JP4156846B2 - プラスチックレンズおよびその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリウレタンウレア重合体からなるプラスチックレンズ基板上に反射防止膜を有するプラスチックレンズに関する。
【0002】
【従来の技術】
プラスチックはガラスに比べると、軽量で割れにくく、染色が容易であるため、眼鏡レンズをはじめとする各種レンズ等の光学用途に使用されている。その代表的なものとして、ポリジエチレングリコールビスアリルカーボネートやポリメチルメタクリレートが挙げられる。しかしながら、これらは屈折率が1.50程度と低く、比重も1.2程度以上である。そのため、例えば眼鏡レンズに用いた場合、度数が強くなるほどレンズ中心付近の肉厚やコバ厚を厚くしなければならず、軽量であるというプラスチックの優位性が損なわれてしまう恐れがあった。またこれらは、ガラスに比べれば割れにくいものの、さらなる割れにくさを求める声も強くなってきた。それをうけて、軽量で割れにくいプラスチックの特徴をより一層生かすため、射出成形により得られるポリカーボネートや注型重合により得られるポリチオウレタンが光学用途に用いられ始めてきた。このポリカーボネートは、非常に強度が大きいものの、射出成形材料共通の欠点である耐溶剤性の低さを有している。一方のポリチオウレタンは上記のような射出成形材料共通の欠点は見られないものの、強度の面ではポリカーボネートにかなわないのが現状である。
【0003】
そこで、射出成形材料共通の欠点を回避するため、注型重合により得られ、かつポリカーボネートに匹敵する強度を有する材料が望まれていた。そのような特徴を有する材料として、ウレタン結合を分子内に有するイソシアネート末端プレポリマーと芳香族ジアミンを注型重合することにより得られる材料(米国特許5962617号公報、米国特許6127505号公報)が知られている。また、イソシアネート反応性ポリマー、立体障害芳香族ジアミン及び内部離型剤としての脂肪酸亜鉛塩を含む樹脂組成物の成形方法(特公平3−39533号公報)が知られている。
【0004】
合成樹脂からなる光学部材の表面反射特性を改善するために、合成樹脂の表面上に反射防止膜を施すことは良く知られている。例えば特開昭56―116003号公報には、基板をCR−39(ジエチレングリコールビスアリルカーボネート)樹脂とし、CR−39樹脂上に、基板側から順にSiO2 からなる膜厚が1.5λの下地層と、ZrO2 層とSiO2 層とによって構成される2層等価膜からなる合計膜厚が約0.25λの第1層と、ZrO2 からなる膜厚が約0.50λの第2層と、SiO2 からなる膜厚が約0.25λの第3層とを有する反射防止膜を設けた光学部材が開示されている。
【0005】
しかしながら、樹脂基板は、ガラス基板と異なり、蒸着時の基板温度を高くして反射防止膜を成膜することができない。そのため、蒸着により形成された、例えばZrO2 からなる層は耐熱性が十分とは言えない。さらに、ZrO2 からなる層は経時的にもその耐熱性が大きく低下してしまいやすい。このような反射防止膜全体の耐熱性が不充分であり、かつ経時的にも耐熱性が大きく低下する光学部材は、例えば眼鏡レンズとしては実用上問題が生じる場合がある。何故なら、プラスチック製眼鏡フレームは眼鏡レンズ枠入れする際に加熱され、この熱が眼鏡レンズにも伝熱するからである。耐熱性の低い反射防止膜では熱膨張率等の違いによりクラック(ひび割れ)を生じることがある。
【0006】
このような耐熱性の問題を解決するものとして、例えば特開平2―291502号公報には、高屈折率層に、Ta2O5 、ZrO2 及びY2 O3 を含む蒸着膜を用いた反射防止膜を有する光学部材と、Ta2O5、ZrO2 及びY2 O3 を含む蒸着膜を形成する蒸着組成物が開示されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
特に眼鏡分野では、プラスチックレンズを基板とし、耐熱性が極めてよく、かつ耐熱性の低下の程度ができるだけ小さい反射防止膜を有する新たな光学部材が求められている。
また、樹脂基板は、ガラス基板と比較して弾性を有しているため、基板に力が加わり撓みが生じた場合でも、反射防止膜にクラックが入る心配のない膜強度の高い反射防止膜の提供が望まれている。
【0008】
そこで、本発明の目的は、ポリウレタンウレア重合体からなる材料を基板とし、この基板に適した耐熱性が良好で、膜強度が高く、且つ経時的に耐熱性が低下する程度が小さい反射防止膜を有する光学部材を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は上記目的を達成するために鋭意検討した結果、ポリウレタンウレア重合体からなるプラスチックレンズ基板 に、1/2λ層を含む多層反射防止膜である反射防止膜であって、前記1/2λ層が、酸化ニオブを含有する複数の高屈折率層とこれら高屈折率層の中間に配置された二酸化ケイ素からなる層を有する反射防止膜を設けることで、蒸着膜の形成が短時間で行え、耐熱性が良好で、かつ膜強度が高い多層反射防止膜を有するプラスチックレンズが得られることを見出し、本発明に到達した。
【0010】
即ち、本発明は以下のとおりである。
(1) 下記成分(A)と成分(B)との重合体であるポリウレタンウレア重合体からなるプラスチックレンズ基板上に直接又は間接に反射防止膜を有するプラスチックレンズであって、前記反射防止膜は1/2λ層を含む多層反射防止膜であり、前記1/2λ層が酸化ニオブを含有する複数の高屈折率層とこれら高屈折率層の中間に配置された二酸化ケイ素からなる層を有することを特徴とするプラスチックレンズ。
成分(A):分子中に環状構造を有する脂肪族ジイソシアネートと300〜2500の平均分子量を有するジオールとの反応生成物であるイソシアネート末端プレポリマー成分(B):一般式(I)で表される1種または2種以上の芳香族ジアミン(一般式(I)中、R1、R2及びR3はそれぞれ独立して、メチル基、エチル基、チオメチル基の何れかである)
【化11】
(2) 前記1/2λ層が有する前記高屈折率層は、酸化ジルコニウム及び/又は酸化イットリウムをさらに含有する(1)に記載のプラスチックレンズ。
(3) 前記高屈折率層が該層の全量を基準にして、酸化ニオブ90〜100重量%、酸化ジルコニウム0〜5重量%、及び酸化イットリウム0〜5重量%を含有する(2)に記載のプラスチックレンズ。
(4) 前記プラスチックレンズ基板は、さらに下記成分(C)及び成分(D)を含有する成形体である(1)〜(3)のいずれかに記載のプラスチックレンズ。
成分(C):一般式(II)で表される1種または2種以上のリン酸モノエステル(一般式(II)中、R4は炭素数1〜10のアルキル基であり、n1は1または2である)
成分(D):一般式(III)で表される1種または2種以上のリン酸ジエステル(一般式(III)中、R5及びR6はそれぞれ独立して、炭素数1〜10のアルキル基であり、n2及びn3は1または2である)
【化12】
(5) 前記プラスチックレンズは眼鏡レンズである(1)〜(4)のいずれかに記載のプラスチックレンズ。
(6) 前記反射防止膜がハードコート層を介して、前記基板上に設けられた(1)〜(5)のいずれかに記載のプラスチックレンズ。
(7) 前記ハードコート層が、成分(E)と成分(F)とを含むコ−ティング組成物を硬化させたものである(6)に記載のプラスチックレンズ。
成分(E):一般式(IV)で表される有機ケイ素化合物またはその加水分解物(R7)a(R9)bSi(OR8)4-(a+b)・・・(IV)
(一般式(IV)中、R7はエポキシ基、メタアクリルオキシ基、メルカプト基、アミノ基、又はフェニル基を有する有機基、R8は炭素数1〜4のアルキル基または炭素数1〜4のアシル基、R9は炭素数1〜6のアルキル基、a及びbは0又は1の整数を示す)
成分(F):金属酸化物コロイド粒子
(8) 前記高屈折率層の中間に配置された二酸化ケイ素からなる層の膜厚は、0.02λ〜0.15λの範囲である(1)〜(7)のいずれかに記載のプラスチックレンズ。
(9) 前記高屈折率層の屈折率は2.1より大きく、かつ前記1/2λ層の屈折率は2.02〜2.08の範囲である(1)〜(8)のいずれかに記載のプラスチックレンズ。
(10) 前記反射防止膜は、基板側から、1/4λ層、前記1/2λ層、および1/4λ層、をこの順に有する(1)〜(9)のいずれかに記載のプラスチックレンズ。
(11) 前記反射防止膜は、基板側から、1/4λ層、1/4λ層、前記1/2λ層、1/4λ層、をこの順に有する(1)〜(9)のいずれかに記載のプラスチックレンズ。
(12) (1)〜(11)のいずれかに記載のプラスチックレンズの製造方法であって、前記高屈折率層を、酸化ニオブ、酸化ジルコニウムおよび酸化イットリウムを含む蒸着組成物を蒸着源として蒸着処理を行うことにより形成する、前記プラスチックレンズの製造方法。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。本発明の光学部材は、ポリウレタンウレア重合体からなるプラスチックレンズ基板上に直接又は間接に反射防止膜を有する光学部材であって、特に、前記反射防止膜が1/2λ層を含む多層反射防止膜である。そして、前記1/2λ層が、少なくとも酸化ニオブを含有する複数の高屈折率層とこれら高屈折率層の中間に配置された二酸化ケイ素からなる層を有することを特徴とする。一般的に反射防止膜は基板側から、1/4λ層(中間屈折率層相当)+1/2λ層(高屈折率層相当)+1/4λ層(低屈折率層相当)、または、1/4λ層(中間屈折率層相当)+1/4λ層(中間屈折率層相当)+1/2λ層(高屈折率層相当)+1/4λ層(低屈折率層相当)、または、1/4λ層(中間屈折率層相当)+1/4λ層(高屈折率層相当)+1/4λ層(低屈折率層相当)で構成されている。しかし、第3番目の構成は基板またはハードコート層の屈折率が約1.8以下では反射防止波長域が狭くなるため、本発明の光学部材には、第1番目と第2番目の構成がより好ましい。
【0012】
本発明の光学部材が有する反射防止膜の膜構成は、上記の高屈折率層相当の1/2λ層が、少なくとも酸化ニオブを含有する複数の高屈折率層と、それらの間の設けられた低屈折率物質であるSiO2層から構成される。
より具体的には、上記1/2λ層は以下の構成をとる事ができる。尚、SiO2層の膜厚が0.02λ未満になると強度向上の効果が小さくなるので、そうならない範囲で、さらに層数を増やしても構わない。また、ここで、高屈折率層とは、少なくとも酸化ニオブを含有する高屈折率層である。
(1)高屈折率層−SiO2層−高屈折率層
(2)高屈折率層−SiO2層−高屈折率層−SiO2層−高屈折率層
(3)高屈折率層−SiO2層−高屈折率層−SiO2層−高屈折率層−SiO2層−高屈折率層
【0013】
高屈折率層である酸化金属層は、SiO2層に比べ、構造強度、耐熱性が劣るため、最も高屈折率層が厚くなる1/2λ層においては、強度、耐熱性が比較的弱くなる傾向がある。
本発明のように高屈折率層である酸化金属層を複数に分割することで、1つの層の厚さが薄くなり、しかも、各層の間に強度、耐熱性の高いSiO2層を挟むことにより1/2λ層の強度を向上することができる。
【0014】
前記高屈折率層は、酸化ニオブのみを含有する場合、及び酸化ニオブに加えて酸化ジルコニウム及び/又は酸化イットリウムをさらに含有する場合があり、各態様における複数の高屈折率層は、同一組成を有しても、それぞれ異なる組成を有していても良い。また、各態様における複数の高屈折率層の膜厚は、同一であっても異なっていても良いが、膜厚の差はより少ないほうが望ましい。これは、高屈折率層の膜厚を最薄にすることが出来る事及び、光学的に不均質の無い、高屈折率物質層とすることが可能となるからである。
また、SiO2層の膜厚は、0.02λ〜0.15λとする事が好ましい。SiO2層の膜厚が、0.02λ以上であれば、1/2λ層の強度を高くする効果が十分に得られ、0.15λ以下であれば、高屈折率を維持することができる。
【0015】
前記1/2λ層を構成する高屈折率層は、酸化ニオブ(Nb2 O5 )を含有する。さらに、前記1/2λ層を構成する高屈折率層は、酸化ニオブ(Nb2 O5 )に加えて、酸化ジルコニウム(ZrO2 )及び/又は酸化イットリウム(Y2 O3 )を含有することもできる。
上記高屈折率層は、該層の全量を基準にして、酸化ニオブ90〜100重量%、酸化ジルコニウム0〜5重量%、及び酸化イットリウム0〜5重量%を含有することが好ましい。前記1/2λ層を構成する高屈折率層が酸化ニオブ(Nb2 O5 )のみからなる場合、及び酸化ニオブ(Nb2 O5 )に酸化ジルコニウム(ZrO2 )及び/又は酸化イットリウム(Y2 O3 )を含む場合には、吸収が生じにくく、透過性の高い層となる。但し、酸化ニオブ(Nb2 O5 )が90重量%未満では、高屈折率が得られにくく、酸化ジルコニウム(ZrO2 )が5重量%を超えると耐熱性が低くなりやすくなり、酸化イットリウム(Y2 O3 )が5重量%を超えると耐酸性が低くなる傾向がある。
【0016】
尚、本発明の蒸着組成物には、上述した効果を損わない範囲で、酸化アルミニウム(Al2 O3 )、酸化タンタル(Ta2O5)、酸化チタン(TiO2 )などの金属酸化物を添加することもできる。
【0017】
本発明における多層反射防止膜の1/4λ層(中間屈折率層相当)は、特に限定されないが、例えば、前記高屈折率層+SiO2層、前記酸化ニオブ等の成分に酸化アルミニウム(Al2 O3 )を加えた高屈折率層+SiO2層、又は公知の高屈折率酸化物層(例えば、ZrO2、Ta2O5、TiO2、Nb2O5)+SiO2層などがある。また、1/4λ層(低屈折率層相当)としては、特に限定されないが、例えば、SiO2層やMgF2層などがある。但し、強度の面からは、SiO2層が好ましい。下地層としては、特に限定されないが、例えば、SiO2層、SiO2とAl2 O3 の混合物からなる層、金属層(Nb、Ta、Cr等)、SiO2層+金属層+SiO2層、SiO2層+金属酸化物層+SiO2層などがある。
【0018】
製造方法
上記反射防止膜の形成は、酸化ニオブ、酸化ジルコニウム及び酸化イットリウム(必要によりさらなる酸化物(酸化アルミニウム、酸化タンタル及び酸化チタンなど)とともに)の粉末を焼結し、得られた焼結体から混合酸化物の蒸気を発生させ、発生した蒸発物を基板上に析出させることにより形成される。
前記高屈折率層は、酸化ニオブ(Nb2O5 )粉末、酸化ジルコニウム(ZrO2 )粉末、酸化イットリウム(Y2 O3 )粉末を混合し(以下、これらの粉末を単に「混合粉末」という場合がある)、加圧プレスしたものを、例えば電子ビームにより加熱して蒸発物を基板上に析出させることにより形成されることが好ましい。また、加圧プレスした後、焼結してペレット状にした焼結体を用いることで、蒸着時間をより短縮することができるので更に好ましい。混合粉末及び焼結体中の各酸化物含有量は、形成する高屈折率層の組成に対応させて適宜変化させることができる。
Nb2 O5粉末、ZrO2 粉末およびY2 O3 粉末を含む混合粉末を焼結することによって得られる蒸着組成物は、従来のZrO2を焼結することによって得られる蒸着組成物と比較して、蒸着膜形成時間が速くなり、高い生産性が得られる。
【0019】
上記3成分蒸着組成物について簡単に説明する。
酸化ニオブ単独の蒸着原料には、ペレットを電子銃にて加熱する際のスプラッシュの発生がある。スプラッシュには微粒子をレンズ面に付着させる影響があり、不良品の原因となる。また、薄膜に着色(吸収)が発生しやすく、耐酸性、耐アルカリ性などの薬品耐性も弱い傾向がある。これからの点を改善するために、ZrO2及びY2O3を併用する。
ZrO2添加は、酸化ニオブのみのペレットを電子銃で過熱する際の膜ハゲ不良、不純物の付着等の原因となるスプラッシュを低減させる効果があり、安定した品質の蒸着膜を得るのに適している。
また、Y2O3添加は、電子銃にて加熱され蒸着される薄膜の酸化状態を変化させ、酸化ニオブのみ、または酸化ニオブと酸化ジルコニウムのみの混合ペレットを蒸着した薄膜において起こる着色(吸収)を抑える効果がある。
【0020】
本発明において以上の3成分を混合した蒸着組成物を用いることにより、個々の効果を持ち合わせつつ、また得られる反射防止膜は、経時的な耐熱性の低下の程度が著しく小さくなるという予想しえない効果を与える。
【0021】
反射防止膜の形成方法は、以上のように、酸化ニオブ、酸化ジルコニウム及び酸化イットリウムの粉末を、必要によりさらなる酸化物(酸化アルミニウム、酸化タンタル、酸化チタンなど)とともに焼結し、得られた焼結体から混合酸化物の蒸気を発生させ、発生した蒸発物を基板上に析出させることにより形成されるが、この反射防止膜の形成方法においてイオンアシストを併用することが好ましい。
イオンアシストを併用する利点は上記高屈折率層の蒸着時に酸素イオンによるアシスト処理を用いる方法によって、レンズの吸収を更に抑えることが出来る。また、酸素-アルゴンの混合ガスによるイオンアシストを用いることにより耐アルカリ性を向上できる。該混合ガスの組成は,酸素ガス90〜95%、アルゴンガス10〜5%の範囲が望ましい。酸素ガスの割合が少ない場合は、光学性を維持できない。適度なアルゴンガスを用いることで膜密度の向上が可能となる。
【0022】
上記蒸着組成物を得るためのプレス成形の加圧は、従来の方法で行われ、例えば200kg/cm2 〜400kg/cm2(19.6〜39.2MPa)の加圧とすることが望ましい。また焼結温度は、各成分の組成比等により変化するが、例えば1000〜1400℃とすることが適当である。焼結時間は焼結温度等により適宜変化させることができ、通常1〜48時間の範囲である。
高屈折率膜は、上記蒸着組成物を蒸着源として真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等の方法を用いて通常の条件により形成することができる。即ち、蒸着組成物から混合酸化物の蒸気を発生させ、発生した蒸発物を基板上に析出させる。合成樹脂基板の加熱温度は、かかる合成樹脂の耐熱温度によって異なるが、例えば70〜85℃とすることが適当である。
上記の方法によれば合成樹脂基板のように蒸着時の基板加熱温度を70〜85℃と低い温度で成膜しなければならない場合でも、耐熱性が良好で、また経時的に耐熱性が低下しにくい反射防止膜を得ることができる。
【0023】
本発明のプラスチックレンズに用いる基板は、ウレタン結合を分子内に有するポリウレアからなる(本願明細書では、ポリウレタンウレア重合体と称する)。特に、米国特許6127505号公報に開示されているポリウレタンウレア重合体は、注型重合が可能で、かつウレタン結合を分子内に有するポリウレアであり、ポリカーボネートに匹敵する強度を有する材料である。さらに、ポリウレタンウレア重合体は、下記成分(A)と成分(B)との重合体からなり、かつさらに下記成分(C)及び成分(D)を含有する成形体であることが好ましい。
成分(A):分子中に環状構造を有する脂肪族ジイソシアネートと300〜2500の平均分子量を有するジオールとの反応生成物であるイソシアネート末端プレポリマー成分(B):一般式(I)で表される1種または2種以上の芳香族ジアミン(一般式(I)中、R1、R2及びR3はそれぞれ独立して、メチル基、エチル基、チオメチル基の何れかである)
成分(C):一般式(II)で表される1種または2種以上のリン酸モノエステル(一般式(II)中、R4は炭素数1〜10のアルキル基であり、n1は1または2である)
成分(D):一般式(III)で表される1種または2種以上のリン酸ジエステル(一般式(III)中、R5及びR6はそれぞれ独立して、炭素数1〜10のアルキル基であり、n2及びn3は1または2である)
【化3】
【0024】
成分(A)
成分(A)は、分子中に環状構造を有する脂肪族ジイソシアネートと300〜2500の平均分子量を有するジオールとの反応生成物であるイソシアネート末端プレポリマーである。上記イソシアネート末端プレポリマーの一方の原料であるジイソシアネートが、分子中に環状構造を有する脂肪族ジイソシアネートであることで、プレポリマー製造時、または重合時の反応コントロールが容易になり、かつ最終的に得られる成形体に適度な弾性を付与することができる。さらに、得られる成形体に高耐熱性と良好な機械特性を与えることもできる。
【0025】
分子中に環状構造を有する脂肪族ジイソシアネートとは、主鎖又は側鎖に環状構造を有する脂肪族ジイソシアネートであり、環状構造は、脂環、芳香環、または複素環のいずれであっても良い。但し、分子中に環状構造を有する脂肪族ジイソシアネートは、黄変を防止すると共に十分な弾性や硬度を保持するという観点から脂環式ジイソシアネートであることが好ましい。脂環式ジイソシアネートに比べ、芳香環を有するイソシアネートでは得られた成形体の黄変が進みやすく、脂肪族鎖状のイソシアネートでは得られた成形体が柔らかくなり、形状保持性が低下する傾向がある。
さらに、脂環式ジイソシアネートは、例えば、4,4'-メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、イソホロンジイソシアネート、1,2-ビス(イソシアナートメチル)シクロヘキサン、1,3-ビス(イソシアナートメチル)シクロヘキサン、1,4-ビス(イソシアナートメチル)シクロヘキサン、1,2-ジイソシアナートシクロヘキサン、1,3-ジイソシアナートシクロヘキサン、1,4-ジイソシアナートシクロヘキサン、ノルボルネンジイソシアネート等を挙げることができる。また、芳香環を有するジイソシアネートとしては、例えば、m−キシリレンジイソシアネート、o−キシリレンジイソシアネート、p−キシリレンジイソシアネート、m−テトラメチルキシリレンジイソシアネート等を挙げることができる。特に、4,4'−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、イソホロンジイソシアネート、1,3−ビス(イソシアナートメチル)シクロヘキサン及びノルボルネンジイソシアネートからなる群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
【0026】
上記成分Aのイソシアネート末端プレポリマーのもう一方の原料であるジオールの平均分子量は300〜2500である。ジオールの平均分子量が300より小さいと得られる成形体に靭性を付与することができず、2500より大きいと得られた成形体が柔らかくなり形状を保持できなくなる。ジオールの平均分子量は、好ましくは、400〜1000である。300〜2500の平均分子量を有するジオールは、例えば、ポリエーテル系ジオールまたはポリエステル系ジオールであることができる。これらのジオールは、他成分との相溶性が良いことから好ましい。相溶性が良くないジオールの場合、得られる成形体の透明性を維持するために相溶化剤などの別成分を添加する必要が出てきたり、透明性が損なわれる可能性がある。
【0027】
このようなジオールとしては、例えば、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシテトラメチレングリコール、エチレングリコールとアジピン酸からなるポリエステルジオール、プロピレングリコールとアジピン酸からなるポリエステルジオール、ジエチレングリコールとアジピン酸からなるポリエステルジオール、1,4-ブタンジオールとアジピン酸からなるポリエステルジオール、ネオペンチルグリコールとアジピン酸からなるポリエステルジオール、1,6-ヘキサンジオールとアジピン酸からなるポリエステルジオール、1,10-デカンジオールとアジピン酸からなるポリエステルジオール、1,4-ブタンジオールとセバシン酸からなるポリエステルジオール、エチレングリコールとε-カプロラクトンからなるポリカプロラクトンジオール、プロピレングリコールとε-カプロラクトンからなるポリカプロラクトンジオール、ジエチレングリコールとε-カプロラクトンからなるポリカプロラクトンジオール、1,4-ブタンジオールとε-カプロラクトンからなるポリカプロラクトンジオール、ネオペンチルグリコールとε-カプロラクトンからなるポリカプロラクトンジオール、1,6-ヘキサンジオールとε-カプロラクトンからなるポリカプロラクトンジオール、1,10-デカンジオールとε-カプロラクトンからなるポリカプロラクトンジオール、ポリカーボネートグリコール等が挙げられ、好ましくはポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシテトラメチレングリコール、1,4-ブタンジオールとアジピン酸からなるポリエステルジオール、ネオペンチルグリコールとアジピン酸からなるポリエステルジオール、1,6-ヘキサンジオールとアジピン酸からなるポリエステルジオール、1,10-デカンジオールとアジピン酸からなるポリエステルジオール等が挙げられる。
【0028】
成分(A)であるイソシアネート末端プレポリマーのイソシアネート基含有率は、10〜20重量%の範囲であることが好ましい。上記イソシアネート基含有率が上記範囲より小さいと得られる成形体の硬度が低くなる傾向があり、上記範囲より高くなると得られる成形体の靭性(十分な強度)が得られにくくなる傾向がある。さらに、上記イソシアネート基含有率は、より好ましくは11〜15重量%の範囲である。
【0029】
成分(B)
成分(B)は一般式(I)で表される1種または2種以上の芳香族ジアミンである。
一般式(I)中のR1、R2及びR3はそれぞれ独立して、メチル基、エチル基、チオメチル基の何れかである。R1、R2及びR3が上記置換基であることで、結晶性を抑制しかつ他成分との相溶性を高めることができる。また、これらの置換基がないか、または数が少ないと結晶性が高く取り扱いにくくなり、他の置換基だと他の成分との相溶性が悪くなり得られる材料の透明性が低下する恐れがある。
前記芳香族ジアミンは、より具体的には、例えば、以下の化合物である。
1,3,5-トリメチル-2,4-ジアミノベンゼン、1,3,5-トリメチル-2,6-ジアミノベンゼン、1,3,5-トリエチル-2,4-ジアミノベンゼン、1,3,5-トリエチル-2,6-ジアミノベンゼン、1,3,5-トリチオメチル-2,4-ジアミノベンゼン、1,3,5-トリチオメチル-2,6-ジアミノベンゼン、3,5-ジエチル-2,4-ジアミノトルエン、3,5-ジエチル-2,6-ジアミノトルエン、3,5-ジチオメチル-2,4-ジアミノトルエン、3,5-ジチオメチル-2,6-ジアミノトルエン、1-エチル-3,5-ジメチル-2,4-ジアミノベンゼン、1-エチル-3,5-ジメチル-2,6-ジアミノベンゼン、1-エチル-3,5-ジチオメチル-2,4-ジアミノベンゼン、1-エチル-3,5-ジチオメチル-2,6-ジアミノベンゼン、1-チオメチル-3,5-ジメチル-2,4-ジアミノトルエン、1-チオメチル-3,5-ジメチル-2,6-ジアミノトルエン、1-チオメチル-3,5-ジエチル-2,4-ジアミノトルエン、1-チオメチル-3,5-ジエチル-2,6-ジアミノトルエン、3-エチル-5-チオメチル-2,4-ジアミノトルエン、3-エチル-5-チオメチル-2,6-ジアミノトルエン、3-チオメチル-5-エチル-2,4-ジアミノトルエン等。
上記芳香族ジアミンは、R1がメチル基であり、R2及びR3がそれぞれエチル基またはチオメチル基の何れかであることが、得られる成形体が白濁しにくく、かつ得られる成形体に十分な靭性を付与できるという観点から好ましい。より具体的には、例えば、3,5-ジエチル-2,4-ジアミノトルエン、3,5-ジエチル-2,6-ジアミノトルエン、3,5-ジチオメチル-2,4-ジアミノトルエン、3,5-ジチオメチル-2,6-ジアミノトルエン等を挙げることができる。
【0030】
成分(A)と成分(B)との割合は、成分(B)のアミノ基に対する、成分(A)のイソシアネート基のモル比が1.00〜1.15の範囲であることが、十分な靭性(強度)が得られるという観点から好ましい。上記モル比は、より好ましくは1.02〜1.12の範囲である。
【0031】
前記成形体は、前記重合体であって、さらに下記成分(C)及び成分(D)を含有するものである。
成分(C)
成分(C)は、一般式(II)で表される1種または2種以上のリン酸モノエステルであり、一般式(II)中のR4は炭素数1〜10のアルキル基であり、n1は1または2である。この範囲のリン酸モノエステルであれば、得られる成形体が白濁することがなく、透明性に優れた成形体を得ることができる。好ましくは、他成分との相溶性が最も優れているという観点から、一般式(II)におけるR4が、炭素数2〜6のアルキル基であるリン酸モノエステルである。また、n1は好ましくは1である。
【0032】
一般式(II)で表されるリン酸モノエステルとしては、例えば、メトキシエチルアシッドホスフェート、エトキシエチルアシッドホスフェート、プロポキシエチルアシッドホスフェート、ブトキシエチルアシッドホスフェート、ペンチルオキシエチルアシッドホスフェート、ヘキシルオキシエチルアシッドホスフェート、ヘプチルオキシエチルアシッドホスフェート、オクチルオキシエチルアシッドホスフェート、ノニルオキシエチルアシッドホスフェート、デシルオキシエチルアシッドホスフェートなどが挙げられる。特に好ましいリン酸モノエステルとしては、例えば、エトキシエチルアシッドホスフェート、プロポキシエチルアシッドホスフェート、ブトキシエチルアシッドホスフェート、ペンチルオキシエチルアシッドホスフェート、ヘキシルオキシエチルアシッドホスフェート等が挙げられる。
【0033】
成分(D)
成分(D)は、一般式(III)で表される1種または2種以上のリン酸ジエステルであり、一般式(III)中のR5及びR6はそれぞれ独立して、炭素数1〜10のアルキル基であり、n2及びn3は1または2であることで、得られる成形体の白濁を防止でき、透明性に優れた成形体を得ることができる。一般式(III)におけるR5及びR6は、それぞれ独立に炭素数2〜6のアルキル基であることが他成分との相溶性が最も優れているという観点から好ましい。
【0034】
一般式(III)で表されるリン酸ジエステルとしては、例えば、メトキシエチル−エトキシエチルアシッドホスフェート、メトキシエチル−プロポキシエチルアシッドホスフェート、エトキシエチル−プロポキシエチルアシッドホスフェート、エトキシエチル−ブトキシエチルアシッドホスフェート、プロポキシエチル−ブトキシエチルアシッドホスフェート、ジ(メトキシエチル)アシッドホスフェート、ジ(エトキシエチル)アシッドホスフェート、ジ(プロポキシエチル)アシッドホスフェート、ジ(ブトキシエチル)アシッドホスフェート、ジ(ペンチルオキシエチル)アシッドホスフェート、ジ(ヘキシルオキシエチル)アシッドホスフェート、ジ(ヘプチルオキシエチル)アシッドホスフェート、ジ(オクチルオキシエチル)アシッドホスフェート、ジ(ノニルオキシエチル)アシッドホスフェート、ジ(デシルオキシエチル)アシッドホスフェート、などが挙げられる。リン酸ジエステルとしは、好ましくは、ジ(エトキシエチル)アシッドホスフェート、ジ(プロポキシエチル)アシッドホスフェート、ジ(ブトキシエチル)アシッドホスフェート、ジ(ペンチルオキシエチル)アシッドホスフェート、ジ(ヘキシルオキシエチル)アシッドホスフェート等が挙げられる。
【0035】
成分(C)と成分(D)の合計の重量は、成分(A)、成分(B)、成分(C)および成分(D)の全重量の0.005〜0.1%の範囲であることが好ましい。成分(C)と成分(D)の合計の重量が、上記範囲より少ないと、良好な離型性が得られにくくなり、また、上記範囲より多いと、重合途中での剥離による成形不良や透明性の低下をきたす場合がある。成分(C)と成分(D)の合計の重量は、より好ましくは、成分(A)、成分(B)、成分(C)および成分(D)の全重量の0.01〜0.1%の範囲である。
また、成分(C)の重量は、成分(C)と成分(D)の合計重量の30〜70%の範囲であることが好ましい。成分(C)の重量が前記範囲より多くなると、重合中に発泡する恐れがあり、また前記範囲より少ないと白濁により透明性が低下する場合がある。成分(C)の重量は、より好ましくは成分(C)と成分(D)の合計重量の35〜65%の範囲である。
【0036】
製造方法
上記の成形体からなる基板は、例えば、前記成分(A)、成分(B)、成分(C)および成分(D)の混合物を成形型内に注入し、次いで成分(A)及び成分(B)を重合させて成形体とすることを含む方法により製造することができる。但し、成分(A)と成分(B)との重合性(反応性)が高く、常温でも反応が進行することから、前記混合物(成分(A)、(B)、(C)および(D)の混合物)は、成分(A)に成分(C)と成分(D)とを添加、混合して、均一に溶解した物(混合物)に、成分(B)をさらに混合することで調製され、調製後速やかに成形型内に注入することが好ましい。
重合反応の条件等は、米国特許6127505号公報の記載を参照でき、また、後述の実施例でも詳述する。また、成分(C)及び成分(D)以外に、必要により、抗酸化剤、紫外線安定化剤、着色防止剤等の添加成分を本発明の成形体の透明性と強度を損なわない程度に添加することはできる。添加成分の例は、例えば、米国特許6127505号公報の記載のものを挙げることかできる。
【0037】
本発明において基板の上に反射防止膜を設けるに際しては、基板表面に有機ケイ素重合体を含むハードコート層をディッピング法、スピンコート法等の塗布法により成膜し、このハードコート層上に反射防止膜を設けることが好ましい。また、基板と反射防止膜との密着性、耐擦傷性等の向上を図るうえで、基板と反射防止膜との間、あるいは基板表面に成膜したハードコート層と反射防止膜との間に下地層を介在させることが好ましい。このような下地層としては、例えばケイ素酸化物等の蒸着膜を使用することができる。
【0038】
上記ハードコート層としては、例えば、成分(E)と成分(F)とを含むコ−ティング組成物を硬化させることで得られる皮膜を挙げることができる。
成分(E):一般式(IV)で表される有機ケイ素化合物またはその加水分解物
(R7)a(R9)bSi(OR8)4-(a+b)・・・(IV)
(一般式(IV)中、R7はエポキシ基、メタアクリルオキシ基、メルカプト基、アミノ基、又はフェニル基を有する有機基、R8は炭素数1〜4のアルキル基または炭素数1〜4のアシル基、R9は炭素数1〜6のアルキル基、a及びbは0又は1の整数を示す)
成分(F): 金属酸化物コロイド粒子
【0039】
一般式(IV)記載の有機ケイ素化合物として具体的には以下の化合物を挙げることができる。
メチルシリケート、エチルシリケート、n−プロピルシリケート、i−プロピルシリケート、n−ブチルシリケート、sec−ブチルシリケート、t−ブチルシリケート、テトラアセトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、メチルトリアセトキシシラン、メチルトリブトキシシラン、メチルトリアミロキシシラン、メチルトリフェノキシシラン、メチルトリベンジルオキシシラン、メチルトリフェネチルオキシシラン、グリシドキシメチルトリメトキシシラン、グリシドキシメチルトリエトキシシラン、α−グリシドキシエチルトリエトキシシラン、β−グリシドキシエチルトリメトキシシラン、β−グリシドキシエチルトリエトキシシラン、α−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、α−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、β−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、β−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリプロポキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリブトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリフェノキシシラン、α−グリシドキシブチルトリメトキシシラン、α−グリシドキシブチルトリエトキシシラン、β−グリシドキシブチルトリメトキシシラン、β−グリシドキシブチルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシブチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシブチルトリエトキシシラン、δ−グリシドキシブチルトリメトキシシラン、δ−グリシドキシブチルトリエトキシシラン、(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチルトリメトキシシラン、(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリプロポキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリブトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリフェノキシシラン、γ−(3,4−エポキシシクロヘキシル)プロピルトリメトキシシラン、γ−(3,4−エポキシシクロヘキシル)プロピルトリエトキシシラン、δ−(3,4−エポキシシクロヘキシル)ブチルトリメトキシシラン、δ−(3,4−エポキシシクロヘキシル)ブチルトリエトキシシラン、グリシドキシメチルメチルジメトキシシラン、グリシドキシメチルメチルジエトキシシラン、α−グリシドキシエチルメチルジメトキシシラン、α−グリシドキシエチルメチルジエトキシシラン、β−グリシドキシエチルメチルジメトキシシラン、β−グリシドキシエチルメチルジエトキシシラン、α−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、α−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、β−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、β−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジプロポキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジブトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジフェノキシシラン、γ−グリシドキシプロピルエチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルエチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルビニルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルビニルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルフェニルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルフェニルジエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリアセトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリエトキシシラン、γ−クロロプロピルトリアセトキシシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、β−シアノエチルトリエトキシシラン、クロロメチルトリメトキシシラン、クロロメチルトリエトキシシラン、N−(β−アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(β−アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、フェニルメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルメチルジエトキシシラン、γ−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、γ−クロロプロピルメチルジエトキシシラン、ジメチルジアセトキシシラン、γ−メタクリルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジエトキシシラン、メチルビニルジメトキシシラン、メチルビニルジエトキシシラン。
【0040】
(F)成分である金属酸化物コロイド粒子としては、例えば、酸化タングステン(WO3)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化ケイ素(SiO2)、酸化アルミニウム(Al2O3)、酸化チタニウム(TiO2)、酸化ジルコニウム(ZrO2)、酸化スズ(SnO2)、酸化ベリリウム(BeO)、酸化アンチモン(Sb2O5)等を単独で用いるか又は2種以上を併用することができる。
【0041】
上記コ−ティング組成物の使用量は(E)成分である有機ケイ素化合物100重量部に対して(F)成分である金属酸化物コロイド粒子1〜500重量部を含有させることが望ましい。(F)成分である金属酸化物コロイド粒子が1重量部未満ではハードコート層の耐擦傷性が向上せず、逆に500重量部以上ではハードコート層と基板の間にクラック等が生じやすく、更に透明性が低下する傾向がある。
【0042】
上記コ−ティング組成物には(1)反応を促進させるための硬化剤、または(2)塗布時における塗れ性を向上させ、ハードコート層の平滑性を高めるために各種の界面活性剤を適宜含有させることもできる。更に紫外線吸収剤、酸化防止剤等もハードコート層の物性の影響を与えない限り添加することが可能である。
【0043】
前記硬化剤の例としてアリルアミン、エチルアミン等のアミン類、またルイス酸やルイス塩基を含む各種酸や塩基、例えば有機カルボン酸、クロム酸、次亜塩素酸、ホウ酸、過塩素酸、臭素酸、亜セレン酸、チオ硫酸、オルトケイ酸、チオシアン酸、亜硝酸、アルミン酸、炭酸などを有する塩又は金属塩、更にアルミニウム、ジルコニウム、チタニウムを有する金属アルコキシドまたはこれらの金属キレ−ト化合物などが挙げられる。
【0044】
上記コ−ティング組成物は基板の表面に塗布し、硬化してハードコート層とする。コ−ティング組成物の硬化は、熱風乾燥又は活性化エネルギ−線照射によって行い、硬化条件としては、70〜200℃の熱風中で行うのが良く、好ましくは90〜150℃が望ましい。尚、活性エネルギ−線としては遠赤外線等があり、熱による損傷を低く抑えることができる。
【0045】
上記コ−ティング組成物よりなるハードコート層を基材上へ形成する方法としてはディッピング法、スピン法、スプレ−法等が通常行われる方法として適用されるが、面精度の面からディッピング法、スピン法が特に好ましい。更に上述したコ−ティング組成物を基材上へ塗布する前に酸、アルカリ、各種有機溶媒による化学的処理、プラズマ、紫外線、オゾン等による物理的処理、各種洗剤を用いる洗剤処理、さらには各種樹脂を用いたプライマ−処理を行うことによって基材とハードコート層の密着性等を向上させることができる。
【0046】
上記基板は、基板上に直接、又は前記ハードコート層上に反射防止膜を有することもできる。
【0047】
本発明の反射防止膜を有する光学部材は、眼鏡レンズ、カメラ用レンズ等のレンズのほか、例えば、プリズム、光ファイバー、光ディスク、磁気ディスク等に用いられる記録媒体用基板、フィルター等を挙げることができる。さらに、自動車の窓ガラス、ワードプロセッサーのディスプレイに付設する光学フィルターなどに使用することもできる。好ましくは、本発明の光学部材は、レンズ、特に好ましくは眼鏡レンズに用いることができる。
【0048】
【実施例】
ハードコート層を有する光学部材に、反射防止膜を施した実施例について以下説明する。但し、ハードコート層を介することなく反射防止膜を施することもできるが、強度、耐熱性、耐摩擦性、耐薬品性などの観点からハードコート層を介した方が好ましい。
なお、実施例で得られた反射防止膜を有する光学部材の物性評価は、以下に示す試験方法による。
(1)視感反射率
プラスチックレンズの表面側視感反射率Yは、日立分光光度計U−3410を用い、内面側を黒色マジックで塗布、反射を除去して視感反射率を測定した。
プラスチックレンズの裏面側視感反射率Yは、日立分光光度計U−3410を用い、まず凹面側に反射防止膜を設けたレンズの視感反射率を測定し、同様の反射防止膜を設け凸面を黒色マジックで塗布、反射を除去した比較品の凹面視感反射率(裏面側視感反射率を含む)を測定し、比較品の凹面視感反射率から先に測定した視感反射率を引き、裏面側視感反射率Yとした。
(2)密着性
プラスチックレンズの表面に剃刀にて1mm×1mmの升目を100個作成し、升目上にセロハンテープを貼り、一気にテープをはがし、残った升目の数で評価した。表中、残った升目の数/100で記載した。
(3)耐摩耗性
プラスチックレンズの表面にスチールウールにて1kgf/cm2 の荷重をかけ、20ストローク擦り、表面状態により以下の基準で評価した。
UA:殆ど傷なし。
A:細い傷数本あり。
B:細い傷多数、太い傷数本あり
C:細い傷多数、太い傷多数あり
D:殆ど膜はげ状態
(4)耐熱性
プラスチックレンズをドライオーブンで1時間加熱し、クラックの発生温度を測定した。
(5)耐アルカリ性
プラスチックレンズをNaOH水溶液10%に1時間浸漬し、表面状態により以下の基準で評価した。
UA:殆ど変化なし
A:点状の膜はげ数個あり
B:点状の膜はげが全面にあり
C:点状のはげが全面、面状のはげ数個あり
D:殆ど全面膜はげ
(6)枠入れ加工後の外観検査
プラスチックレンズを枠入れ加工し、反射防止膜の外観検査をおこなった。
UA 暗室内 蛍光灯、高圧水銀灯下で異常なし。
A 暗室内 蛍光灯下で検査して異常なし。
B 暗室内 蛍光灯下で検査した場合曇りあり。
C 室内 蛍光灯下でわずかに曇りあり。
D 室内 蛍光灯下で曇りあり。
【0049】
実施例1
後述の参考例1及び2に示す方法により得られたハードコート層を有するプラスチックレンズをArガスまたは酸素ガスを用いイオン銃にて前処理(加速電圧を250V、電流値を160mA、照射時間を60秒)した後、85℃に加熱し、前記ハードコート層の上に真空蒸着法(真空度2×10-5Torr)により下地層としてSiO2からなる第1層〔屈折率1.46、膜厚0.4233λ(λは500nmである。以下同じ)〕を形成した。
次ぎにNb2O5粉末、ZrO2粉末、Y2O3粉末を混合し、300kg/cm2でプレス加圧し、焼結温度1300℃で焼結して得られた3成分系蒸着組成物A(重量比、Nb2O5:ZrO2:Y2O3=90:5:5)を電子銃出力電流170mAにて加熱して形成される第2層(屈折率2.21、膜厚0.0374λ)と、SiO2からなる第3層(屈折率1.46、膜厚0.0962λ)よりなる中間屈折率層相当の1/4λ層を形成した。
この中間屈折率層相当の1/4λ層の上に前記蒸着組成物Aにて形成される第4層(屈折率2.21、膜厚0.1396λ)、SiO2からなる第5層(屈折率1.46、膜厚0.0674λ)、および前記蒸着物質Aより形成される第6層(屈折率2.21、膜厚0.1584λ)からなる高屈折率層相当の1/2λ層を形成した。
そしてこの高屈折率層相当の1/2λ層の上に第7層としてSiO2からなる低屈折率層の1/4λ層を形成して反射防止膜を有するプラスチックレンズを得た。
これら操作をプラスチックレンズ裏面にも行い両面に反射防止膜を有するプラスチックレンズを得た。
尚、前記第2〜7層の各層は前記第1層を形成した同様の真空蒸着法により形成した。
【0050】
以上説明した反射防止膜の蒸着組成とその厚さ等の諸条件を表1に示す。
またこのようにして得られたプラスチックレンズについて上記(1)〜(6)の評価をした結果も表1に示す。
本実施例の反射防止膜は基板側から、1/4λ層(中間屈折率層相当)+1/2λ層(高屈折率層相当)+1/4λ層(低屈折率層相当)で構成されているが、1/2λ層の中の蒸着組成物Aより形成される2層の高屈折率層の中間に低屈折率物質であるSiO2層を挿入している。(実施例の4、5、6層が該当)
この組み合わせにより、通常 0.5λ程度の膜厚を必要とする高屈折率層膜厚を、4層目、6層目合わせ、0.3λ程度に減少することができる。
これは、中間にSiO2層を挿入した、4、5、6層の合成された屈折率を、2.02〜2.08とすることができる為で、本構成では、2.04程度となっている。
高屈折率物質の屈折率が、2.1以下である場合、本構成を使用することは、反射防止性能を低下させる為、好ましくない。
高屈折率物質層はSiO2層と比較して構造強度や耐熱性が劣るので、構造強度や耐熱性の強いSiO2を挿入することにより、反射防止膜の強度、耐熱性を増加することができた。
なお、蒸着物質Aは、電子銃のみを使用した蒸着で、2.2以上という高い屈折率を有するため(高屈折率物質として良く利用されているTiO2層を同様の屈折率にするにはイオンアシスト法を用いなければならない)、中間に低屈折率物質である薄いSiO2層を挿入しても、屈折率低下の影響は少なく、低反射の反射防止膜を形成することができた。
【0051】
【表1】
【0052】
実施例2(イオンアシスト法)
後述の参考例1及び2に示す方法により得られたハードコート層を有するプラスチックレンズをArガスまたは酸素ガスを用いイオン銃にて前処理(加速電圧を250V、電流値を160mA、照射時間を60秒)した後、85℃に加熱し、前記ハードコート層の上に真空蒸着法(真空度2×10-5Torr)により下地層としてSiO2からなる第1層〔屈折率1.46、膜厚0.4230λ(λは500nmである。以下同じ)〕を形成した。
3成分系蒸着組成物A(重量比、Nb2O5:ZrO2:Y2O3=90:5:5)を電子銃出力電流170mAで、イオンアシストを併用して形成される第2層(屈折率2.27、膜厚0.0416λ イオンアシスト出力 350V、150mA O2ガス+Arガス)と、SiO2からなる第3層(屈折率1.46、膜厚0.0969λ)よりなる中間屈折率層相当の1/4λ層を形成した。
この中間屈折率層相当の1/4λ層の上に前記蒸着組成物A(イオンアシスト併用)にて形成される第4層(屈折率2.27、膜厚0.1370λ)、SiO2からなる第5層(屈折率1.46、膜厚0.0696λ)、および前記蒸着物質A(イオンアシスト併用)より形成される第6層(屈折率2.27、膜厚0.1461λ)からなる高屈折率層相当の1/2λ層を形成した。
そしてこの高屈折率層相当の1/2λ層の上に第7層としてSiO2からなる低屈折率層の1/4λ層を形成して反射防止膜を有するプラスチックレンズを得、これら操作をプラスチックレンズ裏面にも行い両面に反射防止膜を有するプラスチックレンズを得た。
尚、イオンアシストの、イオン化ガスには、酸素+アルゴンの混合ガスを使用した。
結果を表2に示す。
【0053】
【表2】
【0054】
実施例3(1/4λ層−1/4λ層−1/2λ層−1/4λ層)
後述の参考例1及び2に示す方法により得られたハードコート層を有するプラスチックレンズをArガスまたは酸素ガスを用いイオン銃にて前処理(加速電圧を250V、電流値を160mA、照射時間を60秒)した後、85℃に加熱し、前記ハードコート層の上に真空蒸着法(真空度2×10-5Torr)により下地層としてSiO2からなる第1層〔屈折率1.46、膜厚0.4670λ(λは500nmである。以下同じ)〕を形成した。
3成分系蒸着組成物A(重量比、Nb2O5:ZrO2:Y2O3=90:5:5)を電子銃出力電流170mAにて加熱して形成される第2層(屈折率2.21、膜厚0.014λ)と、SiO2からなる第3層(屈折率1.46、膜厚0.2001λ)よりなる中間屈折率層相当の1/4λ層Aを形成した。
次に、3成分系蒸着組成物A(重量比、Nb2O5:ZrO2:Y2O3=90:5:5)を電子銃出力電流170mAにて加熱して形成される第4層(屈折率2.21、膜厚0.0390λ)と、SiO2からなる第5層(屈折率1.46、膜厚0.1420λ)よりなる中間屈折率層相当の1/4λ層Bを形成した。
この1/4λ層A及びBの上に前記蒸着組成物Aにて形成される第6層(屈折率2.21、膜厚0.1381λ)、SiO2からなる第7層(屈折率1.46、膜厚0.0805λ)、および前記蒸着物質Aより形成される第8層(屈折率2.21、膜厚0.1524λ)からなる高屈折率層相当の1/2λ層を形成した。
そしてこの高屈折率層相当の1/2λ層の上に第9層としてSiO2からなる低屈折率層の1/4λ層を形成して反射防止膜を有するプラスチックレンズを得、これら操作をプラスチックレンズ裏面にも行い両面に反射防止膜を有するプラスチックレンズを得た。
結果を表3に示す。
【0055】
【表3】
【0056】
実施例4(イオンアシスト法+1/4λ層−1/4λ層−1/2λ層−1/4λ層)
後述の参考例1及び2に示す方法により得られたハードコート層を有するプラスチックレンズをArガスまたは酸素ガスを用いイオン銃にて前処理(加速電圧を250V、電流値を160mA、照射時間を60秒)した後、85℃に加熱し、前記ハードコート層の上に真空蒸着法(真空度2×10-5Torr)により下地層としてSiO2からなる第1層〔屈折率1.46、膜厚0.4670λ(λは500nmである。以下同じ)〕を形成した。
3成分系蒸着組成物A(重量比、Nb2O5:ZrO2:Y2O3=90:5:5)を電子銃出力電流170mAで、イオンアシストを併用して形成される第2層(屈折率2.27、膜厚0.0136λ)と、SiO2からなる第3層(屈折率1.46、膜厚0.2044λ)よりなる中間屈折率層相当の1/4λ層Aを形成した。
次に、3成分系蒸着組成物A(重量比、Nb2O5:ZrO2:Y2O3=90:5:5)を電子銃出力電流170mAで、イオンアシストを併用して形成される第4層(屈折率2.27、膜厚0.0445λ)と、SiO2からなる第5層(屈折率1.46、膜厚0.1505λ)よりなる中間屈折率層相当の1/4λ層Bを形成した。
この中間屈折率層相当の1/4λ層A及びBの上に前記蒸着組成物A(イオンアシスト併用)にて形成される第6層(屈折率2.27、膜厚0.1367λ)、SiO2からなる第7層(屈折率1.46、膜厚0.0892λ)、および前記蒸着物質A(イオンアシスト併用)より形成される第8層(屈折率2.27、膜厚0.1592λ)からなる高屈折率層相当の1/2λ層を形成した。
そしてこの高屈折率層の上に第9層としてSiO2からなる低屈折率層の1/4λ層を形成して反射防止膜を有するプラスチックレンズを得、これら操作をプラスチックレンズ裏面にも行い両面に反射防止膜を有するプラスチックレンズを得た。
結果を表4に示す。
【0057】
【表4】
【0058】
実施例5
前記ハードコート層を有するプラスチックレンズをArガスまたは酸素ガスを用いイオン銃にて前処理(加速電圧を250V、電流値を160mA、照射時間を60秒)した後、85℃に加熱し、前記ハードコート層の上に真空蒸着法(真空度2×10-5Torr)により下地層としてSiO2からなる第1層〔屈折率1.46、膜厚0.4222λ(λは500nmである。以下同じ)〕を形成した。3成分系蒸着組成物A(重量比、Nb2O5:ZrO2:Y2O3=90:5:5)を電子銃出力電流170mAにて加熱して形成される第2層(屈折率2.21、膜厚0.0458λ)と、SiO2からなる第3層(屈折率1.46、膜厚0.0814λ)よりなる中間屈折率層相当の1/4λ層を形成した。
この中間屈折率層相当の1/4λ層の上に前記蒸着組成物Aにて形成される第4層(屈折率2.21、膜厚0.1172λ)、SiO2からなる第5層(屈折率1.46、膜厚0.0280λ)、前記蒸着組成物Aより形成される第6層(屈折率2.21、膜厚0.1143λ)、SiO2からなる第7層(屈折率1.46、膜厚0.0246λ)、および前記蒸着組成物Aより形成される第8層(屈折率2.21、膜厚0.1280λ)からなる高屈折率層相当の1/2λ層を形成した。
そしてこの高屈折率層相当の1/2λ層の上に第9層としてSiO2からなる低屈折率層の1/4λ層を形成して反射防止膜を有するプラスチックレンズを得、これら操作をプラスチックレンズ裏面にも行い両面に反射防止膜を有するプラスチックレンズを得た。
【0059】
【表5】
【0060】
参考例1
平均分子量400のポリテトラメチレングリコールと4,4'-メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)からなるイソシアネート基含有率が13%であるイソシアネート末端プレポリマー100重量部に、あらかじめモノブトキシエチルアシッドホスフェート0.024重量部およびジ(ブトキシエチル)アシッドホスフェート0.036重量部を添加し、均一に溶解させ、脱泡した。次に、3,5-ジエチル-2,4-トルエンジアミンと3,5-ジエチル-2,6-トルエンジアミンの混合物25.5重量部とを60〜70℃で均一に混合し、短時間に高速にて攪拌した。さらに攪拌直後の混合物をレンズ成型用ガラス型に注入し、120℃で15時間加熱重合させ、プラスチックレンズを得た。
【0061】
参考例2
(コ−ティング液の調製)
マグネティックスタ−ラ−を備えたガラス製の容器に水分散コロイダルシリカ(固形分40%、平均粒子径15ミリミクロン、(F)成分)141重量部を加え撹拌しながら、酢酸30重量部を添加し、充分に混合攪拌を行った。その後:γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン((E)成分)74重量部を滴下し、5℃で24時間攪拌を行った。次にプロピレングリコールモノメチルエーテル100重量部、イソプロピルアルコール150重量部、更にシリコ−ン系界面活性剤0.2重量部、硬化剤としてアルミニウムアセチルアセトネ−ト7.5重量部を加え、充分に撹拌した後濾過を行ってコ−ティング組成液を作製した。
【0062】
(ハードコート層の形成)
参考例1のポリウレタンウレア重合体からなるプラスチックレンズを55℃、10%の水酸化ナトリウム水溶液に5分間浸して十分に洗浄を行った後、上記方法で調製されたコ−ティング液を用いて、ディップ法(引き上げ速度20cm/min)でコ−ティングを行い120℃で2時間加熱、ハードコート層を形成した。
【0063】
【発明の効果】
本発明によれば、ポリウレタンウレア重合体からなる材料を基板とし、この基板に適した耐熱性が良好で、膜強度が高く、且つ経時的に耐熱性が低下する程度が小さい反射防止膜を有する光学部材を提供することができる。
Claims (12)
- 下記成分(A)と成分(B)との重合体であるポリウレタンウレア重合体からなるプラスチックレンズ基板上に直接又は間接に反射防止膜を有するプラスチックレンズであって、前記反射防止膜は1/2λ層を含む多層反射防止膜であり、前記1/2λ層が酸化ニオブを含有する複数の高屈折率層とこれら高屈折率層の中間に配置された二酸化ケイ素からなる層を有することを特徴とするプラスチックレンズ。
成分(A):分子中に環状構造を有する脂肪族ジイソシアネートと300〜2500の平均分子量を有するジオールとの反応生成物であるイソシアネート末端プレポリマー成分(B):一般式(I)で表される1種または2種以上の芳香族ジアミン(一般式(I)中、R1、R2及びR3はそれぞれ独立して、メチル基、エチル基、チオメチル基の何れかである)
- 前記1/2λ層が有する前記高屈折率層は、酸化ジルコニウム及び/又は酸化イットリウムをさらに含有する請求項1に記載のプラスチックレンズ。
- 前記高屈折率層が該層の全量を基準にして、酸化ニオブ90〜100重量%、酸化ジルコニウム0〜5重量%、及び酸化イットリウム0〜5重量%を含有する請求項2に記載のプラスチックレンズ。
- 前記プラスチックレンズは眼鏡レンズである請求項1〜4のいずれか1項に記載のプラスチックレンズ。
- 前記反射防止膜がハードコート層を介して、前記基板上に設けられた請求項1〜5のいずれか1項に記載のプラスチックレンズ。
- 前記ハードコート層が、成分(E)と成分(F)とを含むコ−ティング組成物を硬化させたものである請求項6に記載のプラスチックレンズ。
成分(E):一般式(IV)で表される有機ケイ素化合物またはその加水分解物(R7)a(R9)bSi(OR8)4-(a+b)・・・(IV)
(一般式(IV)中、R7はエポキシ基、メタアクリルオキシ基、メルカプト基、アミノ基、又はフェニル基を有する有機基、R8は炭素数1〜4のアルキル基または炭素数1〜4のアシル基、R9は炭素数1〜6のアルキル基、a及びbは0又は1の整数を示す)
成分(F):金属酸化物コロイド粒子 - 前記高屈折率層の中間に配置された二酸化ケイ素からなる層の膜厚は、0.02λ〜0.15λの範囲である請求項1〜7のいずれか1項に記載のプラスチックレンズ。
- 前記高屈折率層の屈折率は2.1より大きく、かつ前記1/2λ層の屈折率は2.02〜2.08の範囲である請求項1〜8のいずれか1項に記載のプラスチックレンズ。
- 前記反射防止膜は、基板側から、1/4λ層、前記1/2λ層、および1/4λ層、をこの順に有する請求項1〜9のいずれか1項に記載のプラスチックレンズ。
- 前記反射防止膜は、基板側から、1/4λ層、1/4λ層、前記1/2λ層、1/4λ層、をこの順に有する請求項1〜9のいずれか1項に記載のプラスチックレンズ。
- 請求項1〜11のいずれか1項に記載のプラスチックレンズの製造方法であって、前記高屈折率層を、酸化ニオブ、酸化ジルコニウムおよび酸化イットリウムを含む蒸着組成物を蒸着源として蒸着処理を行うことにより形成する、前記プラスチックレンズの製造方法。
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