JP4155772B2 - スリット付きハニカム構造体、ハニカム構造体、及びハニカム構造体の製造方法 - Google Patents

スリット付きハニカム構造体、ハニカム構造体、及びハニカム構造体の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はスリット付きハニカム構造体、ハニカム構造体、及びハニカム構造体の製造方法に係り、更に詳しくは、ハニカム構造体を製造するに際して割れ等の不具合が生じ難い中間体となるスリット付きハニカム構造体、これを用いてなるハニカム構造体、及び割れ等の不具合が生じ難いハニカム構造体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
内燃機関、ボイラー、化学反応機器、及び燃料電池用改質器等の触媒作用を利用する触媒用担体又は排ガス中の微粒子捕集フィルタ(集塵フィルタ)等として、セラミックスからなるハニカム構造体が用いられている。
【0003】
このハニカムフィルタは、単位体積当りの濾過面積が広く集塵効率に優れているために、化学、電力、鉄鋼、産業廃棄物処理の分野等、多岐に渡る分野において採用される集塵装置用のフィルタとして好適な特性を有するものである。
【0004】
このような目的で使用されるハニカム構造体は、所定のセラミックス原料からなる坏土を、隔壁によって仕切られた流体の流路となる複数のセルと、このセルを取り囲んでなる外壁とを備えたハニカム形状に成形して成形体とした後、これを乾燥及び焼成することにより製造することができる。このとき、隔壁を多孔質構造にするとともに、所定のセルの一方の開口端部と、残余のセルの他方の開口端部に目封じ部を形成することにより、隔壁を濾過層としたフィルタ(ハニカムフィルタ)として用いることができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
焼成することにより得られるハニカム構造体には、その外壁に、セルの流路方向と平行した割れが生ずる場合がある。このような割れが生じたハニカム構造体は、割れの発生状況(大きさ、深さ、数等)にもよるが、割れ部分にセラミックス原料等を充填した後、再度焼成することにより補修して、割れのないハニカム構造体とすることが一般的である。
【0006】
しかしながら、外壁上におけるこのような割れの生ずる箇所は一定ではなく、補修作業を標準化することは困難である。従って、割れの生じた箇所、大きさ等を目視確認した上で、手作業による補修を行う必要性がある。このため、補修作業を標準化、オートメーション化することができないといった問題がある。
【0007】
また、たとえ補修を行って割れのないハニカム構造体を製造するとしても、割れの発生状況がもともと均質ではないため、得られるハニカム構造体の品質にもバラツキが生じてしまい、品質レベルが安定したハニカム構造体を製造することが困難であるといった問題があった。
【0008】
本発明は、このような従来技術の有する問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、ハニカム構造体を焼成して製造するに際して割れ等の不具合が生じ難い製造中間体となるスリット付きハニカム構造体、これを用いてなるハニカム構造体、及び割れ等の不具合が生じ難いハニカム構造体の製造方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
即ち、本発明によれば、隔壁によって中心軸に垂直な断面形状が四角形に仕切られた流体の流路となる複数のセルと、前記セルを取り囲んでなる断面形状が円形の外壁とを備えた、セラミックスからなる円筒状のハニカム構造体であって、前記セルのうち前記中心軸又は中心軸近傍に位置する中心セルの断面形状である四角形における対角線と、前記中心セルのセル中心軸とを含む平面に対して、前記セル中心軸を交叉直線として、それぞれ−25°〜+25°の角度で交叉する二つの平面が前記外壁の外周面と交叉する二本の直線及び前記外壁の開口端縁で区画される前記外壁の外周面上の領域内のみに、前記中心軸方向に、一方の前記開口端縁から他方の前記開口端縁までの長さの60%以上の長さのスリットが一以上、四以下形成されてなることを特徴とするスリット付きハニカム構造体が提供される。本発明においては、セラミックスがコーディエライトであることが好ましく、所定のセルの一方のセル開口部と、残余のセルの他方のセル開口部に交互に形成された目封じ部により、隔壁が濾過層として機能することが好ましい。
【0010】
また、本発明によれば、前述のスリット付きハニカム構造体の前記スリットが埋設されてなることを特徴とするハニカム構造体が提供される。
【0011】
一方、本発明によれば、セラミックス原料混合物を用いて、隔壁によって中心軸に垂直な断面形状が四角形に仕切られた流体の流路となる複数のセルと、前記セルを取り囲んでなる断面形状が円形の外壁とを備えた円筒状の成形体を得、前記成形体の前記セルのうち、前記中心軸又は中心軸近傍に位置する中心セルの断面形状である四角形における対角線と、前記中心セルのセル中心軸とを含む平面に対して、前記セル中心軸を交叉直線として、それぞれ−25°〜+25°の角度で交叉する二つの平面が前記外壁の外周面と交叉する二本の直線及び前記外壁の開口端縁で区画される前記外壁の外周面上の領域内に、前記中心軸方向に、一方の前記開口端縁から他方の前記開口端縁までの長さの60%以上の長さのスリットを一以上形成した後、乾燥及び焼成してスリット付きハニカム構造体を得、前記スリット付きハニカム構造体の前記スリットを、埋設剤を用いて埋設した後、再焼成することを特徴とするハニカム構造体の製造方法が提供される。
【0012】
また、本発明によれば、セラミックス原料混合物を用いて、隔壁によって中心軸に垂直な断面形状が四角形に仕切られた流体の流路となる複数のセルと、前記セルを取り囲んでなる断面形状が円形の外壁とを備えた円筒状の成形体を得、前記成形体を乾燥して乾燥体を得、前記乾燥体の前記セルのうち、前記中心軸又は中心軸近傍に位置する中心セルの断面形状である四角形における対角線と、前記中心セルのセル中心軸とを含む平面に対して、前記セル中心軸を交叉直線として、それぞれ−25°〜+25°の角度で交叉する二つの平面が前記外壁の外周面と交叉する二本の直線及び前記外壁の開口端縁で区画される前記外壁の外周面上の領域内に、前記中心軸方向に、一方の前記開口端縁から他方の前記開口端縁までの長さの60%以上の長さのスリットを一以上形成した後、焼成してスリット付きハニカム構造体を得、前記スリット付きハニカム構造体の前記スリットを、埋設剤を用いて埋設した後、再焼成することを特徴とするハニカム構造体の製造方法が提供される。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、当業者の通常の知識に基づいて、適宜、設計の変更、改良等が加えられることが理解されるべきである。以下、図1、2に示す、本発明のスリット付きハニカム構造体の一実施形態を示す図面を例に挙げ、本発明の実施の形態について具体的に説明する。
【0014】
図1及び図2は、本発明のスリット付きハニカム構造体の一実施形態を示す図面であり、図1は、その開口端縁側から見た正面図、図2は斜視図である。本発明の実施形態であるスリット付きハニカム構造体5は、隔壁1によって中心軸に垂直な断面形状が四角形に仕切られた流体の流路となる複数のセル2と、このセル2を取り囲んでなる断面形状が円形の外壁3とを備えている。このセル2のうち、中心軸又は中心軸近傍に位置する中心セル6の断面形状である四角形における対角線Aと、中心セル6のセル中心軸Bとを含む平面に対して、セル中心軸Bを交叉直線として、それぞれ−25°〜+25°の角度で交叉する二つの平面が外壁3の外周面7と交叉する二本の直線(直線C,D)及び外壁3の開口端縁(一方の開口端縁8a、他方の開口端縁8b)で区画される外壁3の外周面7上の領域内のみに、中心軸方向に、一方の開口端縁8aから他方の開口端縁8bまでの長さの60%以上の長さのスリット4が一以上形成されている。
【0015】
本発明の実施形態におけるスリット4が形成されていない、即ち、通常のハニカム形状の成形体を焼成して製造する場合、その外壁上における割れの発生箇所は一定ではないが、図2でいうところの、対角線Aと外壁3の外周面7との交点付近に集中することが判明しており、これは、焼成時の熱等に起因して発生する収縮応力が集中するためであると推察される。本発明の実施形態であるスリット付きハニカム構造体5は、最も高い頻度で割れの発生が予見される位置にスリット4が形成されているため、焼成に際して発生する収縮応力が特定箇所に集中することがなく、割れの発生が効果的に抑止されるといった効果を奏する。
【0016】
また、本発明の実施形態におけるスリット4は、人為的に形成されたものであるため、その位置、大きさ、数等が任意に調整されている。即ち、その後にこのスリット4を埋設(補修)する作業を標準化することができ、更には、得られるハニカム構造体の品質にバラツキを生ずることがなく、品質レベルが安定したハニカム構造体を製造することが可能であるといった効果を奏する。
【0017】
本実施形態においては、図2に示す、セル中心軸Bを交叉直線として、それぞれ交叉する二つの平面の角度(2θ)が−15°〜+15°であることが好ましく、−10°〜+10°であることが更に好ましい。即ち、より狭角度で交叉する二つの平面が外壁3の外周面7と交叉する二本の直線(直線C,D)及び外壁3の開口端縁(一方の開口端縁8a、他方の開口端縁8b)で区画される外壁3の外周面7上の領域内にスリット4が形成されることで、より割れの発生が効果的に抑止されるといった効果を奏する。
【0018】
ここで、図2においては、スリット4が一方の開口端縁8aから他方の開口端縁8bまで形成された状態を示しているが、これに比して短く形成されていてもよい。具体的には、スリット4の長さが、一方の開口端縁8aから他方の開口端縁8bまでの長さの70%以上であることが好ましく、75%以上であることが更に好ましい。スリット4の長さが60%未満では、割れ発生の抑止効果が発揮され難くなるために好ましくない。
【0019】
図3(a)〜(d)は、形成されたスリットの長さと位置を示す模式図である。スリット4は、一方の開口端縁8aから他方の開口端縁8bまでの長さと同一、即ち100%の長さで形成した状態(図3(a))の他、60%以上であれば、一方の開口端縁8aにのみ達する状態(図3(b))、他方の開口端縁8bにのみ達する状態(図3(c))、又はいずれの開口端縁にも達しない状態(図3(d))であってもよい。
【0020】
なお、対角線Aは二本存在するため、スリット4が形成されるべき領域は、理論上、四箇所存在する(図1,2)。本実施形態においては、形成されるスリット4の数は二以上であることが好ましく、このことにより、割れの発生が更に効果的に抑止されるといった効果を奏する。但し、形成されるスリット4の数が多くなるほど、その後にハニカム構造体を製造するに際しての埋設作業が煩雑になるとともに、得られるハニカム構造体の機械的強度が低下する場合も想定されるため、スリット4の数は四以下であることが好ましい。
【0021】
本発明においては、セラミックスが、コーディエライトであることが好ましい。コーディエライトは、熱膨張係数が小さく、耐熱衝撃性に優れたセラミックス材料である。即ち、ハニカム構造体を構成するセラミックス材料として好適な特性を有しているために、コーディエライトからなる本発明のスリット付きハニカム構造体、及びこれを中間体として製造されるハニカム構造体は、これらの特性が生かされるとともに、所望の寸法・形状となるように容易に製造されるものである。
【0022】
また、本発明においては、セルの一方のセル開口部と、残余のセルの他方のセル開口部に交互に形成された目封じ部により、隔壁が濾過層として機能することが好ましい。このような構成とすることにより、流体に含まれるダスト、不純物等を濾過するために用いられるハニカム構造体(ハニカムフィルタ)を製造するための製造中間体として有用である。なお、隔壁を濾過層として機能させるためには、この隔壁を、連通孔を有する多孔質構造とすることが必要である。また、熱膨張差に起因する目封じ部の剥離・脱落等の不具合を回避するといった観点からは、目封じ部は、隔壁や外壁と同一の材質からなるものであることが好ましい。
【0023】
次に、本発明のハニカム構造体の実施形態について説明する。図4は、本発明のハニカム構造体の一実施形態を示す斜視図である。本発明の実施形態であるハニカム構造体10は、これまで述べてきたスリット付きハニカム構造体のスリットが埋設され、スリット埋設部11が形成されているものである。このハニカム構造体10は、前述のスリット付きハニカム構造体を製造中間体とし、その外壁の外周面上の所定領域内に形成されたスリットに、所定の埋設剤が埋設・充填され、外壁3と一体化したスリット埋設部11を形成してなるものである。
【0024】
本発明のハニカム構造体の製造中間体となるスリット付きハニカム構造体のスリットは、その位置、大きさ、数等が任意に調整されている。従って、このスリットを埋設する作業は簡便になされるものであるため、本発明のハニカム構造体は、焼成により発生した割れを埋設(補修)してなる従来のハニカム構造体に比して、個体間の品質にバラツキが少なく、品質レベルが安定している。更には、焼成しても割れを生ずることなく得られたハニカム構造体(補修部のないもの)と比較しても、機械的強度等に関して何ら遜色のないものである。
【0025】
次に、本発明のハニカム構造体の製造方法の、一実施形態について説明する。本実施形態では、まず、ハニカム構造体を構成するセラミックスとなるセラミックス原料混合物、例えば、焼成するとコーディエライトとなる原料混合物(コーディエライト化原料混合物)を用意する。これに、水、及び必要に応じて有機バインダー等の各種添加物を添加して、ニーダー等を用いて混合した後、土練機等を用いて土練することにより、成形用の坏土を得る。この坏土を用いて、例えば押出し成形することにより、所定の形状、具体的には、隔壁によって中心軸に垂直な断面形状が四角形に仕切られた流体の流路となる複数のセルと、このセルを取り囲んでなる、断面形状が円形の外壁とを備えた円筒状の成形体(ハニカム成形体)を得る。なお、押出し成形に際しては、成形体の寸法・重量等を勘案し、自重によるセル曲がり等の不具合を回避するため、上方から投入した坏土を下方へと押し出すことができる縦押出機を使用してもよい。
【0026】
図5に示すように、得られたハニカム成形体15のセル2のうち、ハニカム成形体15の中心軸又は中心軸近傍に位置する中心セル6の断面形状である四角形における対角線Aと、中心セル6のセル中心軸Bとを含む平面に対して、セル中心軸Bを交叉直線として、それぞれ−25°〜+25°の角度で交叉する二つの平面が外壁3の外周面7と交叉する二本の直線(直線C,D)及び外壁3の開口端縁で区画される外壁3の外周面7上の領域内に、中心軸方向に、一方の開口端縁8aから他方の開口端縁(図示せず)までの長さの60%以上の長さのスリット4を一以上形成する。
【0027】
スリット4を形成するには、押し出し後のハニカム成形体15に切れ目を入れる、所定の箇所を切削する等すればよい。また、押し出しする際に、押出機におけるハニカム成形体の出口付近に細工を施しておき、押し出しと同時にスリット4が形成されるようにしてもよい。なお、セル中心軸Bを交叉直線として、それぞれ交叉する二つの平面の角度(2θ)が−15°〜+15°であることが好ましく、−10°〜+10°であることが更に好ましい。即ち、外周面7上のより狭い領域内にスリット4を形成することで、割れの発生を更に効果的に抑止することができる。
【0028】
また、スリット4の長さを、一方の開口端縁8aから他方の開口端縁(図示せず)までの長さの70%以上とすることが好ましく、75%以上とすることが更に好ましい。スリット4の長さを60%未満とした場合には、割れ発生の抑止効果が発揮され難くなるために好ましくない。
【0029】
なお、対角線Aは二本存在するため、スリット4を形成するべき領域は、理論上、四箇所存在する。本実施形態においては、二以上のスリット4を形成することが好ましく、このことにより、割れの発生を更に効果的に抑止することができる。但し、形成するスリット4の数が多くなるほど、その後にハニカム構造体を製造するに際しての埋設作業が煩雑になるとともに、得られるハニカム構造体の機械的強度が低下する場合も想定されるため、四以下のスリット4を形成することが好ましい。
【0030】
スリットが形成されたハニカム成形体を適当な条件下で乾燥した後、焼成することにより、スリット付きハニカム構造体を製造する。なお、隔壁を濾過層として機能させるべく、必要に応じて、所定のセルの一方のセル開口部と、残余のセルの他方のセル開口部に交互に目封じ部を形成してもよい。目封じ部を形成するには、所定の目封じ材をセル開口部に圧入等すればよい。次いで、このスリット付きハニカム構造体のスリットを、所定の埋設剤を用いて埋設した後、再焼成することにより、割れ等の不具合を生ずることなくハニカム構造体を製造することができる。
【0031】
スリットを埋設するために用いる埋設剤としては、前述したセラミックス原料混合物と同じ材質のセラミックスを主成分とするものが好ましく、これにより、材質間の熱膨張差に起因する埋設部の剥離や脱落等を回避することができる。
【0032】
次に、本発明のハニカム構造体の製造方法の、他の実施形態について説明する。本実施形態は、セラミックス原料混合物を用いて、隔壁によって中心軸に垂直な断面形状が四角形に仕切られた流体の流路となる複数のセルと、セルを取り囲んでなる断面形状が円形の外壁とを備えた円筒状の成形体を得、成形体を乾燥して乾燥体を得、乾燥体のセルのうち、中心軸又は中心軸近傍に位置する中心セルの断面形状である四角形における対角線と、中心セルのセル中心軸とを含む平面に対して、セル中心軸を交叉直線として、それぞれ−25°〜+25°の角度で交叉する二つの平面が外壁の外周面と交叉する二本の直線及び外壁の開口端縁で区画される外壁の外周面上の領域内に、中心軸方向に、一方の開口端縁から他方の開口端縁までの長さの60%以上の長さのスリットを一以上形成した後、焼成してスリット付きハニカム構造体を得、スリット付きハニカム構造体のスリットを、埋設剤を用いて埋設した後、再焼成することを特徴とするものである。
【0033】
前述した本発明のハニカム構造体の製造方法の、一実施形態における、ハニカム成形体を乾燥する前段階で所定のスリットを形成することに代えて、乾燥後の段階、即ち乾燥体(ハニカム乾燥体20)に所定のスリット4を形成する(図5)。なお、スリット4を形成した後は、適当な条件下で焼成することにより、スリット付きハニカム構造体を製造する。次いで、このスリット付きハニカム構造体のスリットを、所定の埋設剤を用いて埋設した後、再焼成することにより、ハニカム構造体を製造する。このような実施形態とすることによっても、割れ等の不具合を生ずることなくハニカム構造体を製造することができるといった本発明の効果を奏する。なお、スリットを形成する作業を、乾燥の後にするのみであり、その他の実施条件等については既に述べた通りである。
【0034】
【実施例】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0035】
(実施例1〜16、比較例1〜8)
原材料として、焼成するとコーディエライトとなる原料混合物(コーディエライト化原料混合物)を用意し、これに、水、及び必要に応じて有機バインダー等の各種添加物を添加して、ニーダー等を用いて混合した後、土練機等を用いて土練することにより、成形用坏土を得、この成形用坏土を用いて、押出し成形することにより、所定の寸法(φ250mm×700mm)のハニカム構造(セルピッチ:6mm)に成形した。なお、成形体は、所定形状の受缶内に押し出した。この受缶は、押し出されるハニカム成形体の寸法に合わせたものであり、底部が通気性を有する網目状の板(網板)となっているものである。この網板を介して、成形体の下方から上方へと100〜150℃の熱風をセルに約3時間通風して乾燥体を得た。
【0036】
この乾燥体について、目封じ材を用いて、多数のセルの開口部(セル開口部)を上流側と下流側とを一マスごとに交互に目封じ材を圧入することにより目封じ部を形成した。なお、使用した目封じ材は、基材と同材質のセラミックスを主成分とするものである。目封じ後の乾燥体の外壁に、金鋸を用いて、表1に示す所定の長さ(スリット長さ l(mm))、及び本数のスリットを、所定の領域内(θ(°))に、図3(a)〜(d)に示すいずれかの位置(スリットパターン)で形成した(実施例1〜16、比較例2〜8)。ここで、表1中「θ」とは、図1,2に示す角度(θ)を意味する。なお、比較例1についてはスリットを形成しなかった。次いで、スリットを形成した乾燥体(比較例1についてはスリット無し)を、1400℃で2時間焼成した(実施例1〜16、比較例1〜8)。
【0037】
(実施例17)
目封じ後の乾燥体の外壁にスリットを形成することに代えて、押出機の成形体出口付近に、出口の内径方向に突出する突起状の細工部を設けておき、押し出しと同時(即ち、成形時)にスリットを形成した(実施例17)。なお、スリット形成時が異なること以外は、前述の実施例1〜16、比較例1〜8の場合と同様の操作により、スリット付きハニカム構造体を製造した(実施例17)。
【0038】
(評価)
得られたスリット付きハニカム構造体について、その外壁における不具合(割れ等)発生状況を目視観察することにより確認・評価した。評価結果を表1に示す。
【0039】
【表1】
Figure 0004155772
【0040】
(結果)
比較例1(スリットを形成しなかったもの)については、外壁に不規則な割れが発生していた。また、比較例2、3、5、及び7(θ=30°)については、スリット以外の部分に割れが発生しており、比較例4、6、及び8((l/L)=0.50)については、スリットから伸展するように割れが発生していた。
【0041】
これに対して、実施例1〜17については、割れ等の不具合は特に発生しておらず、良好な状態であることが判明した。従って、本発明の優位性を確認することができた。
【0042】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のスリット付きハニカム構造体は、これを構成する外壁の外周面上の所定領域に、所定のスリットが形成されてなるものであるため、これを焼成しても割れ等の不具合が生じ難く、ハニカム構造体を製造するための好適な製造中間体である。
【0043】
また、本発明のハニカム構造体は、前記スリット付きハニカム構造体のスリットが埋設されてなるものであるため、個体間の品質にバラツキが少なく、品質レベルが安定しており、機械的強度等も優れている。
【0044】
更に、本発明のハニカム構造体の製造方法によれば、外壁の外周面上の所定領域に所定のスリットを形成し、このスリットを埋設した後、再焼成するため、割れ等の不具合を生ずることなく、ハニカム構造体を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のスリット付きハニカム構造体の一実施形態を示す、その開口端縁側から見た正面図である。
【図2】 本発明のスリット付きハニカム構造体の一実施形態を示す斜視図である。
【図3】 形成されたスリットの長さと位置を示す模式図である。
【図4】 本発明のハニカム構造体の一実施形態を示す斜視図である。
【図5】 スリットの形成箇所を説明する部分斜視図である。
【符号の説明】
1…隔壁、2…セル、3…外壁、4…スリット、5…スリット付きハニカム構造体、6…中心セル、7…外周面、8a…一方の開口端縁、8b…他方の開口端縁、10…ハニカム構造体、11…スリット埋設部、15…ハニカム成形体、20…ハニカム乾燥体、A…対角線、B…セル中心軸、C,D…直線。

Claims (6)

  1. 隔壁によって中心軸に垂直な断面形状が四角形に仕切られた流体の流路となる複数のセルと、前記セルを取り囲んでなる断面形状が円形の外壁とを備えた、セラミックスからなる円筒状のハニカム構造体であって、
    前記セルのうち前記中心軸又は中心軸近傍に位置する中心セルの断面形状である四角形における対角線と、前記中心セルのセル中心軸とを含む平面に対して、前記セル中心軸を交叉直線として、それぞれ−25°〜+25°の角度で交叉する二つの平面が前記外壁の外周面と交叉する二本の直線及び前記外壁の開口端縁で区画される前記外壁の外周面上の領域内のみに、前記中心軸方向に、一方の前記開口端縁から他方の前記開口端縁までの長さの60%以上の長さのスリットが一以上、四以下形成されてなることを特徴とするスリット付きハニカム構造体。
  2. 前記セラミックスが、コーディエライトである請求項1に記載のスリット付きハニカム構造体。
  3. 所定の前記セルの一方のセル開口部と、残余の前記セルの他方のセル開口部に交互に形成された目封じ部により、前記隔壁が濾過層として機能する請求項1又は2に記載のスリット付きハニカム構造体。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載のスリット付きハニカム構造体の前記スリットが埋設されてなることを特徴とするハニカム構造体。
  5. セラミックス原料混合物を用いて、隔壁によって中心軸に垂直な断面形状が四角形に仕切られた流体の流路となる複数のセルと、前記セルを取り囲んでなる断面形状が円形の外壁とを備えた円筒状の成形体を得、
    前記成形体の前記セルのうち、前記中心軸又は中心軸近傍に位置する中心セルの断面形状である四角形における対角線と、前記中心セルのセル中心軸とを含む平面に対して、前記セル中心軸を交叉直線として、それぞれ−25°〜+25°の角度で交叉する二つの平面が前記外壁の外周面と交叉する二本の直線及び前記外壁の開口端縁で区画される前記外壁の外周面上の領域内に、前記中心軸方向に、一方の前記開口端縁から他方の前記開口端縁までの長さの60%以上の長さのスリットを一以上形成した後、乾燥及び焼成してスリット付きハニカム構造体を得、
    前記スリット付きハニカム構造体の前記スリットを、埋設剤を用いて埋設した後、再焼成することを特徴とするハニカム構造体の製造方法。
  6. セラミックス原料混合物を用いて、隔壁によって中心軸に垂直な断面形状が四角形に仕切られた流体の流路となる複数のセルと、前記セルを取り囲んでなる断面形状が円形の外壁とを備えた円筒状の成形体を得、
    前記成形体を乾燥して乾燥体を得、
    前記乾燥体の前記セルのうち、前記中心軸又は中心軸近傍に位置する中心セルの断面形状である四角形における対角線と、前記中心セルのセル中心軸とを含む平面に対して、前記セル中心軸を交叉直線として、それぞれ−25°〜+25°の角度で交叉する二つの平面が前記外壁の外周面と交叉する二本の直線及び前記外壁の開口端縁で区画される前記外壁の外周面上の領域内に、前記中心軸方向に、一方の前記開口端縁から他方の前記開口端縁までの長さの60%以上の長さのスリットを一以上形成した後、焼成してスリット付きハニカム構造体を得、
    前記スリット付きハニカム構造体の前記スリットを、埋設剤を用いて埋設した後、再焼成することを特徴とするハニカム構造体の製造方法。
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