JP2018151648A - 光学フィルムおよび偏光板 - Google Patents
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Abstract
Description
図1は、偏光板50の概略的な断面図である。偏光板50は、偏光フィルム10と光学フィルム20とが積層された構成を有している。なお、以下の説明では、図1に示されるように、偏光板50において光学フィルム20が設けられる側を上側、偏光フィルム10が設けられる側を下側と称して説明する。ただし、これは、説明の便宜のために上下方向を定義したに過ぎず、本発明に係る光学フィルム20および偏光板50の使用時の向きを限定しない。
偏光フィルム10は、吸収型の偏光フィルム(以下、吸収型偏光フィルム10)であり、下側に保護フィルム11を有する。吸収型偏光フィルム10としては、通常、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムに二色性色素が吸着配向されたものが用いられる。吸収型偏光フィルム10を構成するポリビニルアルコール系樹脂は、ポリ酢酸ビニル系樹脂をケン化することにより得られる。ポリ酢酸ビニル系樹脂としては、酢酸ビニルの単独重合体であるポリ酢酸ビニルの他、酢酸ビニル及びこれと共重合可能な他の単量体の共重合体などが例示される。酢酸ビニルに共重合される他の単量体としては、例えば、不飽和カルボン酸、オレフィン、ビニルエーテル、不飽和スルホン酸、アンモニウム基を有するアクリルアミドなどが挙げられる。ポリビニルアルコール系樹脂のケン化度は、通常85〜100モル%程度、好ましくは98モル%以上である。このポリビニルアルコール系樹脂はさらに変性されていてもよく、例えば、アルデヒドで変性されたポリビニルホルマールやポリビニルアセタールなども使用し得る。またポリビニルアルコール系樹脂の重合度は、通常1,000〜10,000程度、好ましくは 1,500〜 5,000程度である。具体的なポリビニルアルコール系樹脂や二色性色素としては、例えば特開2012-159778号公報[特許文献3]に例示されているポリビニルアルコール系樹脂や二色性色素が挙げられる。
保護フィルム11としては、例えば、熱可塑性樹脂から形成される熱可塑性フィルムが用いられる。熱可塑性樹脂フィルムの厚さは、通常3〜100μm、好ましくは5〜50μmである。熱可塑性樹脂フィルムは、透明性や均一な光学特性、機械強度、熱安定性等に優れる樹脂からなることが好ましい。熱可塑性樹脂の具体例としては、トリアセチルセルロース、ジアセチルセルロースのようなセルロース系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンイソフタレート、ポリブチレンテレフタレートのようなポリエステル系樹脂、ポリメチル(メタ)アクリレート、ポリエチル(メタ)アクリレートのような(メタ)アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレンンのようなポリオレフィン系樹脂、ポリノルボルネン系樹脂を挙げることができる。なかでも、セルロース系樹脂、ポリエステル系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、及びポリオレフィン系樹脂から形成される樹脂フィルムが好ましい。ここで、(メタ)アクリレートとは、メタクリレート又はアクリレートのどちらでもよいことを指し、そのほか(メタ)アクリル酸などと言うときの「(メタ)」も同様である。
輝度向上フィルム21としては、例えば、誘電体の多層膜や屈折率異方性が互いに相違する層の多層積層体のように、所定偏光軸の直線偏光を透過して他の光は反射する特性を示すものや、コレステリック液晶ポリマーの配向フィルムやその配向液晶層をフィルム基材上に支持したもののように、左回り又は右回りのいずれか一方の円偏光を反射して他の光は透過する特性を示すものなどの適宜なものを用いることができる。前記多層積層体を構成する層の種類は、2種もしくはそれ以上とすることができる。輝度向上フィルムとしては、例えば、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネートに代表される延伸により位相差を発生する材料と、ポリメチルメタクリレートに代表されるアクリル系樹脂、JSR株式会社製の“アートン”(登録商標)に代表されるノルボルネン系樹脂等の位相差発現量の少ない樹脂とを交互に多層積層体として一軸延伸して得られるものを用いることができる。輝度向上フィルムの具体例としては、3M社製の“DBEF”(登録商標)、“APF‐V4”(製品名)、“APF‐V3”(製品名)及び“APF‐V2”(製品名)等があげられる。輝度向上フィルムの厚さは、通常、5〜100μm、好ましくは10〜50μmである。
輝度向上フィルム及び熱可塑性樹脂フィルムの積層体は、これらのフィルムを、例えば粘着剤又は接着剤を介して積層したものであることができる。粘着剤又は接着剤には、適宜の公知のものを選択すればよい。接着作業の簡便性や光学歪みの発生防止等の観点から、粘着剤を使用することが好ましい。粘着剤としては、例えば、アクリル系重合体、シリコーン系ポリマー、ポリエステル、ポリウレタン、ポリエーテル等をベースポリマーとするものを採用することができる。なかでも、アクリル系粘着剤のように、光学的な透明性に優れ、適度な濡れ性や凝集力を保持し、輝度向上フィルム及び熱可塑性樹脂フィルムとの接着性にも優れ、さらには良好な耐熱性を有し、高温環境下で浮き剥がれ等の剥離問題を生じないものを選択して用いることが好ましい。
光学フィルム20は、輝度向上フィルム21と表面保護フィルム22とが積層されて構成されている。
図6は、表面保護フィルム22の概略的な断面図である。表面保護フィルム22は、被保護部材(輝度向上フィルム21)の表面へ剥離自在に貼着して、この表面の保護を図るもので、基材1と、この基材の輝度向上フィルム21側である下面に設けた粘着層2と、基材の上面に設けた高分子層3とを備えている。
以下、実施例を示して本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。例中、含有量又は使用量で表す「%」及び「部」は、特記ない限り重量基準である。
[サンプル作成方法]
(端面処理)
端面処理は、国際公開2011/040636に記載された装置を使用して行なった。複数枚の偏光板50を複数枚重ね合わせ、その積層フィルムを最外側の両フィルム面の外方側から一対の樹脂製挟持部材で挟持した状態で、前記積層フィルムの集合体の周面に回転刃の刃面を向き合わせ、前記回転刃により前記積層フィルムの集合体の周面を前記挟持部材の周面ごと仕上げ削りした。このとき回転体の回転速度は4800rpmであった。
(活性エネルギー線照射)
測定機器:[Fusion UV Systems 株式会社製 Fusion UV B2-006]
コンベアー速度:10m/min、高さ:50mm、光強度:100%、バルブ:Dバルブとして、ソーダガラスに貼合した偏光板50に対して、表面保護フィルム側から、UVB領域(280〜315nm)における積算光量が8000mJ/cm2となるように、照射強度が500mJ/cm2の活性エネルギー線を照射した。
(引き起こし力)
測定機器:[島津社製オートグラフ AGS-50NX]を用いて、剥離幅:25mm、ピール角:180°、ピール速度300mm/minで輝度向上フィルム21から表面保護フィルム22を剥離させるピール試験を行った。図2は、表面保護フィルム22を輝度向上フィルム21から引き起こす際の距離と力との関係を示す図である。図2に示されるように、表面保護フィルム22を輝度向上フィルム21から剥離させる際の初期段階では引き起こしに大きな力が必要であるが、剥離が始まった後は引き起こし力が小さくなる。本実施形態では、表面保護フィルム22が、始点から25mm剥がれる迄の間の最大値を引き起こし力とし、その後の力を剥離力とした。
・引き起こし力の上昇率 … UVB領域で積算光量が8000mJ/cm2となるように、照射強度が500mJ/cm2の活性エネルギー線を照射する前後で測定した引き起こし力を次の式を用いて上昇率を算出した。
上昇率=[(N1−N0)/N0]×100
単位:%、N0:UV照射前の引き起こし力、N1:UV照射後の引き起こし力
測定機器:[オリンパス株式会社製 型番:OLS4100]を用いて、超高速モードで倍率を100倍として面粗さ測定を行った。輝度向上フィルムの延伸方向と垂直方向になる2つの端面から3cmずつ切り出し、幅5点ずつ測定した。アスペクト比が大きい程、断面には不均一な凹凸が存在し、荒れた状態である。アスペクト比が小さい程、断面は均一であり、クラックや欠陥が生じていないと考えられる。
図5に示す仕様に従い、実施例1〜3、比較例1〜2、参考例1〜5のサンプルを作製した。
偏光板50は、次のように作製した。まず、厚さ60μmのポリビニルアルコールフィルム(平均重合度約2,400、ケン化度99.9モル%以上)を、乾式延伸により約5倍に一軸延伸し、さらに緊張状態を保ったまま、60℃の純水に1分間浸漬した後、ヨウ素/ヨウ化カリウム/水の重量比が 0.05/5/100の水溶液に28℃で60秒間浸漬した。その後、ヨウ化カリウム/ホウ酸/水の重量比が8.5/8.5/100の水溶液に72℃で300秒間浸漬した。引き続き26℃の純水で20秒間洗浄した後、65℃で乾燥し、ポリビニルアルコールフィルムにヨウ素が吸着配向している厚さ23μmの偏光子を得た。次に、この偏光子の片側に、水100部に対し、カルボキシル基変性ポリビニルアルコール〔株式会社クラレから入手した商品名“KL−318”〕を3部溶解し、その水溶液に水溶性エポキシ樹脂であるポリアミドエポキシ系添加剤〔田岡化学工業株式会社から入手した商品名“スミレーズレジン(登録商標) 650(30)”、固形分濃度30%の水溶液〕を 1.5部添加したエポキシ系接着剤を塗布し、透明の保護フィルム11として厚さ40μmのトリアセチルセルロースフィルム〔コニカミノルタオプト株式会社製の商品名“KC4UY”〕を貼り合せ、その反対側には前記の接着剤を用いて、厚みが26μmの輝度向上フィルム21(3M製、商品名 Advanced Polarized Film, Version 3)を貼合した。トリアセチルセルロースフィルム(保護フィルム11)を貼合した面に粘着剤を塗工して粘着剤層51を有する偏光板50を作製した。基材が厚み38μmの二軸延伸ポリエステルフィルムであり、粘着層が厚み15μmであって硬化剤と帯電防止剤を含む、表面保護フィルム22であるSAT4038T15−JSL(株式会社サンエー化研製)を、輝度向上フィルム21を貼合した面に前記粘着剤を介して貼合した。この表面保護フィルム22は、波長190nmの前記活性エネルギー線に対する透過率が5%以下であった。
実施例1と同様の手順でサンプル作成し、同様の処理を施したが、APF-V3を保護する表面保護フィルム22には、基材が厚み38μmの二軸延伸ポリエステルフィルムであり、粘着層が厚み22μmであって、硬化剤と帯電防止剤を含む、SAT4538TF−JSL(株式会社サンエー化研製)を使用した。輝度向上フィルム21の断面のアスペクト比はStr=0.30であり、表面保護フィルム22を輝度向上フィルム21から剥離するときの引き起こし力は6.2N/25mmであった。この表面保護フィルム22は、波長190nmの前記活性エネルギー線に対する透過率が5%以下であった。
実施例1と同様の手順でサンプルを作成し、同様の処理を施したが、APF-V3を保護する表面保護フィルム22には、基材が厚み38μmの二軸延伸ポリエステルフィルムであり、粘着層が厚み22μmであって、硬化剤と帯電防止剤を含む、SAT4238TF−JSL(株式会社サンエー化研製)を使用した。輝度向上フィルムの断面のアスペクト比はStr=0.30であり、表面保護フィルム22を輝度向上フィルム21から剥離するときの引き起こし力は8.2N/25mmであった。この表面保護フィルム22は、波長190nmの前記活性エネルギー線に対する透過率が5%以下であった。
実施例1と同様の手順でサンプルを作成し、同様の処理を施したが、APF-V3を保護する表面保護フィルムには、基材が厚み38μmの二軸延伸ポリエステルフィルムであり、粘着層が厚み20μmであるAS3−304(藤森工業株式会社製)を図6に示した表面保護フィルム22として使用した。輝度向上フィルム21の断面のアスペクト比はStr=0.30であり、表面保護フィルムを輝度向上フィルム21から剥離するときの引き起こし力は12.0N/25mmであった。この表面保護フィルム22は、波長190nmの前記活性エネルギー線に対する透過率が5%以下であった。
実施例1と同様の手順でサンプルを作成し、同様の処理を施したが、APF-V3を保護する表面保護フィルムには、比較例1で用いた表面保護フィルム22Aと同様の構成であり、基材が厚み38μmの二軸延伸ポリエステルフィルムであり、粘着層が厚み15μmであるAS3−501(藤森工業株式会社製)を使用した。AS3−501はAS3−304と粘着剤の厚みと種類が異なる。輝度向上フィルムの断面のアスペクト比はStr=0.30であり、表面保護フィルムを輝度向上フィルム21から剥離するときの引き起こし力は大きすぎて、測定不可であった。この表面保護フィルム22は、波長190nmの前記活性エネルギー線に対する透過率が5%以下であった。
実施例1と同様の手順でサンプルを作成し、同様の処理を施したが、活性エネルギー線は照射しなかった。端面研磨後の輝度向上フィルム21の断面のアスペクト比はStr=0.30であった。短冊状にカットした輝度向上フィルム21付き偏光板50の粘着剤層51をガラス70に貼合した。表面保護フィルム22を輝度向上フィルム21から剥離するときの引き起こし力は0.77N/25mmであった。
実施例2と同様の手順でサンプルを作成し、同様の処理を施したが、活性エネルギー線は照射しなかった。端面研磨後の輝度向上フィルム21の断面のアスペクト比はStr=0.30であった。短冊状にカットした輝度向上フィルム21付き偏光板50の粘着剤層51をガラス70に貼合した。表面保護フィルム22を輝度向上フィルム21から剥離するときの引き起こし力は2.6N/25mmであった。
実施例3と同様の手順でサンプルを作成し、同様の処理を施したが、活性エネルギー線は照射しなかった。端面研磨後の輝度向上フィルム21の断面のアスペクト比はStr=0.30であった。短冊状にカットした輝度向上フィルム21付き偏光板50の粘着剤層51をガラス70に貼合した。表面保護フィルム22を輝度向上フィルム21から剥離するときの引き起こし力は1.4N/25mmであった。
比較例1と同様の手順でサンプルを作成し、同様の処理を施したが、活性エネルギー線は照射しなかった。端面研磨後の輝度向上フィルム21の断面のアスペクト比はStr=0.30であった。短冊状にカットした輝度向上フィルム21付き偏光板50の粘着剤層51をガラス70に貼合した。表面保護フィルム22を輝度向上フィルム21から剥離するときの引き起こし力は1.2N/25mmであった。
比較例2と同様の手順でサンプルを作成し、同様の処理を施したが、活性エネルギー線は照射しなかった。端面研磨後の輝度向上フィルム21の断面のアスペクト比はStr=0.30であった。短冊状にカットした輝度向上フィルム21付き偏光板50の粘着剤層51をガラス70に貼合した。表面保護フィルム22を輝度向上フィルム21から剥離するときの引き起こし力は7.0N/25mmであった。
Claims (3)
- 表面保護フィルムと輝度向上フィルムとを備えた光学フィルムであって、
積算光量が8000mJ/cm2の活性エネルギー線が照射された後に、前記表面保護フィルムを前記輝度向上フィルムから剥離するときに要する引き起こし力が10.0N/25mm以下であり、
前記引き起こし力の上昇率が700%未満である光学フィルム。 - 前記表面保護フィルムは、波長190nmの前記活性エネルギー線に対する透過率が5%以下である請求項1に記載の光学フィルム。
- 請求項1または請求項2に記載の光学フィルムと、偏光フィルムとを有する偏光板。
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