JP4155698B2 - トランスポンダおよびその製造方法 - Google Patents

トランスポンダおよびその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、キー(鍵)に内蔵させたり、タイヤ内に埋設させたりして種々の情報を発信させるなどに用いるトランスポンダおよびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、トランスポンダは、アンテナコイル、電子回路等のトランスポンダ部品をガラス管又はエポキシ樹脂硬質管に内蔵させてなる。
【0003】
しかしながら、ガラス管を用いたトランスポンダは、衝撃に弱く、タイヤ内に埋設させた場合には走行中に割れる恐れがある。そこで、この対策として例えば特開平7−223413号公報に示されるようにガラス管の外表面をゴムと共加硫性を有する樹脂で被覆してタイヤ内に埋設させるようにしているが、このようにトランスポンダを樹脂の2次パッケージに納めるという手法によると、2次パッケージ用のモールドが必要であり、また作業工数も増えるため高価になってしまう。さらに、ガラス管に内蔵させるアンテナの大きさにも制限がある。
【0004】
一方、エポキシ樹脂硬質管の場合にはガラス管に比して衝撃には強いが、成形用のモールドが必要であり、また、大きなアンテナのトランスポンダでは強度を保持するために厚みが増えてしまうという問題がある。
【0005】
このように、ガラス管又はエポキシ樹脂硬質管を用いるトランスポンダは、必ずモールドが必要であるため大きさ・形状に制限があり、高価となるという問題がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、耐熱性、耐衝撃性に優れかつ形状の自由度の大きいトランスポンダおよびその製造方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明のトランスポンダは、タイヤ内外面に貼り付けられるトランスポンダであって、架橋性ポリエチレン樹脂でトランスポンダ部品を被覆してなることを特徴とする。
【0008】
また、本発明のトランスポンダの製造方法は、タイヤ内外面に貼り付けられるトランスポンダを製造する方法であって、離型シート上に未硬化架橋性ポリエチレン樹脂のシートをのせた後、未硬化架橋性ポリエチレン樹脂のシートの上にトランスポンダ部品を配置し、ついでその上に未硬化架橋性ポリエチレン樹脂の別のシートと離型シートを配置して、トランスポンダ部品を両方の未硬化架橋性ポリエチレン樹脂のシートで挟み込んだ後、未硬化架橋性ポリエチレン樹脂を硬化させ、次いで硬化した一体化物を任意の形状に切り出しまたは打ち抜いた後、離型シートを剥がすことを特徴とする。
【0010】
このように、耐熱性、耐衝撃性に優れた架橋性ポリエチレン樹脂でトランスポンダ部品を被覆するために、耐熱性、耐衝撃性に優れたトランスポンダを得ることが可能となる。また、トランスポンダ部品を両方の未硬化架橋性ポリエチレン樹脂のシートで挟み込んだ後、未硬化架橋性ポリエチレン樹脂を硬化させること、というモールドを使用することのない方法でトランスポンダを製造するために、トランスポンダの形状の自由度を大きくすることができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
図1に本発明のトランスポンダの参考例の縦断面を示す。図1において、アンテナコイル1および電子回路2からなるトランスポンダ部品を埋設したシリコン樹脂層3の上下両面にシリコン樹脂のシート4、5を配置することによりトランスポンダTが形成される。すなわち、トランスポンダTは、シリコン樹脂でトランスポンダ部品を被覆してなる。
【0012】
シリコン樹脂としては、特に限定されるものではないが、常温付近で弾性を示すエラストマーであるのがよい。好適なシリコン樹脂は、例えば、下記の物性を有するダウ・コーニング社製のシラスコンRTV7500である。
Figure 0004155698
このトランスポンダTの製造方法について下記の▲1▼に述べる。
【0013】
▲1▼ まず、図2に示すように、マイラーシート(離型シート)10の上にシリコン樹脂のシート11をのせる。シート11を構成するシリコン樹脂は、硬化していても未硬化であってもいずれでもよい。シリコン樹脂が未硬化で液状物の場合には、その液状物をマイラーシート10の上にシート状に塗布してシート11を形成すればよい。
【0014】
ついで、シート11の上に、図3に示すように、アンテナコイル1および電子回路2からなるトランスポンダ部品を配置する。アンテナコイル1は、ワイヤを数回から数百回巻くことによりコイル状に形成させたものである。つぎに、図4に示すように、このトランスポンダ部品を未硬化のシリコン樹脂で被覆する。被覆に際しては、この未硬化のシリコン樹脂が液状物の場合には、その液状物をトランスポンダ部品に塗布して、トランスポンダ部品をその液状物に埋設させるとよい。これにより被覆物12を形成する。
【0015】
被覆物12の上には、図5に示すように、シリコン樹脂の別のシート13を配置して、アンテナコイル1および電子回路2からなるトランスポンダ部品と未硬化のシリコン樹脂の被覆物12とを両方のシート11および13で挟み込む。シート13を構成するシリコン樹脂もまた、硬化していても未硬化であってもいずれでもよい。つぎに、この挟み込んだものを図5において矢印で示すように必要に応じて両側から加圧しながら常法によりシリコン樹脂を硬化させる。
【0016】
硬化後には、図6に示すような一体化物20が得られる。この一体化物20を任意の形状に切り出し、又は打ち抜き、それからマイラーシート10を剥がすと図7に示すようなトランスポンダTとなる。マイラーシート10は、切り出し、打ち抜き作業を行う前に剥がしてもよい。なお、トランスポンダTの上下両面のいずれかで厚さを変えたい場合には、シート11又は別のシート13のいずれかを複数枚配置するか、或いはこれらのシートの厚さを適宜加減したりすればよい。
【0017】
図8に本発明のトランスポンダの例の縦断面を示す。図8において、アンテナコイル1および電子回路2からなるトランスポンダ部品を架橋性ポリエチレン樹脂30に埋設することによりトランスポンダMが形成される。すなわち、トランスポンダMは、架橋性ポリエチレン樹脂でトランスポンダ部品を被覆してなる。
【0018】
架橋性ポリエチレン樹脂は、ポリエチレンにジクミルパーオキサイド等の有機過酸化物を加えたもので、加熱によりポリエチレン分子間を架橋させることができる。この架橋性ポリエチレン樹脂もまた、特に限定されるものではないが、常温付近で可塑性を示すラストマーであるのがよい。好適な架橋性ポリエチレン樹脂としては、例えば、下記の物性を有する日本ユニカー社製の架橋型ポリエチレン(型番:HFDJ−4201)を挙げることができる。
硬化後の機械的性質
引張強さ(MPa) 27
引裂破壊伸び(%) 560
比重 0.922
脆化温度(℃) −76
加工温度(℃) 125〜130
(120℃−15分)
このトランスポンダMの製造方法について下記の(1)で述べる。
【0019】
(1)まず、図9に示すように、マイラーシート(離型シート)10の上に未硬化架橋性ポリエチレン樹脂のシート31をのせる。つぎに、この未硬化架橋性ポリエチレン樹脂のシート31の上に、図10に示すように、アンテナコイル1および電子回路2からなるトランスポンダ部品を配置する。
【0020】
ついで、図11に示すように、トランスポンダ部品の上に、別の未硬化架橋性ポリエチレン樹脂のシート32とマイラーシート10を配置して、トランスポンダ部品を両方の未硬化架橋性ポリエチレン樹脂のシート31、32で挟み込む。ついで、未硬化架橋性ポリエチレン樹脂を常法により硬化させる。例えば、0.3MPaの圧力下に180℃で15分加熱を行うことにより硬化させればよい。
【0021】
硬化後には、図12に示すような一体化物40が得られる。この一体化物40を任意の形状に切り出し、又は打ち抜き、それからマイラーシート10を剥がすとトランスポンダMとなる
【0023】
発明において架橋性ポリエチレン樹脂からなるトランスポンダMは、架橋性ポリエチレン樹脂が接着性に優れているため、タイヤ内外面の適当箇所(例えば、走行中に殆ど動きのないタイヤ内面のビード部近傍)に貼り付けられる
【0024】
これらのトランスポンダT又はMは、例えば、受動トランスポンダである。
【0025】
【発明の効果】
以上説明したように本発明のトランスポンダは、架橋性ポリエチレン樹脂でトランスポンダ部品を被覆してなるために、耐熱性、耐衝撃性を向上させることができるうえに、下記の効果を奏することが可能となる。
【0027】
橋性ポリエチレン樹脂からなるトランスポンダは、タイヤ外面の適当箇所に貼り付けて使用するに際して、タイヤ加硫前にタイヤモールド内にトランスポンダを設置しておくことにより加硫後にタイヤ外面への接着が可能となる。
【0028】
また、本発明のトランスポンダの製造方法によれば、モールドを使用することがないので、トランスポンダの形状の自由度を大きくすることができるうえに、下記の効果を奏することが可能となる。
【0029】
▲1▼ 薄くても耐熱性のよいトランスポンダを製作することが可能となる。
【0030】
▲2▼ 柔軟なトランスポンダとなり、取付け対象物の形状に合わせて使用が可能となる。
【0031】
▲3▼ トランスポンダ内蔵回路からの被覆物の厚さ(被覆物表面までの距離)を表裏(上方下方)で任意に変更することができるので、薄いトランスポンダから厚いトランスポンダまで適宜任意に製作することが可能となる。
【0032】
▲4▼ 被覆物の大きさを自由に変更できるため、トランスポンダを安価に製作することができ、また、多品種生産にも対応が可能となる。
【0033】
▲5▼ 通信アンテナ(アンテナコイル)が大きい場合でも、耐熱性、耐衝撃性に優れた薄いトランスポンダを製作することが可能となる。
【0034】
▲6▼ 寸法安定性に優れたトランスポンダを製作することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のトランスポンダの参考例の縦断面説明図である。
【図2】 マイラーシートの上でシリコン樹脂のシートを形成する工程を示す説明図である。
【図3】図2の工程で形成されたシートの上にトランスポンダ部品を配置する工程を示す説明図である。
【図4】図3の工程で配置されたトランスポンダ部品を未硬化のシリコン樹脂で被覆する工程を示す説明図である。
【図5】図4の工程で被覆された被覆物の上に別のシートを配置した後に硬化を行う工程を示す説明図である。
【図6】図5の工程で得られる一体化物を示す説明図である。
【図7】図6で示される一体化物を任意の形状に切り出し又は打ち抜くことによって得られるトランスポンダの一例を示す説明図である。
【図8】 本発明のトランスポンダの例の縦断面説明図である。
【図9】マイラーシートの上に未硬化架橋性ポリエチレン樹脂のシートを配置する工程を示す説明図である。
【図10】図9の工程で配置された未硬化架橋性ポリエチレン樹脂のシートの上にトランスポンダ部品を配置する工程を示す説明図である。
【図11】図10の工程で配置されたトランスポンダ部品の上に別の未硬化架橋性ポリエチレン樹脂のシートを配置する工程を示す説明図である。
【図12】図11の工程で得られる一体化物を示す説明図である。
【符号の説明】
1 アンテナコイル
2 電子回路
3 シリコン樹脂の層
4、5 シリコン樹脂のシート
10 マイラーシート
11 シリコン樹脂のシート
12 被覆物
13 別のシリコン樹脂のシート
20 一体化物
31 未硬化架橋性ポリエチレン樹脂のシート
32 未硬化架橋性ポリエチレン樹脂の別のシート
40 一体化物

Claims (2)

  1. タイヤ内外面に貼り付けられるトランスポンダであって、架橋性 ポリエチレン樹脂でトランスポンダ部品を被覆してなるトランスポンダ。
  2. タイヤ内外面に貼り付けられるトランスポンダを製造する方法であ って、離型シート上に未硬化架橋性ポリエチレン樹脂のシートをのせた後、未硬化架橋 性ポリエチレン樹脂のシートの上にトランスポンダ部品を配置し、ついでその上に未硬 化架橋性ポリエチレン樹脂の別のシートと離型シートを配置して、トランスポンダ部品 を両方の未硬化架橋性ポリエチレン樹脂のシートで挟み込んだ後、未硬化架橋性ポリエ チレン樹脂を硬化させ、次いで硬化した一体化物を任意の形状に切り出しまたは打ち抜 いた後、離型シートを剥がすトランスポンダの製造方法。
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