JP4158169B2 - 元止め式電気温水器及び流路切替弁 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、元止め式電気温水器の改良に関し、詳しくは、温水タンクで生じる膨張水の排出手段の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
洗面所、台所、浴室等に設置した湯水混合栓や給湯栓へ湯を供給する電気温水器には、止水方式として先止め式と元止め式とが知られている。先止め式電気温水器は、温水タンクの二次側を上記の湯水混合栓や給湯栓で閉止して出湯を止める構造のため、閉栓時に給水圧が温水タンクに加わるので、温水タンクを耐圧構造とする必要がある。通常は、ステンレス製の円筒形タンクとすることにより、温水タンクに耐圧性を付与している。しかし、ステンレス製タンクは価格が高くなり、また円筒形タンクはスペースファクターが悪いという欠点を有している。
【0003】
これに対し元止め式電気温水器は、温水タンクの一次側を止水栓で閉栓して出湯を止める構造であるから、温水タンクを耐圧構造とする必要がなく、それ故、タンクのコストを低く抑えることができ、またタンク形状の制限が少ないという利点を有している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
元止め式電気温水器は、温水タンクの二次側が常時開放している構造のため、温水タンクの沸かし上げ時に発生する膨張水が、湯の吐出部である湯水混合栓等の蛇口から滴り落ち、これが使用者に、止水不良または漏水と誤解させるおそれがある。
【0005】
そこで上記問題の解決のため、特許第2827308号に、温水タンクの二次側へ、出湯路とは別に膨張水の排水通路を流路切換手段を介して設け、この流路切換手段の動作を、センサーによる手検知信号に基づき電気的に制御することが提案されている。しかるに当該技術は、電気的制御を必要とするため、コスト増を招くほか、電気配線が必要であるという新たな欠点を生じさせている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、元止め式電気温水器において、温水タンクの流入口に接続される給水路の途中に設けられる止水栓である湯水混合栓又は給湯栓の吐出部から、膨張水を排出させないようにできる手段を安価に提供することを目的とするものであって、その特徴とするところは、温水タンクの流入口に接続される給水路の途中に止水栓が設けられる元止め式電気温水器において、温水タンクの流出口に、出湯路に連絡する湯吐出部と膨張水排出路に連絡する排水部とを備える流路切替弁を接続し、給水路における前記止水栓よりも上流側と前記流路切替弁に設けた受圧部とを連絡し、前記止水栓による流路開閉操作に伴う給水路内の静水圧の増減により前記流路切替弁の切替動作が行われるように構成したことにある。かかる構成により、膨張水の排出路に流路を連通させる流路切替弁の動作を、止水栓の開閉操作に伴う給水圧(静水圧)の変動を用いて制御するようにしたから、電気的制御と比べ、簡単な構造にすることができる。
【0008】
なお前述の流路切替弁の特徴とするところは、元止め式電気温水器における温水タンクの流出口に接続され、温水タンクの流出口に接続する湯導入部と、出湯路に連絡する湯吐出部と、膨張水排出路に連絡する排水部と、流路の切り替えを行う弁体を動作させる給水圧を受ける受圧部と、前記弁体を初期位置へ戻すための復帰バネとを備え、前記弁体に復帰バネの付勢力よりも大きい給水圧が作用したときに、湯導入部から排水部に連通する流路が形成され、前記弁体に作用する給水圧が復帰バネの付勢力よりも小さいときは前記弁体が初期位置に復帰して湯導入部から湯吐出部に連通する流路が形成されるように設定されていることである。
【0009】
【発明の実施の形態】
[第1の実施形態]
図1は、本発明に係る元止め式電気温水器1の一例の概略構成を示すものである。この電気温水器1は、ヒーターH及び温度検出器Sを備える温水タンク2の流入口2aに給水路3が接続され、その途中に止水栓4が設けられている。止水栓4は通常、湯水混合栓の湯側水栓や給湯栓が相当することが多い。温水タンク2の流出口2bには流路切替弁10が接続され、この流路切替弁10に、出湯路5及び膨張水排出路6が接続されている。出湯路5は、湯水混合栓や給湯栓の蛇口となっている吐出部8に連絡し、膨張水排出路6は、洗面器や流し等の適所に設けた排水口(図示せず)に連絡している。さらに、流路切替弁10に設けた受圧部と、給水路3における止水栓4よりも上流側とが、バイパス通路7で連絡されている。
【0010】
流路切替弁10は、図2及び図3に示す如く、湯導入部10aと、出湯路に連絡する湯吐出部10bと、膨張水排出路に連絡する排水部10cと、バイパス通路7に連絡する受圧部10dとが設けられたケース11,12の内部に、バイパス通路7を通じて作用する給水圧によりケース11内を水密的に摺動するプランジャー13,該プランジャー13に押されて移動する弁体14、弁体14により開閉される通水孔15aを有する弁座ユニット15が収納されている。
【0011】
なお本例では、ケースを、湯導入部10aを含む後部11と、湯吐出部10bを含む前部12との二部分から成るものとし、両者を嵌合構造により一体化する構成を採用しているが、ケースの構成は、これに限定されるものではない。また組み付けの作業の必要上から、プランジャー13と弁体14とを別体構成としたが、組み付けが可能ならば、両者を一体物としてもよい。
【0012】
前記プランジャー13は、内部に、湯導入部10aから流入する温水を流通させる温水通路13bが形成された概略筒状体であって、後端部を区画して水圧作用部13aが形成され、温水通路13bの適所の周壁に連通孔13cが開設されている。また外周面に、ケース11内面の適所に係合し得るストッパー13dを設けて、プランジャー13の前進位置を規制するようにしている。これは、プランジャー13の前進により、ケースの後部11から前部12を押し出さないようにするためのものである。
【0013】
前記弁体14は、ほぼ円筒状に形成したものであって、温水を流通させるための開孔14aを有している。弁座ユニット15との間には、当該弁体15を初期位置へ戻す復帰手段である復帰バネ20が配置されている。復帰バネ20の強さ(バネ定数)は、給水圧の大きさや弁体14の寸法等を勘案して、適宜設定すればよい。
【0014】
弁座ユニット15は、弁体14により閉止される通水孔15aのほかに、弁体14によっては閉止されない副通水孔15bを有している。この副通水孔15bは、通常、安全弁16により閉止されている。安全弁16は、バネ19で副弁体18を付勢して弁シート17により副通水孔15bを閉塞するようになされたものであって、流路切替弁10の内圧が何らかの原因で異常上昇したときに流路を開き、圧力を逃がすようなされている。
【0015】
本発明の電気温水器1は、前記の通り構成された流路切替弁10を備えることにより、以下の如く動作する。出湯のため止水栓4を開くと、給水路3を通じて水が温水タンク2内に流入する。これにより温水タンク2内の湯が流出口2bから押し出される。このとき、流路切替弁10の受圧部10dにバイパス通路7を通じて作用する給水圧は、止水栓4が開いているため値が小さい。それ故、プランジャー13が弁体14を押す力が弱いので、弁体14は復帰バネ20の付勢力により、図2に示す初期位置に保持される。その結果、流路切替弁10内に、湯導入部10aから、プランジャー13の温水通路13b、弁体14の開孔14a及び弁座ユニット15の通水孔15aを経由して、湯吐出部10bに至る流路が形成されるため、出湯路5を通じて吐出部8から湯を吐出させることが出来る。
【0016】
出湯停止のため止水栓4を閉じると、温水タンク2内への給水が無くなるから湯の流出も行われなくなる。このとき、止水栓4を閉止したことにより、止水栓4よりも上流側で給水路3に接続したバイパス通路7を通じて、流路切替弁10の受圧部10dに給水圧(静水圧)が作用する。そのため図3に示す如く、流路切替弁10のプランジャー13が給水圧で押されて前方へ摺動し、復帰バネ20の付勢力に抗して弁体14を移動させる。その結果、弁体14が弁座シート15の通水孔15aを閉塞する位置に保持されると同時に、流路切替弁10内に、湯導入部10aから、プランジャー13の温水通路13b及び連通孔13cを経由して、膨張水の排水部10cに至る流路が形成される。それ故、止水時(出湯停止時)に電気温水器1の沸かし上げにより、温水タンク2内で生成される膨張水は、吐出部8に連絡する出湯路5へ送給されることなく、全て膨張水排出路6を通じて別途設けた排水口から排出させることができる。従って、湯水混合栓や給湯栓の蛇口から膨張水が排出されるのを見て、使用者が漏水や止水不良と誤解するのを防止することができ、また見栄えも向上する。
【0017】
ところで、図3に示す出湯停止状態において、事故や故障その他何らかの原因で膨張水排出路6が閉塞された場合、そのままでは、膨張水の生成により温水タンク2の内圧が異常上昇し、タンク2や配管の破損等、様々な障害を引き起こすおそれがある。本実施形態は、そのような事態に備え、流路切替弁10の内圧が一定以上になると開動作する安全弁16を設けて、膨張水排出路6が閉塞されているときには、膨張水を出湯路5の方へ排出させるようにしたので、上記の異常昇圧を回避することが可能である。
【0018】
[第2の実施形態]
本発明は、図4に示すような電気温水器1にも適用することが可能である。同図の電気温水器1は、出湯を操作する止水栓4を電気的に動作を制御できる電動弁または電磁弁とすると共に、湯の吐出部8に接近する使用者の身体あるいは手を検知する人体センサー9を適所に配置し、人体センサー9で使用者の存在を検知したら、検知信号に基づき、マイコン等からなる制御部Cが止水栓4を開くように操作して、自動的に出湯を開始するよう設定されたものである。なお本例の電気温水器1では、ヒーターH及び温水タンク2内の水温を検知する温度検出器Sと、上記制御部Cとを電気的に接続し、検知温度に基づきヒーターHをON・OFF操作して、水温を設定温度に保つよう自動制御するようにも設定されている。
【0019】
【発明の効果】
本発明によれば、元止め式電気温水器において、湯水混合栓や給湯栓等の蛇口から膨張水が排出されるという欠点を解消することが出来るので、コストの低い元止め式電気温水器の活用および普及に貢献する。沸かし上げ時に温水タンクで生成する膨張水を、出湯路とは別に設けた排出路へ排出するための弁機構(流路切替弁)の動作を、給水圧を利用して制御するようにしたから、配管作業だけで本発明の実施が可能であり、電気工事等は不要である。さらに本発明の流路切替弁は、温水タンクに外付け出来るから、既設の電気温水器において容易に本発明を実施できる。また、温水タンクのみならず、流路切替弁にも大きい水圧が作用することのない構成なので、耐圧構造を必要とせず、それ故、流路切替弁をコストの低い合成樹脂で製作できるから、本発明の電気温水器は安価に提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1の実施形態に係るものであって、元止め式電気温水器の概略構成を示す図面である。
【図2】 本発明に係る流路切替弁を示すものであって、出湯状態の側面断面図である。
【図3】 本発明に係る流路切替弁を示すものであって、出湯停止状態の側面断面図である。
【図4】 本発明の第2の実施形態に係るものであって、元止め式電気温水器の概略構成を示す図面である。
【符号の説明】
1…元止め式電気温水器 2…温水タンク 2a…流入口 2b…流出口 3…給水路 4…止水栓 5…出湯路 6…膨張水排出路 7…バイパス通路 8…吐出部 10…流路切替弁 10a…湯導入部 10b…湯吐出部 10c…排水部 10d…受圧部 11…ケースの後部 12…ケースの前部 13…プランジャー 14…弁体 15…弁座ユニット 16…安全弁 20…復帰バネ
Claims (2)
- 温水タンクの流入口に接続される給水路の途中に止水栓が設けられる元止め式電気温水器において、温水タンクの流出口に、出湯路に連絡する湯吐出部と膨張水排出路に連絡する排水部とを備える流路切替弁を接続し、給水路における前記止水栓よりも上流側と前記流路切替弁に設けた受圧部とを連絡し、前記止水栓による流路開閉操作に伴う給水路内の静水圧の増減により前記流路切替弁の切替動作が行われるように構成されていることを特徴とする元止め式電気温水器。
- 元止め式電気温水器における温水タンクの流出口に接続される流路切替弁であって、温水タンクの流出口に接続する湯導入部と、出湯路に連絡する湯吐出部と、膨張水排出路に連絡する排水部と、流路の切り替えを行う弁体を動作させる給水圧を受ける受圧部と、前記弁体を初期位置へ戻すための復帰バネとを備え、前記弁体に復帰バネの付勢力よりも大きい給水圧が作用したときに、湯導入部から排水部に連通する流路が形成され、前記弁体に作用する給水圧が復帰バネの付勢力よりも小さいときは前記弁体が初期位置に復帰して湯導入部から湯吐出部に連通する流路が形成されるように設定されていることを特徴とする流路切替弁。
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