JP4164546B2 - 改善されたアクリロニトリルの回収プロセス - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、アクリロニトリルまたはメタクリロニトリルの改善された製造プロセスに関する。特に、本発明は、アクリロニトリルまたはメタクリロニトリルの製造時に使用される改善された回収手順に関する。さらに、本発明の改善されたプロセスは、パーオキシド不純物を最少化することにより、得られる生成物の品質を改善する。
【0002】
【従来の技術】
プロピレンまたはイソブチレンのアンモ酸化により得られるアクリロニトリル/メタクリロニトリルの商業スケールでの回収は、以下の手順で行なわれている:反応器流出物を水でクエンチし;次いで、クエンチで得られたアクリロニトリルまたはメタクリロニトリル含有ガス流を吸収器に通し、互いに反対方向に流れる水とガスとを接触させて実質的にすべてのアクリロニトリルまたはメタクリロニトリルをガスから除去し;次いで、実質的にすべてのアクリロニトリルまたはメタクリロニトリルを含有する水流を、一連の蒸留カラムおよび関連するデカンターを通過させ、アクリロニトリルまたはメタクリロニトリル生成物を分離および精製する。
【0003】
アクリロニトリルまたはメタクリロニトリルの製造に用いられる代表的な回収および精製システムは、本発明の譲受人に譲渡された米国特許第4,234,510号および同第3,885,928号に開示され、これらは本明細書に参考として援用されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の第一の目的は、アクリロニトリルまたはメタクリロニトリルの改善された製造プロセスを提供することである。
【0005】
本発明の別の目的は、アクリロニトリルまたはメタクリロニトリルの製造における改善された回収および精製手順を提供することである。
【0006】
本発明のさらに別の目的は、得られる最終生成物中の不純物の量を低減する、アクリロニトリルまたはメタクリロニトリルの改善された製造プロセスを提供することである。
【0007】
本発明のさらなる目的、利点および新規な特徴の一部は以下の記載により説明され、そして一部は、以下の記載を検討することにより当業者に明らかとなるか、または本発明の実施により理解され得る。本発明の目的および利点は、特許請求の範囲において具体的に規定される手段および組み合わせにより達成され得、そして得られ得る。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記の目的および他の目的を達成するために、そして、本明細書において具体的にかつ広範囲に記載される本発明の目的によれば、本発明のプロセスは、以下の工程を包含する:プロピレンまたはイソブチレンのアンモ酸化により得られる反応器流出物をクエンチカラムに移し、熱い該流出物ガスを水煙と接触させることにより冷却する工程;該冷却した反応器流出物オーバーヘッドを吸収カラムに通し、粗製のアクリロニトリルまたはメタクリロニトリルを水に吸収させる工程;該アクリロニトリルまたはメタクリロニトリルを含有する水溶液を第1デカンターに通し、第1水層とアクリロニトリルおよびメタクリロニトリルを含有する第1有機層とを形成する工程;該第1有機層を第2デカンターに移し、第2水層および第2有機層を形成する工程;および、該第2有機層からアクリロニトリルまたはメタクリロニトリルを回収する工程。本発明における改善は、該第1デカンターおよび該第2デカンターを約32°F〜約75°Fに維持することを包含し、かつ該第2デカンターを約32°F〜約75°Fに維持することを包含する。好ましくは、第1デカンターの温度は約32°F〜70°Fに維持され、特に好ましくは、32°F〜65°Fに維持される。好ましくは、第2デカンターの温度は約35°F〜68°Fに維持され、特に好ましくは、40°F〜65°Fに維持される。
【0009】
本発明の好ましい実施態様においては、プロセスは、プロピレン、アンモニアおよび酸素のアンモ酸化により得られる反応器流出物を用いて行なわれ、アクリロニトリルを生成する。
【0010】
本発明の好ましい別の実施態様においては、反応器流出物は、流動床触媒と接触する流動床反応器内でのプロピレン、アンモニアおよび空気の反応により得られる。
【0011】
本発明の実施においては、通常の流動床アンモ酸化触媒が使用され得る。例えば、米国特許第3,642,930号および同第5,093,299号(これらは、本明細書に参考として援用される)に記載の流動床触媒が、本発明の実施において使用され得る。
【0012】
本発明は、アクリロニトリルまたはメタクリロニトリル生成物の回収および精製において、より有効な操作を可能にする。上記の温度範囲内でのデカンター操作により水相の分離が改善され、これにより、デカンター内の水相の容積が増大する。この改善された分離は、いかなる装置のサイズも増大させることなく、以後の回収および精製工程(すなわち、蒸留および乾燥)において、より高容積の生成物が処理され得ることを意味する。本発明の実施の他の利点は、上記の温度範囲内でのデカンター操作により、最終生成物のユーザーにとって好ましくない水溶性不純物(例えば、パーオキシド)が最少化されるということである。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明の詳細を、図面を参照して説明する。流動床アンモ酸化触媒と接触する流動床反応器(図示せず)でのプロピレンまたはイソブチレン、アンモニアならびに酸素含有ガスのアンモ酸化により得られる反応器流出物は、クエンチカラム(図示せず)に移される。このクエンチカラムで、熱い流出物ガスは、水煙と接触することにより冷却される。代表的には、流出物に含まれる過剰のアンモニアは、クエンチカラムで硫酸と接触することにより中和され、硫酸アンモニウムとしてアンモニアが取り除かれる。次いで、所望の生成物(アクリロニトリルまたはメタクリロニトリル、アセトニトリル、およびHCN)を含む冷却流出物ガスは、導管1を介して吸収カラム5の底部に通される。ここで、生成物は、導管3を介して頂部から吸収カラム5に入る水に吸収される。吸収されないガスは、吸収器5の頂部に配されたパイプ7を介して吸収器から排出される。次いで、所望の生成物を含む水流は、導管9を介して吸収器5の底部から第1蒸留カラム(回収カラム)13の上部に通され、生成物のさらなる精製がなされる。生成物は、回収カラム13の頂部から回収され、導管15を介してデカンター19に送られる。粗製のアクリロニトリルを含む水溶液は、デカンター19内で、水を含む第1層と有機生成物(例えば、粗製のアクリロニトリルおよびHCN)を含む第2層とに分離される。次いで、生成物層は、導管23を介して第2蒸留カラム27に移され、アクリロニトリルまたはメタクリロニトリル生成物のさらなる精製および回収がなされる。カラム13から得られる底部の流れは、焼却炉に直接送られ得、または導管17を介してストリッピング蒸留カラム21に送られ得、粗製のアセトニトリルが、導管25を介してオーバーヘッドとして回収され得る。カラム21から得られる底部の流れは、導管41および43を介して焼却炉に送られ得る。
【0014】
蒸留カラム27に入る生成物の流れは蒸留され、アクリロニトリル生成物は側流として導管31を介してカラム27から回収される。このアクリロニトリル生成物は、アクリロニトリル生成物と水との第2の相分離が起こるまで、約32°F〜約70°Fの間の温度に維持された第2デカンター33に貯蔵される。次いで、アクリロニトリル生成物は導管35を介してデカンター33から除かれ、カラム27の底部に導入され、そして、最終精製および回収のために導管39を介してカラム外に移される。副産物であるHCNは、オーバーヘッド流として導管29を介してカラム27から回収され、焼却されるか、または当該分野で公知の慣用的手段により精製および回収される。
【0015】
他のタイプの反応器(例えば、輸送管反応器)もまた意図されるが、好ましくは、アンモ酸化反応は、流動床反応器内で行なわれる。アクリロニトリル製造のための流動床反応器は、従来技術において周知である。例えば、本明細書に参考として援用される米国特許第3,230,246号に記載の反応器の設計が適切である。
【0016】
アンモ酸化反応の条件もまた、以下の従来技術に示されるように周知である:米国特許第5,093,299号、同第4,863,891号、同第4,767,878号および同第4,503,001号;これらは本明細書に参考として援用される。代表的には、アンモ酸化プロセスは、プロピレンまたはイソブチレンを、アンモニアおよび酸素の存在下、高温で流動床触媒と接触させることにより行なわれ、アクリロニトリルまたはメタクリロニトリルが得られる。任意の酸素源が採用され得るが、経済的理由から空気を用いるのが好ましい。供給物中の酸素のオレフィンに対する代表的なモル比は、0.5:1〜4:1の範囲であり、好ましくは1:1〜3:1である。反応において、供給物中のアンモニアのオレフィンに対するモル比は、0.5:1〜5:1の範囲で変化し得る。アンモニア−オレフィン比の上限は実際には存在しないが、一般に、5:1を超える比は、経済的理由からほとんど無意味である。
【0017】
反応は、約260℃〜約600℃の範囲の温度で行なわれるが、好ましくは310℃〜500℃、特に好ましくは350〜480℃で行なわれる。接触時間はそれほど重要ではないが、一般に0.1〜50秒の範囲、好ましくは1〜15秒の範囲である。
【0018】
米国特許第3,642,930号の触媒に加えて、本発明の実施に適切な他の触媒が、米国特許第5,093,299号(本明細書に参考として援用される)に記載されている。
【0019】
吸収カラム、回収カラムおよびストリッピングカラムが維持される条件は、それぞれ、5〜7psig(80°F 〜110°F)、1〜4.5psig(155°F 〜170°F)、および7〜13psig(170°F 〜210°F)の範囲である。
【0020】
【発明の効果】
本発明は、製造速度に予期せぬ改善をもたらすだけでなく、回収および精製セクションに用いるカラムのサイズを増大させることなくこの改善を達成する。さらに、製造速度が増大しても、生成物の品質の低下は全く認められない。実際、本発明を実施すると、生成物の品質は、最終生成物に見られるパーオキシド不純物レベルの低下により改善される。
【0021】
当業者には明らかなように、開示の思想および範囲または特許請求の範囲の範囲から逸脱することなく、上記の開示および議論に照らして、本発明の種々の改変がなされ得、そして追従され得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】アクリロニトリルの製造に適用されるプロセスを説明する模式図である。
【符号の説明】
1、3、9、15、23、31、35 導管
5 吸収カラム
13 第1蒸留カラム(回収カラム)
19 デカンター
27 第2蒸留カラム
33 第2デカンター
Claims (7)
- アクリロニトリルまたはメタクリロニトリルの製造プロセスであって、
プロピレンまたはイソブチレンのアンモ酸化により得られる反応器流出物をクエンチカラムに移し、熱い該流出物ガスを水煙と接触させることにより冷却する工程;
該冷却した反応器流出物オーバーヘッドを吸収カラムに通し、粗製のアクリロニトリルまたはメタクリロニトリルを水に吸収させる工程;
該粗製のアクリロニトリルまたはメタクリロニトリルを含有する水溶液を生成物精製のための第1蒸留カラムに通す工程;
該オーバーヘッド生成物を、該アクリロニトリルまたはメタクリロニトリルを含む該第1蒸留カラムから第1デカンターに送り、第1水層とアクリロニトリルおよびメタクリロニトリルを含有する第1有機層とを形成する工程;
該第1有機層を該アクリロニトリルまたはメタクリロニトリルのさらなる精製のための第2蒸留カラムに移す工程;
該第2蒸留カラムから側流としてアクリロニトリルまたはメタクリロニトリルを回収し、該アクリロニトリルまたはメタクリロニトリルを第2デカンターに貯蔵し、第2水層および第2有機層を形成する工程;
該第2有機層から該第2蒸留カラムの底部にアクリロニトリルまたはメタクリロニトリルを移す工程、
最終精製および回収のために該第2蒸留カラムから底部の流れとして該アクリロニトリルまたはメタクリロニトリルを回収する工程、
を包含し、
該第1デカンターおよび該第2デカンターの内部温度が、0℃〜24℃に維持される、プロセス。 - 前記第1デカンターの前記内部温度が、0℃〜21℃に維持される、請求項1に記載のプロセス。
- 前記第1デカンターの前記内部温度が、0〜18℃に維持される、請求項2に記載のプロセス。
- 前記第2デカンターの前記内部温度が、1.7℃〜20℃に維持される、請求項1に記載のプロセス。
- 前記第2デカンターの前記内部温度が、4.4℃〜18℃に維持される、請求項4に記載のプロセス。
- 前記反応器流出物が、プロピレン、アンモニアおよび酸素のアンモ酸化により得られ、アクリロニトリルを生成する、請求項1に記載のプロセス。
- 前記反応器流出物が、流動床触媒と接触する流動床反応器内でのプロピレン、アンモニアおよび空気の反応により得られる、請求項1に記載のプロセス。
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