JP4153341B2 - 光ファイバ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、多数の空孔が配列されたファイバ中心軸方向に延びる多孔部を備えた光ファイバに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、光ファイバとして、例えば特許文献1に開示されているように、ファイバ中心軸の周囲に多数の空孔が形成されたものがよく知られている。この文献に記載された光ファイバでは、ファイバの中心部で屈折率が最も大きくなるグレーデッドインデックス型(GI型)のプロファイル構造となるように、上記空孔を外周側ほど間隔が狭くなるように配列している。この光ファイバは、高帯域通信用(波長帯890〜1600nm)のマルチモードファイバとして構成されたものであり、コア径が100μmと示されていることから、標準の通信用ファイバを意図した構成となっている。標準の通信用ファイバは、一般にコア径が50〜100μm、ファイバ径が125μmとされている。そして、コアの中心部での屈折率が約1.4575であり、クラッドの屈折率が約1.43であると読み取れることから、この光ファイバの開口数(NA)は0.28程度に設定されていると推定される。
【0003】
【特許文献1】
欧州特許出願公開第1199581号明細書(第9a,9b図)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記従来のものは信号の伝送用として構成された光ファイバであるために、この種の光ファイバによってレーザー光等のハイパワー光を伝送することは想定されていない。
【0005】
そこで、本発明は、斯かる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、多数の空孔が配列されたファイバ中心軸方向に延びる多孔部を備えた光ファイバによってハイパワー用の光ファイバを実現することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本発明は、多数の空孔が形成された光伝搬領域を構成する多孔部の実効屈折率を山形の分布構造とし、この多孔部の周囲にクラッド部を形成するようにしたものである。
【0007】
具体的に本発明に係る光ファイバは、ファイバ横断面内で互いに所定の間隔を有してファイバ中心軸と同心に円環状に配列された多数の空孔が形成されてなるファイバ中心軸方向に延びる多孔部を備えた光ファイバであって、上記多孔部の周囲にはクラッド部が形成されていて、上記多孔部は光が伝搬する光伝搬領域として形成され、上記多孔部の実効屈折率は、ファイバ横断面内における中央部が高く半径方向外側に向かって低くなる山形の分布構造とされ、開口数は0.22以下とされ、上記多孔部は、内周側に配置される空孔ほど小さくなって、外周側ほど単位体積当たりの空隙率が大きくなっており、上記クラッド部は、ファイバ径方向に略一定の実効屈折率となるように多数の空孔が形成されてなり、上記クラッド部の空孔は、上記多孔部の最外周部位における空孔よりも小さく形成されていることを特徴とする。
【0008】
上記の構成によれば、多孔部の実効屈折率が、ファイバ横断面における中央部が高く半径方向外側ほど低くなる山形の分布構造とされているため、例えば、レーザー光を伝送する場合には、レーザー発信器から入射したときのビームパターンを保持しながらレーザー光を伝搬させることができるので、出射時の散乱が抑制されて出射光のパワー損失を抑制できる。これにより、特にハイパワーのレーザー光の伝送用に好適なものとすることができる。
【0009】
また、上記山形の分布構造を空孔の配列によって形成するようにしたので、多孔部にドーパントをドープする必要がなくなる。このため多孔部を構成する材料の純度を高めることができるので、材料の融点が下がってしまうのを防止することができる。これにより、ハイパワーのレーザー光を伝送する場合にも多孔部を構成する材料の溶融が抑制され、この点からも、ハイパワーの光の伝送に適したものとすることができる。
【0010】
そして、開口数を0.22以下に設定したので、光ファイバから出射される光の拡散を確実に抑制でき、出射側でのレンズ系として小型のものを用いても光を集光させることが容易となる。したがって、出射光のエネルギー密度を増大させることができ、レーザー光を伝送するのに好適なものとすることができる。
【0011】
また、ドーパントが不要となるために、光ファイバの製造工程において、ドーパントのドープ量を半径方向に順次変化させる必要がなくなり、製造工程を簡素化できるとともに、コスト削減にも寄与できる。
【0012】
また、多孔部の単位体積当たりの空隙率が外周側ほど大きくなっているので、多孔部を形成する材料の屈折率と空気の屈折率とから導出される多孔部の実効屈折率は外周側ほど低くなる。したがって、多孔部の実効屈折率の分布構造をファイバ横断面における中央部が高く半径方向外側ほど低くなる山形分布に確実にすることができる。
【0013】
また、多孔部の空孔が、内周側に配置されるものほど小さくなる構成としているので、エネルギー密度の高い光が伝搬する中央部近傍に配置される空孔ほど小さく形成されている。このため、高エネルギー密度の光が伝搬する領域に配置される空孔による光の散乱を抑制することができ、光の伝送損失を低減することができる。
【0014】
また、クラッド部に、ファイバ径方向に略一定の実効屈折率を有するように空孔を配置するとともに、このクラッド部の空孔を多孔部の最外周部位における空孔よりも小さく形成するようにしたので、光ファイバの外周近傍に配置される空孔が小さく形成されることとなる。このため、クラッド部に多数の空孔が設けられる場合においても、空孔を小さくすることでこの空孔が存在することによる光ファイバの強度低下を抑制することができる。したがって、光ファイバとして必要な強度を容易に確保することができるとともに、取扱い容易な光ファイバを得ることができる。
【0015】
また、本発明に係る光ファイバは、ファイバ横断面内で互いに所定の間隔を有してファイバ中心軸と同心に円環状に配列された多数の空孔が形成されてなるファイバ中心軸方向に延びる多孔部を備えた光ファイバであって、上記多孔部の外側にはクラッド部が形成されていて、上記多孔部は光が伝搬する光伝搬領域として形成され、上記多孔部の実効屈折率は、ファイバ横断面内における中央部が高く半径方向外側に向かって低くなる山形の分布構造とされ、上記多孔部の直径は、100μmよりも大きく、上記多孔部は、内周側に配置される空孔ほど小さくなって、外周側ほど単位体積当たりの空隙率が大きくなっており、上記クラッド部は、ファイバ径方向に略一定の実効屈折率となるように多数の空孔が形成されてなり、上記クラッド部の空孔は、上記多孔部の最外周部位における空孔よりも小さく形成されていることを特徴とする。
【0016】
上記の構成によれば、多孔部の実効屈折率が、ファイバ横断面における中央部が高く半径方向外側ほど低くなる山形の分布構造とされているため、例えば、レーザー光を伝送する場合には、レーザー発信器から入射したときのビームパターンを保持しながらレーザー光を伝搬させることができるので、出射時の散乱が抑制されて出射光のパワー損失を抑制できる。
【0017】
また、上記山形の分布構造を空孔の配列によって形成するようにしたので、多孔部にドーパントをドープする必要がなくなる。このため多孔部を構成する材料の純度を高めることができるので、材料の融点が下がってしまうのを防止することができる。そして、多孔部の外径を100μmよりも大きくすることにより、多孔部を伝搬する光のエネルギー密度が低減され、この結果、ハイパワーのレーザー光を伝送する場合にも多孔部を構成する材料が溶融するのを抑止することができる。この点からも、ハイパワーのレーザー光を伝送するのに好適なものとすることができる。
【0018】
また、ドーパントが不要となるために、光ファイバの製造工程において、ドーパントのドープ量を半径方向に順次変化させる必要がなくなり、製造工程を簡素化できるとともに、コスト削減にも寄与できる。
【0019】
また、多孔部の単位体積当たりの空隙率が外周側ほど大きくなっているので、多孔部を形成する材料の屈折率と空気の屈折率とから導出される多孔部の実効屈折率は外周側ほど低くなる。したがって、多孔部の実効屈折率の分布構造をファイバ横断面における中央部が高く半径方向外側ほど低くなる山形分布に確実にすることができる。
【0020】
また、多孔部の空孔が、内周側に配置されるものほど小さくなる構成としているので、エネルギー密度の高い光が伝搬する中央部近傍に配置される空孔ほど小さく形成されている。このため、高エネルギー密度の光が伝搬する領域に配置される空孔による光の散乱を抑制することができ、光の伝送損失を低減することができる。
【0021】
また、クラッド部に、ファイバ径方向に略一定の実効屈折率を有するように空孔を配置するとともに、このクラッド部の空孔を多孔部の最外周部位における空孔よりも小さく形成するようにしたので、光ファイバの外周近傍に配置される空孔が小さく形成されることとなる。このため、クラッド部に多数の空孔が設けられる場合においても、空孔を小さくすることでこの空孔が存在することによる光ファイバの強度低下を抑制することができる。したがって、光ファイバとして必要な強度を容易に確保することができるとともに、取扱い容易な光ファイバを得ることができる。
【0022】
上記多孔部は、同心円周上に配列される空孔数が外周側ほど多くなっていてもよい。
【0023】
上記の構成によれば、多孔部は、同心円周上に配置される空孔の数が外周側ほど多くなる構成としているので、ファイバ半径方向に空孔の大きさを変えなくてもファイバ半径方向に空隙率を変化させることができる。
【0024】
上記クラッド部は、ファイバ半径方向に略一定の実効屈折率になるように且つ上記多孔部の最外周部位における単位体積当たりの空隙率と同等の空隙率になるように上記多数の空孔が形成されていてもよい。
【0025】
上記の構成によれば、ファイバ半径方向の実効屈折率が略一定となるように多数の空孔がクラッド部に形成され、この空孔は多孔部の最外周部位における単位体積当たりの空隙率と同等の空隙率になるように配列されている。したがって、クラッド部の実効屈折率を多孔部のうちで最も低い実効屈折率に確実に合わすことができる。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0027】
図1に示すように、本発明の実施形態に係る光ファイバ10は、ハイパワー光の伝送用として用いられるものであり、多数の空孔12aが形成された多孔部12と、この多孔部12の周囲に形成された円筒状のクラッド部14と、このクラッド部14の外側に形成された被覆部18とを備え、この光ファイバ10は、その全体が純粋な石英からなる。この光ファイバ10の外径は例えば375μmとされている。
【0028】
上記多孔部12は、ファイバ中心軸方向に延びるように形成されており、上記空孔12a,12a,…は、いずれもほぼ同じ直径を有する円形断面状に形成され、これら空孔12a,12a,…はファイバ横断面内において互いに所定の間隔を有して配列されており、この多孔部12はファイバ中心軸と同心に円環状に形成されている。言い換えると、多孔部12は、ファイバ中心軸上に位置し、上記空孔12a,12a,…が形成されていない空孔非形成部12bと、この空孔非形成部12bの周囲において多数の空孔12a,12a,…が配設される空孔形成部12cとからなる。
【0029】
上記空孔形成部12cでは、ファイバ中心軸を中心とした同心円周上に配置される空孔12a,12a,…の数は、内周側が最も少なく、外周側に向かって増大している。そして、この同心円周上における空隙率は、中央部において最も低く、外周側に向かって次第に増大している。この空隙率とは、空孔形成部12cの単位体積当たりに空孔12aの体積が占める割合を差している。
【0030】
上記多孔部12の直径は、例えば300μmとされている。なお、多孔部12の直径は100μmよりも大きいのが望ましい。また、多孔部12の外径は2000μm以下であることが好ましい。
【0031】
上記クラッド部14には、多数の空孔14a,14a,…がファイバ横断面内において互いに所定の間隔を有するように配列されている。このクラッド部14の各空孔14aは、何れも上記多孔部12の空孔12aとほぼ同じ大きさの円形断面状に形成されており、同一円周上に配置される空孔14a,14a,…は外周側ほど多くなっている。そして、クラッド部14の空隙率は、上記空孔形成部12cの最外周側の部位における空隙率と同等とされ、且つこの空隙率はファイバ半径方向に略一定とされている。
【0032】
クラッド部14の直径は、多孔部12の直径の110%以上の大きさに設定されている。例えばクラッド部14の直径は、345μmとされており、本実施形態では、クラッド部14の直径は、上記多孔部12の直径(300μm)に対して115%の値となっている。
【0033】
上記多孔部12及びクラッド部14の各空孔12a,14aは、ファイバ中心軸方向に沿ってその全体に亘って連続して延びている。なお、これらの空孔12a,14aは、ファイバ中心軸方向にその全体に亘って連続して形成される構成に限られるものではなく、その途中に途切れる部分があってもよく、あるいは、空孔12a,14aは気泡状に形成されるものであってもよい。
【0034】
上記被覆部18は、多孔部12を被覆保護する機能を果たす。
【0035】
図2に示すように、多孔部12の実効屈折率は、グレーデッドインデックス型(GI型)のプロファイルに構成されている。すなわち、多孔部12の実効屈折率の分布構造は、ファイバ横断面における中央部の実効屈折率が最も高く、半径方向外側に向かって次第に低くなる山形の分布とされている。これは、上述の如く、多孔部12の空隙率が上記中央部において最も低く、且つ外周側に向かうに従って次第に増大していることによるものである。
【0036】
上記クラッド部14の実効屈折率は、多孔部12の最外周側の部位における実効屈折率と同等の屈折率とされている。これは、上述の如く、クラッド部14の空隙率が、多孔部12の最外周側の部位における空隙率とほぼ同じ空隙率とされていることによるものである。そして、クラッド部14の空孔14a,14a,…は、実効屈折率がファイバ半径方向に略一定となるように配列されている。
【0037】
本実施形態に係る光ファイバ10は、その開口数(NA)が0.22以下に設定されている。なお、この開口数は、多孔部12の中央部における実効屈折率と、多孔部12の最外周側の部位における実効屈折率とから導出される開口数を差している。
【0038】
本実施形態に係る光ファイバ10は、パワーが1キロワット以上の連続光からなるレーザーを伝送するために用いられるか、又はエネルギーが1平方ミリメートル当たり1×106ジュール以上のパルス光からなるレーザーを伝送するために用いられるものである。なお、本実施形態に係る光ファイバ10は、波長が890nm未満の光を伝送するために用いてもよい。この場合、例えば伝送される光は、800nm帯、533nm、335nm、266nm等の波長のものが該当する。
【0039】
本実施形態1に係る光ファイバ10によれば、多孔部12の実効屈折率が、ファイバ横断面における中央部が高く半径方向外側に向かって低くなる山形の分布構造に形成されているために、上記中央部での光強度を強めることができ、ハイパワーの光伝送に適したものとなっている。特に、本実施形態に係る光ファイバ10はレーザー光を伝送するために用いられるものであり、山形分布の屈折率プロファイルにすることにより、図外のレーザー発信器から入射したときのビームパターンを保持しながらレーザー光を伝搬させることができる。このため、出射時の散乱が抑制されて出射光のパワー損失を抑制でき、特にハイパワーのレーザー光の伝送用に好適なものとなっている。
【0040】
また、空孔12a,12a,…の配列によって山形の屈折率分布構造を形成するようにしたので、多孔部12にドーパントをドープする必要がなくなる。このため多孔部12を構成する材料の純度を高めることができるので、材料の融点が下がってしまうのを防止することができる。これにより、エネルギー密度の高いハイパワーの光を伝送する場合にも多孔部12を構成する材料の溶融が抑制され、この点からも、ハイパワーの光の伝送に適したものとすることができる。
【0041】
また、本実施形態1では、開口数を0.22以下に設定したので、光ファイバ10から出射される光の拡散を確実に抑制でき、出射側でのレンズ系として小型のものを用いても光を集光させることが容易となる。この結果、出射光のエネルギー密度を増大させることができ、例えば加工対象物の溶け込み深さを深くできる。したがって、開口数を0.22以下とすることによってもレーザー光を伝送するのに好適なものとなっている。
【0042】
また、本実施形態1では、多孔部12の外径を100μmよりも大きくしているので、ハイパワーのレーザー光の伝送が可能となっている。すなわち、外径を100μmよりも大きくすることで多孔部12を伝搬する光のエネルギー密度を低減することができ、ハイパワーのレーザー光を伝送する場合にも、多孔部12を構成する材料が溶融するのを抑止することができる。この点からも、ハイパワーのレーザー光を伝送するのに好適なものとなっている。
【0043】
また、本実施形態1では、クラッド部14の直径を多孔部12の直径の110%以上の大きさとしているので、ハイパワーのレーザー光を伝送する場合に、このレーザー光を確実に多孔部12に閉じ込めることができ、伝送損失を低減することができる。
【0044】
また、本実施形態1では、クラッド部14の外側に被覆部18を設けるようにしたので、クラッド部14の表面が保護され、ファイバ強度を向上することができる。特に、本実施形態では、クラッド部14に多数の空孔14a,14a,…が形成されているが、この場合であってもクラッド部14の強度低下を抑制できるので、被覆部18を形成することは非常に有効となる。
【0045】
また、多孔部12の単位体積当たりの空隙率を外周側ほど大きくしているので、多孔部12を形成する材料(石英)の屈折率と空孔12a,12a,…内の空気の屈折率とから導出される多孔部12の実効屈折率を外周側ほど低くすることができ、これにより、多孔部12の実効屈折率をファイバ横断面における中央部が高く半径方向外側ほど低くなる山形の分布構造に容易にすることができる。また、クラッド部14では、多孔部12の最外周部位における単位体積当たりの空隙率と同等の空隙率を有するように空孔14a,14a,…を配列しているため、クラッド部14の実効屈折率を、多孔部12における最外周部位の実効屈折率、すなわち多孔部12における最も低い実効屈折率に確実に合わせることができる。
【0046】
また、光ファイバ10の製造時においては、同じサイズの空孔12a,14aを形成すべく、図示省略するが同じサイズ(同一内径及び厚み)のキャピラリを使用することができるので、製造管理がし易くなる。また、ドーパントが不要となるために、光ファイバ10の製造工程において、ドーパントのドープ量を半径方向に順次変化させる必要がなくなり、製造工程を簡素化することができるとともに、コスト削減にも寄与できる。
【0047】
(実施形態2)
図3は本発明の実施形態2を示す。尚、ここでは、実施形態1と同じ構成要素には同じ符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0048】
この実施形態2では、多孔部12の空孔12a,12a,…が外周側ほど大きくなる形態で構成されている。すなわち、実施形態1では、空孔12a,12a,…の大きさをそのままとして同心円周上における空孔12a,12a,…の数を外周側ほど増大させることにより空隙率を増大させるようにしたが、本実施形態2では、外周側ほど各空孔12aが大きくなる構成とすることにより、同心円周上における空隙率が外周側ほど増大する構成とされている。言い換えると、本実施形態2では、内周側ほど各空孔12aの大きさが小さくなっている。
【0049】
本実施形態2においても、上記実施形態1と同様に多孔部12の屈折率は、ファイバ横断面における中央部が高く半径方向外側ほど低くなる山形の分布構造となっている。
【0050】
クラッド部14には、多孔部12における最外周側の空孔12a,12a,…とほぼ同じ大きさ空孔14a,14a,…が多数形成されており、このクラッド部14の最内周側の部位には、多孔部12における最外周側の部位における空孔数とほぼ同数の空孔14a,14a,…が配置されている。そして、クラッド部14では、同心円周上に配置される空孔14a,14a,…が外周側ほど増大するように設けられ、空隙率がファイバ半径方向に略一定となっている。このことでクラッド部14の実効屈折率は、ファイバ半径方向に略一定となっている。
【0051】
したがって、本実施形態2では、多孔部12の空孔12a,12a,…が、内周側に配置されるものほど小さくなる構成としているので、エネルギー密度の高い光が伝搬する中央部近傍に配置される空孔12a,12a,…が小さく形成されている。このため、高エネルギー密度の光が伝搬する領域に配置された空孔12a,12a,…による光の散乱を抑制することができ、光の伝送損失を低減することができる。
【0052】
その他の構成、作用及び効果は上記実施形態1と同様である。
【0053】
(実施形態3)
図4は本発明の実施形態3を示す。尚、ここでは、実施形態2と同じ構成要素には同じ符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0054】
この実施形態3では、多孔部12の構成を実施形態2と同様とする一方、クラッド部14の構成を実施形態2と異なるものとしている。具体的に、クラッド部14は、多数の空孔14a,14a,…がファイバ横断面内において互いに所定の間隔を有してファイバ中心軸と同心に円環状に配列されていて、このクラッド部14の空孔14a,14a,…は、何れもほぼ同じ大きさの円形断面状に形成されている。そして、これらの空孔14a,14a,…の大きさは、上記多孔部12の最外周部位における空孔12a,12a,…よりは小さく形成されている。一方、クラッド部14の最内周部位における空孔数は、クラッド部14の空隙率が上記多孔部12の最外周側の部位における空隙率と同等になるように、多孔部12の最外周部位における空孔数よりも多くなっている。また、同心円周上に配置される空孔数は、空隙率がファイバ半径方向に略一定となるように外周側ほど多くなっている。
【0055】
したがって、本実施形態3では、クラッド部14の空孔14a,14a,…は、ファイバ半径方向に略一定の実効屈折率となるように配列されるとともに、このクラッド部14の空孔14a,14a,…を多孔部12の最外周部位における空孔12a,12a,…よりも小さく形成したので、光ファイバ10の外周部近傍に配置される空孔14a,14a,…が小さく形成されることとなる。このため、クラッド部14に多数の空孔14a,14a,…を設けたとしても、この空孔14a,14a,…の存在による光ファイバ10の強度低下を抑制することができる。したがって、光ファイバ10として必要な強度を容易に確保することができるとともに、取扱い容易な光ファイバ10を得ることができる。
【0056】
その他の構成、作用及び効果は上記実施形態2と同様である。
【0057】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、次のような効果が得られる。すなわち、多孔部の実効屈折率を山形分布としたので、ファイバ横断面における中央部での光強度を強めることができ、ハイパワーの光伝送に適したものとすることができる。また、空孔の配列によって山形の分布構造を形成するようにしたので、ドーパントが不要となって多孔部を構成する材料の純度を高めることができ、融点が下がるのを防止できる。これにより、エネルギー密度の高いハイパワーの光を伝送する場合にも多孔部の構成材料の溶融が抑制され、この点からも、ハイパワーの光の伝送に好適なものとすることができる。
【0058】
また、ドーパントが不要となるために、光ファイバの製造工程において、ドーパントのドープ量を半径方向に順次変化させる必要がなくなり、製造工程を簡素化できるとともに、コスト削減にも寄与できる。
【0059】
さらに、屈折率分布を山形分布とすることでレーザー発信器から入射したときのビームパターンを保持しながらレーザー光を伝搬させることができるので、出射時の散乱を抑制して出射光のパワー損失を抑制できる。これにより、特にハイパワーのレーザー光の伝送用に好適なものとすることができる。
【0060】
また、開口数を0.22以下に設定したので、光ファイバから出射される光の拡散を確実に抑制でき、出射側でのレンズ系として小型のものを用いても光を集光させることが容易となる。したがって、出射光のエネルギー密度を増大させることができ、レーザー光を伝送するのに好適なものとすることができる。
【0061】
また、多孔部の外径を100μmよりも大きくしているので、多孔部を伝搬する光のエネルギー密度が低減されるために、ハイパワーのレーザー光を伝送する場合にも多孔部を構成する材料が溶融するのを抑止することができる。この点からも、ハイパワーのレーザー光を伝送するのに好適なものとすることができる。
【0062】
また、多孔部の単位体積当たりの空隙率が外周側ほど大きくなるように形成されているので、多孔部を形成する材料の屈折率と空気の屈折率とから導出される多孔部の実効屈折率は外周側ほど低くなる。したがって、多孔部の実効屈折率をファイバ横断面における中央部が高く半径方向外側ほど低くなる山形の分布構造に確実にすることができる。
【0063】
また、多孔部の空孔が、内周側に配置されるものほど小さくなる構成としているので、エネルギー密度の高い光が伝搬する中央部近傍に配置される空孔ほど小さく形成されている。このため、高エネルギー密度の光が伝搬する領域に配置される空孔による光の散乱を抑制することができ、光の伝送損失を低減することができる。
【0064】
また、クラッド部に、ファイバ半径方向に略一定の実効屈折率を有するように空孔を配置するとともに、このクラッド部の空孔を多孔部の最外周部位における空孔よりも小さく形成するようにしたので、クラッド部に多数の空孔を設けたとしても、この空孔による光ファイバの強度低下を抑制することができる。したがって、光ファイバとして必要な強度を容易に確保することができるとともに、取扱い容易な光ファイバを得ることができる。
【0065】
また、多孔部は、同心円周上に配置される空孔数が外周側ほど多くなる構成としているので、ファイバ径方向に空孔の大きさを変えなくてもファイバ径方向に空隙率を変化させることができる。したがって、光ファイバの製造時において同じサイズのキャピラリを使用することができるので、製造管理がし易くなる。
【0066】
また、クラッド部において、実効屈折率がファイバ半径方向に略一定となるように且つ多孔部の最外周部位における単位体積当たりの空隙率と同等の空隙率になるように空孔を配列しているので、クラッド部の実効屈折率を多孔部のうちで最も低い実効屈折率に確実に合わすことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施形態1に係る光ファイバを示す斜視図である。
【図2】 (a)は、本発明の実施形態1に係る光ファイバの端面図であり、(b)は、(a)のII−II線における実効屈折率を示す特性図である。
【図3】 (a)は、本発明の実施形態2に係る光ファイバの端面図であり、(b)は、(a)のIII−III線における実効屈折率を示す特性図である。
【図4】 (a)は、本発明の実施形態3に係る光ファイバの端面図であり、(b)は、(a)のIV−IV線における実効屈折率を示す特性図である。
【符号の説明】
12 多孔部
12a 空孔
14 クラッド部
14a 空孔
18 被覆部

Claims (4)

  1. ファイバ横断面内で互いに所定の間隔を有してファイバ中心軸と同心に円環状に配列された多数の空孔が形成されてなるファイバ中心軸方向に延びる多孔部を備えた光ファイバであって、
    上記多孔部の周囲にはクラッド部が形成されていて、上記多孔部は光が伝搬する光伝搬領域として形成され、
    上記多孔部の実効屈折率は、ファイバ横断面内における中央部が高く半径方向外側に向かって低くなる山形の分布構造とされ、
    開口数は0.22以下とされ、
    上記多孔部は、内周側に配置される空孔ほど小さくなって、外周側ほど単位体積当たりの空隙率が大きくなっており、
    上記クラッド部は、ファイバ径方向に略一定の実効屈折率となるように多数の空孔が形成されてなり、
    上記クラッド部の空孔は、上記多孔部の最外周部位における空孔よりも小さく形成されていることを特徴とする光ファイバ。
  2. ファイバ横断面内で互いに所定の間隔を有してファイバ中心軸と同心に円環状に配列された多数の空孔が形成されてなるファイバ中心軸方向に延びる多孔部を備えた光ファイバであって、
    上記多孔部の外側にはクラッド部が形成されていて、上記多孔部は光が伝搬する光伝搬領域として形成され、
    上記多孔部の実効屈折率は、ファイバ横断面内における中央部が高く半径方向外側に向かって低くなる山形の分布構造とされ、
    上記多孔部の直径は、100μmよりも大きく、
    上記多孔部は、内周側に配置される空孔ほど小さくなって、外周側ほど単位体積当たりの空隙率が大きくなっており、
    上記クラッド部は、ファイバ径方向に略一定の実効屈折率となるように多数の空孔が形成されてなり、
    上記クラッド部の空孔は、上記多孔部の最外周部位における空孔よりも小さく形成されていることを特徴とする光ファイバ。
  3. 請求項1又は2に記載された光ファイバにおいて、
    上記多孔部は、同心円周上に配列される空孔数が外周側ほど多くなっていることを特徴とする光ファイバ。
  4. 請求項に記載された光ファイバにおいて、
    上記クラッド部は、ファイバ半径方向に略一定の実効屈折率になるように且つ上記多孔部の最外周部位における単位体積当たりの空隙率と同等の空隙率になるように上記多数の空孔が形成されてなることを特徴とする光ファイバ。
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