JP4154994B2 - ポリマーブレンド及びその製造法 - Google Patents
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【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリ乳酸の連続相からなるマトリックス中に、天然ゴムのエラストマー成分からなる分散相が微分散されており、かつ優れた耐衝撃強度を有するポリマーブレンド材料、及びその製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】
プラスチック材料は、自然環境中において分解されにくいため、ゴミとして廃棄されるプラスチック材料が多くの環境問題を引き起こしている。そこで、地球の環境保全に配慮し、自然界で分解されうる生分解性プラスチックの開発及びその応用のための検討が行われている。
【0003】
ポリ乳酸は、植物を原料とし、生分解性を有するプラスチック材料として知られている。しかし、ポリ乳酸単独で自動車のダッシュボード等の材料として用いるためには、ポリ乳酸は耐衝撃強度が不足しているという欠点を有する。プラスチック材料の耐衝撃強度を向上させる方法として、プラスチック材料にエラストマー成分をブレンドする方法が知られている。ポリ乳酸の耐衝撃強度を向上させる方法として、エラストマー成分、例えば、天然ゴム及び合成ゴムから選ばれる材料をブレンドする手法が考えられる。
【0004】
しかしながら、ポリ乳酸及び天然ゴム等を、通常用いられる混練条件、すなわち、ポリ乳酸の融点以上の温度で混練した場合、ポリ乳酸に天然ゴム等が均一に分散されたポリマーブレンド材料は得られず、ポリ乳酸と天然ゴム等がマクロに相分離してしまう。
【0005】
成形加工性を改良するための添加剤であるエポキシ化ポリイソプレンを、溶融したポリ乳酸に添加し、混練することによってポリ乳酸の成形加工性を改良する方法、及びこの方法によって得られた材料は脆さが改良されることが開示されている(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、エポキシ化されていないポリイソプレン及びポリ乳酸のブレンド物は、マクロな相分離を起こしてしまう。
【0006】
また、天然ゴムに、生分解性樹脂であるポリ乳酸、及び充填剤を混練して製造された生分解性ゴム組成物が開示されている(例えば、特許文献2参照)。しかし、上述のように、天然ゴム等、ポリ乳酸、及び充填剤を通常用いられる混練方法、すなわち天然ゴム材料、ポリ乳酸のペレット、及び充填剤、例えばシリカをポリ乳酸の融点以上の温度で混練しても、マクロな相分離を起こしてしまい、成形加工が可能なほど均一なポリマーブレンド材料を得ることはほとんどできない。
【0007】
これまで公知の方法によっては、ポリ乳酸からなる連続相中に天然ゴム等が分散相として均一に微分散された海島構造を有するポリマーブレンド材料を製造することはできなかった。
【特許文献1】
特開2000−95898号公報
【特許文献2】
特開2000−319446号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、ポリ乳酸からなる連続相中に天然ゴム等からなる分散相が均一に微分散されたポリマーブレンド材料を製造する方法、及びその方法によって製造される、衝撃強度が向上されたポリマーブレンド材料に関する。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の、天然ゴムの材料(以下、天然ゴム等ということもある。)、並びにポリ乳酸を含むポリマーブレンド材料の製造法は、以下のステップ:
上記天然ゴムの材料を加熱することにより前記材料を可塑化し;
可塑化された上記材料にポリ乳酸の粉末を添加して、ポリ乳酸の融点未満の温度で混練して混合物とし;
上記混合物を、ポリ乳酸の融点以上の温度でさらに混練する、
を含むことを特徴とするものである。
【0010】
さらに、上記のポリマーブレンド材料の製造法において、ポリ乳酸の粉末の平均粒子径が400μm以下であることが好ましい。
【0011】
さらに、上記のポリマーブレンド材料の製造法において、ポリ乳酸の融点未満の温度での混練時、及び/又はポリ乳酸の融点以上の温度での混練時に、混練される混合物に充填剤を添加することが好ましい。
【0012】
本発明のポリマーブレンド材料は、天然ゴムの材料からなる分散相が、ポリ乳酸の連続相中に分散され、分散相の平均直径が100μm以下であることを特徴とするものである。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明は、ポリ乳酸に天然ゴム等のエラストマー成分を混練して分散させるときに、可塑化された天然ゴム等にポリ乳酸の粉末を添加し、ポリ乳酸の融点未満の温度で混練してポリ乳酸と天然ゴム等を混合し、得られた混合物を、次にポリ乳酸の融点以上の温度で混練することによって、ポリ乳酸と天然ゴム等がマクロに相分離することなく、ポリ乳酸からなる連続相中に天然ゴム等からなる直径100μm以下の大きさの分散相が分散されたポリマーブレンド材料を得ることができることを見出し完成したものである。さらに、本発明は、上記ポリマーブレンド材料が、ポリ乳酸より優れた衝撃強度を有し、さらに、上記ポリマーブレンド材料に充填剤、特に無機充填剤を添加することによって、衝撃強度がさらに向上することを見出し完成したものである。
【0014】
本発明のポリマーブレンド材料は、上述の通り、ポリ乳酸及び天然ゴム等をブレンドして製造する。ポリ乳酸は、トウモロコシでんぷんの発酵等によって得られる乳酸を重合して得られるポリエステル系の生分解性樹脂として知られている材料である。ポリ乳酸は、ペレット、フレーク等の形態で市販されており、その融点は一般的に140〜170℃程度であり、融点は、それぞれの製造法、及びロット等によって異なる。したがって、本発明におけるポリ乳酸の融点とは、実際に原料として用いるポリ乳酸の融点をいう。
【0015】
本発明では、ポリ乳酸と天然ゴム等を混練する場合に、ポリ乳酸の粉末を用いる。本発明で用いるポリ乳酸の粉末は、平均粒子径が400μm以下であることが好ましく、平均粒子径が300μm以下であることがさらに好ましい。ポリ乳酸の粉末の平均粒子径は、粉体の平均粒子径を測定することができる各種の市販の測定装置を使用して測定することができるが、そのような装置としては、例えばレーザー回折式粒度分布測定装置をあげることができる。
【0016】
ポリ乳酸の粉末は、ポリ乳酸を凍結粉砕する等の方法によって製造することができる。ポリ乳酸はペレット及びフレーク形状のものも知られているが、本発明のポリマーブレンド材料の製造法において、ポリ乳酸の粉末に代えてペレット及び/又はフレーク状のポリ乳酸を用いた場合、ポリ乳酸と天然ゴム等がマクロに相分離してしまい、目的とするポリマーブレンド材料は、ほとんど得ることができない。
【0017】
本発明でポリ乳酸とブレンドする天然ゴム等は、エラストマーとして知られる天然高分子から任意に選択した材料を用いることができる。本発明に用いる具体的な天然ゴム等の材料としては、天然ゴム、例えば天然ゴムラテックス、リブドスモークドシート、ホワイトクレープ、ペールクレープ、エステートブラウンクレープ、コンポクレープ、薄手ブラウンクレープ、厚手ブランケットクレープ、フラットバーククレープ、及び純スモークドブランケットクレープ等を例示できるが、これらに限定されない。本発明には、天然ゴムを用いることが好ましく、リブドスモークドシートを用いることが特に好ましい。天然ゴムを用いた場合は、ポリ乳酸とあわせて、天然素材から製造されたポリマーブレンド材料を得ることができる。
【0018】
本発明のポリマーブレンド材料の製造法においては、初めに、天然ゴム等を可塑化する。天然ゴム等を可塑化するための好ましい方法は、天然ゴム等を加熱条件下に混練機で混練することによって行うことが例示できる。加熱条件下に混練することにより天然ゴム等を可塑化する場合、加熱温度は天然ゴム等を可塑化できる温度を任意に選択して定めることができる。1つの混練機中で、天然ゴム等を可塑化する工程、及び可塑化した天然ゴム等にポリ乳酸を混練する工程を続けて行うことができる。その場合、天然ゴム等の可塑化を、可塑化した天然ゴム等にポリ乳酸の粉末を添加して混練する温度で行うことは、天然ゴム等の可塑化、及び可塑化した天然ゴム等へのポリ乳酸の混練の2つの工程の間で、混練機の温度を変える必要をなくし、作業を簡便にでき、混練機の温度を変えるために必要な時間を省くことができるため、好ましい方法である。天然ゴム等が、用いるポリ乳酸の融点よりも高い温度でなければ可塑化できない場合は、可塑剤を天然ゴム等に添加して可塑化温度を下げることもできる。ただし、一般に、可塑剤を用いると、得られたポリマーブレンド材料から可塑剤がブリードアウトすることによる問題が生じる可能性があるため、本発明で用いる天然ゴム等は、ポリ乳酸の融点以下の温度で可塑化できる材料から選択することが好ましい。
【0019】
なお、本明細書中の混練機とは、高分子材料等を混練することだけを目的とする混練機に限らず、高分子材料等を混練するとともに成形する装置、たとえば1軸押出成形機、及び2軸押出成型機等も含み、剪断力によって材料を混合できる装置であればよい。名称も混練機である必要はない。
【0020】
本発明のポリマーブレンド材料を製造する場合、ポリ乳酸に対してブレンドする天然ゴム等の量は、得られるポリマーブレンド材料が必要な物性を有する範囲で任意に選択することができ、特に制限されない。ただし、一般的には、100質量部のポリ乳酸に対して、5〜100質量部の天然ゴム等をブレンドすることが好ましく、得られるポリマーブレンド材料の曲げ弾性率及び衝撃強度の値のバランスが良好なことから、100質量部のポリ乳酸に対して、40〜80質量部の天然ゴム等をブレンドすることが特に好ましい。
【0021】
加熱下で、混練して可塑化された天然ゴム等に、ポリ乳酸の粉末を添加し、ポリ乳酸の融点以下の温度でさらに混練し、天然ゴム等及びポリ乳酸の粉末がほぼ均一に混ざるまで混合する。「ほぼ均一」とは、一見して不均一な部分の存在が認められない程度に均一なことをいい、天然ゴム等及びポリ乳酸がほぼ均一に混合されたか否かは目視により容易に確認することができる。上記ポリ乳酸の融点以下の温度は、可塑化された天然ゴム等及びポリ乳酸の粉末が混合できる温度であればよく、特に制限されないが、この温度が低いと天然ゴム等の粘度が高くなりすぎ、かつ、この温度が高い方が両者を混合しやすいことから、用いたポリ乳酸の融点の5〜40℃低い温度であることが好ましく、10〜30℃低い温度であることが特に好ましい。
【0022】
次に、ポリ乳酸の融点以下の温度で混練され、天然ゴム等及びポリ乳酸の粉末がほぼ均一に混合された混合物を、用いたポリ乳酸の融点以上の温度で混練する。上記混合物を混練機から取り出すことなく、混練温度をポリ乳酸の融点以上に昇温し、さらに混練することができる。また、上記混合物を混練機から一旦取り出して、別の混練機、例えば、材料を混練することが可能な成形機に移して、ポリ乳酸の融点以上に昇温して混練することもできる。その場合、別の成型機等に投入しやすいように、混練機から取り出した混合物を冷却し、適当な大きさに粉砕したものを用いることもできる。
【0023】
上記ポリ乳酸の融点以上の温度とは、上記の天然ゴム等及びポリ乳酸の粉末がほぼ均一に混合された混合物をさらに混練した時に、ポリ乳酸の粉末を溶融して、ポリ乳酸からなる連続相をポリマーブレンド材料中に形成できる温度であればよく、特に制限されないが、温度が高すぎても、材料の分解が起こりやすく、また、材料の粘度が低くなりすぎることにより、混練時に剪断力が材料に加わらず、天然ゴム等が細かな分散状態になりにくい場合がある。したがって、上記ポリ乳酸の融点以上の温度としては、用いたポリ乳酸の融点より10〜70℃高い温度が好ましく、30〜50℃高い温度であることが特に好ましい。
【0024】
本発明のポリマーブレンド材料には、無機充填剤を添加することができる。一般的には、ポリ乳酸に無機充填剤を添加すると衝撃強度が低下するが、本発明のポリマーブレンド材料は、無機充填剤を添加することによって、衝撃強度を大きくすることができる。無機充填剤は、混練機中で、可塑化された天然ゴム等にポリ乳酸を混合し、ポリ乳酸の融点以下の温度で混練するとき、及び/又は天然ゴム等及びポリ乳酸の粉末がほぼ均一に混合された混合物を混練機中で、ポリ乳酸の融点以上の温度で混練するときに添加することが好ましい。
【0025】
本発明に用いる無機充填剤としては、特に制限はなく、公知の材料を用いることができる。本発明のポリマーブレンド材料の衝撃強度を向上させることができることから、無機充填材、例えばタルク、ウォラストナイト、シリカ、カオリン、及びクレーからなる群から選ばれる1種以上を用いることが好ましく、特にタルクが好ましい。本発明に用いることができる無機充填材の形状は、いかなる形状のものも用いることができるが、粉末であることが好ましい。この粉末の平均粒子径は、100μm以下であることが特に好ましい。
【0026】
上記無機充填剤は、ポリ乳酸及び天然ゴム等の合計量100質量部に対して、50質量部以下であることが好ましく、30質量部以下であることがさらに好ましく、30質量部以下であることが、得られるブレンドポリマーの機械物性のバランスが良い点から特に好ましい。
【0027】
本発明の製造法によって製造された、ポリ乳酸からなる連続相、及び天然ゴム等からなる分散相を有するポリマーブレンド材料の分散相の平均直径は100μm以下であり、ポリ乳酸の連続相中に、天然ゴム等が微分散されていることがわかった。この分散相の平均直径は、島部分(分散相)の面積の平均値を、WINROOF(商標)(MITANI CORPORATION社製)を使用して、画像処理により統計解析し、分散相の平均半径を円半径に換算する手法にて算出した。
【0028】
本発明のポリマーブレンド材料の製造法においては、ポリ乳酸を溶融させる前に、ポリ乳酸の融点以下で、可塑化された天然ゴム等とポリ乳酸の微粉末をあらかじめ良く混合させるため、ポリ乳酸の粉末中に天然ゴムが微分散される。その後、ポリ乳酸の融点以上に加熱してポリ乳酸の連続相を形成させるため、ポリ乳酸と天然ゴム等がマクロに相分離することなく、ポリ乳酸の連続相中に天然ゴム等の分散相が微分散されたポリマーブレンド材料を得ることができると考えられる。
【0029】
本発明のポリマーブレンド材料には、プラスチック材料及びゴム材料の分野で公知の各種の添加剤を添加することができる。具体的な添加剤としては、耐候性改良剤、例えば、紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系光安定剤、及び酸化防止剤;滑剤、例えば、高級脂肪酸系アルコール、脂肪族アマイド、金属石鹸、及び脂肪酸エステルなどが例示でき、これらから任意に選択した材料を添加することができる。
【0030】
本発明のポリマーブレンド材料は、ポリ乳酸単独より大きな衝撃強度を有する材料であり、自動車等の車両用内装材等に好適に用いることができる。
【0031】
さらに、ポリ乳酸にブレンドするエラストマー成分として天然ゴムを用いた場合は、ポリマーブレンド材料の全てが天然由来成分からなり、かつ自然環境中で生分解性を有する環境適応型の素材にすることができる。
【0032】
以下、実施例に基づき、さらに具体的に本発明を説明する。
【0033】
【実施例】
[実施例1](ポリ乳酸及び天然ゴムのブレンド)
120±10℃に温度調節された混練機(ラボプラストミル)に天然ゴム(Malaysian Rubber Beureau Japan製ラテックス SMR CV60)15gを投入し、3分間混練して可塑化させた。天然ゴムが可塑化した後、ポリ乳酸の粉末(島津製作所製ラクティー9030タイプ粉末品、融点140℃、粒径200〜300μm)30gを混練機に投入し、天然ゴム及びポリ乳酸を5分間混練した。得られた混練物を一旦取り出して室温に冷却し、直径約3mmの大きさに粉砕した。粉砕した混練物を160±10℃に温度調節された2軸押出成型機に投入し、混練し押出成形して、ポリ乳酸及び天然ゴムを含むポリマーブレンド材料の成形体Aを得た。
【0034】
[実施例2]
120±10℃に温度調節された混練機(ラボプラストミル)に天然ゴム(Malaysian Rubber Beureau Japan製ラテックス SMR CV60)15gを投入し、3分間混練して可塑化させた。天然ゴムが可塑化した後、ポリ乳酸の粉末(島津製作所製ラクティー9030タイプ粉末品、融点140℃、粒径200〜300μm)35g、及びタルク(キシダ化学製タルク(020−76005)、300mesh(45μm以下))2.5gの混合物を混練機に投入し、5分間混練した。得られた混練物を一旦取り出して室温に冷却し、直径約3mmの大きさに粉砕した。粉砕した混練物を160±10℃に温度調節された2軸押出成型機に投入し、混練し押出成形して、ポリ乳酸、天然ゴム、及びタルクを含むポリマーブレンド材料の成形体Bを得た。
【0035】
[実施例3]
実施例2と同様にして、ポリ乳酸及び天然ゴムのポリマーブレンド材料の成形体Cを得た。但し、実施例2において用いたタルク2.5gに代えて、タルク5gを用いた。
【0036】
[比較例]
170±10℃に温度調節された混練機(ラボプラストミル)に天然ゴム(Malaysian Rubber Beureau Japan製ラテックス SMR CV60)15gを投入し、3分間混練して可塑化させた。天然ゴムが可塑化した後、ポリ乳酸のペレット(島津製作所製ラクティー9030、融点140℃、粒子径約2mm)35gを混練機に投入し、天然ゴム及びポリ乳酸を5分間混練した。得られた混練物を一旦取り出して室温に冷却したが、天然ゴム及びポリ乳酸がマクロに相分離していた。
【0037】
(サンプルの観察)
上記比較例で得られた天然ゴム及びポリ乳酸のブレンド物の写真を図1に示す。また、上記実施例1及び2で得られた、ポリマーブレンド材料の成形体A及びBを、ウルトラミクロトームを用いて薄く切断して薄片を作成し、この薄片の断面を光学顕微鏡で観察した。成形物A及びBの薄片の断面の光学顕微鏡写真を図2及び図3に示す。
【0038】
比較例で製造したブレンド物は、天然ゴム及びポリ乳酸がマクロに相分離しているのに対し、成形体A及びBはポリ乳酸からなる連続相中に天然ゴムからなる分散相を有し、分散相の平均直径が50μm以下であった。
【0039】
[曲げ弾性率及びアイゾット衝撃強度の測定]
ポリ乳酸(島津製作所製ラクティー9030)を溶融し、冷間プレスにより成形体を作成し、機械加工により所定の形状にしたサンプルを比較のためのサンプルとして用いた。
【0040】
JIS K−6911に記載の方法に準拠して、上記比較サンプル、並びに実施例1〜3で製造した成形体A〜Cの曲げ弾性率及びアイゾット衝撃強度(ノッチあり)を測定した。得られた結果を表1に示す。
【0041】
【表1】
表1より、本発明のポリマーブレンド材料は、ポリ乳酸と比較して衝撃強度が優れていることがわかる。
【0042】
【発明の効果】
本発明の製造法によれば、ポリ乳酸からなる連続相中に天然ゴム等からなる分散相が均一に微分散されたポリマーブレンド材料を再現性良く製造することができる。このポリマーブレンド材料は、ポリ乳酸より優れた衝撃強度を有する。さらに、無機充填材を添加した本発明のポリマーブレンド材料は、衝撃強度がいっそう向上する。本発明のポリマーブレンド材料は、自動車等の車両内装材等として用いるのに好適である。また、ポリ乳酸が有する生分解性のため、生分解性を有しない合成ゴム等とポリ乳酸をブレンドした場合でも、自然環境中で崩壊する材料を製造できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】可塑化した天然ゴム及びポリ乳酸のペレットを、ポリ乳酸の融点以上でブレンドして得られたブレンド物の写真。
【図2】可塑化した天然ゴム及びポリ乳酸の粉末を用い、本発明の製造法によって製造されたポリマーブレンド材料(実施例1の成形体A)の断面の顕微鏡写真。
【図3】可塑化した天然ゴム及びポリ乳酸の粉末を用い、さらにタルクを添加して、本発明の製造法によって製造されたポリマーブレンド材料(実施例2の成形体B)の断面の顕微鏡写真。
Claims (4)
- 天然ゴムの材料、並びにポリ乳酸を含むポリマーブレンド材料の製造法であって、以下のステップ:
前記天然ゴムの材料を加熱することにより前記材料を可塑化し;
可塑化された前記材料に前記ポリ乳酸の粉末を添加して、前記ポリ乳酸の融点未満の温度で混練して混合物とし;
前記混合物を、前記ポリ乳酸の融点以上の温度でさらに混練する、
を含むことを特徴とするポリマーブレンド材料の製造法。 - 前記ポリ乳酸の粉末の平均粒子径が400μm以下である、請求項1記載のポリマーブレンド材料の製造法。
- 前記ポリ乳酸の融点未満の温度での混練時、及び/又は前記ポリ乳酸の融点以上の温度での混練時に、混練されている混合物に充填剤を添加する、請求項1記載のポリマーブレンド材料の製造法。
- 天然ゴムの材料からなる分散相が、ポリ乳酸の連続相中に分散されており、前記分散相の平均直径が100μm以下であることを特徴とするポリマーブレンド材料。
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