JP4158403B2 - エンジンの燃焼室構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、吸気弁に可変動弁装置を備えたエンジンの燃焼室構造に関し、特に吸気弁のシート面付近の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
4サイクルエンジンにおいては、周知のようにポペット弁型の吸気弁が用いられており、その弁頭部がシリンダヘッド側に設けられたシート面に着座するとともに、動弁機構によって押し開かれる構成となっている。
【0003】
図4は、一般的な吸気弁の弁頭部およびシート面の構成を示している。図示するように、一般に、シリンダヘッド51に円環状のバルブシート52が圧入されており、このバルブシート52に、円錐形にシート面53が形成されている。バルブシート52のシート面53の上流側には、吸気ポート54に滑らかに連続させるために上流側円錐面55が形成され、かつシート面53の下流側には、シリンダヘッド51の燃焼室壁面56に滑らかに連続させるために下流側円錐面57が形成されている。つまり、図示するように、シート面53のバルブ中心軸線mに対する傾斜角αに比べて、上流側円錐面55の傾斜角αuは小さく、また下流側円錐面57の傾斜角αdは大きくなっており、吸気ポート54から燃焼室壁面56へと段階的に角度が変化している。そして、図示例では、バルブシート52の軸方向の厚さがシリンダヘッド51に加工されたバルブシート圧入用凹部58の軸方向の深さよりも小さく設定されているが、バルブシート圧入用凹部58の開口縁は上記下流側円錐面57に連続する円錐面に面取り加工されている。また、図には、吸気弁の弁頭部61のみを僅かにリフトした状態で描いてあるが、この弁頭部61の円錐形シール面62の傾斜角は、上記シート面53の傾斜角αに等しく、閉弁時には互いに密接する。
【0004】
従って、上記構成では、下流側円錐面57の延長面と燃焼室壁面56とのなす角βが小さくなっており、シート面53から下流側円錐面57に沿って流れてきた吸気が、そのまま燃焼室壁面56に沿って流れやすい形状となっている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
このような従来の構造は、吸気弁部分での吸気抵抗を小さくして高負荷運転時にできるだけ多くの吸気を吸入可能にする、という観点では有利な構造である。しかしながら、吸気弁のリフト量を可変制御し得る可変動弁装置を備えたエンジンに適用した場合には、吸気弁のリフト量が小さいときに、図5に吸気の流れを矢印で示すように、シート面53とシール面62との隙間を通った吸気の多くが、燃焼室壁面56に沿って流れることから、燃焼室壁面56に燃料が付着して未燃HCが増加したり、燃焼安定性が悪化したりする原因となる。
【0006】
そこで、この発明は、吸気弁側に可変動弁装置を備えたエンジンに適した燃焼室構造を提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
この発明は、請求項1のように、吸気弁のリフト量を連続的に変更可能な可変動弁装置を備えたエンジンの燃焼室構造において、吸気弁の閉時に吸気弁の弁頭部が着座する円錐形シート面を備えた円環状のバルブシートが、シリンダヘッドの平面状の燃焼室壁面に設けた凹部に圧入されているとともに、このバルブシートの外周側を同心円状に囲むように、上記バルブシート外周から僅かに離れた位置において上記燃焼室壁面から円環状に突出する突起部を備え、この突起部は、該突起部より内周側の燃焼室壁面および外周側の燃焼室壁面の双方に対し突出しており、かつその突出高さ(Y)は、上記弁頭部のシール面の軸方向高さ(X)よりも小さく、上記可変動弁機構は、少なくとも、上記シール面と上記円錐形シート面とが軸方向に重なり合う小リフト状態から両者が軸方向に重なり合わない大リフト状態までリフト量を変更可能であり、上記突起部の内周の角部が、微小リフト時に上記シート面に沿って流れてきた吸気を壁面から剥離させることを特徴としている。
【0008】
可変動弁装置により吸気弁のリフト量が極低リフトに制御されたときには、シート面と弁頭部との間を流れる吸気の流速が高くなり、シート面の傾斜に沿って吸気が流れようとするが、この吸気の流れは、シート面下流の角部によって壁面から剥離する。そのため、壁面に沿って流れる吸気流が少なくなる。なお、リフト量が大きくなると、シート面の傾斜に沿って流れる成分は少なくなるので、上記角部による吸気抵抗は問題とならない。
【0010】
上記突起部は、シリンダヘッド自体に形成してもよく、あるいは別部材を取り付けるようにしてもよい。
【0012】
また請求項2の発明では、上記弁頭部は、上記シート面に密接する円錐形のシール面を有するとともに、このシール面の下流側に連続して、上記シール面とは逆に下流側ほど小径となるように傾いた円錐形の案内面が形成されている。
【0013】
このように弁頭部に円錐形の案内面を形成することによって、弁頭部周囲を吸気が流れると、中心部側の圧力が低下し、吸気の流れが弁頭部寄りに引き寄せられる。従って、周囲の壁面に沿って流れようとする吸気流が一層抑制される。
【0014】
【発明の効果】
この発明に係るエンジンの燃焼室構造によれば、可変動弁装置により吸気弁のリフト量が極低リフトに制御されたときに、周囲の壁面に沿って流れる吸気流を少なくすることができ、燃焼室壁面への燃料付着による未燃HCの増加や燃焼安定性の悪化を抑制することができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の好ましい実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0016】
図1は、この発明に係る4サイクルガソリンエンジンの燃焼室構造を概略的に示す説明図である。燃焼室1は、シリンダヘッド2の下面に凹設された燃焼室凹部壁面3と、シリンダブロック4に設けられたシリンダボア壁面5と、シリンダボア内を往復動するピストン6の冠面7と、吸気ポート8を開閉する一対の吸気弁9の弁頭部9aの下面10と、排気ポート11を開閉する一対の排気弁12の弁頭部12aの下面13と、によって画成されている。上記燃焼室凹部壁面3は、吸気弁9の弁頭部下面10に略平行な平面と排気弁12の弁頭部下面13に略平行な平面とを備え、これにより、燃焼室1は、いわゆるペントルーフ形状を呈している。そして、燃焼室1の略中央に点火栓14が配設されている。また、吸気ポート8には、吸気弁9の弁頭部9aに向けて燃料を噴射する図示せぬ燃料噴射弁が配設されている。
【0017】
上記吸気弁9は、排気弁12とともにポペット弁として構成されているものであって、図示せぬバルブスプリングによって常時閉方向に付勢されているとともに、カムを用いた動弁装置によって押し開かれるようになっており、エンジンの回転に同期して往復動し、吸気ポート8の燃焼室1側の開口端を開閉している。ここで、本実施例では、吸気弁9のリフト量が後述する可変動弁装置15によって連続的に変更可能となっており、例えば、リフト量を1mm以下の極低リフトに制御してアイドリング運転相当の空気量を得ることができる。
【0018】
図2は、吸気ポート8の燃焼室1側の開口端付近つまり図1のA部の詳細を示している。なお、吸気弁9については、弁頭部9aのみを僅かにリフトした状態でもって示している。図示するように、吸気弁9により開閉される吸気ポート8の燃焼室1側の開口端は、シリンダヘッド2とは別部材からなる円環状のバルブシート20によって構成されている。このバルブシート20は、シリンダヘッド2に加工されたバルブシート圧入用凹部25に圧入されており、円筒面からなる内周面20aが、吸気ポート8の内周面に一致している。また、この実施例では、バルブシート20の軸方向の厚さがバルブシート圧入用凹部25の軸方向の深さと等しく、従って、圧入状態では、バルブシート20の端面が周囲の燃焼室凹部壁面3に段差なく一致している。上記バルブシート20には、吸気弁9が閉弁状態にあるときに弁頭部9aが着座する円錐形のシート面21が形成されている。このシート面21の傾斜は、弁頭部9a側の円錐形シール面26の傾斜と実質的に等しい。また上記シート面21の上流側には、吸気ポート8の内周面とシート面21とを滑らかに連続させるように、上流側円錐面22が形成されている。つまり、図示するように、シート面21とバルブ中心軸線mとがなすシート面21の傾斜角αに比べて、上流側円錐面22とバルブ中心軸線mとがなす上流側円錐面22の傾斜角αuは小さく与えられている。なお、シート面21の傾斜角αは、一般に45°程度である。
【0019】
ここで、この参考例では、上記シート面21は、その下流側の端部がバルブシート20の端面にまで達しており、バルブシート20の端面に直接に開口した形となっている。換言すれば、従来の下流側円錐面57(図4参照)に相当する面を備えていない。そのため、バルブシート20端面に開口するシート面21の端縁が、急激な角度変化を伴う角部23となる。つまり、この角部23においてシート面21と燃焼室凹部壁面3とがなす角(これを角部傾斜角と呼ぶ)βが、大きなものとなっている。本実施例の場合、上記の角部傾斜角βは、シート面21の傾斜角αにほぼ等しく、上流側円錐面22の傾斜角αuよりも大きい。
【0020】
吸気弁9のリフト量は可変動弁装置15によって基本的に負荷に応じて可変制御されるが、リフト量が極低リフトである場合、吸気弁9を介して吸入される吸気は、バルブシート20のシート面21と吸気弁9側のシール面26との間の狭い隙間を通過することになり、殆どの吸気がシート面21に沿って流れる。この吸気の流れは、シート面21の隙間を通過した後、周囲の燃焼室凹部壁面3に沿って流れようとするが、図3の説明図に吸気の流れを矢印で示すように、角部23における角部傾斜角βが大きいことから、シート面21に沿って流れてきた吸気流は、この角部23において壁面から剥離する。従って、燃焼室凹部壁面3に沿った吸気の流れが過剰に発達するのを防止することができる。
【0021】
一方、吸気弁9のリフト量が大きい場合には、バルブシート20のシート面21と吸気弁9側のシール面26とが大きく離れることから、シート面21に沿って流れる吸気の割合が少なくなり、吸気の多くは吸気ポート8に沿った方向に案内される。従って、角部23の存在による吸気抵抗の増加は無視できる程度に小さい。
【0022】
次に図6は、この発明の一実施例を示している。この実施例においては、バルブシート20のシート面21の上流側に上流側円錐面22が形成されているとともに、シート面21の下流側に下流側円錐面27が形成されており、吸気ポート8内周面から燃焼室凹部壁面3へと段階的に角度が変化するようになっている。つまり、シート面21のバルブ中心軸線mに対する傾斜角αに比べて、上流側円錐面22の傾斜角αuは小さく、また下流側円錐面27の傾斜角αdは大きく与えられている。そして、バルブシート20の軸方向の厚さがシリンダヘッド2に加工されたバルブシート圧入用凹部25の軸方向の深さよりも小さく設定されているが、バルブシート圧入用凹部25の開口縁は上記下流側円錐面27に連続する円錐面に面取り加工されている。換言すれば、バルブシート20は、図4と基本的に変わらない構成となっている。
【0023】
ここで、本実施例では、バルブシート20周囲の燃焼室凹部壁面3において、バルブシート20の外周側を同心円状に囲むように円環状の突起部41が形成されている。この突起部41は、台形状の断面を有し、内周面41aが円錐面をなしているとともに、頂面41bが上記バルブシート20と平行な平面をなしている。そして、突起部41の内周の先端縁つまり上記内周面41aと上記頂面41bとが公差する点が、壁面に沿う流れを剥離させるための角部23となっている。この角部23における角部傾斜角βつまり上記内周面41aと上記頂面41bとのなす角βは、十分に大きく設定され、少なくともシート面21の傾斜角αよりも大きなものとなっている。また上記突起部41は、上記角部23が上記シート面21の延長面と干渉するように、その位置および大きさが設定されている。
【0024】
このような実施例の構成においては、吸気弁9の極低リフト時に、バルブシート20のシート面21から下流側円錐面27に沿って流れてきた吸気が、上記突起部41の角部23において壁面から剥離する。
【0025】
ここで、上記角部23による剥離効果は、吸気の大部分がシート面21に沿って流れる極低リフトのときだけ得られればよく、突起部41が過度に大きく突出していると、吸気抵抗の増加を招来する。換言すれば、角部23による剥離効果は、弁頭部9aのシール面26上端がシート面21の下端を越える十分に大きなリフト量にあるときには不要である。従って、突起部41の突出高さYは、弁頭部9aのシール面26の高さXよりも小さくすることが望ましい。
【0026】
なお、上記突起部41は、シリンダヘッド2に一体に形成してもよく、あるいはシリンダヘッド2に円環状の別部材を取り付けることで突起部41を構成するようにしてもよい。
【0027】
次に、図7は、この発明の他の参考例を示している。この例においては、バルブシート20のシート面21の上流側に上流側円錐面22が形成されており、シート面21のバルブ中心軸線mに対する傾斜角αに比べて、上流側円錐面22の傾斜角αuが小さく与えられているが、第1実施例のバルブシート20と同じく、シート面21の下流側には下流側円錐面27に相当する面は具備していない。つまり、上記シート面21は、その下流側の端部がバルブシート20の端面にまで達しており、バルブシート20の端面に直接に開口した形となっている。
【0028】
また、バルブシート20の軸方向の厚さがシリンダヘッド2に加工されたバルブシート圧入用凹部25の軸方向の深さよりも小さく設定されており、周囲の燃焼室凹部壁面3とバルブシート20端面との間に僅かな段差が与えられている。これにより、バルブシート20端面から相対的に突出した形となるバルブシート圧入用凹部25の開口縁が、吸気流を剥離させるための角部23となっている。この角部23には面取り加工が施されておらず、従って、この角部23の角部傾斜角βつまりバルブシート圧入用凹部25内周面と周囲の燃焼室凹部壁面3とのなす角βは、ほぼ90°をなしている。なお、図示するように、シート面21の延長面が上記角部23とほぼ交差するように、上記の段差が設定されている。
【0029】
この参考例によれば、バルブシート20の厚さとバルブシート圧入用凹部25の深さとを異ならせるだけで角部23を形成でき、吸気流に対する剥離効果を得ることができるので、構成の複雑化を回避できる利点がある。
【0030】
また、図8に示す第2実施例は、吸気弁9の弁頭部9aの形状を変更したものであって、シート面21に密接する円錐形のシール面26の下流側に、該シール面26とは逆に下流側ほど小径となるように傾いた円錐形の案内面31が連続している。なお、この案内面31の傾斜角を図中にγとして示す。
【0031】
このように弁頭部9aに先細りとなった案内面31を設けることにより、弁頭部9aとシート面21との隙間を通して吸気が流れた際に、案内面31側の圧力が低下し、吸気の流れがバルブ中心軸線m寄りに引き寄せられる。従って、角部23による剥離効果と相俟って、燃焼室凹部壁面3に沿って流れる成分が一層少なく抑制される。
【0033】
次に、図9に基づいて、上述した吸気弁9用の可変動弁装置15の一例を説明する。この可変動弁装置15は、吸気弁9のリフト・作動角を変化させるリフト・作動角可変機構101と、そのリフトの中心角の位相(図示せぬクランクシャフトに対する位相)を進角もしくは遅角させる位相可変機構121と、を備えている。
【0034】
まず、リフト・作動角可変機構101を説明する。なお、このリフト・作動角可変機構1は、本出願人が先に提案したものであるが、例えば特開平11−107725号公報等によって公知となっているので、その概要のみを説明する。
【0035】
リフト・作動角可変機構101は、シリンダヘッド2上部のカムブラケット(図示せず)に回転自在に支持された駆動軸102と、この駆動軸102に、圧入等により固定された偏心カム103と、上記駆動軸102の上方位置に同じカムブラケットによって回転自在に支持されるとともに駆動軸102と平行に配置された制御軸112と、この制御軸112の偏心カム部118に揺動自在に支持されたロッカアーム106と、各吸気弁9の上端部に配置されたタペット110に当接する揺動カム109と、を備えている。上記偏心カム103とロッカアーム106とはリンクアーム104によって連係されており、ロッカアーム106と揺動カム109とは、リンク部材108によって連係されている。
【0036】
上記駆動軸102は、後述するように、タイミングチェーンないしはタイミングベルトを介して機関のクランクシャフトによって駆動されるものである。
【0037】
上記偏心カム103は、円形外周面を有し、該外周面の中心が駆動軸102の軸心から所定量だけオフセットしているとともに、この外周面に、リンクアーム104の環状部が回転可能に嵌合している。
【0038】
上記ロッカアーム106は、略中央部が上記偏心カム部118によって揺動可能に支持されており、その一端部に、連結ピン105を介して上記リンクアーム104のアーム部が連係しているとともに、他端部に、連結ピン107を介して上記リンク部材108の上端部が連係している。上記偏心カム部118は、制御軸112の軸心から偏心しており、従って、制御軸112の角度位置に応じてロッカアーム106の揺動中心は変化する。
【0039】
上記揺動カム109は、駆動軸102の外周に嵌合して回転自在に支持されており、側方へ延びた端部に、連結ピン117を介して上記リンク部材108の下端部が連係している。この揺動カム109の下面には、駆動軸102と同心状の円弧をなす基円面と、該基円面から所定の曲線を描いて延びるカム面と、が連続して形成されており、これらの基円面ならびにカム面が、揺動カム109の揺動位置に応じてタペット110の上面に当接するようになっている。
【0040】
すなわち、上記基円面はベースサークル区間として、リフト量が0となる区間であり、揺動カム109が揺動してカム面がタペット110に接触すると、徐々にリフトしていくことになる。なお、ベースサークル区間とリフト区間との間には若干のランプ区間が設けられている。
【0041】
上記制御軸112は、図9に示すように、一端部に設けられたリフト・作動角制御用アクチュエータ113によって所定角度範囲内で回転するように構成されている。このリフト・作動角制御用アクチュエータ113は、例えばウォームギア115を介して制御軸112を駆動するサーボモータ等からなり、エンジンコントロールユニット119からの制御信号によって制御されている。ここで、制御軸112の回転角度は、制御軸センサ114によって検出され、この検出した実際の制御状態に基づいて上記アクチュエータ113がクローズドループ制御される。
【0042】
このリフト・作動角可変機構101の作用を説明すると、駆動軸102が回転すると、偏心カム103のカム作用によってリンクアーム104が上下動し、これに伴ってロッカアーム106が揺動する。このロッカアーム106の揺動は、リンク部材108を介して揺動カム109へ伝達され、該揺動カム109が揺動する。この揺動カム109のカム作用によって、タペット110が押圧され、吸気弁9がリフトする。
【0043】
ここで、リフト・作動角制御用アクチュエータ113を介して制御軸112の角度が変化すると、ロッカアーム106の初期位置が変化し、ひいては揺動カム109の初期揺動位置が変化する。
【0044】
例えば偏心カム部118が図の上方へ位置しているとすると、ロッカアーム106は全体として上方へ位置し、揺動カム109の連結ピン117側の端部が相対的に上方へ引き上げられた状態となる。つまり、揺動カム109の初期位置は、そのカム面がタペット110から離れる方向に傾く。従って、駆動軸102の回転に伴って揺動カム109が揺動した際に、基円面が長くタペット110に接触し続け、カム面がタペット110に接触する期間は短い。従って、リフト量が全体として小さくなり、かつその開時期から閉時期までの角度範囲つまり作動角も縮小する。
【0045】
逆に、偏心カム部118が図の下方へ位置しているとすると、ロッカアーム106は全体として下方へ位置し、揺動カム109の連結ピン117側の端部が相対的に下方へ押し下げられた状態となる。つまり、揺動カム109の初期位置は、そのカム面がタペット110に近付く方向に傾く。従って、駆動軸102の回転に伴って揺動カム109が揺動した際に、タペット110と接触する部位が基円面からカム面へと直ちに移行する。従って、リフト量が全体として大きくなり、かつその作動角も拡大する。
【0046】
上記の偏心カム部118の初期位置は連続的に変化させ得るので、これに伴って、バルブリフト特性は、連続的に変化する。つまり、リフトならびに作動角を、両者同時に、連続的に拡大,縮小させることができる。各部のレイアウトによるが、例えば、リフト・作動角の大小変化に伴い、吸気弁111の開時期と閉時期とがほぼ対称に変化する。
【0047】
次に、位相可変機構121は、図示するように、上記駆動軸102の前端部に設けられたスプロケット122と、このスプロケット122と上記駆動軸102とを、所定の角度範囲内において相対的に回転させる位相制御用アクチュエータ123と、から構成されている。上記スプロケット122は、図示せぬタイミングチェーンもしくはタイミングベルトを介して、クランクシャフトに連動している。上記位相制御用アクチュエータ123は、例えば油圧式、電磁式などの回転型アクチュエータからなり、エンジンコントロールユニット119からの制御信号によって制御されている。この位相制御用アクチュエータ123の作用によって、スプロケット122と駆動軸102とが相対的に回転し、バルブリフトにおけるリフト中心角が遅進する。つまり、リフト特性の曲線自体は変わらずに、全体が進角もしくは遅角する。また、この変化も、連続的に得ることができる。この位相可変機構121の実際の制御状態は、駆動軸102の回転位置に応答する駆動軸センサ116によって検出され、これに基づいて、上記アクチュエータ123がクローズドループ制御される。
【0048】
このような可変動弁装置15を吸気弁9側に備えた本実施例のエンジンは、スロットル弁に依存せず、吸気弁9の可変制御によって吸気量が制御される。なお、実用機関では、ブローバイガスの還流等のために吸気系に若干の負圧が存在していることが好ましいので、図示していないが、吸気通路の上流側に、スロットル弁に代えて、負圧生成用の適宜な絞り機構を設けることが望ましい。
【0049】
次に、バルブリフト特性の具体的な制御について説明する。図10は、代表的な運転条件における吸気弁のバルブリフト特性を示したもので、図示するように、アイドル等の極低負荷域においては、リフト量が極低リフトとなる。これは特に、リフト中心角の位相が吸気量に影響しない程度にまで小さなリフト量となる。そして、位相可変機構121によるリフト中心角の位相は、最も遅角した位置となり、これによって、閉時期は、下死点直前位置となる。
【0050】
このように極低リフトとすることによって、吸気流が吸気弁9とバルブシート20との間の間隙においてチョークした状態となり、極低負荷域で必要な微小流量が安定的に得られる。そして、閉時期が下死点近傍となることから、有効圧縮比は十分に高くなり、極低リフトによるガス流動の向上と相俟って、比較的良好な燃焼を確保できる。
【0051】
一方、アイドル等の極低負荷域よりも負荷の大きな低負荷領域(補機負荷が加わっているアイドル状態を含む)においては、リフト・作動角が大きくなり、かつリフト中心角は進角した位置となる。このときには、上述したように、バルブタイミングをも考慮して吸気量制御が行われることになり、吸気弁閉時期を早めることで、吸気量が比較的少量に制御される。この結果、リフト・作動角はある程度大きなものとなり、吸気弁9によるポンピングロスが低減する。
【0052】
なお、アイドル等の極低負荷域における極低リフトでは、前述したように、位相を変更しても吸気量は殆ど変化しないので、極低負荷域から低負荷域へと移行する場合には、位相変更よりも優先して、リフト・作動角を拡大する必要がある。空調用コンプレッサ等の補機の負荷が加わった場合も同様である。
【0053】
一方、さらに負荷が増加し、燃焼が安定してくる中負荷域では、図10に示すように、リフト・作動角をさらに拡大しつつ、リフト中心角の位相を進角させる。リフト中心角の位相は、中負荷域のある点で、最も進角した状態となる。これにより、内部EGRが利用され、一層のポンピングロス低減が図れる。
【0054】
また、最大負荷時には、さらにリフト・作動角を拡大し、かつ最適なバルブタイミングとなるように位相可変機構121を制御する。なお、図示するように、機関回転数によっても最適なバルブリフト特性は異なるものとなる。
【0055】
以上、可変動弁装置15の具体的な一例を説明したが、この発明の燃焼室構造は、これに限定されずに、種々の形式の可変動弁装置を備えたエンジンに適用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明に係る燃焼室構造の概略を示す説明図。
【図2】 この発明の参考例を示す燃焼室要部の拡大断面図。
【図3】 この参考例における極低リフト時の吸気の流れを示す説明図。
【図4】 従来の燃焼室構造を示す要部の拡大断面図。
【図5】 この従来例における極低リフト時の吸気の流れを示す説明図。
【図6】 実施例を示す燃焼室要部の拡大断面図。
【図7】 他の参考例を示す燃焼室要部の拡大断面図。
【図8】 第2実施例を示す燃焼室要部の拡大断面図。
【図9】 可変動弁装置の構成例を示す斜視図。
【図10】 代表的な運転条件でのバルブリフト特性を示す特性図。
【符号の説明】
1…燃焼室
3…燃焼室凹部壁面
8…吸気ポート
9…吸気弁
9a…弁頭部
20…バルブシート
21…シート面
23…角部
31…案内面
41…突起部
Claims (2)
- 吸気弁のリフト量を連続的に変更可能な可変動弁装置を備えたエンジンの燃焼室構造において、
吸気弁の閉時に吸気弁の弁頭部が着座する円錐形シート面を備えた円環状のバルブシートが、シリンダヘッドの平面状の燃焼室壁面に設けた凹部に圧入されているとともに、
このバルブシートの外周側を同心円状に囲むように、上記バルブシート外周から僅かに離れた位置において上記燃焼室壁面から円環状に突出する突起部を備え、この突起部は、該突起部より内周側の燃焼室壁面および外周側の燃焼室壁面の双方に対し突出しており、かつその突出高さ(Y)は、上記弁頭部のシール面の軸方向高さ(X)よりも小さく、
上記可変動弁機構は、少なくとも、上記シール面と上記円錐形シート面とが軸方向に重なり合う小リフト状態から両者が軸方向に重なり合わない大リフト状態までリフト量を変更可能であり、
上記突起部の内周の角部が、微小リフト時に上記シート面に沿って流れてきた吸気を壁面から剥離させることを特徴とするエンジンの燃焼室構造。 - 上記弁頭部は、上記シート面に密接する円錐形のシール面を有するとともに、このシール面の下流側に連続して、上記シール面とは逆に下流側ほど小径となるように傾いた円錐形の案内面が形成されていることを特徴とする請求項1に記載のエンジンの燃焼室構造。
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