JP4157237B2 - Voltage nonlinear resistor and manufacturing method thereof - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば電力系統を保護する過電圧保護装置に使用される電圧非直線抵抗体及びその製造方法において、特に高抵抗層を有する電圧非直線抵抗体及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に電力系統において、正常な電圧に重畳される過電圧を除去して電力系統を保護するために、避雷器やサージアブソーバといった過電圧保護装置が用いられている。
【0003】
この過電圧保護装置には、電圧非直線抵抗体が主に使用されている。電圧非直線抵抗体は、正常な電圧では略絶縁特性を示し、過電圧が印加された時には比較的低抵抗となる特性を有する抵抗体である。
【0004】
このような電圧非直線抵抗体はZnO(酸化亜鉛)を主成分とし、非直線抵抗特性を得るために添加物として少なくとも一種類以上の金属酸化物を添加して、混合、造粒、成形した後、焼結して得られる焼結体を備えている。
【0005】
また、焼結体の側面には、サージ吸収時に側面からのフラッシュ・オーバーを防止するために、高抵抗成分のペースト状コーテイングやガラスコーテイング等を塗布した後、熱処理によりこれらを焼き付けて、高抵抗層を形成している。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
近年、電力需要の伸びと高度情報化社会の発展につれて、安定且つ安価な電力供給が強く求められている。これを受けて、過電圧保護装置においても高信頼性および小型化への要求が高まっている。
【0007】
最近では、このような要求に応えるため、電圧非直線抵抗体の単位厚み当たりの電圧値を大きくして高さ寸法を低く抑え、さらにはエネルギー吸収能力の向上により小径化を図ることにより電圧非直線抵抗体の小型化が推進されている。
【0008】
ところが、従来の電圧非直線抵抗体において、焼結体の側面に高抵抗層を接着剤により接着して形成した場合、接着強度の低下により高抵抗層が焼結体から剥離し易くなり、高抵抗層が部分的にでも焼結体から剥離すると耐電圧性能が低下するという問題があった。
【0009】
したがって、単位厚み当たりの電圧の増大や小径化により電圧非直線抵抗体を小型化した時に要求される雷インパルスや過電圧等のサージに対する保護能力に応えることが困難であった。
【0010】
本発明は上記のような問題を解消するためになされたものであり、接着強度が高く優れた耐電圧性能を発揮し得る高抵抗層を形成することにより、雷インパルスや過電圧等のサージに対する保護能力を向上させることができる電圧非直線抵抗体及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明では次のような手段及び製造方法により電圧非直線抵抗体を得るものである。
【0012】
請求項1に対応する発明は、酸化亜鉛を主成分とした焼結体を備え、前記焼結体の側面に高抵抗層を有する電圧非直線体抵抗体において、前記高抵抗層が、Al6Si2O13(ムライト)を主成分として、少なくともAlPO4(オルトリン酸アルミニウム)を1.0〜25wt%、MnFe2O4(フェライト)を0.1〜15wt%、Fe2O3(酸化鉄)を0.1〜15wt%含む成分で形成されるものである。
【0013】
請求項1に対応する発明の電圧非直線抵抗体においては、高抵抗層を焼結体の側面に強く接着することができ、耐電圧性能が向上するので、雷インパルスや過電圧等のサージに対して優れた保護能力を発揮することができる。
【0014】
請求項2に対応する発明は、請求項1に対応する発明の電圧非直線抵抗体において、前記高抵抗層を第1の高抵抗層としてその上にさらにSiO2(シリカ)またはAl2O3(アルミナ)またはSiO2(シリカ)とCH3SiO1.5(オルガノシリケート)またはAl2O3(アルミナ)とCH3SiO1.5(オルガノシリケート)を主成分とした非晶質の第2の高抵抗層を形成したものである。
【0015】
請求項2に対応する発明の電圧非直線抵抗体においては、第1の高抵抗層の上に非結晶の第2の高抵抗層を形成することにより、請求項1に対応する発明の電圧非直線抵抗体に比べて、高抵抗層における耐電圧性能をさらに高めることができる。
【0016】
請求項3に対応する発明は、請求項1又は請求項2に対応する発明の電圧非直線抵抗体において、前記高抵抗層の厚さが10μm〜1mmとしたものである。
【0017】
請求項3に対応する発明の電圧非直線抵抗体においては、高抵抗層の厚さを10μm〜1mmに限定することにより、適切な接着強度と良好な耐電圧性能の両方を確保することができる。
【0018】
請求項4に対応する発明は、請求項1乃至請求項3のいずれかの項に対応する発明の電圧非直線体抵抗体を製造する方法において、Al(H2PO4)3(第1リン酸アルミニウム)とAl6Si2O13(ムライト)を主成分としたスラリーに、MnFe2O4(フェライト)及びFe2O3(酸化鉄)を添加、混合して混合スラリーを作る混合工程と、前記混合スラリーを前記焼結体の側面に塗布する塗布工程と、前記混合スラリーの焼付けを行う焼付け工程により、前記第1の高抵抗層を形成する。
【0019】
請求項4に対応する発明の電圧非直線体抵抗体の製造方法にあっては、Al(H2PO4)3(第1リン酸アルミニウム)とAl6Si2O13(ムライト)を主成分としたスラリーに、MnFe2O4(フェライト)及びFe2O3(酸化鉄)を添加、混合して混合スラリーを作り、これを焼結体の側面に塗布、焼付けることで、Al6Si2O13(ムライト)を主成分とし、AlPO4(オルトリン酸アルミニウム)、MnFe2O4(フェライト)及びFe2O3(酸化鉄)を含有する第1の高抵抗層を形成し、これを焼結体の側面に強く接着させた電圧非直線体抵抗体を製造することができる。
【0020】
請求項5に対応する発明は、請求項4に対応する発明の電圧非直線抵抗体の製造方法において、前記第1の高抵抗層を形成する場合、前記混合工程で平均粒径が0.01〜10μmであるMnFe2O4(フェライト)及びFe2O3(酸化鉄)を用いる。
【0021】
請求項5に対応する発明の電圧非直線抵抗体の製造方法にあっては、MnFe2O4(フェライト)及びFe2O3(酸化鉄)の平均粒径を0.01〜10μmに限定することで、高抵抗層は適切な均一性を保持することができ、優れた耐電圧性能を持つことができる。
【0022】
請求項6に対応する発明は、請求項4又は請求項5に対応する発明の電圧非直線抵抗体の製造方法において、前記第1の高抵抗層を形成する場合、混合工程終了後、100時間以内に塗布工程及び焼付け工程を終了させることを特徴とする。
【0023】
請求項6に対応する発明の電圧非直線抵抗体の製造方法にあっては、混合工程終了から100時間以内に塗布工程及び焼付け工程を終了させることにより、第1の高抵抗層の接着強度が低下しないうちに、電圧非直線抵抗体を製造することができる。
【0024】
請求項7に対応する発明は、請求項4及至請求項6のいずれか項に対応する発明の電圧非直線抵抗体の製造方法において、前記第1の高抵抗層を形成する場合、前記焼付け工程で、焼付け最高温度を200℃〜800℃の範囲で焼付けを行うことを特徴とする。
【0025】
請求項7に対応する発明の電圧非直線抵抗体の製造方法にあっては、焼き付け工程での焼付け最高温度を200〜800℃の範囲で焼付けを行うことにより、高抵抗層は優れた接着強度を有することができ、優れた耐電圧性能を持つことができる。
【0026】
請求項8に対応する発明は、請求項4及至請求項7のいずれかの項に対応する電圧非直線抵抗体の製造方法において、前記第1の高抵抗層を形成する場合、前記焼付け工程で、少なくとも100℃から最高温度までを昇温速度を10℃/hrs〜300℃/hrsの範囲で焼付けを行う。
【0027】
請求項8に対応する発明の電圧非直線抵抗体の製造方法にあっては、焼き付け工程での焼付け昇温速度を10℃/hrs〜300℃/hrsの範囲で焼付けを行うことにより、第1の高抵抗層は優れた接着強度を有することができ、優れた耐電圧性能を持つことができる。
【0028】
請求項9に対応する発明は、請求項2乃至請求項8のいずれかの項に対応する発明の電圧非直線抵抗体を製造する方法において、SiO2(シリカ)またはAl2O3(アルミナ),SiOCH3(アルコキシシラン),イソプロパノール,n−ブタノール,シリコン系界面活性剤及び酢酸を成分とした水溶液を、前記第1の高抵抗層を形成した前記焼結体の側面に塗布し、焼付けて第2の高抵抗層を形成する。
【0029】
請求項9に対応する発明の電圧非直線抵抗体の製造方法にあっては、SiO2(シリカ)またはAl2O3(アルミナ)またはSiO2とCH3SiO1.5(オルガノシリケート)またはAl2O3(アルミナ)とCH3SiO1.5(オルガノシリケート)を主成分とした非結晶の第2の高抵抗層を形成することにより、耐電圧特性をさらに高めた非直線抵抗体を製造することができる。
【0030】
請求項10に対応する発明は、請求項9に対応する発明の電圧非直線抵抗体の製造方法において、前記第2の高抵抗層を形成する場合の焼付け工程で、焼付け最高温度を50℃〜800℃の範囲で焼付けを行う。
【0031】
請求項10に対応する発明の電圧非直線抵抗体の製造方法にあっては、第2の高抵抗層の焼き付け工程での焼付け最高温度を50〜800℃の範囲で焼付けを行うことにより、優れた耐電圧性能を実現することができる。
【0032】
請求項11に対応する発明は、請求項9又は請求項10に対応する発明の電圧非直線抵抗体の製造方法において、第2の高抵抗層を形成する場合、焼付け工程で、焼き付け時の少なくとも30℃から焼付け最高温度までの昇温速度を10℃/hrs〜300℃/hrsの範囲で焼付けを行う。
【0033】
請求項11に対応する発明の電圧非直線抵抗体の製造方法にあっては、第2の高抵抗層4の焼き付け工程での焼付け昇温速度を10℃/hrs〜300℃/hrsの範囲で焼付けを行うことにより、優れた耐電圧性能を実現することができる。
【0034】
参考例1は、酸化亜鉛を主成分とする焼結体の側面に、Al6Si2O13(ムライト)を主成分とし、AlPO4を5.0〜20wt%及びMn2PO7またはMn4(P2O7)3を0.5〜3wt%を含む高抵抗層を有することを特徴とする。
【0035】
参考例2は、酸化亜鉛を主成分とする焼結体の側面に、Al6Si2O13(ムライト)を主成分とし、AlPO4を5.0〜20wt%及びMg3(PO4)2を0.5〜3wt%を含む高抵抗層を有することを特徴とする。
【0036】
参考例3は、酸化亜鉛を主成分とする焼結体の側面に、Al6Si2O13(ムライト)を主成分とし、AlPO4を5.0〜20w%及びCa(PO3)2を0.5〜3wt%を含む高抵抗層を有することを特徴とする。
【0037】
参考例4は、上記参考例1乃至参考例3のいずれかの電圧非直線抵抗体において、高抵抗層にTiO2あるいはFe2O3が0.2〜5wt%を含有していることを特徴とする。
【0038】
参考例5は、上記参考例1乃至参考例3のいずれかの電圧非直線抵抗体において、高抵抗層にMnFe2O4が1〜10wt%含有していることを特徴とする。
【0039】
参考例6は、上記参考例1乃至参考例5のいずれかの電圧非直線抵抗体において、高抵抗層の上にさらにSiO2、Al2O3を主成分とした非晶質の高抵抗膜を有することを特徴とする。
【0040】
従って、上記参考例1乃至参考例6によれば、焼結体の側面と高抵抗層の接着強度が大幅に向上し、外部環境に対して安定した品質が得られ、優れた放電耐量特性と耐劣化特性の双方を備えた電圧非直線抵抗体を得ることができる。
【0041】
ここで、上記参考例1乃至参考例6の特徴点とその作用効果について述べると次の通りである。
【0042】
高抵抗層を形成するためには、参考例1乃至参考例3のいずれかのように酸化亜鉛を主成分とする焼結体の側面に、Al6Si2O13(ムライト)を主成分とし、リン酸アルミニウム塩とリン酸マンガン塩、リン酸マグネシウム塩、リン酸カルシウム塩の少なくとも一つを含む高抵抗剤を塗布し、150〜600℃の温度範囲で焼き付け処理を行い、高抵抗層を形成する。
【0043】
このとき高抵抗剤は焼結体側面へ塗布されることにより、ぬれの作用で焼結体側面部との間に働く距離へ接近することができるが、リン酸アルミニウムにその他のリン酸塩を加えることによりぬれの作用が増大するので、接着強さを増すことができる。また、ぬれ性をよくするためには、リン酸アルミニウムにその他のリン酸塩の混合比を適宜調整することで、接着強さを増すことができる。
【0044】
また、第2の作用として、高湿度雰囲気に対する特性劣化が挙げられる。リン酸アルミニウムのみを用いた高抵抗剤を焼き付けて形成される高抵抗層の場合、未反応のリン酸アルミニウムの一部がイオン化し、これを例えば相対湿度85%の高湿度雰囲気中に放置しておくと、高抵抗層の表面は比較的ポーラスな構造であるため、気孔を通して水分を吸収し、粒子表面上のネック部で凝集が起こり易くなる。
【0045】
その結果として、対向電極間に一様な電界層が形成されることによって電気伝導度が増加し、特性劣化を引き起こすと考えられる。
【0046】
一方、リン酸アルミニウムに、その他のリン酸塩を加えることによって、未反応のリン酸アルミニウムの一部がイオン化することを抑制する作用があり、高湿度雰囲気中においても特性は劣化しない。
【0047】
また、さらに参考例4にあっては、金属酸化物であるTiO2やFe2O3を加えることによって同様の効果が期待できる。これは金属酸化物が一種の触媒として作用し、高抵抗剤の硬化反応が促進するためである。
【0048】
さらに、参考例5にあっては、MnFe2O4を加えることによって高抵抗層の比較的ポーラスな構造部に入り込み、同様の作用を及ぼすと考えられる。
【0049】
参考例6にあっては、参考例1乃至参考例5の高抵抗層の上に、さらにSiO2、Al2O3を主成分とした非晶質の高抵抗膜を形成することによって高抵抗層の比較的ポーラスな構造部に入り込むのと同時に、非晶質の高抵抗膜は発水作用が有るため、これらが焼結体の側面の表面を覆うことによって同様の作用を及ぼすと考えられる。
【0050】
他方、接着力を増大させるためには、焼結体の側面部への高抵抗剤のぬれ性を向上させるほかに焼結体と高抵抗剤の熱膨脹係数を合わせる必要がある。焼結体と高抵抗剤の熱膨脹係数の差が大き過ぎる場合、高抵抗剤を焼き付け中に剥離が生じたり、放電耐量時に過剰な熱が生じるため、剥離が生じたりする。
【0051】
この場合、基材が酸化亜鉛を主成分とした焼結体の場合には、高抵抗剤中にAl6 Si2 O13を主成分として用いるのが良い。
【0052】
【発明の実施の形態】
以下本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
【0053】
図1に示すように電圧非直線抵抗体は、焼結体1を備え、この焼結体1の側面部に第1及び第2の高抵抗層3及び4を形成すると共に、両平坦面を所定の厚さに研磨し、その研磨面にアルミ電極2を形成したものである。
【0054】
本発明による電圧非直線抵抗体の実施の形態は、全て第1及び第2の高抵抗層3及び4に関するものであるが、その前にまず、焼結体1の製造工程について述べる。
【0055】
すなわち、主成分のZnO(酸化亜鉛)に対して、Bi2O3(酸化ビスマス)、MnO2(酸化マンガン)をそれぞれ0.5mol%、Co2O3(酸化コバルト)、NiO(酸化ニッケル)、Sb2O3(三酸化アンチモン)をそれぞれ1mol%添加して原料を作る。
【0056】
次に、この原料を水及び有機物バインダ−類と共に混合装置で混合し、混合スラリ−を作る。この混合スラリ−をスプレ−ドライヤ−で噴霧造粒し、所定重量の造粒粉を金型に入れて所定の圧力で加圧し、例えば直径80mmの円板状に成形する。その後、添加した有機物バインダ−類を予め除くために空気中で400〜500℃で熱処理し、さらに1200℃で焼成することにより焼結体1を得る。
【0057】
次に上記のようにして製造された焼結体1の側面に形成される第1及び第2の側面抵抗層の第1の実施の形態について説明する。
【0058】
第1の高抵抗層3は、Al6Si2O13(ムライト)を主成分として、AlPO4(オルトリン酸アルミニウム)を1.0〜25wt%、MnFe2O4(フェライト)を0.1〜15wt%、Fe2O3(酸化鉄)を0.1〜15wt%含有する成分で構成されている。このような成分構成の第1の高抵抗層3は、次のような工程で形成される。
【0059】
まず、Al(H2PO4)3(第1リン酸アルミニウム)とAl6Si2O13(ムライト)を主成分としたスラリーを作り、このスラリーにMnFe2O4(フェライト)及びFe2O3(酸化鉄)を添加し、混合して混合スラリーを作る(混合工程)。続いて、この混合スラリーを焼結体1の側面に塗布する(塗布工程)。そして、混合スラリーの焼付けを行い、第1の高抵抗層3を形成する(焼付け工程)。
【0060】
また、第1の高抵抗層3上に形成される第2の高抵抗層4は、SiO2(シリカ)もしくはAl2O3(アルミナ)もしくはSiO2(シリカ)とCH3SiO1.5(オルガノシリケート)もしくはAl2O3(アルミナ)とCH3SiO1.5(オルガノシリケート)を主成分としている。このような第2の高抵抗層4は、次のような工程で形成される。
【0061】
まず、SiO2(シリカ)もしくはAl2O3(アルミナ)とSiOCH3(アルコキシシラン)、イソプロパノール、n−ブタノール、シリコン系界面活性剤及び酢酸を成分とした水溶液を、焼結体1の側面に形成された第1の高抵抗層3の表面に塗布する(塗布工程)。そして、塗布した水溶液の焼付けを行い、第2の高抵抗層4を形成する(焼付け工程)。
【0062】
ここで、Al6Si2O13(ムライト)を主成分とし、前述とは含有量の異なるAlPO4(オルトリン酸アルミニウム)、MnFe2O4(フェライト)及びFe2O3(酸化鉄)を副成分として焼付けにより第1の高抵抗層を形成した数種類の電圧非直線抵抗体を試料として作製し、これらの試料と第1の実施の形態に該当する試料とを比較する。
【0063】
また、第1の実施の形態に該当する含有量のAlPO4(オルトリン酸アルミニウム)、MnFe2O4(フェライト)及びFe2O3(酸化鉄)を副成分とする第1の高抵抗層3の表面に、SiO2(シリカ)もしくはAl2O3(アルミナ)もしくはSiO2(シリカ)とCH3SiO1.5(オルガノシリケート)もしくはAl2O3(アルミナ)とCH3SiO1.5(オルガノシリケート)を主成分として第2の高抵抗層4を形成した試料と、この第2の高抵抗層を形成しない試料とを比較する。
【0064】
すなわち、AlPO4(オルトリン酸アルミニウム)が0.1,1,25,30wt%、MnFe2O4(フェライト)が0.1,1,15,20wt%、Fe2O3(酸化鉄)が0.01,0.1,15,20wtの含有量の組み合わせとなるような数種類の第1の高抵抗層3を形成した電圧非直線抵抗体を作製した。
【0065】
また、第1の実施の形態に該当する含有量のAlPO4(オルトリン酸アルミニウム)、MnFe2O4(フェライト)及びFe2O3(酸化鉄)を副成分として形成した第1の高抵抗層3の表面に、SiO2(シリカ)もしくはAl2O3(アルミナ)もしくはSiO2(シリカ)とCH3SiO1.5(オルガノシリケート)もしくはAl2O3(アルミナ)とCH3SiO1.5(オルガノシリケート)を主成分として第2の高抵抗層4を形成した試料と、この第2の高抵抗層を形成しない試料とを作製した。
【0066】
このようにしてそれぞれ作製した各試料に対して、8/20μs波形のインパルス電流を60kAから10kA刻みで印加し、試料が破壊する電流値を測定して各試料の過電圧保護能力の評価を行った。その結果を表1及び表2に示す。
【0067】
【表1】
【0068】
【表2】
【0069】
第1の実施の形態に該当する試料、つまりAlPO4(オルトリン酸アルミニウム)の含有量が1,25wt%、MnFe2O4(フェライト)の含有量が0.1,15wt%、Fe2O3(酸化鉄)の含有量が0.1,15wt%の第1の高抵抗層3を有する試料(表1及び表2中の試料番号22,27,30,31,42、43,46,47)は、170kA以上という高いインパルス電流印加により破壊が生じた。
【0070】
これに対して、上記以外の試料は、100〜130kAという比較的低いインパルス電流印加により破壊が生じた。また、第1の実施の形態に該当する含有量のAlPO4(オルトリン酸アルミニウム)、MnFe2O4(フェライト)及びFe2O3(酸化鉄)を副成分として形成した第1の高抵抗層3の表面に、SiO2(シリカ)もしくはAl2O3(アルミナ)もしくはSiO2(シリカ)とCH3SiO1.5(オルガノシリケート)もしくはAl2O3(アルミナ)とCH3SiO1.5(オルガノシリケート)を主成分として第2の高抵抗層4を形成した試料(表1及び表2中の23〜26,48〜51)は、190〜200kAという極めて高いインパルス電流印加により破壊が生じた。
【0071】
以上の結果から明らかなように第1の実施の形態は、Al6Si2O13(ムライト)を主成分として、AlPO4(オルトリン酸アルミニウム)を1.0〜25wt%、MnFe2O4(フェライト)を0.1〜15wt%,Fe2O3(酸化鉄)を0.1〜15wt%含む第1の高抵抗層3を備えることによって、この第1の高抵抗層3が焼結体1の側面に強く接着することができ、耐電圧性能が向上する。
【0072】
そのため、電圧非直線抵抗体は飛躍的にインパルス電流に対する保護能力が向上することがわかる。また、SiO2(シリカ)もしくはAl2O3(アルミもしくはSiO2(シリカ)とCH3SiO1.5(オルガノシリケート)もしくはAl2O3(アルミナ)とCH3SiO1.5(オルガノシリケート)を主成分としている第2の高抵抗層4を形成することにより、さらに、飛躍的にインパルス電流に対する保護能力が向上することが分る。
【0073】
以上、第1の高抵抗層3の成分として、Al6Si2O13(ムライト)、AlPO4(オルトリン酸アルミニウム)、MnFe2O4(フェライト),Fe2O3(酸化鉄)のみを成分とする例を記述したが、その他TiO2(酸化チタン)の他、高抵抗層の接着強度を向上させる成分を加えた場合においても、AlPO4(オルトリン酸アルミニウム)、MnFe2O4(フェライト),Fe2O3(酸化鉄)の含有量が上記の範囲において、最良のインパルス耐量を実現できることが確認できている。
【0074】
次に第2の実施の形態について述べる。
【0075】
第2の実施の形態では、前述した第1の実施の形態で形成される第1及び第2の高抵抗層3及び4の厚さを10μm〜1mmとするものである。
【0076】
ここで、第1及び第2の高抵抗層3及び4の厚みが異なる数種類の電圧非直線抵抗体を作製し、第2の実施の形態に該当する試料と、それ以外の試料とを比較して、第2の実施の形態の作用効果について説明する。
【0077】
まずAl6Si2O13(ムライト)を主成分として、AlPO4(オルトリン酸アルミニウム)、MnFe2O4(フェライト),Fe2O3(酸化鉄)をそれぞれ5wt%含有した第1の高抵抗層3を形成し、その上にSiO2(シリカ)とCH3SiO1.5(オルガノシリケート)を主成分とした非晶質の第2の高抵抗層4を形成する。その際、高抵抗層3及び4の厚みをそれぞれ、0.1,1,10,100,500μm及び1,2mmに調整した試料を作製し、合計7種類の試料を作製した。
【0078】
以上のようにして作製した各試料について、各試料に8/20μs波形のインパルス電流を60kAから10kA刻みで印加し、試料が破壊する電流値を測定し、各試料の過電圧保護能力の評価を行った。その結果を図2に示す。第2の実施の形態に該当する試料、つまり第1及び第2の高抵抗層3及び4の厚みが1,10,100,500μm及び1mmの試料は、190kA以上のインパルス電流印加により破壊が生じた。
【0079】
これに対して、第2の実施の形態に該当しない試料、つまり高抵抗層の厚みが0.1μmおよび2mmの試料は、100〜130kAという低いインパルス電流印加により破壊が生じた。これは、第1及び第2の高抵抗層3及び4の厚みが小さ過ぎると優れたインパルス電流に対する保護能力を得ることができないこと、反対に第1及び第2の高抵抗層3及び4の厚みが厚つ過ぎると、今度は厚みが増加するに連れて第1及び第2の高抵抗層3及び4の接着強度が低下し、優れたインパルス電流に対する保護能力を得ることができないことを示している。
【0080】
以上の結果より、第2の実施の形態では、第1及び第2の高抵抗層3及び4の厚さを10μm〜1mmとすることにより、適切な接着強度と良好な耐電圧性能の両方を確保することができ、インパルス電流に対する保護能力を大きく向上させることができる。
【0081】
次に第3の実施の形態について説明する。
【0082】
第3の実施の形態では、第1の実施の形態で第1の高抵抗層3を形成する工程のうち、MnFe2O4(フェライト)及びFe2O3(酸化鉄)を添加して混合スラリーを作る混合工程において、平均粒径が0.01〜10μmであるMnFe2O4(フェライト)及びFe2O3(酸化鉄)を用いるものである。
【0083】
ここで、第3の実施の形態の作用効果を説明するために、MnFe2O4(フェライト)及びFe2O3(酸化鉄)の平均粒径が異なる数種類の電圧非直線抵抗体を作製する。
【0084】
まず、上記第2の実施の形態と同様にAl6SiO13(ムライト)を主成分として、AlPO4(オルトリン酸アルミニウム)、MnFe2O4(フェライト),Fe2O3(酸化鉄)をそれぞれ5wt%含有した第1の高抵抗層3を形成する。この第1の高抵抗層3を形成するにあたって、平均粒径が0.001,0.01,0.1,1,10及び20μmのMnFe2O4(フェライト)、Fe2O3(酸化鉄)を使用した12種類の試料を作製した。
【0085】
これら各試料に対して、第1の高抵抗層3の上にSiO2(シリカ)とCH3SiO1.5(オルガノシリケート)を主成分とした非晶質の第2の高抵抗層4を形成し、評価試料とした。
【0086】
以上のようにして作製した各試料に、8/20μs波形のインパルス電流を60kAから10kA刻みで印加して行き、試料が破壊したときの電流値を測定することで、各試料の過電圧保護能力の評価を行った。
【0087】
その結果を図3に示す。第3の実施の形態に該当する試料、つまりMnFe2O4(フェライト)及びFe2O3(酸化鉄)の平均粒径が0.01〜10μmの試料は、190kA以上のインパルス電流を印加することにより破壊が生じたが、平均粒径が上記の範囲外の試料は、100〜130kAのインパルス電流を印加することにより破壊が生じた。
【0088】
一般的に使用する粉末の平均粒径は細かいほど分散性が悪くなるので、第1の高抵抗層3の均一性が悪くなり、平均粒径が0.01μmのMnFe2O4(フェライト)及びFe2O3(酸化鉄)を用いた試料はインパルス電流に対する保護能力が優れたものとはならない。
【0089】
一方、使用する粉末の平均粒径が粗いと、やはり高抵抗層成分中に偏積しやすくなるため、平均粒径が20μmのMnFe2O4(フェライト)及びFe2O3(酸化鉄)を用いた試料も、インパルス電流に対する保護能力が優れたものとはならない。
【0090】
以上の結果より、第3の実施の形態では、平均粒径が0.01〜10μmの範囲のMnFe2O4(フェライト)及びFe2O3(酸化鉄)を添加することで、第1の高抵抗層3が適切な均一性を保持でき、優れた耐電圧性能を発揮し、インパルス電流に対する保護能力が優れたものとなる。
【0091】
次に第4の実施の形態について説明する。
【0092】
第4の実施の形態では、第1の実施の形態で第1の高抵抗層3を形成する場合、Al(H2PO4)3(第1リン酸アルミニウム)とAl6Si2O13(ムライト)を主成分としたスラリーに、MnFe2O4(フェライト)及びFe2O3(酸化鉄)を添加して混合スラリーを作る混合工程が終了した後、100時間以内に塗布工程及び焼付け工程を終了させるものである。
【0093】
ここで、第4の実施の形態の作用効果を説明するために次のような試料を作製した。
【0094】
Al(H2PO4)3(第1リン酸アルミニウム)とAl6Si2O13(ムライト)を主成分としたスラリーに、MnFe2O4(フェライト)及びFe2O3(酸化鉄)をそれぞれ5wt%添加し、スプレー塗布により焼結体1の側面に塗布,焼き付けを行うに当たって、MnFe2O4(フェライト)及びFe2O3(酸化鉄)を添加後、1,12,24,50,100,120及び180時間後に塗布,焼付けを行った7種類の試料を作製した。
【0095】
これらの各試料に対して、第1の高抵抗層3の上にSiO2(シリカ)とCH3SiO1.5(オルガノシリケート)を主成分とした非晶質の第2の高抵抗層4を形成し、評価試料とした。
【0096】
以上のようにして作製した各試料に、8/20μs波形のインパルス電流を60kAから10kA刻みで印加して行き、試料が破壊したときの電流値を測定することで、各試料の過電圧保護能力の評価を行った。
【0097】
その結果を図4に示す。第4の実施の形態に該当する試料、つまりスラリーにMnFe2O4(フェライト)及びFe2O3(酸化鉄)を添加後、100時間以内に塗布,焼付けを行った試料は、180kA以上のインパルス電流印加により破壊が生じた。
【0098】
これに対して、スラリーにMnFe2O4(フェライト)及びFe2O3(酸化鉄)を添加後、120及び180時間経過後に塗布,焼付けを行った試料は、100〜130kAのインパルス電流印加により破壊が生じた。このように破壊電流値が小さいのは次のような理由が考えられる。
【0099】
Al(H2PO4)3(第1リン酸アルミニウム)中にMnFe2O4(フェライト)及びFe2O3(酸化鉄)を添加すると、添加したMnFe2O4(フェライト)及びFe2O3(酸化鉄)が徐々に溶解していき、Al(H2PO4)3(第1リン酸アルミニウム)の正常な硬化反応を妨げる。
【0100】
そのため、第1の高抵抗層3の接着強度を次第に低下し、添加から120及び180時間経過した後に塗布,焼付けを行っても、第1の高抵抗層3は焼結体1の側面に接着し難く、耐電圧性能が低下してインパルス電流に対する保護能力が優れたものとはならなかった。
【0101】
以上の結果より、第4の実施の形態では、MnFe2O4(フェライト)及びFe2O3(酸化鉄)を添加後100時間以内に塗布,焼付けを行うことで、第1の高抵抗層3の接着強度が低下しないうちに焼結体1の側面に形成することが可能である。これにより、第4の実施の形態に係る電圧非直線抵抗体はインパルス電流に対する保護能力が優れたものとなる。
【0102】
次に第5の実施の形態について説明する。
【0103】
第5の実施の形態では、第1の実施の形態で第1の高抵抗層3を形成する場合、Al(H2PO4)3(第1リン酸アルミニウム)とAl6Si2O13(ムライト)を主成分としたスラリーに、MnFe2O4(フェライト)及びFe2O3(酸化鉄)を添加して混合した混合スラリーを塗布した後、焼付けを行う際にその焼き付け最高温度を200℃〜800℃とするものである。
【0104】
ここで、第5の実施の形態の作用効果を説明するために次のような試料を作製した。
【0105】
Al(H2PO4)3(第1リン酸アルミニウム)とAl6Si2O13(ムライト)を主成分としたスラリーに、MnFe2O4(フェライト)及びFe2O3(酸化鉄)をそれぞれ5wt%添加し、スプレー塗布により焼結体1の側面に塗布,焼き付けを行うに当たって、焼付け時の最高温度を150,200,400,600,800及び1000℃で焼付けを行った5種類の試料を作製した。
【0106】
これらの各試料に対して、第1の高抵抗層3の上にSiO2(シリカ)とCH3SiO1.5(オルガノシリケート)を主成分とした非晶質の第2の高抵抗層4を形成し、評価試料とした。
【0107】
以上のようにして作製した各試料に、8/20μs波形のインパルス電流を60kAから10kA刻みで印加し、試料が破壊する電流値を測定し、各試料の過電圧保護能力の評価を行った。
【0108】
その結果を図5に示す。第5の実施の形態に該当する試料、つまり第1の高抵抗層3の焼き付け最高温度を200〜800℃の範囲で焼付けを行った試料は、190kA以上のインパルス電流印加により破壊が生じた。
【0109】
これに対して、150℃及び1000℃で焼付けを行った試料は、100〜110kAのインパルス電流印加により破壊が生じた。このように破壊電流値が小さいのは次のような理由が考えられる。
【0110】
200℃未満の焼付け温度では、Al(H2PO4)3(第1リン酸アルミニウム)の硬化反応が起こらないため、Al6Si2O13(ムライト)を主成分として、AlPO4(オルトリン酸アルミニウム)、MnFe2O4(フェライト)、Fe2O3(酸化鉄)を含んだ第1の高抵抗層3が形成されなかったため、焼結体1の側面への接着度合いが悪く、耐電圧が低下してインパルス電流に対する保護能力が優れたものとはならなかった。
【0111】
また、800℃より高い焼付け温度では、Al(H2PO4)3(第1リン酸アルミニウム)の正常な硬化反応を起こすことができなかっため、Al6Si2O13(ムライト)を主成分として、AlPO4(オルトリン酸アルミニウム)、MnFe2O4(フェライト)、Fe2O3(酸化鉄)を含んだ第1の高抵抗層3が形成されない。このため、焼結体1の側面への接着度合いが悪く、耐電圧が低下してインパルス電流に対する保護能力が優れたものとはならなかった。
【0112】
以上の結果より、第5の実施の形態では、第1の高抵抗層3を焼付ける最高温度を200〜800℃で行うことで、接着強度が最も高い状態で第1の高抵抗層3を焼結体1側面に形成することが可能である。これにより、第5の実施の形態に係る電圧非直線抵抗体はインパルス電流に対する保護能力を優れたものとなる。
【0113】
次に第6の実施の形態について説明する。
【0114】
第6の実施の形態では、第1の実施の形態で第1の高抵抗層3を形成する場合、Al(H2PO4)3(第1リン酸アルミニウム)とAl6Si2O13(ムライト)を主成分としたスラリーに、MnFe2O4(フェライト)及びFe2O3(酸化鉄)を添加して混合した混合スラリーを塗布した後、焼付けを行う際に少なくとも100℃〜最高温度までの昇温速度を10℃/hrs〜300℃/hrsで行うものである。
【0115】
ここで、第5の実施の形態の作用効果を説明するために次のような試料を作製した。
【0116】
Al(H2PO4)3(第1リン酸アルミニウム)とAl6Si2O13(ムライト)を主成分としたスラリーに、MnFe2O4(フェライト)及びFe2O3(酸化鉄)をそれぞれ5wt%添加し、スプレー塗布により焼結体1の側面に塗布,焼き付けを行うに当たって、焼付け時の昇温速度を5,10,100,200,300及び400℃/hrsで焼付けを行った6種類の試料を作製した。
【0117】
これらの各試料に対して、第1の高抵抗層3の上にSiO2(シリカ)とCH3SiO1.5(オルガノシリケート)を主成分とした非晶質の第2の高抵抗層4を形成し、評価試料とした。
【0118】
このようにして作製した各試料に対して、それぞれ8/20μs波形のインパルス電流を60kAから10kA刻みで印加し、試料が破壊する電流値を測定し、各試料の過電圧保護能力の評価を行った。
【0119】
その結果を図6に示す。第6の実施の形態に該当する試料、つまり第1の高抵抗層の焼き付け昇温速度を10〜300℃/hrsの範囲で焼付けを行った試料は、190kA以上のインパルス電流印加により破壊が生じた。
【0120】
これに対して、5℃/hrs及び400℃/hrsで焼付けを行った試料は、100〜130kAのインパルス電流印加により破壊が生じた。このように破壊電流値が小さいのは次のような理由が考えられる。
【0121】
10〜300℃/hrsの昇温速度で第1の高抵抗層3を焼付けることによって最適なAl(H2PO4)3(第1リン酸アルミニウム)の硬化反応速度を与えることができ、焼結体1の側面への接着度がきわめて高く、耐電圧が向上してインパルス電流に対する保護能力が優れたものとなる。
【0122】
これに対して、昇温速度が300℃/hrsより速くなるとAl(H2PO4)3(第1リン酸アルミニウム)の硬化反応が急激に進行してしまい、焼結体1の側面への接着度が低下する。
【0123】
また、10℃/hhrs未満の焼付け昇温速度では、Al(H2PO4)3(第1リン酸アルミニウム)の硬化反応がゆっくりと進行し、Al6Si2O13(ムライト)を主成分として、AlPO4(オルトリン酸アルミニウム)、MnFe2O4(フェライト)、Fe2O3(酸化鉄)を含んだ第1の高抵抗層3が完全に形成されなかったため、焼結体1の側面への接着度合いが悪くなるため、耐電圧が低下してインパルス放電耐量特性は低下する。
【0124】
以上の結果より、第6の実施の形態では、第1の高抵抗層3を焼付ける昇温速度を10〜300℃/hrsで行うことで、接着強度が最も高い状態で第1の高抵抗層3を焼結体1側面に形成することが可能である。これにより、第6の実施の形態に係る電圧非直線抵抗体はインパルス電流に対する保護能力が優れたものとなる。
【0125】
次に第7の実施の形態について説明する。
【0126】
第7の実施の形態では、Al6Si2O13(ムライト)を主成分として、AlPO4(オルトリン酸アルミニウム)、MnFe2O4(フェライト)、Fe2O3(酸化鉄)をそれぞれ5wt%含んでいる第1の高抵抗層3の上に、SiO2(シリカ),SiOCH3(アルコキシラン),イソプロパノール、n−ブタノール、シリコン系界面活性剤及び酢酸を成分とした水溶液を塗布し焼付けを行うことによって、SiO2(シリカ)とCH3SiO1.5(オルガノシリケート)を主成分とする第2の高抵抗層4を形成する際に、第2の高抵抗層4の焼き付け最高温度を50〜800℃の範囲で行うものである。
【0127】
ここで、第7の実施の形態の作用効果を説明するために次のような試料を作製した。
【0128】
第1の高抵抗層3の上に、SiO2(シリカ)とSiOCH3(アルコキシラン),イソプロパノール、n−ブタノール、シリコン系界面活性剤及び酢酸を成分とする溶液を塗布して焼付けを行なうに当たって、焼付け時の最高温度を30,50,100,300,600,800,1000℃で焼付けを行った7種類の試料を作製した。
【0129】
このようにして作製した各試料に対して、それぞれ8/20μs波形のインパルス電流を60kAから10kA刻みで印加し、試料が破壊する電流値を測定し、各試料の過電圧保護能力の評価を行った。
【0130】
その結果を図7に示す。第7の実施の形態に該当する試料、第2の高抵抗層4の焼き付け最高温度を50〜800℃の範囲で焼付けを行った試料は、190kA以上のインパルス電流印加により破壊が生じた。
【0131】
これに対して、30℃及び1000℃で焼付けを行った試料は、100〜110kAのインパルス電流印加により破壊が生じた。このように破壊電流値が小さいのは次のような理由が考えられる。
【0132】
50℃未満の焼付け温度では、イソプロパノール,n−ブタノールの蒸発が起こらないため、SiO2(シリカ)とCH3SiO1.5(オルガノシリケート)を主成分とする第2の高抵抗層4が形成されなかったため、良好な耐電圧性能が得られず、インパルス電流に対する保護能力が優れたものが得られならなかった。
【0133】
また、800℃を超える焼付け温度では、急激にイソプロパノール,n−ブタノールの蒸発が生じるため、SiO2(シリカ)とCHSiO1.5(オルガノシリケート)を主成分とする第2の高抵抗層4が正常な状態で形成されなかったため、良好な耐電圧性能が得られず、インパルス電流に対する保護能力が優れたものが得られなかった。
【0134】
以上の結果より、第7の実施の形態では、第2の高抵抗層4を焼付ける最高温度を50〜800℃で行うことで、良好な耐電圧性能を有する第2の高抵抗層4を第1の高抵抗層3を施した焼結体1の側面に形成することが可能である。これにより、第7の実施の形態に係る電圧非直線抵抗体はインパルス電流に対する保護能力が優れたものとなる。
【0135】
以上、第2の高抵抗層4の焼き付け温度を限定した実施例として、SiO2(シリカ)とCHSiO1.5(オルガノシリケート)を主成分とする第2の高抵抗層4を形成する場合を代表例として記述したが、SiO2(シリカ)またはAl2O3(アルミナ)またはAl2O3(アルミナ)とCHSiO1.5(オルガノシリケート)を主成分とする第2の高抵抗層4を形成する場合においても、上記の焼き付け温度範囲において、最良のインパルス耐量を実現できる事が確認できている。
【0136】
次に本発明の第8の実施の形態について説明する。
【0137】
第8の実施の形態では、Al6Si2O13(ムライト)を主成分として、AlPO4(オルトリン酸アルミニウム)、MnFe2O4(フェライト)、Fe2O3(酸化鉄)をそれぞれ5wt%含んでいる第1の高抵抗層3の上に、SiO2(シリカ),SiOCH3(アルコキシラン),イソプロパノール、n−ブタノール、シリコン系界面活性剤及び酢酸を成分とした水溶液を塗布し焼付けを行うことによって、SiO2(シリカ)とCH3SiO1.5(オルガノシリケート)を主成分とする第2の高抵抗層4を形成する際に、第2の高抵抗層4の焼き付け時の少なくとも30℃〜最高温度の昇温速度を10〜300℃/hrsの範囲で行うものである。
【0138】
ここで、第8の実施の形態の作用効果を説明するため、次のような試料を作製した。
【0139】
第1の高抵抗層3の上に、SiO2(シリカ)とSiOCH3(アルコキシラン),イソプロパノール、n−ブタノール、シリコン系界面活性剤及び酢酸を成分とする溶液を塗布して焼付けを行なうにあたって、焼付け時の最高温度を焼付け時の最高温度を400℃とし、 焼付け時の昇温速度を5,10,100,200,300及び400℃/hrsで焼付けを行った6種類の試料を作製した。
【0140】
このようにして作製した各試料に対して、それぞれ8/20μs波形のインパルス電流を60kAから10kA刻みで印加しながら、試料が破壊する電流値を測定して各試料の過電圧保護能力の評価を行った。
【0141】
その結果を図8に示す。第8の実施の形態に該当する試料、第2の高抵抗層4の焼き付け最高温度を10〜300℃/hrsの範囲で焼付けを行った試料は、190kA以上のインパルス電流印加により破壊が生じた。
【0142】
これに対して、5℃/hrs及び400℃/hrsで焼付けを行った試料は、100〜130kAインパルス電流印加により破壊が生じた。このように破壊電流値が小さいのは次のような理由が考えられる。
【0143】
10℃/hrs未満の昇温速度では、反応がゆっくりと進行し、SiO2(シリカ)とCH3SIO1.5(オルガノシリケート)を主成分とする第2の高抵抗層4が完全に形成されなかったため、良好な耐電圧性能が得られず、インパルス電流に対する保護能力が低下した。
【0144】
また、300℃/hrsを超える焼付け温度では、急激にイソプロパノール,n−ブタノールの蒸発が生じるため、SiO2(シリカ)とCH3SIO1.5(オルガノシリケート)を主成分とする第2の高抵抗層4が正常な状態で形成されなかったため、良好な耐電圧性能が得られず、インパルス電流に対する保護能力が低下した。
【0145】
以上の結果より、第8の実施の形態では、第2の高抵抗層4を焼付ける最高温度を10〜300℃/hrsで行うことで、良好な耐電圧性能を有する第2の高抵抗層4を第1の高抵抗層3を施した焼結体1の側面に形成することが可能である。これにより、第8の実施の形態に係る電圧非直線抵抗体はインパルス電流に対する保護能力が優れたものとなる。
【0146】
以上、第2の高抵抗層4の焼き付け温度を限定した実施例として、SiO2(シリカ)とCH3SIO1.5(オルガノシリケート)を主成分とする第2の高抵抗層4を形成する場合を代表例として述べたが、SiO2(シリカ)またはALAl2O3(アルミナ)またはAl2O3(アルミナ)とCH3SIO1.5(オルガノシリケート)を主成分とする第2の高抵抗層4を形成する場合においても、上記の焼き付け温度範囲において、最良のインパルス耐量を実現できることが確認できている。
【0147】
以上述べた本発明による電圧非直線抵抗体及びその製造方法の第1の実施の形態乃至第8の実施の形態で述べたように、焼結体1の側面に形成される第1の高抵抗層3が、Al6Si2O13(ムライト)を主成分として、AlPO4(オルトリン酸アルミニウム)を1.0〜25wt%、MnFe2O4(フェライト)を0.1〜15wt%、Fe2O3(酸化鉄)を0.1〜15wt%含む成分で構成することによって、接着強度が高く、且つ優れた耐電圧性能を発揮し、雷インパルス過電圧等のサージに対する保護能力を向上させることができた。さらに、第1の高抵抗層3の上に、第2の高抵抗層4としてSiO2(シリカ)もしくはAl2O3(アルミナ)もしくはSiO2(シリカ)とCH3SiO1.5(オルガノシリケート)もしくはAl2O3(アルミナ)とCH3SiO1.5(オルガノシリケート)を主成分とした非晶質の第2の高抵抗層4を形成することによって、さらに優れた耐電圧性能を発揮し、雷インパルス過電圧等のサージに対する保護能力を向上させることができる。
【0148】
次に上述した第1の実施の形態乃至第8の実施の形態とは異なる成分で構成される本発明による電圧非直線抵抗体及びその製造方法の実施の形態について説明する。
【0149】
第9の実施の形態では、酸化亜鉛を主成分とする焼結体の側面に、Al6Si2O13(ムライト)を主成分とし、リン酸アルミニウム塩にリン酸マンガン塩を含む高抵抗剤を塗布し、焼き付け処理を行って高抵抗層を形成する電圧非直線抵抗体について説明する。
【0150】
図9は、本実施の形態によるセラミック素子の断面図である。図9に示すように焼結体11を円板状とし、この焼結体11の両端面(図9の上下面)には電極12が設けられる。
【0151】
また、焼結体11の側面(図9の円周方向)には、第1の高抵抗層13が形成される。
【0152】
さらに、第1の高抵抗層13上に第2の側面高抵抗膜14が形成される。
【0153】
ここで、セラミック素子の焼結体11を得るためための製造工程を説明する。
【0154】
まず、酸化亜鉛(ZnO)に酸化ビスマス、酸化マンガン、二酸化珪素、酸化クロムをそれぞれ0.5モル%、酸化コバルト、酸化アンチモン、酸化ニッケルをそれぞれ1モル%添加して、酸化亜鉛を調整する。
【0155】
次いで、この原料を水や有機バインダー類と共に混合装置に入れて混合し、この混合物をスプレードライヤーで、噴霧造粒する。
【0156】
次に、この造粒粉を金型に入れて加圧し、例えば、直径80mm、厚さ30mmの円板に成形する。また、例えば寸法が100mm×100mm×30mmのテストピースを成形しておく。
【0157】
このようにして得られた成形体を約1200℃の温度で焼成し、焼結体11とテストピースP1を得る。
【0158】
このテストピースP1にAl6Si2O13(ムライト)を主成分とし、リン酸アルミニウムとリン酸マンガンを適当量に調整した高抵抗剤を垂らし、ぬれ角を調べた後、別のテストピースP1と焼結体11に塗布し、これを200〜600℃の温度範囲で焼き付けを行い、第1の高抵抗層13を形成する。
【0159】
このとき、テストピースと焼結体に形成される第1の高抵抗層13の膜厚が一定になるように適量の高抵抗剤を塗布する。
【0160】
次いで、接着強度を調べるために、第1の高抵抗層13を形成したテストピースP1の接着面と直角な面を研磨して、70mm×70mm×20mmにテストピースP2を作成する。
【0161】
一方、第1の高抵抗層13を形成した焼結体11の両端面を研磨し、アルミニウムの電極を溶射し、電極12を設けて電圧非直線抵抗体を得る。
【0162】
ここで、電圧非直線抵抗体の高抵抗層の膜厚さとテストピースP2の膜厚は研磨時に測定した。
【0163】
比較例として本発明品と同様の焼結体11、テストピースP1を用い、Al2O3を主成分とし、リン酸アルミニウムを適当量含有させたものを作製して、そのぬれ角を調べ、本実施の形態と同様の温度で焼き付け、これを比較例1として製作した。
【0164】
表3に本発明品及び比較例1のぬれ角、剥離面積、衝撃接着強度、引っ張り付着強さ、放電耐量特性、課電寿命特性、耐湿特性を示す。
【0165】
【表3】
【0166】
供試試料は各々8p用意した。
【0167】
ここで、剥離面積とは非直線抵抗体の外観、即ち電圧非直線抵抗体の高抵抗層13が焼結体11から剥離した面積の総和を示す。
【0168】
衝撃接着強度はデュポン式による耐衝撃性試験(JIS K5400 8.3 参照)に基づいて行い、試験片はテストピースP2を用い、質量500±1∋の重りを一定の高さから落下させて高低抗層面が割れ、剥離が生じない高さ位置の平均をプロットする。
【0169】
高抵抗層の引っ張り付着強さはJIS K5400 8.7 に基づき行った。ここでは試験片としてテストピースP2を用いた。引っ張り強さは平均値をプロットする。
【0170】
放電耐量特性は4/10μsのインパルスを5分間隔で2回通電し、破壊及び沿面閃絡が起きるまで40kAから20kAずつ電流値を上昇させていった。
【0171】
課電寿命特性は周囲温度120℃、課電率95%(ACピーク値)の条件で行い、初期漏れ電流値I0とT時間後の漏れ電流値Itの比It/I0が1.1を越える時間を測定した。
【0172】
耐湿試験は、周囲温度を20℃にし、試験槽内を一定湿度に保つためにデシケータ内に塩化カリウム水溶液を浸す。この場合、相対湿度は約85%になるように調湿し、電圧非直線抵抗体をデシケータ内に放置しておく。そして、60時間後、電圧非直線抵抗のDC1μAの電圧値V60を測定し、初期電圧値V0からの変化率を求めた。ここで変化率(%)は(V60−V0)×100/V0として計算した。
【0173】
表3から分かることは、本実施の形態に示したようにAl6Si2O13(ムライト)を主成分とし、リン酸アルミニウムとリン酸マンガンを適当量に調整した高抵抗剤は比較例に比べ、ぬれ角度が小さいことである。
【0174】
さらに、リン酸アルミニウムとリン酸マンガンを適当量に調整することによってぬれ角度を最適化することができる。ぬれ角度が60°以下であれば、剥離面積は100mm以下となり、衝撃接着強度も50mm以上、引っ張り付着強さは0.8MPa以上と向上するが、さらに高抵抗膜の厚さが50〜200μmであるものは、衝撃接着強度、引っ張り付着強さも強く、放電耐量特性も良好であることが分かる。
【0175】
また、Al6Si2O13(ムライト)を主成分とし、リン酸アルミニウムとリン酸マンガンを適当量に調整した高抵抗剤は比較例に比べ、課電寿命、耐湿特性のいずれも優れている。
【0176】
第10の実施の形態では、第9の実施の形態で示したぬれ角度30°の高抵抗剤に、Fe2O3を適量含有させたものと、MnFe2O4を適量含有させたものをそれぞれ焼き付けて高低抗層を形成させた。また、その上にさらにSiO2、Al2O3を主成分とした非晶質の高抵抗剤を塗布した後焼き付けて非晶質の高抵抗膜4を形成したものも製作した。
【0177】
比較例として第9の実施の形態で示したぬれ角度30°の高抵抗剤からなる高低抗層にSiO2、Al2O3を主成分とした非晶質の高抵抗剤を塗布し、焼き付けた非直線抵抗体(比較例2)とAl2O3を主成分とし、リン酸アルミニウムを適当量含有させたものから構成される高抵抗層にSiO2、Al2O3を主成分とした非晶質の高抵抗剤を塗布したものを100〜350℃焼き付けた非直線抵抗体(比較例3)を作製した。
【0178】
ここで、高抵抗層の厚さはどれも一定になるように塗布量を調整している。
【0179】
表5に本発明品及び比較例2、比較例3のFe2O3添加量、MnFe2O4添加量、非晶質の高抵抗膜の有無、放電耐量特性、課電寿命特性、耐湿特性を示す。
【0180】
【表4】
【0181】
表5から分かることは、Al6Si2O13(ムライト)を主成分とし、リン酸アルミニウムとリン酸マンガンを適当量に調整した高抵抗剤にFe2 O3 が適量含有させたものと、MnFe2O4を適量含有させたものは耐湿特性が大きく向上するがFe2O3が0.2〜5wt%又はMnFe2O4を1〜10wt%から外れると放電耐量特性が低下したり、耐湿特性が低下したりする。また、Fe2O3とMnFe2O4が上記範囲内であれば両者を同時に用いても影響は無い。
【0182】
また、これらの高低抗層上にさらにSiO2、Al2O3を主成分とした非晶質の高低抗層を形成したものはさらに耐湿特性が向上する。
【0183】
次に本発明の第11の実施の形態を説明する。
【0184】
側面高抵抗剤中のリン酸アルミニウム塩及びとリン酸マンガン塩の添加量を調整して、高抵抗層中のAlPO4,Mn4(P2O7)3の重量%及び焼き付け温度について検討した。さらに、非晶質の高抵抗膜を形成させた時の焼き付け温度についても検討した。その結果を表4に示す。
【0185】
【表5】
【0186】
表4から分かることは、Mn 4 (P 2 O 7 ) 3 の添加量が0.5〜3wt%の範囲内にある場合、放電耐量特性や課電寿命特性、耐湿試験は比較例に比べ良好な特性を示すが、さらに高抵抗層の焼き付け温度を150〜600℃、非晶質の高低抗膜を150〜350℃で行えばさらに良好な特性を得ることができる。
【0187】
また、AlPO4が5〜20wt%から外れると放電耐量は定価することが分かる。これはAlPO4が上記範囲から外れると付着強さが定価するためと考えられる。
【0188】
第11の実施の形態に示すように、焼き付け温度が高いと、課電寿命特性が低下する傾向にある。これら高い温度で焼き付けを行うと焼結体の結晶相が相転移を起こすためである。そのため、焼き付け温度はなるべく低い温度で焼き付けることが望ましい。
【0189】
この他、本発明は次のようにしてもよい。
【0190】
本発明品においては高抵抗層の主成分がAl6Si2O13(ムライト)を用いているが、これは焼結体との熱膨脹係数を合わせるためである。即ち、素体に大きなサージエネルギーが注入されると急激温度上昇に伴うため、素体と高抵抗層との熱膨脹差が大きいと、高抵抗層が素体から剥がれ、放電耐量特性が低下してしまう。
【0191】
高抵抗層の主成分にAl6Si2O13(ムライト)を用いると20〜200℃の範囲において、素体と高抵抗層の熱膨脹係数の差が±2.0×10-6/℃になり、他の金属酸化物を用いるより、安定した高抵抗層が得られる。
【0192】
なお、本発明は上記し且つ図面に示す実施の形態に限定されたるものではなく、その要旨を変更しない範囲内で適宜変更して実施できるものである。
【0193】
例えば、本実施の形態では、酸化亜鉛を主成分とする焼結体の側面に、Al6Si2O13(ムライト)を主成分とし、AlPO4を5.0〜20wt%、Mn4(P2O7)3を0.5〜3wt%を含む側面抵抗層について述べたが、Mn4(P2O7)3に代わりにMn 2 PO 7 ,Mg 3 (PO 4 ) 2 ,Ca(PO3)2を加えても同様の効果を示すことが確認されている。
【0194】
以上説明した本発明の第9の実施の形態乃至第11の実施の形態によれば、より良好で安定した放電耐量特性と耐特性劣化の双方に優れたセラミック素子を用いた電圧非直線抵抗体を得ることができる。
【0195】
【発明の効果】
以上述べたように本発明によれば、接着強度が高く優れた耐電圧性能を発揮し得る高抵抗層を形成することにより、雷インパルスや過電圧等のサージに対する保護能力を向上させることができる電圧非直線抵抗体及びその製造方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1乃至第8の実施の形態における電圧非直線抵抗体を示す断面図。
【図2】本発明の第2の実施の形態の電圧非直線抵抗体において、第1及び第2の高抵抗層の厚みと過電圧保護能力の関係を示したグラフ。
【図3】本発明の第3の実施の形態の電圧非直線抵抗体において、第1の高抵抗層を形成する工程のうち、混合スラリーを作る混合工程でフェライト及び酸化鉄の平均粒径と過電圧保護能力の関係を示したグラフ。
【図4】本発明の第4の実施の形態の電圧非直線抵抗体において、第1の高抵抗層を形成する工程のうち、フェライト及び酸化鉄の添加後から、塗布及び焼付け終了までの時間と過電圧保護能力の関係を示したグラフ。
【図5】本発明の第5の実施の形態の電圧非直線抵抗体において、第1の高抵抗層形成時の焼き付け温度と過電圧保護能力の関係を示したグラフ。
【図6】本発明の第6の実施の形態の電圧非直線抵抗体において、第1の高抵抗層形成時の焼き付け昇温速度と過電圧保護能力の関係を示したグラフ。
【図7】本発明の第7の実施の形態の電圧非直線抵抗体において、第2の高抵抗層形成時の焼き付け温度と過電圧保護能力の関係を示したグラフ。
【図8】本発明の第8の実施の形態の電圧非直線抵抗体において、第2の高抵抗層形成時の焼き付け昇温速度と過電圧保護能力の関係を示したグラフ。
【図9】本発明の第9乃至第11の実施の形態における電圧非直線抵抗体を示す断面図。
【符号の説明】
1,11…焼結体
2,12…電極
3,13…第1の高抵抗層
4,14…第2の高抵抗層[0001]
BACKGROUND OF THE INVENTION
The present invention relates to a voltage non-linear resistor used in an overvoltage protection device for protecting a power system, for example, and a manufacturing method thereof, and more particularly to a voltage non-linear resistor having a high resistance layer and a manufacturing method thereof.
[0002]
[Prior art]
In general, in a power system, an overvoltage protection device such as a lightning arrester or a surge absorber is used to remove the overvoltage superimposed on a normal voltage and protect the power system.
[0003]
In this overvoltage protection device, a voltage nonlinear resistor is mainly used. The voltage non-linear resistor is a resistor having a characteristic that exhibits a substantially insulating characteristic at a normal voltage and has a relatively low resistance when an overvoltage is applied.
[0004]
Such a voltage non-linear resistor is mainly composed of ZnO (zinc oxide), and is mixed, granulated and molded by adding at least one metal oxide as an additive in order to obtain non-linear resistance characteristics. Thereafter, a sintered body obtained by sintering is provided.
[0005]
In addition, in order to prevent flash-over from the side surface during surge absorption, a high resistance component paste coating or glass coating is applied to the side surface of the sintered body and then baked by heat treatment to provide high resistance. Forming a layer.
[0006]
[Problems to be solved by the invention]
In recent years, with the growth of power demand and the development of a highly information-oriented society, stable and inexpensive power supply is strongly demanded. In response to this, there is an increasing demand for high reliability and miniaturization in overvoltage protection devices.
[0007]
Recently, in order to meet such requirements, the voltage value per unit thickness of the voltage non-linear resistor is increased to keep the height dimension low, and further, the energy absorption capacity is improved to reduce the diameter. Miniaturization of linear resistors is being promoted.
[0008]
However, in the conventional voltage nonlinear resistor, when the high resistance layer is bonded to the side surface of the sintered body with an adhesive, the high resistance layer is easily peeled off from the sintered body due to a decrease in adhesive strength. Even if the resistance layer partially peels from the sintered body, there is a problem that the withstand voltage performance is lowered.
[0009]
Therefore, it has been difficult to meet the protection capability against surges such as lightning impulse and overvoltage required when the voltage nonlinear resistor is downsized by increasing the voltage per unit thickness or reducing the diameter.
[0010]
The present invention has been made to solve the above-mentioned problems, and protects against surges such as lightning impulse and overvoltage by forming a high resistance layer that has high adhesive strength and can exhibit excellent withstand voltage performance. An object of the present invention is to provide a voltage nonlinear resistor capable of improving the capability and a method for manufacturing the same.
[0011]
[Means for Solving the Problems]
In order to achieve the above object, in the present invention, a voltage nonlinear resistor is obtained by the following means and manufacturing method.
[0012]
The invention corresponding to
[0013]
In the voltage non-linear resistor of the invention corresponding to claim 1, the high resistance layer can be strongly bonded to the side surface of the sintered body, and the withstand voltage performance is improved. And can exhibit excellent protection ability.
[0014]
The invention corresponding to
[0015]
In the voltage nonlinear resistor of the invention corresponding to
[0016]
According to a third aspect of the present invention, in the voltage nonlinear resistor of the first or second aspect of the present invention, the high resistance layer has a thickness of 10 μm to 1 mm.
[0017]
In the voltage non-linear resistor of the invention corresponding to
[0018]
According to a fourth aspect of the present invention, there is provided a method for manufacturing a voltage nonlinear resistor according to any one of the first to third aspects of the present invention, wherein Al (H2POFour)Three(Primary aluminum phosphate) and Al6Si2O13(Mullite) as the main component2OFour(Ferrite) and Fe2OThree(Iron oxide) is added, mixed to form a mixed slurry, an application step of applying the mixed slurry to the side surface of the sintered body, and a baking step of baking the mixed slurry. A high resistance layer is formed.
[0019]
In the method of manufacturing a voltage non-linear resistor according to the invention corresponding to claim 4, Al (H2POFour)Three(Primary aluminum phosphate) and Al6Si2O13(Mullite) as the main component2OFour(Ferrite) and Fe2OThree(Iron oxide) is added and mixed to make a mixed slurry, and this is applied to the side of the sintered body and baked to produce Al.6Si2O13(Mullite) as the main component, AlPOFour(Aluminum orthophosphate), MnFe2OFour(Ferrite) and Fe2OThreeA voltage nonlinear resistor in which a first high resistance layer containing (iron oxide) is formed and strongly bonded to the side surface of the sintered body can be manufactured.
[0020]
According to a fifth aspect of the present invention, in the method for manufacturing a voltage non-linear resistor according to the fourth aspect of the present invention, when the first high resistance layer is formed, an average particle size is 0.01 in the mixing step. MnFe that is 10 μm2OFour(Ferrite) and Fe2OThree(Iron oxide) is used.
[0021]
In the method of manufacturing a voltage nonlinear resistor according to the invention corresponding to claim 5, MnFe2OFour(Ferrite) and Fe2OThreeBy limiting the average particle diameter of (iron oxide) to 0.01 to 10 μm, the high resistance layer can maintain appropriate uniformity and can have an excellent withstand voltage performance.
[0022]
According to a sixth aspect of the present invention, in the method for manufacturing a voltage non-linear resistor according to the fourth or fifth aspect of the present invention, in the case where the first high resistance layer is formed, 100 hours after the completion of the mixing step. The coating process and the baking process are finished within the range.
[0023]
In the method for manufacturing a voltage non-linear resistor according to the invention according to claim 6, the adhesive strength of the first high resistance layer is increased by terminating the coating step and the baking step within 100 hours from the end of the mixing step. A voltage non-linear resistor can be manufactured before it decreases.
[0024]
The invention corresponding to claim 7 is the method for producing a voltage non-linear resistor according to any one of claims 4 to 6, wherein when the first high resistance layer is formed, the baking step Thus, baking is performed at a maximum baking temperature of 200 ° C. to 800 ° C.
[0025]
In the method for manufacturing a voltage non-linear resistor according to the invention according to claim 7, the high resistance layer has excellent adhesive strength by baking at a maximum baking temperature in the baking step of 200 to 800 ° C. And can have excellent withstand voltage performance.
[0026]
According to an eighth aspect of the present invention, in the method for manufacturing a voltage non-linear resistor corresponding to any one of the fourth to seventh aspects, in the case where the first high resistance layer is formed, Baking is performed at a temperature rising rate of 10 ° C./hrs to 300 ° C./hrs at least from 100 ° C. to the maximum temperature.
[0027]
In the method for manufacturing a voltage non-linear resistor according to the eighth aspect of the invention, the first step is performed by baking at a baking temperature increase rate in the baking step in the range of 10 ° C./hrs to 300 ° C./hrs. The high resistance layer can have an excellent adhesive strength and can have an excellent withstand voltage performance.
[0028]
The invention corresponding to claim 9 is the method for producing a voltage non-linear resistor according to any one of
[0029]
In the method of manufacturing a voltage non-linear resistor according to the invention corresponding to claim 9, SiO 22(Silica) or Al2OThree(Alumina) or SiO2And CHThreeSiO1.5(Organosilicate) or Al2OThree(Alumina) and CHThreeSiO1.5By forming an amorphous second high resistance layer containing (organosilicate) as a main component, a non-linear resistor with further improved withstand voltage characteristics can be manufactured.
[0030]
The invention corresponding to claim 10 is the method of manufacturing a voltage non-linear resistor according to claim 9, wherein the baking maximum temperature is 50 ° C. to 50 ° C. in the baking step when the second high resistance layer is formed. Bake in the range of 800 ° C.
[0031]
In the method for manufacturing a voltage non-linear resistor according to the invention corresponding to claim 10, by baking at a maximum baking temperature in the baking step of the second high resistance layer in the range of 50 to 800 ° C., excellent Withstand voltage performance can be realized.
[0032]
According to an eleventh aspect of the present invention, in the method for manufacturing a voltage non-linear resistor according to the ninth or tenth aspect of the present invention, in the case of forming the second high-resistance layer, at least during baking, Baking is performed at a rate of temperature increase from 30 ° C. to the highest baking temperature in the range of 10 ° C./hrs to 300 ° C./hrs.
[0033]
In the voltage nonlinear resistor manufacturing method of the invention corresponding to claim 11, the baking temperature rising rate in the baking step of the second high resistance layer 4 is in the range of 10 ° C./hrs to 300 ° C./hrs. By performing the baking, an excellent withstand voltage performance can be realized.
[0034]
Reference Example 1On the side of the sintered body mainly composed of zinc oxide, Al6Si2O13(Mullite) as the main component, AlPOFour5.0 to 20 wt% and Mn2PO7Or MnFour(P2O7)ThreeAnd having a high resistance layer containing 0.5 to 3 wt%.
[0035]
Reference example 2On the side of the sintered body mainly composed of zinc oxide, Al6Si2O13(Mullite) as the main component, AlPOFour5.0 to 20 wt% and MgThree(POFour)2And having a high resistance layer containing 0.5 to 3 wt%.
[0036]
Reference example 3On the side of the sintered body mainly composed of zinc oxide, Al6Si2O13(Mullite) as the main component, AlPOFour5.0-20 w% and Ca (POThree)2And having a high resistance layer containing 0.5 to 3 wt%.
[0037]
Reference Example 4 is one of Reference Example 1 to Reference Example 3 aboveIn the voltage non-linear resistor, the high resistance layer has TiO2Or Fe2OThreeContains 0.2 to 5 wt%.
[0038]
Reference Example 5 is one of Reference Example 1 to Reference Example 3 aboveIn the voltage non-linear resistor, the high resistance layer has MnFe2OFourIs contained in an amount of 1 to 10 wt%.
[0039]
Reference Example 6 is one of Reference Examples 1 to 5 above.In the voltage nonlinear resistor, SiO is further formed on the high resistance layer.2, Al2OThreeIt has an amorphous high-resistance film containing as a main component.
[0040]
Therefore,According to Reference Example 1 to Reference Example 6 above,A voltage non-linear resistor that has greatly improved adhesion strength between the side of the sintered body and the high-resistance layer, provides stable quality to the external environment, and has both excellent discharge resistance characteristics and deterioration resistance characteristics. Obtainable.
[0041]
Where aboveFeatures of Reference Example 1 to Reference Example 6It is as follows when the function and effect are described.
[0042]
In order to form a high resistance layer,Like any of Reference Example 1 to Reference Example 3On the side of the sintered body mainly composed of zinc oxide, Al6Si2O13(Mullite) as the main component, a high resistance agent containing at least one of aluminum phosphate, manganese phosphate, magnesium phosphate, and calcium phosphate is applied and baked in a temperature range of 150 to 600 ° C. A high resistance layer is formed.
[0043]
At this time, by applying the high resistance agent to the side surface of the sintered body, it is possible to approach the distance working between the side surface portion of the sintered body by the action of wetting, but other phosphates are added to the aluminum phosphate. Addition increases the action of wetting, so that the adhesive strength can be increased. In order to improve wettability, the adhesive strength can be increased by appropriately adjusting the mixing ratio of other phosphates to aluminum phosphate.
[0044]
Moreover, characteristic deterioration with respect to a high humidity atmosphere is mentioned as a 2nd effect | action. In the case of a high resistance layer formed by baking a high resistance agent using only aluminum phosphate, a part of the unreacted aluminum phosphate is ionized and left in a high humidity atmosphere with a relative humidity of 85%, for example. In other words, since the surface of the high resistance layer has a relatively porous structure, moisture is absorbed through the pores and aggregation is likely to occur at the neck portion on the particle surface.
[0045]
As a result, it is considered that a uniform electric field layer is formed between the counter electrodes, whereby the electrical conductivity is increased and the characteristics are deteriorated.
[0046]
On the other hand, the addition of other phosphates to aluminum phosphate has the effect of suppressing ionization of a part of the unreacted aluminum phosphate, and the characteristics do not deteriorate even in a high humidity atmosphere.
[0047]
And alsoIn Reference Example 4TiO, which is a metal oxide2Or Fe2OThreeThe same effect can be expected by adding. This is because the metal oxide acts as a kind of catalyst and accelerates the curing reaction of the high resistance agent.
[0048]
further,In Reference Example 5, MnFe2OFourIt is considered that the same action is exerted by entering the relatively porous structure portion of the high resistance layer by adding.
[0049]
In Reference Example 6, Reference Examples 1 to 5On top of the high resistance layer, SiO2, Al2OThreeSince the amorphous high resistance film has a water generating action at the same time as entering the relatively porous structure portion of the high resistance layer by forming an amorphous high resistance film mainly composed of It is thought that the same effect is exerted by covering the side surface of the sintered body.
[0050]
On the other hand, in order to increase the adhesive force, it is necessary to match the thermal expansion coefficients of the sintered body and the high resistance agent in addition to improving the wettability of the high resistance agent to the side surface portion of the sintered body. When the difference between the thermal expansion coefficients of the sintered body and the high resistance agent is too large, peeling occurs during baking of the high resistance agent, or peeling occurs because excessive heat is generated during the discharge withstand capability.
[0051]
In this case, when the base material is a sintered body containing zinc oxide as a main component, Al is contained in the high resistance agent.6Si2O13Is preferably used as the main component.
[0052]
DETAILED DESCRIPTION OF THE INVENTION
Embodiments of the present invention will be described below with reference to the drawings.
[0053]
As shown in FIG. 1, the voltage non-linear resistor includes a
[0054]
The embodiments of the voltage non-linear resistor according to the present invention are all related to the first and second high resistance layers 3 and 4, but before that, the manufacturing process of the
[0055]
That is, for the main component ZnO (zinc oxide), Bi2OThree(Bismuth oxide), MnO2(Manganese oxide) 0.5 mol%, Co2OThree(Cobalt oxide), NiO (nickel oxide), Sb2OThreeA raw material is prepared by adding 1 mol% of (antimony trioxide).
[0056]
Next, this raw material is mixed with water and organic binders in a mixing device to form a mixed slurry. This mixed slurry is sprayed and granulated with a spray dryer, and a predetermined weight of the granulated powder is put into a mold and pressed with a predetermined pressure, and formed into a disk shape having a diameter of, for example, 80 mm. Then, in order to remove the added organic binders in advance, heat treatment is performed at 400 to 500 ° C. in the air, and further, firing is performed at 1200 ° C. to obtain the
[0057]
Next, a first embodiment of the first and second side resistance layers formed on the side surface of the
[0058]
The first
[0059]
First, Al (H2POFour)Three(Primary aluminum phosphate) and Al6Si2O13A slurry containing mullite as a main component is made, and MnFe is added to this slurry.2OFour(Ferrite) and Fe2OThree(Iron oxide) is added and mixed to make a mixed slurry (mixing step). Subsequently, this mixed slurry is applied to the side surface of the sintered body 1 (application step). Then, the mixed slurry is baked to form the first high resistance layer 3 (baking step).
[0060]
The second high resistance layer 4 formed on the first
[0061]
First, SiO2(Silica) or Al2OThree(Alumina) and SiOCHThreeAn aqueous solution containing (alkoxysilane), isopropanol, n-butanol, silicon surfactant and acetic acid as components is applied to the surface of the first
[0062]
Where Al6Si2O13AlPO whose main component is mullite and whose content is different from the aboveFour(Aluminum orthophosphate), MnFe2OFour(Ferrite) and Fe2OThreeSeveral types of voltage non-linear resistors in which the first high resistance layer is formed by baking with (iron oxide) as a subcomponent are prepared as samples, and these samples are compared with the sample corresponding to the first embodiment. .
[0063]
Also, AlPO having a content corresponding to the first embodimentFour(Aluminum orthophosphate), MnFe2OFour(Ferrite) and Fe2OThreeOn the surface of the first
[0064]
That is, AlPOFour(Aluminum orthophosphate) is 0.1, 1, 25, 30 wt%, MnFe2OFour(Ferrite) is 0.1,1,15,20 wt%, Fe2OThreeA voltage non-linear resistor in which several kinds of first high resistance layers 3 were formed so that the content of (iron oxide) was 0.01, 0.1, 15, and 20 wt was produced.
[0065]
Also, AlPO having a content corresponding to the first embodimentFour(Aluminum orthophosphate), MnFe2OFour(Ferrite) and Fe2OThreeOn the surface of the first
[0066]
An impulse current having an 8/20 μs waveform was applied to each of the samples thus prepared in steps of 60 kA to 10 kA, and the current value at which the sample was broken was measured to evaluate the overvoltage protection capability of each sample. . The results are shown in Tables 1 and 2.
[0067]
[Table 1]
[0068]
[Table 2]
[0069]
Sample corresponding to the first embodiment, that is, AlPOFourThe content of (aluminum orthophosphate) is 1,25 wt%, MnFe2OFour(Ferrite) content is 0.1,15 wt%, Fe2OThreeSamples having the first
[0070]
On the other hand, the samples other than the above were broken by applying a relatively low impulse current of 100 to 130 kA. Also, AlPO having a content corresponding to the first embodimentFour(Aluminum orthophosphate), MnFe2OFour(Ferrite) and Fe2OThreeOn the surface of the first
[0071]
As is clear from the above results, the first embodiment is made of Al.6Si2O13(Mullite) as the main component, AlPOFour(Aluminum orthophosphate) 1.0-25 wt%, MnFe2OFour(Ferrite) 0.1 to 15 wt%, Fe2OThreeBy including the first
[0072]
Therefore, it can be seen that the voltage non-linear resistor dramatically improves the protection capability against the impulse current. In addition, SiO2(Silica) or Al2OThree(Aluminum or SiO2(Silica) and CHThreeSiO1.5(Organosilicate) or Al2OThree(Alumina) and CHThreeSiO1.5It can be seen that by forming the second high-resistance layer 4 containing (organosilicate) as a main component, the ability to protect against impulse current is dramatically improved.
[0073]
As described above, as the component of the first
[0074]
Next, a second embodiment will be described.
[0075]
In the second embodiment, the thicknesses of the first and second high resistance layers 3 and 4 formed in the first embodiment are set to 10 μm to 1 mm.
[0076]
Here, several types of voltage nonlinear resistors having different thicknesses of the first and second high resistance layers 3 and 4 are manufactured, and the sample corresponding to the second embodiment is compared with other samples. Now, the function and effect of the second embodiment will be described.
[0077]
First Al6Si2O13(Mullite) as the main component, AlPOFour(Aluminum orthophosphate), MnFe2OFour(Ferrite), Fe2OThreeA first high-
[0078]
For each sample produced as described above, an impulse current having an 8/20 μs waveform is applied to each sample in increments of 60 kA to 10 kA, the current value at which the sample breaks is measured, and the overvoltage protection capability of each sample is evaluated. It was. The result is shown in FIG. Samples corresponding to the second embodiment, that is, samples having the thicknesses of the first and second high resistance layers 3 and 4 of 1, 10, 100, 500 μm and 1 mm, are broken by applying an impulse current of 190 kA or more. It was.
[0079]
In contrast, the sample not corresponding to the second embodiment, that is, the sample having a high resistance layer thickness of 0.1 μm and 2 mm, was broken by applying an impulse current as low as 100 to 130 kA. This is because, if the thicknesses of the first and second high resistance layers 3 and 4 are too small, it is impossible to obtain an excellent impulse current protection capability. If the thickness is too thick, the adhesive strength of the first and second high resistance layers 3 and 4 decreases as the thickness increases, and it is impossible to obtain an excellent impulse current protection capability. ing.
[0080]
From the above results, in the second embodiment, by setting the thickness of the first and second high resistance layers 3 and 4 to 10 μm to 1 mm, both appropriate adhesive strength and good withstand voltage performance can be obtained. Can be ensured, and the ability to protect the impulse current can be greatly improved.
[0081]
Next, a third embodiment will be described.
[0082]
In the third embodiment, among the steps of forming the first
[0083]
Here, in order to explain the operational effects of the third embodiment, MnFe2OFour(Ferrite) and Fe2OThreeSeveral kinds of voltage non-linear resistors having different average particle diameters of (iron oxide) are produced.
[0084]
First, as in the second embodiment, Al6SiO13(Mullite) as the main component, AlPOFour(Aluminum orthophosphate), MnFe2OFour(Ferrite), Fe2OThreeA first
[0085]
For each of these samples, SiO2 (silica) and CH on the first high resistance layer 3.ThreeSiO1.5An amorphous second high resistance layer 4 mainly composed of (organosilicate) was formed and used as an evaluation sample.
[0086]
By applying an impulse current of 8/20 μs waveform to each sample produced as described above in increments of 60 kA to 10 kA, and measuring the current value when the sample is destroyed, the overvoltage protection capability of each sample is measured. Evaluation was performed.
[0087]
The result is shown in FIG. A sample corresponding to the third embodiment, that is, MnFe2OFour(Ferrite) and Fe2OThreeSamples with an average particle size of (iron oxide) of 0.01 to 10 μm were broken by applying an impulse current of 190 kA or more, but samples with an average particle size outside the above range were 100 to 130 kA. Destruction occurred by applying an impulse current.
[0088]
In general, the finer the average particle diameter of the powder, the worse the dispersibility. Therefore, the uniformity of the first
[0089]
On the other hand, if the average particle size of the powder to be used is coarse, it tends to be unevenly deposited in the high resistance layer component, so MnFe having an average particle size of 20 μm.2OFour(Ferrite) and Fe2OThreeA sample using (iron oxide) does not have an excellent protection capability against impulse current.
[0090]
From the above results, in the third embodiment, MnFe having an average particle diameter in the range of 0.01 to 10 μm.2OFour(Ferrite) and Fe2OThreeBy adding (iron oxide), the first high-
[0091]
Next, a fourth embodiment will be described.
[0092]
In the fourth embodiment, when the first
[0093]
Here, in order to explain the operation and effect of the fourth embodiment, the following sample was prepared.
[0094]
Al (H2POFour)Three(Primary aluminum phosphate) and Al6Si2O13(Mullite) as the main component2OFour(Ferrite) and Fe2OThreeIn addition, 5 wt% of each (iron oxide) was added and applied to the side surface of the
[0095]
For each of these samples, a
[0096]
By applying an impulse current of 8/20 μs waveform to each sample produced as described above in increments of 60 kA to 10 kA, and measuring the current value when the sample breaks, the overvoltage protection capability of each sample is measured. Evaluation was performed.
[0097]
The result is shown in FIG. The sample corresponding to the fourth embodiment, that is, the slurry, MnFe2OFour(Ferrite) and Fe2OThreeThe sample that was applied and baked within 100 hours after the addition of (iron oxide) was broken by applying an impulse current of 180 kA or more.
[0098]
In contrast, the slurry is MnFe2OFour(Ferrite) and Fe2OThreeSamples applied and baked after 120 and 180 hours after addition of (iron oxide) were broken by applying an impulse current of 100 to 130 kA. The reason why the breakdown current value is small is considered as follows.
[0099]
Al (H2POFour)ThreeMnFe in (primary aluminum phosphate)2OFour(Ferrite) and Fe2OThreeWhen (iron oxide) is added, the added MnFe2OFour(Ferrite) and Fe2OThree(Iron oxide) gradually dissolves and Al (H2POFour)ThreePrevents normal curing reaction of (primary aluminum phosphate).
[0100]
Therefore, the adhesive strength of the first
[0101]
From the above results, in the fourth embodiment, MnFe2OFour(Ferrite) and Fe2OThreeBy applying and baking within 100 hours after adding (iron oxide), it can be formed on the side surface of the
[0102]
Next, a fifth embodiment will be described.
[0103]
In the fifth embodiment, when the first
[0104]
Here, the following sample was prepared in order to explain the function and effect of the fifth embodiment.
[0105]
Al (H2POFour)Three(Primary aluminum phosphate) and Al6Si2O13(Mullite) as the main component2OFour(Ferrite) and Fe2OThree(Iron oxide) is added at 5 wt% each, and when applying and baking the side surface of the
[0106]
For each of these samples, a
[0107]
An impulse current having an 8/20 μs waveform was applied to each sample produced as described above in increments of 60 kA to 10 kA, the current value at which the sample was broken was measured, and the overvoltage protection capability of each sample was evaluated.
[0108]
The result is shown in FIG. The sample corresponding to the fifth embodiment, that is, the sample that was baked at a maximum baking temperature of the first
[0109]
In contrast, the samples baked at 150 ° C. and 1000 ° C. were broken by applying an impulse current of 100 to 110 kA. The reason why the breakdown current value is small is considered as follows.
[0110]
At baking temperatures below 200 ° C., Al (H2POFour)ThreeSince the curing reaction of (primary aluminum phosphate) does not occur, Al6Si2O13(Mullite) as the main component, AlPOFour(Aluminum orthophosphate), MnFe2OFour(Ferrite), Fe2OThreeSince the first
[0111]
Also, at baking temperatures higher than 800 ° C., Al (H2POFour)ThreeSince the normal curing reaction of (primary aluminum phosphate) cannot be caused, Al6Si2O13(Mullite) as the main component, AlPOFour(Aluminum orthophosphate), MnFe2OFour(Ferrite), Fe2OThreeThe first
[0112]
From the above results, in the fifth embodiment, the highest temperature at which the first high-
[0113]
Next, a sixth embodiment will be described.
[0114]
In the sixth embodiment, when the first
[0115]
Here, the following sample was prepared in order to explain the function and effect of the fifth embodiment.
[0116]
Al (H2POFour)Three(Primary aluminum phosphate) and Al6Si2O13(Mullite) as the main component2OFour(Ferrite) and Fe2OThree(Iron oxide) is added in an amount of 5 wt%, and the temperature rise rate during baking is 5,10,100,200,300 and 400 ° C./hrs in applying and baking the side surface of the
[0117]
For each of these samples, a
[0118]
An impulse current having a waveform of 8/20 μs was applied to each sample produced in this manner in increments of 60 kA to 10 kA, the current value at which the sample was broken was measured, and the overvoltage protection capability of each sample was evaluated. .
[0119]
The result is shown in FIG. In the sample corresponding to the sixth embodiment, that is, the sample subjected to baking at a baking temperature increase rate of 10 to 300 ° C./hrs in the first high resistance layer, destruction occurs by applying an impulse current of 190 kA or more. It was.
[0120]
In contrast, the samples baked at 5 ° C./hrs and 400 ° C./hrs were broken by applying an impulse current of 100 to 130 kA. The reason why the breakdown current value is small is considered as follows.
[0121]
By baking the first
[0122]
On the other hand, when the temperature rising rate becomes faster than 300 ° C./hrs, Al (H2POFour)ThreeThe curing reaction of (first aluminum phosphate) proceeds rapidly, and the degree of adhesion to the side surface of the
[0123]
Further, at a baking temperature increase rate of less than 10 ° C./hhrs, Al (H2POFour)ThreeThe curing reaction of (primary aluminum phosphate) proceeds slowly, and Al6Si2O13(Mullite) as the main component, AlPOFour(Aluminum orthophosphate), MnFe2OFour(Ferrite), Fe2OThreeSince the first
[0124]
From the above results, in the sixth embodiment, the first high-
[0125]
Next, a seventh embodiment will be described.
[0126]
In the seventh embodiment, Al6Si2O13(Mullite) as the main component, AlPOFour(Aluminum orthophosphate), MnFe2OFour(Ferrite), Fe2OThreeOn the first
[0127]
Here, in order to explain the function and effect of the seventh embodiment, the following sample was prepared.
[0128]
On the first
[0129]
An impulse current having a waveform of 8/20 μs was applied to each sample produced in this manner in increments of 60 kA to 10 kA, the current value at which the sample was broken was measured, and the overvoltage protection capability of each sample was evaluated. .
[0130]
The result is shown in FIG. The sample corresponding to the seventh embodiment and the sample that was baked at the maximum baking temperature of the second high-resistance layer 4 in the range of 50 to 800 ° C. were broken by the application of an impulse current of 190 kA or more.
[0131]
In contrast, the samples baked at 30 ° C. and 1000 ° C. were broken by applying an impulse current of 100 to 110 kA. The reason why the breakdown current value is small is considered as follows.
[0132]
Since the evaporation of isopropanol and n-butanol does not occur at a baking temperature of less than 50 ° C., the second high resistance layer 4 mainly composed of SiO 2 (silica) and
[0133]
In addition, when the baking temperature exceeds 800 ° C., the evaporation of isopropanol and n-butanol occurs abruptly.2(Silica) and CHSiO1.5Since the second high-resistance layer 4 containing (organosilicate) as a main component was not formed in a normal state, good withstand voltage performance could not be obtained, and an excellent protection capability against impulse current could not be obtained. .
[0134]
From the above results, in the seventh embodiment, the second high resistance layer 4 having good withstand voltage performance is obtained by performing the maximum temperature for baking the second high resistance layer 4 at 50 to 800 ° C. It can be formed on the side surface of the
[0135]
As described above, as an example in which the baking temperature of the second high resistance layer 4 is limited, SiO 22(Silica) and CHSiO1.5The case where the second high resistance layer 4 mainly composed of (organosilicate) is formed is described as a representative example.2(Silica) or Al2OThree(Alumina) or Al2OThree(Alumina) and CHSiO1.5It has been confirmed that even when the second high-resistance layer 4 containing (organosilicate) as a main component is formed, the best impulse resistance can be realized in the above baking temperature range.
[0136]
Next, an eighth embodiment of the present invention will be described.
[0137]
In the eighth embodiment, Al6Si2O13(Mullite) as the main component, AlPOFour(Aluminum orthophosphate), MnFe2OFour(Ferrite), Fe2OThree(SiO 2), SiOCH (SiO 2) on the first
[0138]
Here, in order to explain the function and effect of the eighth embodiment, the following sample was prepared.
[0139]
On the first
[0140]
While applying an impulse current having a waveform of 8/20 μs to each sample produced in this manner in steps of 60 kA to 10 kA, the current value at which the sample breaks is measured to evaluate the overvoltage protection capability of each sample. It was.
[0141]
The result is shown in FIG. The sample corresponding to the eighth embodiment and the sample baked in the range of the maximum baking temperature of the second high resistance layer 4 in the range of 10 to 300 ° C./hrs were broken by applying the impulse current of 190 kA or more. .
[0142]
In contrast, the samples baked at 5 ° C./hrs and 400 ° C./hrs were broken by applying a 100 to 130 kA impulse current. The reason why the breakdown current value is small is considered as follows.
[0143]
At a heating rate of less than 10 ° C./hrs, the reaction proceeds slowly and SiO 22(Silica) and CHThreeSIO1.5Since the second high-resistance layer 4 containing (organosilicate) as a main component was not completely formed, good withstand voltage performance could not be obtained, and the protection capability against impulse current was lowered.
[0144]
Further, at a baking temperature exceeding 300 ° C./hrs, the evaporation of isopropanol and n-butanol abruptly occurs.2(Silica) and CHThreeSIO1.5Since the second high-resistance layer 4 containing (organosilicate) as a main component was not formed in a normal state, good withstand voltage performance was not obtained, and the ability to protect against impulse current was reduced.
[0145]
From the above results, in the eighth embodiment, the second high resistance layer having good withstand voltage performance is obtained by performing the maximum temperature for baking the second high resistance layer 4 at 10 to 300 ° C./hrs. 4 can be formed on the side surface of the
[0146]
As described above, as an example in which the baking temperature of the second high resistance layer 4 is limited, SiO 22(Silica) and CHThreeSIO1.5The case where the second high-resistance layer 4 mainly composed of (organosilicate) is formed has been described as a representative example.2(Silica) or ALAl2OThree(Alumina) or Al2OThree(Alumina) and CHThreeSIO1.5It has been confirmed that even when the second high-resistance layer 4 containing (organosilicate) as a main component is formed, the best impulse resistance can be realized in the above baking temperature range.
[0147]
As described in the first to eighth embodiments of the voltage nonlinear resistor and the manufacturing method thereof according to the present invention described above, the first high resistance formed on the side surface of the
[0148]
Next, an embodiment of the voltage nonlinear resistor according to the present invention, which is composed of components different from those of the first to eighth embodiments described above, and a method for manufacturing the same will be described.
[0149]
In the ninth embodiment, Al is formed on the side surface of the sintered body containing zinc oxide as a main component.6Si2O13A voltage non-linear resistor in which (Mulite) is the main component, a high resistance agent containing a manganese phosphate salt is applied to an aluminum phosphate salt, and a high resistance layer is formed by baking treatment will be described.
[0150]
FIG. 9 is a cross-sectional view of the ceramic element according to the present embodiment. As shown in FIG. 9, the
[0151]
A first
[0152]
Further, a second side
[0153]
Here, a manufacturing process for obtaining the
[0154]
First, zinc oxide is prepared by adding 0.5 mol% each of bismuth oxide, manganese oxide, silicon dioxide, and chromium oxide and 1 mol% each of cobalt oxide, antimony oxide, and nickel oxide to zinc oxide (ZnO).
[0155]
Next, the raw material is mixed with water and organic binders in a mixing apparatus, and the mixture is spray granulated with a spray dryer.
[0156]
Next, this granulated powder is put into a mold and pressed, and formed into a disk having a diameter of 80 mm and a thickness of 30 mm, for example. For example, a test piece having a size of 100 mm × 100 mm × 30 mm is formed in advance.
[0157]
The molded body thus obtained is fired at a temperature of about 1200 ° C. to obtain a
[0158]
Al to this test piece P16Si2O13(Mullite) as a main component, a high resistance agent prepared by adjusting aluminum phosphate and manganese phosphate to appropriate amounts is hung, and after examining the wetting angle, it is applied to another test piece P1 and sintered
[0159]
At this time, an appropriate amount of high resistance agent is applied so that the film thickness of the first
[0160]
Next, in order to examine the adhesive strength, a surface perpendicular to the adhesion surface of the test piece P1 on which the first
[0161]
On the other hand, both end surfaces of the
[0162]
Here, the film thickness of the high resistance layer of the voltage nonlinear resistor and the film thickness of the test piece P2 were measured during polishing.
[0163]
As a comparative example, the same
[0164]
Table 3 shows the wetting angle, peeled area, impact adhesive strength, tensile adhesion strength, discharge withstand characteristics, electrical charging life characteristics, and moisture resistance characteristics of the product of the present invention and Comparative Example 1.
[0165]
[Table 3]
[0166]
8p of each test sample was prepared.
[0167]
Here, the peeled area indicates the external appearance of the non-linear resistor, that is, the total area where the
[0168]
The impact adhesive strength is based on the DuPont impact resistance test (see JIS K5400 8.3). The test piece is a test piece P2, and a weight of 500 ± 1 mm is dropped from a certain height to form a high and low resistance surface. Plot the average of the height positions where no cracks and no delamination occur.
[0169]
The tensile adhesion strength of the high resistance layer was determined based on JIS K5400 8.7. Here, test piece P2 was used as a test piece. Tensile strength is plotted as an average value.
[0170]
With respect to the discharge withstand characteristics, a 4/10 μs impulse was energized twice at 5-minute intervals, and the current value was increased from 40 kA to 20 kA until breakdown and creeping flashing occurred.
[0171]
The charging life characteristic is performed under the conditions of an ambient temperature of 120 ° C. and a charging rate of 95% (AC peak value), and the ratio It / I0 of the initial leakage current value I0 and the leakage current value It after T time exceeds 1.1. Time was measured.
[0172]
In the moisture resistance test, the ambient temperature is set to 20 ° C., and an aqueous potassium chloride solution is immersed in a desiccator in order to keep the inside of the test tank at a constant humidity. In this case, the relative humidity is adjusted to about 85%, and the voltage nonlinear resistor is left in the desiccator. After 60 hours, the voltage value V of
[0173]
As can be seen from Table 3, as shown in the present embodiment, Al6Si2O13A high resistance agent containing (mullite) as a main component and adjusting aluminum phosphate and manganese phosphate to appropriate amounts has a smaller wetting angle than the comparative example.
[0174]
Furthermore, the wetting angle can be optimized by adjusting aluminum phosphate and manganese phosphate to appropriate amounts. If the wetting angle is 60 ° or less, the peel area is 100 mm or less, the impact adhesive strength is improved to 50 mm or more, and the tensile adhesion strength is improved to 0.8 MPa or more, but the thickness of the high resistance film is 50 to 200 μm. It can be seen that some have strong impact adhesive strength and tensile adhesion strength, and also have good discharge tolerance characteristics.
[0175]
Al6Si2O13A high resistance agent containing (mullite) as a main component and adjusting aluminum phosphate and manganese phosphate to appropriate amounts is superior in both the electric life and humidity resistance compared to the comparative example.
[0176]
In the tenth embodiment, the high resistance agent having a wetting angle of 30 ° shown in the ninth embodiment is added to Fe.2OThreeA suitable amount of MnFe2OFourEach of those containing an appropriate amount was baked to form a high and low resistance layer. In addition, SiO2, Al2OThreeAn amorphous high-resistance film 4 was formed by applying an amorphous high-resistance agent having a main component and then baking.
[0177]
As a comparative example, the high and low resistance layer made of a high resistance agent having a wetting angle of 30 ° shown in the ninth embodiment is made of SiO.2, Al2OThreeA non-linear resistor (Comparative Example 2) and Al coated with an amorphous high resistance agent mainly composed of2OThreeIn a high resistance layer composed of a main component containing aluminum phosphate and an appropriate amount of aluminum phosphate.2, Al2OThreeA non-linear resistor (Comparative Example 3) was manufactured by baking an amorphous high-resistance agent having a main component of 100 to 350 ° C.
[0178]
Here, the coating amount is adjusted so that the thickness of the high resistance layer is constant.
[0179]
Table 5The product of the present invention and Fe of Comparative Example 2 and Comparative Example 32OThreeAddition amount, MnFe2OFourAddition amount, presence / absence of amorphous high-resistance film, discharge withstand characteristics, electrical charging life characteristics, and moisture resistance characteristics are shown.
[0180]
[Table 4]
[0181]
Table 5It can be seen from Al6Si2O13(Mullite) as the main component, Fe is added to a high-resistance agent in which aluminum phosphate and manganese phosphate are adjusted to appropriate amounts.2OThreeContaining a proper amount, and MnFe2OFourWhen containing a suitable amount, the moisture resistance is greatly improved, but Fe2OThree0.2-5 wt% or MnFe2OFourWhen the value is deviated from 1 to 10 wt%, the discharge withstand characteristic is deteriorated or the moisture resistance characteristic is deteriorated. Fe2OThreeAnd MnFe2OFourIs within the above range, there is no effect even if both are used simultaneously.
[0182]
Further, on these high and low resistance layers, SiO2, Al2OThreeIn the case where an amorphous high and low resistance layer mainly composed of is formed, the moisture resistance is further improved.
[0183]
Next, an eleventh embodiment of the present invention will be described.
[0184]
AlPO in the high resistance layer is adjusted by adjusting the amount of aluminum phosphate and manganese phosphate in the side high resistance agent.Four, MnFour(P2O7)Three% By weight and baking temperature were examined. Furthermore, the baking temperature when the amorphous high resistance film was formed was also examined. The resultTable 4Shown in
[0185]
[Table 5]
[0186]
Table 4From what you can seeMn Four (P 2 O 7 ) Three When the added amount is in the range of 0.5 to 3 wt%, the discharge withstand characteristics, the charging life characteristics, and the moisture resistance test show better characteristics than the comparative example, but further the baking temperature of the high resistance layer is 150 to Even better properties can be obtained if an amorphous high and low anti-resistive film is formed at 600 ° C. at 150 to 350 ° C.
[0187]
AlPOFourIt can be seen that the discharge withstand amount is fixed when the value is out of 5 to 20 wt%. This is AlPOFourThis is considered to be because the adhesion strength is fixed when the value is outside the above range.
[0188]
As shown in the eleventh embodiment, when the baking temperature is high, the electric charging life characteristic tends to be lowered. This is because, when baking is performed at these high temperatures, the crystal phase of the sintered body causes a phase transition. Therefore, it is desirable that the baking temperature is as low as possible.
[0189]
In addition, the present invention may be as follows.
[0190]
In the present invention, the main component of the high resistance layer is Al.6Si2O13(Mullite) is used to match the thermal expansion coefficient with the sintered body. That is, when a large surge energy is injected into the element body, the temperature rises suddenly. Therefore, if the thermal expansion difference between the element body and the high resistance layer is large, the high resistance layer is peeled off from the element body, and the discharge withstand characteristics are reduced. End up.
[0191]
Al as main component of high resistance layer6Si2O13When (mullite) is used, in the range of 20 to 200 ° C., the difference in thermal expansion coefficient between the element body and the high resistance layer is ± 2.0 × 10-6/ ° C., and a stable high resistance layer can be obtained by using other metal oxides.
[0192]
The present invention is not limited to the embodiments described above and shown in the drawings, and can be implemented with appropriate modifications within a range not changing the gist thereof.
[0193]
For example, in the present embodiment, Al is formed on the side surface of the sintered body mainly composed of zinc oxide.6Si2O13(Mullite) as the main component, AlPOFour5.0 to 20 wt%, MnFour(P2O7)ThreeThe side resistance layer containing 0.5 to 3 wt% is described.Four(P2O7)ThreeInstead ofMn 2 PO 7 ,Mg Three (PO 4 ) 2 , Ca (POThree)2It has been confirmed that the same effect can be obtained even if the is added.
[0194]
According to the ninth to eleventh embodiments of the present invention described above, the voltage non-linear resistor using the ceramic element having both better and stable discharge withstand characteristics and excellent characteristics deterioration. Can be obtained.
[0195]
【The invention's effect】
As described above, according to the present invention, a voltage that can improve the protection capability against surges such as lightning impulse and overvoltage by forming a high resistance layer that has high adhesive strength and can exhibit excellent withstand voltage performance. A non-linear resistor and a manufacturing method thereof can be provided.
[Brief description of the drawings]
FIG. 1 is a cross-sectional view showing a voltage nonlinear resistor according to first to eighth embodiments of the present invention.
FIG. 2 is a graph showing the relationship between the thicknesses of first and second high resistance layers and overvoltage protection capability in a voltage nonlinear resistor according to a second embodiment of the present invention.
FIG. 3 shows the average particle diameters of ferrite and iron oxide in the mixing step of forming the mixed slurry in the step of forming the first high resistance layer in the voltage nonlinear resistor according to the third embodiment of the present invention. A graph showing the relationship of overvoltage protection capability.
FIG. 4 shows the time from the addition of ferrite and iron oxide to the end of coating and baking in the step of forming the first high resistance layer in the voltage nonlinear resistor according to the fourth embodiment of the present invention. And graph showing the relationship between overvoltage protection capability.
FIG. 5 is a graph showing the relationship between the baking temperature and the overvoltage protection capability when the first high resistance layer is formed in the voltage nonlinear resistor according to the fifth embodiment of the present invention.
FIG. 6 is a graph showing the relationship between the baking temperature rise rate and the overvoltage protection capability when forming the first high-resistance layer in the voltage nonlinear resistor according to the sixth embodiment of the present invention.
FIG. 7 is a graph showing the relationship between the baking temperature and the overvoltage protection capability when the second high-resistance layer is formed in the voltage nonlinear resistor according to the seventh embodiment of the present invention.
FIG. 8 is a graph showing the relationship between the baking temperature rise rate and the overvoltage protection capability when forming the second high resistance layer in the voltage nonlinear resistor according to the eighth embodiment of the present invention.
FIG. 9 is a cross-sectional view showing a voltage nonlinear resistor according to ninth to eleventh embodiments of the present invention.
[Explanation of symbols]
1,11 ... Sintered body
2,12 ... Electrodes
3, 13 ... first high resistance layer
4, 14 ... second high resistance layer
Claims (11)
前記高抵抗層が、Al6Si2O13(ムライト)を主成分として、少なくともAlPO4(オルトリン酸アルミニウム)を1.0〜25wt%、MnFe2O4(フェライト)を0.1〜15wt%、Fe2O3(酸化鉄)を0.1〜15wt% 含む成分で構成されたことを特徴とする電圧非直線抵抗体。In a voltage non-linear resistor having a sintered body mainly composed of zinc oxide and having a high resistance layer on a side surface of the sintered body,
The high resistance layer is mainly composed of Al 6 Si 2 O 13 (mullite), at least AlPO 4 (aluminum orthophosphate) at 1.0 to 25 wt%, and MnFe 2 O 4 (ferrite) at 0.1 to 15 wt%. A voltage non-linear resistor comprising a component containing 0.1 to 15 wt% of Fe 2 O 3 (iron oxide).
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