JP4155367B2 - 環状放熱器 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は環状放熱器に関するもので、更に詳細には、例えばモータ等の円筒状の発熱体や自転車の車輪のブレーキ部等の放熱に用いる環状放熱器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の環状放熱器として、径の小さい内側リングと、径の大きい外側リングとの間に、コルゲートフィンを介在してなるものが知られている。この環状放熱器を製造するには、内側リングと外側リングを、二重円になるように配置した後、内側リングと外側リングの間に、垂直方向から帯状のコルゲートフィンを屈曲させながら挿入していた。
【0003】
上記のように構成される環状放熱器は、例えば図18に示すように、モータ1の本体胴部2に装着されて、モータ1の駆動時に生じる熱を、内側リング3、コルゲートフィン4及び外側リング5を介して放熱してモータ1を冷却することにより、過熱によるモータの効率低下を防止している。また、図19に示すように、自転車の後輪6の車軸7に装着されるハブブレーキ8の外周に、放熱器9を装着することにより、ハブブレーキ8の作動時に生じる摩擦熱を放熱して、ブレーキの性能の低下を防止している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来のこの種の環状放熱器においては、コルゲートフィン4の高さが、内側リング3の外側半径と外側リング5の内側半径と合致していなければならない。したがって、コルゲートフィン4の高さが小さい場合には、組付後もバラバラになりやすいため、組付後にかしめたり、接着剤で固定する等の工程が必要であった。しかも、コルゲートフィン4と両リング3,5をろう付する場合にも、隙間があるためにろう付不良が発生しやすかった。これに対し、コルゲートフィン4の高さが高い場合には、基本的に組み付けができない。無理に組み付けをした場合、コルゲートフィン4に変形が生じるか、コルゲートフィン4に粗密が生じて、熱交換性能が低下するという問題があった。
【0005】
また、コルゲートフィン4の高さが内側リング3の外側半径と外側リング5の内側半径と合致している場合においても、内側リング3と外側リング5の間にコルゲートフィン4を完全に合致させることは難しく、例え合致させることができても、コルゲートフィン4の拘束力が弱く、僅かの温度変化や衝撃でバラバラになるため、コルゲートフィン4と両リング3,5をろう付する際に極めて高度なろう付が必要となり、組み付け作業性が低下するなどの問題があった。
【0006】
この発明は、上記事情に鑑みなされたもので、同心円上に位置する径の異なるリング間に、コルゲートフィンを容易にかつ強固に組み付け可能にした環状放熱器を提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明は、内側リングと、この内側リングと同心円上に位置する外側リングと、これら内側リングと外側リング間に介在される環状のコルゲートフィンとからなり、 上記コルゲートフィンは、上記内側リングと外側リングの組付け時には、上記内側リングの外径より若干小径の小径部と、上記外側リングの内径より若干大径の大径部とからなる円錐台形状に形成され、組付け後には内側リングと外側リング間の押圧力によって環状に復元して上記内側リングと外側リング間に密着してなる、ことを特徴とする。
【0008】
このように構成することにより、内側リングと外側リングとの間に、コルゲートフィンを密接した状態に組み付けることができる。
【0009】
請求項2記載の発明は、最小径の内側リングと、この内側リングと同心円上に位置する最大径の外側リングと、これら内側リングと外側リングとの間に位置する中間リングと、上記内側リングと中間リングとの間、中間リングと外側リングとの間にそれぞれ介在される環状の第1及び第2のコルゲートフィンとからなり、 上記第1のコルゲートフィンは 、上記内側リングと中間リングの組付け時には、上記内側リングの外径より若干小径の小径部と、上記中間リングの内径より若干大径の大径部とからなる円錐台形状に形成され、組付け後には内側リングと中間リング間の押圧力によって環状に復元して上記内側リングと中間リング間に密着し、 上記第2のコルゲートフィンは、上記中間リングと外側リングの組付け時には、上記中間リングの外径より若干小径の小径部と、上記外側リングの内径より若干大径の大径部とからなる円錐台形状に形成され、組付け後には中間リングと外側リング間の押圧力によって環状に復元して上記中間リングと外側リング間に密着してなる、ことを特徴とする。
【0010】
このように構成することにより、内側リングと中間リングとの間に、第1のコルゲートフィンを密接した状態に組み付けることができると共に、中間リングと外側リングとの間に第2のコルゲートフィンを密接した状態に組み付けることができる。
【0011】
請求項3記載の発明は、最小径の内側リングと、この内側リングと同心円上に位置する最大径の外側リングと、これら内側リングと外側リングとの間に、互いに適宜間隔をおいて位置する複数の径の異なる複数の中間リングと、上記内側リング、外側リング及び中間リングの隣接部間にそれぞれ介在される環状のコルゲートフィンとからなり、 上記各コルゲートフィンは、上記隣接する両リングの組付け時には、隣接する内方側のリングの外径より若干小径の小径部と、外方側のリングの内径より若干大径の大径部とからなる円錐台形状に形成され、組付け後には隣接する両リング間の押圧力によって環状に復元して隣接する両リング間に密着してなる、ことを特徴とする。
【0012】
このように構成することにより、内側リング、中間リング及び外側リングの隣接するリング間にコルゲートフィンを密接した状態に組み付けることができる。
【0013】
請求項4記載の発明は、上記請求項1ないし3のいずれかに記載の環状放熱器において、上記内側リングを中空偏平部材にて形成し、中空部内に熱媒体を封入又は流動可能に形成してなる、ことを特徴とする。
【0014】
このように構成することにより、内側リングの中空部内に、例えば冷媒等の熱媒体を封入又は流動することで、積極的に熱交換を行うことができ、更に放熱性能を向上させることができる。
【0015】
請求項5記載の発明は、上記請求項1ないし3のいずれかに記載の環状放熱器において、上記外側リングの周面に、1又は複数の貫通穴を形成してなる、ことを特徴とする。
【0016】
このように構成することにより、環状放熱器を回転発熱体例えば自転車のブレーキ部に用いた場合に、貫通穴を介して空気とコルゲートフィンとの接触を増大させることができるので、放熱性能を向上させることができる。
【0017】
請求項6記載の発明は、上記請求項1、4又は5記載の環状放熱器において、上記内側リング、外側リング及びコルゲートフィンをそれぞれアルミニウム合金製部材にて形成し、これら内側リング、外側リング及びコルゲートフィンをろう付により一体接合してなる、ことを特徴とする。
【0018】
このように構成することにより、特別なろう付治具を用いることなく、内側リング、外側リング及びコルゲートフィンとを確実にろう付することができる。
【0019】
請求項7記載の発明は、上記請求項2ないし5のいずれかに記載の環状放熱器において、上記内側リング、外側リング、中間リング及びコルゲートフィンをそれぞれアルミニウム合金製部材にて形成し、これら内側リング、外側リング、中間リング及びコルゲートフィンをろう付により一体接合してなる、ことを特徴とする。
【0020】
このように構成することにより、特別なろう付治具を用いることなく、内側リング、中間リング、外側リング及びコルゲートフィンとを確実にろう付することができる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下に、この発明の実施の形態を添付図面に基づいて詳細に説明する。
【0022】
◎第一実施形態
図1はこの発明に係る環状放熱器の第一実施形態の平面図、図2は図1のA−A線に沿う断面図、図3は第一実施形態の環状放熱器の分解斜視図である。 第一実施形態の環状放熱器は、偏平円筒状の内側リング10と、この内側リング10と同心円上に位置する同様に偏平円筒状に形成される外側リング12と、これら内側リング10と外側リング12との間に介在される環状のコルゲートフィン20とで構成されている。上記コルゲートフィン20は、組付け前の状態では、内側リング10の外径と、外側リング12の内径の差より若干大径の環状形状に形成されている。
【0023】
この場合、内側リング10及び外側リング12は、それぞれアルミニウム合金製の押出形材にて形成されている。また、コルゲートフィン20は、アルミニウム合金製の帯状板を環状に屈曲して両端部を接着剤等で接着してなり、かつ組付け時には、図3に示すように、上記内側リング10の外径(Da)より若干小径(Db)の小径部21と、上記外側リング12の内径(Dc)より若干大径(Dd)の大径部22とからなる円錐台形状に形成されている。なお、コルゲートフィン20は、組付け前と組付け後においては、環状形状となっている。なおこの場合、内側リング10及び外側リング12の肉厚は1.0〜5.0mmに設定され、コルゲートフィン20の肉厚は0.07〜0.5mmに設定されている。
【0024】
上記のように形成される内側リング10、外側リング12及びコルゲートフィン20を組み付けて環状放熱器を作製するには、図4に示すように、まず、図示しない受台上に載置される内側リング10の上端部に、円錐台形状にしたコルゲートフィン20の大径部側を被着する(図4(a)参照)。次に、被着されたコルゲートフィン20の上端の小径部側から外側リング12を内側リング10と嵌合する方向に押し下げて(図4(b)参照)、内側リング10と外側リング12との間に、コルゲートフィン20を組み付けることができる。この場合、コルゲートフィン20の小径部21から外側リング12を嵌合するため、内側リング10と外側リング12とを容易に嵌合することができる。また、コルゲートフィン20の小径部21は内側リング10の外径(Da)より若干小径(Db)になっており、大径部22は外側リング12の内径(Dc)より若干大径(Dd)になっているため、外側リング12の押し下げ力によってコルゲートフィン20が環状に復元して、コルゲートフィン20は内側リング10と外側リング12との間に密着する。
【0025】
また、別の組み付け方法として、図5に示すように、まず、図示しない受台上に載置される外側リング12の上端部に、円錐台形状にしたコルゲートフィン20を天地逆にして小径部側を被着する(図5(a)参照)。次に、被着されたコルゲートフィン20の上端の大径部側から内側リング10を外側リング12と嵌合する方向に押し下げて(図5(b)参照)、外側リング12と内側リング10との間に、コルゲートフィン20を組み付けることができる。この場合、コルゲートフィン20の大径部22から内側リング10を嵌合するため、外側リング12と内側リング10とを容易に嵌合することができる。
【0026】
なお、上記説明では、内側リング10又は外側リング12のいずれか一方にコルゲートフィン20を被着して、コルゲートフィン20が被着された内側リング10又は外側リング12に対して外側リング12又は内側リング10を移動させる場合について説明したが、必ずしもこのような組み付け方法とする必要はなく、両リング10,12を同時に嵌合方向に移動させてもよい。つまり、両リング10,12を嵌合方向に相対移動させればよい。
【0027】
上記のようにして組み付けた内側リング10、外側リング12及びコルゲートフィン20を、ろう付によって一体接合して環状放熱器の組立を完了する。この場合、少なくとも内側リング10及び外側リング12かコルゲートフィン20の一方を、その表面にろう材を塗布したアルミニウムクラッド材にて形成することにより、内側リング10、外側リング12及びコルゲートフィン20を一体接合することができる。また、内側リング10、外側リング12及びコルゲートフィン20のいずれにもアルミニウムクラッド材を用いずに、それらの間にろう材を挟んで、熱処理時にろう材を溶かしてろう付けするようにしてもよい。なおこの場合、フラックスとして非腐食性フラックス例えばKF+AlF3あるいはKAlF4+K3AlF6+K2AlF5・H2O等のフラックスを用いて内側リング10、外側リング12及びコルゲートフィン20を接合する方が好ましい。
【0028】
◎第二実施形態
図6はこの発明に係る環状放熱器の第二実施形態を示す平面図、図7は図6のB−B線に沿う断面図、図8はその分解斜視図である。
【0029】
第二実施形態は、環状放熱器を二重構造にした場合である。すなわち、最小径の内側リング10と、この内側リング10と同心円上に位置する最大径の外側リング12との間に、中間リング14を位置させ、そして内側リング10と中間リング14との間に、第1のコルゲートフィン20aを組み付け、中間リング14と外側リング12との間に、第2のコルゲートフィン20bを組み付けた場合である。ここで、上記第1のコルゲートフィン20aは、組付け前の状態では、内側リング10の外径と、中間リング14の内径の差より若干大径の環状形状に形成されている。また、上記第2のコルゲートフィン20bは、組付け前の状態では、中間リング14の外径と、外側リング12の内径の差より若干大径の環状形状に形成されている。
【0030】
この場合、中間リング14は、上記内側リング10及び外側リング12と同様に、アルミニウム合金製の押出形材にて形成されると共に、偏平円筒状に形成されている。また、第1のコルゲートフィン20a及び第2のコルゲートフィン20bは、それぞれアルミニウム合金製の帯状板を環状に屈曲して両端部を接着剤等で接着してなる。このうち、第1のコルゲートフィン20aは、組付け時には図8に示すように、上記内側リング10の外径(Da)より若干小径(Db)の小径部21aと、上記中間リング14の内径(De)より若干大径(Df)の大径部22aとからなる円錐台形状に形成されている。また、第2のコルゲートフィン20bは、組付け時には上記中間リング14の外径(Dg)より若干小径(Dh)の小径部21bと、上記外側リング12の内径(Dc)より若干大径(Di)の大径部22bとからなる円錐台形状に形成されている。なお、第1及び第2のコルゲートフィン20a,20bは、組付け前と組付け後においては、環状形状となっている。なおこの場合、中間リング14の肉厚は1.0〜5.0mmに設定され、第1及び第2のコルゲートフィン20a,20bの肉厚は0.07〜0.5mmに設定されている。
【0031】
第二実施形態の環状放熱器を作製するには、図9に示すように、まず、図示しない受台上に載置される内側リング10の上端部に、円錐台形状にした第1のコルゲートフィン20aの大径部側を被着する(図9(a)参照)。次に、被着された第1のコルゲートフィン20aの上端の小径部側から中間リング14を内側リング10と嵌合する方向に押し下げて(図9(b)参照)、内側リング10と中間リング14との間に、第1のコルゲートフィン20aを組み付ける(図9(c)参照)。この場合、第1のコルゲートフィン20aの小径部21aから中間リング14を嵌合するため、内側リング10と中間リング14とを容易に嵌合することができる。また、第1のコルゲートフィン20の小径部21aは内側リング10の外径(Da)より若干小径(Db)になっており、大径部22aは中間リング14の内径(De)より若干大径(Df)になっているため、中間リング14の押し下げ力によって第1のコルゲートフィン20aが環状に復元して、第1のコルゲートフィン20aは内側リング10と中間リング14との間に密着する。
【0032】
上記のようにして、内側リング10と中間リング14との間に第1のコルゲートフィン20aを組み付けた後、中間リング14の上端に、円錐台形状にした第2のコルゲートフィン20bの大径部側を被着する(図9(d)参照)。次に、被着された第2のコルゲートフィン20bの上端の小径部側から外側リング12を中間リング14と嵌合する方向に押し下げて(図9(e)参照)、中間リング14と外側リング12との間に、第2のコルゲートフィン20bを組み付ける(図9(f)参照)。この場合、第2のコルゲートフィン20bの小径部21bから外側リング12を嵌合するため、中間リング14と外側リング12とを容易に嵌合することができる。また、第2のコルゲートフィン20bの小径部21bは中間リング14の外径(Dg)より若干小径(Dh)になっており、大径部22bは外側リング12の内径(Dc)より若干大径(Di)になっているため、外側リング12の押し下げ力によって第2のコルゲートフィン20bが環状に復元して、第2のコルゲートフィン20bは中間リング14と外側リング12との間に密着する。
【0033】
別の組み付け方法としては、図10に示すように、まず、外側リング12の上端部に、円錐台形状にした第2のコルゲートフィン20bを天地逆にして小径部側を被着する(図10(a)参照)。次に、被着された第2のコルゲートフィン20bの上端の大径部側から中間リング14を内側リング10と嵌合する方向に押し下げて(図10(b)参照)、外側リング12と中間リング14との間に、第2のコルゲートフィン20bを組み付けることができる(図10(c)参照)。この場合、第2のコルゲートフィン20bの大径部22bから中間リング14を嵌合するため、外側リング12と中間リング14とを容易に嵌合することができる。
【0034】
上記のようにして、外側リング12と中間リング14との間に、第2のコルゲートフィン20bを組み付けた後、中間リング14の上端に、円錐台形状にした第1のコルゲートフィン20aを天地逆にして小径部側を被着する(図10(d)参照)。次に、被着された第1のコルゲートフィン20aの上端の大径部側から内側リング10を中間リング14と嵌合する方向に押し下げて(図10(e)参照)、中間リング14と内側リング10との間に、第1のコルゲートフィン20aを組み付ける(図10(f)参照)。この場合、第1のコルゲートフィン20aの小径部21aから内側リング10を嵌合するため、中間リング14と内側リング10とを容易に嵌合することができる。
【0035】
上記のようにして組み付けられた内側リング10、中間リング14,外側リング12及び第1及び第2のコルゲートフィン20a,20bは、上記第一実施形態と同様にろう付により一体接合される。
【0036】
なお、上記説明では、コルゲートフィン20a,20bが被着されたリングに向かって隣接するリングを移動する場合について説明したが、隣接するリングを同時に嵌合方向に移動させてもよい。
【0037】
◎第三実施形態
図11はこの発明に係る環状放熱器の第三実施形態の平面図、図12は図11のC−C線に沿う断面図である。
【0038】
第三実施形態は、放熱器を三重構造にした場合である。すなわち、内側リング10と第1の中間リング14aとの間に、第1のコルゲートフィン20aを組み付け、第1の中間リング14aとこの第1の中間リング14aと隣接する第2の中間リング14bとの間に、第2のコルゲートフィン20bを組み付け、更に第2の中間リング14bとこの第2の中間リング14bと隣接する外側リング12との間に、第3のコルゲートフィン20cを組み付けるようにした場合である。ここで、第1〜第3のコルゲートフィン20a〜20cは、組付け前の状態では、隣接する内方側のリングの外径と、外方側のリングの内径の差より若干大径の環状形状に形成されている。
【0039】
この場合、図示しないが隣接する内側リング10,第1〜第3の中間リング14a〜14b,外側リング12間に、組み付けられる第1〜第3のコルゲートフィン20a〜20cは、組付け時には、それぞれ隣接する内方側のリングの外径より若干小径の小径部と、外方側のリングの内径より若干大径の大径部とからなる円錐台形状に形成されている。したがって、第1〜第3のコルゲートフィン20a〜20cを、隣接するリング間に強固に組み付けることができる。なお、第1〜第3のコルゲートフィン20a〜20cは、組付け前と組付け後においては、環状形状となっている。なおこの場合、第1ないし第3の中間リング14a,14b,14cの肉厚は1.0〜5.0mmに設定され、第1ないし第3のコルゲートフィン20a,20b,20cの肉厚は0.07〜0.5mmに設定されている。
【0040】
上記のように構成される環状放熱器を組み付けるには、図13に示すように、まず、内側リング10の上端に、円錐台形状にした第1のコルゲートフィン20aの大径部側を被着する(ステップ▲1▼)。次に、内側リング10と第1のコルゲートフィン20aに対して第1の中間リング14aを嵌合し(ステップ▲2▼)、内側リング10と第1の中間リング14aとの間に、第1のコルゲートフィン20aを組み付けて内側ユニット30を形成する(ステップ▲3▼)。次に、内側ユニット30の第1の中間リング14aの上端に、円錐台形状にした第2のコルゲートフィン20bの大径部側を被着する(ステップ▲4▼)。次に、内側ユニット30と第2のコルゲートフィン20bに対して第2の中間リング14bを嵌合し(ステップ▲5▼)、第1の中間リング14aと第2の中間リング14bとの間に、第2のコルゲートフィン20bを組み付けて中間ユニット40を形成する(ステップ▲6▼)。次に、中間ユニット40の第2の中間リング14bの上端に、円錐台形状にした第3のコルゲートフィン20cの大径部側を被着する(ステップ▲7▼)。そして、中間ユニット40と第3のコルゲートフィン20cに対して外側リング12を嵌合し(ステップ▲8▼)、第2の中間リング14bと外側リング12との間に、第3のコルゲートフィン20cを組み付けて、環状放熱器の組付けを完了する(ステップ▲9▼)。
【0041】
別の組み付け方法は、図14に示すように、まず、外側リング12の上端に、円錐台形状にした第3のコルゲートフィン20cを天地逆にして小径部側を被着する(ステップ▲1▼)。次に、外側リング12と第3のコルゲートフィン20cに対して第2の中間リング14bを嵌合し(ステップ▲2▼)、外側リング12と第2の中間リング14bとの間に、第3のコルゲートフィン20cを組み付けて外側ユニット50を形成する(ステップ▲3▼)。次に、外側ユニット50の第2の中間リング14bの上端に、円錐台形状にした第2のコルゲートフィン20bの小径部側を被着する(ステップ▲4▼)。次に、外側ユニット50と第2のコルゲートフィン20bに対して第1の中間リング14aを嵌合し(ステップ▲5▼)、第2の中間リング14bと第1の中間リング14aとの間に、第2のコルゲートフィン20bを組み付けて中間ユニット40を形成する(ステップ▲6▼)。次に、中間ユニット40の第1の中間リング14aの上端に、円錐台形状にした第1のコルゲートフィン20aの小径部側を被着する(ステップ▲7▼)。そして、中間ユニット40と第1のコルゲートフィン20aに対して外側リング12を嵌合し(ステップ▲8▼)、第1の中間リング14aと内側リング10との間に、第3のコルゲートフィン20cを組み付けて、環状放熱器の組付けを完了する(ステップ▲9▼)。
【0042】
上記のようにして組み付けられた内側リング10、第1及び第2の中間リング14a,14b、外側リング12及び第1ないし第3のコルゲートフィン20a〜20cは、上記第一実施形態及び第二実施形態と同様にろう付により一体接合される。
【0043】
なお、第三実施形態においても、コルゲートフィン20a,20b,20cが被着されたリングと、隣接するリングを同時に嵌合方向に相対移動させてもよい。
【0044】
◎第四実施形態
図15はこの発明に係る環状放熱器の第四実施形態の平面図、図16はその要部の拡大斜視図である。
【0045】
第四実施形態は、放熱効果を更に向上させるようにした場合である。すなわち、内側リングを、図16に示すように、例えばアルミニウム合金製の押出形材にて形成される偏平中空部材60にて形成すると共に、この偏平中空部材60を環状に屈曲し、その端部に熱媒体例えば冷媒の供給管61、排出管62を接続する。このように形成された内側リング(具体的には偏平中空部材60)と、この内側リングと同心円上に位置する外側リング12との間に、上記と同様にコルゲートフィン20を組み付けて、環状放熱器を形成した場合である。
【0046】
上記のように、内側リングを偏平中空部材60にて形成することにより、偏平中空部材60の中空部63内に熱媒体例えば冷媒を封入又は流動させることができるので、環状放熱器を装着した発熱体からの熱を、効率よく冷却することができると共に、放熱することができる。なお、偏平中空部材60内に冷媒を封入する場合は、排出管62を塞いで、供給管61から偏平中空部材60の中空部63内に冷媒を供給した後、供給管61を塞げばよい。また、供給管61や排出管62を用いずに中空部63内に冷媒を封入した後、中空部63を塞いでもよい。
【0047】
上記説明では、環状放熱器が第一実施形態で示した内側リング10と外側リング12との間に、コルゲートフィン20を組み込んだ構造の場合について説明したが、上記第二実施形態又は第三実施形態においても同様に、内側リング10を偏平中空部材60にて形成してもよい。
【0048】
なお、上記実施形態では、内側リング10と外側リング12との間に、コルゲートフィン20を組み込んだ構造(第一実施形態)、二重構造(第二実施形態)あるいは三重構造(第三実施形態)の場合について説明したが、内側リング10と外側リング12との間に3個以上の中間リングと4個以上のコルゲートフィンを組み込んだ構造のもにも適用することができることは勿論である。
【0049】
上記第四実施形態において、その他の部分は上記第一実施形態ないし第三実施形態と同じであるので、説明は省略する。
【0050】
◎第五実施形態
図17はこの発明に係る環状放熱器の第五実施形態の一例を示す平面図(a)及びその側面図(b)である。
【0051】
第五実施形態は、この発明に係る環状放熱器を回転発熱体例えば自転車のブレーキ部の外周に装着して、放熱効果の向上を図れるようにした場合である。すなわち、上記外側リング12の周面に、貫通穴13を形成した場合である。この場合、貫通穴13は、外側リング12の周方向に適宜間隔をおいて複数穿設されている。
【0052】
このように構成することにより、自転車(図示せず)の走行時に空気の流れAが異なる場合でも、貫通穴13を介して空気とコルゲートフィン20との接触面積を増大させて、放熱性能を向上させることができる。したがって、ハブブレーキの作動時に生じる摩擦熱を効率良く放熱して、ブレーキ性能の向上を図ることができる。
【0053】
上記説明では、貫通穴13が外側リング12の周面に複数設けられる場合について説明したが、図18に示すように、外側リング12の周面に1つの貫通穴13を形成したものであってもよい。この場合、外側リング12を断面L字状の2つのリング半体12aを対峙させることによって1つの貫通穴13を形成することができる。
【0054】
なお、図17及び図18では、内側リング10と外側リング12との間にコルゲートフィン20を介在してなる第一実施形態の場合について説明したが、勿論、第二実施形態及び第三実施形態における外側リング12に同様に貫通穴13を形成してもよい。また、第五実施形態において、その他の部分は、上記第一実施形態ないし第三実施形態と同じであるので、説明は省略する。
【0055】
【発明の効果】
以上に説明したように、この発明は上記のように構成されているので、以下のような効果が得られる。
【0056】
(1)請求項1記載の発明によれば、内側リングと外側リング間に介在される環状のコルゲートフィンを、内側リングの外径と、外側リングの内径の差より若干大径の環状形状に形成するので、内側リングと外側リングとの間に、コルゲートフィンを密接した状態に組み付けることができる。したがって、内側リングと外側リングとの熱交換抵抗を少なくすることができると共に、放熱性能を向上させることができる。
【0057】
(2)請求項2記載の発明によれば、内側リングと中間リングとの間に、第1のコルゲートフィンを密接した状態に組み付けることができると共に、中間リングと外側リングとの間に第2のコルゲートフィンを密接した状態に組み付けることができるので、内側リング、中間リング及び外側リングとの熱交換抵抗を少なくすることができると共に、放熱性能を向上させることができる。
【0058】
(3)請求項3記載の発明によれば、内側リング、中間リング及び外側リングの隣接するリング間にコルゲートフィンを密接した状態に組み付けることができるので、内側リング、中間リング及び外側リングとの熱交換抵抗を少なくすることができると共に、放熱性能を向上させることができる。
【0059】
(4)請求項4記載の発明によれば、内側リングを中空偏平部材にて形成し、中空部内に熱媒体を封入又は流動可能に形成するので、内側リングの中空部内に、例えば冷媒等の熱媒体を封入又は流動することができると共に、積極的に熱交換を行うことができる。したがって、上記(1)ないし(3)に加えて更に放熱性能を向上させることができる。
【0060】
(5)請求項5記載の発明によれば、環状放熱器を回転発熱体例えば自転車のブレーキ部に用いた場合に、貫通穴を介して空気とコルゲートフィンとの接触を増大させることができるので、放熱性能を向上させることができる。したがって、上記(1)ないし(3)に加えて更に放熱性能を向上させることができる。
【0061】
(6)請求項6記載の発明によれば、内側リング、外側リング及びコルゲートフィンをそれぞれアルミニウム合金製部材にて形成し、これら内側リング、外側リング及びコルゲートフィンをろう付により一体接合するので、特別なろう付治具を用いることなく、内側リング、外側リング及びコルゲートフィンとを確実にろう付することができる。
【0062】
(7)請求項7記載の発明によれば、内側リング、外側リング、中間リング及びコルゲートフィンをそれぞれアルミニウム合金製部材にて形成し、これら内側リング、外側リング、中間リング及びコルゲートフィンをろう付により一体接合するので、特別なろう付治具を用いることなく、内側リング、中間リング、外側リング及びコルゲートフィンとを確実にろう付することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明に係る環状放熱器の第一実施形態を示す平面図である。
【図2】 図1のA−A線に沿う断面図である。
【図3】 第一実施形態の分解斜視図である。
【図4】 第一実施形態の環状放熱器の組立手順を示す概略断面図である。
【図5】 第一実施形態の環状放熱器の別の組立手順を示す概略断面図である。
【図6】 この発明に係る環状放熱器の第二実施形態を示す平面図である。
【図7】 図6のB−B線に沿う断面図である。
【図8】 第二実施形態の分解斜視図である。
【図9】 第二実施形態の環状放熱器の組立手順を示す概略断面図である。
【図10】 第二実施形態の環状放熱器の別の組立手順を示す概略断面図である。
【図11】 この発明に係る環状放熱器の第三実施形態を示す平面図である。
【図12】 図11のC−C線に沿う断面図である。
【図13】 第三実施形態の組立手順のフローチャートである。
【図14】 第三実施形態の別の組立手順のフローチャートである。
【図15】 この発明に係る環状放熱器の第四実施形態を示す平面図である。
【図16】 第四実施形態の要部を示す斜視図である。
【図17】 この発明に係る環状放熱器の第五実施形態の一例を示す平面図(a)及びその側面図(b)である。
【図18】 第五実施形態の別の例を示す平面図(a)、その側面図(b)及び(b)のC部拡大断面図(c)である。
【図19】 モータに環状放熱器を装着した状態を示す斜視図である。
【図20】 自転車用ハブブレーキに環状放熱器を装着した状態を示す要部側面図である。
【符号の説明】
10 内側リング
12 外側リング
13 貫通穴
14 中間リング
14a 第1の中間リング
14b 第2の中間リング
20 コルゲートフィン
20a 第1のコルゲートフィン
20b 第2のコルゲートフィン
20c 第3のコルゲートフィン
21,21a,21b 小径部
22,22a,22b 大径部
Da 内側リングの外径
Db コルゲートフィンの小径部の直径
Dc 外側リングの内径
Dd コルゲートフィンの大径部の直径
De 中間リングの内径
Df 第1のコルゲートフィンの大径部の直径
Dg 中間リングの外径
Dh 第2のコルゲートフィンの小径部の直径
Di 第2のコルゲートフィンの大径部の直径

Claims (7)

  1. 内側リングと、この内側リングと同心円上に位置する外側リングと、これら内側リングと外側リング間に介在される環状のコルゲートフィンとからなり、
    上記コルゲートフィンは、上記内側リングと外側リングの組付け時には、上記内側リングの外径より若干小径の小径部と、上記外側リングの内径より若干大径の大径部とからなる円錐台形状に形成され、組付け後には内側リングと外側リング間の押圧力によって環状に復元して上記内側リングと外側リング間に密着してなる
    ことを特徴とする環状放熱器。
  2. 最小径の内側リングと、この内側リングと同心円上に位置する最大径の外側リングと、これら内側リングと外側リングとの間に位置する中間リングと、上記内側リングと中間リングとの間、中間リングと外側リングとの間にそれぞれ介在される環状の第1及び第2のコルゲートフィンとからなり、
    上記第1のコルゲートフィンは、上記内側リングと中間リングの組付け時には、上記内側リングの外径より若干小径の小径部と、上記中間リングの内径より若干大径の大径部とからなる円錐台形状に形成され、組付け後には内側リングと中間リング間の押圧力によって環状に復元して上記内側リングと中間リング間に密着し
    上記第2のコルゲートフィンは、上記中間リングと外側リングの組付け時には、上記中間リングの外径より若干小径の小径部と、上記外側リングの内径より若干大径の大径部とからなる円錐台形状に形成され、組付け後には中間リングと外側リング間の押圧力によって環状に復元して上記中間リングと外側リング間に密着してなる、
    ことを特徴とする環状放熱器。
  3. 最小径の内側リングと、この内側リングと同心円上に位置する最大径の外側リングと、これら内側リングと外側リングとの間に、互いに適宜間隔をおいて位置する複数の径の異なる複数の中間リングと、上記内側リング、外側リング及び中間リングの隣接部間にそれぞれ介在される環状のコルゲートフィンとからなり、
    上記各コルゲートフィンは、上記隣接する両リングの組付け時には、隣接する内方側のリングの外径より若干小径の小径部と、外方側のリングの内径より若干大径の大径部とからなる円錐台形状に形成され、組付け後には隣接する両リング間の押圧力によって環状に復元して隣接する両リング間に密着してなる、
    ことを特徴とする環状放熱器。
  4. 上記内側リングを中空偏平部材にて形成し、中空部内に熱媒体を封入又は流動可能に形成してなる、ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の環状放熱器。
  5. 上記外側リングの周面に、1又は複数の貫通穴を形成してなる、ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の環状放熱器。
  6. 上記内側リング、外側リング及びコルゲートフィンをそれぞれアルミニウム合金製部材にて形成し、これら内側リング、外側リング及びコルゲートフィンをろう付により一体接合してなる、ことを特徴とする請求項1、4又は5記載の環状放熱器。
  7. 上記内側リング、外側リング、中間リング及びコルゲートフィンをそれぞれアルミニウム合金製部材にて形成し、これら内側リング、外側リング、中間リング及びコルゲートフィンをろう付により一体接合してなる、ことを特徴とする請求項2ないし5のいずれかに記載の環状放熱器。
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