JP4156219B2 - Method for producing acid anhydride - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、酸無水物の工業的な製造方法に関する。酸無水物はアミド化、エステル化などに有用なアシル化剤として使用される。
【0002】
【従来の技術】
酸無水物の製造方法としては、無水酢酸のような低分子量の酸無水物と高分子量のカルボン酸(例えばJ.Am.Chem.Soc. 63 699(1941))、あるいは低分子量の酸無水物と高分子量のカルボン酸クロライドとを反応させて高分子量の酸無水物を生成させ、副生する低分子量のカルボン酸またはカルボン酸クロライドを、溶媒との共沸などで取り除く方法が公知である(例えば特開平5−339194号公報)。しかし、この方法では、低分子量の酸無水物の製造は困難であり、収率も低かった。また熱に対して不安定な酸無水物にも適用できなかった。
【0003】
低分子量の酸無水物を製造し得る方法としては、酸ハロゲン化物とカルボン酸(例えば特開平9−104642号公報)、あるいは酸ハロゲン化物とカルボン酸金属塩を反応させ、酸または金属塩を取り除く方法が知られている(例えば、J. Org. Chem. 60(7) 2271(1995))。しかし、この方法も、収率が満足できるものではなく、また、酸ハロゲン化物を用いての反応が安定性に劣るものであった。
【0004】
こうしたなか、低分子量の酸無水物を収率良く製造する方法として、カルボン酸にメタンスルホニルクロライドを、トリエチルアミンの存在下で反応させる例が知られている(J. Chem. Res., Synop. 3 100(1984))。この方法では、カルボン酸2当量に対して、メタンスルホニルクロライドを1.05当量、トリエチルアミンを3.5当量を用いてテトラヒドロフラン中、−15℃で反応している。反応後はテトラヒドロフランを減圧留去し、酢酸エチルを加えて炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄後、有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を留去することで目的の酸無水物を得ている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、この反応は、トリエチルアミンを用いての反応性が激しく、上記−15℃下に温度が調整されているように、過度に冷却しなければ反応を制御することが難しかった。
【0006】
また、原料のカルボン酸に比べて大過剰のトリエチルアミンを使用しているため、反応後に水洗を行っても、臭気が強い該化合物の十分な除去が行い難かった。特に、この方法では、上記洗浄水として、系に含まれる酸成分を十分に中和することを目的に炭酸水素ナトリウム水溶液を用いているため、反応後に塩(塩酸塩及びスルホン酸塩)になっているトリエチルアミンも再び遊離させてしまい、上記目的物へのトリエチルアミンの含有量を増大させていた。
【0007】
さらに、このようにトリエチルアミンを過剰に用いる方法では、上記水洗により生じた廃液にも、該トリエチルアミンに由来する塩が多量に含有されてしまい、廃液処理の面からも問題であった。
【0008】
このため、トリエチルアミンのような三級アミンの使用量はできるだけ少なく抑えて、穏かな反応条件で高収率に高純度の酸無水物を製造する方法を開発することが望まれていた。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の課題に鑑み鋭意研究を続けてきた。その結果、カルボン酸とスルホニルハライド化合物との反応系に、三級アミンと共に無機塩基を存在させることにより、上記課題が解決できることを見出し本発明を完成させるに至った。
【0010】
すなわち、本発明は、カルボン酸とスルホニルハライド化合物とを、三級アミン、および水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素リチウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、または炭酸マグネシウムの共存下で反応させることを特徴とする酸無水物の製造方法である。
以下、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素リチウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、または炭酸マグネシウムを、無機塩基とする場合もある。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明において、一方の出発原料であるカルボン酸は、公知の脂肪酸、脂環式カルボン酸、芳香族カルボン酸が制限なく使用できる。一般には、下記式(I)
【0012】
【化4】
【0013】
(但し、R1はアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アラルキル基、アリール基である。)
で示される化合物が使用される。
【0014】
式(I)中、R1はアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アラルキル基、アリール基であり、それぞれに置換基が存在していてもよい。
【0015】
アルキル基は、直鎖状、分岐状の何れのものでも良いが、反応性の観点から、炭素数は1〜10のものが好ましく、さらに好ましくは3〜8のものがよい。具体的にアルキル基を例示すると、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、iso−ペンチル基、tert−ペンチル基、n−ヘキシル基、iso−ヘキシル基、ter−ヘキシル基、n−ヘプチル基、iso−ヘプチル基、tert−ヘプチル基、n−オクチル基、iso−オクチル基、tert−オクチル基等を例示できる。
【0016】
シクロアルキル基としては、炭素数が3〜8のものが好ましく、具体的にはシクロプロピル基、シクロブチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基等が例示できる。
【0017】
アルケニル基としては炭素数2〜10のものが好ましく、具体的にはビニル基、プロぺニル基、イソプロペニル基等が例示できる。
【0018】
アラルキル基としては炭素数7〜12のものが好ましく、具体的にはベンジル基、フェネチル基、ジメチルベンジル基、ナフチルメチル基等が例示できる。
【0019】
アリール基としてはフェニル基、トリル基、ナフチル基等が例示できる。
【0020】
式(I)の化学構造を有するカルボン酸としては、具体的には以下のものが例示できる。
【0021】
酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、ヘプタン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アクリル酸、メタクリル酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、シクロプロパンカルボン酸、シクロブタンカルボン酸、シクロヘキサンカルボン酸、シクロヘプタンカルボン酸、シクロオクタンカルボン酸等の脂肪族カルボン酸化合物;フェニル酢酸、安息香酸、o−トルイル酸、m−トルイル酸、p−トルイル酸、o−ニトロ安息香酸、m−ニトロ安息香酸、p−ニトロ安息香酸、o−クロロ安息香酸、m−クロロ安息香酸、p−クロロ安息香酸、1−ナフタレンカルボン酸、2−ナフタレンカルボン酸などの芳香族カルボン酸化合物;アミノ基が保護されたアミノ酸誘導体等を挙げることができる。
【0022】
中でも、分子量の小さい酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、熱に不安定なアクリル酸、メタクリル酸、オレイン酸、リノール酸などが、加熱を要する従来法によっては製造できない点からより好ましい。
【0023】
本発明における、もう一方の出発原料であるスルホニルハライド化合物は、公知のものが制限なく使用できる。一般には、下記式(II)
【0024】
【化5】
【0025】
(但し、R2はアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アラルキル基、アリール基であり、Xはハロゲン原子である。)
で示される化合物が使用される。
【0026】
式(II)中、R2はアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アラルキル基、アリール基である。
【0027】
アルキル基は、直鎖状、分岐状の何れのものでも良く、炭素数は1〜10のものが好ましく、3〜8のものがより好ましい。好ましいアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、iso−ペンチル基、tert−ペンチル基、n−ヘキシル基、iso−ヘキシル基、tert−ヘキシル基、n−ヘプチル基、iso−ヘプチル基、tert−ヘプチル基、n−オクチル基、iso−オクチル基、tert−オクチル基等を例示できる。
【0028】
シクロアルキル基としては、炭素数が3〜8のものが好ましく、具体的にはシクロプロピル基、シクロブチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基等が例示できる。
【0029】
アルケニル基としては炭素数2〜10のものが好ましく、具体的にはビニル基、プロぺニル基、イソプロペニル基等が例示できる。
【0030】
アラルキル基としては炭素数7〜12のものが好ましく、具体的にはベンジル基、フェネチル基、ジメチルベンジル基、ナフチルメチル基等が例示できる。
【0031】
アリール基としてはフェニル基、トリル基、ナフチル基等が例示できる。
【0032】
式(II)中、Xはハロゲン原子である。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。入手の容易さから塩素原子が最も好ましい。
【0033】
式(II)の化学構造を有するスルホニルハライド化合物としては、具体的には以下のものが例示できる。
【0034】
メタンスルホニルフルオライド、メタンスルホニルクロライド、メタンスルホニルブロマイド、メタンスルホニルアイオダイド、エタンスルホニルフルオライド、エタンスルホニルクロライド、エタンスルホニルブロマイド、エタンスルホニルアイオダイド、n−プロパンスルホニルフルオライド、n−プロパンスルホニルクロライド、n−プロパンスルホニルブロマイド、n−プロパンスルホニルアイオダイド、iso−プロパンスルホニルフルオライド、iso−プロパンスルホニルクロライド、iso−プロパンスルホニルブロマイド、iso−プロパンスルホニルアイオダイド、n−ペンタンスルホニルフルオライド、n−ペンタンスルホニルクロライド、n−ペンタンスルホニルブロマイド、n−ペンタンスルホニルアイオダイド、iso−ペンタンスルホニルフルオライド、iso−ペンタンスルホニルクロライド、iso−ペンタンスルホニルブロマイド、iso−ペンタンスルホニルアイオダイド、tert−ペンタンスルホニルフルオライド、tert−ペンタンスルホニルクロライド、tert−ペンタンスルホニルブロマイド、tert−ペンタンスルホニルアイオダイド、n−ヘキサンスルホニルフルオライド、n−ヘキサンスルホニルクロライド、n−ヘキサンスルホニルブロマイド、n−ヘキサンスルホニルアイオダイド、iso−ヘキサンスルホニルフルオライド、iso−ヘキサンスルホニルクロライド、iso−ヘキサンスルホニルブロマイド、iso−ヘキサンスルホニルアイオダイド、tert−ヘキサンスルホニルフルオライド、tert−ヘキサンスルホニルクロライド、tert−ヘキサンスルホニルブロマイド、tert−ヘキサンスルホニルアイオダイド、n−ヘプタンスルホニルフルオライド、n−ヘプタンスルホニルクロライド、n−ヘプタンスルホニルブロマイド、n−ヘプタンスルホニルアイオダイド、iso−ヘプタンスルホニルフルオライド、iso−ヘプタンスルホニルクロライド、iso−ヘプタンスルホニルブロマイド、iso−ヘプタンスルホニルアイオダイド、tert−ヘプタンスルホニルフルオライド、tert−ヘプタンスルホニルクロライド、tert−ヘプタンスルホニルブロマイド、tert−ヘプタンスルホニルアイオダイド、n−オクタンスルホニルフルオライド、n−オクタンスルホニルクロライド、n−オクタンスルホニルブロマイド、n−オクタンスルホニルアイオダイド、iso−オクタンスルホニルフルオライド、iso−オクタンスルホニルクロライド、iso−オクタンスルホニルブロマイド、iso−オクタンスルホニルアイオダイド、tert−オクタンスルホニルフルオライド、tert−オクタンスルホニルクロライド、tert−オクタンスルホニルブロマイド、tert−オクタンヘプタンスルホニルアイオダイド、シクロプロパンスルホニルフルオライド、シクロプロパンスルホニルクロライド、シクロプロパンスルホニルブロマイド、シクロプロパンスルホニルアイオダイド、シクロブタンスルホニルフルオライド、シクロブタンスルホニルクロライド、シクロブタンスルホニルブロマイド、シクロブタンスルホニルアイオダイド、シクロペンタンスルホニルフルオライド、シクロペンタンスルホニルクロライド、シクロペンタンスルホニルブロマイド、シクロペンタンスルホニルアイオダイド、シクロヘキサンスルホニルフルオライド、シクロヘキサンスルホニルクロライド、シクロヘキサンスルホニルブロマイド、シクロヘキサンスルホニルアイオダイド、シクロヘプタンスルホニルフルオライド、シクロヘプタンスルホニルクロライド、シクロヘプタンスルホニルブロマイド、シクロヘプタンスルホニルアイオダイド、シクロオクタンスルホニルフルオライド、シクロオクタンスルホニルクロライド、シクロオクタンスルホニルブロマイド、シクロオクタンスルホニルアイオダイド、ベンゼンスルホニルフルオライド、ベンゼンスルホニルクロライド、ベンゼンスルホニルブロマイド、ベンゼンスルホニルアイオダイド、o−トルエンスルホニルフルオライド、o−トルエンスルホニルクロライド、o−トルエンスルホニルブロマイド、o−トルエンスルホニルアイオダイド、m−トルエンスルホニルフルオライド、m−トルエンスルホニルクロライド、m−トルエンスルホニルブロマイド、m−トルエンスルホニルアイオダイド、p−トルエンスルホニルフルオライド、p−トルエンスルホニルクロライド、p−トルエンスルホニルブロマイド、p−トルエンスルホニルアイオダイド等を挙げることができる。
【0035】
中でも、臭気性が低く作業性が良いこと、さらには、入手の容易さ、反応後に生成する塩の水溶性の高いことなどから、ベンゼンスルホニルクロライド、p−トルエンスルホニルクロハライドなどの、R2がアリール基であり、Xが塩素の化合物が好ましい。
【0036】
さらに、反応に用いるアミン化合物は、三級のアミノ基を有している化合物であり、脂肪族アミン、脂環族アミン、芳香族アミンのいずれもが制限なく使用できる。また、ジアミン等のアミノ基を複数有するものであっても良い。さらに、窒素原子を複素環の構成原子として含む環式アミンであっても良い。具体的には以下のものが例示できる。
【0037】
トリエチルアミン、トリブチルアミン、ジメチルイソプロピルアミン、ジメチルシクロヘキシルアミン、N,N,N',N' −テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N',N'−テトラメチルプロパンジアミン等の脂肪族三級アミン及び脂環族三級アミン; N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジエチルアニリン、N,N−ジメチルベンジルアミン、N,N−ジエチルベンジルアミン等の芳香族アミン;ピリジン、4−メチルモルホリン、4−エチルモルホリン、4−ブチルモルホリン、N−メチルピロリジン、N−エチルピロリジン、N−メチルピペリジン、N−エチルピペリジン、N−メチルインドリン、N−メチルイソインドリンN−メチルインドール、N−メチルイソインドール、N−メチルピロール等の環式アミン等を挙げることができる。
【0038】
中でも、トリエチルアミン、トリブチルアミン等の窒素原子に炭素数2〜4のアルキル基が結合する第三アミン、及び4−メチルモルホリン、N−メチルピペリジン等の環式アミンなどが、反応後の塩の水溶性が高く、洗浄が容易であるため好ましい。
【0039】
本発明の最大の特徴は、上記カルボン酸とスルホニルハライド化合物とを三級アミンの存在下で反応させるに際して、さらに無機塩基を共存させることにある。それにより、反応を穏やかに進行させ、高純度の酸無水物を高収率で製造することが可能になる。
【0040】
すなわち、上記カルボン酸とスルホニルハライド化合物との三級アミンの存在下での反応は、三級アミンとしてトリエチルアミンを用いた場合で説明すると、以下▲1▼▲2▼の二段階の反応により進行する。
【0041】
【化6】
【0042】
しかして、該反応を、このように三級アミンのみの存在下で実施したならば、発熱が激しく反応溶液は−10℃以下に強く冷却しなければ、うまく反応を制御することができない。さらに、原料の三級アミンは、反応を十分に進行させるためには、仕込んだカルボン酸と当量以上が必要になるから、その使用量が多くなり、前記した目的物への残留の問題や、該三級アミンの塩が廃液に多量に含有される問題が生じる。
【0043】
これに対して、反応系中に無機塩基を共存させると、無機塩基として炭酸ナトリウムを用いた場合で例示すると、下記式▲3▼
【0044】
【化7】
【0045】
のように、反応に伴って生じる三級アミンのハロゲン化水素塩やスルホン酸塩が、上記無機塩基の存在により再び三級アミンに遊離し、カルボン酸とスルホニルハライド化合物との反応に再使用される。したがって、この反応は、減量化された三級アミンが可逆的に塩に変化する過程で反応が進行するため、穏かに反応が進み過度に強い冷却を必要としない。
【0046】
また、三級アミンの使用量が少ないため、単離される酸無水物への該三級アミンの含有量が極めて少なく、高純度の酸無水物が得られる。さらに、水洗工程で排出される廃液に含まれる三級アミン塩の量も低減できる。
【0047】
使用される無機塩基としては、公知のものが何等制限なく使用することができる。具体的には以下のものが例示できる。
【0048】
水酸化ナトリウム,水酸化カリウム,水酸化リチウム,炭酸ナトリウム,炭酸カリウム,炭酸リチウム,炭酸水素ナトリウム,炭酸水素カリウム,炭酸水素リチウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム,炭酸マグネシウム、等。中でも、反応が適度な速さで進行し、さらに、生成するカルボン酸無水物が加水分解を起こしにくいことから、炭酸ナトリウム,炭酸カリウム、炭酸リチウム,炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素リチウムなどの炭酸塩がより好ましい。
【0049】
上記式で示す反応において、カルボン酸とスルホニルハライド化合物との仕込割合は、特に制限されるものではないが、カルボン酸1モルに対して、スルホニルハライド化合物を0.4〜0.6モルとすることが好ましく、0.45〜0.5モルがより好ましい。
【0050】
スルホニルハライド化合物の仕込割合が、上記割合未満の場合は、得られる酸無水物の収率が低下する傾向がある。スルホニルハライド化合物が、カルボン酸1モルに対し、0.5モルを超える場合は、得られる酸無水物に未反応のスルホニルハライド化合物が残存して純度が低下する危険性がある。
【0051】
使用する三級アミンの使用量は、特に制限されるものではないが、あまり過剰に、特に、カルボン酸に対して当量以上用いると、得られる酸無水物に該三級アミンが残存し易くなる。したがって、実用的な反応性が維持できる適度な量に設定するのが好ましく、具体的には、カルボン酸に対して、0.05〜0.5倍当量とすることが好ましい。より好ましくは、0.05〜0.3倍当量である。
【0052】
使用する無機塩基の使用量は、特に制限されるものではないが、三級アミンの使用量との合計当量が、カルボン酸に対して、当量〜1.5倍量、より好適には1.05〜1.2倍当量となる量が、仕込んだカルボン酸を十分に反応させる観点から好ましい。また、このように塩基成分をカルボン酸に対して過剰に用いると、反応終了後、水で洗浄する場合に、水がアルカリ性となり、未反応のカルボン酸を洗浄できるために好ましい。
【0053】
反応は溶媒の存在下で行うことが好ましい。反応溶媒としては、反応原料及び反応生成物と反応しないものであれば何れの溶媒でも使用することが出来る。反応終了後に、水洗を行う場合において、溶媒置換を行わなくても良いため、非水溶性の溶媒を用いるのが好ましい。
【0054】
具体的にはベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族系溶媒、エチルエーテル等のエーテル系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒、塩化メチレン、クロロホルム、トリクロロエタン等の含ハロゲン系溶媒等が例示できる。
【0055】
これらの溶媒のうちでも、得られる酸無水物の沸点より、沸点の低い溶媒を使用することが、反応後の濃縮が容易になるので好ましい。さらに反応後、副生する塩を水で洗浄する場合は、トルエンのような、水と共沸する溶媒を用いるいことが、溶媒の留去時に、同時に脱水も可能となるのでより好ましい。
【0056】
上記溶媒中へのカルボン酸の仕込濃度としては、攪拌性の観点から25〜50質量%とすることが好ましい。
【0057】
本発明では、カルボン酸として、アクリル酸、メタクリル酸のような、重合性の官能基を有するカルボン酸を用いる場合には、重合禁止剤を共存させることが好ましい。重合禁止剤としては、反応原料及び反応生成物と反応しないものであれば何れのものでも使用することが出来る。
【0058】
重合禁止剤としては、具体的にはp−メトキシフェノール、ハイドロキノン、フェノチアジン、テトラメチルピペラジンオキシル、住友化学工業(株)製商品名「スミライザーGM」、「スミライザーTP−D」、「スミライザーWX−R」等を例示できる。
【0059】
重合禁止剤の使用量は、カルボン酸に対して重量基準で0.01〜5質量%が好ましい。
【0060】
原料の仕込順序は、特に制限されるものではなく、各原料を一度に仕込んで反応を実施しても十分に効果的である。スルホニルハライド化合物と、無機塩基または三級アミンを先に仕込むと、これらが先に反応してしまい収率がやや下がる傾向があるため、これらの原料が混合されるよりも先に、カルボン酸とスルホニルハライド化合物とが混合されるような順序で実施するのが好ましい。
【0061】
具体的には、カルボン酸とスルホニルハライド化合物との混合物に、三級アミンと無機塩基とを同時または何れかを先にして混合する順序、カルボン酸と三級アミンとの混合物に、スルホニルハライド化合物と無機塩基とを同時または何れかを先にして混合する順序、さらにはカルボン酸と無機塩基との混合物に、スルホニルハライド化合物と三級アミンとを同時または何れかを先にして混合する順序が挙げられる。
【0062】
本発明においては、仕込んだカルボン酸の一部とスルホニルハライド化合物の一部とを三級アミンの存在下で先に反応させた後に、反応系に無機塩基を混合して、残余のカルボン酸とスルホニルハライド化合物とを本発明の方法により反応させるのが、より安定的に、また効率的に反応を実施できるため、最も好ましい。
【0063】
反応温度は、反応速度が適当であること、操作性の観点から、−70〜100℃が好ましく、−10〜40℃がより好ましい。特に、過度に冷却しないため設備的、エネルギー的に有利であることから5〜30℃が最も好ましい。
【0064】
反応時間は反応温度やカルボン酸の安定性にもよるため、適宜選択すればよい。
【0065】
反応は常圧、加圧、減圧下、いずれにおいても行ってよい。
【0066】
反応終了後、副生するスルホニルハライド由来の塩およびトリエチルアミン由来の塩を抽出により水で洗浄する。あるいは同じく副生する塩を固液分離してもよい。この固液分離の方法としては、濾過あるいはデカンテーションが挙げられる。
【0067】
洗浄もしくは固液分離した溶液は、必要により無水硫酸ナトリウム等の脱水剤により脱水し、減圧留去により溶媒を除くことができる。減圧度および温度は、得られる無水物および溶媒の沸点によるため、適宜選択すればよい。
【0068】
減圧留去時の温度あるいは減圧度が高すぎると得られるカルボン酸無水物自身が留去されて、収率低下するため特に注意する。
【0069】
得られたカルボン酸無水物は必要に応じて減圧蒸留により精製してもよい。減圧度および温度は、得られる酸無水物の沸点にもよるため、酸無水物毎に適宜選択する。
【0070】
【実施例】
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に制限されるものではない。
【0071】
実施例1
温度計、攪拌機をとりつけた10L四つ口ガラス反応器に、トルエン4L、メタクリル酸860g(10.0mol)、ベンゼンスルホニルクロライド838g(4.75mol)、重合禁止剤として住友化学工業(株)製商品名 「スミライザーGM」4.30g(0.5質量%)、「スミライザーTP−D」2.58g(0.3質量%)、「スミライザーWX−R」2.58g(0.3質量%)を添加して10℃に冷却した。
【0072】
その後、トリエチルアミン101g(1.0mol)を滴下した。滴下終了後、激しく攪拌しながら、炭酸ナトリウム529g(5.0mol)を反応温度を25℃以下に保つよう、徐々に加えた。さらに30℃で2時間攪拌した。
【0073】
撹拌終了後、水4Lを加え、5分間攪拌した後に静置し、有機相を分取した。さらにこの有機相を水1Lで洗浄した後、トルエンを減圧留去し、透明液体782gを得た。ガスクロマトグラフ分析により、トルエン12.9質量%を含むメタクリル酸無水物と判明し、その他不純物は検出されなかった。収率は93%であった。
【0074】
実施例2
温度計、攪拌機をとりつけた10L四つ口ガラス反応器に、塩化メチレン4L、アクリル酸720g(10.0mol)、ベンゼンスルホニルクロライド838g(4.75mol)、重合禁止剤として住友化学工業(株)製商品名 「スミライザーGM」3.60g(0.5質量%)、「スミライザーTP−D」2.16g(0.3質量%)、「スミライザーWX−R」2.16g(0.3質量%)を添加して10℃に冷却した。
【0075】
その後、トリエチルアミン101g(1.0mol)を滴下した。滴下終了後、激しく攪拌しながら、炭酸ナトリウム529g(5.0mol)を反応温度を25℃以下に保つよう、徐々に加えた。さらに30℃で2時間攪拌した。
【0076】
撹拌終了後、水4Lを加え、5分間攪拌した後に静置し、有機相を分取した。さらにこの有機相を水1Lで洗浄した後、塩化メチレンを減圧留去し、透明液体554gを得た。ガスクロマトグラフ分析では不純物は検出されなかった。収率は88%であった。
【0077】
実施例3
温度計、攪拌機をとりつけた10L四つ口ガラス反応器に、塩化メチレン4L、アクリル酸720g(10.0mol)、p−トルエンスルホニルクロライド953g(5.0mol)、重合禁止剤として住友化学工業(株)製商品名 「スミライザーGM」3.60g(0.5質量%)、「スミライザーTP−D」2.16g(0.3質量%)、「スミライザーWX−R」2.16g(0.3質量%)を添加して10℃に冷却した。
【0078】
その後、トリエチルアミン101g(1.0mol)を滴下した。滴下終了後、激しく攪拌しながら、炭酸ナトリウム529g(4.5mol)を反応温度を25℃以下に保つよう、徐々に加えた。さらに30℃で2時間攪拌した。
【0079】
撹拌終了後、水4Lを加え、5分間攪拌した後に静置し、有機相を分取した。さらにこの有機相を水1Lで洗浄した後、塩化メチレンを減圧留去し、透明液体598gを得た。ガスクロマトグラフ分析では純度96.8%であった。不純物として未反応のアクリル酸0.4%およびp−トルエンスルホニルクロライド2.8%が検出された。収率は95%であった。
【0080】
実施例4
実施例3で得られた純度96.8%のアクリル酸無水物を9〜13mmHg,60〜66℃で減圧蒸留することにより精製した。得られたアクリル酸無水物は純度99.8%で収率は85%であった。
【0081】
実施例5〜9
実施例1の方法に従い、表1に示すカルボン酸および溶媒中で同様に反応した。但し重合性の官能基がないため、重合禁止剤は加えていない。結果を表1に示す。
【0082】
【表1】
【0083】
実施例10〜12
実施例1の方法に従い、表2に示す無機塩基を用いて同様に反応した。結果を表2に示す。
【0084】
【表2】
【0085】
比較例1
窒素ガス供給管、温度計、攪拌機を取り付けた500mL四つ口ガラス反応器に、テトラヒドロフラン200mLとメタクリル酸ナトリウム10.8g(0.1mol)と重合禁止剤としてp−メトキシフェノール0.1g(1質量%)とを添加して室温で攪拌した。その後、メタクリル酸クロライド10.5gをテトラヒドロフラン50mlに溶解した溶液を、反応液が30℃を超えないように制御しながら滴下した。
【0086】
滴下終了後、40℃で3時間攪拌し、析出してくる塩化ナトリウムを室温でろ過した。次に、テトラヒドロフランを減圧留去し、ヘプタン200mLを加え、5質量%重炭酸ナトリウム水溶液、純水で洗浄した。ヘプタンを減圧留去して茶褐色液体10.9gを得た。ガスクロマトグラフ分析によると、純度88.0%であった。不純物として、メタクリル酸の重合物が、4.8%および3.5%、その他同定不可能な不純物が3.7%検出された。収率は71%であった。
【0087】
比較例2
実施例1において、トリエチルアミンの使用量を11.0molに変更し、炭酸ナトリウムの配合を行わず、反応温度を−15℃とし、トリエチルアミンを90分間で滴下した以外は、実施例1と同様に実施し透明液体654gを得た。ガスクロマトグラフ分析では純度88.1%であった。不純物として未反応のメタクリル酸5.1%およびトリエチルアミン6.8%が検出された。収率は85%であった。
【0088】
【発明の効果】
本発明によれば、トリエチルアミン等の三級アミンの使用量をできるだけ少なく抑えることができ、穏かな反応状態で反応を実施できるため、冷却装置を簡単にできる。また、製造される酸無水物には、トリエチルアミン等の三級アミンの含有量が極めて少なく、高純度の酸無水物を高収率に製造することができる。また、水洗時の廃液中に含まれる上記三級アミンの塩の含有量も、大幅に低減化できる。[0001]
BACKGROUND OF THE INVENTION
The present invention relates to an industrial process for producing acid anhydrides. The acid anhydride is used as an acylating agent useful for amidation, esterification and the like.
[0002]
[Prior art]
The acid anhydride can be produced by a low molecular weight acid anhydride such as acetic anhydride and a high molecular weight carboxylic acid (for example, J. Am. Chem. Soc. 63 699 (1941)), or a low molecular weight acid anhydride. And a high molecular weight carboxylic acid chloride are reacted to form a high molecular weight acid anhydride, and a low molecular weight carboxylic acid or carboxylic acid chloride formed as a by-product is removed by azeotropic distillation with a solvent or the like ( For example, JP-A-5-339194. However, in this method, it was difficult to produce a low molecular weight acid anhydride and the yield was low. Moreover, it could not be applied to heat-unstable acid anhydrides.
[0003]
As a method for producing a low molecular weight acid anhydride, an acid halide and a carboxylic acid (for example, JP-A-9-104642) or an acid halide and a carboxylic acid metal salt are reacted to remove the acid or the metal salt. Methods are known (eg J. Org. Chem. 60 (7) 2271 (1995)). However, this method is also not satisfactory in yield, and the reaction using an acid halide is inferior in stability.
[0004]
Under these circumstances, as an example of a method for producing a low molecular weight acid anhydride with high yield, an example is known in which methanesulfonyl chloride is reacted with carboxylic acid in the presence of triethylamine (J. Chem. Res., Synop. 3 100 (1984)). In this method, 1.05 equivalents of methanesulfonyl chloride and 3.5 equivalents of triethylamine are reacted in tetrahydrofuran at −15 ° C. with respect to 2 equivalents of carboxylic acid. After the reaction, tetrahydrofuran was distilled off under reduced pressure, ethyl acetate was added and washed with an aqueous sodium hydrogen carbonate solution. The organic phase was dried over anhydrous sodium sulfate, and the solvent was distilled off to obtain the desired acid anhydride.
[0005]
[Problems to be solved by the invention]
However, this reaction is very reactive with triethylamine, and it is difficult to control the reaction unless it is excessively cooled, as the temperature is adjusted to −15 ° C.
[0006]
In addition, since a large excess of triethylamine was used as compared with the raw material carboxylic acid, it was difficult to sufficiently remove the compound having a strong odor even after washing with water after the reaction. In particular, in this method, an aqueous sodium hydrogen carbonate solution is used as the washing water for the purpose of sufficiently neutralizing the acid component contained in the system, so that it becomes a salt (hydrochloride and sulfonate) after the reaction. The triethylamine which has been released is released again, increasing the content of triethylamine in the target product.
[0007]
Further, in the method using excessive amount of triethylamine as described above, a large amount of the salt derived from the triethylamine is contained in the waste liquid generated by the water washing, which is also problematic from the viewpoint of waste liquid treatment.
[0008]
For this reason, it has been desired to develop a method for producing a high-purity acid anhydride in a high yield under mild reaction conditions while keeping the amount of tertiary amine such as triethylamine as small as possible.
[0009]
[Means for Solving the Problems]
The present inventors have continued earnestly research in view of the above problems. As a result, it has been found that the above problem can be solved by allowing an inorganic base to be present together with a tertiary amine in the reaction system of a carboxylic acid and a sulfonyl halide compound, and the present invention has been completed.
[0010]
That is, the present invention provides a carboxylic acid and a sulfonyl halide compound as a tertiary amine., And sodium hydroxide, potassium hydroxide, lithium hydroxide, sodium carbonate, potassium carbonate, lithium carbonate, sodium bicarbonate, potassium bicarbonate, lithium bicarbonate, calcium hydroxide, magnesium hydroxide, calcium carbonate, or magnesium carbonateIt is the manufacturing method of the acid anhydride characterized by making it react in coexistence of this.
Hereinafter, sodium hydroxide, potassium hydroxide, lithium hydroxide, sodium carbonate, potassium carbonate, lithium carbonate, sodium bicarbonate, potassium bicarbonate, lithium bicarbonate, calcium hydroxide, magnesium hydroxide, calcium carbonate, or magnesium carbonate. In some cases, an inorganic base is used.
[0011]
DETAILED DESCRIPTION OF THE INVENTION
In the present invention, as the carboxylic acid as one starting material, known fatty acids, alicyclic carboxylic acids, and aromatic carboxylic acids can be used without limitation. In general, the following formula (I)
[0012]
[Formula 4]
[0013]
(However, R1Are an alkyl group, a cycloalkyl group, an alkenyl group, an aralkyl group, and an aryl group. )
The compound shown by is used.
[0014]
In formula (I), R1Are an alkyl group, a cycloalkyl group, an alkenyl group, an aralkyl group, and an aryl group, each of which may have a substituent.
[0015]
The alkyl group may be linear or branched, but preferably has 1 to 10 carbon atoms, more preferably 3 to 8 carbon atoms, from the viewpoint of reactivity. Specific examples of the alkyl group include methyl group, ethyl group, n-propyl group, iso-propyl group, n-butyl group, iso-butyl group, tert-butyl group, n-pentyl group, iso-pentyl group, tert-pentyl group, n-hexyl group, iso-hexyl group, ter-hexyl group, n-heptyl group, iso-heptyl group, tert-heptyl group, n-octyl group, iso-octyl group, tert-octyl group, etc. Can be illustrated.
[0016]
The cycloalkyl group preferably has 3 to 8 carbon atoms, and specific examples include a cyclopropyl group, a cyclobutyl group, a cyclohexyl group, a cycloheptyl group, and a cyclooctyl group.
[0017]
The alkenyl group preferably has 2 to 10 carbon atoms, and specific examples thereof include a vinyl group, a propenyl group, and an isopropenyl group.
[0018]
Aralkyl groups having 7 to 12 carbon atoms are preferred, and specific examples include benzyl, phenethyl, dimethylbenzyl and naphthylmethyl groups.
[0019]
Examples of the aryl group include a phenyl group, a tolyl group, and a naphthyl group.
[0020]
Specific examples of the carboxylic acid having the chemical structure of the formula (I) include the following.
[0021]
Acetic acid, propionic acid, butyric acid, valeric acid, caproic acid, heptanoic acid, caprylic acid, capric acid, lauric acid, myristic acid, palmitic acid, stearic acid, acrylic acid, methacrylic acid, oleic acid, linoleic acid, linolenic acid, cyclo Aliphatic carboxylic acid compounds such as propanecarboxylic acid, cyclobutanecarboxylic acid, cyclohexanecarboxylic acid, cycloheptanecarboxylic acid, cyclooctanecarboxylic acid; phenylacetic acid, benzoic acid, o-toluic acid, m-toluic acid, p-toluic acid, Fragrances such as o-nitrobenzoic acid, m-nitrobenzoic acid, p-nitrobenzoic acid, o-chlorobenzoic acid, m-chlorobenzoic acid, p-chlorobenzoic acid, 1-naphthalenecarboxylic acid, 2-naphthalenecarboxylic acid Group carboxylic acid compounds; amino acid derivatives with protected amino groups, etc. It is possible.
[0022]
Of these, acetic acid, propionic acid, butyric acid, valeric acid, heat-labile acrylic acid, methacrylic acid, oleic acid, linoleic acid, and the like having a low molecular weight are more preferable because they cannot be produced by conventional methods that require heating.
[0023]
As the sulfonyl halide compound as the other starting material in the present invention, known compounds can be used without limitation. In general, the following formula (II)
[0024]
[Chemical formula 5]
[0025]
(However, R2Is an alkyl group, a cycloalkyl group, an alkenyl group, an aralkyl group or an aryl group, and X is a halogen atom. )
The compound shown by is used.
[0026]
In formula (II), R2Are an alkyl group, a cycloalkyl group, an alkenyl group, an aralkyl group, and an aryl group.
[0027]
The alkyl group may be linear or branched, and preferably has 1 to 10 carbon atoms, more preferably 3 to 8 carbon atoms. Preferred alkyl groups include methyl, ethyl, n-propyl, iso-propyl, n-butyl, iso-butyl, tert-butyl, n-pentyl, iso-pentyl, and tert-pentyl. Group, n-hexyl group, iso-hexyl group, tert-hexyl group, n-heptyl group, iso-heptyl group, tert-heptyl group, n-octyl group, iso-octyl group, tert-octyl group, etc. .
[0028]
The cycloalkyl group preferably has 3 to 8 carbon atoms, and specific examples include a cyclopropyl group, a cyclobutyl group, a cyclohexyl group, a cycloheptyl group, and a cyclooctyl group.
[0029]
The alkenyl group preferably has 2 to 10 carbon atoms, and specific examples thereof include a vinyl group, a propenyl group, and an isopropenyl group.
[0030]
Aralkyl groups having 7 to 12 carbon atoms are preferred, and specific examples include benzyl, phenethyl, dimethylbenzyl and naphthylmethyl groups.
[0031]
Examples of the aryl group include a phenyl group, a tolyl group, and a naphthyl group.
[0032]
In formula (II), X is a halogen atom. Examples of the halogen atom include a fluorine atom, a chlorine atom, a bromine atom, and an iodine atom. The chlorine atom is most preferred because of its availability.
[0033]
Specific examples of the sulfonyl halide compound having the chemical structure of the formula (II) include the following.
[0034]
Methanesulfonyl fluoride, methanesulfonyl chloride, methanesulfonyl bromide, methanesulfonyl iodide, ethanesulfonyl fluoride, ethanesulfonyl chloride, ethanesulfonyl bromide, ethanesulfonyl iodide, n-propanesulfonyl fluoride, n-propanesulfonyl chloride, n -Propanesulfonyl bromide, n-propanesulfonyl iodide, iso-propanesulfonyl fluoride, iso-propanesulfonyl chloride, iso-propanesulfonyl bromide, iso-propanesulfonyl iodide, n-pentanesulfonyl fluoride, n-pentanesulfonyl chloride , N-pentanesulfonyl bromide, n-pentanesulfonyl iodide iso-pentanesulfonyl fluoride, iso-pentanesulfonyl chloride, iso-pentanesulfonyl bromide, iso-pentanesulfonyl iodide, tert-pentanesulfonyl fluoride, tert-pentanesulfonyl chloride, tert-pentanesulfonyl bromide, tert-pentanesulfonylioo Dide, n-hexanesulfonyl fluoride, n-hexanesulfonyl chloride, n-hexanesulfonyl bromide, n-hexanesulfonyl iodide, iso-hexanesulfonyl fluoride, iso-hexanesulfonyl chloride, iso-hexanesulfonyl bromide, iso-hexane Sulfonyl iodide, tert-hexanesulfonyl fluoride, ter -Hexanesulfonyl chloride, tert-hexanesulfonyl bromide, tert-hexanesulfonyl iodide, n-heptanesulfonyl fluoride, n-heptanesulfonyl chloride, n-heptanesulfonyl bromide, n-heptanesulfonyl iodide, iso-heptanesulfonyl fluoride , Iso-heptanesulfonyl chloride, iso-heptanesulfonyl bromide, iso-heptanesulfonyl iodide, tert-heptanesulfonyl fluoride, tert-heptanesulfonyl chloride, tert-heptanesulfonyl bromide, tert-heptanesulfonyl iodide, n-octanesulfonyl Fluoride, n-octanesulfonyl chloride, n-octanesulfonyl Bromide, n-octanesulfonyl iodide, iso-octanesulfonyl fluoride, iso-octanesulfonyl chloride, iso-octanesulfonyl bromide, iso-octanesulfonyl iodide, tert-octanesulfonyl fluoride, tert-octanesulfonyl chloride, tert- Octane sulfonyl bromide, tert-octane heptane sulfonyl iodide, cyclopropane sulfonyl fluoride, cyclopropane sulfonyl chloride, cyclopropane sulfonyl bromide, cyclopropane sulfonyl iodide, cyclobutane sulfonyl fluoride, cyclobutane sulfonyl chloride, cyclobutane sulfonyl bromide, cyclobutane sulfonyl iodide Dido, Shi Lopentanesulfonyl fluoride, cyclopentanesulfonyl chloride, cyclopentanesulfonyl bromide, cyclopentanesulfonyl iodide, cyclohexanesulfonyl fluoride, cyclohexanesulfonyl chloride, cyclohexanesulfonyl bromide, cyclohexanesulfonyl iodide, cycloheptanesulfonyl fluoride, cycloheptanesulfonyl chloride , Cycloheptane sulfonyl bromide, cycloheptane sulfonyl iodide, cyclooctane sulfonyl fluoride, cyclooctane sulfonyl chloride, cyclooctane sulfonyl bromide, cyclooctane sulfonyl iodide, benzene sulfonyl fluoride, benzene sulfonyl chloride, benzene sulfone Rubromide, benzenesulfonyl iodide, o-toluenesulfonyl fluoride, o-toluenesulfonyl chloride, o-toluenesulfonyl bromide, o-toluenesulfonyl iodide, m-toluenesulfonyl fluoride, m-toluenesulfonyl chloride, m-toluene Examples include sulfonyl bromide, m-toluenesulfonyl iodide, p-toluenesulfonyl fluoride, p-toluenesulfonyl chloride, p-toluenesulfonyl bromide, p-toluenesulfonyl iodide and the like.
[0035]
Among them, R, such as benzenesulfonyl chloride, p-toluenesulfonyl chloride, and the like because of low odor and good workability, and easy availability and high water solubility of the salt generated after the reaction.2Is an aryl group, and a compound in which X is chlorine is preferred.
[0036]
Furthermore, the amine compound used for the reaction is a compound having a tertiary amino group, and any of aliphatic amine, alicyclic amine, and aromatic amine can be used without limitation. Moreover, you may have multiple amino groups, such as diamine. Further, it may be a cyclic amine containing a nitrogen atom as a constituent atom of a heterocyclic ring. Specifically, the following can be exemplified.
[0037]
Aliphatic tertiary amines and fats such as triethylamine, tributylamine, dimethylisopropylamine, dimethylcyclohexylamine, N, N, N ′, N′-tetramethylethylenediamine, N, N, N ′, N′-tetramethylpropanediamine Cyclic tertiary amines; aromatic amines such as N, N-dimethylaniline, N, N-diethylaniline, N, N-dimethylbenzylamine, N, N-diethylbenzylamine; pyridine, 4-methylmorpholine, 4- Ethylmorpholine, 4-butylmorpholine, N-methylpyrrolidine, N-ethylpyrrolidine, N-methylpiperidine, N-ethylpiperidine, N-methylindoline, N-methylisoindoline N-methylindole, N-methylisoindole, N -Cyclic amines, such as methylpyrrole, etc. can be mentioned.
[0038]
Among them, tertiary amines in which an alkyl group having 2 to 4 carbon atoms is bonded to a nitrogen atom such as triethylamine and tributylamine, and cyclic amines such as 4-methylmorpholine and N-methylpiperidine are water-soluble salts after the reaction. It is preferable because of its high performance and easy cleaning.
[0039]
The greatest feature of the present invention is that an inorganic base coexists when the carboxylic acid and the sulfonyl halide compound are reacted in the presence of a tertiary amine. Thereby, it is possible to proceed the reaction gently and produce a high-purity acid anhydride in a high yield.
[0040]
That is, the reaction of the carboxylic acid and the sulfonyl halide compound in the presence of a tertiary amine proceeds by a two-step reaction of (1) and (2) below, when triethylamine is used as the tertiary amine. .
[0041]
[Chemical 6]
[0042]
Thus, if the reaction is carried out in the presence of only the tertiary amine in this way, the reaction cannot be controlled well unless the reaction solution is strongly exothermic and the reaction solution is not cooled strongly to -10 ° C or lower. Furthermore, since the tertiary amine of the raw material needs to be equivalent to or more than the charged carboxylic acid in order to allow the reaction to proceed sufficiently, the amount of its use increases, and the above problem of remaining in the target product, There arises a problem that a large amount of the tertiary amine salt is contained in the waste liquid.
[0043]
In contrast, when an inorganic base coexists in the reaction system, the case where sodium carbonate is used as the inorganic base is exemplified as follows:
[0044]
[Chemical 7]
[0045]
As described above, the tertiary amine hydrogen halide salt and sulfonic acid salt generated by the reaction are liberated to the tertiary amine again due to the presence of the inorganic base, and are reused in the reaction between the carboxylic acid and the sulfonyl halide compound. The Therefore, since this reaction proceeds in the process of reversibly changing the reduced tertiary amine into a salt, the reaction proceeds moderately and does not require excessively strong cooling.
[0046]
Further, since the amount of the tertiary amine used is small, the content of the tertiary amine in the acid anhydride to be isolated is extremely small, and a highly pure acid anhydride can be obtained. Furthermore, the amount of tertiary amine salt contained in the waste liquid discharged in the water washing step can be reduced.
[0047]
Known inorganic bases can be used without any limitation. Specifically, the following can be exemplified.
[0048]
Sodium hydroxide, potassium hydroxide, lithium hydroxide, sodium carbonate, potassium carbonate, lithium carbonate, sodium hydrogen carbonate, potassium hydrogen carbonate, lithium hydrogen carbonate, calcium hydroxide, magnesium hydroxide, calcium carbonate, magnesium carbonate, etc. Above all, the reaction proceeds at a moderate speed, and the carboxylic acid anhydride that is produced is less prone to hydrolysis, so sodium carbonate, potassium carbonate, lithium carbonate, sodium bicarbonate, potassium bicarbonate, lithium bicarbonate, etc. Of these, carbonates are more preferred.
[0049]
In the reaction represented by the above formula, the charging ratio of the carboxylic acid and the sulfonyl halide compound is not particularly limited, but the sulfonyl halide compound is 0.4 to 0.6 mol with respect to 1 mol of the carboxylic acid. It is preferable, and 0.45-0.5 mol is more preferable.
[0050]
When the charging ratio of the sulfonyl halide compound is less than the above ratio, the yield of the obtained acid anhydride tends to decrease. When the sulfonyl halide compound exceeds 0.5 mol with respect to 1 mol of the carboxylic acid, there is a risk that unreacted sulfonyl halide compound remains in the resulting acid anhydride and the purity is lowered.
[0051]
The amount of the tertiary amine to be used is not particularly limited, but the tertiary amine is likely to remain in the resulting acid anhydride when used in an excessive amount, particularly in an equivalent amount or more with respect to the carboxylic acid. . Therefore, it is preferable to set it to an appropriate amount that can maintain practical reactivity, and specifically, it is preferably 0.05 to 0.5 times equivalent to carboxylic acid. More preferably, it is 0.05 to 0.3 times equivalent.
[0052]
The amount of the inorganic base to be used is not particularly limited, but the total equivalent to the amount of the tertiary amine is equivalent to 1.5 times the amount of the carboxylic acid, more preferably 1. An amount of from 0.5 to 1.2 times equivalent is preferable from the viewpoint of sufficiently reacting the charged carboxylic acid. In addition, when the base component is used excessively with respect to the carboxylic acid as described above, it is preferable to wash the water with water after the completion of the reaction because water becomes alkaline and unreacted carboxylic acid can be washed.
[0053]
The reaction is preferably performed in the presence of a solvent. As the reaction solvent, any solvent can be used as long as it does not react with the reaction raw materials and reaction products. In the case of washing with water after completion of the reaction, it is preferable to use a water-insoluble solvent because it is not necessary to perform solvent replacement.
[0054]
Specific examples include aromatic solvents such as benzene, toluene and xylene, ether solvents such as ethyl ether, ester solvents such as ethyl acetate and butyl acetate, halogen-containing solvents such as methylene chloride, chloroform and trichloroethane. it can.
[0055]
Among these solvents, it is preferable to use a solvent having a boiling point lower than that of the acid anhydride to be obtained because concentration after the reaction is easy. Furthermore, when the by-product salt is washed with water after the reaction, it is more preferable to use a solvent azeotropically with water, such as toluene, since dehydration can be performed at the same time as the solvent is distilled off.
[0056]
The concentration of the carboxylic acid charged into the solvent is preferably 25 to 50% by mass from the viewpoint of agitation.
[0057]
In the present invention, when a carboxylic acid having a polymerizable functional group such as acrylic acid or methacrylic acid is used as the carboxylic acid, it is preferable that a polymerization inhibitor coexists. Any polymerization inhibitor may be used as long as it does not react with the reaction raw materials and reaction products.
[0058]
Specific examples of the polymerization inhibitor include p-methoxyphenol, hydroquinone, phenothiazine, tetramethylpiperazine oxyl, and trade names “Sumilyzer GM”, “Sumilyzer TP-D”, and “Sumilyzer WX-R” manufactured by Sumitomo Chemical Co., Ltd. And the like.
[0059]
The amount of the polymerization inhibitor used is preferably 0.01 to 5% by mass based on the weight of the carboxylic acid.
[0060]
The order in which the raw materials are charged is not particularly limited, and it is sufficiently effective to carry out the reaction by charging each raw material at one time. If a sulfonyl halide compound and an inorganic base or tertiary amine are charged first, these will react first, and the yield tends to decrease slightly. Therefore, before these raw materials are mixed, the carboxylic acid and It is preferable to carry out in such an order that the sulfonyl halide compound is mixed.
[0061]
Specifically, the mixture of the carboxylic acid and the sulfonyl halide compound is mixed with the tertiary amine and the inorganic base simultaneously or in any order, and the mixture of the carboxylic acid and the tertiary amine is mixed with the sulfonyl halide compound. And the order of mixing the inorganic base with the inorganic base first, or the order of mixing the sulfonyl halide compound and the tertiary amine simultaneously or first with the mixture of the carboxylic acid and the inorganic base. Can be mentioned.
[0062]
In the present invention, after reacting a part of the charged carboxylic acid and a part of the sulfonyl halide compound in the presence of a tertiary amine first, an inorganic base is mixed into the reaction system, and the remaining carboxylic acid and It is most preferable to react with a sulfonyl halide compound by the method of the present invention because the reaction can be carried out more stably and efficiently.
[0063]
The reaction temperature is preferably −70 to 100 ° C., more preferably −10 to 40 ° C. from the viewpoint of appropriate reaction rate and operability. In particular, 5 to 30 ° C. is most preferable because it is not excessively cooled and is advantageous in terms of equipment and energy.
[0064]
Since the reaction time depends on the reaction temperature and the stability of the carboxylic acid, it may be appropriately selected.
[0065]
The reaction may be performed under normal pressure, increased pressure, or reduced pressure.
[0066]
After completion of the reaction, the sulfonyl halide-derived salt and triethylamine-derived salt that are by-produced are washed with water by extraction. Alternatively, the salt produced as a by-product may be subjected to solid-liquid separation. Examples of the solid-liquid separation method include filtration or decantation.
[0067]
The solution after washing or solid-liquid separation can be dehydrated with a dehydrating agent such as anhydrous sodium sulfate if necessary, and the solvent can be removed by distillation under reduced pressure. The degree of vacuum and temperature depend on the anhydride and the boiling point of the solvent to be obtained, and may be appropriately selected.
[0068]
Special care should be taken because the carboxylic anhydride itself obtained is distilled off if the temperature or degree of vacuum during distillation under reduced pressure is too high, resulting in a decrease in yield.
[0069]
You may refine | purify the obtained carboxylic acid anhydride by vacuum distillation as needed. The degree of vacuum and temperature are appropriately selected for each acid anhydride because it depends on the boiling point of the acid anhydride to be obtained.
[0070]
【Example】
EXAMPLES Hereinafter, although an Example demonstrates this invention more concretely, this invention is not restrict | limited to these Examples.
[0071]
Example 1
To a 10 L four-necked glass reactor equipped with a thermometer and a stirrer, 4 L of toluene, 860 g (10.0 mol) of methacrylic acid, 838 g (4.75 mol) of benzenesulfonyl chloride, products manufactured by Sumitomo Chemical Co., Ltd. Name “Sumizer GM” 4.30 g (0.5% by mass), “Sumerator TP-D” 2.58 g (0.3% by mass), “Sumizer WX-R” 2.58 g (0.3% by mass) Added and cooled to 10 ° C.
[0072]
Thereafter, 101 g (1.0 mol) of triethylamine was added dropwise. After completion of the dropwise addition, 529 g (5.0 mol) of sodium carbonate was gradually added with vigorous stirring so as to keep the reaction temperature at 25 ° C. or lower. The mixture was further stirred at 30 ° C. for 2 hours.
[0073]
After the completion of stirring, 4 L of water was added, stirred for 5 minutes, and allowed to stand to separate the organic phase. Furthermore, after this organic phase was washed with 1 L of water, toluene was distilled off under reduced pressure to obtain 782 g of a transparent liquid. By gas chromatographic analysis, it was found to be methacrylic anhydride containing 12.9% by mass of toluene, and no other impurities were detected. The yield was 93%.
[0074]
Example 2
In a 10L four-necked glass reactor equipped with a thermometer and a stirrer, 4L of methylene chloride, 720g (10.0mol) of acrylic acid, 838g (4.75mol) of benzenesulfonyl chloride, manufactured by Sumitomo Chemical Co., Ltd. as a polymerization inhibitor Product name “Sumerator GM” 3.60 g (0.5% by mass), “Sumerator TP-D” 2.16 g (0.3% by mass), “Sumizer WX-R” 2.16 g (0.3% by mass) Was added and cooled to 10 ° C.
[0075]
Thereafter, 101 g (1.0 mol) of triethylamine was added dropwise. After completion of the dropwise addition, 529 g (5.0 mol) of sodium carbonate was gradually added with vigorous stirring so as to keep the reaction temperature at 25 ° C. or lower. The mixture was further stirred at 30 ° C. for 2 hours.
[0076]
After the completion of stirring, 4 L of water was added, stirred for 5 minutes, and allowed to stand to separate the organic phase. Further, this organic phase was washed with 1 L of water, and then methylene chloride was distilled off under reduced pressure to obtain 554 g of a transparent liquid. Impurities were not detected by gas chromatographic analysis. The yield was 88%.
[0077]
Example 3
In a 10 L four-necked glass reactor equipped with a thermometer and a stirrer, 4 L of methylene chloride, 720 g (10.0 mol) of acrylic acid, 953 g (5.0 mol) of p-toluenesulfonyl chloride, Sumitomo Chemical Co., Ltd. as a polymerization inhibitor ) Product name: “Sumilyzer GM” 3.60 g (0.5 mass%), “Sumilyzer TP-D” 2.16 g (0.3 mass%), “Sumilyzer WX-R” 2.16 g (0.3 mass) %) Was added and cooled to 10 ° C.
[0078]
Thereafter, 101 g (1.0 mol) of triethylamine was added dropwise. After completion of the dropwise addition, 529 g (4.5 mol) of sodium carbonate was gradually added with vigorous stirring so as to keep the reaction temperature at 25 ° C. or lower. The mixture was further stirred at 30 ° C. for 2 hours.
[0079]
After the completion of stirring, 4 L of water was added, stirred for 5 minutes, and allowed to stand to separate the organic phase. Further, this organic phase was washed with 1 L of water, and then methylene chloride was distilled off under reduced pressure to obtain 598 g of a transparent liquid. According to gas chromatographic analysis, the purity was 96.8%. Unreacted acrylic acid 0.4% and p-toluenesulfonyl chloride 2.8% were detected as impurities. The yield was 95%.
[0080]
Example 4
The acrylic acid anhydride having a purity of 96.8% obtained in Example 3 was purified by distillation under reduced pressure at 9 to 13 mmHg and 60 to 66 ° C. The resulting acrylic anhydride had a purity of 99.8% and a yield of 85%.
[0081]
Examples 5-9
According to the method of Example 1, the reaction was similarly performed in the carboxylic acid and the solvent shown in Table 1. However, since there is no polymerizable functional group, no polymerization inhibitor is added. The results are shown in Table 1.
[0082]
[Table 1]
[0083]
Examples 10-12
According to the method of Example 1, the reaction was carried out in the same manner using the inorganic base shown in Table 2. The results are shown in Table 2.
[0084]
[Table 2]
[0085]
Comparative Example 1
In a 500 mL four-necked glass reactor equipped with a nitrogen gas supply pipe, a thermometer, and a stirrer, 200 mL of tetrahydrofuran, 10.8 g (0.1 mol) of sodium methacrylate, and 0.1 g (1 mass) of p-methoxyphenol as a polymerization inhibitor. %) And stirred at room temperature. Thereafter, a solution obtained by dissolving 10.5 g of methacrylic acid chloride in 50 ml of tetrahydrofuran was added dropwise while controlling the reaction solution so as not to exceed 30 ° C.
[0086]
After completion of dropping, the mixture was stirred at 40 ° C. for 3 hours, and precipitated sodium chloride was filtered at room temperature. Next, tetrahydrofuran was distilled off under reduced pressure, 200 mL of heptane was added, and the mixture was washed with a 5 mass% aqueous sodium bicarbonate solution and pure water. Heptane was distilled off under reduced pressure to obtain 10.9 g of a brown liquid. According to gas chromatographic analysis, the purity was 88.0%. As impurities, 4.8% and 3.5% of methacrylic acid polymer were detected, and 3.7% of other unidentifiable impurities were detected. The yield was 71%.
[0087]
Comparative Example 2
The same procedure as in Example 1 was performed except that the amount of triethylamine used was changed to 11.0 mol in Example 1, sodium carbonate was not added, the reaction temperature was −15 ° C., and triethylamine was added dropwise over 90 minutes. 654 g of transparent liquid was obtained. According to gas chromatographic analysis, the purity was 88.1%. Unreacted methacrylic acid 5.1% and triethylamine 6.8% were detected as impurities. The yield was 85%.
[0088]
【The invention's effect】
According to the present invention, the amount of tertiary amine such as triethylamine can be reduced as much as possible, and the reaction can be carried out in a mild reaction state, so that the cooling device can be simplified. In addition, the acid anhydride to be produced has a very low content of tertiary amine such as triethylamine, and a high-purity acid anhydride can be produced in a high yield. Further, the content of the tertiary amine salt contained in the waste liquid during washing with water can be greatly reduced.
Claims (6)
で示されるカルボン酸と、下記式(II)
で示されるスルホニルハライド化合物とを反応させて、下記式(III)
And a carboxylic acid represented by the following formula (II)
Is reacted with a sulfonyl halide compound represented by the following formula (III):
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