JP4163359B2 - 研磨用定盤 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、研磨用定盤に関し、さらに詳細には、被研磨物の被研磨面が押し当てられて該被研磨面を平坦に研磨する研磨面が表面に形成され、内部に、厚さ方向について2層に冷却液が流通されるように、表面側の冷却流路及び裏面側の冷却流路が形成された定盤を備える研磨用定盤に関する。
【0002】
研磨用定盤は、例えば。被研磨物であるウェーハの表面を研磨するウェーハの研磨装置の構成要素として設けられる。ウェーハの研磨装置には、ポリシング装置及びラッピング装置がある。
この研磨用定盤を構成要素とするポリシング装置又はラッピング装置によれば、薄板状の被研磨物であるウェーハの表面、例えば半導体装置用のシリコンウェーハの表面を、高精度に鏡面研磨又は平坦化することができる。
また、研磨用定盤は、ポリシング装置用の場合には通常、金属板またはセラミックス板から成る定盤(本体)の表面上に、布もしくはフェルト状のクロス、またはスポンジもしくは短毛刷子状の部材等の研磨面を構成する部材が固定されて構成される。そして、この研磨用定盤は、広義には金属板またはセラミックス板から成る定盤を受けて支持する定盤受け部等の構成を含むものである。
【0003】
【従来の技術】
従来から、上記のようなウェーハの研磨装置において、その研磨用定盤の本体(以下、単に「定盤」という)は、ウェーハの研磨精度を向上させるため、高い平坦度が要求される。特に半導体チップの原料となるシリコンウェーハの平坦度は、サブミクロンの精度が要求されているため、定盤は僅かな変形も許されず、その剛性は非常に高いことが要求される。剛性を高めるには、その材質を選択すること、或いはその板厚を厚くすることによっている。なお、従来の定盤の材質は、一般的にポリシング装置の場合はその耐化学性からステンレススチールが用いられ、ラッピング装置の場合は鋳鉄が用いられている。
【0004】
しかし、上記従来の研磨用定盤では、被研磨物(ウェーハ)の表面と研磨面とが擦れ合う際に発生する熱によって、定盤の研磨面側が温められて熱膨張によって変形し、研磨の開始時とある時間が経過した後の研磨面の平坦度が変化していた。すなわち、定盤の研磨面側である表面側の温度が摩擦熱によって高いのに対し、定盤の裏面側は温度が低いため、定盤は表面側が凸状に反ってしまい、そのためにウェーハ表面の平坦度(研磨精度)を向上できないという課題があった。従来例としては、室温摂氏24度の恒温室において定盤の研磨面が摂氏40度以上になると、研磨面の平坦度が低下してウェーハを所望の平坦度に研磨できないという課題があった。
【0005】
これに対し、従来は、先ず、図5(斜視断面図)、図6(平面断面図)に示すように定盤52の内部に単層の冷却水が流通する冷却流路60を形成し、その冷却流路60に冷却水を流して定盤52が過熱することを抑制して定盤52が変形することを抑制していた。なお、図中の矢印は冷却水の流れ方向を示す。冷却流路60を、ジグザク状に形成したのは、冷却水によって全面を効率良く冷却させるためである。
しかし、このように冷却しても、表面(研磨面側の面)と裏面との間の温度勾配は、表面が高く裏面側へいくに従って一方的に低くなってしまう。従って、表面側が伸び、定盤は全体的に表面側が凸状に反るように変形することは避けられない。
なお、放熱性を高める形状構造にして冷却効率を高めることは考えられるが、そのような形状構造にすると剛性が低下してしまい、ウェーハを押し当てる押圧力等によって研磨面の精度がかえって低下することになる。
また、低温の冷却水を流すと、定盤の表面が良く冷却されるものの、裏面も必要以上に冷却されることになり、結果的に定盤の表面と裏面との間の温度勾配にかかる関係は変わらず、定盤の変形は避けられない。
【0006】
このため、従来は、ウェーハの表面と研磨面とが擦れ合うことによって生じる発熱量自体を抑制するよう、研磨速度を低く抑えていた。(なお、研磨速度を抑えるには、ウェーハを研磨面に押し当てる押圧力を低くすることと、ウェーハと研磨面との相対的な運動の速度を遅くすればよい。)従って、従来の研磨用定盤では研磨効率を高めることができない。
【0007】
(背景技術)
以上に説明した従来技術に対しては、特開平10−296619号公報に、本願出願人によって先に提案された2層の冷却流路を備える研磨用定盤(背景技術)が開示されている。すなわち、その背景技術の研磨用定盤は、被研磨物の被研磨面が押し当てられてその被研磨面を平坦に研磨する研磨面が、表面側に形成されるように設けられた定盤を備え、その定盤の内部に、厚さ方向に2層に冷却液が流通される冷却流路が形成され、その2層の冷却流路にかかる層間隔の部分に相当する芯層部の厚さが、表面と表面側の冷却流路との層間隔の部分に相当する表層部の厚さ、及び裏面と裏面側の冷却流路との層間隔の部分に相当する裏層部の厚さよりも厚いことを特徴としている。
【0008】
次に、上記背景技術の具体的な構成について、図7〜9に基づいて、詳細に説明しておく。本背景技術の具体的な構成の特徴は、芯層部15、表層部14、及び裏層部16が別々に成形され、その3層が積層・固定されて形成されたことにある。図7は側断面図であり、図8は図7のX−X線断面図であって表面側の冷却流路20Aを示し、図9は図7のY−Y線断面図であって裏面側の冷却流路20Bを示している。
【0009】
表層部14は、全体的には円板状に形成され、その下面に表面側の冷却流路20Aとなる溝が形成されている。この溝は図8に明らかなように円形を3分割した扇形平面内で引き回された形状となっており、表層部14の下面に3本設けられている。その溝の引き回し形状は、溝の一端が円板の中心から始まり、直線的に外周部まで引き出され、円板の外周部から内部へ向かって同心円的に順次小さくなる複数の弧を連ねたジグザグ状に引き回され、円板の中心部にきたところで、再び直線的に外周部まで引き出された形状となっている。この形状によって効率良く、且つ周速度の速い面から冷却するので、均一に冷却できる。なお、溝の一端で円板の中心に位置する部位は、冷却液である冷却水の流入口23になる。また、溝の他端で円板の外周に位置する部位は、芯層部15の層間流路22と連通し、冷却水を裏面側の冷却流路20Bへ排出する流出口24となっている。
【0010】
芯層部15は、全体的には円板状に形成され、両面は平坦に形成されている。円板の中心には厚さ方向に連通し、冷却水を表面側の冷却流路20Aへ供給する給水管路40が通過される貫通孔が形成されている。また、円板の外周には、前記表層部14の流出口24に対応する位置に、層間流路22となる貫通孔が形成されている。この芯層部15は、前記表層部14及び後述する裏層部16の2倍の厚さに設定されており、その剛性は8倍になっている、従って、後述するように定盤12の平坦度を好適に維持できる。
【0011】
また、裏層部16は、全体的には円板状に形成され、その上面に裏面側の冷却流路20Bとなる溝が形成されている。この溝は、図9に明らかなように円形を3分割した扇形平面内で引き回された形状となっており、3本が設けられている。その引き回し形状は、溝の一端が円板の外周部から始まり、円板の外周部から内部へ向かって同心円的に順次小さくなる複数の弧を連ねたジグザグ状に引き回され、円板の中心部の開口部へ連通する形状となっている。この形状によって効率良く、且つ周速度の速い面から冷却するので、均一に冷却できる。なお、溝の一端で円板の外周に位置する部位は、芯層部15の層間流路22と連通し、冷却水を裏面側の冷却流路20Bへ流入する流入口25となっている。また、溝の他端であって円板の中心に位置する部位は、冷却水の排出口26になっている。
【0012】
以上の表層部14、芯層部15及び裏層部16の3層は、多数のボルト28によって締め付けられて一体に固定されている。なお、29はリング状のパッキンであり、密着する層部間の水密シールをしている。
【0013】
また、18は表層定盤であり、定盤12上に着脱可能に載置されている。本実施例ではクランプ19によって着脱可能に固定されているが、真空装置を用いて吸着によって着脱可能に固定してもよい。表層定盤18の表面には、布もしくはフェルト状のクロス、またはスポンジもしくは短毛刷子状の部材等が固定されて研磨面11が構成される。
このような表層定盤18を使用するのは、研磨面11の保守管理を容易に行うためである。すなわち、クロス等の張り替え等を行う際に、取り外して外部で行うことができ、また、容易に交換できるためメインテナンスを容易にできるという利点がある。しかしながら、この表層定盤を用いず、定盤12の表面に直にクロスを貼付して研磨面11を形成してもよいのは勿論である。そのように研磨面11を形成すれば、冷却水による冷却効果がより直接的に研磨面11にあらわれ、研磨の際の摩擦熱による熱変形を抑制する意味では効果的である。
【0014】
30は基体であり、定盤12を、ベアリング32を介して軸線を中心に回転自在に支持している。
34は駆動軸であり、定盤12の裏面に固定され、定盤12の面に直交する方向(図7では下方)に延びて設けられている。この駆動軸34は、定盤12の下方に配設された回転駆動モータに連結されており、その駆動力によって、研磨用定盤10を、軸線を中心に回転させる。
また、定盤12を揺動運動させるように、基体30自体が他の基礎部材に揺動可能に支持されていてもよい。揺動運動としては、直線的な往復運動や、自転しない旋回運動のような運動を採用すればよく。これにより、ウェーハをより均一に研磨することが可能になる。
【0015】
40は給水管路であり、冷却水を表面側の冷却流路20Aへ供給するように、その表面側の冷却流路20Aに連通している。また、42は排出管路であり、裏面側の冷却流路20Bから排出するように、その裏面側の冷却流路20Bに連通している。
そして、給水管路40及び排出管路42には、冷却水の給排手段が接続されている。例えば、給水管路40には冷却水供給源を接続し、排出管路42には吸引装置を接続して冷却流路20に冷却水を循環させてもよい。吸引装置としてはトロコイドポンプを利用できる。吸引による場合は真空度をいくら上げても一気圧にしかならず、研磨定盤の変形が一定以上にならないという利点がある。但し、高圧流を利用しても良いのは勿論である。
【0016】
給水管路40及び排出管路42は、駆動軸34に内部を通り、その駆動軸34下部に設けられたディストリビュータ部を介して前記の冷却水の給排手段に接続されている。なお、ディストリビュータは、駆動軸34が回転しても、冷却水を漏らさず、給水管路40及び排出管路42を介して給排する機構であり、公知の技術を利用できる。
また、45はカバーであり、定盤12側面に裏面側へ延びた形状に装着されており、スラリーの飛散避けであり、定盤12を回転させる回転駆動機構を保護している。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記背景技術の具体例によれば、表層部14、芯層部15及び裏層部16の3層を、多数のボルト28によって締め付けることで固定しているもので、切れ目がなく一体的に形成されたものに比較して優れた剛性を確保することが難しい。また、多数のボルト28の締め付け力の誤差によっても、内部応力にバラツキが生じ、定盤12の研磨面11について極めて高精度の平坦度を得ることが難しい。
これに対しては、定盤12全体を鋳造によって一体成形すればよいのであるが、定盤12は、その厚さが所定の寸法に限定されるものであり、その内部に細くて複雑な形状の冷却流路を精度良く形成することは難しく、製造コストが高くつくという課題があった。
【0018】
そこで、本発明の目的は、被研磨物の研磨精度を向上できると共に研磨速度を速めて生産性を向上できるように、2層の冷却流路を備える定盤全体が鋳造によって好適に一体成形され、剛性と研磨面の平坦度を向上できると共に、製造コストが高くなることを抑えることのできる研磨用定盤を提供することにある。
【0019】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本発明は次の構成を備える。
すなわち、本発明にかかる研磨用定盤は、被研磨物の被研磨面が押し当てられて該被研磨面を平坦に研磨する研磨面が表面に形成され、内部に、厚さ方向について2層に冷却液が流通されるように、表面側の冷却流路及び裏面側の冷却流路が形成された定盤を備える研磨用定盤において、前記定盤が鋳造によって一体的に形成されるように、前記表面側の冷却流路及び裏面側の冷却流路が、鋳型の一部である表面側の中子及び裏面側の中子によって成形され、該表面側の中子及び裏面側の中子を裏面側から支持するように設けられる柱状の中子によって、前記定盤の裏面から前記表面側の冷却流路に成形された抜き穴及び前記定盤の裏面から前記裏面側の冷却流路に成形された抜き穴が、該定盤の材質と同質の材料からなる蓋で溶接によって塞がれ、残留内部応力が熱処理によって除去されて設けられている。
【0020】
前記表面側の冷却流路と前記裏面側の冷却流路との層間隔の部分に相当する芯層部の厚さが、前記表面と前記表面側の冷却流路との層間隔の部分に相当する表層部の厚さ、及び前記裏面と前記裏面側の冷却流路との層間隔の部分に相当する裏層部の厚さよりも厚いことで、芯層部の剛性によって定盤が反ることを好適に防止でき、研磨面の平坦度を高精度に維持することができる。これにより、被研磨物の研磨精度を向上できると共に研磨速度を速めて生産性を向上できる。
【0021】
また、前記2層の冷却流路は相互に連通し、冷却液は、前記表面側の冷却流路、前記裏面側の冷却流路の順に流れることで、必然的に、表側の冷却流路へ流入される冷却液の温度が、裏側の冷却流路へ流入される冷却液の温度よりも低くなり、定盤全体をバランス良く且つ効率良く冷却することができ、定盤の平坦度を好適に維持して被研磨面を研磨する研磨精度を向上できる。
【0022】
また、前記表面側の中子を裏面側から支持するように設けられる柱状の中子が、前記裏面側の冷却流路を成形する裏面側の中子と重ならないように、前記表面側の冷却流路と前記裏面側の冷却流路とが、平面的に位置変位されていることで、2層にわたって抜き穴を塞ぐことを要せず、製造し易く、製造コストを低減できる。
【0023】
また、本発明にかかる研磨用定盤が、前記被研磨物がウェーハであり、該ウェーハをポリシング或いはラッピングする研磨装置に設けられることで、高い平面研磨精度が要求される分野に対応して好適に利用することができる。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施形態を添付図面に基づいて詳細に説明する。
図1は本発明にかかる研磨用定盤の基本構成を模式的に示す斜視断面図である。以下では、この研磨用定盤がウェーハの研磨装置に適用される場合について説明する。また、図2はウェーハの研磨装置に用いられる研磨用定盤の一実施例を示す側断面図であり、図3は図2の実施例について水平方向に切断した断面を含む平面図であって、表面側の冷却流路の一部と裏面側の冷却流路の一部とを示してある。
図1では、被研磨物であるウェーハの被研磨面であるウェーハ表面が押し当てられ、そのウェーハ表面を平坦に研磨する研磨面11が、表面側に形成されるように設けられた研磨用定盤10の定盤本体(以下、単に「定盤12」という)の内部構造を、断面で説明している。図に明らかなように定盤12の内部には、厚さ方向について2層に冷却液が流通されるように、冷却流路20が形成されている。なお、定盤12の表面には、布もしくはフェルト状のクロス、またはスポンジもしくは短毛刷子状の部材等が固定されており、それによって研磨面11が構成される。
【0025】
20Aは表面側の冷却流路であり、定盤12の表面(研磨面11)の側に設けられている。また、20Bは裏面側の冷却流路であり、前記研磨面11と反対の面である裏面13の側に設けられている。冷却流路20が2層であるため効率良く冷却できる。
この2層の冷却流路20A、20Bは層間流路22によって相互に連通し、冷却液は、図中の矢印のように、先ず表面側の冷却流路20Aへ供給され、定盤12の研磨面11を冷却した後、層間流路22を通って裏面側の冷却流路20Bへ供給される。
このように冷却液を表面側の冷却流路20Aから裏面側の冷却流路20Bの順に流すことで、表面側の冷却流路20Aへ流入される冷却液の温度が、必然的に、裏面側の冷却流路20Bへ流入される冷却液の温度よりも低くなる。すなわち、冷却液は表面側の冷却流路20Aを通過することで温められるので 裏面側の冷却流路20Bまで流れてきた際には、表面側の冷却流路20Aへ流入したときよりも、その温度は当然に上昇している。従って、冷却液による冷却効果は、定盤12全体にバランス良く作用し、定盤12の熱変形を抑制でき、研磨精度を好適に向上できる。
【0026】
そして、図1に示すように、前記2層の冷却流路20A、20Bの層間隔の部分に相当する芯層部15の厚さが、研磨面11(表面)と表面側の冷却流路20Aとの層間隔の部分に相当する表層部14の厚さ、及び研磨面の反対の面(裏面13)と裏面側の冷却流路20Bとの層間隔の部分に相当する裏層部16の厚さよりも厚い。例えば、本実施形態では、芯層部15の厚さが、表層部14の厚さ、又は裏層部16の厚さの3倍に設定されている。部材の剛性は厚さの3乗に比例して増大するので、芯層部15の剛性は、表層部14又は裏層部16の剛性の27倍になる。そして、芯層部15は、2層の冷却流路20A、20Bに囲まれて冷却水に包まれた状態になる。従って、芯層部15の温度は、2層の冷却流路20A、20Bの間にあって均一温度に保たれる。これによって芯層部15の熱変形を好適に抑制でき、その熱変形していない芯層部15の剛性を利用して表層部14及び裏層部16が変形することを抑制できる。すなわち、たとえ表層部14及び裏層部16が加熱されて熱膨張しようとしても、その力を剛性の高い芯層部15で引っ張り、内部応力として閉じ込めることができる。このように、芯層部15は冷却水によって囲まれて変形することが防止され、表層部14及び裏層部16も上述した原理で加熱されても変形することが抑制されることで、結局、定盤12全体としての熱による変形を抑制でき、研磨精度を好適に向上できる。
【0027】
この効果は、芯層部15の厚さを、表層部14及び裏層部16の厚さに比べ厚くすればするほど大きくなる。
このように芯層部15の剛性を好適に利用できるから、研磨面11の温度がある程度上昇しても研磨面11の平坦度の精度は低下しない。このため、研磨速度を速めても精度の高い研磨が可能となる。そして、その結果、研磨にかかる生産性を著しく向上できるのである。
【0028】
なお、冷却液を前記2層の冷却流路20A、20Bへ供給する態様は、上記のような実施形態に限定されるものではない。例えば、2層の冷却流路20A、20Bを相互に連通せず、冷却液が別々に供給される構造としてもよい。この場合、表面側の冷却流路20Aへ流入される冷却液の温度が、裏面側の冷却流路20Bへ流入される冷却液の温度よりも低くなるように、2つの冷却液の供給源を利用すればよい。
さらに、本発明の趣旨である定盤12全体の温度をより均一にするという点からは、定盤12の研磨面11側の上昇した温度に対応させて裏面13側の温度を上昇させるように、表面側の冷却流路20Aへ高い温度の液(例えば所定の一定温度に調整した温度調整水)を供給することも可能である。なお、ウェーハの加工を行う半導体装置製造工場では、一定温度に調整された水(温度調整水)を種々の温度について得られるように、複数の温度調整水の供給装置が備えられており、容易に2種類の温度調整水を得ることができる。従って、上記のような場合に、表面側の冷却流路20Aと、裏面側の冷却流路20Bとに異なる温度の温度調整水を容易に供給できる。
【0029】
次に、本発明にかかる特徴点について、図2及び図3に示した実施例に基づいて詳細に説明する。図2の中心線より左側の部分は、図3のE−E断面であり、図2の中心線より右側の部分は、図3のF−F断面である。また、図3の左側の部分断面は、図2のC−C断面であり、図3の右側の部分断面は、図2のD−D断面である。なお、図1に示した基本構成及び従来技術の欄で説明した背景技術の構成と同等の構成には同一の符号を付して説明を省略する。
定盤12が鋳造によって金属材で一体的に形成されるように、表面側の冷却流路20A及び裏面側の冷却流路20Bが、鋳型の一部である表面側の中子及び裏面側の中子(図示せず)によって成形されている。なお、上記の鋳型の中子とは、砂(鋳砂)を含む鋳型用材料によって設けられ、鋳物の成形後に除去されるものである。
【0030】
21aは表面側の冷却流路20Aに連通する抜き穴であり、前記表面側の中子を裏面13側から支持するように設けられる柱状の中子(図示せず)によって、定盤12の裏面13から表面側の冷却流路20Aに成形されている。この抜き穴21aは、定盤12の鋳物によって設けられた大部分の材質と同質の材料からなる閉塞部材である蓋27aで溶接によって塞がれている。すなわち、抜き穴21aに蓋27aを嵌め、その蓋27aを溶接によって接合部をシールするように固着することで、抜き穴21aを塞げばよい。これにより、定盤12内部に複雑な形状に設けられる表面側の冷却流路20Aを、好適に精度よく形成できる。なお、裏面側から抜き穴21aが設けられ、表層部14は一体的に成形されるため、研磨面11については平坦精度よく形成できる。
【0031】
21bは裏面側の冷却流路20Bに連通する抜き穴であり、前記裏面側の中子を裏面13側から支持するように設けられる柱状の中子(図示せず)によって、定盤12の裏面13から裏面側の冷却流路20Bに成形されている。この抜き穴21bは、定盤12の鋳物によって設けられた大部分の材質と同質の材料からなる閉塞部材である蓋27bで溶接によって塞がれている。すなわち、抜き穴21bに蓋27bを嵌め、その蓋27bを溶接によって接合部をシールするように固着することで、抜き穴21bを塞げばよい。これにより、定盤12内部に複雑な形状に設けられる裏面側の冷却流路20Bを、好適に精度よく形成できる。なお、裏面側から抜き穴21bが設けられ、表層部14は一体的に成形されるため、研磨面11については平坦精度よく形成できる。
そして、以上のように、基本的には鋳造によって成形され、各抜き穴21a、21bについては溶接によって塞がれた定盤12について、その残留内部応力が熱処理によって除去される。すなわち、溶接と鋳造による熱歪みが、熱処理によって除去される。
【0032】
これによれば、2層の冷却流路を備える定盤12全体(正確には抜き穴21a、21bを除く大部分)が、鋳造によって好適に一体成形される。このため、定盤12にかかる剛性と研磨面11の平坦度を、極めて好適に向上させることができる。従って、この定盤12を用いれば、2層の冷却流路20A、20Bを備える効果と合わせて、被研磨物の研磨精度を向上できると共に研磨速度を速めて生産性を向上できる。
そして、以上に説明したように、好適な中子を用いた鋳造工程と、その鋳造工程の後の溶接工程(穴を塞ぐ工程)によって定盤12を好適に製造できるため、製造コストが高くなることを好適に抑えることのできる。すなわち、複雑な形状をした2層の冷却流路20A、20Bを備える定盤を、一体鋳込みを主工程として比較的に安価に製造できる。すなわち、切削加工を主とするもの等に比較しても安価に製造できる。特に大型の定盤12についても好適に製造できる。
【0033】
また、本実施例では、前記表面側の中子を裏面13側から支持するように設けられる柱状の中子が、裏面側の冷却流路20Bを成形する前記裏面側の中子と重ならないように、表面側の冷却流路20Aと裏面側の冷却流路20Bとが、平面的に位置変位されている。このことで、2層にわたって抜き穴21a、21bを塞ぐことを要せず、製造し易く、製造コストを低減できる。
前記表面側の中子を裏面13側から支持するように設けられる柱状の中子が、前記裏面側の中子と重ならないようにするには(別言すれば両者が交差しないようにするには)、例えば、図3に示したように放射線状に流路を形成して平面的に変位させるとよい。なお、平面的に位置変位させるとは、研磨面11と平行に形成された表面側の冷却流路20Aと裏面側の冷却流路20Bとを、その研磨面11と平行に2次元的に異なる場所で、本実施例では表裏方向である上下方向(厚さ方向)に重ならないように配することである。
【0034】
また、図3に示すように、本実施例では、表面側の冷却流路20Aの面積が、裏面側の冷却流路20Bの面積よりも大きい。これによれば、加熱される表層部14側の放熱のため、冷却水に接触する表面積を広くとることができ、定盤12の冷却をバランス良く好適に行うことができる。
【0035】
以上に説明した定盤12の材質としては、熱膨張率が小さく、剛性が高いと共に、熱伝導率も高いものが、変形しにくいため好適である。特に、低熱膨張材(金属材)を用いるとよい。熱による変形が小さいため、研磨面の平坦度を好適に高精度に維持することができ、ウェーハ50の高精度の研磨が可能になる。
なお、定盤12の材質は、低熱膨張材に限定されるものではなく、耐化学性が要求される分野においてはステンレススチールを用いることも可能であり、仕様によっては他の材質でもよいのは勿論である。
【0036】
次に、以上に説明した研磨用定盤が使用されるウェーハの研磨装置の全体構成について、その実施例を図4に基づいて簡単に説明しておく。
図4はウェーハの研磨装置の一例であるポリシング装置である。このポリシング装置は、基本的に、ウェーハ50の表面を研磨する研磨面11を有する研磨用定盤10、その研磨用定盤10に対向して配されてウェーハ50を保持するウェーハの保持部53、ウェーハ50の表面を研磨面11に当接させるべくウェーハの保持部53と研磨用定盤10とを接離動させる接離動機構54、ウェーハの保持部53に保持されたウェーハ50を研磨面11に所定の押圧力で押し当てる押圧機構55、ウェーハ50が研磨面11に押し当てられた状態でそのウェーハ保持部53(ウェーハ50)と研磨用定盤10(研磨面11)とを回転および/または往復動、自転しない旋回運動等によって相対的に運動させる駆動機構56、スラリーと呼ばれる液状研磨剤の供給機構等(図示せず)の構成を備えている。
【0037】
以上に説明してきた研磨用定盤は、種々の研磨装置として使用できるものであるが、特に被研磨物がウェーハであるウェーハの研磨装置に好適に利用できるものである。前述したように、ウェーハの研磨装置には、ポリシング装置或いはラップ装置がある。また、以上の実施例のように上面が研磨面となる定盤としてのみに限られることはなく、下面が研磨面となる定盤としても利用できる。また、被研磨物の両面を研磨する両面研磨装置の上下の定盤に用いることができるのも勿論である。さらに、一枚のウェーハを研磨する枚葉式の研磨装置に用いることに限らず、複数のウェーハを一枚のプレートで保持して研磨するバッチ式の研磨装置にも用いることができるのは勿論である。
以上、本発明の好適な実施例について種々述べてきたが、本発明はこの実施例に限定されるものではなく、発明の精神を逸脱しない範囲内でさらに多くの改変を施し得るのは勿論のことである。
【0038】
【発明の効果】
本発明の研磨用定盤によれば、表面側の冷却流路及び裏面側の冷却流路が、鋳型の一部である表面側の中子及び裏面側の中子によって成形され、定盤の裏面から前記表面側の冷却流路に成形された抜き穴及び定盤の裏面から前記裏面側の冷却流路に成形された抜き穴が、定盤の材質と同質の材料からなる蓋で溶接によって塞がれて、定盤が設けられている。このため、2層の冷却流路を備える定盤が、全体的には鋳造によって好適に一体成形されたものとなっている。
このように定盤を好適に一体成形できるため、被研磨物の研磨精度を向上できると共に研磨速度を速めて生産性を向上できるように、剛性と研磨面の平坦度を向上できると共に、製造コストが高くなることを抑えることができるという著効を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる研磨用定盤の基本的構成を模式的に説明する斜視断面図である。
【図2】本発明にかかる研磨用定盤の一実施例を示す側断面図である。
【図3】図2の実施例について水平方向に切断した断面を含む平面図である。
【図4】本発明にかかる研磨用定盤が装着されるポリシング装置の模式図である。
【図5】従来の研磨用定盤を模式的に説明する斜視断面図である。
【図6】従来の研磨用定盤の冷却流路を示す平面断面図である。
【図7】本発明にかかる研磨用定盤の背景技術を示す側断面図である。
【図8】図7の背景技術にかかる表面側の冷却流路を示すX−X線断面図である。
【図9】図7の背景技術にかかる裏面側の冷却流路を示すY−Y線断面図である。
【符号の説明】
10 研磨用定盤
11 研磨面
12 定盤
13 裏面
14 表層部
15 芯層部
16 裏層部
20A 表面側の冷却流路
20B 裏面側の冷却流路
21a 抜き穴
21b 抜き穴
22 層間流路
27a 蓋
27b 蓋
40 給水管路
42 排水管路
Claims (5)
- 被研磨物の被研磨面が押し当てられて該被研磨面を平坦に研磨する研磨面が表面に形成され、内部に、厚さ方向について2層に冷却液が流通されるように、表面側の冷却流路及び裏面側の冷却流路が形成された定盤を備える研磨用定盤において、
前記定盤が鋳造によって一体的に形成されるように、前記表面側の冷却流路及び裏面側の冷却流路が、鋳型の一部である表面側の中子及び裏面側の中子によって成形され、該表面側の中子及び裏面側の中子を裏面側から支持するように設けられる柱状の中子によって、前記定盤の裏面から前記表面側の冷却流路に成形された抜き穴及び前記定盤の裏面から前記裏面側の冷却流路に成形された抜き穴が、該定盤の材質と同質の材料からなる蓋で溶接によって塞がれ、残留内部応力が熱処理によって除去されて設けられていることを特徴とする研磨用定盤。 - 前記表面側の冷却流路と前記裏面側の冷却流路との層間隔の部分に相当する芯層部の厚さが、前記表面と前記表面側の冷却流路との層間隔の部分に相当する表層部の厚さ、及び前記裏面と前記裏面側の冷却流路との層間隔の部分に相当する裏層部の厚さよりも厚いことを特徴とする請求項1記載の研磨用定盤。
- 前記2層の冷却流路は相互に連通し、冷却液は、前記表面側の冷却流路、前記裏面側の冷却流路の順に流れることを特徴とする請求項1又は2記載の研磨用定盤。
- 前記表面側の中子を裏面側から支持するように設けられる柱状の中子が、前記裏面側の冷却流路を成形する裏面側の中子と重ならないように、前記表面側の冷却流路と前記裏面側の冷却流路とが、平面的に位置変位されていることを特徴とする請求項1、2又は3記載の研磨用定盤。
- 前記被研磨物がウェーハであり、該ウェーハをポリシング或いはラッピングする研磨装置に設けられることを特徴とする請求項1、2、3又は4記載の研磨用定盤。
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