JP4162413B2 - スイッチ組立体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、スイッチ組立体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
防水性能に優れた押しボタンスイッチとしては、特許第3208574号公報に記載されたものが知られている。この従来例においては、押しボタンスイッチは、図3に示すように、ハウジング10内に上下移動自在に保持される操作ボタン2と、操作ボタン2の裏面に配置されるゴム材11とを有する。ゴム材11の中心部には、スイッチ3の作動ピン12が固定されており、操作ボタン2を押下することによってゴム材11が上下方向に撓み、作動ピン12が動作する。
【0003】
スイッチ3内への浸水を防止するために、上記ゴム材11の周縁は、ハウジング10と、ゴム材11の裏面部に配置される下ハウジング13により挟み付けられており、さらに、操作ボタン2とゴム材11との間には、操作ボタン2の押下方向へのスペースを確保するための空隙14が形成される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上述した従来例には、以下の欠点がある。すなわち、操作ボタンとハウジング10とは、操作ボタン2に形成されたフランジ状の抜け止め突部2aをハウジング10の裏面に押しつけた状態であり、かつ、双方が硬質材料により形成されるために、屋外で使用される場合には、空隙14内への水等の侵入を完全に防止することはできない。
【0005】
空隙14内に侵入した水は寒冷地においては、氷結する可能性があり、水の固化によって操作ボタン2の操作も不能となるために、かかる従来例における押しボタンスイッチは、例えば、自動車の外表面に配置されるスイッチのように、寒冷で、かつ、屋外に放置される部位には使用できないという問題がある。
【0006】
本発明は、以上の欠点を解消すべくなされたものであって、寒冷な屋外でも暴露状態で使用可能なスイッチ装着部材における押しボタンスイッチ部を構成するために有用なスイッチ組立体の提供を目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば上記目的は、
下端周縁に設けられた抜け止め突部2aが柔軟材からなる弾性部材4に係止されて上下移動自在に保持される操作ボタン2と、
操作ボタン2の下方に該操作ボタン2の押し込みストローク終端を規制するストッパ5を備えたスイッチケース8と、
スイッチケース8内に収容、固定され、上方に操作部3aが突設されるスイッチ3とを有し、
前記弾性部材4は、前記スイッチケース8の上端縁全周に形成される内向きフランジ8aに係止され、該内向きフランジ8aの上面を覆うシール用カバー部9と、前記ストッパ5の外方を全周に渡って包囲する薄肉カバー部6と、
操作ボタン2の裏面全面を覆い、操作部3aと操作ボタン2との間に介装される介装部4aとを備え、
操作ボタン2の押下により弾性部材4の介装部4aを介して操作部3aを押下するスイッチ組立体を提供することにより達成される。
【0009】
押しボタンスイッチ部は操作ボタン2の下方にスイッチ3の操作部3aを配置して形成される。操作ボタン2の裏面と操作部3aとの間には弾性部材4の介装部4aが介装され、操作ボタン2を押下すると、介装部4aを介して操作部3aが押下され、所定のスイッチング操作が行われる。
【0010】
上記操作ボタン2の押下操作に伴う下方への移動ストロークを規制するために、操作ボタン2の下方には、ストッパ5が配置され、該ストッパ5と操作ボタン2との間には、操作ボタン2の下方への移動を保証するための空隙14が設定される。このストッパ5の周囲、正確には空隙14は全周に渡って弾性部材4に一体形成される薄肉カバー部6により包囲されており、薄肉カバー部6の下縁にスイッチ装着部材1とのシール面Sが構成される。
【0011】
したがってこの発明において、操作ボタン2を外部に露出させた状態で、操作ボタン2とボタン収容孔1aとの境界部から侵入した水は、薄肉カバー部6、および薄肉カバー部6の下縁全周に形成されるシール面Sに阻まれて空隙14内、あるいはスイッチ3内部に浸入することはない。空隙14への水の侵入が防止されることから、従来例のように空隙14内の水が氷結して操作ボタン2の操作が不能になることもなく、また、シール面Sに阻まれて滞留した水が氷結しても、薄肉カバー部6の外壁面は氷結面から容易に剥離することが可能であり、かつ、薄肉カバー部6自体が高い弾性変形能を有するために、操作ボタン2の操作が不能になることはない。
【0012】
また、操作ボタン2とボタン収容孔1aとの境界部から浸入した水が操作ボタン2の裏面側に回り込んでも該操作ボタン2の裏面全面が弾性部材4により覆われているために、スイッチ3内部に達することがない上に、弾性部材4は、操作ボタン2への下方への押しつけ力を弾性部材4が加重方向に伝達する中継部材としての機能しか有していないために、操作ボタン2との境界に侵入した水が氷結しても、操作ボタン2の操作に支障を来すことはない。
【0013】
この場合、弾性部材4を操作ボタン2の抜け止め突部2aに係止させると、操作ボタン2と弾性部材4との動作追随性が良好になるために、操作感が向上する。また、操作ボタン2の抜け止め突部2aに係止させるために係止部4bを上方に延設すると、氷結した水との接触面積が大きくなり、弾性部材4の氷結部との剥離抵抗が大きくなって操作ボタン2の操作性を損なうおそれがあるが、係止部4bと前記薄肉カバー部6の外周壁面を裾広がりの錐面7とすることによって、薄肉カバー部6は操作ボタン2の押下操作によって外周壁が氷結部の壁面から剥離する方向に変形するために、操作力を剥離力として効率よく利用でき、操作感の変化も小さくすることができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
図2に自動車のドアハンドル装置に装着された本発明の実施の形態を示す。ドアハンドル装置は、自動車のドアパネル外壁面に固定されるハンドルベース15と、ハンドルベース15に連結されるハンドル本体16とを有して形成される。
【0015】
ハンドル本体16は、裏面に突設される2本のアーム16aを有し、該アーム16aとハンドルベース15の支持脚15aとがヒンジ軸17により連結される。連結状態において、ハンドル本体16は上記ヒンジ軸17周りに回転操作可能であり、該ハンドル本体16を図2において手前側に引き出すように回転させると、アーム16aに連結された図外のロッドによりドア体内部のロック装置が駆動され、ドアが開扉状態に移行する。また、上記ロック装置は、施錠状態と解錠状態との間を遷移可能であり、ドアハンドル装置には、該ロック装置を施錠状態とするための押しボタンスイッチ部が形成される。
【0016】
図2に示すように、押しボタンスイッチ部は、操作ボタン2を備えるスイッチ組立体Aをハンドルベース15(スイッチ装着部材1)に固定して形成され、該ハンドルベース15には、上記操作ボタン2の上面を外部に露出するためのボタン収容孔1aが開設される。なお、押しボタンスイッチ部は、車幅方向に操作ボタン2が移動するように固定されるが、本実施の形態においては、車幅方向を上下方向とし、操作時の操作ボタン2の押下方向が下方、その反対方を上方として説明する。
【0017】
スイッチ組立体Aは、上記操作ボタン2と、弾性部材4と、スイッチケース8内に固定され、中心部にスイッチ3を実装した基板18とを有して予めサブアッセンブルされ、スイッチケース8の底壁部に設けられる固定部8bにおいてハンドルベース15裏面に止着される。
【0018】
スイッチケース8は、上端全周に内向きフランジ8aを突設して筒形状に形成され、該スイッチケース8内部に固定される基板18の中心部にスイッチ3が実装される。このスイッチ3は、車体の適宜箇所に設置された制御部19にケーブル20を介して接続され、スイッチ3に設けられた操作部3aを押下することによってドア体内部に配置された図外のロック装置を施錠方向に遠隔操作することができる。
【0019】
弾性部材4は、ゴム等の柔軟な弾性材料に形成され、上記スイッチケース8の内向きフランジ8aに全周に渡って係止して装着される。この弾性部材4は、内向きフランジ8aへの係止状態において、該内向きフランジ8aの上面に積層されるシール用カバー部9を備える。このシール用カバー部9は、後述するハンドルベース15のシール突条15bに押圧された際にシーリングに必要な撓み代が確保されるように十分な厚みを有している。
【0020】
また、弾性部材4はシール用カバー部9から上方に延設されて後述する空隙14を全周に渡って包囲する筒形状の薄肉カバー部6と、薄肉カバー部6の上方開口を閉塞するように形成される介装部4aとを備える。薄肉カバー部6は、介装部4aが下方に押しつけられた際に容易に撓むことができるように、薄肉に形成され、シール用カバー部9との基端部には、弾性変形を容易にするための溝9aが全周に渡って形成される。
【0021】
さらに、上記弾性部材4は介装部4aの中心部に膨隆するブロック部4cと、薄肉カバー部6の上方に延設される係止部4bとを備える。係止部4bと薄肉カバー部6の外壁は、連続面であり、下方に行くに従って拡径される錐面7により形成される。
【0022】
上記弾性部材4のブロック部4cと係止部4bとにより操作ボタン2が保持される。操作ボタン2は、硬質の合成樹脂材等により平面視長円形状に形成され、その下端縁全周には上記ボタン収容孔1aよりやや大きなフランジ状の抜け止め突部2aが設けられてボタン収容孔1aからの脱離が防止される。
【0023】
この操作ボタン2は、裏面に形成された嵌合凹部2b内に上記弾性部材4のブロック部4cを嵌合させるとともに、抜け止め突部2aに弾性部材4の係止部4bを係止させて上下方向に移動自在に装着される。装着状態において、弾性部材4のブロック部4cは操作ボタン2の裏面とスイッチ3の操作部3a上端との間の隙間を埋め、操作ボタン2への押下操作は、ブロック部4cを介して直接操作部3aに伝達される。この操作ボタン2の下方への押下ストロークは、スイッチケース8に設けられ、抜け止め突部2aに所定の空隙14を保持して対峙するストッパ5により規制される。
【0024】
以上のように形成されるスイッチ組立体Aは、上述したように、スイッチケース8に設けられた固定部8bにおいてハンドルベース15に固定される。固定状態において、ハンドルベース15の裏面に突設されるシール突条15bは裏面がスイッチケース8の内向きフランジ8aにより支承された弾性部材4のシール用カバー部9を全周に渡って上方から押しつけ、シール面Sが構成される。
【0025】
スイッチ組立体Aをハンドルベース15に固定した状態で、ハンドルベース15側のボタン収容孔1aから水が侵入しても、上記シール面Sにより阻まれてスイッチ3内部に侵入することはない。また、シール面Sにより阻まれた水が氷結した状態で操作ボタン2を押下すると、介装部4aの下方への移動に伴って氷結部との接触境界となる弾性部材4の薄肉カバー部6、および係止部4bにより形成される錐面7には中央部下方への弾性変形力が発生するために、氷結部から容易に剥離し、操作ボタン2の操作性を低下させることがない。
【0026】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、寒冷な屋外でも暴露状態で使用可能なスイッチ装着部材における押しボタンスイッチ部を構成するために有用なスイッチ組立体を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を示す図で、図2の1A-1A線断面図である。
【図2】ハンドル装置を示す正面図である。
【図3】従来例を示す断面図である。
【符号の説明】
1 スイッチ装着部材
1a ボタン収容孔
2 操作ボタン
2a 抜け止め突部
3 スイッチ
3a 操作部
4 弾性部材
4a 介装部
4b 係止部
5 ストッパ
6 薄肉カバー部
7 錐面
8 スイッチケース
8a 内向きフランジ
9 シール用カバー部
S シール面
A スイッチ組立体
Claims (1)
- 下端周縁に設けられた抜け止め突部が柔軟材からなる弾性部材に係止されて上下移動自在に保持される操作ボタンと、
操作ボタンの下方に該操作ボタンの押し込みストローク終端を規制するストッパを備えたスイッチケースと、
スイッチケース内に収容、固定され、上方に操作部が突設されるスイッチとを有し、
前記弾性部材は、前記スイッチケースの上端縁全周に形成される内向きフランジに係止され、該内向きフランジの上面を覆うシール用カバー部と、前記ストッパの外方を全周に渡って包囲する薄肉カバー部と、
操作ボタンの裏面全面を覆い、操作部と操作ボタンとの間に介装される介装部とを備え、
操作ボタンの押下により弾性部材の介装部を介して操作部を押下するスイッチ組立体。
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