JP4160475B2 - 燃料電池用セパレータの接触抵抗測定装置 - Google Patents
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Description
燃料電池100は、電解質膜102にアノード側電極103およびカソード側電極104を添わせ、これらの電極103,104を拡散層105,106を介してセパレータ107,108で挟むことでセルモジュール101を構成し、セルモジュール101を多数個積層したものである。
セパレータ107,108にはガスや水の通路となる通路用溝109を備える。
先ず、セルモジュール101単体を被測定部材として測定するものとしては、単位燃料電池の特性評価装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
単位燃料電池の特性評価装置110は、油圧昇降装置111で荷重検出器112を上昇させることにより、セルモジュール113の上下の面114,115を上電極116の基板116aと下電極117の基板117aとで挟持し、上下の電極116,117に電流を流して電極116,117間の電圧を測定することで、セルモジュール113の発電特性を評価する。
このように、界面現象により電圧降下が生じると、セルモジュール113の発電特性を正しく評価することができないことがある。
図11は従来の燃料電池用セパレータの接触抵抗測定装置を示す概略図である。
燃料電池用セパレータの接触抵抗測定装置120は、上下のセパレータ121,122を重ね合わせ、重ね合わせたセパレータ121,122の突片121a.122aをクリップ状の端子123,124で挟み、この状態のセパレータ121,122を上下の電極125,126で挟持し、上下の電極125,126をインシュレータ127,128を介して上下の挟持部材131,132で挟持する。
測定したV2から、上下のセパレータ121,122の接触抵抗を求める。接触抵抗は燃料電池の発電特性に影響を与えるので、測定した接触抵抗に基づいて燃料電池の発電特性を評価する。
しかし、上下のセパレータ121,122の突片121a,122aをクリップ状の端子123,124で挟む作業を、手作業でおこなうために、作業者の負担が大きく、かつ燃料電池の発電特性の評価に手間がかかっていた。
これにより、一対の電極で被測定部材を挟持する際に、各々の端子を被測定部材に接触させることができる。
よって、従来技術のように各々の端子を手作業で被測定部材に接触させる必要がなく、さらに一対の電極で被測定部材を挟持する工程と、各々の端子を被測定部材に接触させる工程を同時におこなうことができる。
これにより、各々の端子と被測定部材との接触抵抗(電圧降下)がばらつくことを抑えることができる。
このため、銅製の電極は、時間の経過、すなわち経年的に表面の接触抵抗が変化してしまい、被測定部材間の接触抵抗を正確に測定することは難しい。
このため、一対の電極の表面に金メッキを形成することで、電極の表面に非導電性酸化生成物が発生し難くして、電極の接触抵抗が経年的に変化することを抑えることにした。これにより、被測定部材間の接触抵抗をより正確に測定することができる。
さらに、端子と被測定部材との間の接触抵抗を抑えて、被測定部材間の接触抵抗を精度よく測定できるようにしたので、燃料電池の発電特性を正確に評価することができるという利点がある。
図1は本発明に係る燃料電池用セパレータの接触抵抗測定装置を示す側面図である。
燃料電池用セパレータの接触抵抗測定装置10は、ベース11に基台12を設け、基台12の左右側に脚部13・・・(・・・は複数を示す)を立設し、これらの脚部13・・・の頂部14・・・に天井梁部15を設け、この天井梁部15の下部に固定部材16を設け、この固定部材16の下部にインシュレータ17を介して上電極18を取付ボルト19・・・で取り付け、前記基台12に脚部13・・・に沿ってガイドロッド21・・・を立設し、ガイドロッド21・・・に昇降部材22を昇降自在に取り付け、基台12と昇降部材22との間にエアシリンダ23を配置し、このエアシリンダ23のシリンダ部24を基台12に連結するとともに、エアシリンダ23のピストンロッド25を昇降部材22に連結し、昇降部材22にロードセル26を設け、昇降部材22の上部にインシュレータ27を介して下電極28を取付ボルト29・・・で取り付け、下電極28に一対の位置決めピン31,31を立設するとともに、上電極18に一対の差込孔32,32を形成し、一対の差込孔32,32に一対の位置決めピン31,31の先端部31a,31aを差し込み可能に構成したものである。
上下の電極18,28の基部は、ステンレス鋼に限らないで、鉄鋼系や銅系のその他の導電性材料を適用することも可能である。
なお、インシュレータ17は、例えばアクリル製の絶縁板材が該当するが、これに限るものではなく、その他の絶縁性樹脂などの絶縁板材を適用することも可能である。
測定手段41は、上下の電極18,28間の第1電圧V1を測定する第1電圧計51を備えるとともに、上下の端子35,36間の第2電圧V2を測定する第2電圧計52を備え、第1電圧計51で測定した第1電圧V1と、第2電圧計52で測定した第2電圧V2を接触抵抗算出手段42に伝えるものである。
ポンプ49で取り込んだエアを、後退流路48を介してエアシリンダ23のピストンエンド側に流入させることで、エアシリンダ23のピストンロッド25を後退させ、昇降部材22とともに下電極28を下降させる。
一対の位置決めピン31,31に、下セパレータ(被測定部材)55の位置決め孔57,57を嵌め込むとともに、上セパレータ(被測定部材)54の位置決め孔56,56を嵌め込み、上下のセパレータ54,55を位置決めピン31,31で位置決めした状態で下電極28の接触上面28aに載せる。
上下のセパレータ54,55を電極18,28で挟持することにより、ロードセル26に荷重がかかる。
ここで、ロードセル26に所定の荷重がかかるように、制御部45でエアシリンダ23を操作する。なお、ロードセル26にかかる所定の荷重については後述する。
接触抵抗算出手段42は、第2電圧V2に基づいて上下のセパレータ54,55間の接触抵抗を求め、求めた接触抵抗に基づいて、上下のセパレータを組み込む燃料電池(図示せず)の発電性能を評価する。
なお、第1電圧計51で測定した第1電圧V1は、電源38が正常であるか否かを判断するデータとして利用する。
上電極18の接触下面18aを上セパレータ54の接触面54aの全域に当接するように構成し、下電極28の接触上面28aを下セパレータ55の接触面55aの全域に当接するように構成する。
これにより、上下の電極18,28で上下のセパレータ54,55を挟持した際に、上下のセパレータ54,55の接触面54a,55a全域に所望の押圧力を均一にかけることが可能になる。
よって、上下の電極18,28を、例えば銅製の電極とした場合、電極の表面が腐食反応して表面に、不動態皮膜や緑青などの錆び、すなわち非導電性酸化生成物が発生することが考えられる。
このため、上下の電極は、経年的に表面の接触抵抗が比較的大きく変化する虞がある。
なお、金が銅と比較して接触抵抗の経年変化が起こり難い理由は以下の通りである。すなわち、あらゆる環境において、金は銅に比べて不動態域が広いためである。
この収納凹部61内に、上端子35を昇降自在に収納するとともに、上端子35の一対の突起64,64をガイド溝62,62内に配置し、段部63をブロック65で塞ぐ。
よって、上端子35を上電極18に埋設するとともに、埋設した上端子35を上セパレータ54に向けて出没自在とすることができる。
この凹部67a内に圧縮ばね(弾性部材)68の下端部を配置するとともに、圧縮ばね68の上端部をブロック65に当接する。
これにより、圧縮ばね68のばね力で上端子35を突出側、すなわち上セパレータ54に向けて付勢することにより、凸部66a・・・を上セパレータ54の接触面54aに接触する。
この収納凹部71内に、下端子36を昇降自在に収納するとともに、下端子36の突起74をガイド溝72,72内に配置し、段部73をブロック75で塞ぐ。
よって、下端子36を下電極28に埋設するとともに、埋設した下端子36を下セパレータ55に向けて出没自在とすることができる。
この凹部77a内に圧縮ばね(弾性部材)78の上端部を配置するとともに、圧縮ばね78の下端部をブロック75に当接する。
これにより、圧縮ばね78のばね力で下端子36を突出側、すなわち下セパレータ55に向けて付勢することにより、凸部76a・・・を下セパレータ55の接触面55aに接触する。
上電極18側のリード線69と、下電極28側のリード線79とに第2電圧計52を接続する。
また、下端子36が下セパレータ55に接触する接触面積を小さくすることで、下端子36が下セパレータ55に接触した際の面圧を高め、下端子36を下セパレータ55に確実に接触させる。これにより、下端子36と下セパレータ55との接触抵抗がばらつくことを抑える。
一対の端子35,36をステンレス鋼で形成し、その表面に金メッキを形成した理由は、上下の電極18,28をステンレス鋼(導電性材料)で形成し、それぞれの表面に金メッキを形成した理由と同じである。
これにより、上下のセパレータ54,55の接触抵抗をより正確に測定することができる。
図3(a),(b)は本発明に係る接触抵抗測定装置にセパレータをセットするために下電極を下降させる例を説明する図である。
(a)において、エアシリンダ23のピストンロッド25を後退させ、昇降部材22とともに下電極28を下降させる。下電極28を下降させることで、一対の位置決めピン31,31の先端部31a,31aを、差込孔32,32から抜き出して上電極18の接触下面18aから所定間隔離す。
よって、凸部66a・・・が上電極18の接触下面18aから所定量突出した位置に上端子35を保持する。
よって、凸部76a・・・が下電極28の接触上面28aから所定量突出した位置に下端子36を保持する。
(a)において、下セパレータ55を一対の位置決めピン31,31の上方に配置した後、下セパレータ55を矢印Aの如く下降させ、一対の位置決めピン31,31に下セパレータ55の位置決め孔57,57を嵌め込む。
次に、上セパレータ54を一対の位置決めピン31,31の上方に配置した後、上セパレータ54を矢印Bの如く下降させ、一対の位置決めピン31,31に上セパレータ54の位置決め孔56,56を嵌め込む。
(a)において、下セパレータ55に上セパレータ54を載せた後、図1に示すエアシリンダ23のピストンロッド25を進出させ昇降部材22に押上力Fをかけ、昇降部材22を上昇する。
昇降部材22と一体にインシュレータ27、下電極28および上下のセパレータ54,55を矢印Cの如く上昇する。
(a)において、昇降部材22(図5参照)と一体にインシュレータ27および下電極28を矢印Cの如く継続して上昇する。圧縮ばね78が収縮するとともに、収納凹部71内のリード線79が弾性変形して(図6(b)参照)、下端子36が収納凹部71に入り込む。
同時に、上端子35を付勢している圧縮ばね68が収縮するとともに、収納凹部61内のリード線69が弾性変形して(図6(b)参照)、上端子35が収納凹部61に入り込む。
この状態で、上下のセパレータ54,55を上下の電極18,28で挟持するとともに、上端子35の凸部66a・・・を圧縮ばね68のばね力で上セパレータ54の接触面54aに押圧し、下端子36の凸部76a・・・を圧縮ばね78のばね力で下セパレータ55の接触面55aに押圧する。
ロードセル26で検出した挟持圧を制御部45に伝え、制御部45は、挟持圧が所定圧(すなわち、前述した「所定の荷重」)になるように切換弁44を操作する。
このように、ロードセル26にかかる挟持圧が所定の荷重になるように制御することで、上下のセパレータ54,55の接触抵抗を、燃料電池に組み付けた状態と同じ条件で測定することが可能になる。
よって、従来技術のように各々の端子を手作業で上下のセパレータに接触させる作業を省くことができる。
制御部45から出力した信号で電源38をオンにしてリード線85,86に電流を流す。電流を流すことにより、上下の電極18,28間に所定の電圧がかかり、測定手段41の第1電圧計51で上下の電極18,28間の第1電圧V1を測定する。
同時に、第2電圧計52で上下の端子35,36間の第2電圧V2を測定する。
上下の電極18,28は、セパレータ54,55との接触面積が大きいので、第1の電圧V1を精度よく測定するためには、上電極18と上セパレータ54との接触抵抗の経年変化を抑えるとともに、下セパレータ55と下電極28との接触抵抗の経年変化を抑えることが重要である。
そこで、上下の電極18,28に金メッキを形成することで、上下の電極18,28の表面に非導電性酸化生成物が発生することを抑え、第1の電圧V1をより精度よく測定することができる。
ここで、上端子35の凸部66a・・・と上セパレータ54との接触面積や、下セパレータ55と下端子36の凸部76a・・・との接触面積は極めて小さい。
また、下端子36の凸部76a・・・が下セパレータ55に接触する接触面積を小さくすることで、下端子36が下セパレータ55に接触した際の面圧を高め、下端子36を下セパレータ55に確実に接触させる。これにより、下端子36と下セパレータ55との接触抵抗がばらつくことを抑える。
これにより、上下の端子35,36で第2の電圧V2をより精度よく測定することができる。
これにより、求めた接触抵抗に基づいて、上下のセパレータを組み込む燃料電池(図示せず)の発電性能を評価する。
すなわち、上下のセパレータ54,55間の接触抵抗を測定する際に、上電極18の接触下面18aと上セパレータ54の接触面54aとの接触抵抗が大きく、かつ下電極28の接触上面28aと下セパレータ55の接触面55aとの接触抵抗が大きいと、測定誤差の原因になることが考えられる。
上下の端子35、36間の第2電圧V2を測定することで測定精度を高めることが可能になる。
このため、拡散層とセパレータとの接触抵抗を求めることで、燃料電池の特性を評価することも可能である。ここで、燃料電池のなかには、拡散層をカーボンペーパーで構成したものがある。ここで、カーボンペーパーとは、カーボンをペーパー状に形成したものをいう。
以下、燃料電池用セパレータの接触抵抗測定装置10を用いて上下のセパレータと拡散層間の接触抵抗を求める例について説明する。
上下のセパレータ54,55間に拡散層88(被測定部材)を挟み込み、前記実施の形態と同様に、上下のセパレータ54,55を一対の位置決めピン31,31で位置決めした状態で上下の電極18,28間に挟持する。
よって、前記実施の形態と同様に、各々の端子を手作業で上下のセパレータに接触させる必要がなく、さらに上下の電極18,28で上下のセパレータ54,55を挟持する工程と、各々の端子35,36を上下のセパレータ54,55に接触させる工程を同時におこなうことができる。
これにより、上述した二工程を手間をかけないで簡単におこなうことができる。
同時に、第2電圧計52で上下の端子35,36間の第2電圧V2を測定する。
ここで、燃料電池の発電特性は、燃料電池の拡散層を構成する拡散層88と上下のセパレータ54,55との接触抵抗や、上下のセパレータ54,55同士の接触抵抗に影響を受ける。
このように、燃料電池用セパレータの接触抵抗測定装置10を用いて上下のセパレータ54,55と拡散層88間の接触抵抗を求める際においても、前記実施の形態と同様の効果を得ることができる。
また、前記実施の形態では、図7で求めた上下のセパレータ54,55間の接触抵抗に基づいて燃料電池の発電特性を評価する例と、図8で求めた上下のセパレータ54,55および拡散層88間の接触抵抗に基づいて燃料電池の発電特性を評価する例とについて説明したが、これに限らないで、図7で求めた接触抵抗および図8で求めた接触抵抗の両方の接触抵抗に基づいて燃料電池の発電特性を評価することも可能である。
また、前記実施の形態では、上下の端子35,36をそれぞれ1個づつ設けた例について説明したが、これに限らないで、上下の端子35,36を2個以上の複数個備えることも可能である。
要は、上下の端子35,36が上下のセパレータ54,55に接触する際の接触面積を小さくすることで、上下の端子35,36が上下のセパレータ54,55に接触した際の面圧を高め、上下の端子35,36を上下のセパレータ54,55に確実に接触させ、上下の端子35,36と上下のセパレータ54,55との接触抵抗がばらつくことを抑えるようにすればよい。
加えて、上下の端子35,36の形状(例えば、突起64,74も含む)は、図2に示す実施の形態に限定するものではなく、その他の形状に変更することは可能である。
さらに、前記実施の形態では、上下の端子35,36をステンレス鋼で形成し、その表面に金メッキを形成した例について説明したが、これに限らないで、これらの端子35,36をステンレス鋼以外の導電性材料で形成し、その表面に金メッキを形成してもよい。
Claims (2)
- セパレータなどの被測定部材を複数枚重ね合わせ、これらの被測定部材を一対の電極で挟持し、この状態で一対の電極に電流を流すことにより被測定部材間の接触抵抗を求める燃料電池用セパレータの接触抵抗測定装置において、
前記一対の電極に、前記被測定部材へ出没自在に端子を埋設するとともに、これらの端子を突出側に付勢する弾性部材を設けることで、一対の電極で前記被測定部材を挟持した際に各々の端子を被測定部材に接触可能とし、
これらの端子を被測定部材に接触させた状態で、前記一対の端子間の電圧を測定する測定手段を設け、
この測定手段で測定した前記電圧に基づいて前記接触抵抗を求める手段を設けたことを特徴とする燃料電池用セパレータの接触抵抗測定装置。 - 前記一対の電極は、導電性材料で基部を形成し、それぞれの基部の表面に金メッキを形成したものであることを特徴とする請求項1記載の燃料電池用セパレータの接触抵抗測定装置。
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