JP4160418B2 - フィルム層間剥離防止方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、表示装置等で種々の光学的効果をうるためなどに使用する多層フィルムで、予め貼付されている保護フィルムを剥ぐ際に、層間の凝集強度が比較的弱い多層フィルムが層間で剥がれるのを防止するフィルム層間剥離防止方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、液晶表示装置(LCD)などの表示装置には、種々の光学的特性を有するフィルム製品が使用されている。液晶表示装置では、偏光現象を利用して表示を行うために、偏光板などが使用されている。さらに透過型の液晶表示装置では、バックライトと液晶表示セルの偏光板との間に、直線偏光分離板を配置すれば、振動面が直線偏光分離板の透過軸方向に一致する直線偏光成分を透過させ、反射軸方向に近い振動面を有する直線偏光成分はいったん反射させて、表示輝度の向上が可能であることも知られている。そのような直線偏光分離板は、反射型偏光フィルム、非吸収型偏光フィルムおよび輝度上昇フィルムなどと呼ばれており、たとえば多層構造を有するものが知られている(たとえば、特許文献1参照)。多層構造を有する直線偏光分離板として3M社からDBEF(Dual Brightness Enhancement Film )が販売されている。エレクトロルミネッセンス(EL)表示装置などの自発光型表示装置でも、発光表示部の前面側に直線偏光偏光分離板を配置すれば、外部から入射する光の反射光を低減し、表示を見やすくすることができる(たとえば、特許文献2参照)。
【0003】
直線偏光分離板は、製造業者からロールあるいは長尺の直線偏光分離フィルムとして供給され、所定の形状に切断して、偏光板などと貼り合わせ、さらに表示装置と組合わせる複数の工程を経て使用される。直線偏光分離フィルムの表面には、保護フィルムが貼付されており、工程を経ていく過程で、保護フィルムが直線偏光分離フィルムの表面から剥がされる。表示装置では、直線偏光分離フィルムとの貼り合わせが終了してから、直線偏光分離フィルムの表面に貼付けられている保護フィルムを剥がしている。
【0004】
【特許文献1】
特表平−506837号公報
【特許文献2】
特開2001−67022号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
直線偏光分離フィルムは、たとえば特許文献1に記載されているように、薄い合成樹脂フィルムを多数積層した多層フィルムとして製造されている。多層構造のため、多層フィルムでは、層間の凝集強度が比較的弱くなってしまう。層間の凝集強度が弱いので、表示装置として使用するために直線偏光分離フィルムを他の部品の表面に貼り合わせてからから、保護フィルムを剥がす際に、直線偏光分離フィルムが層間で剥離するおそれがある。
【0006】
本発明の目的は、層間の凝集強度が比較的弱い多層フィルムを他の部品の表面に貼り合わせた後で、保護フィルムを剥がす際に、層間剥離を防ぐためのフィルム層間剥離防止方法を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、層間の凝集強度が比較的弱い多層フィルムを他の部品の表面に貼り合わせた後で、該多層フィルムの表面から予め貼着されている保護フィルムを剥ぐ際に、該多層フィルムの層間剥離を防止する方法であって、
該多層フィルムの凝集強度の異方性に基づいて、凝集強度が強い方向に、該保護フィルムを剥ぐことを特徴とするフィルム層間剥離防止方法である。
【0008】
本発明に従えば、層間の凝集強度が比較的弱い多層フィルムには、予め保護フィルムが表面に貼付されている。多層フィルムは、層間の凝集強度に関して、異方性を有し、保護フィルムを剥がす工程を経て、特に凝集強度が弱い方向に剥がしてしまうと、層間の剥離が生じてしまうおそれがある。異方性によって、層間の凝集強度が強い方向も存在する。凝集強度が強い方向に保護フィルムを剥ぐので、層間剥離を防止することができる。
【0009】
また本発明で、前記多層フィルムは、位相差フィルムの薄層を多数積層して形成され、表面に入射する光の振動面の方向に関して、透過軸方向と反射軸方向とを有する直線偏光分離フィルムであることを特徴とする。
【0010】
本発明に従えば、多層フィルムとして、位相差フィルムの薄層を多数積層して形成される直線偏光分離フィルムが対象とする。直線偏光分離フィルムは、位相差フィルムの薄層を多数積層して形成され、表面に入射する光の振動面の方向に関して、透過軸方向と反射軸方向とを有する。本件発明者は、多層フィルムの構造を有する直線偏光分離フィルムの層間での凝集強度は、透過軸の方向などの光学的異方性に関連性を有していることを見出している。直線偏光分離フィルムは、透過軸や反射軸の方向が判るような形態で製造業者から提供されるので、凝集強度が強くなる方向を透過軸の方向などから容易に知ることができる。
【0011】
また本発明は、保護フィルムを、直線偏光分離フィルムの透過軸方向に剥ぐことを特徴とする。
【0012】
本発明に従えば、直線偏光分離フィルムは、保護フィルムを透過軸方向に剥ぐ。直線偏光分離フィルムでは、透過軸方向に層間の凝集強度が強いので、層間剥離を防止することができる。
【0013】
また本発明は、前記多層フィルムは前記保護フィルムが貼着されている状態で前記他の部品の表面に貼り合わせるための中間製品となり、
該中間製品の製造工程で、前記凝集強度が強く発揮される方向に予め前記保護フィルムを部分的に剥ぐ剥離試験を行い、異常がなければ剥いだ部分の保護フィルムを貼り戻しておくことを特徴とする請求項1記載のフィルム層間剥離防止方法である。
【0014】
本発明に従えば、凝集強度が強く発揮される方向についての情報が得られる中間製品の製造工程で、その方向に保護フィルムを部分的に剥ぐ剥離試験を行う。層間剥離などの異常が生じないことを確認すると、剥いだ部分の保護フィルムを貼り戻しておく。いったん部分的に剥がしてあるので、最終的に保護フィルムを剥離する際には容易に剥がすことが可能となり、層間にかかる力を低減して層間剥離が起りにくくすることも可能になる。中間製品の段階での部分的な剥離試験は、凝集強度が強い方向で行うので、剥離試験が層間剥離などの異常の原因になるのを避けることができる。凝集強度が強い方向でも異常が生じるときは、層間クラックなどの品質不良と判断することができ、潜在的な不充分な凝集強度の中間製品の流出防止を図ることができる。
【0015】
また本発明で、前記保護フィルムを貼り戻した部分にマーキングをしておくことを特徴とする。
【0016】
本発明に従えば、保護フィルムが貼着されている多層フィルムは、他の部品の表面に貼り合わせるための中間製品となる。中間製品の製造工程と、製造された中間製品を使用する製造工程とは、一般に相互間が離れた位置の工場で行われ、中間製品の製造工程では凝集強度が強く発揮される方向が判明していても、中間製品を使用する製造工程では不明になってしまう。中間製品の製造工程で、凝集強度が強く発揮される方向についての識別を容易にするためにマーキングを行うので、中間製品を使用する製造工程でも、凝集強度が強く発揮される方向を容易に識別することができ、保護フィルムの剥離の方向も、層間剥離が起りにくい方向で行うことができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の実施の一形態で、層間剥離を防止する対象となる液晶表示装置の部分的な断面構成を(a)に示し、液晶表示装置の概略的な製造工程を(b)に示す。すなわち、(a)に示すような液晶表示装置で、表示を行う液晶表示セル1は、ガラス基板2と、図示を省略しているけれども、ガラス基板2から間隔をあけて対向しているガラス基板と、ガラス基板間の間隙に充填される液晶層3とを含む。このような液晶表示セル1は、液晶表示装置の製造業者が組立てる。貼合板10は、直線偏光板11、直線偏光分離板12、粘着剤層13,14、および保護フィルム15が積層されている状態で液晶表示セル1の外表面の一方、たとえば透過型液晶表示装置であれば、バックライト側に貼着される。貼合板10には、保護フィルム15が残っており、液晶表示装置としての製造工程が終了するまでに、最終的に剥離する必要があるけれども、製造工程の過程では、直線偏光分離板12の表面に傷が付かないように保護する機能を有する。
【0018】
図1(a)に示すような液晶表示装置は、図1(b)に示すような製造工程を経て製造される。ステップs1からステップs9までは、たとえば貼合板10の製造業者が実行し、ステップs10およびステップs11は、液晶表示装置の製造業者が実行する。
【0019】
ステップs1では、直線偏光分離板12の原材料となる直線偏光分離フィルムがその製造業者でロールに巻かれている状態で、貼合装置に装着される。貼合装置には、先行する製造工程で製造されている直線偏光フィルムも、ロールに巻かれている状態で装着される。貼合装置は、ステップs2で直線偏光分離フィルムをロールをから引出し、所定の長さの大版サイズにカットする。大版サイズにカットされた直線偏光分離フィルムは、貼合機に装着される直線偏光フィルムのロールから、ステップs3で、連続的に引出される。ステップs4では、大版にカットされている直線偏光分離フィルムのシートと、直線偏光フィルムのロールとが貼合される。次にステップs5では、シートと貼合されているロールをカットし、大版シートとして個々に切離す。各大版シートには、ステップs4のシート/ロール貼合やステップs5のロールカットなどの際に傷が付かないように、後述するようなセパレータが貼着されている。ステップs6では、このセパレータを剥離する。ステップs7では、大版シートとしての外観などの検査を行う。ステップs8では、貼合板10として液晶表示セル1に貼り合わせるために、偏光に関する透過軸方向などを所定の方向に合わせて、製品サイズにカットする。
【0020】
ステップs9までで、液晶表示セル1に貼合板10を貼合するための中間製品が製造される。ステップs9では、中間製品の表面に貼合されている保護フィルムを部分的に剥ぐ保護フィルム剥ぎ検査を行う。この検査の詳細については、後述する。ステップs10では、別工程で製造されている液晶表示セル1に、貼合板10が貼合される。ステップs11では、図1(a)に示すような表面の保護フィルム15を剥ぎ取り、液晶表示装置としての製造が終了する。
【0021】
図2は、図1(b)のステップs1で貼合装置に装着する直線偏光分離フィルム20の断面構成を示す。DBEFなどの直線偏光分離板12は、全体で100〜200μmの厚さを有し、直線偏光分離層21の両側をスキン保護層22,23で挟むようにして形成される。直線偏光分離層21は、前述の特許文献1に記載されているように、たとえばポリエチレンナフタレート(PEN)の薄膜による光学層と、ポリエチレンナフタレートのコポリマーの薄膜による光学層とを交互に、数100層を積層して形成される。スキン保護層22,23は、ポリエチレンナフタレートを材料とする。一方のスキン保護層22の外表面には、厚さ数10μm程度のポリエチレンテレフタレート(PET)を材料とする保護フィルム15が装着される。スキン保護層23と保護フィルム15との接合は、粘着剤(図示していない)によって行われる。
【0022】
保護フィルム15および他方のスキン保護層22の外表面には、ポリエチレン(PE)を材料とするセパレータ25,26がそれぞれ装着される。セパレータ25,26の接合は、親和力によって行われる。セパレータ25,26は、保護フィルム15よりも厚く、数10μmの厚さを有する。セパレータ25,26は、前述のように、図1(b)のステップs6で剥離される。保護フィルム15側ではないセパレータ26の表面には、通常マーキングなどがされているので、保護フィルム15が存在しない側であることが判る。
【0023】
直線偏光分離フィルム20は、光学的異方性として、透過軸方向と反射軸方向とを有する。光が入射すると、透過軸方向に振動する光は透過し、反射軸方向に振動する光は反射される。図1(a)に示す貼合板10では、直線偏光板11の透過軸方向と直線偏光分離板12の透過軸方向とを合わせる。したがって、貼合板10の製造工程では、方向の管理が重要である。直線偏光分離フィルム20では、たとえばロールの長手方向が透過軸方向であり、幅方向が反射軸方向であって、図1(b)のステップs5でロールカットを行うまでは、貼合装置への装着状態から容易に知ることができる。したがって、図1(b)のステップs9でフィルム剥ぎ検査を行うまで、方向の関係を乱さないようにしておけば、光学的異方性に基づいて保護フィルム15の部分的な剥離を行う方向を特定することができる。
【0024】
図3は、図1のステップs1で貼合装置に装着する直線偏光フィルム30の断面構成を示す。直線偏光板11は、偏光層31を保護層32,33で挟んで形成される。偏光層31は、たとえば数10μmの厚みを有し、保護層32,33は偏光層31よりも厚い。偏光層31は、ポリビニルアルコール(PVA)などのフィルムを加熱しながら延伸し、ヨウ素(I)などの溶液に接触させて、ヨウ素分子などを延伸方向に並べて偏光機能を付加する。このような偏光層31によって、延伸方向に振動する光が吸収され、延伸方向と垂直な方向に振動する光が透過する。保護層32,33は、たとえばトリアセチルセルロース(TAC)を材料として、偏光層31の両側に接着剤(図示していない)で接合される。保護層32,33の外表面には、数10μmの厚さで、たとえばアクリル系の粘着剤層13,14が設けられ、粘着剤層13,14の外表面には、たとえばポリエチレンテレフタレートを材料とするセパレータ34,35がそれぞれ数10μmの厚さで設けられる。
【0025】
図1(b)のステップs3で、シート/ロールの貼合を行う際には、一方のセパレータ34が自動的に剥離され、粘着剤層13が直線偏光分離フィルム20からセパレータ26を剥離したスキン保護層22の表面に付着して、貼合が行われる。
【0026】
図4は、図2の直線偏光分離フィルム20と図3の直線偏光フィルム30とを貼り合わせて製造される貼合製品40の断面構成を示す。直線偏光分離フィルム20の直線偏光分離層21は、光学的異方性として透過軸方向の振動面を有する光を通しやすく、反射軸方向の振動面を有する光を反射しやすい性質を有する。直線偏光フィルム30の偏光層31は、光学的異方性として透過軸方向の振動面を有する光を通しやすく、吸収軸方向の振動面を有する光を吸収しやすい性質を有する。貼合製品40では、直線偏光分離層21の透過軸の方向と偏光層31の透過軸の方向とが一致するように貼り合わせられる。
【0027】
貼合製品40は、中間製品として、液晶表示装置の製造業者に向けて出荷される。液晶表示装置の製造業者は、図2のステップs10で、セパレータ35を剥がし、図1に示すような貼合品10として、粘着剤層14で液晶表示セル1のガラス基板2に貼り付ける。さらにステップs11では、保護フィルム15が剥がされる。保護フィルム15を剥ぐときには、直線偏光分離板12の層間に力がかかりやすい。特に、直線偏光分離層21は、層間の凝集強度が比較的弱い多層フィルムである。本実施形態では、多層フィルムである直線偏光分離層21を含む直線偏光分離板12の表面から予め貼着されている保護フィルム15を剥ぐ際に、凝集強度の異方性に基づいて、凝集強度が強い方向を容易に選ぶことができるように、マーキングしておく。
【0028】
図5は、図2のステップs9で行う保護フィルム剥ぎ検査の概略的な手順を示す。まず、図5(a)に示すように、貼合板10は、図1の液晶表示セル1の形状に合わせて、通常、矩形にカットされている。貼合板10を液晶表示セル1に張合わせると、保護フィルム15側が外表面となる。貼合板10で図4の直線偏光分離層21と偏光層31との透過軸を一致させた全体的な透過軸10aの方向は、たとえば対角線の一方の方向に近くなる。この透過軸10aの一端側に粘着テープ50を貼り付けて、コーナ部51を部分的に剥がしてみる。
【0029】
次に、図5(b)に示すように、粘着テープ50をゆっくり持ち上げ、コーナ端からS、たとえば約10mmまで、保護フィルム15を剥がし、保護フィルム15のみが正常に剥がれているか否かを観察する。正常であれば、剥離部52の表面は直線偏光分離板12が露出するけれども、直線偏光分離板12の厚さ方向での層間剥離は生じない。表面から見て、直線偏光分離板12は正常なら透明であるけれども、層間剥離が生じると、部分的に白くなるなど、不透明になるので判別することができる。
【0030】
さらに、図5(c)に示すように、粘着テープ50を除去してから、指53で、ゆっくり気泡を入れないように保護フィルム15を貼り戻す。指53には清潔な手袋54を着用し、コーナ部51を軽く指53で押える。気泡が入ることは少ないけれども、もし気泡が入るような場合は、必要分保護フィルム15をゆっくり剥がして、また戻す。貼り戻した部分には、他の部分とは識別可能とするためにマーキングしておく。いったん剥離した部分の保護フィルム15の接合強度は、他の部分よりも低下する。これらのことは、図2のステップs11で保護フィルム15を剥ぐ際に、剥ぐ方向についての表示となり、また直線偏光分離板11に無理な力を掛けずに剥ぐことができるようにする準備も兼ねることとなる。
【0031】
図6は、図5に示す保護フィルム剥ぎ検査での正常な剥離状態を(a)で、不良な剥離状態を(b)でそれぞれ誇張して示す。すなわち、(a)のように正常な剥離状態では、保護フィルム15と直線偏光分離板12との接合面で剥離するけれども、(b)のように不良の剥離状態では、直線偏光分離板12を構成する多層フィルムの層間で剥離する。(b)に示すような層間剥離は、潜在的に微小なクラック55が層間に存在しているような場合に生じる。大きなクラックであれば、直線偏光分離フィルム20の状態でも検出することができる。直線偏光分離フィルム20の外観からは検出することができないような潜在的なクラック55等がある場合、予め剥がしてみることによって、発見することが可能となり、図4に示すような貼合製品40としての出荷を防止可能となる。ただし、図6(b)のようなクラック55が顕在化している状態でも、前述のように、DBEFなどの直線偏光分離板12は、全体で100〜200μmの厚さであり、厚さ方向から確認することは困難である。表面からは、色目変化として容易に確認することができる。
【0032】
図7は、貼合製品40について、光学的異方性と層間の凝集強度の異方性との関係を立証する試験結果を示す。図7(a)は、矩形形状で一方の対角線方向を反射軸40a、他方の対角線方向を透過軸40bの方向とする貼合製品40の試料の形状を示す。矩形形状の貼合製品40の各コーナは、便宜上、A,B,C,Dで区別し、反射軸方向40aがAC間、透過軸40bがBD間とする。
【0033】
図7(b)は、図7(a)に示す貼合製品40で、液晶表示装置の製造業者での保護フィルム15剥離の後で、貼合板10に直線偏光分離板12の剥がれが発生している製造ロットについて、部分的な剥がし検査を行った結果を示す。保護フィルム15の剥がしの際の直線偏光分離板12の剥がれの発生原因としては、直線偏光分離フィルム20の層間の凝集強度が特に弱くなっていることが考えられる。1〜10の試料について、A〜Dの各コーナ部についてそれぞれ図5に示すような保護フィルム剥ぎ検査を行った試験結果によれば、試料3ではAのコーナからの剥離の際に層間剥離が発生し、試料7ではDのコーナからの剥離の際に層間剥離が発生している。いずれも反射軸40aの方向の剥離である。この試料は、比較的層間の凝集強度が弱いと考えられるけれども、透過軸40b方向の剥離であれば層間剥離は生じない。したがって、図2のステップs11での保護フィルム剥がしでも、透過軸方向に行えば直線偏光分離板12の層間剥離は発生しないと考えられる。
【0034】
すなわち、直線偏光分離板12は、位相差フィルムの薄層を多数積層して形成され、表面に入射する光の振動面の方向に関して、透過軸40b方向と反射軸40a方向とを有する直線偏光分離板21から形成され、直線偏光分離フィルム20は、構造上、透過軸40b方向の層間密着力が、反射軸40a方向に対して高くなり、凝集強度が透過軸40b方向で強くなる異方性を有すると考えられる。したがって、透過軸40b方向に保護フィルム15を剥ぐようにすれば、リスクが小さくなると考えられる。貼合製品40の段階で保護フィルム剥ぎ検査を行い、一度保護フィルム15を剥ぐと、剥離力が軽減され、その後の剥ぎ工程における剥離力が低下し、層間剥離防止効果を高めることもできる。保護フィルム剥ぎ検査を凝集強度が強い方向で行って層間剥離の不良が生じるような場合は、最終的な保護フィルム剥がしの工程でも層間剥離が生じやすい潜在的なクラックが存在するような場合であり、液晶表示装置の製造業者の工程で顕在化しないように、事前に剥いで確認し、不良な貼合製品40が中間製品として流出するのを防止することができる。
【0035】
以上のように、本実施形態では、凝集強度が強く発揮される方向としての透過軸40bの方向についての情報が得られる中間製品の製造工程で、その方向に保護フィルム15を部分的に剥ぐ剥離試験を行い、層間剥離などの異常が生じないことを確認すると、剥いだ部分の保護フィルム15を貼り戻しておく。貼り戻した部分には他の部分と識別可能とするためにマーキングをしておく。このことによって、中間製品を使用する製造工程で最終的に保護フィルム15を剥離する際に、剥離の方向として層間剥離が生じにくくなる方向を容易に選ぶことができる。中間製品の段階での部分的な剥離試験は、凝集強度が強い方向で行うので、剥離試験によって異常が生じるのを避けることができる。凝集強度が強い方向でも異常が生じるときは、品質不良と判断することができ、不充分な凝集強度の中間製品の流出防止を図ることができる。
【0036】
なお、貼合製品40は、図1に示すように貼合板10として液晶表示セル1に貼り合わせるだけではなく、エレクトロルミネッセンスディスプレイ等に用いることもできる。また、本発明は、多層フィルムで構成される直線偏光分離板12を使用する貼合製品40ばかりではなく、材質的、構造的に層間の凝集強度が弱いフィルム製品にも、同様に適用することができる。また、部分的な保護フィルム剥ぎの検査を行わなくても、凝集強度が強い方向についての情報を確実に伝達すれば、最終的な保護フィルム剥ぎの工程での層間剥離を防止することができる。
【0037】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、層間の凝集強度が比較的弱く、凝集強度に関して異方性を有する多層フィルムから、予め表面に貼付されている保護フィルムを剥がす際に、層間の凝集強度が強い方向に保護フィルムを剥ぐので、層間剥離を防止することができる。
【0038】
また本発明によれば、位相差フィルムの薄層を多数積層して形成される直線偏光分離フィルムの透過軸の方向などから、凝集強度が強い方向を容易に知ることができる。
【0039】
また本発明によれば、保護フィルムを剥ぐ方向を、直線偏光分離フィルムで凝集強度が強い透過軸方向とし、層間剥離を防止することができる。
【0040】
また本発明によれば、中間製品の製造工程では凝集強度が強く発揮される方向が判明していても、中間製品を使用する製造工程では不明になってしまうのを、中間製品の製造工程での処理で避けることができ、中間製品を使用する製造工程で、層間剥離が起りにくい方向で保護フィルムを剥離することができる。
【0041】
また本発明によれば、凝集強度が強く発揮される方向についての情報が得られる中間製品の製造工程で、その方向に保護フィルムを部分的に剥ぐ剥離試験を行い、異常が生じないことを確認し、その部分にマーキングをして、中間製品を使用する製造工程で最終的に保護フィルムを剥離する際に、剥離すべき方向を示し、かつ層間に大きな力が加わらずに保護フィルムを剥がすようにすることができる。中間製品の段階での部分的な剥離試験でも異常が生じるときは、品質不良と判断することができ、不充分な凝集強度の中間製品の流出防止を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態で、層間剥離を防止する対象となる液晶表示装置の部分的な構成を示す断面図および製造工程図である。
【図2】図1のステップs1で貼合装置に装着する直線偏光分離フィルム20の構成を示す断面図である。
【図3】図1のステップs1で貼合装置に装着する直線偏光フィルム30の構成を示す断面図である。
【図4】図2の直線偏光分離フィルム20と図3の直線偏光フィルム30とを貼り合わせて製造される貼合製品40の構成を示す断面図である。
【図5】図2のステップs9で行う保護フィルム剥ぎ検査の概略的な手順を示す図である。
【図6】図5に示す保護フィルム剥ぎ検査での正常な剥離状態と不良な剥離状態とを示す部分的な断面図である。
【図7】図4の貼合製品40について、光学的異方性を示す平面図、および層間の凝集強度の異方性を示す図表である。
【符号の説明】
1 液晶表示セル
10 貼合板
11 直線偏光板
12 直線偏光分離板
15 保護フィルム
20 直線偏光分離フィルム
21 直線偏光分離板
22,23 スキン保護層
30 直線偏光フィルム
31 偏光層
40 貼合製品
50 粘着テープ
Claims (5)
- 層間の凝集強度が比較的弱い多層フィルムを他の部品の表面に貼り合わせた後で、該多層フィルムの表面から予め貼着されている保護フィルムを剥ぐ際に、該多層フィルムの層間剥離を防止する方法であって、
該多層フィルムの凝集強度の異方性に基づいて、凝集強度が強い方向に、該保護フィルムを剥ぐことを特徴とするフィルム層間剥離防止方法。 - 前記多層フィルムは、位相差フィルムの薄層を多数積層して形成され、表面に入射する光の振動面の方向に関して、透過軸方向と反射軸方向とを有する直線偏光分離フィルムであることを特徴とする請求項1記載のフィルム層間剥離防止方法。
- 保護フィルムを、直線偏光分離フィルムの透過軸方向に剥ぐことを特徴とする請求項2記載のフィルム層間剥離防止方法。
- 前記多層フィルムは前記保護フィルムが貼着されている状態で前記他の部品の表面に貼り合わせるための中間製品となり、
該中間製品の製造工程で、前記凝集強度が強く発揮される方向に予め前記保護フィルムを部分的に剥ぐ剥離試験を行い、異常がなければ剥いだ部分の保護フィルムを貼り戻しておくことを特徴とする請求項1記載のフィルム層間剥離防止方法。 - 前記保護フィルムを貼り戻した部分にマーキングをしておくことを特徴とする請求項4記載のフィルム層間剥離防止方法。
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