JP4158711B2 - 連続流れ分析方法 - Google Patents

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Description

本発明は、発色試薬によるバックグランド吸収が生じる場合にも測定が容易であって測定精度に優れ、さらに懸濁物質を含む試料についても安定に測定を行うことができる連続流れ分析方法に関する。
試料液に発色試薬を添加して液中に含まれる測定対象元素によって発色させ、その吸光度等に基づいて濃度を定量する測定方法が従来から知られている。このような発色試薬を用いた吸光度の測定においては、発色試薬がバックグランド吸収を有する場合には、この吸収を補正して濃度等が定められる。発色試薬のバックグランド吸収は試料の塩濃度や試料液のpH等によって影響を受けるので、正確な測定を行うためにはこれらの影響を考慮する必要がある。
例えば、試料中の鉛を弱酸性陽イオン交換樹脂に吸着させ、該樹脂に洗浄液を通液して妨害成分を除去した後に鉛を溶離し、鉛を含む溶離液に発色剤を添加して吸光光度法によって試料中の鉛濃度を定量する方法が知られている(特許文献1)。この測定方法は手分析による測定であるので、発色剤を添加する際に試料溶液のpH等を調整した後に吸光光度計に導入すれば発色試薬のバックグランド吸収の変動を抑制できるが、手分析であるのでpH調整および濃度測定に時間がかかる。
また、コバルトの定量において、分析対象試料の定量に先だって、予め発色剤のみのバックグラウンドを測定し、次いで試料の吸光度を測定し、この測定値から発色剤のバックグラウンド分を差し引いて定量を行う方法も知られている(特許文献2)。しかし、この測定方法は予め発色剤のバックグランドを測定する手間がかかり、連続的な測定にも適しない。
一方、自動的な測定方法として、測定対象元素を含む試料液が管路を通じて流れる間に発色試薬を添加して検出器に導入し、吸光度等を測定して測定対象元素の濃度を定量する連続流れ分析が知られている。例えば、試料液を強塩基性陰イオン交換樹脂に通液して、液中に含まれるカドミウムのヨウ化物錯体を吸着させ、吸着を繰り返して濃縮した後に溶出し、このカドミウムを含む溶出液にマスキング剤、緩衝液、発色試薬を添加して分光光度計に導いて吸光度を測定し、試料中のカドミウム濃度を測定する方法が知られている(特許文献3)。この方法ではpH14の強アルカリ下で発色させるため、発色試薬のバックグラウンド吸収が存在しても、実質的にpH変化による影響は受けない。
特開平09−061416号公報 分析化学:Vol.41、633頁−638頁、1992年 特開平07−333212号公報
試料液に発色試薬を添加し、その吸光度等に基づいて試料液に含まれる測定対象元素の濃度を定量する測定方法において、発色試薬の最適発色領域がpH1〜14の範囲である場合、pH変化によって発色試薬のバックグラウンド吸収帯が変化するため、特にフローインジェクション法などの連続流れ分析法では、吸収帯のベースラインの変動によって測定不能に陥ることがある。
例えば、イオン交換反応や溶媒抽出反応を組み込んだ連続流れ分析方法では、発色試薬を用いた場合、発色反応の最適pH条件とイオン交換などの前処理の条件が合致しないと必ずバックグラウンド吸収帯が変化するため、べ一スラインの変動やゴーストピークが出現して測定不能になる。この場合、従来はpHを調整するために通常は緩衝液を使用するが、測定対象元素と発色試薬の組み合わせによっては、緩衝液を構成する分子イオンが分析対象元素に対してマスキング反応をするため、このような緩衝液は使用することができない。
また、測定対象元素を含む懸濁物質が試料溶液に含まれている場合、従来の連続流れ分析方法では、管路の閉塞を避けるために予め懸濁物質を除去しなければならず、測定操作が煩雑であると共に測定対象元素の濃度が低く測定される問題がある。
本発明は、発色試薬を用いた連続流れ分析方法における従来の上記問題を解決したものであり、イオン交換反応や溶媒抽出反応を組み込んだ連続流れ分析方法において、測定が容易であって測定精度に優れ、さらに懸濁物質を含む試料についても安定に測定を行うことができる連続流れ分析方法を提供するものである。
本発明は以下の構成からなる連続流れ分析方法および装置に関する。
〔1〕測定対象元素を含む溶液が管路を流れる間に試薬を添加して検出器に導入する連続流れ分析方法に基づき、測定対象元素を含む試料液をキャリア液によってイオン交換樹脂カラムに導き、測定対象元素を吸着させた後に該カラムに溶離液を通じて該元素を溶離させ、該元素を含む溶離液(試料液)に発色試薬と緩衝液を添加して吸光度計に導く分析方法において、測定対象元素を吸着したカラム吸着液の酸濃度[X]、溶離液の酸濃度[Y]、緩衝液のアルカリ濃度[B]とするとき、発色試薬と緩衝液を添加した試料液のpH変動[ΔpH]を次式(1)で示される範囲内に調整して溶離することによって、pH変化によるバックグランド吸収を抑制したことを特徴とする連続流れ分析方法。
−0.5≦〔ΔpH=log[(B−X)/(B−Y)]〕≦0.5 …(1)
〔2〕キャリア液の酸濃度[A]、または溶離液の酸濃度[Y]の何れか一方を制御することによって、カラム吸着液と溶離液の酸濃度の差を上記範囲内に調整する上記[1]の分析方法。
〔3〕上記[1]または上記[2]の方法において、試料液のpH変動[ΔpH]を次式(2)で示される範囲内に調整して溶離する分析方法。
−0.5≦〔ΔpH=log[(Cx-B+Y)/(Cx-B+Y)]+log[(B-X)/(B-Y)]〕≦0.5…(2)
(式中のCxは緩衝液の濃度)
〔4〕キャリア液に錯化剤液を添加して測定対象元素の錯イオンをイオン交換樹脂カラムに吸着させる測定系において、カラム吸着液の酸濃度が、錯化剤液によって希釈されたキャリア液の酸濃度である上記[1]〜上記[3]の何れかに記載する分析方法。
〔5〕試料中の懸濁物質を溶解する手段を有し、懸濁物質を溶解した試料液を測定系に導入する上記[1]〜上記[4]の何れかに記載する分析方法。
〔6〕連続流れ分析の測定系と、該測定系に接続した試料溶解部とを有し、該試料溶解部は懸濁物を含む試料に鉱酸を加える溶解槽、該溶解槽の試料液を連続流れ分析測定系の試料導入部に導く管路、溶解槽の残液を受け入れる貯槽、溶解槽と貯槽を連通する管路、溶解槽に水を供給する給水管路を備え、測定対象元素を含む溶液が管路を流れる間に試薬を添加して検出器に導入する連続流れ分析方法に基づき、測定対象元素を含む試料液をキャリア液によってイオン交換樹脂カラムに導き、測定対象元素を吸着させた後に該カラムに溶離液を通じて該元素を溶離させ、該元素を含む溶離液(試料液)に発色試薬と緩衝液を添加して吸光度計に導く分析方法において、測定対象元素を吸着したカラム吸着液の酸濃度[X]、溶離液の酸濃度[Y]、緩衝液のアルカリ濃度[B]とするとき、発色試薬と緩衝液を添加した試料液のpH変動[ΔpH]を次式(1)で示される範囲内に調整して溶離することによって、pH変化によるバックグランド吸収を抑制したことを特徴とする連続流れ分析装置。
−0.5≦〔ΔpH=log[(B−X)/(B−Y)]〕≦0.5 …(1)

〔発明の具体的な説明〕
本発明の分析方法に係る測定装置の一例を図1に示す。図示する本発明の測定装置は、連続流れ分析の測定系と該測定系に接続した懸濁物質溶解部Aとを有している。上記測定系は試料導入部B、吸着溶離部C、反応部D、および検出部Eを有している。これらの試料導入部B、吸着溶離部C、反応部D、および検出部Eは管路によって直列に連通されている。
上記測定装置は、好ましくは図2に示すように、懸濁物質を含む試料を分析することができるように懸濁物質溶解部Aが設けられる。懸濁物質溶解部Aにおいて測定対象元素を含む懸濁物質を溶解した後に、この試料液が測定系の試料導入部Bに導入される。この懸濁物質溶解部Aには溶解槽60と貯槽70が設けられている。溶解槽60は加温槽61に装入されており、溶解槽60には、懸濁物質を含む試料を供給する管路62、試料に水を加える給水管路63、鉱酸を供給する管路64、溶解した試料液を測定系に送る管路66、貯槽70に通じる管路67、68が設けられており、溶解槽60の内部には攪拌機65が設けられている。
貯槽70は溶解槽60の残留液や洗浄排液を汲み上げて一時的に溜める部分であり、吸引管路71、73および排液管路74が接続しており、上記管路71には吸引ポンプ72が設けられている。これらの管路62〜74には流路を開閉するバルブVが装着されている。懸濁物質を含む試料は管路62を通じて溶解槽60に供給され、この試料が管路62を流れる間に管路63を通じて適量の水が試料に加えられる。さらに、溶解槽60には管路64を通じて鉱酸を供給し、攪拌して懸濁物質に含まれる測定対象元素の溶解を促す。鉱産の種類は懸濁物質の種類に応じて硝酸、塩酸、硫酸などを適宜用いればよい。溶解を促すように加温槽61に温水を供給して溶解槽60の温度を高めるとよい。なお、加温槽61に代えてヒータを用いてもよい。例えば、鉛の定量分析において、試料に鉛が水酸化物等の懸濁物質として含まれている場合には、この試料に硝酸を加えて鉛を溶解する。
溶解後、管路66を通じて試料液を測定系の試料導入部Bに送る。一方、管路67、68を通じて吸引ポンプ72によって溶解槽内の残液を貯槽70に汲み上げる。次に、空になった溶解槽60に管路63を通じて給水し、槽内を洗浄する。この洗浄排液は先の試料残液と同様に管路67、68を通じて貯槽70に吸引する。貯槽70に溜まった排液は管路74を通じて外部に排出する。
上記試料導入部Bは、測定系に一定量の試料液を注入するバルブ12、該バルブ12にキャリア液を供給する管路10、該キャリア液を加温するヒータ13、管路10を流れるキャリア液に錯化剤を添加する管路11、キャリア液と錯化剤の溶液を送液する定量ポンプ50を有している。該ポンプ50によって同量のキャリア液と錯化剤液が管路10、11を通じて測定系に導入される。この管路を流れるキャリア液中に試料液が導入される。具体的には、注入バルブ12には一定量の試料液を保持するループ(図示省略)が設けられており、バルブ12の流路を切り替えることによって一定量の試料液が管路10に導入される。試料液に含まれる測定対象元素は上記錯化剤によって錯体を形成し、この錯体を含む試料液がカラム20に導入される。
なお、試料液が懸濁物質を含まない場合には、これを溶解する必要がないので、懸濁物質溶解部Aを経由せずに一定量の試料液をバルブ12のループに導入すればよい。また、錯化剤を添加する必要のない場合には管路11を省略してもよい。
上記吸着溶離部Cは、測定対象元素を吸着するイオン交換樹脂を充填したカラム20、該カラム20から反応部30に通じる管路21、該カラム20に溶離液を供給する管路23、該カラム20に洗浄液を供給する管路24、該カラム20の排液管路22を有しており、管路23、24には送液ポンプ50が設けられている。カラム20には測定対象元素の錯イオンを吸着するイオン交換樹脂が充填されており、試料液がカラム20を通過する間に、液中の錯イオンが上記イオン交換樹脂に吸着される。一方、カラム20を通過した試料排液は管路22を通じて外部に導かれる。
吸着後にカラム20に通じる管路を切り換え、管路23および管路21を流れる溶離液をカラム20に導入し、上記樹脂に吸着されている錯イオンを溶離液に溶出させる。この吸着溶離工程によって試料液中の不純物を吸着させずに除去すると共に錯イオンを濃縮することができる。その後、カラム20の流路を切り換え、管路24を通じて洗浄液をカラム20に導入して内部を洗浄し、樹脂を再生させる。この洗浄排液は管路22を通じて外部に排出される。カラムの洗浄後、再びカラム20の流路を切り換えてカラム20と管路10を連通し、次の吸着に備える。
上記反応部Dは、検出部Eに通じる管路31、管路21を流れる溶離液(試料液)に発色試薬を添加する管路32、および緩衝液を添加する管路33、発色試薬および緩衝液を添加した試料液が流れる反応管路30を有しており、管路32、33には送液ポンプ50が設けられている。また、反応管路30は発色試薬と測定対象元素とが反応する時間を確保するようにコイル状に形成されており、限られたスペースで十分な管路の長さが得られるように形成されている。また、上記検出部Eには試料液の吸光度を測定する吸光光度計40などが設けられており、さらに排液用の管路31が設けられている。
溶離した測定対象元素の錯イオンを含む試料液には管路21を流れる間に管路32を通じて発色試薬が添加され、また、管路33を通じて緩衝液が試料液に添加される。緩衝液は試料液のpH変動を抑制するためのものであり、一般に酸性の溶離液に対してアルカリ性溶液が用いられる。緩衝液の添加によって試料液のpHが最適発色pHに整えられる。
発色試薬は試料液に含まれる特定の金属錯イオンと反応し、上記最適発色pH下で特有の色調を有するようになる。この発色した試料液が検出部Eに送られ、吸光光度計40によって吸光度が測定され、吸光度の大きさから検量線に基づいて測定対象元素の濃度が定量される。
本発明の分析方法は、上記測定系において、測定対象元素を吸着したカラム吸着液の酸濃度[X]、溶離液の酸濃度[Y]、緩衝液のアルカリ濃度[B]とするとき、発色試薬と緩衝液を添加した試料液のpH変動[ΔpH]を次式(1)で示される範囲内に調整して溶離することによって、pH変化によるバックグランド吸収を抑制したことを特徴とする連続流れ分析方法である。
−0.5≦〔ΔpH=log[(B−X)/(B−Y)]〕≦0.5…(1)
発色試薬と緩衝液を添加した試料液のpH変動を上記範囲内に調整する具体的な態様を以下に説明する。
一般に、金属錯イオンのイオン交換樹脂への吸着には酸濃度の適切な範囲があり、例えば、鉛のヨウ化物イオン(PbI4 2-)の場合には吸着液の硝酸濃度は0.1〜1.0Mの範囲が適切である。吸着液の酸濃度が高すぎるとヨウ化鉛(PbI2)が沈澱し、酸濃度が低すぎると鉛の錯イオンが形成されない。また、溶離液についても酸濃度の適切な範囲があり、鉛のヨウ化物イオン(PbI4 2-)を溶離するには0.1〜2.0Mの硝酸濃度が適当である。溶離液の硝酸濃度が高いと吸光度のピークは鋭くなるが発色試薬の適正pHに調整するのが難しくなり、一方、この硝酸濃度が低すぎると感度が低下する。
本発明は、発色試薬と緩衝液を添加した試料液のpH変動が一定の範囲内に制御されるように、吸着液と溶離液の双方に適合するように酸濃度の範囲を定めるので、測定対象元素の吸着と溶離が良好に行われ、かつ吸光度分析におけるpH変動によるバックグランド吸収が抑制され、従って高い測定精度を得ることができる。
具体的には、例えば、図示する測定系による鉛の定量分析において、1.0M硝酸をキャリア液とし、0.2Mヨウ化カリウム液を錯化剤として用い、キャリア液と同量の錯化剤液が測定系に導入した場合、キャリア液の硝酸濃度はこのヨウ化カリウム液によって希釈されて0.5Mの硝酸濃度になり、試料液に含まれる鉛はヨウ化鉛錯体を形成してカラムの樹脂に吸着される。従って、カラムには0.5M硝酸濃度の吸着液が残留することになる。
この0.5M硝酸濃度の吸着液が残留したカラムに溶離液(硝酸溶液)を導入して樹脂に吸着されている鉛のヨウ化物イオンを溶離する。このイオンを含む溶離液(試料液)には発色試薬と緩衝液が添加される。発色試薬として0.002%-(---化合物名----:TPPS)、 緩衝液として0.12M四ホウ酸ナトリウムと1M水酸化ナトリウム混合液を用いるとよい。
上記測定系において、発色試薬と緩衝液を添加した後の試料液のpHは次式(3)で示される。
pH=pKa+log(Cx/Cy) …(3)
pKa:緩衝液(四ホウ酸ナトリウムの酸解離定数)
Cx:四ホウ酸ナトリウム濃度
Cy:緩衝液に含まれる水酸化ナトリウム濃度(Cya=B−X、Cyb=B-Y)
X:吸着液の酸濃度
Y:溶離液の酸濃度
B:緩衝液のアルカリ濃度
上記pH式(3)において、CxおよびpKaは一定であるので、pHの変動量ΔpHは次式(4)によって示される。
ΔpH=log(Cx−Cyb)−log(Cyb)−log(Cx+Cya)+log(Cya)
従って
ΔpH=log[(Cx−B+Y)/(Cx−B+X)]+log[(B−X)/(B−Y)] …(4)
ここで、試料液の酸濃度が緩衝液の濃度(Cx)よりも大幅に小さい場合には、式(4)は次式(5)のように近似することができる。
ΔpH=log[(B−X)/(B−Y)] …(5)
本発明の分析方法は、上記近似式(5)に基づいて、ΔpHを−0.5≦ΔpH≦0.5の範囲内に制御することによって、発色試薬と緩衝液を添加した試料液のpH変動によるバックグランド吸収を抑制する。また、近似式(5)を用いない場合には、上記試料液のpH変動(ΔpH)は式(4)によって示されるで、これを上記式(2)の範囲内に制御する。上記試料液のpH変動(ΔpH)をこの範囲内に制御することによって、高い測定精度を達成することができる。このpH変動が上記範囲を外れると測定時のバックグランドが著しくなり、信頼性の高い測定結果を得るのが難しい。
なお、発色試薬と緩衝液を添加した試料液のpH変動を上記範囲内に調整するには、以上のように、酸濃度[Y]を調整した溶離液を用いる方法に限らず、キャリア液の酸濃度[A]を調整することによって、発色試薬と緩衝液を添加した試料液のpH変動を上記範囲内に制御するようにしても良い。
因みに、0.2M硝酸をキャリアー液とし、同液量のヨウ化カリウム緩衝液をキャリア液に添加して試料液と共にカラムに導入する場合、従来のように、0.5M硝酸を溶離液として用いると、試料液のpHが上記発色試薬の最適発色pH範囲から大きく外れ、吸光度測定の際にpH変動によるバックグランド吸収が大きく、正確な測定を行うことができない。
本発明の分析方法は、発色試薬と緩衝液を添加した試料液のpH変動が一定の範囲内に制御されるように、吸着液と溶離液の双方に適合するように酸濃度の範囲を定めるので、測定対象元素の吸着と溶離が良好に行われ、かつ吸光度分析におけるpH変動によるベースラインの変動やゴーストピークの発生を抑制することができ、信頼性の高い分析結果を得ることができる。さらに、懸濁物質の溶解部を有する本発明の分析方法は、測定対象元素を含む懸濁物質を効率よく溶解して連続流れ分析系に導入することができるので、上記元素について正確な定量分析を行うことができ、また管路の詰まりを生じることがないので安定な測定を行うことができる。従って、例えば、排水処理工程の中間段階の排水や原水等の多量の懸濁物質が含まれる場合でも、これらの試料溶液について、全量の被検体を自動測定することが可能である。
例えば、排水中の鉛について、本発明の分析方法によれば排水に含まれる0.01ppmレベルの鉛を連続測定できるので、排水中の鉛濃度を常時測定して排水管理を行えば、異常時の迅速な対応が可能となり、周辺の環境を鉛で汚染することがなく、環境保護に大きく寄与する。また、工場排水、地下水、河川水中の鉛の常時モニタリングが可能である。
本発明の分析方法は、例えば、表1に示す測定対象元素について、同表の発色試薬および緩衝液を用いて定量分析を行うことができる。
Figure 0004158711
図1に示す連続流れ分析装置を用い、排水中に含まれる鉛の定量分析を行った。最初に水酸化鉛や有機体鉛の懸濁物を含有する試料を溶解槽に入れて給水し、濃度1Mになるように硝酸を添加して攪拌し、鉛を溶出させた。この鉛が溶解した試料液を連続流れ分析装置の試料注入バルブに導き、4mlの試料液を1.0M硝酸のキャリア液(液温100℃)に注入した。さらに、この試料液が管路を流れる間に錯化剤(0.2Mヨウ化カリウム溶液)を混合し、鉛のヨウ化物錯体を形成させた。この試料液を強塩基性陰イオン交換樹脂(製品名Bio-Rad AG1-X8、100mesh)を充填したカラムに通液し、カラムを通過した液は外部に排出した後に、管路の接続を切り替えて溶離液(0.5M硝酸)をカラムに通液した。このカラムを通過した溶離液(試料液)を反応部に導き、さらに試料液が管路を流れる間に発色試薬(0.002%TPPS)、中和剤(1.0MNaOH)、緩衝液(0.12M四ホウ素Na−水酸化Na)を試料液に添加して試料液のpHを9〜11に整え、反応部を通過する間に加熱して液温を120℃に高めて発色反応を促進させた。この発色した試料液を検出部に導いて吸光度を測定し、予め作成した検量線を用いて鉛濃度を測定した。この結果を表2に示した。なお、公定法による測定結果を対比して示した。
比較例
溶離液として0.5M硝酸に代えて1M硝酸を用いた他は実施例1と同様にして鉛濃度を定量した。この結果を表2に示した(比較例1)。また、図1の測定装置において、懸濁物質溶解部を使用せずに、懸濁物質を除去した他は実施例1と同様にして鉛濃度を定量した。この結果を表2に示した(比較例2)。
表2の結果に示すように、本発明の分析方法によれば、公定法の測定と良く一致する結果が得られ、しかも本発明の方法は連続的な測定が可能であり、公定法に比べて測定時間が大幅に短縮される。一方、比較例1はベースラインが不安定であり、低濃度試料については公定法よりも高い測定値を示した。また、比較例2は懸濁物質注の鉛を測定していないため公定法よりも低い測定値を示した。
Figure 0004158711
本発明の連続流れ分析方法に係る測定装置の構成例を示す模式図 本発明に係る測定装置の懸濁物質溶解部の構成例を示す模式図
符号の説明
A−懸濁物質溶解部、B−試料導入部、C−吸着溶解部、D−反応部、E−検出部、
10、11−管路、12−注入バルブ、13−ヒータ、14−管路、20−カラム、
21、22、23、24−管路、30−反応管路、31、32、33−管路、40−吸光高度計、50−送液ポンプ、60−溶解槽、61−加温槽、62、63、64−管路、65−攪拌機、66、67、68−管路、70−貯槽、71、73−管路、72−吸引ポンプ、74−管路。

Claims (6)

  1. 測定対象元素を含む溶液が管路を流れる間に試薬を添加して検出器に導入する連続流れ分析方法に基づき、測定対象元素を含む試料液をキャリア液によってイオン交換樹脂カラムに導き、測定対象元素を吸着させた後に該カラムに溶離液を通じて該元素を溶離させ、該元素を含む溶離液(試料液)に発色試薬と緩衝液を添加して吸光度計に導く分析方法において、測定対象元素を吸着したカラム吸着液の酸濃度[X]、溶離液の酸濃度[Y]、緩衝液のアルカリ濃度[B]とするとき、発色試薬と緩衝液を添加した試料液のpH変動[ΔpH]を次式(1)で示される範囲内に調整して溶離することによって、pH変化によるバックグランド吸収を抑制したことを特徴とする連続流れ分析方法。
    −0.5≦〔ΔpH=log[(B−X)/(B−Y)]〕≦0.5 …(1)
  2. キャリア液の酸濃度[A]、または溶離液の酸濃度[Y]の何れか一方を制御することによって、カラム吸着液と溶離液の酸濃度の差を上記範囲内に調整する請求項1の分析方法。
  3. 請求項1または2の方法において、試料液のpH変動[ΔpH]を次式(2)で示される範囲内に調整して溶離する分析方法。
    −0.5≦〔ΔpH=log[(Cx-B+Y)/(Cx-B+Y)]+log[(B-X)/(B-Y)]〕≦0.5…(2)
    (式中のCxは緩衝液の濃度)
  4. キャリア液に錯化剤液を添加して測定対象元素の錯イオンをイオン交換樹脂カラムに吸着させる測定系において、カラム吸着液の酸濃度が、錯化剤液によって希釈されたキャリア液の酸濃度である請求項1〜3の何れかに記載する分析方法。
  5. 試料中の懸濁物質を溶解する手段を有し、懸濁物質を溶解した試料液を測定系に導入する請求項1〜4の何れかに記載する分析方法。
  6. 連続流れ分析の測定系と、該測定系に接続した試料溶解部とを有し、該試料溶解部は懸濁物を含む試料に鉱酸を加える溶解槽、該溶解槽の試料液を連続流れ分析測定系の試料導入部に導く管路、溶解槽の残液を受け入れる貯槽、溶解槽と貯槽を連通する管路、溶解槽に水を供給する給水管路を備え、測定対象元素を含む溶液が管路を流れる間に試薬を添加して検出器に導入する連続流れ分析方法に基づき、測定対象元素を含む試料液をキャリア液によってイオン交換樹脂カラムに導き、測定対象元素を吸着させた後に該カラムに溶離液を通じて該元素を溶離させ、該元素を含む溶離液(試料液)に発色試薬と緩衝液を添加して吸光度計に導く分析方法において、測定対象元素を吸着したカラム吸着液の酸濃度[X]、溶離液の酸濃度[Y]、緩衝液のアルカリ濃度[B]とするとき、発色試薬と緩衝液を添加した試料液のpH変動[ΔpH]を次式(1)で示される範囲内に調整して溶離することによって、pH変化によるバックグランド吸収を抑制したことを特徴とする連続流れ分析装置。
    −0.5≦〔ΔpH=log[(B−X)/(B−Y)]〕≦0.5 …(1)
JP2004022303A 2004-01-29 2004-01-29 連続流れ分析方法 Expired - Lifetime JP4158711B2 (ja)

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