JP4159917B2 - 画像読み取り装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、カラー印刷された印刷物を画像入力装置により電子データとして読み取る画像読み取り装置において、印刷物に印字された文字などの色をシアン、マゼンタ、イエロー、ブラックといった基本色の網点画像の重ね合わせにより表現している場合に、これを読み取ったデータが網点画像を忠実に読み取ることにより、その後の画像データの利用に支障を来す場合があり、このような場合に網点画像の重ね合わせにより再現された色データを、見た目に忠実な色データの塗りつぶしデータに変換することができる画像入力装置を実現するものである。
【0002】
【従来の技術】
カラー印刷された印刷物の色の再現方法は、一般的に、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックといった基本色を重ね合わせることで種々の色を再現する方法が用いられている。
【0003】
このとき、各基本色の画像は、網点によりその基本色の濃度を調節するようにしており、この網点の密度により各種中間色や濃度を再現している。
【0004】
このような基本色の網点画像の重ね合わせにより色が再現されている印刷物を、肉眼で見ると、網点が十分に小さいため基本色が混じり合って形成される特定の色の塗りつぶしに見える。
【0005】
しかし、これを高解像度の画像入力装置により読み取ると、図6に示すように、読み取られた画像データは、忠実に網点画像を読み取るため、見た目の色とは違った色の画素データが複雑に混じり合ったようなデータとなり、そのデータの中から、見た目の色で塗られた文字の画像のみを抽出するような処理を行いたい場合、画像データ中にその色で塗りつぶされた文字のデータがないため抽出できないといった問題が発生する場合があった。
【0006】
また、読み取ったデータを使用して、もう一度印刷するような場合、読み取られたデータ自体が網点画像の重ね合わせデータとなっており、これをさらに印刷時に網点により色を再現しようとするため、もとの画像の色が忠実に再現できない場合があった。
【0007】
このような問題を解決するため、従来は、網点印刷された画像の読み取りデータを平滑化することにより、網点を除去し、見た目の色データに変換することが行われている。
【0008】
この平滑化処理は、図7に示すように、網点画像の重ね合わせにより色を表現している画像データの中から、注目画素の周囲m×nの平滑化対象領域を抜き出し、注目画素の色の平滑化処理として、この平滑化対象領域に含まれる画素のRGB各色の輝度情報を図8に示すように、RGBごとに平均値を求め、求められたRGB値を注目画素の値として置き換えるなどの処理をすることで行われている。
【0009】
しかし、このような平滑化処理を従来は、画像データのすべての点において同様に実行するため、図9(a)に示すような、注目画素が文字や図形などの輪郭に隣接する位置であるC2のような画素の場合、平滑化処理を行うことで、図9(b)に示すように、平滑化対象領域に文字や図形の色が含まれてしまい、輪郭に隣接していたC2が文字や図形の色に近い色に塗られてしまい、輪郭がぼやけてしまうという問題があった。
【0010】
この問題を解決するため、文字や図形の輪郭部を抽出し、平滑化処理時に、輪郭部分の画素については平滑化処理を行わず、平滑化処理前の画素データのままとすることで、輪郭部分がぼやけてしまうのを防ぐ装置が考案されている(例えば、特許文献1を参照)。
【0011】
しかし、このような装置においては、文字や図形の輪郭部分の平滑化が行われず、微細な網点画像の重ね合わせデータのまま残ってしまうという問題がある。
【0012】
【特許文献1】
特開昭63−246076号公報
【発明が解決しようとする課題】
前記のごとく、従来の技術では次のような問題点がある。
【0013】
カラー印刷においては、色や濃度を再現するため、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックといった基本色の網点画像を重ね合わせて画像を形成することが行われており、これを高解像度の画像読み取り装置により読み取ると、読み取られた画像データは、網点画像を忠実に読み取るため、文字や図形が見た目通りの色とは違ったデータとして読み取られてしまい、見た目の色で文字や図形を抽出するといった画像処理ができないといった問題があった。
【0014】
また、読み取られた画像データを使用して、もう一度印刷するような場合、読み取られたデータ自体が網点により色を再現したデータとなっており、これをさらに印刷時に網点画像の重ね合わせにより色の再現を行うため、もとの画像の色を忠実に再現できない場合があった。
【0015】
このような問題を解決するため、従来は、網点画像のデータを注目画素の周囲の画素色により平滑化することにより、見た目の色の塗りつぶしデータに変換する処理を行う画像処理装置が考案されている。
【0016】
しかし、このような装置では、網点画像として表された文字や図形の輪郭部が平滑化処理によりぼやけてしまうという問題があった。
【0017】
また、文字や図形の輪郭部分を抽出し、平滑化処理時に、画像データのうち、輪郭部分の画素の平滑化処理を行わず、平滑化前の画素データのままの画像データとすることで、文字や図形の輪郭部が平滑化処理によりぼやけてしまうのを防ぐ装置が考案されているが、このような装置では、輪郭部分の平滑化が行われず、もとの網点画像データが残ってしまうという問題があった。
【0018】
この発明の課題は、カラー印刷された印刷物を高解像度の画像読み取り装置により読み取った場合、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックといった基本色の網点画像の重ね合わせで色を表現している文字や図形を、その輪郭部分がぼやけることなく、輪郭部分を含めて平滑化処理を施し、見た目に忠実な色データの塗りつぶしデータとして読み取ることができる画像読み取り装置を実現することにある。
【0019】
【課題を解決するための手段】
前記の問題点を解決するために、この発明では次に示す手段を取った。
【0020】
画像入力装置により読み取られた画像データの中から、文字や図形の輪郭部分を抽出する輪郭抽出手段を備える。
【0021】
網点画像の重ね合わせにより再現された色情報を、見た目の色の塗りつぶし画像データに変換するための平滑化処理手段を備え、この画像データの色の平滑化処理手段において、色の平滑化処理を行うにあたり、輪郭抽出手段により抽出された輪郭データに基づいて、平滑化処理の注目画素が輪郭部分か輪郭部分でないかを判断しながら、平滑化処理を切り替える。
【0022】
輪郭部分以外の部分の色の変換は、色変換の対象となる注目画素の周囲m×nの平滑化対象領域について、輪郭部分の画素を除いたその他の画素の色に基づいて平滑化処理を行う。
【0023】
輪郭部分の色の変換は、色変換の対象となる注目画素の周囲m×nの平滑化対象領域のうち輪郭部分以外の領域が一つの領域となっている場合には、その一つの領域となっている輪郭部分以外の部分の画素の色をもとに輪郭部分である注目画素の平滑化処理を行い、平滑化対象領域のうち輪郭部分以外の領域が、輪郭部分の画素によって複数の領域に分割されている場合は、そのうちのいずれの領域に注目画素が含まれるべきかを判断し、注目画素が含まれると判断された領域の画素の色のみを使用して注目画素の平滑化処理を行う。
【0024】
【発明の実施の形態】
この発明は、次に示す実施の形態を取った。
【0025】
画像入力装置により読み取られた画像データから文字や図形の輪郭部分を抽出する輪郭抽出手段を備えるように構成する。
【0026】
これにより、画像データ中のどの画素が輪郭部分の画素でどの画素が輪郭部分以外の画素か判別することができ、平滑化処理を行う際に、文字や図形の輪郭部分の画素も単純にその他の部分と同様な平滑化処理を行うことで、輪郭部分がぼやけてしまうという問題に対処するための、輪郭部分の処理と輪郭部分以外の部分の処理の切り分けを行うことができるようになる。
【0027】
シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックといった基本色の網点画像の重ね合わせにより表現された色のデータを、見た目通りの色の塗りつぶしデータに変換するため、平滑化する処理を行う平滑化処理手段を備える。
【0028】
この平滑化処理手段により平滑化することで、画像データ中の網点画像で表現されている部分のデータが、その周囲の画素の色と平滑化されることで、見た目の色の単一色に近づけていくことができる。
【0029】
平滑化処理手段においては、色変換対象である注目画素の周囲m×n画素の領域の平滑化対象領域のうち、輪郭部分の平滑化処理と、輪郭部分以外の平滑化処理の処理方法を切り替えて平滑化を行うように構成する。
【0030】
これにより、すべての領域を単純に平滑化することで、文字や図形の輪郭部分の画素も平滑化されてしまい、輪郭がぼやけてしまうという問題に対処することができるようになる。
【0031】
輪郭部分以外の部分の画素の平滑化処理においては、平滑化対象領域のうち、輪郭部分以外の部分の画素の色のみを使用して、注目画素の平滑化処理を行うように構成する。
【0032】
これにより、文字や図形の輪郭部分では、文字や図形の領域の色と下地の色とが大きく異なっており、この境界部分の画素が平滑化処理により文字や図形の色と下地の色を混じり合わせた色となり、境界部分の画素の色が不正確な色に変換される場合があるが、上記のように、輪郭部分以外の部分の画素の平滑化に輪郭部分の画素の色を使用しないことで、輪郭部分以外の部分の画素に、輪郭部分の画素の色が混じり込むことを防ぐことができ、より適正な色に平滑化することができるようになる。
【0033】
輪郭部分の画素の平滑化処理においては、平滑化対象領域のうち輪郭部分以外の部分が一つの領域となっている場合には、その一つの領域となっている輪郭部分以外の部分の画素の色のみを使用して、輪郭部分の画素の平滑化処理を行い、平滑化対象領域のうち輪郭部分以外の部分が輪郭部分の画素により複数の領域に分割されている場合には、その複数の領域となっている輪郭部分以外の部分の領域のうち注目画素がどの領域に含まれるべきかを判断し、含まれるべきと判断された領域の画素の色のみを使用して輪郭部分の画素の平滑化処理を行うように構成する。
【0034】
これにより、輪郭部分のぼやけた画素の色が、輪郭部分の画素が本来含まれるべき文字や図形の部分の色または、文字や図形の描画されている下地の色のいずれか一方の画素の色により平滑化されることで、輪郭部分のぼやけた部分の画素が除去され、輪郭をシャープにする効果がある。
【0035】
【実施例】
この発明による代表的な実施例を説明する。なお、以下において、同じ箇所は同一の符号を付してあり、詳細な説明を省略することがある。
【0036】
図1に示すように、読み取り対象である原稿を光学的に読み取り、電子データとして取り込むCCDなどの画像入力装置1を備えている。
【0037】
カラー印刷では、中間色表示のために、基本となるシアン、マゼンタ、イエロー、ブラックといった基本色の画像を、非常に微細な網点により印刷し、この網点の密度によりその基本色の濃度を調節し、この網点画像を重ね合わせて印刷することで、さまざまな色の再現を行っている。
【0038】
ここで、高解像度の画像入力装置により、このような網点画像の重ね合わせにより色の再現を行っている文字や図形を画像データとして読み取ると、読み取られた画像データは忠実にこの基本色による微細な網点画像の重ね合わせを読み取るため、見た目の色とは違った色の微細な画素が複雑に入り交じった画像データとして読み取られる。
【0039】
読み取った画像データを使用して、その画像に含まれる特定の見た目の色に塗られた文字や図形を抽出するような画像処理を行いたい場合、画像データが非常に忠実に基本色による微細な網点画像を画像データとして読み取っているため、見た目の色に塗りつぶされた文字や図形が読み取った画像データからは見つけられないため、このような画像処理が行えないといった問題がある。
【0040】
また、このように読み取った画像データを使用して、もう一度印刷を行うような場合、網点画像の重ね合わせにより表現された色をさらに印刷時に網点画像の重ね合わせにより再現しようとするため、読み取り対象のもとの原稿に描かれていた文字や図形の色を正確に再現できない場合があった。
【0041】
このような問題に対処するため、従来は、読み取った画像データを平滑化処理することで、網点画像の重ね合わせにより表現された画像の画素の色データを、見た目の色に塗りつぶされた色のデータに変換することが行われている。
【0042】
平滑化処理は、平滑化を行う注目画素の周囲m×nの平滑化対象領域の画素の色情報をもとにして、平滑化対象領域の色情報の平均値を注目画素の色とするなどの処理を行うことでなされている。
【0043】
しかし、従来の平滑化処理では、文字や図形の輪郭部分の画素の色が平滑化処理により、文字や図形の描かれている下地の色と混ぜ合わされることでぼやけてしまうという問題があった。
【0044】
このような問題を解決するため、本装置では、以下のような手段を備えるように構成している。
【0045】
図1に示すように、画像入力装置1により読み取った画像データの中から文字や図形などの輪郭を抽出する輪郭抽出手段2を備えるように構成している。
【0046】
この輪郭抽出処理は、判定対象の画素の色と、この画素にX方向およびY方向に隣接する各画素との色の差分の合計を求め、この値が所定の値以上の場合には、その画素が輪郭部分であると判断することにより行う。
【0047】
これは、輪郭部分の画素は、文字や図形の領域と、それが描かれている下地の領域とで色が大きく変化しているので、隣接する画素間で色情報が大きく変化している点をX方向、Y方向の変化量の合計を求めることで検出し、輪郭と判断しているのである。
【0048】
なお、このとき変化量を求める色情報としては、カラーの画像データの場合、各画素が通常R(レッド)、G(グリーン)、B(ブルー)の3色の輝度情報により表現されているので、輪郭部分を求める差分も各色ごとに輝度の差分を求めてその差分の合計により輪郭部分を抽出するようにしてもよいが、RGBの色情報から明度のみの情報を取り出すように、明度=0.30×R+0.59×G+0.11×Bという式を用いることでグレー化し、これによりグレー化した明度情報を使用して上記の隣接画素との差分を求め、輪郭を抽出するようにしてもよい。
【0049】
具体的には、輪郭部分の画素と判断する色情報の変化量の合計値の所定値を200以上とすると、図2(a)に示すような判定対象の画素B2の明度が200で、これにX方向に隣接する画素C2の明度が200、Y方向に隣接する画素B3の明度が200の場合は、変化量の合計は0となり、所定値の200以下であるので、判定対象の画素B2は輪郭部分以外の部分の画素であると判定する。
【0050】
図2(b)に示すように、判定対象の画素B2の明度が50で、これにX方向に隣接する画素C2の明度が200、Y方向に隣接する画素B3の明度が200の場合は、変化量の合計は300となり、所定値の200以上であるので、判定対象の画素B2は輪郭部分の画素であると判定する。
【0051】
輪郭部分の抽出に用いる、変化量の合計の所定の閾値は、統計的に画像データの中の輪郭部分と判断できる値を各種の画像データから求め、最適値あらかじめ決めておくことで行う。
【0052】
図1に示すように、読み取った画像データの各画素の平滑化処理を行う平滑化処理手段3を備え、この平滑化処理手段3に輪郭抽出手段2により抽出された輪郭データを送付するように構成する。
【0053】
平滑化処理手段3では、読み取った画像データの平滑化処理を行うが、このとき、平滑化処理により色の変換を行う注目画素が、文字や図形の輪郭部分の画素であるか、そうでないかを輪郭抽出手段2から受けた輪郭データをもとに注目画素の種別判定部4にて判定し、輪郭部分の画素の場合は、輪郭部分の画素の平滑化処理部5で平滑化処理を行うよう指示し、輪郭部分以外の部分の画素の場合は、輪郭部分以外の部分の画素の平滑化処理部6で平滑化処理を行うよう指示することで、注目画素の種別により平滑化処理の方法を切り替えるように構成している。
【0054】
平滑化しようとする注目画素が図3に示すように、輪郭部分以外の部分の画素(図の場合E6)の場合は、その平滑化の対象となる注目画素の周囲m×n(図の場合3×3)の平滑化対象領域の中で、輪郭部分の画素を除いた輪郭部分以外の部分の画素の色情報のみ(図の場合、D5、E5、D6、E6、D7の画素)を使用して注目画素の平滑化処理を行うように輪郭部分以外の部分の画素の平滑化処理部6を構成している。
【0055】
これにより、輪郭部分以外の部分の画素の色に、急激に変化している輪郭部分の色が混じり込み、輪郭部分がぼやけてしまうことを防ぐことができるようにしている。
【0056】
平滑化しようとする注目画素が図4に示すように、輪郭部分の画素の場合は、その平滑化の対象となる注目画素の周囲m×n(図の場合3×3)の平滑化対象領域の中で、輪郭部分の画素により輪郭部分以外の部分の画素の領域が分割されている図4(b)に示すような場合と、分割されていない図4(a)に示すような場合とで、平滑化処理を分けて行うように輪郭部分の画素の平滑化処理部5を構成している。
【0057】
図4(a)に示すように、平滑化対象領域が、輪郭部分の画素により複数の輪郭部分以外の部分の画素の領域に分割されず、一つの輪郭部分以外の部分の領域となっている場合には、その輪郭部分以外の部分の領域の画素の色のみを使用して注目画素の平滑化処理を行う。
【0058】
図4(a)の場合は、A1、B1、C1、A2の画素の色情報を使用して注目画素であるB2の平滑化処理を行う。
【0059】
平滑化対象領域が、図4(b)に示すように、輪郭部分の画素により複数の輪郭部分以外の部分の領域に分割される場合は、その注目画素が複数に分割された輪郭部分以外の部分の領域のうち、どの領域に含まれるべきかを判断する。
【0060】
具体的には、この判断は、図5に示すように行う。この図の例では、平滑化対象領域は、輪郭部分の画素により輪郭部分以外の部分が領域1と領域2に分けられているので、注目画素B2がこの領域1と領域2のどちらに含まれるべきかを判断することとなる。
【0061】
まず、平滑化対象領域の輪郭部分以外の部分の領域の画素の明度情報および注目画素の明度情報を昇順に並べる。この並べられた明度情報をもとに図5に示すように、イ、ロ、ハ、ニの4つのところで分けてそれぞれのところで分けた場合の級間分散を求める。
【0062】
【数1】
【0063】
級間分散は、上式で求められる。
それぞれの記号の意味は以下の通りである。
η(k):昇順に並べた明度の配列をkの点で領域1と領域2に分けたときの級間分散値
μ1:領域1の明度の平均値
μ2:領域2の明度の平均値
σ1 2:領域1の明度の分散値
σ2 2:領域2の明度の分散値
M:全画素数
n1:領域1の画素数
n2:領域2の画素数
【0064】
これにより、図5に示すように、イ、ロ、ハ、ニの4つのところで領域を分割した場合のそれぞれの級間分散値を求めると、ハのところでの級間分散値が最も大きくなっていることが分かる。
【0065】
この級間分散値が最も大きくなっているハのところで領域を分けるようにする。図の場合は、級間分散値の最大のところであるハのところが領域1と領域2の境界となるので、注目画素B2は領域1に含まれるべきと判断されることとなる。
【0066】
このようにして含まれるべき領域が領域1と判断されたので、注目画素B2の平滑化は、領域1に含まれる画素であるA1、B1の画素の色情報をもとにして行う。このように含まれるべき領域の画素の色情報のみを使用することで、輪郭部分の急激に変化する色情報が混合されることにより、輪郭部分の色がぼやけるという問題が発生しない。
【0067】
平滑化する注目画素が輪郭部分の画素の場合、平滑化対象領域のうちの輪郭部分以外の部分の画素の色を使用して平滑化を行うのであるが、このときの輪郭部分以外の部分の画素の色情報として、あらかじめその輪郭部分以外の部分の画素を図3に示すように、平滑化対象領域のうちの輪郭部分以外の部分の画素の色のみを使用した平滑化処理を実行した後の色を使用して平滑化を行うように構成してもよい。
【0068】
このように平滑化処理後の画素データを使用して輪郭部分の平滑化処理を行うことで、輪郭部分の平滑化処理時にはすでに、輪郭部分以外の部分の画素が見た目の色に近い色に変換されているので、これをもとに輪郭部分の平滑化処理を行うことで、より見た目に忠実な色への変換が行える。
【0069】
これらの色変換処理を画像読み取り装置の内部で行うことで、高解像度の画像入力装置により読み取られた複雑な網点画像データが除去され、見た目に近い色に塗りつぶされた文字や図形のデータへと変換したデータを出力することができるようになっている。
【0070】
以上のように、平滑化処理対象となる注目画素の種別を輪郭部分の画素か、輪郭部分以外の部分の画素か判断し、さらに、平滑化対象領域が輪郭部分の画素によりどのように分割されるかによりそれぞれ平滑化処理を切り分けて実行することで、輪郭部分の画素がぼやけてしまうということがなくなり、輪郭をシャープに保ったまま、網点画像の重ね合わせにより再現された画像データを、見た目の色の塗りつぶしの画像データに変換することができるようになる。
【0071】
また、このような平滑化処理を複数回繰り返して行うことで、輪郭をシャープに保ったまま、より平滑化の度合いを上げることができ、網点画像により表示されていた文字や図形を見た目に忠実な単一の色の塗りつぶしデータに変換することができ、さらに、このとき裏写りなどのノイズ成分も除去することができる。
【0072】
【発明の効果】
この発明により、以下に示すような効果が期待できる。
【0073】
カラー印刷された文字や図形は、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックといった基本色の網点画像を重ね合わせることで各種色を再現している。これを高解像度の画像読み取り装置により読み取った場合、それらの文字や図形の色を再現するために使用されている、基本色の網点画像の重ね合わせ画像を忠実に読み取ることとなり、読み取られた画像データは見た目の色とは違った、複数の色の微細な点のデータが複雑に入り交じったデータとなる。
【0074】
このような画像データを使用して、文字や図形に付された見た目の色を指定して、画像から特定の文字や図形を抽出したい場合、画像データに見た目の色で塗りつぶされた文字や図形のデータが存在しないので、このような抽出処理ができないといった問題があった。
【0075】
また、読み取られた画像データを使用して、もう一度画像の印刷を行うような場合、画像データには網点画像の重ね合わせにより色を再現したデータが格納されており、これをさらに網点画像により色の再現を行うため、もとの読み取り対象の原稿に描かれていた文字や図形の色を正確に再現できない場合があった。
【0076】
本発明を利用することで、このような網点画像により色の再現を行っている画像データを、見た目の色に塗りつぶされた文字や図形のデータに変換することで、見た目の特定の色で塗られた文字や図形を抽出することが可能となり、また、読み取られた画像データを使用して、もう一度印刷する場合も、読み取り対象である原稿に描かれた文字や図形の色を忠実に再現することができる。さらに、平滑化処理を繰り返し行うことで、より輪郭をシャープにし、裏写りなどのノイズ成分の除去も行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の全体構成図である。
【図2】輪郭抽出処理の説明図である。
【図3】注目画素が輪郭部分以外の部分の画素の場合の平滑化処理説明図である。
【図4】注目画素が輪郭部分の画素の場合の平滑化処理説明図である。
【図5】輪郭部分以外の部分の画素が複数の領域に分かれた場合の処理説明図である。
【図6】カラー印刷での網点画像の重ね合わせによる色表示の説明図である。
【図7】平滑化対象領域の説明図である。
【図8】従来の平滑化処理の説明図である。
【図9】平滑化処理により輪郭がぼやける現象の説明図である。
【符号の説明】
1:画像入力装置
2:輪郭抽出手段
3:平滑化処理手段
4:注目画素の種別判定部
5:輪郭部分の画素の平滑化処理部
6:輪郭部分以外の部分の画素の平滑化処理部
Claims (1)
- 網点画像の重ね合わせで色を表現している印刷物を読み取る画像入力装置と、前記画像入力装置で読み取った画像データの中から文字や図形の輪郭の部分を抽出する輪郭抽出手段と、前記輪郭抽出手段により抽出された輪郭データから網点画像の重ね合わせにより表現された色のデータをその周囲の画素の色と平滑化させる処理を行う平滑化処理手段とを備えた画像読み取り装置において、
前記平滑化処理手段は、平滑化処理により色の変換を行う注目画素が、文字や図形の輪郭部分の画素か、輪郭部分以外の部分の画素かを判定する注目画素の種別判定部と、
色変換対象である注目画素を中心とした周囲画素の平滑化対象領域のうち、輪郭部分以外の部分の画素の色のみを使用して注目画素の色変換を行う輪郭部分以外の部分の画素の平滑化処理部と、
輪郭部分の画素の色を置き換える処理として、その輪郭により、色変換対象である注目画素を中心とした周囲画素の平滑化対象領域が複数の領域に分割される場合には、分割された領域のうちの注目画素が含まれているいずれか一つの領域の画素の色のみを使用して注目画素の色変換処理を行い、平滑化対象領域が輪郭により複数に分割されない場合は輪郭部分以外の部分の画素の色のみを使用して注目画素の色変換処理を行う輪郭部分の画素の平滑化処理部とを備え、
前記注目画素の種別判定部が判定した注目画素の種別によって平滑化処理を切り替える、
ことを特徴とする画像読み取り装置。
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