JP4157335B2 - 硬貨識別装置、及びそれに用いられる硬貨識別用センサ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、複数金属から成る硬貨の識別装置及びそれに用いられる硬貨識別用センサに関し、特に硬貨分類機、硬貨入金機、硬貨包装機等の硬貨処理機に適し、複数金属から成る硬貨であるクラッド硬貨、バイカラー貨をも確実に識別できるようにするとともに、硬貨識別用センサをモールド化しコンパクトな形状としたことを特徴とする硬貨識別装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
本出願の出願人は特公平7−120452号公報にて、1次コイルを硬貨通路下面に設けるとともに硬貨の搬送される通路部分が貫通された状態で2次コイルを硬貨通路の上側に設け、更に両コイルが巻回されているコイルを含む磁気部材が結合される様になったものを記載している。すなわち、1次コイルには、硬貨の材質、形状に影響を及ぼす程度に低い周波数と、硬貨の直径を検出するための高い周波数の2波の正弦波を重畳させたもので1次コイルを励振し、上部に設けた2次コイルの出力を2つの励磁信号成分に分離し、硬貨がセンサー部を通過した際に両成分のピーク値を得る様にした硬貨識別機である。
【0003】
また、特許第2567654号公報には、高周波及び低周波で発振コイルを励振し、受信コイルから出力される各周波数の出力減衰の和をとることにより、表面が同一材質のクラッド硬貨(バイメタル貨)と単体構造硬貨とで異なる出力が得られることに基づいて硬貨の識別を行う硬貨識別装置が開示されている。
【0004】
ここで、クラッド硬貨とは図18に示すように、例えばアルミニウム(Al)又は銅を芯材とし、両表面に白銅(CuNi)を層設したような異なる材質による3層構造の硬貨のことであり、通常の白銅硬貨の出力と、表面のみ白銅であるクラッド硬貨の出力とでは信号の出力(減衰)レベルが異なることを利用して識別するものである。
【0005】
また、バイカラー硬貨は図19に示すように、中心部のコア部の金属と周辺部のリング部の金属とが異なる構造となっており、バイカラー硬貨を識別する有力な手段は存在していなかった。
【0006】
そこで、本出願人によって、前記複数金属から成るクラッド硬貨やバイカラー硬貨を確実に識別し得る識別装置が提案されている(特願2001−75846)。
【0007】
さらには、硬貨の側面外周のギザを光学的に検知するためのギザ検出センサも提案されている(特開2001−229428号公報)。これによって変造500ウォン硬貨の識別も可能となっている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、かかる各センサはそれぞれが個別に独立して製作されており、従来は、それらを組み込んで硬貨識別装置を作る場合は、用途別(国別)に必要なセンサを組み合わせて作られていた。また、センサが別々に組み込まれるため、スペースを多くとる必要があり、勢い装置自体も大きくならざるを得なかった。
【0009】
本発明は上述のような事情に鑑み為されたものであり、本発明の目的は、クラッド硬貨及びバイカラー硬貨といった複数金属から成る硬貨の識別を行い得る磁気センサと、ギザ検知センサとを一体として組み込み、更に、交換等のメンテ性に特に優れたモールド形状とした硬貨識別用センサ及びそれを用いた硬貨識別装置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、識別される硬貨が通路の片側に寄せて(以下、「片寄せ」という。)搬送される硬貨搬送通路と、前記片寄せされた前記硬貨を搬送する搬送手段と、前記硬貨搬送通路の片寄せ側に着脱可能に設けられ前記硬貨を識別する硬貨識別用センサとを備えた硬貨識別装置に関し、本発明の上記目的は、前記硬貨識別用センサが、複数周波数の励磁信号が1次側コイルに供給され2次側コイルから出力が取り出される反射型磁気センサと、前記硬貨識別用センサを通過する前記硬貨を上下から挟むように一次側と二次側とに分かれて設けられた一対の透過型磁気センサと、通過する前記硬貨の端面に光を照射する投光手段と該硬貨の端面から反射されてくる光を受光する受光手段とから構成されるギザ検出センサとが、前記硬貨の搬送方向に対して横断する方向にほぼ直線状に並べられ、樹脂により一体成形された略 J 字形状を成すものであり、さらに、
前記反射型磁気センサは、前記硬貨が片寄せで搬送されたときに、該硬貨のほぼ中央部分が通過する位置に配置され、前記透過型磁気センサ及び前記ギザ検出センサは、前記硬貨搬送通路の片寄せ側に配置されていることを特徴とする硬貨識別装置によって達成される。
【0011】
また、本発明の上記目的は、前記反射型磁気センサはポット型コアからなり、1次コイルは前記ポット型コアの中心部に位置し、硬貨全体の材質により磁束の減衰量が決定される低周波、硬貨の表面から中間層までの材質により磁束の減衰量が決定される中周波、硬貨の表面の材質により磁束の減衰量が決定される高周波の正弦波を重畳させた信号波が供給され、前記反射型磁気センサの2次コイルは前記ポット型の外側のコアであり、磁気結合による前記1次コイルからの信号を受信し、前記透過型磁気センサは一次側が励磁用コイルであり、該励磁用コイルには硬貨の材質及び厚さにより磁束の減衰量が決定される低周波、並びに、材質、厚さ及び径により磁束の減衰量が決定される高周波の正弦波を重畳させた励磁信号が供給され、前記硬貨が通過する通路を隔てた二次側が前記励磁信号の受信用コイルであることを特徴とする前記硬貨識別装置によって、より効果的に達成される。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明では、高周波数、中周波数及び低周波数の3周波数で1次コイルを励磁し、出力信号を処理して判別することにより、クラッド硬貨やバイカラー硬貨等の複数金属から成る硬貨を確実に識別する硬貨識別用センサを実現している。
【0015】
以下に、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。本実施の形態では試験片として硬貨及び材質及び構造を硬貨と同一とした硬貨サンプルを使用した。
【0016】
図1は、本発明に係る硬貨識別用センサ10の外観を示しており、図2はその断面構造図である。硬貨識別用センサ10は、上部に搬送ベルト(図示せず)の着脱用空間を有するJの字状の形状になっており、中央部の空間底部が硬貨50の通路11を形成している。この通路には薄板状のセラミック板15が層接されて摺動する硬貨による摩耗耐性を上げている。硬貨識別用センサ10は、通路11の各一端部を挟持するように円筒形状の透過型磁気センサ20が配設されると共に、通路11の下方には円筒形状の反射型磁気センサ30が配設されている。透過型磁気センサ20は通路上下に設けたコア21a、21bでできており通路下に1次コイル22及び通路を隔てた上部に2次コイル23が巻回されている。
【0017】
また、反射型磁気センサ30は円筒型のポットコア31を有し、ポットコア31の外周面には1次コイル32が巻回され、内周面には2次コイル33が巻回され埋設されている。
【0018】
さらには、通路11の片寄せ側面に、サファイアガラスでできた窓14が貼着されており、摩耗耐性を上げるとともに、内部への粉塵の進入を防いでいる。通過する硬貨の端面に光を照射する投光手段と該硬貨の端面から反射されてくる光を受光する受光手段とから構成される一対のギザ検出センサ40とが設けられている。
【0019】
更に、磁気センサ20の上面には、ネジ止めするための柱状ナット16が埋め込まれている。
【0020】
本発明では前記硬貨識別用センサ10に対して、図3に示す回路構成で励磁及び検出信号処理を行っている。即ち、発振器1からの方形波の発振信号を分周器2で低周波(4KHz)、中周波(16KHz)、高周波(250KHz)に分周し、各周波数のバンドパスフィルタ(BPF)3L,3M,3Hを経て正弦波化し、加算器4で合成(加算)し、電流増幅器5を介して硬貨識別用センサ10の各1次側コイル22、32に印加する。即ち、低周波、中周波及び高周波の合成励磁信号を、電流増幅器5を介して透過型磁気センサ20の1次コイル22及び反射型磁気センサ30の1次コイル32に供給する。
【0021】
各2次側コイル23及び33の出力をそれぞれ増幅器12,13を介して検出し、それぞれバンドパスフィルタ、全波整流回路及びローパスフィルタを経て反射4KHz信号R4S、反射16KHz信号R16S、反射250KHz信号R250S、透過4KHz信号T4S、透過250KHz信号T250Sを得る。即ち、反射型磁気センサ30の2次コイル33の出力は、増幅器12を経てバンドパスフィルタ(BPF)101〜103でそれぞれ低周波、中周波、高周波に周波数分離され、更に全波整流回路111〜113及びローパスフィルタ(LPF)121〜123を経て反射4KHz信号R4S,反射16KHz信号R16S,反射250KHz信号R250Sを得る。反射型磁気センサ30は、1次コイル32と2次コイル33とで渦電流損失型磁気センサを形成している。
【0022】
また、透過型磁気センサ20の2次コイル23の出力は増幅器13を経てバンドパスフィルタ(BPF)201、202でそれぞれ低周波、高周波に周波数分離され、更に全波整流回路211、212及びローパスフィルタ(LPF)221、222を経て透過4KHz信号T4S,透過250KHz信号T250Sを得る。
【0023】
反射4KHz信号R4S、反射16KHz信号R16S、反射250KHz信号R250S、透過4KHz信号T4S、透過250KHz信号T250Sは、硬貨の識別を行う識別手段(図示せず)に入力され、処理及び判定が実行される。
【0024】
なお、識別手段は、各特徴量を予め各硬貨毎に設けられた判定枠と比較して、硬貨の真偽等を識別するようになっている。高周波では材質による信号差は少ないが、表面層の材質により減衰率が決まり、低周波では中間層の材質にも影響を受けるため、各周波数での減衰率を予め決められた判定基準と比較することにより、硬貨の識別を行うことができる。また、本例では、硬貨は透過型磁気センサ20側に片寄せされて搬送されるようになっている。
【0025】
ここで、本発明の動作原理を説明すると次の様になる。反射型磁気センサ、透過型磁気センサ共、コイル間に入る媒体により磁束が変化するため、ここでは透過磁束について説明する。
【0026】
図4に示す電界と電流の関係において、xが電流iの流れる方向であり、i=σEより、電界Eはx成分だけを持つ。ここで、導電率σ=1/ρである。電界Eの大きさは表面からの深さzに依存し、成分xと直角方向の成分yに依存しない。次に、マクスウエルの方程式より、磁界をE(x成分のみ)、磁束密度をB、磁界をH(y成分のみ)、透磁率をμとしたとき、下記数1が成り立つ。
【0027】
【数1】
そして、磁束密度をD、誘電率をεとすると、下記数2が成り立つ。
【0028】
【数2】
そして、下記数3が成り立ち、i=σE,D=εEであるので、数3は数4となる。
【0029】
【数3】
【数4】
よって、下記数5が成り立つ。
【0030】
【数5】
上記数1及び数5より磁界Hを消去し、電界Eの式とすると下記数6が成り立つ。
【0031】
【数6】
次に電界Eを消去し、磁界Hの式とすると下記数7が成り立つ。
【0032】
【数7】
ここで、E∝ejωt(ただし、ω=2πf)とおいて、下記数8と減衰振動の式となる。
【0033】
【数8】
一般的な非磁性金属の場合、ε≒ε0=8.8542×10−12F/mであるので、σ=1/ρ≒1/10−8〜10−7となり、εω/σ≒10−18程度である。また、ω2εμはωが非常に大きくならない限り、jωσμに比べ無視できるので,下記数9と表わすことができる。
【0034】
【数9】
これより、下記数10となり、δは表皮効果の深さを示す。
【0035】
【数10】
また、数11となり、表面からz=δの深さで、電界Eは1/eに減衰する。
【0036】
【数11】
ここで、z=0において、E=E0であるときA=E0とおいて、上記数11は数12となる。
【0037】
【数12】
そして、磁界Hは数2より、下記数13である。
【0038】
【数13】
これより、下記数14となる。
【0039】
【数14】
数12及び数14より、表面からの深さ(z)により磁界H及び電界Eは減衰することが分る。減衰の度合は、励磁周波数f(上式では角周波数ω=2πf)が高くなるほど浅い位置で減衰する。
【0040】
本発明の磁気センサはこの周波数の違いによって、表面部、断面全体だけでなく、内部材質に応じた信号が得られるものである。図5はその原理を模式的に示している。
【0041】
次に、Fe, Niといった強磁性体が使用された場合を説明する。強磁性体を考える上で、磁束密度Bに着目すると下記数15となる。
【0042】
【数15】
B=μH+M
ここで、Mは磁化の強さであり、χmを磁化率とすると、M=μ0χmHであるので、上記数15は下記数16となる。
【0043】
【数16】
B=μ0H+M=μ0(1+χm)H=μH
ただし、透磁率μ=μ0(1+χm)である。
【0044】
また、相対透磁率κは、κ=μ/μ0=1+χmである。そして、
1)反磁性体の場合は、χm<0、μ<μ0
2)非磁性体の場合は、χm>0、μ>μ0
3)強磁性体の場合は、χm>1、μ>μ0
となる。
【0045】
ただし、強磁性体でもクロム鋼のようなものは、χm>>1、μ>>μ0であり、ωが大であってもμの影響は大きく、磁束は増加する。全く磁性を持たない媒体(反磁性)の場合、μ<μ0であり(透磁率μより導電率σの影響が支配的となる)、磁化Mの影響がなく、磁界Hにより磁束密度が決まる。しかし、強磁性体の場合はμ>μ0であり、透磁率μの影響が強いものとなる。磁束密度は磁化Mに支配される(B=>>μ0H、よって、B≒M)。これにより、磁束の増加が起こり得ることになる。
【0046】
一方センサ出力は下記数17で表されるように、2次コイルに入る磁束によって決まることより、非磁性媒体を通過した磁束は減衰するのでセンサ出力は減少する。一方、強磁性媒体の場合は、磁束の増加が起こるのでセンサ出力が増加することが分る。
【0047】
【数17】
識別手段において、反射型磁気センサ30からの反射4KHz信号R4Sは材質の検出に利用されると共に、硬貨断面材質及び磁性/非磁性の判別情報として利用され、反射16KHz信号R16Sは硬貨中間断面材質の検出に利用されると共に、硬貨表面から中心近辺までの材質の判別情報として利用される。つまり、反射16KHz信号R16Sはクラッド硬貨の検出に利用される。反射250KHz信号R250Sは硬貨の表面材質及び構成の検出に利用されると共に、硬貨表面層材質の判別として利用され、リング/コア境界部の波形に特徴が現れる情報となる。つまり、反射250KHz信号R250Sはバイカラー硬貨の検出に利用される。また、透過型磁気センサ20にかかる透過4KHz信号T4Sとは材質×厚さの情報として利用され、透過250KHz信号T250Sは硬貨形状の検出に利用され、材質×厚さ×径の情報として利用される。本例では、透過16KHz信号は硬貨の検出には利用していない。
【0048】
本発明による上記識別の関係を表にまとめると、下記表1のようになる。
【0049】
【表1】
図6に、反射信号の実際の検出信号を示す。特性曲線の上側より、反射4KHz信号、反射16KHz信号、反射250KHz信号を示している。
【0050】
なお、本例では高周波数として250KHzを使用しているが、検出対象の非磁性材料の材質(AlとCuNi等)によって、信号出力の差異が小さい周波数帯で、磁性/非磁性材質による信号出力差異が小さい周波数帯であれば良く、数百KHz以上が好ましい。また、中周波数として16KHzを使用しているが、検出対象の表面〜中心付近までの材質により信号出力差が現れる周波数帯であり、数十KHzオーダーの周波数帯である。低周波数として4KHzを使用しているが、検出対象全体の材質(導電率)により信号出力差が顕著に現れる周波数帯であれば良く、DC〜数KHzの周波数帯が好ましい。
【0051】
本発明では、硬貨識別用センサ10上を通過する硬貨の中央部での各信号を特徴量とし、判別処理に用いる。トリガ方法は、通過センサを設けていない場合には、透過信号は材質(磁性/非磁性)に関係なく減衰し、高周波数ほど減衰量が大きく、片寄せ搬送ならば硬貨径に関係なく、片寄せ側コア(透過型磁気センサ)に掛かる硬貨部は同じであることに基づき、透過(片寄せ)の最小位置(減衰量最大位置)がほぼ硬貨中央部と考えられ、その位置での各信号値を各特徴量として良い。また通過センサ等が設置されている場合には、通過センサからの信号を基に大体の位置を検知し、硬貨中央部の検索を行う。
【0052】
次に、識別手段での識別動作を説明する。
【0053】
まず磁性/非磁性硬貨の判定であるが、磁性材料硬貨の信号特徴は、▲1▼反射低周波信号で磁束の増加があり、信号が増加する。▲2▼透過低周波信号では硬貨のエッジ部で磁束の収束を生じるので、波形に変曲が生じる。特徴として上記▲1▼の反射信号の増加が顕著に現れるため、この特徴を捉えることで磁性/非磁性硬貨の判定を行うことができる。図7(A)はドイツ5Pf(Cu-Zn25 clad Fe)の反射4KHz信号R4Sであり、図7(B)はアメリカ1Ct(Cu-Zn5)の反射4KHz信号R4Sである。これから明らかなように、磁性材料である図7(A)のドイツ5Pfでは信号の増加(A1部)であるのに対し、非磁性材料である図7(B)のアメリカ1Ctでは信号の減少(A2部)となり、信号の差異が分る。
【0054】
次に、異なる金属板を積層したクラッド構造による信号の差異を説明すると、図8はAl均一硬貨サンプルの特性を示しており、B1,B2,B3はそれぞれAlのみの場合の4KHz,16KHz,250KHzの各反射信号を示している。図9はAl/CuZnNi/Alクラッド硬貨サンプルの特性を示しており、B4は表面層Al(厚み<0.5t)の特徴を表す反射250KHz信号R250Sを示しており、B5は表面層Al(0.5t)+内層CuZnNi(<1.0t)の特徴を表す反射16KHz信号R16Sを示しており、B6はl(1.0t)+CuZnNi(0.5t)+l(1.0t)と全層の特徴を表す反射4KHz信号R4Sを示している。また、図10はCuZnNi均一硬貨サンプルの特性を示しており、B7,B8,B9はそれぞれCuZnNiのみの場合の4KHz,16KHz,250KHzの各反射信号を示している。更に、図11はCuZnNi/Al/CuZnNiクラッド硬貨サンプルの特性を示しており、B10はCuZnNi(<0.5t)の表面層の特徴を表す反射250KHz信号R250Sを示しており、B11はCuZnNi(0.5t)+ Al(<1.0t)と表面層及び内層の特徴を表す反射16KHz信号R16Sを示しており、B12はCuZnNi(0.5t)+Al(1.0t)+CuZnNi(0.5t)と全層の特徴を表す反射4KHz信号R4Sを示している。
【0055】
図12は、図8〜図11と同一のサンプルに対する静止状態での反射信号の周波数特性を示しており、Al均一硬貨サンプル、CuZnNi均一硬貨サンプル、Al/CuZnNi/Alクラッド硬貨サンプル、CuZnNi/Al/CuZnNiクラッド硬貨サンプルに高周波、中周波、低周波で励磁したときの反射型磁気センサ30を用いて出力を測定し減衰率をグラフにしたものである。高周波領域では、表皮効果の影響で磁束は表面層しか入れず減衰率も大きい。低周波領域では表皮効果の影響が少ないため、磁束は硬貨を突き抜け減衰率は小さい。中周波領域では低周波と高周波の両領域の中間の減衰率となる。これら特性より下記のことが言える。
【0056】
表面部(表面から0.5mm以下)では表面部材質が同じであれば、反射250KHz信号R250Sも同一(B3=B4、B9=B10)であり、約60〜70KHz以上の周波数で、反射信号における表面部深さ0.5mm程度までの材質の影響が大きい。表面〜芯部(表面から1.5mm以下程度)では、表面部材質が同じでも、芯部材質により反射16KHz信号R16Sは異なり(B2≠B5,B8≠B11)、表面、芯部材質が同じでも、各厚みにより反射16KHz信号R16Sは異なる(B5≠B11)。また、約30〜60KHzの周波数で反射信号は表面部深さ0.5mm+αの材質の影響を受け始め、約10〜30KHzではセンサ側表面部と芯部の材質の影響が大きい。
【0057】
一方、断面全体では、表面部材質が同じでも両表面部、芯部を合わせた材質の厚さが異なれば、反射4KHz信号R4Sは異なり(B1≠B6,B7≠B12)、表面部材質が異なっても両表面部、芯部を合わせた材質の厚さが同じであれば、反射4KHz信号R4Sも同じである(B6=B12)。約6〜8KHz以下の周波数で対象断面を磁束が貫通し、全体の材質を合わせたものの影響をうけている信号が反射信号として得られる。
【0058】
次に、リング部及びコア部が別材質で構成されるバイカラー硬貨の判定を説明する。
【0059】
バイカラー硬貨では、例えば反射250KHz信号は図13に示すように、硬貨のエッジ部の信号に変曲点が生じ、その傾きが反転するか(図13(A))、傾きがゼロになるか(図13(B))、傾きが緩やかになる(図13(C))。硬貨がバイカラー構造でない場合は、図13(D)に示す様に変曲点が生じない。かかる特性を利用して、バイカラー硬貨の判定を行う。図14はバイカラー硬貨に対する反射信号の周波数特性であり、低周波においては、反射型磁気センサの磁束の広がりがコア部のみでなくリング部に及ぶため、C部に示すような差が生じる。リング部の導電率がコア部材の導電率より低い場合には、減衰率はコア部材のみでできた硬貨サンプルよりも減衰率は小さい。例えばリング部がAlでコア部材がCuZnNiの場合(●)は、CuZnNiの均一硬貨サンプル(×)より減衰率が大きくなる。これは、CuZnNiよりAlの方が導電率が高いためである。
【0060】
コア部の反射4KHz信号はリング部材質の影響を受けるため、バイカラー硬貨サンプルと均一材質硬貨サンプルでは、図15の左に示すように差異を生じ、変曲点D1がバイカラー金属境界部の特徴である。図15(A)はリング部がAlで、コア部がCuZnNiのバイカラー硬貨サンプルであり、同図(B)はCuZnNiの均一硬貨サンプルである。また、図16(A)はリング部がCuZnNiで、コア部が空隙となっている穴明き硬貨サンプルの特性であり、同図(B)はCuZnNiの均一硬貨サンプルの特性である。
【0061】
更に、図17に示すように、バイカラー・クラッド構造のコア部の反射4KHz信号もリング部材質の影響を受ける。この結果、クラッド硬貨検知用の反射16KHz信号は、リング部の影響がないと考えられる。図17(A)はリング部がAlで、コア部がCuZnNi/Ni/CuZnNiのバイカラー・クラッド硬貨サンプルであり、同図(B)はリング部がCuZnNiで、コア部がCuZnNi/Ni/CuZnNiのバイカラー・クラッド硬貨サンプルである。
【0062】
なお、検出信号を安定させるために、硬貨識別用センサにプリアンプを内蔵するようにしても良い。上述では1つの発振器の出力を分周して低周波、中周波及び高周波の励磁信号を得ているが、各周波数の発振器を個別に設けても良い。また、上述では硬貨について説明したが、他の複数金属で構成された金属片に対しても適用可能である。
【0063】
なお、図18に、上述したクラッド硬貨の構造を示した。また、図19には、バイカラー硬貨の構造を示した。
【0064】
図20は、ギザ検知センサ40の概略構成を示しており、硬貨ギザ部照明手段と、硬貨側面部から反射される光を受光するフォトダイオード44とから構成される。硬貨ギザ部照明手段は、図20に示すように、LED(light-emitting diode)41、スリット42及びレンズ43から構成され、LED41は、硬貨50が片寄せされる案内縁側でサファイアガラスの裏側に配置されている。そして、LED41から照射された光はスリット352、シリンドリカルレンズ43を経て硬貨50のギザ部分に照射され、ギザ部分からの反射光線はレンズ付きフォトダイオード44に受光されて信号にされるようになっている。
【0065】
かかるギザ検知の原理は、実開平3−44770号公報に記述されている手法と同一であってもよい。他の例として以下に説明する。
【0066】
このギザ検知センサ40は、例えば、日本国旧500円硬貨と韓国500ウォン等の同材質、若しくは類似材質でできている硬貨の判別をするために使用する。ギザの山の総数と周期性のある山の有効数と一定以上の電圧レベルで変化の無い山のサンプル数を無効数として、3種類の特徴量として組み合わせて使用する。ギザが異常か否かの判定は、総ギザ数、有効ギザ数、無効ギザ数の3つの判定因子のいずれか一つでも基準値から外れている場合に異常と判定する。
【0067】
図21にギザセンサが取得したギザセンサの出力波形を示して説明をする。図21の波形を左端から走査していったとき、待機レベルから初めて5A/D値以上上昇後、極大点を過ぎて5A/D値以上の下降を検知したときの頂上の検出ポイントをトップデータとし(図21ではアルファベットの大文字で表示)、更に、走査を進め5A/D値以上上昇した後、5A/D値以上の下降を検知したときにトップデータとしてデータ取込開始から終了までのトップデータの数を計数しこれを総ギザ数とする。
【0068】
トップデータから次のトップデータまでのサンプリング数(ギャップ)(図21ではアルファベットの小文字で表示されたサンプリング数)をカウントし、隣り合うギャップ同士のサンプリング数の差が一定値以下になるサンプリング数(サンプリング間隔)を有効ギザ数とする。
【0069】
図21では、(a−b)−(b−c)≦5、(b−c)−(c−d)≦5、(c−d)−(d−e)≦5、・・・と順次比較して行き、成り立てば、有効ギザ数に1をカウントアップする。ここでアルファベットの小文字は初めてトップデータが得られた地点からのデータ数(サンプリング数)で本例では、硬貨50が搬送されるとき90μSEC毎に行うサンプリング数を示している。
【0070】
次にデータの出力レベルが250A/D値を越えている時に、上昇から下降へ、下降から上昇へと言った変化量で連続3回の変化量の和が50A/D値以下の場合のサンプリング数を無効ギザ数とする。このとき、X回連続していれば無効数をX−2とする。硬貨1枚としては、X回連続ならば、無効ギザ数にX−2を加算し総合計を求め判定に用いる。
【0071】
次に所定のサンプル数を1ゾーンとした場合で、出力レベルが{(飽和レベル1023−待機レベル)/2}A/D値以上のサンプリング数をギザレベル数とする。
【0072】
こうして得られた、総ギザ数、有効ギザ数、及び総ギザ数−無効ギザ数をそれぞれ評価値として、金種毎に別途設けてある判定枠内に入っているかどうかで判定を行う。
【0073】
なお、1A/D値とは5Vレンジを1024分割している。待機時レベルを3FFH値、正常ギザ無し硬貨の出力ピーク値を1023Hとする様に設定されている。そして、読み取り値のMAXは1023Hである。
【0074】
図22には本発明に係る硬貨識別用センサ10が搭載された硬貨包装装置300が示されている。図22に示す硬貨包装装置300は、その上面に、硬貨を投入するためのホッパHと、包装する硬貨の種類を設定するための金種設定ダイヤルVとを備えている。また、この硬貨包装装置300は、下部前面側に、包装済みの硬貨を蓄積するための包装硬貨箱Bを備えている。また、同じく前面側には、硬貨を包装するための包装紙Pが、ロール状に巻かれた状態で取り付けられている。
【0075】
次に、図23及び図24には、図22に示す硬貨包装装置300の内部構造が簡略化して示されている。図23及び図24に示すように、硬貨包装装置300の内部には、上記ホッパHに対応した第1回転盤D1と、この第1回転盤D1に隣接した第2回転円盤D2とが設けられている。また、後者の第2回転円盤D2から略接線方向に延びるように、略水平な硬貨通路301が設けられている。この硬貨通路301は回転円盤D2から順次供給された複数の硬貨を、直径方向で1列に案内するように構成されている。
【0076】
また、図23に示すように、硬貨通路301に沿って硬貨を搬送するための搬送機構302と、硬貨通路301の終端部に対応した硬貨重積部303とが設けられている。後者の硬貨重積部303は、搬送機構302によって搬送されてきた硬貨を厚さ方向に(この場合、略垂直上方へ)1列に重積するためのものである。
【0077】
この硬貨重積部303は、硬貨包装装置の包装部W内に形成されている。具体的には、当該包装部W内に配置された3本の包装ローラー351、352、353同士の間に硬貨重積部303が形成されている。なお、図23には示さないが、包装部Wには、重積部303内に重積される硬貨を下方向に押圧するための図示しない硬貨押さえ機構が設けられている。
【0078】
硬貨重積部303の下方には、一対の硬貨送入ローラ(硬貨送入部材)304(図23参照)と、これらの送入ローラ304を回転駆動するための駆動装置305とが設けられている。硬貨送入ローラ304は、硬貨通路301の終端部まで搬送されてきた搬送硬貨を順次、重積部303内に重積させるためのものである。なお、硬貨重積部303の下方に(送入ローラ304及び駆動装置305の下方に)包装硬貨箱Bが配置されている。
【0079】
また、図24に示すように、通路幅調整機構308、送入ローラ位置調整機構309及び退避機構340が、それぞれ略水平面上での並進運動機構として設けられている。このうち、通路幅調節機構308は、硬貨の直径に対応して硬貨通路301の通路幅を調節するためのものである。また、送入ローラ位置調節機構309は、硬貨50の直径に対応して、硬貨通路301に対する送入ローラ304の位置を調節するたものものである。そして、退避機構340は、包装済みの硬貨を重積部303から包装硬貨箱Bへ落下させる際に、送入ローラ304及び駆動装置305等を重積部303の下方から退避させるためのものである。
【0080】
図24に示すように、上記硬貨通路301は、通路底板310,固定通路部材312及び稼働通路部材314によって形成されている。このうち、通路底板310は、略平板状をなし、中央部に矩形の硬貨落下孔310aが形成されている。この落下孔310aは通路幅に対応した硬貨よりも小径の硬貨を選択的に落下させるためのものである。
【0081】
また、固定通路部材312は、通路底板310の一側縁に固定されている。一方、可動通路部材314は、通路底板310上における固定通路部材312に対して通路幅方向に移動することで硬貨通路301の通路幅を変化させることができるように構成されている。具体的には、可動通路部材314は、通路幅方向外側に突出した突出部314aを有し、この突出部314aに形成された2列の長孔314bを介して、通路幅方向に摺動自在に案内されている。
【0082】
そして、硬貨通路301の終端部側において固定通路部材312に、硬貨識別用センサ315(10)、ストッパ316及び計数センサ312が順次設けられている。このうち、計数センサ317は近接センサ等で構成され硬貨通路301から送り出される硬貨の通過を検知し、所定枚数の硬貨を計数した際に後続の硬貨を停止させるべく通路301内にストッパ316を進出させるためのものである。
【0083】
硬貨重積部及び包装部についての詳細の説明及び符号の説明は本件明細書では省略する。
【0084】
図25は、図24に示した、硬貨識別用センサ315(10)の周辺を拡大して示した図である。可動通路部材314によって、搬送される硬貨50は固定通路部材312側に片寄せされる。
【0085】
図26は、図24に示した硬貨処理の様子を説明する為のブロック図である。
【0086】
図26では硬貨識別センサ10は315で示している。410は制御部が搭載された基板を示し、ギザ検知センサ40のLEDの駆動回路である発光ドライバ411とフォトダイオード44の出力信号を処理する増幅器412、図3にて説明をした2種類の磁気センサの励磁ドライバ413、信号処理部である周波数分離部414、整流部415、入力信号をCPU416で処理できるようにデジタル化するADコンバータ417、信号を処理するためのメモリであるSRAM418、CPU416のプログラム及び判定枠を含む識別用データを記憶している書き換え可能なROMであるFLASH ROM420で構成されている。そして、硬貨包装装置300本体側は制御部360、1枚づつ硬貨を繰出搬送する搬送手段361、所定枚数に達するかどうかを確認する為の計数手段362、指定枚数の硬貨を計数したときにストッパにより硬貨の進行を阻止する停止手段363等で構成される。特に、包装に関する部分については図からは省略している。
【0087】
次に添付の図27に示すフローチャートに基づいて、本発明に係る硬貨識別用センサを用いた硬貨識別動作を説明する。なお、符号は図1に記載のものである。
【0088】
まず、硬貨識別センサ制御部にセンスコマンドが入力されると(ステップS1)、センサの動作チェックを行う(ステップS1)。センサチェックで、各センサ要素の待機レベルが許容範囲内に無いこと、オフセットコントロール可能なセンサ要素のコントロールができないこと、基準電圧の値が許容範囲内にないことなどでセンサチェックNGの場合には、エラーレスポンスが返信される(ステップS3)。
【0089】
一方、センサチェックがOKならばスタートコマンドが本体制御部から送られて来るのでこれを受信し、(ステップS4)、次いで、いまから繰り出されようとする指定金種の情報を本体制御部から受信し(ステップS5)、被検査硬貨が繰り出され且つ指定された径の硬貨が硬貨識別用センサ10に送られる。ここで、硬貨が搬送される一方で、データ取り込みが開始され(ステップS6)、このとき、透過250KHz信号が待機レベルから所定レベルの減衰を検知したときに硬貨がセンサ部に来たと判断する。そして、その後にサンプリングした透過250KHz信号のデータに基づきピーク検知を行う(ステップS7)。ピークとは透過の減衰量最大値から1/16増加したポイントをいい、このピークの検知又は硬貨が抜けたことの検知が1秒以上たってもなされなければ、ジャムエラーとみなされる。
【0090】
次に、透過磁気センサ20にて、透過4KHz、透過250KHzに対する出力(2次コイル出力)が所定の基準以内であればOKと判定される(ステップS8)。透過4KHz信号からは、硬貨の材質に依存した出力が得られ、透過250KHz信号からは、通過した硬貨の体積と若干の材質に依存した出力が得られる。
【0091】
次に、反射型磁気センサ30にて、反射4KHz、反射16KHz、反射250KHzに対する出力(2次コイル出力)が指定された金種に予め設定されている判定枠値内であればOKと判定される(ステップS9)。反射4KHz信号は、強磁性体の検知を行い、反射16KHz信号は、透過4KHz信号と同様に硬貨の材質に依存した出力が得られ、又、クラッド硬貨の特徴もよく検知できる。反射250KHz信号は硬貨の形状の特徴がよく検知できるので、穴検知に使用され、又、反射16KHz出力と併せて、バイカラー硬貨を検知する。
【0092】
次に、ギザ検知センサで、硬貨のギザが正常であるか否かを判定する(ステップS10)。ギザ検知センサは、前述の様に主に旧500円硬貨と韓国の500ウォン硬貨の判別に使用する。50円硬貨、100円硬貨についても利用される。
【0093】
受信した金種情報の金種のギザの状態を確認したあと、正常硬貨として出力をし(ステップS11)、ストップコマンドを受信しているかどうかを判断し(ステップ12)、ストップコマンドを受信している場合には判定動作を終了する。他方、受信していない場合には、ステップS6に戻り、次の硬貨の判定を行う。一方、ステップS8、S9において各種ピーク値が判定枠外、或いは、ステップS10においてギザセンサの判定結果がNGの場合にはリジェクト貨の出力をする。リジェクト貨の出力があった場合には本体側の処理を速やかに停止させる(ステップS13)。
【0094】
次に図28から図32の波形図を参考に本発明に即した反射250KHzを用いた硬貨判別の例を示す。尚これらの説明図は本件発明の特徴である各種センサが硬貨の搬送方向横に一列に並んで設けられているということより、各センサの出力は同一硬貨の同一位置でのサンプリング出力である。
【0095】
図28は透過250KHz、透過4KHz、反射4KHz、反射16KHz、反射250KHz、ギザ検知センサ40の各出力及び、制御部410からの出力のタイミングを示している。透過250KHzの信号に基づいて、硬貨のセンサ部への進入及び、出力ピークのタイミングを示している。金種信号は出力ピークから所定時間以内に出力される様になっている。透過センサ、反射センサ及びギザセンサが硬貨の搬送方向と略直角に並んでいるので、全てのセンサのピーク値が揃う様になっている。
【0096】
図29は均一な材料でできた硬貨の反射250KHz波形を示しており、硬貨がセンサ部を通過するときの反射250KHzの波形は鍋底型をしている。
【0097】
図30は5円、50円硬貨等の例であって中央に穴が開いた硬貨の場合の反射250KHz波形を示しており、反射250KHzの波形は穴部の影響を受けて中央部分で減衰量が減り鍋底の中央部が盛り上がった形状となっている。尚、破線で示す様に、穴の縁の影響が大きい場合には、反射250KHzの波形は中央部分で減衰量が大きくなり、鍋底の中央部の盛り上がりが凹むといった波形を呈する場合もある。
【0098】
図31は、ポーランド国のある金種の硬貨の例であって、外周リングと内側との金属の種類が異なるバイカラー貨の波形で、異種金属の接合部で減衰量が減り反射250KHzの波形はその特徴をよく表している。
【0099】
図32は、イタリア国のある金種の硬貨の例であって、図31と同じくバイカラー貨の波形であるが、外周リング部が強磁性体であるので反射250KHzは増幅され、中央部の金属部では減衰されている。
【0100】
【発明の効果】
以上のように、本発明の硬貨識別用センサは、従来の硬貨識別方式で用いられた硬貨全体と硬貨表面材質による特徴信号が得られる励磁周波数に加え、硬貨表面乃至中心近辺の材質による特徴を抽出できる様に複数の周波数を用いて検知しているので、クラッド硬貨の特徴である硬貨断面構造を推定することができる。また、バイカラー硬貨接合部での電気的な断続を表面電流の増減信号として捉えることで、バイカラー硬貨を判別できる。国内で流通している非磁性硬貨の場合、信号は減衰のみであるが、磁性硬貨の場合、信号は増加する。センサ信号処理において増加信号に対応することで、磁性貨、磁性を持つクラッド構造貨の材質判別が可能となる。
【0101】
更に、ギザセンサを備えているので、ギザが存在している硬貨の真偽判定を容易に行うことができる。
【0102】
上述の通り、本発明に係る硬貨識別用センサによれば、単一材料の硬貨、クラッド硬貨、バイカラー貨、穴あき硬貨も識別することができるので、硬貨の種類ごとにセンサを取り替える必要がなくなる。
【0103】
また、各要素センサが硬貨搬送通路に対して横断する方向にならんでいるので、同時に3つ(材質、穴開きの有無、ギザ)のデータ採取ができ、後ろの位置にある要素センサのデータ採取が終わるのを待つこと無く識別判定処理を開始するとができ、各要素センサを搬送通路に沿って並べた場合と比較すると、搬送通路長を長く取らなくて済むため、硬貨識別装置全体をコンパクトにすることができるという効果がある。
【0104】
さらには、硬貨識別用センサを成形樹脂で周囲を覆った一体ものとし、硬貨を通路の片側に寄せた状態で使用する限定条件を付けて使用することにより、センサの小型化、交換の容易さを図ることができ、製造時の取り付け作業、メンテ時の交換作業が容易となるという優れた効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る硬貨識別用センサの一例を示す外観斜視図である。
【図2】本発明に係る硬貨識別用センサの断面構造図である。
【図3】硬貨識別用センサのうちの磁気センサの励磁及び検出信号の処理系を示すブロック図である。
【図4】本発明の動作原理を説明するための図である。
【図5】本発明の動作原理を模式的に示す図である。
【図6】硬貨識別用センサの検出信号の一例を示す特性図である。
【図7】硬貨の磁性/非磁性の特徴を示す特性図である。
【図8】 Al均一硬貨の特性を示す図である。
【図9】 Al/CuZnNi/Alクラッド硬貨の特性を示す図である。
【図10】 CuZnNi均一硬貨の特性を示す図である。
【図11】 CuZnNi/Al/CuZnNiクラッド硬貨の特性を示す図である。
【図12】反射型磁気センサ上で各種硬貨サンプルを静止させた状態での反射周波数特性例を示す図である。
【図13】バイカラー硬貨の判定を説明するための図である。
【図14】反射型磁気センサ上でバイカラー硬貨を静止させた状態での反射信号周波数特性例を示す図である。
【図15】バイカラー硬貨の判定に利用する特性例(左側バイカラー硬貨サンプル、右側均一硬貨サンプル)を示す図である。
【図16】バイカラー硬貨の判定に利用する特性例(左側バイカラー硬貨サンプル、右側均一硬貨サンプル)を示す図である。
【図17】バイカラー硬貨の判定に利用する特性例(左側バイカラー硬貨サンプル、右側均一硬貨サンプル)を示す図である。
【図18】クラッド硬貨の構造を示す外観図である。
【図19】バイカラー硬貨の構造を示す外観図である。
【図20】ギザ検知センサの構成例を示す図である。
【図21】ギザ検知の例を示す図である。
【図22】本発明に係る硬貨識別用センサを搭載した硬貨包装装置の構成例を示す図である。
【図23】図22に示す硬貨識別用センサを搭載した硬貨包装装置の簡略化した縦断面図である。
【図24】図22に示す硬貨包装装置での片寄せ機構、硬貨識別用センサの取り付け状況を説明する図である。
【図25】図24に示す硬貨包装装置において、硬貨識別用センサの取り付け状況の詳細を説明する図である。
【図26】図24に示す硬貨包装装置において、硬貨識別用センサ周辺の構成を示すブロック図である。
【図27】本発明に係る硬貨識別用センサを用いて硬貨の識別を行う場合のフローチャートの一例である。
【図28】図26に示したフローチャートの説明に利用するタイミングチャートである。
【図29】穴無し硬貨の場合の透過250KHz信号と反射250KHz信号を示す波形図である。
【図30】穴有り硬貨の場合の透過250KHz信号と反射250KHz信号を示す波形図である。
【図31】バイカラー硬貨の場合の透過250KHz信号と反射250KHz信号を示す波形図である。
【図32】図31に示したバイカラー硬貨とは別の種類のもので外周リングの部材が強磁性体でできている場合の透過250KHz信号と反射250KHz信号を示す波形図である。
【符号の説明】
1 発振器
2 分周器
4 加算器
5 電流増幅器
10、315 硬貨識別用センサ
11 通路
20 透過型磁気センサ
21a、21b コア
22 1次コイル
23 2次コイル
30 反射型磁気センサ
31 ポットコア
32 1次コイル
33 2次コイル
40 ギザセンサ
41 LED
44 フォトダイオード
316 ストップ板
317 カウントセンサ
Claims (4)
- 識別される硬貨が通路の片側に寄せて(以下、「片寄せ」という。)搬送される硬貨搬送通路と、前記片寄せされた前記硬貨を搬送する搬送手段と、前記硬貨搬送通路の片寄せ側に着脱可能に設けられ前記硬貨を識別する硬貨識別用センサとを備えた硬貨識別装置において、
前記硬貨識別用センサは、
複数周波数の励磁信号が1次側コイルに供給され2次側コイルから出力が取り出される反射型磁気センサと、
前記硬貨識別用センサを通過する前記硬貨を上下から挟むように一次側と二次側とに分かれて設けられた一対の透過型磁気センサと、
通過する前記硬貨の端面に光を照射する投光手段と該硬貨の端面から反射されてくる光を受光する受光手段とから構成されるギザ検出センサとが、前記硬貨の搬送方向に対して横断する方向にほぼ直線状に並べられ、樹脂により一体成形された略 J 字形状を成すものであり、
さらに、
前記反射型磁気センサは、前記硬貨が片寄せで搬送されたときに、該硬貨のほぼ中央部分が通過する位置に配置され、
前記透過型磁気センサ及び前記ギザ検出センサは、前記硬貨搬送通路の片寄せ側に配置されていることを特徴とする硬貨識別装置。 - 前記反射型磁気センサはポット型コアからなり、1次コイルは前記ポット型コアの中心部或いは外周部に位置し、硬貨全体の材質により磁束の減衰量が決定される低周波、硬貨の表面から中間層までの材質により磁束の減衰量が決定される中周波、硬貨の表面の材質により磁束の減衰量が決定される高周波の正弦波を重畳させた信号波が供給され、
前記反射型磁気センサの2次コイルは前記1次コイルのとは異なる中心部或いは外周部の何れかの位置のコイルであり、磁気結合による前記1次コイルからの信号を受信し、
前記透過型磁気センサは一次側が励磁用コイルであり、該励磁用コイルには硬貨の材質及び厚さにより磁束の減衰量が決定される低周波、並びに、材質、厚さ及び径により磁束の減衰量が決定される高周波の正弦波を重畳させた励磁信号が供給され、前記硬貨が通過する通路を隔てた二次側が前記励磁信号の受信用コイルであることを特徴とする請求項1に記載の硬貨識装置。 - 前記低周波が4KHz、前記中周波が16KHz、前記高周波が250KHzである請求項2に記載の硬貨識別装置。
- 請求項1乃至3のいずれかに記載の硬貨識別装置に用いられる前記硬貨識別用センサ。
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