JP4156988B2 - 合成樹脂製雨水ますのバケット浮上防止装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、合成樹脂製雨水ますのバケット浮上防止装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、ますと呼ばれる排水設備には、汚水ますと雨水ますとがあって、このうち、雨水ますは路面や宅地や空き地等に降った雨水を集水・収容したり、雨水管の点検・掃除をしたりするための設備であって、底部に15cm以上の深さの泥だめ部を必要とし、この泥だめ部によって土砂が下流の下水管へ流れ込まないようにしている。
【0003】
ところで、従来の雨水ますの大半は、コンクリ−ト製であるので、低廉性やコンパクト性や、塩ビ製雨水管との接続性等により、合成樹脂製雨水ますの出現が要請されている。
【0004】
そのため、例えば点検筒用受口と、流出・入の雨水管用差口とをもったバケツ状のポリプロピレン製雨水ますが一部実施されており、また、このポリプロピレン製雨水ますを改善しようとした提案もなされている。
【0005】
本出願人も次のような提案を行っている(例えば、特許第2741348号公報参照)。
【0006】
この雨水ますは、汎用されている塩ビ製小口径汚水ますのようなTS接合用受口をもつ塩ビ製雨水ます本体6を主体とするもので、コンパクトで且つ安価となり、宅地内に設置する雨水ますに好適なものである。
【0007】
この雨水ます本体6は、図4および図5に示すように、塩ビ射出成形品であって、上向きに呼び径150mmφ〜200mmφ用の点検筒用受口3と、四方横向きに呼び径75mmφまたは100mmφ用の流入側および流出側の雨水管用受口5,5…とがそれぞれ設けられている。
【0008】
これらの受口3,5は、JIS規格で定められた通常のTS接合用受口でもよいが、軸方向長を短縮したコンパクトな接着接合受口に構成されている。
【0009】
また、雨水ます本体6には、下向きに雨水ます本体6の円形胴13の外径をそのまま延長して一般の塩ビパイプの外径と同じ形状の差口長さとし、これを接続筒7に構成している。この接続筒7はます本体内で開口している。
【0010】
したがって、接続筒7の径を可及的に大にしたので、小口径の雨水ますでありながら、泥だめ容量を大にすることができる。
【0011】
この接続筒7のます本体内開口部には、接続筒6のます本体開口内周を形成する縮径リング12が一体的に形成され、この縮径リング12の上面は、軸心下方に向け傾斜している。
【0012】
この縮径リング12に、底部に水抜き孔14,14…のある土砂捕捉用バケット9の開口部フランジ11が嵌合される。このバケット9には常時、1対の溝23で挟持されて立設している下げ手10を設けている。
【0013】
この接続筒7には、有底泥だめ部8をワンタッチ式に着脱自在に設けている。すなわち、この有底泥だめ部8は塩ビ射出成形により作られ、図5に示すように、その胴の外周上下の中間より上方に、係止爪15が突設され、この係止爪15は接続筒7の内周に設けられたバヨネット爪16に係止される。また、接続筒7と有底泥だめ部8との間にOリング17を設けてシ−ルしている。
【0014】
また、このバケット9は、有底泥だめ部8に載置されている。そのため、雨水ますへ雨水が流入すると、バケット9が浮上するのを防ぐため、開口部フランジ11の外周に1対の断面半円状のポッチ円弧19を設けている。
【0015】
更に、開口部フランジ11は折り返し状にして且つ縮径リング12の上面と面一に形成され、その外周面20を、その上端から下端に向けて径が漸減する下方内向のテ−パ面(漏斗状)にしている。なお、21はスキマを示す。
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
かかる提案の雨水ますでは、また、特開平9−41474号公報記載の雨水ますでも、雨水が雨水ますへ流入して有底泥だめ部8に溜ると、バケット9が浮上しようとするが(もし、バケット9が浮上すると、雨水ますの流・出入口を閉塞する)、ポッチ円弧(突起部)19を設けているので、これがバケット9の浮上防止となって、かかる不都合を発生させないものの、更に次のような問題が発見された。
【0017】
(1)本来、雨水ますのバケット9は、少なくとも年2回以上掃除を行い、土砂の流下を防止すること、との一般的注意が知られており、したがって、バケット9は雨水ます布設後、しばしば着脱を行う必要から、取出後の再収容セット時に、有底泥だめ部8に経年により若干の土砂が残っていると、ポッチ円弧19を越えてバケット9を再収容セットしにくい、という維持管理上の問題が発見された。
【0018】
(2)勿論もし、セット不良で、ポッチ円弧19の係止がないままにしておくと、バケット9の浮上による、ます管路の閉塞となり、折角のポッチ円弧19の機能を果たさない。
【0019】
かかる問題を分析してみると、バケット9を有底泥だめ部8の底部に当接させた位置でポッチ円弧19が雨水ます本体6の縮径リング12を越えて係止する、という構成によることが判明した。
【0020】
そこで本発明は、かかる問題を解消するため、この種の雨水ますでは、いずれもこの有底泥だめ部8にバケット9を収容セットした場合、少なくとも上下中間迄は、両者の間に形成する側部空間の間隔が上下方向略一定にある点に着目して創作された。
【0021】
【課題を解決するための手段】
かかる問題を解決するため、本発明の要旨とするところは、1)雨水ますの有底泥だめ部にバケットを取出自在に収容セットし、これらの有底泥だめ部とバケットとの各側部間で形成した空間であって、その上端側を除いた部位に、バケットの収容操作を容易にしながら、バケット浮上を防止するような部材を設け、該部材を外向きリップ付弾性体としたことを特徴とする合成樹脂製雨水ますのバケット浮上防止装置にあり、また、2)雨水ますの有底泥だめ部にバケットを取出自在に収容セットし、これらの有底泥だめ部とバケットとの各側部間で形成した空間であって、その上端側を除いた部位に、バケットの収容操作を容易にしながら、バケット浮上を防止するような部材を設け、該部材をフランジパッキンとしたことを特徴とする合成樹脂製雨水ますのバケット浮上防止装置にあり、また、3)前記外向きリップ付弾性体を前記バケットにその全周でない途切れて構成した請求項1に記載の合成樹脂製雨水ますのバケット浮上防止装置にある。
【0022】
【実施例】
本発明を添付図面に示す実施例により詳細に述べる。
【0023】
図1は本発明の実施例の全体の縦断面図、図2は図1の要部背面図、図3は図2のA〜A断面図(A)およびその拡大図(B)、(C)であって、図4で示す従来例と同一部分には同一符号を付し、その説明を簡略ない省略するので、そのままに記載があるものとする。
【0024】
先ず、本発明の実施例の雨水ます1の概要を述べる。
【0025】
この雨水ます1は、雨水ます本体6と有底泥だめ部(浸透ますでは有孔有底となる)2とを一体に射出成形したものである。勿論別体の有底泥だめ部8で一体化してもよい。
【0026】
したがって、その雨水ます本体6に用いる取出自在の土砂捕捉用バケット9には、その深さ約160〜180mmのものが収容セットできるように用いられる。
【0027】
このバケット9を有底泥だめ部2に収容セットしたとき、バケット9の開口部上縁は雨水ます1の管底ライン4より所定の沈み深さ、例えば約20mm、下方に位置するようにして流れを阻害しないようにしている。
【0028】
勿論、このバケット9を収容セットした状態では、有底泥だめ部2とバケット9とは、その底部と側部とにおいて、空間を介在形成し、バケット9の取出しを容易にすると共に、有底泥だめ部2に雨水が溜まっている場合には、バケット9を再収容セットするとき、これを逃がすようにして、特に、バケット9の底部24の横向き開口の大きい水抜き孔14もあって、再収容セットを容易にしている。
【0029】
そして、有底泥だめ部2とバケット9との各形状を略相似形の略逆円錐台状の有底円筒体にしていて、したがって、各側部は底部に向かって徐々に縮径されている。勿論、単なる円筒体であってもよい。
【0030】
それ故、有底泥だめ部2とバケット9との各側部において、少なくとも上方では側部空間の間隔は略一定になっている。
【0031】
また、バケット9の開口部には、ステンレス丸棒からなる半円状下げ手10を常時立設している。
【0032】
すなわち、下げ手10の各端部を内向き直角状に折り曲げてバケット9の開口部外側から内向きに挿入し、その下げ手10の端部の垂直部を有底泥だめ部2の開口部内面に接触させて、下げ手10の常時立設を図ると共に、バケット9の収容セットの位置決めにしている。
【0033】
したがって、バケット9を収容セットし、バケット9の足18が有底泥だめ部2の底部22の上面に当接するときに、この下げ手10の端部外面が有底泥だめ部2の開口部内面に密接するようにしている。
【0034】
ここにおいて、本実施例のバケット9の浮上防止を次のように構成した。
【0035】
本実施例の雨水ます1では、少なくとも、略上半分に形成する側部空間を利用して、バケット9の側部25の上下略中間外面に、外向きリップ付弾性リングたるフランジパッキン23を周設し、そのリップ部33を有底泥だめ部2の側部内面に弾圧させるようにして、バケット9の浮上防止を図っている。
【0036】
すなわち、バケット9の足18が有底泥だめ部2の底部22の上面に届くまで、有底泥だめ部2の内周壁にリップ部33が当り、そのフランジパッキン30の弾性変形により、バケット9を保持セットさせる。
【0037】
本来、浮上阻止のためには上面圧を増加させればよいが、つまり、上方部に抵抗力を与えればよい。そこで、このフランジパッキン30の周設位置がバケット9の底部24に近いと、バケット9の収容初期に抵抗となり、セット操作性を無くし、また、開口部に近いと従来例の不都合が生じる。そのため、上下略中間より上方、例えば30〜50mmの上方位置が好ましい。
【0038】
そこで、このフランジパッキン30は、垂直状のトラップ本体31を、バケット9の側部25の外面に密接させ、その水平状のリップ部33を、バケット9の側部25より外方に突出させ、ホック状係止頭部32をバケット9の側部25の透孔26を通して内方に突出させることにより周設する。
【0039】
なお、この係止頭部32は少なくとも3〜4個(複数個)あればよいし、フランジパッキン30は硬度50〜80(A硬度)のSBRの材料で構成する。
【0040】
以上のように、この雨水ます1のバケット9によると、その維持管理に際し、有底泥だめ部2に土砂が若干溜まっていても、その収容始めの操作はフランジパッキン30の抵抗がなくスム−ズにでき、フランジパッキン30の抵抗が生じ始めても更に押込み収容ができ、少なくとも、前記沈み深さを越えて底部24が当接すると、そのままにしていてもバケット9は浮上することはない。
【0041】
なお、本実施例の雨水ます1は一般の雨水ためますで説明したが、本発明はこれに限らず、雨水浸透ますであってもよく、本明細書では両者を含め雨水ますとも称している。
【0042】
また、フランジパッキン30たる外向きリップ付弾性リンクは、必ずしも、バケット9の側部25の全周になく途切れて接着剤で設けてもよく、特に、図2で示すように2つの凹部34、34のある変形リングであれば、リップ部33の変形容易となる助勢ができる。
【0043】
この凹部34は、下げ手10と直交した位置、すなわち下げ手10の取付位置より遠い位置が好ましい。
【0044】
【発明の効果】
本発明によると、有底泥だめ部に若干土砂等が溜まっていても、バケットを管路閉塞なく収容でき、しかも浮上を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施例の全体の縦断面図である。
【図2】 図1の要部背面図である。
【図3】 図2のA〜A断面図(A)およびその拡大図(B)、(C)である。
【図4】 従来例である。
【図5】 図4の要部図である。
【符号の説明】
1…雨水ます、2…有底泥だめ部、9…バケット、25…側部、30…フランジパッキン
Claims (3)
- 雨水ますの有底泥だめ部にバケットを取出自在に収容セットし、これらの有底泥だめ部とバケットとの各側部間で形成した空間であって、その上端側を除いた部位に、バケットの収容操作を容易にしながら、バケット浮上を防止するような部材を設け、該部材を外向きリップ付弾性体としたことを特徴とする合成樹脂製雨水ますのバケット浮上防止装置。
- 雨水ますの有底泥だめ部にバケットを取出自在に収容セットし、これらの有底泥だめ部とバケットとの各側部間で形成した空間であって、その上端側を除いた部位に、バケットの収容操作を容易にしながら、バケット浮上を防止するような部材を設け、該部材をフランジパッキンとしたことを特徴とする合成樹脂製雨水ますのバケット浮上防止装置。
- 前記外向きリップ付弾性体を前記バケットにその全周でない途切れて構成した請求項1に記載の合成樹脂製雨水ますのバケット浮上防止装置。
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