JP4152862B2 - 電力系統解析装置 - Google Patents
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Description
また、ディジタルシミュレータで電力系統をシミュレーションする場合には、ディジタルシミュレータ内の数値演算装置の演算能力によってシミュレーション可能な系統規模が制約されるため、系統をいくつかの部分に分割し、複数の数値演算装置上で並列に演算し、全体として1つの系統をシミュレーションする方法が用いられている。
特許文献1には、電圧や電流の大きさの異なる2つの電気回路(交流回路)を接続するに際し、第1の電気回路に電圧増幅器を接続し、第2の電気回路に電流増幅器を接続すると共に、第1の電気回路に電流検出器を接続して当該電流検出器の出力を第2の電気回路の電流増幅器に与え、第2の電気回路に電圧検出器を接続して当該検出器の出力を第1の電気回路側の電圧増幅器に与えるように構成することにより、電圧増幅器と電流増幅器を介してあたかも両者(第1および第2の電気回路)が接続されているかのように動作する「電力変換装置」が示されている。この手法は一般に、電圧電流交換方式と呼ばれている。
A <B ・・・・・・・・ (1)
ここで、
A:接続点から見た電力系統1側のインピーダンス
B:接続点から見た電力系統2側のインピーダンス
である。
なお、接続点とは、第一の電力系統解析装置内と第二の電力系統解析装置4との接続点のことである。
この安定条件を満たす電力系統に対しては、従来方式を用いて接続することが可能であるが、一般的な電力系統の場合、インダクタンス成分とキャパシタンス成分の両者が含まれるため、それらの共振点あるいは反共振点が存在し、全ての周波数成分に対して、上記安定条件を満たすことはまれである。
図5は、一般的な電力系統をある部分で2つの電力系統に分割し、分割点から見たそれぞれの電力系統のインピーダンスをプロットしたグラフを示している。図5では、ある周波数領域に対しては上記安定条件を満たすことが可能であるが、ある周波数では安定条件を満たしていない。このような系統の場合、安定条件を満たさなくなる周波数で電圧、電流が発散し、安定にシミュレーションを行うことが不可能となる。
この発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、一般的な電力系統に対して安定な接続シミュレーションを可能とすることができる電力系統解析装置を提供することを目的とする。
上記第二の電力系統解析装置の上記電圧源は、上記第一の電力系統解析装置の上記第一の成分抽出フィルタの出力に応じて電圧を出力し、上記第一の電力系統解析装置の上記電流源は、上記第二の電力系統解析装置の上記電流検出器の出力に応じて電流を出力するようにしたものである。
上記第一の電力系統解析装置の上記電流源は、上記第二の電力系統解析装置の上記第二の成分抽出フィルタの出力に応じて電流を出力し、上記第二の電力系統解析装置の上記電圧源は、上記第一の電力系統解析装置の上記電圧検出器の出力に応じて電圧を出力するようにしたものである。
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1による電力系統解析装置の構成を示す図である。
図1において、1は分割された第一の電力系統、2は分割された第二の電力系統であり、第一の電力系統1および第二の電力系統2は、それぞれ第一の電力系統解析装置3および第二の電力系統解析装置4で模擬される。11は第一の電力系統1の電圧を検出する電圧検出器、12は第二の電力系統の電流を検出する電流検出器、21は第一の電力系統解析装置3内に設けられた電流源、22は第二の電力系統解析装置4内に設けられた電圧源である。
また、31は第一の電力系統1の電圧を検出する電圧検出器11に接続され、この電圧検出器11で検出された第一の電力系統1の出力電圧から所定帯域の周波数成分を抽出する第一の成分抽出フィルタである。
即ち、一般的な電力系統の場合、前述したように全ての周波数成分に対して従来方式の安定条件を満たすことは難しく、ある周波数においては安定条件を満たさなくなる場合が多い。そこで、第一の成分抽出フィルタ31によって安定条件を満たす周波数成分のみを抽出して出力する。
そして、第一の成分抽出フィルタ31の出力は、第二の電力系統解析装置4に設けられた電圧源22の出力指令値VS2として与えられ、電圧源22からはその指令値に応じた電圧が出力される。
以上の動作により、分割された第一の電力系統1と第二の電力系統2は、電流源21と電圧源22を介してあたかも両者が接続されているかのように動作する。
ところで、図5で示したように、一般的な電力系統の場合、全ての周波数成分に対して従来方式の安定条件を満たすことは難しく、ある周波数においては安定条件を満たさなくなる場合が多い。
そこで、本実施の形態では、第一の成分抽出フィルタ31によって、電圧検出器11が検出する第一の電力系統1の電圧から不安定となる成分を取り除き、安定条件を満たす周波数成分のみ取り出し、その成分のみを第二の電力系統2の電圧源22に出力指令値として与えることにより、第一の電力系統1と第二の電力系統2の安定な接続を実現し、全体として1つの電力系統を安定に模擬することが可能となる。
なお、このような成分抽出フィルタとして、例えば、高周波領域で安定条件を満たさなくなる場合にはローパスフィルタを適用することができる。
その結果、第二の電力系統解析装置4の電圧源22は、不安定となる周波数成分が取り除かれた第一の成分抽出フィルタ31の出力に応じて電圧を出力するので、一般的な電力系統に対しても、分割された電力系統に対して安定した接続を実現することが可能となる。
図2は、この発明の実施の形態2による電力系統解析装置の構成を示す図である。
図2において、32は第二の電力系統2の電流を検出する電流検出器12に接続され、この電流検出器12で検出された第二の電力系統2の出力電流から所定帯域の周波数成分を抽出する第二の成分抽出フィルタである。
本実施の形態による電力系統解析装置は、前述の実施の形態1による電力系統解析装置において第一の電力系統解析装置3に設けられていた第一の成分抽出フィルタ31を省略する代わりに、第二の電力系統解析装置4に第二の成分抽出フィルタ32を設けたことを特徴とする。
一方、第二の電力系統解析装置4に設けられた電流検出器12は、第二の電力系統2の電流を検出し、第二の成分抽出フィルタ32は電流検出器12で検出された第二の電力系統2の電流I2から所定帯域の周波数成分を抽出する。
そして、第二の成分抽出フィルタ32の出力は、第一の電力系統解析装置3に設けられた電流源21の出力指令値J1として与えられ、電流源21からはその指令値に応じた電流が出力される。
以上の動作により、分割された第一の電力系統1と第二の電力系統2は、電流源21と電圧源22を介してあたかも両者が接続されているかのように動作する。
その結果、第一の電力系統解析装置4の電流源21は、不安定となる周波数成分が取り除かれた第二の成分抽出フィルタ32の出力に応じて電流を出力するので、実施の形態1の場合と同様に、一般的な電力系統に対しても分割された電力系統に対して安定した接続を実現することが可能となる。
図3は、この発明の実施の形態2による電力系統解析装置の構成を示す図である。
図3において、31は第一の電力系統1の電圧を検出する電圧検出器11に接続され、この電圧検出器11で検出された第一の電力系統1の出力電圧から所定帯域の周波数成分を抽出する第一の成分抽出フィルタであり、32は第二の電力系統2の電流を検出する電流検出器12に接続され、この電流検出器12で検出された第二の電力系統2の出力電流から所定帯域の周波数成分を抽出する第二の成分抽出フィルタである。
前述したように、一般的な電力系統の場合、全ての周波数成分に対して従来方式の安定条件を満たすことは難しく、ある周波数においては安定条件を満たさなくなる場合が多い。
本実施の形態による電力系統解析装置は、第一の電力系統解析装置3に実施の形態1で説明した第一の成分抽出フィルタ31を設けると共に、第二の電力系統解析装置4に実施の形態2で説明した第二の成分抽出フィルタ32を設けたことを特徴とする。
これにより、実施の形態1あるいは実施の形態2の場合と同様に、第一の電力系統1と第二の電力系統2の安定な接続を実現し、全体として1つの電力系統を安定に模擬することが可能となる。更に、一方にのみ成分抽出フィルタを掛ける場合よりも更に安定性を向上させることが可能となる。
なお、第一の成分抽出フィルタ31および第二の成分抽出フィルタ32の動作については既に説明済みであるので省略する。
その結果、第二の電力系統解析装置4の電圧源22は、不安定となる周波数成分が取り除かれた第一の成分抽出フィルタ31の出力に応じて電圧を出力すると共に、第一の電力系統解析装置4の電流源21は、不安定となる周波数成分が取り除かれた第二の成分抽出フィルタ32の出力に応じて電流を出力するので、分割された電力系統に対して更に安定した接続を実現することが可能となる。
2 第二の電力系統
3 第一の電力系統解析装置
4 第二の電力系統解析装置
11 電圧検出器
12 電流検出器
21 電流源
22 電圧源
31 第一の成分抽出フィルタ
32 第二の成分抽出フィルタ
Claims (3)
- 第一の電力系統、上記第一の電力系統の出力電圧を検出する電圧検出器、上記電圧検出器で検出された上記第一の電力系統の出力電圧から所定帯域の周波数成分を抽出する第一の成分抽出フィルタ、上記第一の電力系統に接続された電流源で構成された第一の電力系統解析装置と、
第二の電力系統、上記第二の電力系統の出力電流を検出する電流検出器、上記第二の電力系統に接続された電圧源で構成された第二の電力系統解析装置を備え、
上記第二の電力系統解析装置の上記電圧源は、上記第一の電力系統解析装置の上記第一の成分抽出フィルタの出力に応じて電圧を出力し、
上記第一の電力系統解析装置の上記電流源は、上記第二の電力系統解析装置の上記電流検出器の出力に応じて電流を出力することを特徴とする電力系統解析装置。 - 第一の電力系統、上記第一の電力系統の出力電圧を検出する電圧検出器、上記第一の電力系統に接続された電流源で構成された第一の電力系統解析装置と、
第二の電力系統、上記第二の電力系統の出力電流を検出する電流検出器、上記電流検出器で検出された上記第二の電力系統の出力電流から所定帯域の周波数成分を抽出する第二の成分抽出フィルタ、上記第二の電力系統に接続された電圧源で構成された第二の電力系統解析装置を備え、
上記第一の電力系統解析装置の上記電流源は、上記第二の電力系統解析装置の上記第二の成分抽出フィルタの出力に応じて電流を出力し、
上記第二の電力系統解析装置の上記電圧源は、上記第一の電力系統解析装置の上記電圧検出器の出力に応じて電圧を出力することを特徴とする電力系統解析装置。 - 上記第二の電力系統解析装置は、上記電流検出器で検出された上記第二の電力系統の出力電流から所定帯域の周波数成分を抽出する第二の成分抽出フィルタを備え、
上記第一の電力系統解析装置の上記電流源は、上記第二の成分抽出フィルタの出力に応じて電流を出力することを特徴とする請求項1に記載の電力系統解析装置。
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