JP4161284B2 - カスケードループの制御パラメータ自動調整方法 - Google Patents

カスケードループの制御パラメータ自動調整方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、カスケードループ制御調節器の制御パラメータを自動設定する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
火力発電プラントにおいては、高効率化、省力化、運用の多様化、保守性向上、環境保全などのニーズに対し、高温高圧化、全自動化、燃料の多様化などの機能を追加することにより運用の高度化が図られている。また、各種海外炭を燃料とする石炭焚火力発電プラントの増加に従い、炭種により異なる水分量、粉砕性、灰付着特性などに起因するボイラ特性変化などに柔軟に対応できる制御システムが求められている。
【0003】
これらの要望を満たすために、火力発電プラントの制御システムも、高度化、高機能化が進められているが、制御調節器としては、PI(比例・積分)調節器を用いたものが依然として主流であり、このPI調節器の制御パラメータ(比例ゲインPと積分時間I)を主に調整員の経験に基づき従来設定していた。
【0004】
そのため火力発電プラントにおける試運転調整において、以下の問題点があった。
▲1▼試運転調整を短期間に円滑に完了させるためには、熟練した調整員が不可欠であるが、プラント数の増加、プラント出力の大容量化に伴い熟練者調整員の不足が深刻化しており、プラントの操業にも影響が生じるおそれがある。
▲2▼プラント全体の制御システム(APC:Automatic Power Plant Control System )が高度化、高機能化し、調整員が全ての内容を把握しきれない状況にある。
▲3▼コスト低減のため、試運転期間の短縮が強く要望されている。
【0005】
更に、試運転調整後も、以下の課題が生じている。
▲4▼炭種が短期間(数週間から数カ月)で変化し、かつ炭種により含有水分量、粉砕性、灰付着特性、燃料比などが異なるので、炭種切替え毎に制御パラメータを再調整する必要がある。
▲5▼炭種が同一でも、石炭水分量が、天候(雨、雪など)の影響を受け、これにより出炭特性が変化する。
▲6▼石炭の運用は一炭種だけでなく混炭も行うため混炭後の石炭性状が明確に把握できない。
▲7▼石炭は、石炭ヤード、バンカ、ベルトコンベア、ミル等を経由するため、どの時点で炭種が切り替わったのが明確でない。
【0006】
上述した種々の問題点を解決するために、制御調節器の制御パラメータを自動設定することが従来から強く要望されており、種々の手段が既に提案されている(例えば、特開平4−294402号、特開平5−143113号、特開平5−173605号、特開平5−324011号、特開平6−1311007号、特開平7−268006号、等)。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、かかる従来の手段、例えば特開平5−173605号の「内燃機関の回転速度PID制御器用ゲイン調整装置」ではファジイ理論や学習機能を用いているが、基本的にIF〜THEN〜形式の複合命題で記述され、多数のルールの各々は人間が経験に基づく知識やノウハウを用いて作成されていた。そのため、従来の手段を特定のプラント(例えば火力発電プラント)に適用するためには、熟練した調整員のノウハウを正確に分析して多数の論理式を作成し、それぞれに適当な命令を作成する必要があった。
【0008】
そのため、従来の手段では、熟練した調整員のノウハウが不可欠であり、プラント全体の制御システムの把握が必要であり、かつ多数の炭種の含有水分量、粉砕性、灰付着特性、燃料比等の特性に対応してIF〜THEN〜形式の複合命題における設定量を適切に設定する必要があり、試運転や再調整に長期間を要する問題点があった。
【0009】
更に特に、複数の測定変量によって複数の操作端を制御するカスケードループでは、1つの操作端(例えばボイラマスタ)の制御パラメータを変化させることにより、発電機出力、主蒸気圧力、主蒸気温度、再熱蒸気温度、排ガスO2 等の複数の測定変量が影響を受けるため、プラントの制御特性は一層複雑となり、それぞれを短時間で最適パターンに近づけることが極めて困難となる。
【0010】
かかる問題点を解決するために、本発明の発明者等は、先に、プラント全体の制御システムの把握を必要とせず、熟練度を必要とせずに誰でも、短時間に容易に使用でき、かつ短時間に短い制御ステップで最適パターンに近づけることができる制御パラメータの自動調整方法を創案し出願した(特願平9−229078号、未公開)。
【0011】
特願平9−229078号の方法は、複数の測定変量によって複数の操作端を制御するカスケードループにおいて、制御調節器の複数の制御パラメータを自動調整する方法であって、各測定変量について、(A)制御時間と制御量の最適パターンを予め設定し、(B)複数の制御パラメータをそれぞれ増減させて、対象プラントの制御時間と制御量の関係を複数の模擬パターンとしてそれぞれ設定し、(C)対象プラントを運転して、制御時間と制御量の関係から実パターンを求め、該実パターンに相当する模擬パターンを選択し、(D)選択した模擬パターンから複数の制御パラメータの増減方向とその増減量を決定し、次いで、(E)各測定変量に対する各制御パラメータの増減方向と増減量を、重要度を加味して加重平均するものである。
【0012】
この方法では、(B)の「制御時間と制御量の関係を複数の模擬パターンとしてそれぞれ設定する」に際し、複数の測定変量(例えば、発電機出力、主蒸気圧力、主蒸気温度、再熱蒸気温度、排ガスO2 等)のそれぞれの目標値に調整用信号を加える必要がある。
【0013】
しかし、カスケードループでは、ある測定変量の目標値を変化させると、他の操作量や制御量にも影響を与えてしまうため、それぞれの目標値に調整用信号を加えても、正確な模擬パターンを設定できない。また、実際の火力発電プラントでは、主蒸気温度、再熱蒸気温度、排ガスO2 等の多くの測定変量の目標値が通常、一定であり、通常の操作ではほとんど変化させることがない。従って、このような測定変量を制御パラメータの設定のみのために変化させると、プラントの各機器に過大な負荷をかけたり、誤った目標値のままプラントを長期運転し続ける等のおそれがある。
【0014】
本発明は、かかる問題点を解決するために創案されたものである。すなわち、本発明の目的は、主蒸気温度、再熱蒸気温度、排ガスO2 等の通常の操作で変化させない測定変量の目標値を一定に保持したまま、カスケードループの各制御調節器の複数の制御パラメータを自動調整することができる制御パラメータ自動調整方法を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、複数の測定変量によって複数の操作端を制御するカスケードループにおいて、制御調節器の複数の制御パラメータを自動調整する方法であって、(A)複数の測定変量を、目標値が変化する変動測定変量と目標値が変化しない定値測定変量とに区分し、(B)各測定変量について制御時間と制御量の最適パターンを予め設定しておき、模擬パターン設定手段が、変動測定変量のうちの1つ又は複数の目標値に調整用信号を加え、定値測定変量を含む各測定変量について、最適パターンを基準に複数の制御パラメータをそれぞれ増減させて、対象プラントの制御時間と制御量の関係を示す相互に異なる複数の模擬パターンそれぞれ自動設定し、(D)対象プラントを運転して、選択手段が、各測定変量について、制御時間と制御量の関係から実パターンを求め、前記複数の模擬パターンの中から前記実パターンに相当する模擬パターンを選択し、(E)増減量決定手段が、各測定変量について、選択した模擬パターンに基づいて複数の制御パラメータの増減方向とその増減量を決定し、次いで、(F)加重平均手段が、各測定変量に対する各制御パラメータの増減方向と増減量を、重要度を加味して加重平均する、ことを特徴とするカスケードループの制御パラメータ自動調整方法が提供される。
【0016】
この方法により、各測定変量(例えば、発電機出力、主蒸気圧力、主蒸気温度、再熱蒸気温度、排ガスO)について、(A)で変動測定変量と定値測定変量とに区分した後、()のステップで、コンピュータを用いて複数の模擬パターンを自動で設定でき、更に()で最適パターンを設定するだけで、熟練度を必要とせずに誰でも、短時間に容易に使用することができる。
【0017】
また、(E)のステップでは、重要度を加味して自由に加重平均することにより、全体の測定変量をバランスよく制御することができる。更に、この方法は、対象プラントから模擬パターンと実パターンを求めることができれば、それ以上のプラント全体の制御システムの把握を必要としない。従って、上述した火力発電プラント等に限定されず、カスケードループの制御調節器を用いる他の一般のプラント又は装置にもそのまま適用することができる。
【0018】
更に、この方法では、各測定変量(例えば、発電機出力、主蒸気圧力、主蒸気温度、再熱蒸気温度、排ガスO2 )を目標値が変化する変動測定変量(例えば、発電機出力と主蒸気圧力)と目標値が変化しない定値測定変量(例えば、主蒸気温度、再熱蒸気温度、排ガスO2 )とに区分し、変動測定変量のうちの1つ又は複数の目標値のみに調整用信号を加えるので、通常の操作で変化させない測定変量の目標値を一定に保持したまま、カスケードループの各制御調節器の複数の制御パラメータを自動調整することができる。
【0019】
本発明の好ましい実施形態によれば、前記模擬パターンの設定は、対象プラントのシミュレーション又は実機のステップ又はランプ応答試験による。すなわち、火力発電プラント等のように、精度の高いシミュレーションシステムが確立している場合にはこれを用いることにより、極めて短時間に模擬パターンを設定することができる。また、シミュレーションシステムが確立していない場合でも、実機を用いてステップ応答試験を行うことにより、プラント全体の制御システムの把握を必要とせずに、正確に模擬パターンを設定することができる。
【0020】
前記模擬パターンは、面積偏差、減衰程度、オーバーシュート及び振動程度を特徴量として設定され、各特徴量をメンバーシップ関数を用いてファジイ評価するのがよい。このようにプラントにおいて重要な特徴量である面積偏差、減衰程度、オーバーシュート及び振動程度をメンバーシップ関数を用いてファジイ評価することにより、最適パターンへ効果的に短時間に近づけることができる。
【0021】
対象プラントが火力発電プラントである場合、前記制御調節器はPI調節器であり、前記複数の測定変量は、発電機出力、主蒸気圧力、主蒸気温度、再熱蒸気温度、排ガスO2 であり、そのうち前記変動測定変量は、通常発電機出力、主蒸気圧力であり、定値測定変量は、通常主蒸気温度、再熱蒸気温度、排ガスO2 であり、発電機出力の目標値に調整用信号を加え、各測定変量について、(A)前記ファジイ評価により面積偏差、減衰程度、オーバーシュートの3つの特徴量の大きさに応じて、それぞれ「小」「中」「大」の評価値を定めて、複数の模擬パターンを選択し、(B)前記各模擬パターンに応じて比例ゲインPと積分時間Iの増減方向を増加、保持又は減少として決定し、(C)更に、振動程度の大きさに応じて「小」「中」「大」の評価値を定め、これに対応して比例ゲインPの増減方向を増加、保持又は減少として決定し、(D)前記BとCの結果を加算して、比例ゲインPと積分時間Iを増減又は保持する方向とその量を決定し、次いで、(E)各測定変量に対する各制御パラメータの増減方向と増減量を、重要度を加味して加重平均する。
【0022】
火力発電プラントにおける制御調節器は主にPI調節器であり、PI調節器の制御パラメータである比例ゲインPと積分時間Iの増減方向を、複数の模擬パターンから決定し、更に振動程度の大きさに応じて比例ゲインPの増減方向を加算して決定することにより、現代制御理論のような膨大で複雑な制御を行うことなく、短時間に短い制御ステップで最適パターンに近づけることができる。
【0023】
また、変動測定変量を、発電機出力、主蒸気圧力、定値測定変量を、主蒸気温度、再熱蒸気温度、排ガスO2 として、発電機出力の目標値に調整用信号を加えて制御パラメータを自動調整するので、主蒸気温度、再熱蒸気温度、排ガスO2 等の通常の操作で変化させない測定変量の目標値を一定に保持したまま、複数の測定変量によって複数の操作端を制御するカスケードループの各制御調節器の複数の制御パラメータを自動調整することができる。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好ましい実施形態を図面を参照して説明する。
【0025】
図1は、本発明の方法による学習・調整手順を示すブロック図である。この図に示すように、本発明の方法は、学習手順と調整手順の2つに大別される。また、本発明の方法は、複数の測定変量によって複数の操作端を制御するカスケードループにおける制御調節器の複数の制御パラメータを自動調整するものである。火力発電プラントにおけるカスケードループには、タービンマスタ、ボイラマスタ、水燃比マスタ、空燃比マスタ、再熱蒸気温度制御、等がある。
【0026】
図1において、学習手順では、1の対象プラントのシミュレーション又は実機のステップ応答試験により、2で模擬パターンを作成/設定し、3で自動学習する。また、調整手順では、4の時定数算出により、対象プラントの時定数を算出し、この時定数を所定数で分割して制御時間の間隔を設定する。更に、5のファジイ推論では、自動学習した結果に基づき、比例ゲイン等の制御パラメータの自動調整する。
【0027】
このように、模擬パターンの設定を対象プラントのシミュレーション又は実機のステップ応答試験によることにより、火力発電プラント等のように、精度の高いシミュレーションシステムが確立している場合にはこれを用いることにより、極めて短時間に模擬パターンを設定することができる。また、シミュレーションシステムが確立していない場合でも、実機を用いてステップ応答試験を行うことにより、プラント全体の制御システムの把握を必要とせずに、正確に模擬パターンを設定することができる。
【0028】
図2は、変動測定変量の本発明による学習用応答パターンを模式的に示す図であり、図3は定値測定変量についての同様の模式図である。図2及び図3において、中央に位置する応答パターンが、望ましい最適パターンであり、そのまわりに位置する8つのパターンは、制御パラメータを増減させた場合の模擬パターンである。これらの図に示すように、変動測定変量の目標値に調整用信号を加えると、変動測定変量では、新たな変量値に収束するのに対して、定値測定変量では元の値に収束する点が相違する。
【0029】
図2及び図3において、本発明の制御パラメータの自動調整方法では、3の自動学習において、まず、(A)複数の測定変量(例えば、発電機出力、主蒸気圧力、主蒸気温度、再熱蒸気温度、排ガスO2 )を、目標値が変化する変動測定変量(例えば、発電機出力、主蒸気圧力)と目標値が変化しない定値測定変量(例えば、主蒸気温度、再熱蒸気温度、排ガスO2 )とに区分する。次いで、(B)変動測定変量(発電機出力、主蒸気圧力)のうちの1つ(例えば発電機出力のみ)又は複数の目標値に調整用信号を加え、定値測定変量を含む各測定変量について、複数の制御パラメータ(この図では比例ゲインPと積分時間I)をそれぞれ増減させて、対象プラントの制御時間と制御量の関係を複数の模擬パターン(学習パターン1〜9)としてそれぞれ設定する。
【0030】
学習パターン5は、比例ゲインPと積分時間Iの両方が中間値である限りで、自由に調整して、望ましい適正応答パターンに修正することができる。また、最適パターン5は変動測定変量、定値測定変量それぞれについて共通であってもよい。
【0031】
次に、(D)対象プラントを運転して、制御時間と制御量の関係から実パターンを求め、この実パターンに相当する模擬パターン(学習パターン1〜9)を選択し、(E)選択した模擬パターンから複数の制御パラメータの増減方向を(B)における増減方向と逆方向に決定し、同時にその増減量をファジイ評価により決定する。なお、この説明において、「増減」には、増減のないそのままの場合も含んでいる。
【0032】
以上の(A)〜(E)は各測定変量についてそれぞれ行うが、目標値に調整用信号を加えるのは、変動測定変量(発電機出力、主蒸気圧力)のうちの1つ又は複数のみである。次いで、(F)各測定変量に対する各制御パラメータの増減方向と増減量を、重要度を加味して加重平均する。この加重平均は、重要度を加味して自由に設定することができ、これにより、全体の測定変量をバランスよく制御することができる。
【0033】
なお、図2及び図3に示した各パターンは、制御時間(横軸)と制御量(縦軸)の変化曲線として示しているが、実際の制御ではこれを、面積偏差、減衰程度、オーバーシュート及び振動程度の特徴量として設定するのがよい。更に、各特徴量をメンバーシップ関数を用いてファジイ評価する。ここで、メンバーシップ関数とは、図4に例示するように、各特徴量に対して評価値を与えるものであり、区分(この場合、「小」「中」「大」)の境界部分では、2つの区分の両方に異なる評価値を与えるものである。
【0034】
次に、対象プラントが火力発電プラントである場合について更に詳述する。この場合、制御調節器はPI調節器を対象とする。また、この場合に複数の測定変量は、発電機出力、主蒸気圧力、主蒸気温度、再熱蒸気温度、排ガスO2 である。
【0035】
先ず、(A)面積偏差、減衰程度、オーバーシュートの3つの特徴量の大きさに応じて、それぞれ「小」「中」「大」の評価値を定めて、表1に示す27種の模擬パターンを予め作成する。
【0036】
【表1】
Figure 0004161284
【0037】
また、この27種の模擬パターンに対応して、比例ゲインPと積分時間Iの増減方向を表2に示すように、予め定めておく。なお、この対応は表1のNo.1〜9、10〜18、19〜27がそれぞれ表2に対応しており、メンバーシップ関数による評価値の大きさでその度合を変える。
【0038】
【表2】
Figure 0004161284
【0039】
更に、振動程度の大きさに応じて比例ゲインPの増減方向を表3のように定める。
【0040】
【表3】
Figure 0004161284
【0041】
実際の自動調整では、上述した自動学習において、発電機出力の目標値に調整用信号を加え、各測定変量について、まず、(A)制御時間と制御量の最適パターン(学習パターン5)を予め設定し、次いで、(B)複数の制御パラメータ(この図では比例ゲインPと積分時間I)をそれぞれ増減させて、対象プラントの制御時間と制御量の関係を複数の模擬パターン(5を除く、学習パターン1〜9)を求め、この模擬パターンから、面積偏差、減衰程度、オーバーシュート及び振動程度の特徴量を求めて記憶する。なお、(A)と(B)は順序を逆にし、得られた学習パターン1〜9から最適パターン(学習パターン5)を選択してもよい。
【0042】
次に、(C)対象プラントを運転して、制御時間と制御量の関係から実パターンを求め、この実パターンから各特徴量を求め、その各特徴量を表1に照合して相当するパターンを選択する。
【0043】
次に、選択したパターンに応じて表2から比例ゲインPと積分時間Iの増減方向を増加、保持又は減少として決定し、更に振動程度の大きさに応じて「小」「中」「大」の評価値を定め、これに対応して表3から比例ゲインPの増減方向を増加、保持又は減少として決定し、表2と表3の結果を加算して、比例ゲインPと積分時間Iを増減又は保持する方向とその量を決定する。
【0044】
以上の(A)〜(D)は、各測定変量に対してそれぞれ別個に行うが、表1〜表3のパターンは共通に用いることができる。次いで、(E)各測定変量に対する各制御パラメータの増減方向と増減量を、重要度を加味して加重平均する。
【0045】
上述した方法により、ニューラルネットワークのような膨大な学習過程を必要とすることなく、短時間に短い制御ステップで最適パターンに近づけることができる。また、表1〜表3のパターンは、制御対象に依存しない汎用性があり、火力発電プラント以外の一般産業の制御に適用できる。更に、この方法は、対象プラントから模擬パターンと実パターンを求めることができれば、それ以上のプラント全体の制御システムの把握を必要としない。従って、熟練度を必要とせずに誰でも、短時間に容易に適用することができる。
【0046】
【実施例】
上述した本発明の制御パラメータの自動調整方法を検証するために、精度の高いシミュレーションシステムとして確立している火力発電プラント用の解析システム(エネルギープラント動特性解析システム)を用いて、1000MW石炭焚変圧貫流ボイラを対象としてシミュレーションを実施した。
【0047】
図5は、発電機出力をステップ状に変化させたときの、主蒸気圧力、主蒸気温度、再熱蒸気温度の応答波形の一例を示している。このように、カスケードループでは、ある変動の目標値に調整用信号を加えると、その他の測定変量は種々の波形で応答する。
【0048】
図6は本発明の方法で得られた結果であり、このうち(A)(B)は、特願平9−229078号の方法による比例ゲイン・積分時間の自動調整軌跡であり、(C)(D)は、本発明の方法による同様の自動調整軌跡である。各図において、Case1〜5はそれぞれ最適条件から大きく外れた設定から中央部の最適設定値まで達する繰り返しを各記号で示している。
【0049】
これらの結果から、本発明の方法も、特願平9−229078号の方法と同様に10〜30回程度の調整により適正値に到達しており、その後も調整値が安定していることが確認できた。
【0050】
なお、本発明は上述した実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変更できることは勿論である。
【0051】
【発明の効果】
上述したように、本発明の制御パラメータの自動調整方法は、プラント全体の制御システムの把握を必要とせず、熟練度を必要とせずに誰でも、短時間に容易に使用でき、かつ短時間に短い制御ステップで最適パターンに近づけることができ、かつ通常の操作で変化させない測定変量の目標値を一定に保持したまま、カスケードループの各制御調節器の複数の制御パラメータを自動調整することができる、等の優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の方法による学習・調整手順を示すブロック図である。
【図2】変動測定変量の本発明による学習用応答パターンを示す図である。
【図3】定値測定変量の本発明による学習用応答パターンを示す図である。
【図4】メンバーシップ関数の説明図である。
【図5】発電機出力の変化に対する、主蒸気圧力、主蒸気温度、再熱蒸気温度の応答波形図である。
【図6】本発明の方法による比例ゲイン・積分時間の自動調整過程を示す図である。
【符号の説明】
1 シミュレーション又は実機のステップ応答試験
2 模擬パターンを作成/設定
3 自動学習
4 時定数算出
5 ファジイ推論

Claims (4)

  1. 複数の測定変量によって複数の操作端を制御するカスケードループにおいて、制御調節器の複数の制御パラメータを自動調整する方法であって、
    (A)複数の測定変量を、目標値が変化する変動測定変量と目標値が変化しない定値測定変量とに区分し、
    (B)各測定変量について制御時間と制御量の最適パターンを予め設定しておき、
    模擬パターン設定手段が、変動測定変量のうちの1つ又は複数の目標値に調整用信号を加え、定値測定変量を含む各測定変量について、最適パターンを基準に複数の制御パラメータをそれぞれ増減させて、対象プラントの制御時間と制御量の関係を示す相互に異なる複数の模擬パターンそれぞれ自動設定し、
    (D)対象プラントを運転して、選択手段が、各測定変量について、制御時間と制御量の関係から実パターンを求め、前記複数の模擬パターンの中から前記実パターンに相当する模擬パターンを選択し、
    (E)増減量決定手段が、各測定変量について、選択した模擬パターンに基づいて複数の制御パラメータの増減方向とその増減量を決定し、
    次いで、(F)加重平均手段が、各測定変量に対する各制御パラメータの増減方向と増減量を、重要度を加味して加重平均する、ことを特徴とするカスケードループの制御パラメータ自動調整方法。
  2. 前記模擬パターンの設定は、対象プラントのシミュレーション又は実機のステップ又はランプ応答試験による、ことを特徴とする請求項1に記載の制御パラメータの自動調整方法。
  3. 前記模擬パターンは、面積偏差、減衰程度、オーバーシュート及び振動程度を特徴量として設定され、各特徴量をメンバーシップ関数を用いてファジイ評価する、ことを特徴とする請求項1に記載の制御パラメータの自動調整方法。
  4. 対象プラントが火力発電プラントである場合、前記制御調節器はPI調節器であり、前記複数の測定変量は、発電機出力、主蒸気圧力、主蒸気温度、再熱蒸気温度、排ガスO2 等であり、そのうち前記変動測定変量は、通常発電機出力、主蒸気圧力であり、定値測定変量は、通常主蒸気温度、再熱蒸気温度、排ガスO2 等であり、発電機出力の目標値に調整用信号を加え、各測定変量について、(A)前記ファジイ評価により、面積偏差、減衰程度、オーバーシュートの3つの特徴量の大きさに応じて、それぞれ「小」「中」「大」の評価値を定めて、複数の模擬パターンを選択し、(B)前記各模擬パターンに応じて比例ゲインPと積分時間Iの増減方向を増加、保持又は減少として決定し、(C)更に、振動程度の大きさに応じて「小」「中」「大」の評価値を定め、これに対応して比例ゲインPの増減方向を増加、保持又は減少として決定し、(D)前記BとCの結果を加算して、比例ゲインPと積分時間Iを増減又は保持する方向とその量を決定し、次いで、(E)各測定変量に対する各制御パラメータの増減方向と増減量を、重要度を加味して加重平均する、ことを特徴とする請求項3に記載の制御パラメータの自動調整方法。
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