JP2862597B2 - プラスチックレンズ用反射防止膜 - Google Patents

プラスチックレンズ用反射防止膜

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【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、光学素子の表面反射を防止する反射防止膜
に係り、特に、プラスチツクレンズに有用な低屈折率膜
と高屈折率膜とを交互に積層してなる多層反射防止膜に
関する。
〔従来の技術〕
光学レンズ,フイルター,偏光子,半透鏡等の光学素
子は、従来より主として無機ガラスを材料としてきた
が、近年では、軽量である点、耐衝撃性に優れる点等か
ら、プラスチツクが多用されるようになつてきている。
このような光学素子において、表面反射は光学系の透
過率を低下させるとともに、結像に寄与しない光の増加
をもたらして、像のコントラストを低下させる原因とな
る。このため、無機ガラスからなる光学素子およびプラ
スチツクからなる光学素子ともに、多くの光学素子では
その表面に反射防止膜を設けて、表面反射を減少させて
いる。
反射防止膜は、一般には金属または金属酸化物を原料
とする蒸着膜として形成され、蒸着膜が一層の単層反射
防止膜と、低屈折率膜と高屈折率膜とを交互に積層した
多層反射防止膜とに大別される。そして、単層反射防止
膜と多層反射防止膜のいずれについても、所望の屈折率
を有すること、光学的に均質であること、透明性に優れ
ていること等の光学的特性は勿論、耐擦傷性に優れてい
ること、密着性に優れていること等の機械的特性や、耐
酸性に優れていること、耐熱性に優れていること等の化
学的特性が要求される。
無機ガラスからなる光学素子に設ける多層反射防止膜
の高屈折率膜としては、上記特性を満足するものとして
従来より酸化ジルコニウム(ZrO2)を原料とする蒸着膜
が広く用いられており、プラスチツクからなる光学素子
に設ける多層反射防止膜の高屈折率膜についても、透明
性に優れる点、高屈折率である点等から、例えば特開昭
56−116003号公報に開示されているように、ZrO2を原料
とする蒸着膜が用いられている。
〔発明が解決しようとする課題〕
しかしながら、ZrO2を原料とする蒸着膜は、プラスチ
ツクレンズのように成膜時の基板温度を十分に高くする
ことができない基板に蒸着させた場合、経時変化に伴う
耐熱性の低下が実用上十分に小さいとは言い難いという
問題があつた。
一方、近年、プラスチツクレンズの光学性能の改良及
びレンズ厚を薄くするための、レンズ設計からの改良と
して、レンズの屈折面のカーブを浅くした、非球面レン
ズの設計が用いられるようになつている。しかしながら
レンズ設計上、屈折面のカーブを浅くすることは、例え
ば、眼鏡レンズの場合、裏面反射の問題、即ち凹面側
(眼側)からの入射光の反射を受け易いという課題があ
る。そこで、低反射の反射防止膜が求められていたが、
前述のZrO2からなる蒸着膜の屈折率は、1.90前後であ
り、屈折率に限界があるため、高屈折率を要求される多
層反射防止膜の高屈折率層の膜設計にも影響を及ぼし、
例えば、反射率を1%以下に押えるような、高性能の反
射防止膜をうることができなかつた。
したがつて本発明の第1の目的とするところは、上記
課題を解決して、低温で蒸着させた場合でも、光学的特
性、機械的特性および化学的特性に優れ、かつこれら特
性の耐久性が向上された多層反射防止膜を提供すること
にあり、さらに、第2の目的は、低反射の多層反射防止
膜を提供することにある。
〔課題を解決するための手段〕
本発明は、上記目的を解決するためになされたもの
で、低屈折率膜と高屈折率膜とを交互に積層してなるプ
ラスチックレンズ用多層反射防止膜において、基板側か
ら数えて、第1層が、光学的膜厚が0.09λ〜0.14λでか
つ、タンタル、ジルコニウムおよびイットリウムを含む
金属酸化物膜と、この金属酸化物膜上に形成され、光学
的膜厚が0.04λ〜0.07λでかつ、硅素酸化物膜とからな
る低屈折率のコンポジット膜と、第2層が、光学的膜厚
が0.47λ〜0.7λでかつ、タンタル、ジルコニウムおよ
びイットリウムを含む金属酸化物膜からなる高屈折率膜
と、第3層が、光学的膜厚0.24λ〜0.26λでかつ硅素酸
化物膜からなる低屈折率膜とから構成されることを特徴
とするプラスチックレンズ用多層反射防止膜を提供する
ことにある。ただし、上記λは可視域にある設計中心と
なる設計波長である。
本発明の多層反射防止膜は、nd=1.54以上の高屈折率
プラスチツクレンズに好ましく用いられ、特に、ndが1.
57〜1.61の高屈折率レンズに好ましく用いられる。
また、レンズ基材については、特に限定されない。
プラスチツク製光学素子に本発明の多層反射防止膜を
設ける場合には、光学素子表面に有機硅素重合体を含む
ハードコート層をデイツピング法、スピンコート法等の
塗布法により成膜し、このハードコート膜上に本発明の
多層反射防止膜を設けることが好ましい。
レンズ基板上に形成される、有機ケイ素重合体を含む
ハードコート膜は、下記の一般式を有する化合物群およ
び/またはこれらの加水分解物からなる群より選ばれた
化合物からなる層を、デイツプ法、塗布法等によりポリ
ウレタンレンズ基板上に形成したのち硬化させることに
より得ることできる。
一般式 (R1(R2bSi(OR34-(a+b) (ここで、R1、R2は、炭素数1〜10のアルキル基、アリ
ール基、ハロゲン化アルキル、ハロゲン化アリール、ア
ルケニル、またはエポキシ基、(メタ)アクリルオキシ
基、メルカプト基、もしくはシアノ基を有する有機基で
Si−C結合によりケイ素と結合されるものであり、R
3は、炭素数1〜6のアルキル基、アルコキシアルキル
基またはアシル基であり、aおよびbは0、1または2
であり、a+bが1または2である。) これらの化合物の例としては、メチルトリメトキシシ
ラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシ
エトキシシラン、メチルトリアセトキシシラン、メチル
トリプロポキシシラン、メチルトリブトキシシラン、エ
チルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、
ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラ
ン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリメトキシ
エトキシシラン、フエニルトリメトキシシラン、フエニ
ルトリエトキシシラン、フエニルトリアセトキシシラ
ン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−クロ
ロプロピルトリエトキシシラン、γ−クロロプロピルト
リプロポキシシラン、3,3,3−トリフロロプロピルトリ
メトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキ
シシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラ
ン、γ−(β−グリシドキシエトキシ)プロピルトリメ
トキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)
エチルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシク
ロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、γ−メタクリ
ルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロ
ピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエト
キシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラ
ン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、N−
β(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシ
シラン、β−シアノエチルトリエトキシシラン等のオリ
アルコキシまたはトリアシルオキシシラン類、およびジ
メチルジメトキシシラン、フエニルメチルジメトキシシ
ラン、ジメチルジエトキシシラン、フエニルメチルジエ
トキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメト
キシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキ
シシラン、γ−グリシドキシプロピルフエニルジメトキ
シシラン、γ−グリシドキシプロピルフエニルジエトキ
シシラン、γ−クロロプロピルメチルジメトキシシラ
ン、γ−クロロプロピルメチルジエトキシシラン、ジメ
チルジアセトキシシラン、γ−メタクリルオキシプロピ
ルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリルオキシプロ
ピルメチルジエトキシシラン、γ−メルカプトプロピル
メチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチ
ルジエトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメト
キシシラン、γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラ
ン、メチルビニルジメトキシシラン、メチルビニルジエ
トキシシラン等のジアルコキシシランまたはジアシルオ
キシシラン類が挙げられる。
これらの有機ケイ素化合物は、単独または2種以上組
合わせることも可能である。
さらに、単独では用いられないが、上記の有機ケイ素
化合物と併用できるものとして、各種のテトラアルコキ
シシラン類もしくはその加水分解物がある。
このようなテトラアルコキシシラン類の例としては、
メチルシリケート、エチルシリケート、n−プロピルシ
リケート、イソプロピルシリケート、n−ブチルシリケ
ート、sec−ブチルシリケートおよびt−ブチルシリケ
ート等が挙げられる。
またこれらの有機ケイ素化合物は、触媒が存在しなく
ても硬化が可能であるが、さらに硬化を促進するため
に、各種の触媒を用いることが可能である。
このような触媒としては、ルイス酸、ルイス酸塩を含
む各種酸もしくは塩基、あるいは有機カルボン酸、クロ
ム酸、次亜塩素酸、ホウ酸、臭素酸、亜セレン酸、チオ
硫酸、オルトケイ酸、チオシアン酸、亜硝酸、アルミン
酸、炭酸等の金属塩とくにアルカリ金属塩またはアンモ
ニウム塩、さらにはアルミニウム、ジルコニウムあるい
はチタニウムのアルコキシドまたはこれらの錯化合物等
を使用することができる。
さらに、前述した有機ケイ素重合体と他の有機物との
併用も可能であり、併用する他の有機物としては、エポ
キシ樹脂、アクリル系共重合体、あるいはポリビニルア
ルコール等の水酸基含有重合体等が挙げられる。
また、その他の賦形成分として、オプテイカアクタ
(1962年7月発行、251頁)に開示されているような、S
i、Al、Ti、Sb等の無機酸化物のコロイドゾルを使用す
ることができる。
さらに、コーテイング作業を容易にするために保存状
態を良好に保つ溶剤類、および各種添加剤を使用するこ
とも可能である。
また、光学素子と多層反射防止膜との密着性、耐擦傷
性等の向上を図るうえで、光学素子と多層反射防止膜と
の間、あるいは光学素子表面に成膜したハードコート膜
と多層反射防止膜との間に下地層を介在させることは好
ましく、このような下地層としては、例えば硅素酸化物
等の蒸着膜を使用することができ、その場合、光学的膜
厚は0.4λ〜0.6λが好ましく用いられる。
なお、本発明の多層反射防止膜を成膜するにあたつて
は、真空蒸着法の他、同様の焼結体をターゲツト材料と
するスパツタリング法や、イオンプレーテイング法等の
方法を用いることもできる。
本発明において、タンタル、ジルコニウムおよびイツ
トリウムを含む金属酸化物の蒸着膜は、酸化ジルコニウ
ム(ZrO2)粉末、酸化タンタル(Ta2O5)粉末および酸
化イツトリウム(Y2O3)粉末を混合し、加圧プレス、焼
結によりペレツト状にしたものを電子ビーム加熱法にて
蒸着させたものが好適である。各粉末を混合してなる混
合原料の組成比は、モル比において、ZrO2が1.0に対
し、Ta2O5が0.8〜1.8、Y2O3が0.05〜0.3であることが好
ましい。
このようにして得られる蒸着膜(以下、3成分蒸着膜
と称す)は、Ta2O5膜と同様に、ZrO2膜に比べ化学的に
極めて安定であり、かつZrO2膜に匹敵する透明性を有し
ている。さらに屈折率において、例えば2.00〜2.10の高
い数値を示し、膜設計上からも有効である。
なお、1モルのZrO2に対して、Ta2O5が0.8モル未満の
場合や1.8モルを超える場合には、得られる3成分蒸着
膜に吸収が生じ易く、Y2O3が0.3モルを超えると、蒸着
速度が早くなり、得られる3成分蒸着膜に吸収が生じ易
くなるとともに、蒸着原料の飛散が生じ易くその制御が
難しい。
〔実施例〕
以下、本発明の実施例について説明する。
(高屈折率ポリウレタンレンズの作製) m−キシリレンジイソシアネート100重量部と、ペン
タエリスリトールテトラキス−3−メルカプトプロピオ
ネート142重量部と、リン酸ジ−n−ブチル6重量部
と、ジブチルスズジラウレート0.25重量部と、紫外線吸
収剤として2−(2′−ヒドロキシ−5′−t−オクチ
ルフエニル)ベンゾトリアゾール0.5重量部とを混合
し、十分に撹拌したのち1mmHgの真空下で60分脱気を行
つた。
次いで、ガラス製レンズ成形用型と樹脂製ガスケツト
とからなる鋳型中に前記混合液を注入し、25℃から120
℃まで連続的に20時間かけて昇温し、次いで120℃で2
時間保持して重合を行なつた。重合後ガスケツトを除去
し、レンズ成形型とレンズを分離して高屈折率ポリウレ
タンレンズを得た。
得られたレンズはnd=1.592、ν=36という良好な
光学物性を有していた。
(コーテイング液の調整) γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン212重
量部に、0.06規定塩酸水溶液54重量部を撹拌しながら滴
下した。滴下終了後、24時間撹拌を行ない加水分解物を
得た。
次いで、五酸化アンチモンゾル(メタノール分散状ゾ
ル、平均粒子径10nm、固定分30%)424重量部と、エポ
キシ化合物としてデナコールEX−521(ナガセ化成株式
会社製、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル)34
重量部とを添加し、5時間撹拌した後、硬化触媒として
ジブチルスズラウレートを6.8重量部添加して、更に100
時間熟成することによりコーテイング液を得た。
(ハードコート膜の形成) 前述の方法で作製した高屈折率ポリウレタンレンズを
50℃の10%NaOH水溶液に5分間浸漬し、十分に洗浄を行
なつた後、上記の方法で調整されたコーテイング液を用
いて、デイツプ法(引き上げ速度12cm/分)でコーテイ
ングを行ない、120℃で1時間加熱して硬化させたのち
徐冷してハードコート付プラスチツクレンズを得た。
(多層反射防止膜の形成) 次に、このハードコート付プラスチツクレンズに設け
る下地層および低屈折率膜の蒸着原料として、SiO2の焼
結体を、また高屈折率膜の蒸着原料としてZrO2粉末、Ta
2O5粉末およびY2O3粉末をモル比で1:1.3:0.2の割合で混
合し、プレス成形したのち1200℃で焼結してペレツト状
にしたものを用い、前述のプラスチツクレンズを蒸着槽
に入れ、排気しながら85℃に加熱し、2×10-5Torrまで
排気した後、電子ビーム加熱法にて上記蒸着原料をプラ
スチツクレンズ表面に蒸着させて、表−1に示すよう
に、硅素酸化物膜からなる下地層、3成分蒸着膜と当該
3成分蒸着膜上に形成される硅素酸化物膜とのコンポジ
ット等価膜からなる第1層の低屈折率膜、3成分蒸着膜
からなる第2層の高屈折率膜および硅素酸化物からなる
第3層の低屈折率膜を順次成膜してなる膜構成の多層反
射防止膜を成膜した。なお、下地層は、主目的として基
板との密着性を向上させるものとして使用した。
また、このようにして成膜した多層反射防止膜および
この多層反射防止膜を有するプラスチツクレンズの、機
械的特性、化学的特性およびこれら特性の耐久性を評価
するにあたり、レンズの外観、耐擦傷性、密着性、耐熱
性、耐アルカリ性、耐酸性および耐候性を下記の要領で
評価、測定した。
・外 観 螢光灯を光源とする照明装置を用い、目視にて下記
1)〜4)を満足するか否か観察した。
1)透明であること。
2)表面に不規則性がないこと。
3)脈理がないこと。
4)表面に異物、傷がないこと。
・視感反射率 日立製作所製340型自記分光光度計を用い、380〜780n
m波長域の反射率を測定し、この反射率と視感度曲線と
から視感率を換算した。
・耐擦傷性 スチールウール♯0000で多層反射防止膜表面を擦つ
て、傷のつきにくさを目視で判断した。判断基準は以下
のようにした。
A…強く擦つてもほとんど傷がつかない。
B…強く擦るとかなり傷がつく。
C…レンズ基板と同等の傷がつく。
・耐衝撃性 反射防止性高屈折率プラスチツクレンズの中心に127c
mの高さから16gの鋼球を落下させ、レンズの破損の有無
を調べた。
・密着性 多層反射防止膜を設けたレンズ表面を1mm間隔で100目
クロスカツトし、セロフアンテープを強く貼り付けた
後、急速に剥がして、多層反射防止膜、下地層および硬
化膜の剥離の有無を調べた。
・耐熱性 多層反射防止膜を設けたレンズをオーブンに1時間入
れて加熱し、クラツクの発生の有無を調べた。加熱温度
は、70℃より始め、5℃づつ上げて、クラツクが発生す
る温度により優劣を判定した。
・耐アルカリ性 10wt%NaOH水溶液に、多層反射防止膜を設けたレンズ
を24時間浸漬し、多層反射防止膜表面の侵食状態を観察
した。
・耐酸性 10wt%HCl水溶液および10wt%H2SO4水溶液に、多層反
射防止膜を設けたレンズを3時間浸漬し、多層反射防止
膜表面の侵食状態を観察した。
・耐候性 耐久性を調べるために多層反射防止膜を設けたレンズ
を1箇月屋外暴露し、この後、外観、耐擦傷性、密着
性、耐熱性、耐アルカリ性および耐酸性を上記の要領で
評価、測定した。
この結果、本実施例の多層反射防止膜およびこの多層
反射防止膜を有するプラスチツクレンズにおいては、い
ずれの項目についても良好な評価、測定結果が得られ、
機械的特性、化学的特性に優れるとともに、これら特性
が耐久性に優れていることが確認された。
なおこれらの評価、測定結果のうち、外観、視感反射
率、耐擦傷性、耐衝撃性、密着性、耐熱性、耐アルカリ
性および耐酸性の8項目の評価、測定結果を表−2に、
耐候性すなわち屋外暴露1箇月後の上記8項目の評価結
果を表−3に示す。
本実施例で得られた多層反射防止膜を有するプラスチ
ツクレンズの、380〜780nm波長域におけるレンズ両面で
の反射率を、日立製作所製340型自記分光光度計を用い
て測定したところ、第1図にその分光反射率曲線を示す
ように、本実施例で得られた多層噴射防止膜を有するプ
ラスチツクレンズは、視感反射率1%以下の優れた反射
防止特性を有していることが確認された。
〔発明の効果〕 以上説明したように、本発明の多層反射防止膜は、比
較的低温で蒸着させた場合でも、光学的特性、機械的特
性および化学的特性に優れているとともに、これら特性
が耐久性に優れている。
したがつて本発明を実施することにより、プラスチツ
ク製光学素子のように、反射防止膜の成膜時における基
板温度を高くすることができない光学素子についても、
光学的特性、機械的特性および化学的特性に優れ、かつ
これら特性が耐久性に優れている多層反射防止膜を設け
て、光学素子の光学的特性を長期に亘つて高いレベルに
維持させることが可能となる。
さらに、本発明の膜設計により、時に高屈折率のプラ
スチツクレンズに有用な、低反射防止膜をうることがで
きる。
【図面の簡単な説明】
第1図は実施例で得られた多層反射防止膜を有するプラ
スチツクレンズの分光反射率曲線である。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】低屈折率膜と高屈折率膜とを交互に積層し
    てなるプラスチックレンズ用多層反射防止膜において、
    基板側から数えて、第1層が、光学的膜厚が0.09λ〜0.
    14λでかつ、タンタル、ジルコニウムおよびイットリウ
    ムを含む金属酸化物膜と、この金属酸化物膜上に形成さ
    れ、光学的膜厚が0.04λ〜0.07λでかつ、硅素酸化物膜
    とからなる低屈折率のコンポジット膜と、第2層が、光
    学的膜厚が0.47λ〜0.7λでかつ、タンタル、ジルコニ
    ウムおよびイットリウムを含む金属酸化物膜からなる高
    屈折率膜と、第3層が、光学的膜厚0.24λ〜0.26λでか
    つ硅素酸化物膜からなる低屈折率膜とから構成されるこ
    とを特徴とするプラスチックレンズ用多層反射防止膜。 ただし、上記λは可視域にある設計中心となる設計波長
    である。
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