JP4156138B2 - エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物系フィルムおよびその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、表面外観が平滑で美麗なエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物(つまりエチレン−ビニルアルコール共重合体)のフィルムおよびその製造方法に関するものである。以下においては、「エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物」を、必要に応じ「EVOH」と略記する。
【0002】
【従来の技術】
EVOHのフィルムは、ガスバリア性、保香性、耐溶剤性、耐油性などの特性が極めてすぐれているため、食品包装材料、医薬品包装材料、工業薬品包装材料、農薬包装材料をはじめとする各種包装用途に広く使われている。殊にEVOH二軸延伸フィルムは、未延伸フィルムに比し、耐水性、耐熱水性、耐衝撃性、ガスバリア性が向上すると共に、高湿度下におけるガスバリア性の低下が抑制されるという利点がある。
【0003】
EVOHシートを製造する方法の一つとして、ダイから溶融押出しされた溶融樹脂シートを静電ピニング法によって冷却ローラー面に密着急冷させて樹脂シートを得る方法が知られている。
【0004】
この方法に関する特公平6−98672号公報(特開平2−48922号公報)には、溶融したEVOHを成形ダイからシート状に押し出すと共に、その押し出されたシート面に第1電極から静電荷を付与し、ついで、帯電したEVOHシートを、電気的に接地された基体ローラー表面に電気絶縁被膜を有してなる冷却ローラーの電気絶縁性被膜上に密着させて冷却し、冷却されたシートを冷却ローラー裏面から剥離させ、シートが剥離されて裸出した冷却ローラー表面に、第2電極から第1電極とは逆極性の静電荷を付与することにより、表面外観が平滑美麗なシートが製造できるとの記載がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上に引用した特公平6−98672号公報の方法は興味あるものであるが、シート厚が厚くなる場合には表面外観の平滑美麗さがなお不足する傾向があった。
【0006】
本発明者らは、シート厚が厚くなる場合の表面外観の平滑美麗さをさらに向上させることにつき鋭意検討を行う中で、使用するEVOH自体に何らかの問題があり、それが表面外観の向上に限界を与えているのではないかとの着想を抱いた。すなわち、上記特公平6−98672号公報の発明においては、その実施例でEVOHとして本出願人からの市販品である「ソアノールET」を用いているが、静電ピニング法を採用したときに表面外観に影響のある因子をはらんでいるのではないかと考えた。この観点から、このEVOHの有する微量混在物の種類および量が与える影響につき詳細に検討を重ねたところ、アルカリ金属含有量が表面外観に影響を与えることが判明した。ちなみに、「ソアノールET」のNaとKの金属含有量の和は、本発明で規定する範囲よりも多いものである。
【0007】
本発明は、このような背景下において、表面外観の平滑美麗さが従来に比し一段とすぐれているEVOH系フィルムおよびその製造方法を提供することを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明のエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物(EVOH)系フィルムは、エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物(EVOH)を溶融状態で成形ダイからシート状に押し出すと共に、その溶融樹脂シートに電極から静電荷を付与しながら冷却ロールに密着させることにより得たフィルムであって、前記エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物(EVOH)中に含有されるNaとKの金属含有量の和が0.01〜50ppm であることを特徴とするものである。
【0009】
本発明のエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物(EVOH)系フィルムの製造方法は、NaとKの金属含有量の和が0.01〜50ppm であるエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物(EVOH)を溶融状態で成形ダイからシート状に押し出すと共に、その溶融樹脂シートに電極から静電荷を付与しながら冷却ロールに密着させることを特徴とするものである。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下本発明を詳細に説明する。
【0011】
〈EVOH〉
EVOHとしては、エチレン含量が10〜60モル%(好ましくは20〜60モル%、さらに好ましくは25〜55モル%)、酢酸ビニル成分のケン化度が90モル%以上(好ましくは95モル%以上、さらに好ましくは98モル%以上)のものが用いられる。エチレン含量が余りに少ないときにはフィルムの耐水性が不足すると共に高湿時のガスバリア性が不足し、一方エチレン含量が余りに多いときにはガスバリア性が不足する。またケン化度が余りに低いときには、フィルムの耐水性が不足すると共に、ガスバリア性も不足する。
【0012】
EVOHは、エチレン含量やケン化度が異なる2種以上のEVOHの混合物であってもよい。また、ケン化前のエチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)を得るときの共重合やグラフト重合、あるいはEVOHの官能基を利用した付加反応による変性EVOHであってもよい。さらにまた、EVOHの製造工程中または製造後における他のポリマーのブレンドによるブレンド物であってもよい。
【0013】
EVOHの共重合やグラフト重合による変性の例は、プロピレン、イソブチレン、α−オクテン、α−ドデセン、α−オクタデセン等のα−オレフィン;アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸等のエチレン性不飽和カルボン酸またはその塩・無水物・モノまたはジアルキルエステル;アクリロニトリル、メタアクリロニトリル等のニトリル類;アクリルアミド、メタクリルアミド等のアミド類;アルキルビニルエーテル類;ポリオキシエチレン(メタ)アリルエーテル、ポリオキシプロピレン(メタ)アリルエーテル等のポリオキシアルキレン(メタ)アリルエーテル;ポリオキシエチレン(メタ)アクリレート、ポリオキシプロピレン(メタ)アクリレート等のポリオキシアルキレン(メタ)アクリレート;ポリオキシエチレン(メタ)アクリルアミド、ポリオキシプロピレン(メタ)アクリルアミド等のポリオキシアルキレン(メタ)アクリルアミド、ポリオキシエチレン(1−(メタ)アクリルアミド−1,1−ジメチルプロピル)エステル;ポリオキシエチレンビニルエーテル、ポリオキシプロピレンビニルエーテル;ポリオキシエチレンアリルアミン、ポリオキシプロピレンアリルアミン、ポリオキシエチレンビニルアミン、ポリオキシプロピレンビニルアミン;エチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、メタアリルスルホン酸等のオレフィンスルホン酸あるいはその塩;N−アクリルアミドメチルトリメチルアンモニウムクロライド、アリルトリメチルアンモニウムクロライド;ジメチルアリルビニルケトン;N−ビニルピロリドン等のピロリドン環含有モノマー;塩化ビニル、塩化ビニリデン;ケイ素含有モノマー;酢酸アリル;酢酸イソプロペニル;などのモノマーで変性した場合である。
【0014】
EVOHの官能基を利用した付加反応による変性の例は、シアノエチル基による変性、アルキレンオキサイドの付加(ポリエーテル成分の付加)による変性などである。
【0015】
EVOHの製造工程中または製造後における他のポリマーとのブレンドによるブレンド物の例は、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリエステル、ポリスチレン、ポリビニルアルコール、ポリウレタン、ポリメチルメタクリレートやそれらの変性物を他のポリマーとしてブレンドした場合である。このときには、EVOH(変性物を含む)100重量部に対して、 0.1〜150重量部程度(殊に 0.1〜100重量部、さらには 0.1〜80重量部)の他の樹脂の配合が可能である。
【0016】
そして本発明においては、上記EVOHは、それに含有されるNaとKの金属含有量の和が0.01〜50ppm (殊に 0.1〜30ppm )であることが要求される。NaとKの金属含有量の和が0.01ppm 未満の場合には、表面外観の平滑美麗さに限界があり、着色(黄変)を生ずるおそれもある。一方NaとKの金属含有量の和が50ppm を越えるときにも、表面外観の平滑美麗さに限界があり、また金属含有量がかなり多くなるとゲルの発生頻度が高くなる傾向がある。
【0017】
他の金属の含有量は特に制限されないが、CaとMgの金属含有量の和が1〜200ppm (好ましくは2〜150ppm )で、そのうちCaの金属含有量が100ppm 以下、Mgの含有量が100ppm 以下であるCaおよび/またはMgの含有は、ゲルの発生抑制の点で効果がある。
【0018】
なおEVOHに上記の金属成分を含有させるにあたっては、それらの金属成分を、酢酸、プロピオン酸、酪酸、ラウリル酸、ステアリン酸、オレイン酸、ベヘニン酸等の有機酸や、硫酸、亜硫酸、炭酸、ホウ酸、リン酸等の無機酸の金属塩として含有させることが望ましい。これらの中でも好適なものは、酢酸塩、ホウ酸塩、リン酸塩、リン酸水素塩である。
【0019】
EVOH中にアルカリ金属を含有させる方法については、特に限定されないが、▲1▼含水率20〜80重量%のEVOHの多孔性析出物を上記の金属化合物の水溶液と接触させて金属化合物を含有させてから乾燥する方法、▲2▼EVOHの均一溶液(水/アルコール溶液など)に金属化合物を含有させた後、その溶液を凝固液中にストランド状に押し出し、ついで得られたストランドを切断してペレットとし、さらに乾燥処理する方法、▲3▼EVOHと金属化合物を一括して混合してから、押出機などで溶融混練する方法、▲4▼EVOHの製造時において、ケン化工程で使用したアルカリ(水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等)を酢酸で中和して、副生する酢酸ナトリウム、酢酸カリウム等の量を水洗処理により調整する方法、などが採用される。
【0020】
〈シートへの成形〉
本発明のシート(EVOH系フィルム)は、NaとKの金属含有量の和が0.01〜50ppm であるEVOHを溶融状態で成形ダイからシート状に押し出すと共に、その溶融樹脂シートに電極から静電荷を付与しながら冷却ロールに密着させることにより得られる。
【0021】
このときには、原料EVOHを押出成形機に供給して、Tダイからキャスティングロール上に溶融押出する。押出機としては、単軸押出機、二軸押出機などの一般的なスクリュー式押出機が使用される。溶融温度は、EVOHの融点より10〜80℃(好ましくは20〜60℃)高い温度が適当であるが、樹脂の混練が充分である限り、ゲルの発生を抑制するため、できるだけ低目に設定することが好ましい。
【0022】
スクリュー式押出機のみでは、定量押出性に欠け、未延伸シートの流れ方向(MD方向)の膜厚精度が悪くなってしまうことがある。このようなトラブルを生ずるときには、押出機とダイ(Tダイ)との間にギアポンプを設けることが望ましい。ギアポンプの本体構造としてはインライン型、ブロックマウント型などが、ギア数としては2ギア、3ギアなどが、ギア形状としてはスパー、ヘリカルなどが用いられる。
【0023】
また、ギアポンプとTダイの間に、必要に応じて、ギアポンプで発熱した樹脂を冷却し熱による劣化を防止する目的としての熱交換器、ゲル異物などを除去する目的としてのフィルタ、Tダイ巾方向の樹脂の温度を均一にすることを目的とするサーモジナイザなどを、適宜設けてもよい。
【0024】
キャスティングロールにおける成形には、静電ピニング法(押し出された溶融樹脂シートに電極から静電荷を付与しながら冷却ロールに密着させる方法)が適用される。これにより、Tダイから溶融押出された原料樹脂は、通常は60℃以下、好ましくは40℃以下の温度に保たれたキャスティングロール上に密着されて急冷され、目的シートとなる。溶融樹脂シートは、単層の溶融樹脂シートのみならず、多層の溶融樹脂シートでもよい。
【0025】
上記冷却ロールの表面には、セラミック被膜等の電気絶縁性被膜を形成しておいてもよい。また冷却されたシートが剥離された裸出した冷却ロール表面に、第2の電極から先の電極とは逆極性の静電荷を付与することも好ましい。
【0026】
このようにして得られたシート(未延伸フィルム)は、ついで一軸または二軸方向に延伸することができるが、その前に必要に応じて温浴槽等に浸漬し、未延伸フィルムの含水率を 0.1重量%以上にしてもよい。
【0027】
〈EVOH延伸フィルムの製造〉
延伸は一軸でも二軸(多軸を含むものとする)でもよいが、二軸延伸の場合が重要であるので、以下においては未延伸フィルムからの二軸延伸フィルムの製造について述べる。二軸延伸フィルムは、好適には、次の縦延伸工程、横延伸工程、熱固定工程を経ることにより製造される。
【0028】
縦延伸工程は、EVOH未延伸フィルムを、ロール延伸機により温度50〜70℃でかつ延伸倍率 2.5〜 4.0倍の条件下に縦方向に延伸して一軸延伸フィルムを得る工程である。ロール延伸機は、温調制御および速度制御可能な複数本のロールおよび複数本のニップロールから構成され、低速ロールと高速ロールの線速度を一段または多段で変えることにより、フィルムの縦延伸倍率を種々変更することができる。縦延伸において、延伸温度(フィルム温度)が50℃未満のときは、延伸応力が高すぎてフィルムが破断しやすくなり、延伸温度が70℃を越えるときには、フィルムが延伸ロールに粘着したり、粘着しないまでも急速に結晶化が進むため、次の横延伸が困難になって、フィルム破断の原因となる傾向がある。またこの縦延伸において、延伸倍率が 2.5倍未満の場合は、最終的に得られるフィルムに所望の配向を付与することができず、一方延伸倍率が 4.0倍を越える場合には、横延伸工程においてフィルムが破断しやすくなる。フィルムの加熱は、ロール延伸機のロールによって行うのがよい。
【0029】
横延伸工程は、縦延伸工程で得られた一軸延伸フィルムをテンター式横延伸機により温度60〜120℃でかつ延伸倍率 2.5〜 5.0倍の条件下に横方向に延伸して二軸延伸フィルムを得る工程である。テンター式横延伸機は当業者により周知である。横延伸倍率は、フィルム巾方向両端部が把持されたテンター間の間隔を調節することにより種々変更することができる。横延伸において延伸温度が60℃未満のときは、延伸応力が高すぎてフィルムが破断しやすくなり、延伸温度が120℃を越えるときには、延伸による配向効果が充分に得られず、機械的強度が弱くかつ厚み精度が悪いフィルムしか得られない。またこの横延伸において延伸倍率が 2.5倍未満の場合は、最終的に得られるフィルムに所望の配向を付与することができず、一方延伸倍率が 4.0倍を越える場合には、フィルムが破断しやすくなる。フィルムの加熱は、熱風オーブン、加熱ヒータ式オーブン、または両者の併用などによりなされる。
【0030】
熱固定工程は、横延伸工程で得られた二軸延伸フィルムを、110℃ないし原料樹脂の融点より5℃低い温度までの温度条件にて熱固定する工程である。より好ましい温度範囲は、120℃ないし原料樹脂の融点より10℃低い温度までである。熱固定は、二軸延伸されたフィルムの寸法安定性を向上させるために行われる。熱固定温度が余りに低い場合には熱固定が不充分となり、一方余りに高い場合には、熱固定の際に表面が白化したり孔があいて破断したりすることがある。熱固定は、フィルムの緊張状態または弛緩状態、さらには両者を組み合わせた状態のいずれの状態で行ってもよい。弛緩状態で行うときは、弛緩率は10%以下が好ましい。フィルムの加熱は、横延伸機の場合と同様に行うことができる。
【0031】
〈シート成形後の二次加工〉
上記のようにして得られたEVOH系フィルム(未延伸フィルムや延伸フィルム)は、そのまま単層フィルムとして使用することができる。あるいはまた、この未延伸フィルムや延伸フィルムを各種の樹脂フィルム(EVOH系フィルムを含む)、不織布、紙、金属箔などの基材とラミネートしてラミネートフィルムとしたり、他の物質をコーティングして複合フィルムとしたりすることもできる。この未延伸フィルムや延伸フィルムに金属や無機酸化物等の蒸着、スパッタリング、イオンプレーティングを行い、被膜を形成させることもできる。
【0032】
〈用途〉
このようにして得られるEVOH系フィルムやその積層体は、外観特性、ガスバリア性、保香性などの性質がすぐれているので、食品、医薬品、農薬品、工業薬品、香料、油類などを包装する包装用のフィルム、シート、チューブ、袋、容器として特に有用であり、農業用資材など他の目的の用途にも用いることができる。
【0033】
【実施例】
以下実施例をあげて本発明をさらに説明する。
【0034】
〈原料EVOH〉
EVOHとして、エチレン含量が32モル%でケン化度が99.8モル%のもの(融点183℃)と、エチレン含量が44モル%でケン化度が99.8モル%のもの(融点164℃)との2種を用いた。なお、アルカリ金属の定量は原子吸光分析法により行った。後述の表1に示すEVOHペレットを準備した。
【0035】
〈製膜条件1〉
下記の条件にてシートの製膜を行った。すなわち、上記のEVOHを単軸押出機に供給し、ギアポンプを経て、Tダイより溶融押出して、温度20℃に冷却された直径600mmの冷却ロール(Al2O3 による電気絶縁性被膜を施してあるキャスティングロール)上で急冷した。溶融樹脂シートにはその外側から静電荷を付与し、また冷却されたシートが剥離された裸出した冷却ロール表面に、第2の電極から先の電極とは逆極性の静電荷を付与した。これにより、厚み185μm の冷却されたシート(EVOH未延伸フィルム)が得られた。厚みの微調整はキャスティングロールの回転速度を変更することにより行った。
【0036】
〈製膜条件2〉
製膜条件1において、第2の電極の設置のみを省略した。
【0037】
1.単軸押出機による押出条件
・スクリュー内径:65mm
・L/D:28
・スクリュー圧縮比: 3.8
・押出温度:C1 210℃、C2 220℃、C3 230℃、C4 230℃、C5 220℃
【0038】
2.ギアポンプ
・ギア数:2
・ギア形状:スパー
・型式:インライン型
・ギアポンプ温度:220℃
【0039】
3.Tダイ
・コートハンガー型マニホールド式
・ダイ巾:450mm
・ダイ温度:220℃
【0040】
4.電極
・電極:ワイヤ径0.05mmのタングステン製のワイヤ電極
・印加電圧:10kV
・印加電流:1.0 mA
【0041】
5.第2の電極(製膜条件2の場合)
・電極:ワイヤ径0.05mmのタングステン製のワイヤ電極
・印加電圧:−7kV
・印加電流:0.4 mA
【0042】
〈外観評価方法〉
目視にてフィルム外観を評価した。評価は、次のA、A’、B、C、Dの5段階とした。
A : 平滑、美麗
A’: 平滑、美麗だが、Aよりはわずかに劣る
B : わずかに梨地状(凹凸のサイズ 0.5mm未満)
C : 梨地状(凹凸のサイズ 0.5mm以上)
D : MDに縦状にエアの巻き込みあり
【0043】
〈測定および結果〉
条件および結果を表1にまとめて示す。EVOHの欄中の「Et」はエチレン含量(モル%)、「SV」はケン化度(モル%)、金属含有量 (Na+K) の単位はppm である。
【0044】
【表1】
【0045】
表1において、製膜条件1にかかる実施例1〜2と比較例1〜3、実施例3〜4と比較例4〜5とを対比すると、NaとKの金属含有量の和が0.01〜50ppm の範囲内にある実施例の方が、その和がこの範囲外にある比較例よりも、表面外観が明らかにすぐれていることがわかる。
【0046】
また製膜条件2にかかる実施例5〜6と比較例6〜8、実施例7〜8と比較例9〜10とを対比すると、やはりNaとKの金属含有量の和が0.01〜50ppm の範囲内にある実施例の方が、その和がこの範囲外にある比較例よりも、表面外観が明らかにすぐれていることがわかる。
【0047】
さらに製膜条件1と2とを対比すると、製膜条件1にかかる実施例1〜4の方が、製膜条件2にかかる実施例5〜8よりも、表面外観が好ましいことがわかる。
【0048】
【発明の効果】
本発明によれば、表面外観の平滑美麗さが従来に比し一段とすぐれているEVOH系フィルムが得られ、その工業的価値が大である。
Claims (2)
- エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物を溶融状態で成形ダイからシート状に押し出すと共に、その溶融樹脂シートに電極から静電荷を付与しながら電極から静電荷を付与して冷却ロールに密着させることにより得たフィルムであって、前記エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物中に含有されるNaとKの金属含有量の和が0.01〜50ppm であることを特徴とするエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物系フィルム。
- NaとKの金属含有量の和が0.01〜50ppm であるエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物を溶融状態で成形ダイからシート状に押し出すと共に、その溶融樹脂シートに電極から静電荷を付与しながら冷却ロールに密着させることを特徴とするエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物系フィルムの製造方法。
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