ガスは炎孔35から略均一に排出される。
【0047】
一方、二次空気は、混合ガスとは別のルートで燃焼部52に供給される。すなわち空気は、ケース2の下部開口からもケース2内に入り、前記したバーナ部5の下部に設けられた空気充満室13を流れる。さらに空気は底板38空気穴41からバーナ部材30同士の間を抜けて上昇し、バーナ部5の燃焼部52に流れ出て二次空気として機能する。
そして図示しない点火装置によって前記したバーナ部材30の炎孔35から噴射された混合ガスに点火されると燃焼部52に火炎が発生する。
なお、バーナ部材30の炎孔35の周辺には、フランジ状部25があり、当該フランジ状部25が保炎部として機能する。
【0048】
燃焼が継続している間は、燃料ガスおよび空気は、常時、上記した経路によって燃焼部52に供給され、燃焼が維持される。
従って燃焼部52に供給される二次空気は、常時バーナ部材30同士の間を抜けて流れる。しかしながら本実施形態の燃焼装置1では、燃料供給路形成部材22の周囲にカバー部材31が設けられており、燃料供給路形成部材22自体は、直接的に送風と接することはない。また送風のために、カバー部材31は低温となるが、本実施形態では、カバー部材31は、熱を伝えにくいステンレススチールが素材として選択されているので、内部に冷熱が伝わりにくい。さらに加えて、カバー部材31と燃料供給路形成部材22との間に空隙36が確保されている。そのため当該空隙内の空気が断熱層となり、カバー部材31の冷熱は燃料供給路形成部材22に伝わり難い。特に、カバー部材31の下部については、新鮮な送風が常時接することとなるので、相当の低温となることが予想されるが、カバー部材31の底部と、燃料供給路形成部の底部との間には、相当の大きさの空隙がある。そのため本実施形態の燃焼装置1では、送風によって燃料供給路形成部材22が冷えることはなく、燃料ガスの再液化は起こらない。
そのため本実施形態の燃焼装置1は、安定した燃焼状態を維持する。
【0049】
以上、説明した実施形態では、燃料供給路形成部材22の外側表面に突起53を設けて燃料供給路形成部材22とカバー部材31との間のクリアランスを安定化させたが、逆に、図6の様にカバー部材31側に突起53を設けても同様の効果が期待できる。
また上記した実施形態では、燃料供給路形成部材22にカバー部材31を取り付けたが、図7の様にカバー部材を底板38に取り付けてもよい。図7は、断面形状が「U」の字状のカバー部材55をネジ又は鋲56によって底板38に取り付けた例を示すものである。
また上記した例ではカバー部材31は、一つの部材によって作られたものであるが、図8に示すような断面形状が「L」状の部材57を二つ組み合わせてカバー部材を構成してもよい。
【0050】
また上記した実施形態では、発熱板8に液体燃料を噴霧して燃料を気化させたが、遠心力を利用する気化器を採用することもできる。
【0051】
以下、遠心力を利用する構成に本発明を適用した例について説明する。
図9は、本発明の他の実施形態の燃焼装置の断面図であり、遠心力を利用した気化器を備えた構成を示すものである。図10は、図9の燃焼装置のバーナ部の周辺を示す断面斜視図である。
【0052】
本実施形態の燃焼装置60は、ファン69と、気化部61と、バーナ部62によって構成される。
そして気化部61は、図9に示すように、ロータリーカップ63と、加熱壁65を備える。
ロータリーカップ63は、すり鉢状をしていて、上部には、振り切り板67が取り付けられている。またロータリーカップ63は、軸64を介して下部のモータ66と接続されている。従ってロータリーカップ63は、モータ66の動力によって回転する。
またモータ66の回転軸はファン69とも接続されている。
ロータリーカップ63内には、燃料パイプ79が開口している。
【0053】
バーナ部62は、炎孔プレート70を主体とするものである。炎孔プレート70は、図10の様な複数の壁71が立設された板であり、平行に溝72,73が形成されている。そして一つ置きの溝72の頂部には炎孔部材75が設けられている。
本実施形態では、炎孔部材75が設けられた溝72が燃料供給路形成部として機能し、当該溝は、中央の気化部61と連通している。燃料ガスは、気化部61から燃料供給路形成部たる溝72に供給され、溝72に沿って流れ、さらに炎孔部材75から上部に放出される。
また本実施形態では、燃料供給路形成部を構成する壁71の外側にステンレススチール製のカバー部材77が設けられている。本実施形態で採用するカバー部材77は、衝立状である。
【0054】
一方、カバー部材75が取り付けられていない溝73は、気化部61から独立している。そして炎孔プレート70の下部には整流板78が設けられており、整流板78には、前記したカバー部材75が設けられていない溝73に開口する孔80が設けられている。
本実施形態では、二次空気は、整流板78に設けられた孔80から溝73内に供給され、燃料供給路形成部を構成する壁71の近傍に設けられた衝立状のカバー部材77に沿って上昇する。
従って、燃料供給路形成部は直接的には送風と接することがなく、内部を流れる燃料ガスが冷却されにくい構造となっている。
【0055】
本実施形態の燃焼装置60では、モータ66を起動してファン69とロータリーカップ63を回転させる。そしてファン69の送風により、気化部61を通風雰囲気とし、加熱壁65に通電して発熱させる。この状態において、燃料パイプ79から液体燃料をロータリーカップ63内に滴下する。
滴下された液体燃料は、ロータリーカップ63から遠心力を受け、ロータリーカップ63の斜面を登り、振り切り板67から飛散する。そして飛散した液体燃料は、ロータリーカップ63の周囲に配された加熱壁65に接触し、熱を受けて気化する。
こうして作られた混合ガスは、前記した様に、溝状の燃料供給路形成部72を流れるが、燃料供給路形成部72の近傍にカバー部材77が設けられおり、送風が直接的に燃料供給路形成部72と接することがないので、燃料ガスは一定の温度に維持され、再液化することはない。
【0056】
以上、説明した燃焼装置は、いずれも液体燃料を燃焼させるものであり、燃料ガスの再液化を防止するものであるが、ブタンガスの様な沸点の高いガスを燃焼させる場合にもガスが液化する場合があり、本発明の構成を適用する余地がある。なお、ブタンガス等のガスを燃焼させる場合は、気化器は必ずしも必要ではない。
【0057】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1,2,3に記載の燃焼装置では、燃料供給路形成部の外部にカバー部材が設けられているので、送風機や自然通気による風が、直接的に燃料供給路形成部に当たることが防止され、燃料供給路形成部の温度低下が防止される。
そのため本発明の燃焼装置では、気化状態が安定し、燃焼は円滑であるという効果がある。
【0058】
また請求項1,2,3に記載の燃焼装置は、燃料供給路形成部に供給される燃料ガスの量が均一化し、火炎の表面分布が均一となる効果がある。
【0059】
一方、請求項2に記載の燃焼装置では、燃料供給路形成部から放出される燃料ガスの直線方向の分布が均一となる効果がある。
【0060】
さらに請求項3に記載の燃焼装置は、燃料ガスが他に漏れにくいという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施形態の燃焼装置の要部の斜視図である。
【図2】 本発明の実施形態の燃焼装置の断面図である。
【図3】 本発明の実施形態の燃焼装置の平面図である。
【図4】 図1の燃焼装置のバーナ部の分解斜視図である。
【図5】 図1の燃焼装置のバーナ部の断面図である。
【図6】 本発明の他の実施形態のバーナ部の断面図である。
【図7】 本発明の他の実施形態のバーナ部の断面図である。
【図8】 本発明の他の実施形態のバーナ部の断面図である。
【図9】 本発明の他の実施形態の燃焼装置の断面図であり、遠心力を利用した気化器を備えた構成を示すものである。
【図10】 図9の燃焼装置のバーナ部の周辺を示す断面斜視図である。
【符号の説明】
1,60 燃焼装置
2 ケース
4 燃料ガス充満室
3,61 気化部
5,62 バーナ部
6 気化室
7 ノズル
13 空気充満室
22 燃料供給路形成部材
25 フランジ状部
31 カバー部材
32 本体部材
33 炎孔部材
36 空隙
50 燃料ガス充満室の壁を構成する板体
51 孔
53 突起
Claims (3)
- 燃料ガス又は燃料ガスと空気との混合ガスを燃焼部に供給する燃料供給路形成部を有し、燃料ガスを燃料供給路形成部を経て燃焼部に送り、当該燃焼部で燃焼させる燃焼装置において、燃料供給路形成部の外部にカバー部材が設けられ、さらに燃料ガスが導入される燃料ガス充満室と、複数の燃料供給路形成部を有し、それぞれの燃料供給路形成部が燃料ガス充満室に接続されており、燃料供給路形成部の燃料ガス充満室に対する開口面積が、燃料供給路形成部の取付け位置に応じて異なることを特徴とする燃焼装置。
- 燃料供給路形成部は、燃料ガス充満室から遠ざかるにつれて漸次断面積が減少してゆくことを特徴とする請求項1に記載の燃焼装置。
- 燃料ガス充満室の壁の一部を構成する板体に燃料供給路形成部が取り付けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の燃焼装置。
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