JP4163730B2 - 耐震構造体 - Google Patents

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Description

本発明は、ボールジョイントを接点(接合部)とする四角錐の骨組みを組み合わせてなる耐震構造体に関する。
日本国は、地震、火山活動が活発な環太平洋変動帯に位置し、国土面積と比較して、地震の発生回数や活火山の分布数の割合はきわめて高いものとなっている。一方、旧耐震基準で作られた木造住宅は、設計の見直しにかかる人的資源や時間不足、資金不足などから、ほとんどの木造住宅が耐震強度の見直しがされないまま、放置されている。また、1995年1月17日に発生した阪神・淡路大震災では、大半の被災者は、就寝中であり、震災による死亡原因の80%以上が、建物、家具類の倒壊による圧死であったと報じられている。住宅の倒壊を免れたにもかかわらず、全体の約6割の部屋で家具が転倒し、部屋全体に散乱したというデータがある。
このように、従来の構造物の多くは耐震強度が十分ではなく、地震に伴い、倒壊する危険がある。ようやく最近になって、一部の家具類の倒壊防止のための補助金具が一般家屋に導入され始めてはいるが、貸家や賃貸マンション、テナント等では、引越しの際に補修費用がかさむため、家具類の倒壊防止等の補助金具の使用は手控えられている。なお、これまでに提案されている耐震シェルター類は、設備が大掛かりであり、かつ、高額であることから普及していない。
このように、例えば、就寝中に地震が発生した場合には、箪笥や棚等が倒れたり、物が落下したりするが、それらから就寝者自身の身を守ることができないため、就寝者が危険な状態となる。
従来、就寝用の耐震具としては、特許文献1のように、三角テント形で簡単に折りたたみ収納できる低コストの耐震具が開示されている。また、特許文献2のように、長さ方向の両端部の距離を可変とする折りたたみ可能な耐震具が開示されている。
特開2004−16796号公報 特開平9−41710号公報
上記特許文献1記載の耐震具は、その各下辺には三角テント状になる幅の長さに調整した幌布等の開閉制御体を取り付けていることから、簡単に折りたたみ収納できる反面、横方向の外力が加わると耐震具が閉じてしまう欠点がある。また、上記特許文献2記載の耐震具は、長さ方向のフレームが蛇腹状に伸縮可能となっていることから、簡単に折りたたみ収納できる反面、長さ方向の外力が加わると耐震具が変形する欠点がある。このため、落下物の落下方向によっては、かえって就寝者に危険が及ぶ可能性があるという問題点を有する。
上記引用文献のように、従来、容易に組み立てとその解除が出来る耐震具は、落下物の落下方向によっては、大きく変形することがあり、耐震具の内部を保護するには十分とはいえなかった。
そこで、本発明は、容易に組み立とその解除ができ、地震にも強く、落下物の落下方向によらず、あらゆる方向から加わる外力(せん断力、又は集中荷重、若しくは等分布荷重)に対して高い耐荷重性能を有して、構造物の内部を保護する耐震構造体を提供することを目的とする。
上述した目的を達成するため、本発明者等は、長年に亘り建築構造物等を研究し、全く新しい耐震構造体を実現するに至った。すなわち、本発明にかかる耐震構造体は、複数本の支柱と、支柱との接合手段を有するボールジョイントとを備え、これらボールジョイントと支柱を上記接合手段により接続することにより組み合わせられるとともに、その解除が可能な四角錐の骨組みを横方向に並べた構造であり、これら複数の四角錐の互いの角部を共通の接点とするとともに、前記四角錐の頂点を連結する構造の耐震構造体であって、前記横に並べた四角錐の数は2組みであり、前記横に並べた四角錐の底面は、四角錐の共通の接点の2個のボールジョイントと、全体の四隅に配される4個のボールジョイントと、四角錐の共通のボールを有しない側面に配される2個のボールジョイントとからなり、これらと前記支柱を接続することにより三角形状のフレーム群が形成され、底面がすべて三角形状のフレームで構成されることを特徴とする。
部材を三角形状に組み合わせ作った構造体は、外力に対して高い抵抗力を持つ(トラス)。本発明によれば、地震により、物が落下する等の外力が加わっても、三角形状のフレームを組み合わせてなる四角錐の骨組みであることから、この構造物に加わった外力は、ボールジョイントを滑節とし、その外力を骨組み全体に分散させるので、この構造体全体で大きな荷重に耐えることができる。また、ボールジョイントと支柱の接続が接離可能に構成されているために、組み立てやその解除が容易である。
前記ボールジョイントと支柱を接続することにより形成される三角形状のフレームで構成されることにより、底面が三角形状のフレームにより構成されることとなり、底面にかかる外力に対して、その外力に対抗する荷重に耐えることができる。なお、上記四角錐の骨組みを2つ連結した状態で、上記接点(接合部)の数を10とすることにより、最小の接点数でありながら、全ての面を三角形状のみでフレームを構成することができる。
本発明としては、前記横に並べた四角錐の数は2組みであり、2組の四角錐の共通のボールジョイントを有しない側面に配される2個のボールジョイントと、前記四角錐の頂点として2個のボールジョイントを前記支柱で接続することが好ましい。
本発明によれば、2組の四角錐の組み合わせに係る四角形状の底面の4辺の各々に3個ずつのボールジョイントが配されるが、前記2組の共通のボールジョイントを有しない側面に配される2個のボールジョイントと、前記四角錐の頂点として2個のボールジョイントを前記支柱で接続することにより、この構造体の側方、つまり外力を受ける横方向の外力に対しても強い構造になり、耐震強度が高い耐震構造体が得られる。
本発明としては、前記ボールジョイントと前記支柱との接合手段は、嵌合孔と嵌合ピンとの組み合わせ又は雌ねじと雄ねじとの組み合わせであることが好ましい。
前記ボールジョイントと前記支柱との接合手段は、嵌合孔と嵌合ピンとの組み合わせ又は雌ねじと雄ねじとの組み合わせとすることにより、前記ボールジョイントと前記支柱との接合が容易となり、必要に応じて耐震構造体の組み立ておよび分解ができる。
本発明としては、前記支柱には、伸縮手段としてばね又は継ぎ手が備わり、伸縮自在となる構成であることが好ましい。
前記支柱が、伸縮手段としてばね又は継ぎ手が備わり、伸縮自在となる構成であることにより、耐震構造体の全体の大きさを適宜調整することができる。また、例えば、前記支柱と前記ボールジョイントを接合する際に、例えば、前記支柱に備わるばねの伸縮を利用したり、前記支柱に備わる継ぎ手の接合深さを調整したりすることで、前記支柱の長さが固定である場合と比較して耐震構造体の組み立てが容易となる。
本発明としては、前記ボールジョイントは、球形の硬質金属からなるとともに、前記支柱の径よりも大きなものであることが好ましい。
前記ボールジョイントが、硬質金属からなることにより、ボールジョイント自体の変形を抑えて、外力を効率的に骨組み全体に分散させることができる。硬質金属の材質としては、例えば、鋼鉄やアルミニウム合金がある。また、前記ボールジョイントが、前記支柱の厚さよりも大きなものであることにより、嵌め込み式パネル等を外周に設置すると、嵌め込み式パネル等に落下物が当たっても、その衝撃は、ボールジョイントに伝達し、ボールジョイントが、その衝撃力を骨組み全体に分散させることができ、支柱に直接外力(せん断力、又は集中荷重、若しくは等分布荷重)が加わる心配がない。また、上記ボールジョイントの大きさにより、底面側では、脚部としての働きが生じて、支柱が床や地面に直接接触するようなことがない。
本発明としては、前記ボールジョイントの外側に、スライドレールを介してスライド式開閉戸と嵌め込み式パネルを設置に、少なくとも底面以外を覆うような構成が好ましい。スライド式開閉戸又は嵌め込み式パネルの材質としては、例えば、強化ガラスや強化プラスチックがある。また、ステンレス鋼板に採光用として複数のスリットが形成されたものでもよい。
前記ボールジョイントの外側にスライド式開閉戸と嵌め込み式パネルを設置することにより、地震や台風などにより、物が落下しても、スライド式開閉戸又は嵌め込み式パネルが落下物の衝撃を受け、耐震構造体の内部を保護する。すなわち、落下に伴う粉塵やガラス片や木材片等が内部に入り込むことを防止する。また、前記ボールジョイントの外側にスライド式開閉戸又は嵌め込み式パネルが設置され、スライド式開閉戸又は嵌め込み式パネルとボールジョイントは、支柱の径よりも大きなボールジョイントにより接触(点接触)していることから、スライド式開閉戸又は嵌め込み式パネルに加わった衝撃力は、ボールジョイントに伝達し、ボールジョイントが、その衝撃力を骨組み全体に分散させることができ、支柱に直接不要な外力(せん断力、又は集中荷重、若しくは等分布荷重)が加わる心配がない。
本発明としては、前記複数のボールジョイントに移動手段としての車輪を備える構成が好ましい。
前記複数のボールジョイントに移動手段としての車輪を備えることにより、組み立て後の耐震構造体を一人でも容易に移動させることができる。
本発明によれば、複数のボールジョイントと複数の支柱を接合手段により接続することにより組み立てと解除が可能な四角錐の骨組みを横方向に並べた構造であり、これら複数の四角錐の互いの角部を共通の接点とするとともに、前記四角錐の頂点を連結する構造であることにより、地震により、物が落下する等の外力が加わっても、外力に対して高い抵抗力を持ち、外力は、ボールジョイントを滑節とし、その外力を骨組み全体に分散させ、この構造体全体で大きな荷重に耐えることができる。特に、四角錐の下方の四隅の4個の間に各々4個配される構造によれば、底面を含めて全ての面が三角形のフレームとなり、どの方向から加わる外力であっても、高い耐荷重性能の構造物体を提供することが可能になる。また、前記ボールジョイントと前記支柱とは、ねじにより接合したり、外したりすることが容易で、組み立てや、持ち運びや収納の便宜が図られる。
以下、本発明を適用した具体的な実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、耐震構造体S1の斜視図である。図2は、図1の接合部の分解斜視図である。耐震構造体S1は、ボールジョイントB11,B12,B13,B14,B31,B32,B41,B42と、支柱F11〜F22等とからなり、ボールジョイントB11〜B42と前記支柱F11〜F14等を接続することにより四角錐A1,A2の骨組みを横に並べるとともに、四角錐A1,A2の頂点B41,B42を連結した構造からなる。本実施の形態では、ボールジョイントB11〜B42は、全部で10個あり、支柱F1〜F14等は、全部で24個ある。
ボールジョイントB11等は、支柱F11〜F22等を接続する接点になるものであり、ここではアルミニウム合金製の球形であり、複数の嵌合孔hを有する。本実施の形態では、前記横に並べた四角錐の数は2組みであり、四角錐A1,A2の頂点として2個のボールジョイントB41,B42と、底面側のボールジョイントB11等の8個の接点で構成されている。8個のボールジョイントB11等は、2組の四角錐A1,A2の共通の2個のボールジョイントB31,B32と、2組の四隅に配される4個のボールジョイントB11,B12,B13,B14と、上記2組の共通のボールジョイントを有しない側面に配される2個のボールジョイントB21,B22とからなる。
支柱F11〜F22等は、両端に嵌合ピンp11を有して、ボールジョイントB11等の嵌合孔h11に嵌合して組み立てられるものであり、ここではアルミニウム合金製の中空パイプで構成されているが、鋼鉄製等その他の材料で構成することも可能である。そして、支柱F11〜F22の直径よりも上記ボールジョイントB11等の方が大きなものが使用されている。すなわち、ボールジョイントB11等と支柱F11〜F22等を連結したときに、支柱F11〜F22等の直径がボールジョイントB11の外径よりも大きくならないように構成されている。なお、このため、例えば、ボールジョイントB11の嵌合孔h11と支柱F11の嵌合ピンp11を嵌合することで、耐震構造体S1を組み立てる。また、例えば、ボールジョイントB11の嵌合孔h11から支柱F11の嵌合ピンp11を引き抜くことで、耐震構造体S1を分解することができる。
ここで、本実施の形態では、接点(ボールジョイントB11等)の総数は、10個であるが、上記共通のボールジョイントを有しない側面に配される2個のボールジョイントB21,B22を除いたもので構成することも可能である。四角錐の場合は、底面部は三角形状のフレームとはならないが、複数組の四角錐の組み合わせA1,A2で、トラス構造を実現できる。また四角錐の数は、2個以上で構成することも可能である。また、上記共通のボールジョイントを有しない側面に配される2個のボールジョイントB21,B22を配置した場合でも、底面は、図1のように三角形状のフレームFa,Fb,Fcで構成されるものが好ましい。底面が三角形状のフレームFa,Fb,Fcにより構成されることにより、底面に伝達してくる外力に対しても強い構造になるからである。そして、上記ボールジョイントB21と一方の頂点B41とを支柱F21により接続し、上記ボールジョイントB22と他方の頂点B42とを支柱F22により接続することが更に好ましい。横方向の外力Aa,Abに対しても強い構造になり、耐震強度が高い耐震構造体が得られるからである。なお、四角錐の共通の2個のボールジョイントB31とB32との中間には、接合部(接点)も支柱も配されていないが、二個の頂点B41,B42は連結されていること、全体にかかる外力として最も問題となる横方向の外力は、方向Aa,Abの外力であることによる。すなわち、図1のような構成とすると、底面の構造も、横方からの外力Aa,Abに対しても強い構造になる。
図3は、別の実施の形態の耐震構造体S2の接合部の斜視図である。図4は、耐震構造体S2の接合部の分解斜視図である。支柱F21の両端には、これとは別部材の嵌合ピンp21を有するカバー体c21が着脱可能に取り付けられている。嵌合ピンp21は、支柱F21の直径よりも細く形成しており、ボールジョイントB21の嵌合孔h21の直径を嵌合ピンp21のサイズに合わせて小さく形成出来るので、嵌合孔h21と嵌合ピンp21とが嵌合し易いものとなっている。
図5は、更に別の実施の形態の耐震構造体S3の接合部の斜視図である。図6は、耐震構造体S3の接合部の分解斜視図である。支柱F31の両端は雄ねじp31,p31が加工されており、ボールジョイントB31には雌ねじh31が加工されているため、支柱F31をボールジョイントB31にねじ込むことで、容易にボールジョイントB31と支柱F31とを接合することができる。ここで、支柱F31の両端にある雄ねじp31,p31は、右回転ねじでも良いし左回転ねじでも良いが、支柱F31の両端を同時に2個のボールジョイントに取り付けたり、同時に取り外したりする場合には、支柱F31の片方が右回転ねじの場合は、反対側が左回転ねじのほうが好ましい。
図13は、耐震構造体S8の接合部の分解斜視図である。支柱F31の両端は雌ねじh11,h11が加工されており、ボールジョイントB31には雄ねじp11が設けられているため、支柱F11をボールジョイントB31にねじ込むことで、容易にボールジョイントB31と支柱F11とを接合することができる。ここで、支柱F11の両端にある雌ねじh11,h11は、右回転ねじでも良いし左回転ねじでも良いが、支柱F31の両端を同時に2個のボールジョイントに取り付けたり、同時に取り外したりする場合には、支柱F31の片方が右回転ねじの場合は、反対側が左回転ねじのほうが好ましい。また、ボールジョイントB31と雄ねじp11は、一体成型しても良いし、ボールジョイントB31に予め雌ねじを加工した後、雄ねじp11をねじ込んでも良い。例えば、雄ねじp11をボールジョイントB31に右回転でねじ込む場合は、支柱F31へは左回転でねじ込むことにより、ボールジョイントB31と支柱F11が雄ねじp11で同時に締め付けることができる。
図7は、別の構造の支柱F41の分解斜視図である。支柱F41は、両端に突起部t41を備える中心軸L41の両端にばねw41を取り付け、ボールジョイントB41の嵌合孔h41に対応する嵌合ピンp41を備えるカバーc41を取り付ける構成である。このため、支柱F41の両側は、ばねw41により伸縮自在となり、例えば、ボールジョイントB41と支柱F41の組み立ての際、すでに他の支柱F42等がボールジョイントB41に接続されている場合でも、支柱F41の全長を縮ませることで、支柱F41とボールジョイントB41の組み立てが容易となり、組み立て後は、支柱41の全長が元にもどることとなる。
図8は、別の構造の耐震構造体S5の側面図である。支柱F51は、第1と第2の支柱L51,L52が継ぎ手k50により連結されるものであり、両端に雌ねじq51,q52を備える継ぎ手k50を第1と第2の支柱L51,L52の片側に設けた雄ねじq51,q52により接続され、第1と第2の支柱L51,L52の他方には、ボールジョイントB51,B52に備わる雌ねじh51,h52と対応する雄ねじp51,p52が備わっている。このため、継ぎ手k50への雄ねじq51,q52のねじ込み量を調整することで、支柱F51の全体長さを調整できる。また、耐震構造体S5の全体の大きさを雄ねじq51,q52の長さの範囲内で調整できる。なお、ここでは、継ぎ手k50には雌ねじh51が備わっており、中心軸L51には雄ねじp51が備わっているとしたが、継ぎ手k50に雄ねじp51が備わっており、中心軸L51に雌ねじh51が備わっている組み合わせでも同様の効果が得られる。
図9は、耐震構造体S6のボールジョイントB61にキャスターCA61を付ける構成のキャスター取り付け図である。キャスターCA61とボールジョイントB61は、ねじ込み式で取り付けても良いし、嵌合式で取り付けても良い。キャスターCAは、耐震構造体S6の下側に6個ないし8個取り付ける。キャスターCAは、車輪でも良いし、球体でも良い。
図10は、耐震構造体S7に、4箇所のスライド式開閉戸ds1,ds2,ds3,ds4と、4箇所の嵌め込み式パネルdx1,dx2,dx3,dx4と、スライドレールRa1とRb1,Rb2と、床板Fa1,Fa2を設置した斜視図である。図11は、図10の分解斜視図である。4箇所の嵌め込み式パネルdx1,dx2,dx3,dx4と、スライドレールRa1,Rb1,Rb2は、それぞれ嵌合ピンPpを有しており、ボールジョイントB11等の嵌合孔Paに嵌合して接合する。スライド式開閉戸dsと嵌め込み式パネルdxと床板Fa1,Fa2には、それぞれ補強用としての外枠Ffが付属する。床としては、上記床板Fa1とFa2の2枚を敷いても良い。また、上記床板Fa1とFa2の間にヒンジ付きの中継板を取り付け、回転式の折畳み可能なものとして、構造体内部に持ち込み易く、そして広げ易いものとすることが可能である。このように、スライド式開閉戸ds等と嵌め込み式パネルdx等をボールジョイントB11等に取り付けると、スライド式開閉戸ds等又は嵌め込み式パネルdx等に加わった衝撃力(外力)は、ボールジョイントB11,B12等に伝達し、支柱F11,F12等に不要な外力(せん断力)が加わる心配がない。
図12は、耐震構造体S7の内部に就寝具としての布団Shを設置した透視図である。就寝者は、スライド式開閉戸ds1をスライドさせて、開けた入り口から耐震構造体S7の内部に入り、スライド式開閉戸ds1をスライドさせて入り口を閉めて、就寝する。図12では、就寝具として布団Shを耐震構造体S7に設置したが、床Fa1,Fa2を外して、ベッドを耐震構造体S7に設置しても良い。
上述した耐震構造体は、ピラミッド状に枠を組み、四角錐の骨組みA1,A2を横に並べ、前記四角錐の頂点B41,B42を連結した連結ピラミッド型構造となっており(図1)、耐震構造体としての機能に加え、デザイン上の美観を兼ね備える。特に、四角錐の下方の四隅B11,B12,B13,B14の間にB21,B22が配されるので、2組の四角錐の骨組みA1,A2の組み合わせであっても、その底面側も三角形のフレームの構成Fa,Fb,Fcとなり、トラス構造となり(図1)、横方向等(図1の符号Aa,Ab参照)から受ける外力に対しても強い構造になる。したがって、耐震構造体S1〜S7の内部で就寝すると、阪神・淡路大地震のような地震が発生して、家の倒壊等が生じた際、就寝者の生存率を高めることができる。また、図12に示す例では、地震等により物が落下しても、スライド式開閉戸ds1等と嵌め込み式パネルdx1等により、就寝者に落下物が当たる事態を防止することができる。また、支柱F1〜F24等の直径よりも上記ボールジョイントB11等の外径の方が大きなものが使用されている等から、スライド式開閉戸又は嵌め込み式パネルに加わった衝撃力は、ボールジョイントB11等に伝達し、ボールジョイントB11等が、その衝撃力を骨組み全体に分散させることができ、支柱F1〜F24等に不要な外力(せん断力、又は集中荷重、若しくは等分布荷重)が加わる心配がない。なお、耐震構造体S1〜S8は、上記接合手段h11,p11等により分解が可能であるから、その運搬や収納も容易に行うことができる。
以上、本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではない。例えば、上述した実施の形態では、上記耐震構造体は、床に設置するものとして説明したが、床と上記耐震構造体との間に、高さ調整可能なジャッキ式の台、或いは高さ調整可能なスプリング式の台等を入れて、就寝しやすい高さに調整することも可能である。
また、本発明は、建築物にも適用可能である。すなわち、建築構造物としても強度の高いトラス構造を提供することができる。そして、上述した耐震構造体は、就寝用シェルターや建築構造物(展示用のオブジェクト等を含む)の用途以外にも、様々な応用ができる。例えば、連結ピラミッド状構造の耐震構造体の中で瞑想をすると精神集中ができ記憶力が上がるなどの二次的効果等も期待でき、デザイン性にも優れている。また、防犯用として使用したり(就寝中に家に侵入された場合の侵入者に対する護身用等)や、緊急用の避難テントとしても使用可能である。このように、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能であることは言うまでもない。
本発明の一実施の形態として示す耐震構造体の斜視図である。 上記耐震構造体の接合部の分解斜視図である。 本発明の他の実施の形態として示す耐震構造体の接合部の斜視図である。 上記耐震構造体の接合部の分解斜視図である。 本発明の他の実施の形態として示す耐震構造体の接合部の斜視図である。 上記耐震構造体の接合部の分解斜視図である。 本発明の他の実施の形態として示す支柱の分解斜視図である。 本発明の他の実施の形態として示す耐震構造体の側面図である。 本発明の他の実施の形態として示す耐震構造体のキャスター取り付け図である。 本発明の他の実施の形態として示す耐震構造体の斜視図である。 本発明の他の実施の形態として示す耐震構造体の分解斜視図である。側面図である。 本発明の他の実施の形態として示す耐震構造体の透視図である。 本発明の他の実施の形態として示す耐震構造体の接合部の分解斜視図である。
符号の説明
S1,S3,S5,S6,S7,S8 耐震構造体、
B11,B12,B13,B14 ボールジョイント、
B31,B32 四角錐の共通のボールジョイント、
B21,B22 四角錐の共通のボールジョイントを有しない側面に配される2個のボールジョイント、
B41,B42 四角錐の頂点のボールジョイント、
F11〜F61 支柱、
Fa,Fb,Fc (底面側の)三角形状のフレーム、
A1,A2 四角錐の骨組み、
h11,h21,h31 嵌合孔(雌ねじ、接合手段)、
p11,p21,p31 嵌合ピン(雄ねじ、接合手段)、
w41 ばね、
k50 継ぎ手、
CA61 キャスター、
ds1,ds2,ds3,ds4 スライド式開閉戸、
Ra1,Rb1,Rb2 スライドレール、
dx1,dx2,dx3,dx4 嵌め込み式パネル、
Sh 布団

Claims (7)

  1. 複数本の支柱と、支柱との接合手段を有するボールジョイントとを備え、これらボールジョイントと支柱を上記接合手段により接続することにより組み合わせられるとともに、その解除が可能な四角錐の骨組みを横方向に並べた構造であり、これら複数の四角錐の互いの角部を共通の接点とするとともに、前記四角錐の頂点を連結する構造の耐震構造体であって、
    前記横に並べた四角錐の数は2組みであり、前記横に並べた四角錐の底面は、四角錐の共通の接点の2個のボールジョイントと、全体の四隅に配される4個のボールジョイントと、四角錐の共通のボールジョイントを有しない側面に配される2個のボールジョイントとからなり、これらと前記支柱を接続することにより三角形状のフレーム群が形成され、底面がすべて三角形状のフレームで構成されることを特徴とする耐震構造体。
  2. 前記横に並べた四角錐の数は2組みであり、前記2組の四角錐の共通のボールジョイントを有しない側面に配される2個のボールジョイントと、前記四角錐の頂点として2個のボールジョイントを前記支柱で接続することを特徴とする請求項記載の耐震構造体。
  3. 前記ボールジョイントと前記支柱との接合手段は、嵌合孔と嵌合ピンとの組み合わせ又は雌ねじと雄ねじとの組み合わせであることを特徴とする請求項1又は2記載の耐震構造体。
  4. 前記支柱は、伸縮手段としてばね又は継ぎ手が備わっており、伸縮自在となることを特徴とする請求項1乃至3いずれか1項記載の耐震構造体。
  5. 前記ボールジョイントは、球形の硬質金属からなるとともに、前記支柱の径よりも大きなものであることを特徴とする請求項1乃至4いずれか1項記載の耐震構造体。
  6. 前記ボールジョイントの外側に、嵌め込み式パネルを設置するとともに、スライドレールを介してスライド式開閉戸を設置して、少なくとも底面以外を覆うように構成することを特徴とする請求項1乃至5いずれか1項記載の耐震構造体。
  7. 前記複数のボールジョイントに移動手段としての車輪を備えることを特徴とする請求項1乃至6いずれか1項記載の耐震構造体。
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