JP4162837B2 - 塩化カルシウム水和物の造粒装置および造粒方法 - Google Patents

塩化カルシウム水和物の造粒装置および造粒方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、流動層によって塩化カルシウム水和物の造粒物を生成する塩化カルシウム水和物の造粒装置、および該造粒装置を用いた塩化カルシウム水和物の造粒方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、塩化カルシウム水和物の造粒物を生成するには、塩化カルシウム水溶液をフレーカーに導入してフレーク状の造粒物を生成したり、あるいは回転ディスクなどによって空気中に飛散させることにより固化して粒状の造粒物を生成したりしていたが、造粒物の形状がフレーク状に限定されたり、造粒物の粒子の形状が大きく歪んで粒度分布もきわめて広くなったり、あるいは飛散した塩化カルシウム水溶液が固化するための大きな空間を要したりするという問題があり、しかも塩化カルシウム水溶液を高濃度に濃縮しなければならず高温加熱手段や熱源が必要となるとともに、高温高濃度の塩化カルシウム水溶液を取り扱うため、腐食などに対する対策も講じなければならなかった。また、その一方で、例えば食品や医薬品などの製剤分野においては、流動層を用いて種粒子を流動させつつバインダー溶液等を噴霧して造粒物を生成することが提案されているが、塩化カルシウム水和物には水和する水分子数が1,2,4,6のものがあり、単にこのような流動層による造粒装置を塩化カルシウム水和物の造粒に適用して塩化カルシウム粒子を流動させつつ塩化カルシウム水溶液を噴霧しただけでは、所定の水分子数の塩化カルシウム水和物を得ることは不可能である。
【0003】
そこで、本発明の発明者らは、先に特願平11−7010号において、このように流動層において種粒子を流動させつつ塩化カルシウム水溶液を噴霧して塩化カルシウム水和物の造粒物を生成するに際して、少なくとも流動層内の温度を測定する温度センサと流動層からの排気湿度を測定する湿度センサとの測定結果に基づく制御などによって、流動層内の水蒸気分圧を調整することにより、この流動層内の塩化カルシウムの蒸気圧を該流動層内の温度に対する所定の水分子数の塩化カルシウム水和物の蒸気圧に設定し、これによって所定の水分子数の塩化カルシウム水和物を造粒することを提案している。従って、これによれば、流動層内で流動する種粒子に噴霧された塩化カルシウム水溶液が付着して造粒するため、希薄な水溶液を用いて造粒物を生成することが可能であり、しかも流動層内の温度が比較的低温であっても、流動層内の水蒸気分圧を調整することにより、蒸気圧線図においてこの温度に対応する適当な蒸気圧に塩化カルシウムの蒸気圧を設定することができ、所定の水分子数の塩化カルシウム水和物を造粒することが可能となる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述のように流動層に溶液を噴霧して造粒物を生成するようにした場合、この流動層内に噴霧される溶液は、通常タンク等の容器においてその濃度が適当に調整されたりした後、供給管等の配管を通して流動層に供給されることになる。しかしながら、塩化カルシウム水和物の造粒物を生成する場合においては、その濃度や温度にもよるが塩化カルシウム水溶液が固結を生じ易いという性質を有しており、このため例えば流動層における造粒を一旦停止したり所定の造粒作業自体が終了したりした際に、上記タンクや供給管などの塩化カルシウム水溶液の供給系において該塩化カルシウム水溶液の流通が停止してしまうと、比較的短時間で塩化カルシウムが固結してこの供給系に詰まりが生じてしまい、次に造粒作業を再開する際にはこの詰まりを生じた部分を溶解させなければならなくなって、作業効率の低下を招く結果となる。
【0005】
本発明は、このような背景の下になされたもので、特に塩化カルシウム水溶液を流動層に噴霧して塩化カルシウム水和物の造粒物を生成する場合において、流動層における造粒作業を停止したりしたときでも、この塩化カルシウム水溶液の供給系に詰まりを生じることがなく、次に造粒を再開する際に円滑かつ速やかに作業を行うことが可能な塩化カルシウム水和物の造粒装置を提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決して、このような目的を達成するために、本発明の造粒装置は、流動層において種粒子を流動させつつ塩化カルシウム水溶液を噴霧して造粒物を生成する塩化カルシウム水和物の造粒装置であって、上記流動層に塩化カルシウム水溶液を供給する供給系に、この供給系内における塩化カルシウム水溶液の滞留を防ぐことによりその固結を防止する固結防止手段を備えており、第1には、上記供給系において塩化カルシウム水溶液はタンクから供給管を介して上記流動層に供給されて噴霧されるとともに、上記固結防止手段として、上記供給管には、該供給管内の塩化カルシウム水溶液を上記タンクに返送する返送管が接続されていることを特徴とし、また第2には、上記供給系において塩化カルシウム水溶液はタンクから上記流動層に供給されて噴霧されるとともに、上記固結防止手段として、上記タンクが、上記流動層から排出される排気を洗浄水によって洗浄するスクラバーに接続されていて、該タンク内の塩化カルシウム水溶液が上記スクラバーに供給されて保持されるようにしたことを特徴とする。従って、造粒作業を停止した際などには、この固結防止手段によって供給系内に残された塩化カルシウム水溶液を排出したり循環させたりしてその滞留を防ぐことにより固結を防止し、該塩化カルシウム水溶液の固結に起因する供給系における詰まりを防ぐことが可能となる。なお、上記種粒子としては、水和する水分子数が2〜0の塩化カルシウム2水和物、塩化カルシウム1水和物、無水塩化カルシウムの粒子やこれらの混合物など、噴霧される水溶液と同じ塩化カルシウムの粒子の他に、塩化ナトリウムや塩化マグネシウムなどの粒子を種粒子としてもよい。
【0007】
ここで、上記供給系において、上述のように塩化カルシウム水溶液をタンクから供給管を介して上記流動層に供給して噴霧するようにした場合、造粒作業を停止したときには、まずこの供給管において塩化カルシウム水溶液が滞留して固結が生じ易い。そこで、上記固結防止手段として、上述のように第1に、この供給管に、該供給管内の塩化カルシウム水溶液を上記タンクに返送する返送管を接続することにより、造粒を停止した際にはこの返送管を介して供給管内の塩化カルシウム水溶液をタンクに返送したり循環させたりして、供給管内に塩化カルシウム水溶液が滞留しないようにすればよい。
【0008】
また、例えば造粒作業を終了した後に次の造粒作業再開まで時間があくと、上記タンク内においても塩化カルシウム水溶液の固結が生じるおそれもあるが、そのような造粒作業終了後の固結を防止するために、例えばこのタンク内に保持された塩化カルシウム水溶液全量を造粒作業終了までの間加熱し続けたりするのは経済的ではない。その一方で、流動層を用いた当該造粒装置には、この流動層から排出される排気を洗浄水によって洗浄するスクラバーが通常付設されており、従って本発明のように塩化カルシウム水和物の造粒を行う場合には、流動層からの排気に塩化カルシウム成分が混入するために上記スクラバーにおいては洗浄水に排気中の塩化カルシウム成分が溶解した塩化カルシウム水溶液が保持されることとなるので、上記固結防止手段として、上述のように第2に、上記タンクをこのスクラバーに接続して、造粒作業終了時には該タンク内の塩化カルシウム水溶液を上記スクラバーに供給して保持することにより、これらタンクとスクラバーとの塩化カルシウム水溶液をスクラバーにまとめて加熱して保持することが可能となるので経済的であるとともに、タンクにおける塩化カルシウム水溶液の滞留、固結を防止することができる。なお、造粒作業を再開するときには、このスクラバーからタンクに塩化カルシウム水溶液を返送して流動層に噴霧すればよい。
【0009】
一方、上記流動層には、該流動層に種粒子を供給するシードホッパーが接続されて、造粒作業再開時などに最初に造粒を行うときにはこのシードホッパーから種粒子が供給されることとなるが、このシードホッパーに、上記流動層において生成された塩化カルシウム水和物の造粒物の給送管を二股に分岐させてその一つを接続し、造粒作業を終了する際には、上記給送管の分岐部分に設けられた第2のダンパーによって上記造粒物の少なくとも一部を、選択的にこのシードホッパーに供給すれば、例えば造粒作業の終了前にこのシードホッパーに上記造粒物を供給して貯留しておいて、次の造粒作業再開時に種粒子として流動層に供給することができ、改めて種粒子を準備する必要がなくなって効率的である。また、この流動層で生成された造粒物の粒子は通常ある程度の粒度分布を有しており、このうち製品として利用されるのは一般に所定の粒度分布範囲内の中粒子であるが、場合によっては造粒された塩化カルシウム水和物のうち粒径の大きな造粒物が製品として必要とされることもあるので、上記流動層に、該流動層において生成された塩化カルシウム水和物の造粒物を粗粒子と中粒子と細粒子とに分別する振動篩装置を接続するとともに、この振動篩装置には二股に分岐させられた上記粗粒子の給送管を接続し、このうち上記粗粒子が製品として必要とされる場合には、上記粗粒子の給送管の分岐部分に設けられた第1のダンパーによって該粗粒子の少なくとも一部を選択的に製品造粒物として排出すればよい。
【0010】
さらに、上述のように上記流動層にスクラバーを接続した場合においては、この排気を洗浄した洗浄水を、該スクラバーに循環するとともに、その少なくとも一部を上記流動層側に供給するのが望ましく、これにより、このスクラバーにおいて塩化カルシウム水溶液を濃縮して流動層側に供給、噴霧することができるので、造粒作業中にあっては上記タンクにおける濃度調整などを容易にすることができる一方、例えば造粒作業再開前に塩化カルシウム水溶液を濃縮する場合でも、上記タンクではなくこのスクラバーにおいて、流動層の乾燥、昇温により排出される高温の排気により、塩化カルシウム水溶液を予め濃縮しておくことができ、こうして濃縮された塩化カルシウム水溶液をタンクやあるいは流動層に直接的に供給することが可能となるので、濃縮時間の短縮を図ることができる。また、このスクラバーを、流動層から排出される排気を洗浄塔に導入して該洗浄塔内に噴霧される洗浄水により洗浄するスプレー式のスクラバーとすることにより、処理するガス流速が遅くなって圧損が小さくなることで排気ブロアの動力を小さくすることができる。
【0011】
さらにまた、従来のフレーカーを用いた造粒方法や空気中に飛散させる方法では、それぞれ特定の形状の造粒物を生成することしかできないが、流動層を用いた本発明の造粒装置においては、上記流動層に、熱風炉から該流動層の加圧室に供給される加熱されて乾燥した流動用ガスに蒸気または水を放射あるいは噴霧することにより、この流動用ガスの含有水分量を調整する水分調整装置を備えるとともに、上記塩化カルシウム水溶液の供給系には、原料塩化カルシウムが供給される上記タンク内に蒸気が供給される蒸気管が配設されて、該タンクに保持された塩化カルシウム水溶液を加熱して水分を蒸発させることにより、この塩化カルシウム水溶液の濃度を調整する濃度調整装置を備えて、該造粒装置による塩化カルシウム水和物の造粒方法では、上記水分調整装置と上記濃度調整装置との少なくとも一方を用いて、この流動層内の水蒸気分圧を、該流動層内の塩化カルシウムの蒸気圧に対して調整することにより、その水蒸気分圧に応じて異なる所定の形状の造粒物を生成することができる。すなわち、例えば上記水蒸気分圧を塩化カルシウム蒸気圧に対して十分低くすれば、表面に多数の突起を有する金平糖形状の粒子が造粒物中に占める割合が多くなり、逆に水蒸気分圧を塩化カルシウム蒸気圧に近づければ、丸粒状の粒子が占める割合多くなる。
【0012】
【発明の実施の形態】
図1ないし図3は、本発明の塩化カルシウム水和物の造粒装置の一実施形態を示すものである。この図において符号1で示すのは流動層であって、その底部には分散板2を介して加圧室3が形成されており、この加圧室3には、押込ブロア4および焼却ブロア5を備えて加熱された流動用ガスを供給する熱風炉6が、水分調整装置7を介して接続されている。また、流動層1内の分散板2よりも上部にはスプレーノズル8が上下動可能に垂下されており、このスプレーノズル8には、濃度調整装置9を備えた塩化カルシウム水溶液のタンク10が、供給ポンプ11を介して供給管11Aにより接続されていて、これらタンク10や供給ポンプ11、および供給管11Aにより本実施形態における塩化カルシウム水溶液の供給系が構成されている。さらに、流動層1にはシードホッパー12が接続されていて、上記分散板2のやや上方から該流動層1内に塩化カルシウム水和物の種粒子が供給可能とされている。なお、このシードホッパー12から供給される種粒子としては、塩化カルシウム2水和物、塩化カルシウム1水和物、無水塩化カルシウムの粒子やこれらの混合物などの他、塩化ナトリウムや塩化マグネシウムなどの粒子を種粒子としてもよい。
【0013】
ここで、本実施形態において、上記水分調整装置7は、上記熱風炉6から流動層1の加圧室3に供給される加熱されて乾燥した流動用ガスに蒸気または水を放射あるいは噴霧することにより、この流動用ガスの含有水分量すなわち湿度を所定の値に調整可能な構成とされている。なお、供給される蒸気または水の供給量(流量)は流量センサF1によって測定されるとともに、この水分調整装置7によって水分調整された流動用ガスの温度および湿度は、温度センサT1および湿度センサH1によってそれぞれ測定される。
【0014】
また、上記濃度調整装置9は、原料塩化カルシウムが供給可能とされた上記タンク10内に高温の蒸気が供給される蒸気管が配設された構成とされており、タンク10に保持された塩化カルシウム水溶液を加熱して水分を蒸発させ、その濃度を所定の値に調整するようになされている。なお、こうして調整されて供給ポンプ11によりスプレーノズル8に供給される塩化カルシウム水溶液の濃度は濃度センサD1により、供給量は流量センサF2により、それぞれ測定される。また、流動層1内における温度は温度センサT2により、湿度は湿度センサH2により、それぞれ測定され、さらに湿度センサH3によって流動層1から排出される排気の湿度が測定される。
【0015】
一方、流動層1の造粒物の排出口にはバケットエレベータ13を介して振動篩装置14が接続されている。この振動篩装置14は、上段から下段に向けて網目が小さくなる複数の篩網が、それぞれ水平面に対して傾斜して振動装置により振動可能に設けられたものであって、バケットエレベータ13から供給された造粒物を、一般的に製品とされる所定の粒度分布の範囲内の中粒子と、これよりも粒度の大きい粗粒子と粒度の小さい細粒子とに分別可能とされている。なお、上記篩網の段数や網目の大きさ、水平面に対する傾斜角等は、製品として分別される造粒物の粒子の大きさや形状に応じて適宜設定される。
【0016】
この振動篩装置14において分別された造粒物のうち上記粗粒子は、第1のダンパー15を介して、同じく分別された中粒子のうち製品として排出される以外の一部の中粒子とともに粉砕機16に供給されて粉砕され、さらに細粒子とともに第2のダンパー17を介して種粒子として流動層1に循環可能とされている。ここで、上記第1、第2のダンパー15,17は、図2に示すように上記分別された粗粒子や粗粒子および一部の中粒子を粉砕したものと細粒子とを給送する給送管18が二股に分岐させられるとともに、この給送管18内の分岐部分に遮蔽板19が揺動可能に取り付けられたもので、この遮蔽板19が分岐した給送管18の一方を塞ぐことにより、他方に粒子が選択的に給送可能な構成とされている。そして、上記第1のダンパー15にあっては、この分岐した給送管18は上記粉砕機16と乾燥冷却機20とにそれぞれ接続され、また上記第2のダンパー17にあっては、分岐した給送管18は流動層1と上記シードホッパー12とに接続されている。
【0017】
一方、上記振動篩装置14により分別された中粒子は、その全量が図3に示すような貯留器21に供給されて一旦保持される。この貯留器21は、供給された中粒子を貯留するホッパー21Aと、このホッパー21Aの下端に取り付けられた振動コンベア21Bと、ホッパー21Aの高さ方向において中程の位置に設けられて上記粉砕機16に接続される供給管21Cとから構成されており、ホッパー21Aに貯留された中粒子は、上記振動コンベア21Bによって必要な量ずつ抜き出され乾燥冷却機20に供給される一方、上記供給管21Cの位置を越えてホッパー21A内に貯留された中粒子は、この供給管21Cから排出されて上記粉砕機16に供給され、上述のように粗粒子とともに粉砕されるようになされている。なお、この貯留器21において振動コンベア21Bにより抜き出された中粒子と、上記第1のダンパー15によって選択的に排出される粗粒子とは、乾燥冷却機20において固結防止処理が施されて製品とされる。
【0018】
さらに、湿度センサH3が設けられた流動層1の排気口はスクラバー22に接続されている。このスクラバー22は、本実施形態では洗浄塔22A内に導入された流動層1からの排気を該洗浄塔22A内の上部に設けられたスプレーノズル22Bから噴霧される洗浄水によって洗浄するスプレー式のものとされており、この排気を洗浄して該排気中に含まれる塩化カルシウム成分を吸収した洗浄液は、該洗浄塔22A底部に保持されて蒸気により加熱され、スクラバーポンプ23によって洗浄水として循環させられるとともに、その少なくとも一部は原料塩化カルシウムが加えられるなどして、上記タンク10にも循環して供給可能とされている。また、このスクラバー22によって洗浄された排気は、排気ブロア24によって排出可能とされている。
【0019】
そして、本実施形態の造粒装置では、流動層1への塩化カルシウム水溶液の上記供給系に、該供給系内での塩化カルシウム水溶液の滞留を防いでその固結を防止する固結防止手段が備えられている。すなわち、本実施形態では、まず第1の固結防止手段として、上記タンク10に保持された塩化カルシウム水溶液を供給ポンプ11を介して流動層1に供給して上記スプレーノズル8から噴霧する供給管11Aに、その流動層1側近傍において返送管25の一端が接続されており、この返送管25の他端は上記タンク10に接続されている。なお、上記供給管11Aの返送管25との接続部から流動層1内のスプレーノズル8に至るまでの間にはバルブ11Bが設けられている。また、本実施形態では、第2の固結防止手段として、上記供給管11Aの供給ポンプ11側にバルブ26Aを介して排液管26の一端が接続されており、この排液管26の他端は上記スクラバー22に接続されている。なお、供給管11Aにおいて排液管26との接続部より僅かに流動層1側にもバルブ11Cが設けられている。
【0020】
このように構成された造粒装置を用いて塩化カルシウム水和物の造粒物を生成する場合には、まず押込ブロア4から熱風炉6に押し込まれた空気が、焼却ブロア5からの空気で燃料を燃焼して生じた熱により所定の温度に加熱され、乾燥した状態で水分調整装置7に送られる。そして、この乾燥した空気は、水分調整装置7において蒸気または水が付与されて所定の水分量となるように調整された後、通常120〜180℃程度の高温の流動用ガスとして流動層1の加圧室3に供給されて分散板2から噴出させられ、流動層1内に保持された塩化カルシウム等の種粒子を流動させる。なお、この種粒子としては、当該造粒装置の運転初期や流動層1内の粒子に不足が生じたような場合にはシードホッパー12から供給されたものが用いられ、造粒装置が通常運転している間は上記振動篩装置14から循環させられた細粒子および粉砕機16によって破砕された一部の中粒子や粗粒子が用いられる。
【0021】
一方、この流動層1内ではスプレーノズル8が適宜上下動させられて所定の噴霧高さに配置されており、上記濃度調整装置9によって濃度調整された塩化カルシウム水溶液が、タンク10から供給ポンプ11により供給管11Aを介して供給されて、このスプレーノズル8から噴霧される。ただし、この濃度調整装置9によって調整される塩化カルシウム水溶液の濃度は、従来のフレーカーや回転ディスクを用いた造粒装置のような溶融塩の状態よりは低いものであって、5wt%程度の希薄なものから高くても60wt%程度までとされており、通常は37〜53wt%程度とされている。そして、こうして噴霧された塩化カルシウム水溶液は、流動する種粒子の表面に付着して乾燥し、種粒子を肥大させて造粒物を生成する。
【0022】
次いで、こうして流動層1において生成された造粒物は、バケットコンベア13によって上記振動篩装置14に投入され、傾斜した複数段の振動篩によって篩分けられて、所定の粒度分布の範囲よりも粒度の大きい粗粒子と、所定の粒度分布範囲内の中粒子と、この範囲よりも粒度の小さい細粒子とに分別される。そして、上述のように粗粒子は第1のダンパー15を介して、一部が選択的に製品造粒物として排出され、また残りは粉砕機16により粉砕されて細粒子および一部の中粒子とともに流動層1に返送される一方、残りの中粒子は乾燥冷却機20により固結防止処理が施され、やはり製品としての塩化カルシウム水和物の造粒物として排出される。さらに、流動層1から排出された排気は、スクラバー22により微細な塩化カルシウム粒子が捕集されて除去された後に排出され、またこの微細塩化カルシウム粒子が溶け込んだスクラバー22の洗浄水の一部は、タンク10に返送されて循環させられる。
【0023】
しかるに、このような造粒装置によれば、まず、流動層1内で流動する種粒子に塩化カルシウム水溶液を噴霧してその表面に付着させ、これを加熱された流動用ガスによって乾燥することにより造粒物が生成されるので、従来のフレーカーを用いた方法や空気中に飛散させる方法のように塩化カルシウム水溶液を溶融塩状態にまで濃縮する必要がなく、希薄な水溶液を用いて造粒が可能であって、設備の腐食のおそれが少ないとともに、この水溶液を高濃度に濃縮するような加熱手段も必要としない。また、一般的に製品として使用される塩化カルシウム2、4、6水和物に関しては、流動層1内の温度が例えば60〜150℃程度の比較的低い温度の場合でもその蒸気圧を適当に設定することによって造粒可能であり、しかもこの流動層1内の温度は、熱風炉6によって空気等の流動用ガスを加熱することにより、比較的容易に昇温させたり安定的に維持したりすることが可能である。
【0024】
さらに、本実施形態の造粒装置では、流動層1に供給される流動用ガスの水分は上記水分調整装置7によって調整されるとともに、流動層1内に噴霧される塩化カルシウム水溶液の水分は上記濃度調整装置9によって該水溶液の濃度が調整されることにより調整され、すなわち流動層1に供給される水分量が調整されるので、これらによって流動層1内における水蒸気分圧が調整可能となる。そこで、こうして流動層1内における水蒸気分圧を調整することにより、図4に示すような塩化カルシウム水和物の水分子数に応じた蒸気圧線図に基づき、流動層1内の塩化カルシウムの蒸気圧を、該流動層1内の温度に合わせて、造粒しようとする水分子数の塩化カルシウム水和物の蒸気圧に設定することができる。
【0025】
すなわち、例えば流動層1内の温度が90℃であるときに、塩化カルシウム2水和物(CaCl2・2H2O)を生成する場合には塩化カルシウム蒸気圧が5.3kPa(40mmHg)程度に設定されるように、上記水分調整装置7および濃度調整装置9により流動層1内の水蒸気分圧をそれぞれ調整する。なお、この水蒸気分圧の調整による流動層1内の塩化カルシウム蒸気圧の設定は、本実施形態では上記温度センサT1,T2、湿度センサH1〜H3、流量センサF1,F2、および濃度センサD1による測定結果に基づき、望ましくは自動的に制御される。
【0026】
従って、上記構成の造粒装置によれば、このように流動層1内の温度に応じて該流動層1内における水蒸気分圧を調整することにより、造粒すべき所定の塩化カルシウム水和物の水分子数に合わせた蒸気圧に流動層1内の塩化カルシウム水和物の蒸気圧を設定することができ、これによって所望の水分子数の塩化カルシウム水和物を生成することができる。このため、製品としての用途に応じた適当な水分子数の塩化カルシウム水和物の造粒物を確実に製造することができ、その後の処理を効率的かつ簡略に行うことが可能となる。
【0027】
そして、上記構成の造粒装置においては、流動層1に塩化カルシウム水溶液を供給する上記供給系において、固結防止手段として返送管25や排液管26が設けられているので、塩化カルシウム水和物の造粒を一旦停止したり造粒作業が終了したりしたときに、塩化カルシウム水溶液が滞留することにより固結を生じて次に造粒を再開する際に支障を生じるような事態を防ぐことができる。すなわち、例えばスプレーノズル8から流動層1内への塩化カルシウム水溶液の噴霧を中断して造粒を停止した場合、そのままでは供給管11A内に塩化カルシウム水溶液が残されて滞留することにより固結して詰まりを生じ、次に造粒を再開する際にスプレーノズル8から塩化カルシウム水溶液を噴霧しようとしても、供給管11Aに塩化カルシウム水溶液を供給することができなくなるおそれがあるが、本実施形態においてはこのような場合、上記バルブ11Bを閉じることによって供給管11A内に残された塩化カルシウム水溶液を返送管25を介してタンク10に返送したり、あるいは供給管11Aと返送管25とによって塩化カルシウム水溶液を循環させたりすることにより、供給管11A内の塩化カルシウム水溶液の滞留を防いでその固結を防止することができるのである。
【0028】
また、このような一時的な造粒の中断ではなく、例えば所定の塩化カルシウム水和物の造粒が完了して造粒作業を終了し、比較的長い時間当該造粒装置を停止しておく場合などには、上記タンク10に保持された塩化カルシウム水溶液においても滞留により固結が生じるおそれがある。しかるに、このようなタンク10における固結を防ぐには、この造粒装置が停止している間でもタンク10に蒸気を与え続けるとともに撹拌を行わなければならず、熱的にも動力的にも経済性が損なわれることが避けられないが、本実施形態ではこのような場合、上述のように供給管11Aに残された塩化カルシウム水溶液を返送管25によってタンク10に返送した上で、バルブ11Cを閉じて排液管26のバルブ26Aを開き、タンク10内の塩化カルシウム水溶液をスクラバー22に排液することにより、このタンク10を空にして固結を防止することができる。従って、この場合には、同じ塩化カルシウム水溶液である塩化カルシウム成分が溶解した洗浄水とともに、上記タンク10内の塩化カルシウム水溶液をスクラバー22に保持しておくことができるので、このスクラバー22内の塩化カルシウム水溶液のみを固結が生じないように加熱したりしておけばよく、タンク10でも固結の防止を図るのに比べて経済的かつ効率的である。また、次に造粒作業を再開する際には、このスクラバー22から上述のようにスクラバーポンプ23によってタンク10に塩化カルシウム水溶液を供給すればよい。
【0029】
ところで、このように造粒作業が終了した後、次に作業を再開するときには、通常まず流動層1内を洗浄した後に上記熱風炉6から加熱された流動用ガスを供給して流動層1内を乾燥、昇温させるとともに、上記タンク10において塩化カルシウム水溶液を濃縮してその濃度を調整しなければならないが、本実施形態では上述のようにスクラバー22において洗浄水が循環可能とされるとともに、その少なくとも一部がタンク10に供給可能とされており、これにより、この造粒作業再開前の塩化カルシウム水溶液の濃縮時間を短縮することも可能となる。すなわち、この造粒作業再開前において、予めスクラバー22内に例えば35〜37wt%程度の濃度の塩化カルシウム水溶液を供給して循環させておき、このスクラバー22に、流動層1の昇温、乾燥時に発生した高温の排気を導入することで、このスクラバー22に供給される蒸気の熱と合わせて、該スクラバー22に供給された塩化カルシウム水溶液を短時間で例えば50wt%程度の濃度まで濃縮することが可能となるのである。
【0030】
従って、本実施形態によれば、このような造粒作業再開時に必要とされる準備時間の短縮を図ることができるとともに、例えば造粒作業再開当初はタンク10を介さずにスクラバー22から流動層1に直接的に濃度調整された塩化カルシウム水溶液を供給して噴霧したり、場合によってはタンク10自体を省略したりすることも可能となる。しかも、本実施形態では、このように流動層1から排出された排気をスクラバー22で洗浄したその洗浄水の一部を、流動層1に噴霧する塩化カルシウム水溶液のタンク10に循環させることにより、排気中に含まれる塩化カルシウム水和物の微細粒子が溶け込んである程度の濃度を有した洗浄水をタンク10に供給することができるので、同じ濃度の塩化カルシウム水溶液をこのタンク10から流動層1に供給するにしても、タンク10に供給すべき原料塩化カルシウムの量を低減することができ、より経済的な塩化カルシウム水和物の造粒を促すことが可能となる。
【0031】
さらに、本実施形態では、このスクラバー22が、洗浄塔22A内に導入された排気をスプレーノズル22Bから噴霧される洗浄水によって洗浄するスプレー式のものとされている。しかるに、このようなスプレー式のスクラバー22は、例えばベンチュリ式のスクラバー等に比べて処理する排気のガス流速が遅くなり、これにより圧損が小さくなるので、上記洗浄塔22Aから洗浄された排気を排出するための排気ブロア24の動力も小さくてすむという利点を有しており、従って本実施形態によれば、一層経済的な造粒を図ることが可能となる。
【0032】
一方、上述のように造粒作業を終了する際には、流動層1内の種粒子は固結を防ぐために排出されるため、次に造粒作業を再開するときにはシードホッパー12から改めて種粒子を流動層1内に供給しなければならないが、このときに系外から種粒子として塩化カルシウム水和物の造粒物をシードホッパー12に供給して流動層1に投入したのでは、非効率的かつ非経済的である。しかるに、これに対して本実施形態では、通常の造粒作業中は種粒子として流動層1に直接的に供給される塩化カルシウム水和物の造粒物の粗粒子や中粒子の粉砕物および細粒子が、上記第2のダンパー17の切り替えによって選択的にシードホッパー12に供給可能とされている。従って、上述のように造粒作業を終了する際には、この第2のダンパー17を切り替えてシードホッパー12に上記粗粒子や中粒子の粉砕物および細粒子を供給して種粒子として保持しておくことにより、次に造粒作業を再開するときには系外から種粒子を導入することなく流動層1に供給することが可能となり、効率的な造粒を図ることが可能となる。
【0033】
しかも、本実施形態では、上記粉砕機16により、粗粒子に加えて貯留器21のホッパー21Aから供給管21Cを介して排出された中粒子の一部も粉砕されてた上で、上記細粒子とともに流動層1に循環させられたりシードホッパー12に貯留されたりして種粒子として利用されることとなるので、この種粒子の粒径が必要以上に大きくなるのを防ぐことができ、すなわち振動篩装置14において粗粒子として分別される塩化カルシウム水和物の造粒物の割合が大きくなるのを防いで、一層効率的な造粒を促すことが可能となる。ただし、このような造粒装置においては、所定の範囲内の粒径の中粒子のみを製品として利用する以外にも、場合によってはそれ以上の粒径の粗粒子が製品として必要とされることもある。しかるに、そのような場合でも本実施形態では、上記第1のダンパー15を切り替えることにより、振動篩装置14において分別された粗粒子を選択的に乾燥冷却機20に供給して製品として排出することが可能であり、上述のような要求にも容易に対応することが可能であるという利点を有している。
【0034】
また、本実施形態では、上述のように流動層1内における水蒸気分圧を水分調整装置7や濃度調整装置9によって調整することにより、造粒すべき所定の塩化カルシウム水和物の水分子数に合わせた蒸気圧に流動層1内の塩化カルシウム水和物の蒸気圧を設定して、所望の水分子数の塩化カルシウム水和物を生成可能としているが、この流動層1内における水蒸気分圧を塩化カルシウムの蒸気圧に対して所定の圧力に調整することにより、所定の形状の粒子を含んだ造粒物を生成することも可能となる。すなわち、流動層1内の水蒸気分圧を塩化カルシウムの蒸気圧に対して十分に低く設定すれば、表面に突起を有する金平糖形状の粒子が造粒物中に含まれる割合が高くなり、これとは逆に流動層1内の水蒸気分圧を塩化カルシウムの蒸気圧に近づけた場合には、丸粒状の粒子の割合が高くなる。従って、例えば生成された塩化カルシウム水和物の造粒物を吸湿材として使用する場合には、前者のような金平糖形状の造粒物により粒子の周囲に十分な空間を確保して吸湿性の向上を図ることができる一方、後者の丸粒状の造粒物では前者に比べて単位容積当たりの容器への充填率を高くして長期に渡って安定した吸湿性を発揮することができるなど、目的に合わせた形状の造粒物を得ることが可能となる。
【0035】
しかも、上記造粒装置においては、塩化カルシウム水溶液が噴霧されるスプレーノズル8が上述のように上下動可能とされており、この塩化カルシウム水溶液の噴霧高さを適当な高さに設定することによっても、この噴霧高さに応じて所定の形状の造粒物を生成することができる。すなわち、この噴霧高さが比較的低い場合には、塩化カルシウム水溶液は種粒子の表面に液状のまま満遍なく均一に付着するため、造粒物は丸粒状の粒子に生成される。また、逆に噴霧高さが比較的高い場合には、噴霧された塩化カルシウム水溶液は飛沫となって種粒子の表面に点々と付着するため、この付着した部分が種粒子の表面に突起をなし、造粒物は金平糖形状の粒子に生成される。勿論、上記流動層1内の水蒸気分圧の調整とこのような噴霧高さの調整とを合わせて行えば、それぞれの形状の粒子の割合は一層高くなる。
【0036】
なお、この噴霧高さを調整した場合において造粒された粒子が金平糖形状となるか丸粒状となるかは、塩化カルシウム水溶液の濃度や供給量、スプレーノズル8の形状や大きさ、流動層1内に保持される種粒子の量や流動用ガスの空塔速度などによっても影響を受けることが予想されるが、種々の条件において上記噴霧高さを変化させた実験の結果、流動層1の静止層高さに対する上記噴霧高さが300mm以上に設定された場合に金平糖形状の粒子が顕著に生成されることが確認された。ただし、これは、噴霧高さが上記範囲に設定された場合にすべての粒子が金平糖形状になるというわけではなく、また噴霧高さが上記範囲を1mmでも下回った場合に金平糖形状の粒子が全く生成されないというわけでもなく、噴霧高さが上記範囲に設定された場合には、生成された造粒物中の金平糖形状の粒子の割合が顕著に高くなったという結果である。
【0037】
一方、本実施形態では、上述のように流動層1内の水蒸気分圧を調整するに際して、上記水分調整装置7により流動層1に供給される流動用ガスの水分量すなわち湿度を調整するとともに、上記濃度調整装置9により流動層1内に噴霧されて供給される塩化カルシウム水溶液の濃度を調整するようにしているが、例えばこれらのうちの一方により単独で流動層1内の水蒸気分圧を調整するように構成することも可能である。しかしながら、特に濃度調整装置9だけで水蒸気分圧の調整を図ろうとした場合には流動層1内の温度の変動などに対する即応性が不十分となるおそれがあるので、流動層1内の温度に合わせて濃度調整装置9により噴霧される塩化カルシウム水溶液の濃度を適当な濃度に保持しつつ水分調整装置7によって流動ガスの水分を調整するようにし、すなわちこれら水分調整装置7と濃度調整装置9とを併用するようにして、流動層1内の水蒸気分圧の調整を図るのが望ましい。
【0038】
また、本実施形態では、上記水分調整装置7に供給される蒸気または水の流量や水分調整された流動用ガスの温度および湿度、濃度調整装置9によって調整された塩化カルシウム水溶液の濃度および流量、さらに流動層1内の温度および湿度と流動層1からの排気の湿度が、それぞれ温度センサT1,T2、湿度センサH1〜H3、流量センサF1,F2、および濃度センサD1によって測定されている。そして、このうち少なくとも流動層1内の温度および流動層1からの排気湿度の測定結果により、上述した塩化カルシウム水和物の蒸気圧線図に基づいて塩化カルシウム水和物の蒸気圧が最適に設定されるように、水蒸気分圧を確実に調整することが可能となる。また、これに加えて本実施形態では、その他のセンサによる測定結果に基づき、流動用ガスの温度や湿度(水分量)、塩化カルシウム水溶液の濃度や流量をコンピュータ等を用いて自動的に制御することにより、一層正確な水蒸気分圧の調整を図ることが可能となる。
【0039】
さらに、本実施形態では、流動層1から排出された造粒物は振動篩装置14によって粗粒子と中粒子と細粒子とに分別され、このうち所定の粒度分布範囲内の中粒子や粗粒子が乾燥冷却機20によって固結防止処理されて製品とされ、残りの粉砕機16によって破砕された粗粒子や中粒子と細粒子とが、第2のダンパー17により、シードホッパー12に供給可能とされるほか、種粒子として流動層1にも直接循環させられるようになされている。従って、例えば上記製品として排出される塩化カルシウム水和物と原料として供給されてる塩化カルシウム水溶液との塩化カルシウム量をバランスさせた場合には、シードホッパー12からは運転初期だけ種粒子を流動層1に供給すればよく、通常の運転時には循環する上記粒子によって種粒子をまかなうことが可能となるので、効率的な運転を図ることができる。
【0040】
ただし、このように振動篩装置14によって分別された粒子を流動層1に循環させるに際しては、この循環させられる粒子の量が製品とされる粒子の量に対して多くなりすぎると製品の歩留まりの劣化を招く結果となる一方、逆に循環する粒子量が製品粒子の量に対して少なすぎると、流動層1における種粒子量が不足して頻繁にシードホッパー12から種粒子を補充しなければならず、運転操作が煩雑となる。従って、流動層1から排出される塩化カルシウム水和物の総重量と分別されて製品とされる上記粒子の重量との比、すなわち塩化カルシウム水和物の循環比は、1.5〜10の範囲に設定されるのが望ましい。なお、本実施形態では、振動篩装置14によって分別された中粒子の一部を流動層1に循環させるようにしているが、この中粒子をすべて乾燥冷却機20に送って製品とするようにしてもよい。
【0041】
また、本実施形態では、特にこの振動篩装置14が水平面に対して傾斜した複数段の篩網を振動装置によって振動させて造粒物を分別する構成とされていて、篩網を傾斜させることによって分別すべき粒子の大きさに対して目開き量を大きくすることができ、篩網を振動させることとも相俟って、目詰まりの発生を防止して効率的な分別を図ることができる。しかも、本実施形態では、この振動篩装置14によって分別された粒子のうち、製品とされる粗粒子や中粒子のみが乾燥冷却機20に送られて冷却されるだけであり、残りの破砕された粗粒子、中粒子と細粒子とは冷却されないまま流動層1に循環させられるので、これらの粒子の循環によって流動層1内の温度が大きく低下するのを避けることができ、熱的にも効率的な塩化カルシウム水和物の造粒を図ることができる。
【0042】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の塩化カルシウム水和物の造粒装置によれば、流動層を用いて塩化カルシウム水和物を造粒するため、希薄な塩化カルシウム水溶液により比較的低温でも造粒物の生成が可能であるとともに、流動層内の水蒸気分圧を調整して、流動層内の塩化カルシウム水和物の蒸気圧を流動層内の温度に応じて所定の水分子数の塩化カルシウム水和物の蒸気圧に設定することにより、この水分子数の塩化カルシウム水和物を確実に造粒することが可能となる。そして、この流動層に塩化カルシウム水溶液を供給する供給系に、該供給系における塩化カルシウム水溶液の滞留を防ぐことによりその固結を防止する固結防止手段が備えられているので、造粒作業を停止したりしたときでも、この固結に起因する供給管等の詰まりを防止して、次の作業の再開を円滑かつ速やかに行うことが可能となる。
【0043】
ここで、この固結防止手段としては、第1に、塩化カルシウム水溶液のタンクから流動層への供給管に、この供給管内の塩化カルシウム水溶液を上記タンクに返送する返送管を接続可能とすることにより、この供給管内における塩化カルシウム水溶液の滞留を防ぐことができ、また第2に、上記タンクをスクラバーに接続可能としてタンク内の塩化カルシウム水溶液をスクラバーに供給して保持可能とすることにより、タンクにおいて固結を防止する必要がなくなって経済的である。さらに、流動層において生成された塩化カルシウム水和物の造粒物の少なくとも一部を、選択的にシードホッパーに供給可能とすれば、造粒作業の再開時に改めて種粒子を準備する必要がなく、より円滑かつ速やかに作業を再開することができる。
【0044】
また、上記流動層に造粒物を分別する振動篩装置を接続して、粗粒子の少なくとも一部を選択的に製品造粒物として排出可能とすれば、生成された造粒物の粒子のうち粒径の大きなこの粗粒子が製品として必要とされる場合でも速やかに対応することができる。一方、この流動層にスクラバーを接続し、このスクラバーにおいて流動層からの排気を洗浄した洗浄水を該スクラバーに循環可能とするとともに、その少なくとも一部を流動層側に供給可能とすれば、造粒作業中には上記タンク等における塩化カルシウム水溶液の濃度調整などを容易にすることができ、また造粒作業再開前の塩化カルシウム水溶液の濃縮も、流動層の乾燥、昇温の際の高温排気によってこのスクラバーにおいて行うことができ、濃縮時間の短縮をやエネルギーの有効利用を図ることができる。また、このスクラバーとしてスプレー式のものを採用すれば、排気ブロアの動力を低減できて一層効率的である。さらに、このような造粒装置を用いて、上記流動層内の水蒸気分圧を、この流動層内の塩化カルシウムの蒸気圧に対して調整することにより、所定の形状の粒子を含んだ造粒物を生成すれば、その使用目的等に適した製品造粒物を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の塩化カルシウム水和物の造粒装置の一実施形態を示す図である。
【図2】 図1に示す実施形態の第1、第2のダンパー15,17の断面図である。
【図3】 図1に示す実施形態の貯留器21を示す断面図である。
【図4】 塩化カルシウム水和物の蒸気圧線図である。
【符号の説明】
1 流動層
6 熱風炉
7 水分調整装置
8 スプレーノズル
9 濃度調整装置
10 塩化カルシウム水溶液のタンク
11A タンク10から流動層1への塩化カルシウム水溶液の供給管
12 シードホッパー
14 振動篩装置
15,17 ダンパー
16 粉砕機
20 乾燥冷却機
22 スクラバー
23 スクラバーポンプ
25 返送管
26 排液管
1,T2 温度センサ
1,H2,H3 湿度センサ
1,F2 流量センサ
1 濃度センサ

Claims (8)

  1. 流動層において種粒子を流動させつつ塩化カルシウム水溶液を噴霧して造粒物を生成する塩化カルシウム水和物の造粒装置であって、上記流動層に塩化カルシウム水溶液を供給する供給系には、この供給系における塩化カルシウム水溶液の滞留を防ぐことによりその固結を防止する固結防止手段が備えられており、上記供給系において塩化カルシウム水溶液はタンクから供給管を介して上記流動層に供給されて噴霧されるとともに、上記固結防止手段として、上記供給管には、該供給管内の塩化カルシウム水溶液を上記タンクに返送する返送管が接続されていることを特徴とする塩化カルシウム水和物の造粒装置。
  2. 流動層において種粒子を流動させつつ塩化カルシウム水溶液を噴霧して造粒物を生成する塩化カルシウム水和物の造粒装置であって、上記流動層に塩化カルシウム水溶液を供給する供給系には、この供給系における塩化カルシウム水溶液の滞留を防ぐことによりその固結を防止する固結防止手段が備えられており、上記供給系において塩化カルシウム水溶液はタンクから上記流動層に供給されて噴霧されるとともに、上記固結防止手段として、上記タンクが、上記流動層から排出される排気を洗浄水によって洗浄するスクラバーに接続されていて、該タンク内の塩化カルシウム水溶液が上記スクラバーに供給されて保持されることを特徴とする塩化カルシウム水和物の造粒装置。
  3. 上記流動層には、該流動層に上記種粒子を供給するシードホッパーが接続されるとともに、このシードホッパーには、上記流動層において生成された塩化カルシウム水和物の上記造粒物の給送管が二股に分岐させられてその一つが接続されており、造粒作業を終了する際には、上記給送管の分岐部分に設けられた第2のダンパーによって上記造粒物の少なくとも一部が、選択的に上記シードホッパーに供給されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の塩化カルシウム水和物の造粒装置。
  4. 上記流動層には、該流動層において生成された塩化カルシウム水和物の造粒物を粗粒子と中粒子と細粒子とに分別する振動篩装置が接続されるとともに、この振動篩装置には二股に分岐させられた上記粗粒子の給送管が接続されており、このうち上記粗粒子が製品として必要とされる場合には、上記粗粒子の給送管の分岐部分に設けられた第1のダンパーによって該粗粒子の少なくとも一部が選択的に製品造粒物として排出されることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の塩化カルシウム水和物の造粒装置。
  5. 上記流動層には、該流動層から排出される排気を洗浄水によって洗浄するスクラバーが接続されており、この排気を洗浄した洗浄水は、該スクラバーに循環されるとともに、その少なくとも一部が上記流動層側に供給されることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の塩化カルシウム水和物の造粒装置。
  6. 上記流動層には、該流動層から排出される排気を洗浄水によって洗浄するスクラバーが接続されており、このスクラバーが、上記排気を洗浄塔に導入して該洗浄塔内に噴霧される上記洗浄水により洗浄するスプレー式のスクラバーであることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の塩化カルシウム水和物の造粒装置。
  7. 上記流動層には、熱風炉から該流動層の加圧室に供給される加熱されて乾燥した流動用ガスに蒸気または水を放射あるいは噴霧することにより、この流動用ガスの含有水分量を調整する水分調整装置が備えられるとともに、上記塩化カルシウム水溶液の供給系には、原料塩化カルシウムが供給される上記タンク内に蒸気が供給される蒸気管が配設されて、該タンクに保持された塩化カルシウム水溶液を加熱して水分を蒸発させることにより、この塩化カルシウム水溶液の濃度を調整する濃度調整装置が備えられていることを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の塩化カルシウム水和物の造粒装置。
  8. 請求項7に記載の塩化カルシウム水和物の造粒装置により、上記水分調整装置と上記濃度調整装置との少なくとも一方を用いて、上記流動層内の水蒸気分圧を、該流動層内の塩化カルシウムの蒸気圧に対して調整することにより、所定の形状の粒子を含んだ造粒物を生成することを特徴とする塩化カルシウム水和物の造粒方法。
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