JP4155423B2 - 鍛造ピストンの製造方法および鍛造済み成形素材 - Google Patents

鍛造ピストンの製造方法および鍛造済み成形素材 Download PDF

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    • F02F2200/00Manufacturing
    • F02F2200/04Forging of engine parts

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、金属塊の素材を鍛造用金型により鍛造して成形した成形素材に対して仕上げの機械加工を施すことで製品化されるような内燃機関用の鍛造ピストンに関し、特に、そのような鍛造ピストンの製造方法と、その製造方法で中間製品として製造される略ピストン形状の鍛造済み成形素材の構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
車両用エンジンのような内燃機関に使用される軽量なアルミ合金製のピストンにおいては、鋳造によりピストンを成形すると材質の凝固組織が粗くなって強度上不利となることから、アルミ合金の金属塊をピストン素材とし、これを一方向に進退する金型部材と固定された金型部材とを備えた複数の金型部材からなる鍛造用金型により鍛造することで、ヘッド部とピンボス部とスカート部を備えた略ピストン形状の成形素材としてから、この鍛造済みの成形素材に対して、ピストンピン挿通用のピン孔を穿設したり、ピストンリング装着用のリング溝を切削したりする等、仕上げの機械加工を施すことで製品化されるような、ファイバーフローを利用して強度を向上させた鍛造ピストンが従来から開発されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、4サイクルエンジン用のピストンでは、エンジンの運転時に吸・排気バルブがピストンの頂面と接触しないように、ピストンの頂面(ピストンのヘッド部の上面)に対してバルブの逃げ部となるリセス(窪み)を設けるということが従来から一般的に行われており、上記のような鍛造ピストンにおいても、そのヘッド部の上面に吸・排気バルブ用のリセスを形成するということが当然考えられている。
【0004】
その場合、略ピストン形状に鍛造した成形素材に対して、ピン孔やリング溝の加工と同様に切削加工でバルブリセスを形成することも考えられるが、そうすると仕上げの機械加工の作業工程が増えることとなるため、略ピストン形状の成形素材を複数の金型部材からなる鍛造用金型により成形する際に、ヘッド部の上面に対してバルブリセスを鍛造により同時に形成しておくということが検討されている。
【0005】
そのような鍛造によるバルブリセスの形成によって、バルブリセスのための切削作業を省略することで仕上げの機械加工の作業を簡略化できると共に、バルブリセスを形成するために鍛造用金型に形成された突起部によりヘッド部に伸び方向のファイバーフローが形成されることとなって、その結果、ヘッド部の強度の向上を図ることができる。
【0006】
しかしながら、鍛造により成形素材に対してバルブリセスを形成した場合、その後の仕上げの機械加工でピストンピン挿通用のピン孔を穿設する際に、バルブリセスに対するピン孔の位置関係が少しでもずれると、ピストンを内燃機関に組み込んだときに、吸・排気バルブと各バルブリセスの位置がずれることとなり、その結果、内燃機関の運転時に吸・排気バルブがピストンの頂面と衝突してしまうというような問題が生じることとなる。
【0007】
本発明は、上記のような問題の解消を課題とするものであり、具体的には、内燃機関用の鍛造ピストンにおいて、金型による鍛造によりヘッド部にバルブリセスを形成することで、鍛造後の機械加工の作業工程を簡略化し、且つ、ヘッド部の強度の向上を図ると共に、鍛造済みの成形素材に対して機械加工でピン孔を穿設するに際して、既に鍛造で形成されているバルブリセスとの位置関係がずれることのないようにすることを課題とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記のような課題を解決するために、金属塊の素材を複数の金型部材からなる鍛造用金型により鍛造することで、ヘッド部とピンボス部とスカート部を備えた鍛造済みの成形素材としてから、仕上げの機械加工を施すことで製品化するような鍛造ピストンの製造方法において、金属塊の素材から略ピストン形状の成形素材を鍛造する段階で、該成形素材のヘッド部の上面に、吸・排気バルブの逃げ部となるバルブリセスと共に、機械加工によりピンボス部に対してピン孔を形成する際の加工基準となる一対の凸部を、鍛造時に同一の金型部材によってそれぞれ形成しておくことを特徴とするものである。
【0009】
上記のように鍛造ピストンを製造することで、ヘッド部に伸び方向のファイバーフローを形成することができて、ヘッド部の強度の向上を図ることができ、また、鍛造済み成形素材に対してバルブリセスを形成するための切削作業を省略することができて、仕上げの機械加工の作業を簡略化できると共に、ピストンピン挿通用のピン孔を穿設するに際して、バルブリセスを形成するのと同一の金型部材によって形成される凸部を加工基準として利用することにより、既に鍛造で形成されているバルブリセスに対するピン孔の位置関係の精度を容易に確保することができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の鍛造ピストンの製造方法および鍛造済み成形素材の実施形態について図面に基づいて説明する。
【0011】
図1は、4サイクルエンジン用のピストンの一例を示すもので、図1(A)は、側方から見た外観を示し、図1(B)は、上方から見た外観を示し、図1(C)は、図1(B)のC−C線に沿った断面を示すものである。
【0012】
ピストン本体1は、燃焼室に上面が露出するヘッド部2と、ピストンピンを支持するためのピンボス部3と、シリンダ内面に側面が摺接するスカート部4とからなり、ヘッド部2の上面には吸・排気バルブの逃げ部となる各バルブリセス5が形成され、ヘッド部2の外周面にはピストンリング嵌着用のリング溝6が形成され、対向する一対のピンボス部3のそれぞれにはピストンピン挿着用のピン孔7が形成されている。
【0013】
図2は、上記のようなピストン本体1が組み込まれている4サイクルエンジンの一例を概略的に示すものであって、シリンダ内に摺動可能に収容されたピストン本体1は、ピンボス部のピン孔に挿通されたピストンピン13により、コンロッド14を介して、クランク室内に軸支されたクランク軸15のクランクピン16と連結されており、ピストン本体1よりも上方の燃焼室には、その天井部に開口された吸・排気通路のそれぞれの開口部を開閉するように、吸気バルブ17と排気バルブ18がそれぞれ設置されている。
【0014】
そのような4サイクルエンジンでは、吸気バルブ17と排気バルブ18に対してピストン本体1の頂面(ヘッド部の上面)に形成された各バルブリセス5の位置がずれると、エンジンの運転時に各バルブ17,18がピストン本体1と衝突するため、ピストン本体1においては、ピストンピン13を挿通するためのピン孔を各バルブリセス5に対してその位置関係がずれることなく正確な状態で形成しておくことが必要である。
【0015】
ところで、上記のような内燃機関用のピストン本体1について、これを鍛造によって製造する場合、一般的には、金属塊のピストン素材(ビュレット)を鍛造用金型により鍛造することで、ヘッド部とピンボス部とスカート部を備えた略ピストン形状の鍛造済み成形素材とした後、仕上げの機械加工によりピン孔やリング溝等を形成してから、更に必要に応じてメッキ処理等を施すことで製品化している。
【0016】
そのような鍛造ピストンの製造において、本実施形態では、金属塊のピストン素材から鍛造用金型により鍛造される略ピストン形状の鍛造済み成形素材について、図3(A)(B)(C)に示すように、そのヘッド部2の上面に対して、吸・排気バルブの逃げ部となるバルブリセス5が形成されていると共に、機械加工の際に加工基準となる凸部8が形成されたようなものとしている。
【0017】
すなわち、鍛造済み成形素材11は、ヘッド部2とピンボス部3とスカート部4を備えた略ピストン形状に成形されているものであって、ヘッド部2の上面の吸・排気バルブと対向する位置に、各バルブの逃げ部となるバルブリセス5がそれぞれ形成されていると共に、仕上げの機械加工によりピンボス部3に対してピン孔を形成する際の加工基準となるように、ヘッド部2の上面の外周部に一対の凸部8が形成されている。
【0018】
この加工基準用の凸部8については、仕上げのための機械加工において、ピンボス部3に対してピン孔を穿設加工した後で、エンジン運転時のスキッシュ(圧縮工程で燃焼室内に発生する渦)の管理のためにヘッド部2の上面の外周部を切削加工する際に、同時に削り取られることとなり、図1に示すように、製造されたピストン本体1には残らないものである。
【0020】
図4(A)(B)は、上記のような鍛造済み成形素材11を厚い円板状のアルミ合金のピストン素材(ビュレット)10から金型により鍛造する状態の一例を示すもので、この例では、上下方向に移動する金型部材である上型21と、固定された金型部材である下型22と円筒型23とにより鍛造することで、同じ金型部材である上型21によりバルブリセスと加工基準用凸部を備えたヘッド部の上面側を成形し、下型22と円筒型23によりヘッド部の裏面側とピンボス部とスカート部を成形している。
【0021】
複数の金型部材からなる鍛造用金型については、上記のようなものに限らず、例えば、上下方向に移動する上型21と固定された円筒型23によりヘッド部の裏面側とピンボス部とスカート部を成形し、固定された下型22によりバルブリセスと加工基準用凸部を備えたヘッド部の上面側を成形するようにしても良い。
【0022】
また、鍛造用金型を構成する金型部材の数についても、上記のように鍛造用金型を3つの金型部材21,22,23により構成するようなものに限らず、例えば、図5(A)に示すように、円筒型を一体化したような下型24による2つの金型部材により構成しても良く、図5(B)に示すように、下型22を分割面25により内側の下型26と外側の環状の下型27とに分割したような4つ以上の金型部材により構成しても良いが、何れにしても、バルブリセスを形成するための凸部21aと加工基準を形成するための凹部21bとを同じ金型部材に対して形成しておくことは必要である。
【0023】
なお、上記のような鍛造用金型による鍛造の場合には、金型内に収容されたピストン素材10を、金型の少なくとも何れかの金型部材に対して設けられたヒーターにより、400〜500℃の間に加熱された状態としてから、熱間鍛造することにより、アルミ合金の延性を充分に利用して、成形素材11に寸法精度良く鍛造することができる。
【0024】
熱間鍛造という点に関して、鍛造用金型に収容する前にピストン素材10を400〜500℃の間に加熱した後、金型内に収容して直ちに鍛造するようにしても良く、その場合でも、金型を400〜500℃の間に予熱しつつ鍛造する。そのように鍛造工程からピストン素材10の加熱工程を別の並列工程とすることにより、鍛造工程の時間を短縮することが可能となる。
【0025】
上記のような本実施形態の鍛造ピストンの製造方法および鍛造済み成形素材によれば、鍛造済み成形素材11の段階において、金型による鍛造でヘッド部2にバルブリセス5を形成しておくことにより、ピストン本体1のヘッド部2に伸び方向のファイバーフローを形成することができて、ヘッド部2の強度の向上を図ることができると共に、バルブリセス5を形成するための切削作業を省略することができて、仕上げの機械加工の作業を簡略化することができる。
【0026】
そして、機械加工でピンボス部3にピン孔7を穿設するときの加工基準として、鍛造用金型の同じ金型部材により、鍛造時に、バルブリセス5の形成と同時に、鍛造済み成形素材11のヘッド部の上面に凸部8を形成しておくことで、バルブリセス5に対して正確な位置関係でピン孔7を形成することができ、その結果、製造されたピストン本体1をエンジンに組み込んだときに、ピストンピンによって支持されるピストン本体1の各バルブリセス5の位置が吸・排気バルブに対してずれるような不都合を回避することができる。
【0027】
なお、上記のような鍛造ピストンの製造に使用されるピストン素材(ビュレット)10については、例えば、アルミニウム(Al)を基材とし、全体中に、シリコン(Si)を10〜25重量%,鉄(Fe)を1重量%以下,銅(Cu)を0.5〜7重量%,マグネシウム(Mg)を0.1〜2重量%,マンガン(Mn)を1.5重量%以下,ニッケル(Ni)を1.5重量%以下,クロム(Cr)を1.5重量%以下の範囲で含むような、アルミ合金を円柱形状の棒状体に連続鋳造した溶製材を切断したものが使用される。
【0028】
また、上記のような組成のアルミ合金を溶解炉の底部から円柱形状の連続鋳造体として引き出すと共に、溶解炉から出て凝固が始まる部分の外周に電磁石又は超音波発振器からなる攪拌装置を配置して、円柱形状の連続鋳造体の中心部と外周部を攪拌混合しつつ凝固させることにより、析出結晶粒子の成長を抑制して粒子サイズを小さくし、且つ、外周部から中心部に渡って結晶粒子を均一に分散させるようにした固体で円柱形状のアルミ合金の棒状体を、適当な大きさに切断してピストン素材10として使用しても良い。
【0029】
そのように円柱形状の連続鋳造体の中心部と外周部を攪拌混合しつつ凝固させたようなピストン素材10によれば、結晶粒子のサイズが小さく且つ均一に分散されていることで、鍛造時にクラックが発生し難くなるため、鍛造時の歩留りを向上させることができ、且つ、ピストン本体1をエンジンに組み込んで運転した場合のスカート部4の疲労強度を高くすることができる。
【0030】
さらに、ピストン素材10については、初晶シリコンの平均粒径が10μm以下であるシリコン(Si)を10〜22重量%の範囲で含むような、急冷凝固粉末を固化したアルミ合金を使用しても良い。
【0031】
そのような急冷凝固粉末アルミ合金としては、例えば、アルミニウム(Al)を基材とし、全体中に、シリコン(Si)を10〜22重量%,鉄(Fe)を1〜10重量%,銅(Cu)を0.5〜5重量%,マグネシウム(Mg)を0.5〜5重量%,マンガン(Mn)を1重量%以下,ニッケル(Ni)を1重量%以下,クロム(Cr)を1重量%以下,ジルコニウム(Zr)を2重量%以下,モリブデン(Mo)を1重量%以下の範囲で含むようなものがある。
【0032】
そのような急冷凝固粉末アルミ合金の含有成分において、シリコン(Si)は、金属組織中に硬質の初晶や共晶のシリコン粒を晶出させることで耐摩耗性および耐焼付性を高めるために添加され、鉄(Fe)は、金属組織を分散強化して200℃以上で高い強度を得るために添加され、また、銅(Cu)およびマグネシウム(Mg)は、200℃以下での強度を高めるために添加されるものであって、それらの添加量については、上記の範囲外では所望の耐摩耗性や耐焼付性および高温での必要な強度を得ることができない。
【0033】
上記のような急冷凝固粉末アルミ合金によるピストン素材10では、溶解したアルミ合金を霧状に散布して急冷凝固させることにより粉末化してから成形固化しているため、アルミ合金粉末は平均粒径で約100μm程度となり、その中に含まれているシリコン(Si)は、粉末化しつつ凝固するアルミ合金の金属組織中に晶出させた硬質の初晶シリコンが平均粒径が10μm以下となるように微細化されていて、各アルミ合金粒子毎に分散されている。
【0034】
そのようにシリコン(Si)が微細化されて分散されていることにより、ピストン素材10を鍛造して略ピストン形状の成形素材11とする際に、特にスカート部4で材料が薄く引き延ばされるように鍛造されても、その部分で初晶シリコンの粒子が割れてクラックが発生するようなことが無く、その結果、鍛造で成形されたピストン本体1は、スカート部4での疲労強度が高いものとなる。
【0035】
ピストン素材10として使用する急冷凝固粉末アルミ合金としては、上記のようなものに限らず、例えば、更にその耐摩耗性を高めるために、シリコン(Si)よりも硬い成分である炭化シリコン(SiC)を所定量含むようなものも使用される。
【0036】
炭化シリコン(SiC)を含有する急冷凝固粉末アルミ合金の一例としては、アルミニウム(Al)を基材とし、シリコン(Si)を10〜22重量%,鉄(Fe)を1〜10重量%,銅(Cu)を0.5〜5重量%,マグネシウム(Mg)を0.5〜5重量%,マンガン(Mn)を1重量%以下,ニッケル(Ni)を1重量%以下,クロム(Cr)を1重量%以下,ジルコニウム(Zr)を2重量%以下,モリブデン(Mo)を1重量%以下の範囲で含むと共に、更に、炭化シリコン(SiC)を1〜10重量%の範囲で含むようなものがある。
【0037】
そのような炭化シリコン(SiC)を含有する急冷凝固粉末アルミ合金からなるピストン素材10では、初晶シリコンの平均粒径が10μm以下となるようにシリコン(Si)が微細化されて含まれていると共に、更に耐摩耗性および耐焼付性を高めるために、シリコン(Si)よりも硬く非溶解性の非金属物である炭化シリコン(SiC)が、平均粒径が10μm以下となるように微細化された状態で金属組織中に分散して含まれており、このピストン素材10から鍛造されたピストン本体1は、微細な炭化シリコン(SiC)がアルミ合金組織中に均等に分散されたものとなり、それによって高い耐摩耗性を得ることができる。
【0038】
上記のような急冷凝固粉末アルミ合金によるピストン素材10の製造については、先ず、アルミニウム(Al)の基材に対して必要な各成分(シリコンや炭化シリコンその他)を予め含有させたアルミ合金のインゴットを準備して、これを約700℃以上で溶解してから霧状に散布し、冷却速度100℃/sec以上で急激に冷やして粉末に凝固させるか、或いは、必要な成分を含まないアルミ合金を溶解して急冷凝固することにより形成したアルミ合金粉末に、平均粒径が1〜10μmとなるように微細化した必要成分の粉末を所定量だけ混合する等によって、固化する前のアルミ合金粉末を得る。
【0039】
そして、そのようなアルミ合金粉末について、型の中にアルミ合金粉末を込め、400〜500℃(700℃未満の温度)に加熱且つ加圧して、直接的に所望の大きさおよび形状のピストン素材を成形するか、或いは、アルミ合金粉末を400〜500℃に加熱して押し出すことにより丸棒として固形化した後、この丸棒を一個のピストンに相当する適当量の大きさの厚い円板形状に切断する等によって、厚い円板状のピストン素材10とする。
【0040】
アルミ合金粉末からピストン素材10を成形するには、その他にも、アルミ合金粉末を400〜500℃に加熱しつつ一対の圧延ロールの間に導いて圧延した後、プレスにより打ち抜くことで厚い円板形状のピストン素材として成形したり、シャーリングで所望の大きさに切断して矩形のピストン素材として成形したりすることも可能であり、更に、そのように矩形に成形してから予備鍛造して厚い円板形状のピストン素材に成形しても良い。
【0041】
【発明の効果】
以上説明したような本発明の鍛造ピストンの製造方法および鍛造済み成形素材によれば、金型による鍛造によりヘッド部にバルブリセスを形成することで、ヘッド部の強度を向上させることができると共に、鍛造済み成形素材に対して施す仕上げのための機械加工を簡略化することができ、しかも、仕上げのための機械加工の際に、既に形成されているバルブリセスに対してピストンピン挿通用のピン孔を正確な位置関係で加工することができて、製造されたピストン本体をエンジンに組み込んだ際に、ピストン本体のバルブリセスを吸・排気バルブに対して正確に対向させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の鍛造ピストンの製造方法によって製造される内燃機関用の鍛造ピストンの一例を示す(A)側面図,(B)上面図,および(C)図BのC−C線に沿った断面図。
【図2】図1に示したピストンが使用される4サイクルエンジンの一例についての概略を示す説明図。
【図3】本発明の鍛造済み成形素材の一実施形態を示す(A)側面図,(B)上面図,および(C)図BのC−C線に沿った断面図。
【図4】図3に示した鍛造済み成形素材を金型による鍛造で成形するときの状態の一例を示す、図3(C)の断面に相当する断面説明図。
【図5】図3に示した鍛造済み成形素材を鍛造するための金型の他の例について、(A)2つの金型部材によるもの,(B)4つの金型部材によるものをそれぞれ示す、図3(C)の断面に相当する断面説明図。
【符号の説明】
1 ピストン本体(鍛造ピストン)
2 ヘッド部
3 ピンボス部
4 スカート部
5 バルブリセス
8 (加工基準となる)凸部
10 ピストン素材(金属塊の素材)
11 鍛造済み成形素材

Claims (3)

  1. 金属塊の素材を複数の金型部材からなる鍛造用金型により鍛造することで、ヘッド部とピンボス部とスカート部を備えた鍛造済みの成形素材としてから、仕上げの機械加工を施すことで製品化するような鍛造ピストンの製造方法において、金属塊の素材から略ピストン形状の成形素材を鍛造する段階で、該成形素材のヘッド部の上面に、吸・排気バルブの逃げ部となるバルブリセスと共に、機械加工によりピンボス部に対してピン孔を形成する際の加工基準となる一対の凸部を、鍛造時に同一の金型部材によってそれぞれ形成しておくことを特徴とする鍛造ピストンの製造方法。
  2. 金属塊の素材を複数の金型部材からなる鍛造用金型により鍛造することで略ピストン形状とされている鍛造済み成形素材において、該成形素材のヘッド部の上面に、吸・排気バルブの逃げ部となるバルブリセスと、機械加工によりピンボス部に対してピン孔を形成する際の加工基準となる一対の凸部が、鍛造時に同一の金型部材によってそれぞれ形成されていることを特徴とする鍛造済み成形素材。
  3. 機械加工によりピンボス部に対してピン孔を形成する際の加工基準となる一対の凸部が、ヘッド部の上面の外周部に形成されていることを特徴とする請求項2に記載の鍛造済み成形素材。
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