JP4152381B2 - 磁気共鳴イメージング装置 - Google Patents
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Description
パラレルイメージング法は、複数の受信コイルを用いるとともに、位相エンコードステップを等間隔に間引いてパルスシーケンスを実行することによってパルスシーケンスの操返し回数を低減し、それによって撮影時間を短縮する方法である。パラレルイメージング法パルスシーケンスを行って取得した計測信号を単純に画像再構成すると、再構成された画像上に折返しアーチファクトが発生する。
この折返しアーチファクトは、得ようとする画像の視野と、パラレルイメージングにおいて実際に信号が計測される視野との違いから生ずるもので、予め求められた各受信コイルの感度分布を用いて行列演算を行うことによって除去され得る。
また、撮影に先立って受信コイルの感度分布の計測と被検体の撮影とを行った後に、撮影スライス位置を変えて再度撮影する場合には、受信コイルの感度分布を撮影スライス位置に合せて再計測する必要があった。
本発明の第2の目的は、パラレルイメージング法によって被検体を撮影する際に、折返しアーチファクトを除去するために必要とされる受信コイルの感度分布を短時間で取得することができるMRI装置を提供することにある。
本発明の第3の目的は、パラレルイメージング法によって被検体を撮影する際に、折返しアーチファクトを除去するために必要とされる受信コイルの感度分布を簡単に取得することができるMRI装置を提供することにある。
以下、本発明のMRI装置およびMRイメージング方法を図面を参照して説明する。
先ず、本発明のMRI装置の第1の実施形態について図1乃至図7を参照して説明する。
本実施形態のMRI装置は、図2に示すように、被検体401を含む所定の大きさを有した空間(以下、撮影空間という。)に、所定の強度を有した均一な静磁場を発生する磁石402と、この撮影空間に傾斜磁場を発生する傾斜磁場コイル403と、この撮影空間に高周波磁場を発生し、また被検体401が発生するNMR信号を検出する送受信兼用のボディコイル404と、被検体401が発生するNMR信号を検出するRFプロープ405とを備えている。ここにおいて又は以下において、RFはRadio Frequency(ラジオ周波)の略称である。図2では、本発明が適用されるMRI装置として、静磁場が図において左右方向に発生している水平磁場方式MRI装置を示しているが、図において上下方向に静磁場を発生する垂直磁場方式MRI装置であっても本発明が適用できる。
ボディコイル404およびRFプローブ405により受信された信号は、信号検出部406で検出され、信号処理部407において信号処理された後に演算処理されて画像データに変換される。本発明で扱う画像データには、被検体の診断に供される検査画像データと、コイルの感度分布を求めるための感度画像データとが含まれるが、それらのうち被検体の診断に供される検査画像データは表示部408へ画像として表示される。
ただし、本実施形態のMRI装置は、上記のパルスシーケンスがパラレルイメージング用に変更されて実行される。すなわち、本実施形態では、パラレルイメージングを高速で行うために、2個の受信コイル、すなわちボディコイル404、受信プローブ405を用いてMR信号の前計測が行われる。MR信号の前計測においては、先ず、k空間における位相エンコードステップを撮影時と同等にしたまま、位相エンコードマトリックス数、つまり、位相エンコード数を通常撮影の数分の1に低減した前計測のパルスシーケンスの実行によって、被検体の撮影部位に含まれるn枚の感度画像データが取得される。このn枚の感度画像データのうち、少なくとも2枚は撮影スライス位置に対応したものとされるが、その枚数はn<mに設定される。また、n枚の感度画像データを取得するためには、図5に示すパルスシーケンスを、それぞれ感度画像データを取得するスライス位置へ適用しても良いし、またはマルチスライス型パルスシーケンスを適用してそれぞれの感度画像データを取得するスライス位置から信号を計測しても良い。
このようにして発生した画像208の折返しは、例えば、[非特許文献1][非特許文献2]に開示された信号処理法で除去することができる。
SENSE:Sensitivity Encoding for Fast MRI(Klass P. Pruessmann et. al), Magnetic Resonance in Medicine 42:952−962(1999)
同様に、N個のコイルを用いて、M倍速で撮影を行った場合の一般式は、Y'≡Y/M、1≦y'≦Y'として、式(7)で表せる。ここで、bは定数である。
本実施形態の信号処理部407は、図1に示すように、感度画像データ取得用の前計測パルスシーケンスを実行して取得されたボディコイル404のn枚の感度画像701と、マルチプル受信コイル301の受信コイル4051,4052の各n枚の感度画像702、703とをスライス補間処理1011,1012,1013して検査画像の各スライス位置に対応する感度画像が全て揃うように補間感度画像が生成される。次に、ボディコイル404のスライス補間処理1011により生成された感度画像を含む全感度画像と、マルチプル受信コイル301の受信コイル4051,4052のスライス補間処理1012,1013により生成された感度画像を含む全感度画像とを用いて感度分布算出処理7061,7062により各受信コイル4051、4052の感度分布データ707,708が算出される。算出された各受信コイル4051,4052の感度分布データ707,708は制御部411に設けられたメモリ(図示省略)へ記憶保持される。
そして、検査画像データ取得用の本計測パルスシーケンスが実行され、取得されたマルチプル受信コイル301の各受信コイル4051,4052の各m枚の検査画像704,705と、感度分布データ707,708とに基いて行列作成処理709にて行列式が作成され、その行列式の逆行列計算処理710が行われと、その結果として折返しのない診断用画像711が得られる。
これに対し、本計測パルスシーケンスを実行して取得される折返しアーチファクトを含んだ検査画像704,705は、それぞれマルチプル受信コイル301の受信コイル4051の検査画像7041〜704mであり、マルチプル受信コイル301の受信コイル4052の検査画像7051〜705mである。図7では、ch.1はマルチプル受信コイル301の受信コイル4051に対応し、ch.2はマルチプル受信コイル301の受信コイル4052に対応している。
つまり、前計測パルスシーケンスでは、スライス番号1、4、…、mのように2スライスおきに計測が行われ、スライス番号2、3、5、…、m-1についてはボディコイル404の感度画像データ701と各受信コイル4051、4052の感度画像データ702、703とが取得されない。このため、スライス番号2、3、5、…、m-1の検査画像7042、7043、7045、…、704m-1、及び7052、7053、7055、…、705m-1はそれらのスライス位置の感度分布情報がないと折返しアーチファクトの除去ができない。
しかし、パラレルイメージング法では、前計測パルスシーケンスの実行時間が総撮影時間の大きな割合を占める。特に、マルチスライスや三次元撮影では、撮影のスライス枚数が多いほど、パルスシーケンスの繰返し時間(TR)や、繰返し回数が増加するため、前計測パルスシーケンスの実行時間が検査効率の点に鑑み大きな問題となる。
本発明を適用してなるMRI装置の第2の実施形態について図8及び図9を参照して説明する。なお、本実施形態では、第1の実施形態と同一のものには同じ符号を付してあるので説明を省略し、第1の実施形態と相違する構成および特徴部などについて、以下説明する。
感度分布算出処理706により算出される感度分布データは、図9に示すように、マルチプル受信コイル301の受信コイル4051の感度分布データ7071、7074、…、707m、及び受信コイル4052の感度分布データ7081、7084、…、708mである。
つまり、図9の503は、図8における感度分布算出処理7061,7062により算出される感度分布データとスライス補間処理8011,8012で得られる感度分布データとで構成される検査画像の折り返しアーチファクトを除去するのに必要なデータセットを示している。また、503の白抜きの感度画像は感度分布算出処理7061、7062により算出された感度分布データを示し、黒塗りの感度分布データはスライス補間処理801により生成された感度分布データを示している。
次に、本発明を適用してなるMRI装置の第3の実施形態について図10および図11を参照して説明する。なお、本実施形態においても、第1の実施形態と同一のものには同じ符号を付して、その説明を省略することとし、第1の実施形態と相違する構成および特徴部について以下説明する。
本実施形態が第1の実施形態と相違する点は、マルチプル受信コイルを4つの受信コイルで構成したことにある。すなわち、本実施形態のMRI装置におけるRFプローブを成すマルチプル受信コイル301Aは、図10に示すように、4つの8の字型受信コイル4051〜4054を有し、X−Y平面上およびY−Z平面上にそれぞれ所定の距離を挟んで対向配置して構成されている。
ところで、パラレルイメージングを実行する場合に、複数の受信コイルの配置関係や感度分布によっては、感度の低い領域が生ずることがあり、その場合には式(7)の行列演算が発散してしまい、アーチファクトが発生するとか、画質が劣化することがある。
このような最適なコイルの組合せは、コイルの配置が一定であれば、撮影断面および位相エンコード方向によって決まるので、これら撮影条件が設定されると装置が自動的に最適な組合せを選択するように装置を構成すると良い。
つまり、受信コイル4051〜4054により取得された感度画像データは、信号合成処理部304Aにて、予め定められた受信コイル群毎の感度分布に対応するch.1、ch.2の感度画像データ702,703に合成され、受信コイル群毎に合成されたch.1、ch.2の検査画像データ704,705の折返しアーチファクトを除去する行列演算の参照データとなる。
ところで、本実施形態において、受信コイルの第1の組合せと第2の組合せを選択する際、それらの組合せ間に受信コイルの重なりがあっても問題はない。つまり、受信コイルの複数の組合せにおいて互いに共通する受信コイルを含めて組合せを選択しても良い。このように、複数のRF受信コイルの組合せには、組合せ相互に受信コイルを一部共有することができるから、最適な感度分布となるコイルの組合せ選択の自由度が増し、画質のより良好な画像を得ることができる。
また、第1乃至第3の実施形態では、画像データを取得する際のスライス間隔を等間隔としているが、本発明のMRI装置は各画像データのスライス間隔を変更して取得することができる。
また、第1乃至第3の実施形態では、受信コイルの感度分布を求めるためのパルスシーケンスにおける位相エンコードステップの間隔を通常撮影のそれの2倍、つまり、間引き率を1/2にした場合について説明したが、そのステップ間隔は3倍、4倍、それ以上にすることも可能である。その場合、選択する受信コイルの組合せの数Gは、位相エンコードのステップ間隔Mと同数かそれ以上とすることが必要である。ただし、行列演算を簡略化するためにはG=Mであることが好ましい。
また、本発明の信号処理部の信号処理において、スライス補間処理101,801は、例えば、スプライン補間処理や、Sinc関数による補間処理、関数によるフィッティング処理など様々な補間処理を適用することができる。
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Claims (11)
- 被検体から発生する核磁気共鳴信号を受信する複数の受信コイルと、
複数スライスの各々において、前記複数の受信コイルを用いた前記被検体からの各種データの計測を制御する計測制御手段と、
前記スライス毎に、前記受信コイル毎の検査画像用データと感度画像用データとを用いて、パラレルイメージング法に基づく演算を施して、1枚の検査画像を取得する信号処理手段と、
を備えた磁気共鳴イメージング装置であって、
前記計測制御手段は、前記感度画像用データを取得するスライス数を、前記検査画像用データを取得するスライス数よりも少なくし、
前記信号処理手段は、取得された前記感度画像用データを用いて、補間によって、前記感度画像用データが取得されなかったスライスにおける感度画像用データを求めることを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。 - 被検体から発生する核磁気共鳴信号を受信する複数の受信コイルと、
複数スライスの各々において、前記複数の受信コイルを用いた前記被検体からの各種データの計測を制御する計測制御手段と、
前記スライス毎に、前記受信コイル毎の検査画像用データと感度分布データとを用いて、パラレルイメージング法に基づく演算を施して、1枚の検査画像を取得する信号処理手段と、
を備えた磁気共鳴イメージング装置であって、
前記計測制御手段は、前記感度分布データを取得するスライス数を、前記検査画像用データを取得するスライス数よりも少なくし、
前記信号処理手段は、取得された前記感度分布データを用いて、補間によって、前記感度分布データが取得されなかったスライスにおける感度分布データを求めることを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。 - 請求項1又は2に記載の磁気共鳴イメージング装置において、前記計測制御手段は、間隔を有して離間した複数のスライス位置から前記感度画像用データを取得し、順次隣接する複数のスライス位置から前記検査画像用データを取得することを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
- 請求項1乃至3のいずれか一項に記載の磁気共鳴イメージング装置において、前記計測制御手段は、前記複数の受信コイルの各々について、k空間の低周波領域についてのみ前記感度画像用データを取得することを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
- 請求項1乃至3のいずれか一項に記載の磁気共鳴イメージング装置において、前記複数の受信コイルは、感度分布がほぼ均一な受信コイルと、複数の受信コイルから成るマルチプル受信コイルとを含むことを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
- 請求項5に記載の磁気共鳴イメージング装置において、前記マルチプル受信コイルの各受信コイルの感度分布は、前記ほぼ均一な感度分布を有す受信コイルで撮影した感度画像で各受信コイルの感度画像を割算することによって求められることを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
- 請求項5に記載の磁気共鳴イメージング装置において、前記マルチプル受信コイルの前記各受信コイルの感度画像を算出する前に、ほぼ均一な感度画像を有する受信コイルと前記マルチプル受信コイルの各受信コイルについて、前記検査画像のスライス位置における未計測感度画像をスライス補間により求める処理を行うことを含むことを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
- 請求項6に記載の磁気共鳴イメージング装置において、前記マルチプル受信コイルの前記各受信コイルの感度画像を算出する前に、ほぼ均一な感度画像を有する受信コイルと前記マルチプル受信コイルの各受信コイルについて、計測したスライスについての感度画像を先に求め、その後未計測のスライスについての感度画像は前記求められた感度画像からスライス補間により求めることを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
- 請求項1に記載の磁気共鳴イメージング装置において、前記複数の受信コイルは3個以上であり、それらの受信コイルは複数の受信コイル群に組み合わせられ、各受信コイル群毎に感度画像が合成されることを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
- 被検体から発生するNMR信号を受信する複数の受信コイルと、前記受信コイルを用いて第1のパルスシーケンスを実行して、前記被検体の離れた複数のスライス位置から前記複数の受信コイルの各々によってk空間の低周波領域のNMR信号からなる感度画像データを取得する感度画像データ取得手段と、前記複数の受信コイルを用いてk空間の位相エンコードマトリクスを間引いて第2のパルスシーケンスを実行して、前記被検体のそれぞれが順次隣接する複数のスライス位置から前記複数の受信コイル毎に検査画像データを取得する手段と、前記複数の感度画像データに基づいて前記検査画像データのスライス位置における前記複数の受信コイルの各感度画像データを補間により生成し、この生成された受信コイルの各感度画像データと前記複数の感度画像データとから前記複数の受信コイルの感度分布データを生成する手段と、前記複数の受信コイルの感度分布データと前記受信コイル毎の検査画像データとにより行列演算式を作成する手段と、前記行列演算式の逆行列演算を行って前記検査画像の折返しアーチファクトを除去するアーチファクト除去手段とを備えたことを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
- 請求項2に記載の磁気共鳴イメージング装置において、
前記信号処理手段は、前記複数の受信コイルで取得された感度画像データを合成して感度分布のほぼ均一な感度画像データを生成し、この合成した感度画像データと前記各受信コイルの感度画像データとから各受信コイルの感度分布データを求めることを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
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