JP4152050B2 - Ti−Zr系合金 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、優れた高い強度を持ちながらも低ヤング率を示し、並びに構造部材として使用される際に要求されるのに充分な展延性を有し、さらに塑性加工性に優れたTi−Zr系合金に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
Ti基合金は、大気中でその表面にTiO2の緻密な酸化被膜を形成することにより耐食性に優れており、軽くて強くかつ比強度(引張強度を比重で割った商)が大きいという様々な優れた特性により、宇宙航空関連素材、化学装置用素材、海水利用産業用耐食素材、カメラのシャッター部品等や通信機器、光学器材、眼鏡フレームやゴルフクラブのドライバーやアイアンのヘッドを始めとする民生用品の材料として幅広く使われている。しかしながら、前記Ti基合金は、常温での金属組織が硬いα相であるため、圧延・鍛造或いは切削などの機械加工が容易ではなく、唯一、高温領域で析出する機械加工の可能なβ相領域で行うというのが現状である。加えて、素材的には他の金属と比較しても耐食性・強度等、良い性質を持っているにもかかわらず、加工性が非常に悪いという問題点があった。そして、これらの欠点が従来のTi基合金の一般工業用途の拡大を阻害していた。
【0003】
一方、チタン(Ti)を始め、ジルコニウム(Zr)、ニオブ(Nb)、タンタル(Ta)、白金(Pt)、無機スズ(無機Sn)などはこれまでの研究結果から生体適合性に優れた元素として知られており、医療用素材としても着目され始めている。しかしながら、医療用素材として使用する場合には、一般的な工業用用途に比してより厳しい耐食性が要求される。即ち、材料から溶出される成分はその溶出量がたとえ微量であったとしても医療用材料のような場合には人体に及ぼす悪影響を無視することが出来ないため、医療用素材に使用される材料は、体液或いは血液と接触した場合であっても不働態を現出する酸化被膜を通して母体成分が溶出しない性質を有することが要求される。上記性質に加えて、医療用素材が周囲の組織との親和性に優れることと生体骨のヤング率に近いことも非常に重要な要素となる。
【0004】
上記諸特性を達成することを目的として、これまで、様々なTi基合金が報告されており、例えば、チタン、約10〜20wt%または約35〜50wt%のニオブ及びタンタルからなる群から選択された金属、ならびにベータ安定剤として作用しかつ合金中でベータ構造の変態速度を減ずるのに十分なジルコニウムからなる歯科用デバイスに使用される合金(特表平10−501719号公報)や第一金属であるチタニウム、ジルコニウム、ハフニウム及びこれらの混合物からなる群から選択される第二金属およびニオビウム、タンタル、バナジウム及びこれらの混合物からなる群から選択される第三金属を所定の組成で含むチタニウム合金(特表平9−510501号公報)などが挙げられる。しかしながら、前者の合金は、チタンに対するジルコニウムの質量比やニオブに対するタンタルの質量比については示していない。具体的には、ジルコニウムは18質量%以下が最も好ましいとしており、タンタルはニオブとの総量のみを言及しており、ニオブの一部をタンタルに置換できるとするのみであり、最も好ましい合金としてタンタルの割合をゼロとしている。このような合金は、展延性、耐力性、さらにはきわめて強い耐食性という点で不十分である。
【0005】
また、後者の合金は、酸化物又は酸化させることによりサーメットまたはセラミック体を形成するものであり、ある温度範囲で加熱処理をし、酸化ガスにより合金を酸化させ性質が変化することにより加工効率を得るものであるが、特表平9−510501号公報に開示される合金は、合金化された時点で良好なベータ相を示せず、常温での塑性及び加工性に劣り、耐食性も不十分であるという問題がある。
【0006】
したがって、高い強度、優れた耐食・耐酸性、易加工性、低ヤング率、特に生体骨に近いヤング率を有するTi基合金の開発が強く求められているものの、すべての特性を満足するものは今まで存在しなかった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
したがって、本発明の目的は、常温での高強度(σf)、低ヤング率(E)、すなわち、高弾性を兼ね備え、これにより常温での塑性及び加工性に優れ、また、耐食性にも優れた一般工業用のTi−Zr系合金を提供することである。
【0008】
また、本発明の他の目的は、常温での塑性及び加工性に優れ、一般工業用の用途以上の耐食性を持ち、かつ生体組織との親和性にも優れた医療用のTi−Zr系合金を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記諸目的を達成するためにTi−Zr系合金について鋭意検討を行った結果、特定の組成でTi、Zr、Nb及びTaからなる四元のTi−Zr系合金が常温での塑性及び加工性に優れ、さらには生体組織との親和性にも優れることを見出し、上記知見に基づいて、本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち、上記諸目的は、下記(1)〜(12)によって達成される。
【0011】
(1)Ti 25〜50質量%、Zr 25〜60質量%、Nb 10〜20質量%及びTa 5〜40質量%からなり、かつTiに対するZrの質量比が0.5〜1.5であり、かつTaに対するNbの質量比が0.125〜1.5であり、さらにヤング率E(Pa)に対する引張強度σf(Pa)の割合(σf/E)が0.016以上でありかつ、ヤング率Eが70GPa以下であることを特徴とするTi−Zr系合金。
【0012】
(2)Tiの含有量が30〜40質量%である、前記(1)に記載の合金。
【0013】
(3)Zrの含有量が25〜45質量%である、前記(1)または(2)に記載の合金。
【0014】
(4)Nbの含有量が10〜20質量%である、前記(1)〜(3)のいずれかに記載の合金。
【0015】
(5)Taの含有量が10〜30質量%である、前記(1)〜(4)のいずれかに記載の合金。
【0016】
(6)前記(1)〜(5)のいずれか一に記載のTi−Zr系合金におけるNbまたはTaの少なくともいずれか一方がNi、Cu、Pd、Pt、Al、Si、Cr、Mn、Co、V、Fe、Ag、Au、Sn、Mo、Hf、Zn、Ga、W、Tc、Ru、Rh、Cd及びInからなる群より選ばれる少なくとも一種の置換元素で置換されることを特徴とするTi−Zr系合金。
【0017】
(7)該置換元素はV、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ga、Mo、Pd、Ag、W、Pt及びAuからなる群より選ばれる少なくとも一種の元素である、前記(6)に記載の合金。
【0018】
(8)該置換元素の含有量が全構成元素の質量に対して20〜40質量%である、前記(6)または(7)に記載の合金。
【0019】
(9)さらに構成元素の全質量に対して、0.01〜5質量%のNi、Cu、Pd、Pt、Al、Si、Cr、Mn、Co、O、N、V、Fe、Ag、Au、Sn、Mo及びHfからなる群より選ばれる少なくとも一種の添加元素を含むことを特徴とする前記(1)〜(5)のいずれか一に記載のTi−Zr系合金。
【0020】
(10)該添加元素はV、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ga、Mo、Pd、Ag、W、Pt及びAuからなる群より選ばれる少なくとも一種の元素である、前記(9)に記載の合金。
【0021】
(11)該添加元素の含有量が全構成元素の質量に対して1〜4質量%である、前記(9)または(10)に記載の合金。
【0022】
(12)引張強度σf(Pa)、ヤング率E(Pa)とした場合に、σf/E≧0.016かつE≦70GPaを満たすことを特徴とする前記(1)から(11)のいずれかに記載の合金。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0024】
本発明の第一の概念によると、Ti 25〜50質量%、Zr 25〜60質量%、Nb 10〜20質量%及びTa 5〜40質量%からなり、かつTiに対するZrの質量比が0.5〜1.5であり、かつTaに対するNbの質量比が0.125〜1.5であり、さらにヤング率E(Pa)に対する引張強度σf(Pa)の割合(σf/E)が0.016以上でありかつ、ヤング率Eが70GPa以下であることを特徴とするTi−Zr系合金が提供される。上記概念において、各構成元素の含有量(質量%)は、合金の構成元素の和が、不純物や5質量%以下の添加物を除いて、100質量%となるようにそれぞれ選定される。
【0025】
上記概念の合金を構成する構成元素のうち、Tiは、常温では六方最密格子構造(α相)をとり、大きな延性が期待できないが、882℃以上では体心立方格子構造(β相)に変わり、α相より大きな延性が現れることが知られている。また、純Ti(グレード2)のヤング率は106GPaであり、610℃以上で表面にTiO2の緻密な酸化被膜を形成し、このTiO2膜は常温の空気中では変化せず、強度に優れ、耐食性をも有し、また、300℃以上ではTiCl4を生じる。なお、Tiは、比強度(引張強度を比重で割った商)に優れるため、この特性を利用して、Tiをベースとした合金として多用されているが、しかしながら、TiをベースとしたTi基合金は合金化すると固溶体になり、延性に大きな影響をおよぼす。もし延性が失われると、少なくとも鋳造組織を改善する重要な手段としての鍛造ができなくなる。したがって、優れたTi基合金の条件としては、塑性が有ることが条件である。現在、残念ながらTi基合金に目的の元素を添加しても脆くて加工性が非常に悪く使用できない例が多い。これに対して、本発明によるように、所定の組成でTi−Zr−Nb−Taからなる四元合金を用いることにより、上記欠点を克服できることを見出したのである。
【0026】
上記概念において、Tiの含有量は、Zrの含有量と以下に示す関係を満たすと同時に、構成元素の全質量に対して、通常、25〜50質量%、好ましくは30〜40質量%、より好ましくは30〜35質量%である。この際、Tiの含有量が50質量%を超えると、Tiの含有量が高くなりすぎ、Ti本来の欠点である塑性及び加工性の悪さが顕著に現れてしまい、従来のTi基合金と同様に常温での加工ができず熱処理等の工程が増え、好ましくない。逆に、Tiの含有量が25質量%未満であると、Ti量が少な過ぎて、やはりTiを用いることの利点である優れた強度、比強度、耐食性及び安定性が充分でなく、Tiの持つ優れた性質が現われず、もはやTiベースの合金とは呼べず、やはり好ましくない。
【0027】
また、本発明の合金の構成元素であるZrは、常温では六方最密格子構造(α相)をとり、862℃以上で体心立方構造(β相)に変わる。また、Zrは、空気中で緻密な酸化被膜を生じ、耐食性に優れ、特に高温の水中での耐食性は他金属に比べて著しく高く、融解アルカリ中でも反応しにくいという性質を有する。このようにZrは優れた耐食及び耐酸性を有するため、各種機械用途に用いられる。なお、純Zrのヤング率は、94.5GPaである。
【0028】
上記概念において、Zrは、Zrの含有量が、構成元素の全質量に対して、25〜60質量%の範囲でありかつTiに対するZrの質量比が0.5〜1.5の範囲内となる条件を満たすことを必須とする。好ましくは、Zrの含有量は、構成元素の全質量に対して、25〜45質量%、より好ましくは30〜35質量%である。また、Tiに対するZrの質量比は、好ましくは0.5〜1.5、より好ましくは0.8〜1.2である。この際、Zrの含有量が25質量%未満であるまたはTiに対するZrの質量比が0.5未満であると、合金中にTiのα相が析出して、塑性及び加工性が著しく低下し、ヤング率が上昇し、生体組織との親和性も悪くなり好ましくない。これに対して、Zrの含有量が60質量%を超えるまたはTiに対するZrの質量比が1.5を超えると、耐食性の改善は見られず、得られる合金の比重が増加するだけであり、やはりヤング率が上昇し、塑性及び加工性が低下し、やはり好ましくない。このようにしてZrの含有量を上記したような特定の範囲内に設定することによって、Tiを常温空気中で変化させずに、かつZrは緻密な酸化被膜を形成して、両者の特徴が相乗して良好な耐食性・耐酸性を示すことができる。
【0029】
さらに、本発明の合金の構成元素であるNbは、展延性を示し、そのヤング率は105GPaであり、その硬さは錬鉄と同程度で、他の構成元素であるTaより柔らかい金属である。したがって、Nbを添加することにより、得られる合金にしなやかさ(低弾性)を付与することができる。また、Nbは、空気中で酸化被膜を生成して耐食性を示す金属であり、フッ化水素酸以外の酸には不溶であり、アルカリ水溶液にも溶けず、各種合金(例えば、耐熱合金)の添加元素として広く用いられている。このため、Nbを本発明のTi−Zr系合金の構成成分とすることによって、Zrと協働して耐食性・耐酸性を向上させることができる。
【0030】
上記概念において、Nbは、Nbの含有量は、構成元素の全質量に対して、5〜30質量%の範囲でありかつTaに対するNbの質量比が0.125〜1.5の範囲内となる条件を満たすことを必須とする。好ましくは、Nbの含有量は、構成元素の全質量に対して、10〜20質量%、より好ましくは10〜15質量%である。また、Taに対するNbの質量比は、好ましくは0.3〜1.5、より好ましくは0.5〜1.0である。この際、Nbの含有量が5質量%未満であるまたはTaに対するNbの質量比が0.125未満であると、得られる合金のしなやかさが充分でなく、塑性が低下し、ヤング率が上昇していくという問題が生じる。逆に、Nbを30質量%を超えて添加するとまたはTaに対するNbの質量比が1.5を超えると、耐食性の向上もしなやかさの向上も望むことができず、また、耐食性の改善は見られず、比重が増加するだけとなり、生体組織との親和性においても改善が見られず、やはり好ましくない。
【0031】
さらにまた、本発明の合金の構成元素であるTaは、Nbと同様にして、展延性に富み、弾力性がある。また、Taは、Nbより硬い金属で、そのヤング率は187GPaである。したがって、Taを添加することによって、合金の弾性を高めることはできるものの、しなやかさを付与することはできない。また、Taは、空気中で酸化被膜を生成して耐食性を示す金属であり、極めて耐食性が強いという特徴を有する。このため、Taを本発明のTi−Zr系合金の構成成分とすることによって、Zrと協働してその耐食性を向上させることができる。
【0032】
上記概念において、Taの含有量は、Nbの含有量と上記関係を満たすと同時に、構成元素の全質量に対して、通常、5〜40質量%、好ましくは10〜30質量%、より好ましくは15〜25質量%である。この際、Taの含有量が5質量%未満であると、得られる合金のヤング率が上昇し、展延性が低下し、耐力性も劣り、好ましくない。これに対して、Taを40質量%を超えて添加しても、耐食性の向上を望むことができないだけでなく、比重が増加するだけとなり、また、しなやかさを次第に失うことになり、また、得られる合金が脆くなり加工しにくくなるため、やはり好ましくない。
【0033】
本発明のTi−Zr系合金の製造方法は、上述したような特定の組成を有する合金を製造できる方法であれば特に制限されないが、例えば、所望の元素(例えば、Tiでは、スポンジチタン、純チタン グレード1〜4など;Zrでは、スポンジジルコニウム、純ジルコニウムなど;Nbでは、純ニオブ、およびTaでは、純タンタルを、形を制限せず、純度は性質に影響をおよぼさない程度のものを、所定の組成(質量%)となるように秤量し、これを水冷銅ハース内でアーク溶解し、合金化し、インゴットとする方法;るつぼで溶解し、合金化し、アトマイズにより粉末とする方法;同様の溶解で鋳造する方法;浮遊溶解し合金化し、インゴットとする方法;およびメカニカルアロイング法、スパッタ法、プラズマ法など、通常工業的に行なわれている方法、ならびに各種研究機関や文献等で発表されている方法などが挙げられる。
【0034】
このように、前記範囲で規定された本発明のTi−Zr系四元合金は、Ti及びZrを主成分とする合金であるにもかかわらず、その金属組織は常温でβ相を示すので、圧延・鍛造或いは機械加工などを常温で行うことができ、非常に優れた加工性を示す。その一例として、下記実施例2で作製された四元のTi−Zr系合金のβ相を示すX線回折図を図1に示す。
【0035】
また、本発明において、上記第一の概念によるTi−Zr系合金の構成成分であるNbおよび/またはTaがNi、Cu、Pd、Pt、Al、Si、Cr、Mn、Co、V、Fe、Ag、Au、Sn、Mo、Hf、Zn、Ga、W、Tc、Ru、Rh、Cd及びInからなる群より選ばれる少なくとも一種の置換元素で置換されてもよく、このような組成を有するTi−Zr系合金もまた新規であるので、本発明の他の概念を形成する。すなわち、本発明の第二の概念によると、本発明の上記第一の概念のTi−Zr系合金におけるNbまたはTaの少なくともいずれか一方がNi、Cu、Pd、Pt、Al、Si、Cr、Mn、Co、V、Fe、Ag、Au、Sn、Mo、Hf、Zn、Ga、W、Tc、Ru、Rh、Cd及びInからなる群より選ばれる少なくとも一種の置換元素で置換されることを特徴とするTi−Zr系合金が提供される。
【0036】
上記第二の概念において、上記少なくとも一種の置換元素の含有量は、置換元素の種類及び含有量によって決定される。
【0037】
上記概念の合金におけるNbおよび/またはTaを置換するのに使用される置換元素のうち、Pt、Au及びPdは耐食性に優れた元素であり、これらの元素でNbおよび/またはTaを置換することで母材の耐食性の向上を図ることができる。また、これらの置換元素は、生体組織に悪影響を与えず、生体親和性にも優れているので、本発明の合金を医療用用途に使用する際には、特に好適に使用される。さらに、Pt、Au及びPd以外の置換元素は、母材の機械的強度を高める上で有効な成分であるが、前記置換元素はいずれも得られる合金の耐食性を低下させ、また、生体親和性に劣る材料であるため、医療用用途には不適な素材である。このため、Pt、Au及びPd以外の元素を置換元素として使用する場合には、得られるTi−Zr系合金は、一般工業用、例えば、塩分に曝される海洋素材(釣竿やリールなどの金属材料或いは金属製釣り糸)、塩分を含む汗が付着するような眼鏡フレーム或いは比強度が要求されるゴルフクラブのドライバーのクラブヘッド或いはアイアンのフェース素材などに使用される。
【0038】
上記態様による合金の組成の具体例としては、上記組成条件を満たすものであれば特に制限されるものではないが、例えば、下記が挙げられる。
【0039】
▲1▼ Tia1Zrb1Nbc1(Ni、Cu、Pd、Pt、Al、Si、Cr、Mn、Co、V、Fe、Ag、Au、Sn、Mo、Hf、Zn、Ga、W、Tc、Ru、Rh、Cd及びInからなる群より選ばれる少なくとも一種の置換元素)d1の多元合金(この際、a1は、Tiの含有量(質量%)を表わし、25〜50の範囲であり、b1は、Zrの含有量(質量%)を表わし、25〜60の範囲であり、c1は、Nbの含有量(質量%)を表わし、5〜30の範囲であり、及びd1は、置換元素の合計含有量(質量%)を表わし、5〜40の範囲であり、かつb1/a1が0.5〜1.5であり、かつc1/d1が0.125〜1.5である);
▲2▼ Tia2Zrb2(Ni、Cu、Pd、Pt、Al、Si、Cr、Mn、Co、V、Fe、Ag、Au、Sn、Mo、Hf、Zn、Ga、W、Tc、Ru、Rh、Cd及びInからなる群より選ばれる少なくとも一種の置換元素)c2Tad2の多元合金(この際、a2は、Tiの含有量(質量%)を表わし、25〜50の範囲であり、b2は、Zrの含有量(質量%)を表わし、25〜60の範囲であり、c2は、置換元素の合計含有量(質量%)を表わし、5〜30の範囲であり、及びd2は、Taの含有量(質量%)を表わし、5〜40の範囲であり、かつb2/a2が0.5〜1.5であり、かつc2/d2が0.125〜1.5である);および
▲3▼ Tia3Zrb3(Ni、Cu、Pd、Pt、Al、Si、Cr、Mn、Co、V、Fe、Ag、Au、Sn、Mo、Hf、Zn、Ga、W、Tc、Ru、Rh、Cd及びInからなる群より選ばれる少なくとも一種の置換元素)c3+d3の多元合金(この際、a3は、Tiの含有量(質量%)を表わし、25〜50の範囲であり、b3は、Zrの含有量(質量%)を表わし、25〜60の範囲であり、及びc3+d3は、置換元素の合計含有量(質量%)を表わし、10〜50の範囲であり、かつb3/a3が0.5〜1.5である)。
【0040】
本発明において、置換元素は、上記特性を考慮しつつ、使用する用途や所望の性質により適宜選択されるものであるが、例えば、
1. 一般的な工業用用途において、置換元素がNbの代わりに使用されかつ一種類である際には、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ga、Mo、Tc、Ru、Rh、Pd、Ag、Cd、In、Snが好ましく使用され;
2. 一般的な工業用用途において、置換元素がNbの代わりに使用されかつ二種類以上の混合形態である際には、例えば、Sn−Pt、Cu−Ni、Co−Cr及びAl−Vが好ましく使用され;
3. 医療用の用途において、置換元素がNbの代わりに使用されかつ一種類である際には、V、Cr、Co、Ag、Sn、Au、Pd、Pt、Ni、Alが好ましく使用され;
4. 医療用の用途において、置換元素がNbの代わりに使用されかつ二種類以上の混合形態である際には、V、Cr、Mo、Pd、Ag、Sn、Pt、Auからなる群より選ばれる元素の組合せが好ましく使用され;
5. 一般的な工業用用途において、置換元素がTaの代わりに使用されかつ一種類である際には、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ga、Mo、Tc、Ru、Rh、Pd、Ag、Cd、In、Snが好ましく使用され;
6. 一般的な工業用用途において、置換元素がTaの代わりに使用されかつ二種類以上の混合形態である際には、例えば、Al−Ni、Cu−Co、Sn−Pd及びCu−Alが好ましく使用され;
7. 医療用の用途において、置換元素がTaの代わりに使用されかつ一種類である際には、V、Cr、Co、Ag、Sn、Au、Pd、Pt、Ni、Alが好ましく使用され;
8. 医療用の用途において、置換元素がTaの代わりに使用されかつ二種類以上の混合形態である際には、V、Cr、Mo、Pd、Ag、Sn、Pt、Auからなる群より選ばれる元素の組合せが好ましく使用され;
9. 一般的な工業用用途において、置換元素がNb及びTaの代わりに使用されかつ一種類である際には、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ga、Mo、Tc、Ru、Rh、Pd、Ag、Cd、In、Snが好ましく使用され;
10. 一般的な工業用用途において、置換元素がNb及びTaの代わりに使用されかつ二種類以上の混合形態である際には、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ga、Mo、Tc、Ru、Rh、Pd、Ag、Cd、In、Snからなる群より選ばれる元素の組合せが好ましく使用され;
11. 医療用の用途において、置換元素がNb及びTaの代わりに使用されかつ一種類である際には、V、Cr、Co、Ag、Sn、Au、Pd、Pt、Ni、Alが好ましく使用され;および
12. 医療用の用途において、置換元素がNb及びTaの代わりに使用されかつ二種類以上の混合形態である際には、V、Cr、Mo、Pd、Ag、Sn、Pt、Auからなる群より選ばれる元素の組合せが好ましく使用される。
【0041】
本発明の上記概念によるTi−Zr系合金の製造方法は、上述したような特定の組成を有する合金を製造できる方法であれば特に制限されず、上記と同様の方法が適用できるが、所望の元素(例えば、Tiでは、スポンジチタン、純チタングレード1〜4など;Zrでは、スポンジジルコニウム、純ジルコニウムなど;Nbでは、純ニオブ、およびTaでは、純タンタルを、形を制限せず、純度は性質に影響をおよぼさない程度のものを、所定の組成(質量%)となるように秤量し、これを水冷銅ハース内でアーク溶解し、合金化し、インゴットとする方法;るつぼで溶解し、合金化し、アトマイズにより粉末とする方法;同様の溶解で鋳造する方法;浮遊溶解し合金化し、インゴットとする方法;およびメカニカルアロイング法、スパッタ法、プラズマ法など、通常工業的に行なわれている方法、ならびに各種研究機関や文献等で発表されている方法などが挙げられる。この際、所望の置換元素の形態は、特に制限されずに公知の方法における場合と同様であるが、例えば、Niでは、純ニッケル、Cuでは、純銅、無酸素銅、リン脱酸銅、タフピッチ銅など、Alでは、純アルミニウムなど他の置換元素においても純金属の状態でそれぞれ使用される。
【0042】
さらに、本発明において、上記第一の概念によるTi−Zr系合金に、構成元素の全質量に対して、0.01〜5質量%のNi、Cu、Pd、Pt、Al、Si、Cr、Mn、Co、O、N、V、Fe、Ag、Au、Sn、Mo及びHfからなる群より選ばれる少なくとも一種の添加元素を添加してもよく、このTi−Zr系合金もまた新規であるので、本発明の他の概念を形成する。すなわち、本発明の第三の概念によると、さらに構成元素の全質量に対して、0.01〜5質量%のNi、Cu、Pd、Pt、Al、Si、Cr、Mn、Co、O、N、V、Fe、Ag、Au、Sn、Mo及びHfからなる群より選ばれる少なくとも一種の添加元素を含むことを特徴とする本発明の上記第一の概念のTi−Zr系合金が提供される。このようにして、第一の概念のTi−Zr系合金にさらに上記したような添加元素を所定の割合で添加することによって、母材の機械的強度を高めることができる。また、上記第二の概念と同様であるが、これらの添加元素のうち、Pt、Au及びPdは耐食性に優れた元素であり、これらの元素でNb或いはTaを置換することで母材の耐食性の向上を図ることができる。また、これらの添加元素は、生体組織に悪影響を与えず、生体親和性にも優れているので、本発明の合金を医療用用途に使用する際には、特に好適に使用される。さらに、Pt、Au及びPd以外の元素は、母材の機械的強度を高める上で有効な成分であるが、前記添加元素はいずれも生体親和性に劣る材料であるため、医療用用途には不適な素材であり、Pt、Au及びPd以外の元素を添加元素として使用する場合には、得られるTi−Zr系合金は、一般工業用、例えば、塩分に曝される海洋素材(釣竿やリールなどの金属材料或いは金属製釣り糸)、塩分を含む汗が付着するような眼鏡フレーム或いは比強度が要求されるゴルフクラブのドライバーのクラブヘッド或いはアイアンのフェース素材などに使用される。
【0043】
上記概念において、添加元素の含有量は、構成元素の全質量に対して、0.01〜5質量%であることを必須とするが、好ましくは1〜4質量%、より好ましくは2〜3質量%である。この際、添加元素の含有量が0.01重量%未満であると、添加元素の添加効果があまり認められず、残存微量元素と変わらず雑質の範囲であり、好ましくなく、これに対して、添加元素の含有量が5質量%を超えると、所望の性質とは異なった性質が現われ、やはり好ましくない。
【0044】
また、上記概念において、添加元素は、Ni、Cu、Pd、Pt、Al、Si、Cr、Mn、Co、O、N、V、Fe、Ag、Au、Sn、Mo及びHfからなる群より選ばれる少なくとも一種、好ましくはNi、Pd、Cr、Co、Feからなる群より選ばれる少なくとも一種である。また、添加元素が上記群から選ばれる2以上の混合形態である場合の組合せは、Ti、Zr、Nb及びTaの含有量、使用する用途や所望の特性などによって異なるが、一般的な工業用用途においては、例えば、Cr、Mo、Ni、Coの組合せなどが挙げられ、これらのうち、Cr、Moの組合せが好ましい。また、医療用の用途では、例えば、Pd、Pt、Au、Sn、Ni、Al、Vの組合せなどが挙げられ、これらのうち、Pt、Pd、Snの組合せが好ましい。
【0045】
本発明の上記概念によるTi−Zr系合金の製造方法は、上述したような特定の組成を有する合金を製造できる方法であれば特に制限されず、上記と同様の方法が適用できるが、所望の元素(例えば、Tiでは、スポンジチタン、純チタングレード1〜4など;Zrでは、スポンジジルコニウム、純ジルコニウムなど;Nbでは、純ニオブ、およびTaでは、純タンタルを、形を制限せず、純度は性質に影響をおよぼさない程度のものを、所定の組成(質量%)となるように秤量し、これを水冷銅ハース内でアーク溶解し、合金化し、インゴットとする方法;るつぼで溶解し、合金化し、アトマイズにより粉末とする方法;同様の溶解で鋳造する方法;浮遊溶解し合金化し、インゴットとする方法;およびメカニカルアロイング法、スパッタ法、プラズマ法など、通常工業的に行なわれている方法、ならびに各種研究機関や文献等で発表されている方法などが挙げられる。この際、所望の添加元素の形態は、特に制限されずに公知の方法における場合と同様であるが、例えば、Niでは、純ニッケル、Cuでは、純銅、無酸素銅、リン脱酸銅、タフピッチ銅など、Alでは、純アルミニウムなど他の添加元素においても純金属の状態でそれぞれ使用される。
【0046】
【実施例】
以下、本発明の実施例により具体的に説明する。
【0047】
実施例1〜4、比較例1〜7
スポンジチタン、スポンジジルコニウム、純ニオブ及び純タンタルをそれぞれ下記表1に示される割合となるように秤量し、これを水冷銅ハース内でアーク溶解し、合金化し、インゴットとした。合金化した後の熱処理は特に行なわなかった。
【0048】
これらの合金について、以下の機械的性質は、それぞれ、以下のようにして評価した。
【0049】
▲1▼ 引張強度及びヤング率は、インストロン引張り試験機を使用し、JIS Z2201−1980 6号試験の試験片を、歪み速度1.67×10-3S-1で測定した。
【0050】
▲2▼ 硬さは、マイクロビッカース硬度試験機を使用し、試験荷重50gで10S保持後の圧痕をビッカース硬さとして測定した。
【0051】
表1は、本発明の実施例1〜4の合金と、比較例として純Ti及び代表的なTi合金の機械的性質を示すものである。表1において、各構成元素の含有量は質量%で表わされる。
【0052】
また、実施例2で作製された四元のTi−Zr系合金のβ相を示すX線回折図を図1に示す。
【0053】
【表1】
【0054】
上記表1に示されるように、実施例1〜4で得られた合金は、純Tiや他の比較例に比べて、ヤング率が70GPa以下と十分低く、また、引張強度(Pa)/ヤング率(Pa)が0.016以上であることにより、しなやかであると同時に、試料が破断する時の応力である引張強度も十分であることから、本発明の合金は特にゴルフクラブのヘッドには最適であり、その他の工業用素材として使用できるのみならず、生体骨に近い数値であることから、医療用素材としてもうってつけの素材であるといえる。
【0055】
また、これらの合金を冷間圧延したところ、実施例1〜4の合金はすべて98%の圧延率まで圧延することができ、その間割れやクラックなどは生じず、優れた冷間塑性加工性を示した。これに対して、比較例1〜6の合金を同様に冷間圧延しようとしたところ、すべて圧延途中で割れやクラックが発生した。このことから、本発明の合金は、一般工業用においても、従来公知のTi基合金に比べて、冷間塑性加工性に優れ、冷間及び熱処理等を問わず、容易に所望の形状に加工・成形でき、これからのTi基合金の一般工業用素材に道を開くものである。
【0056】
実施例5
スポンジチタン、スポンジジルコニウム、純ニオブ、純タンタル及び純金をそれぞれ下記表2に示される割合となるように秤量し、これを水冷銅ハース内でアーク溶解し、合金化し、インゴットとした。
【0057】
次に、この合金について、実施例1〜4と同様にして、機械的性質を評価し、その結果を下記表2に示す。
【0058】
本実施例5の合金は、Ti、Zr、Nb及びTaからなる4元合金にさらにAuを添加元素として添加したものであり、耐食性が非常に優れると共に、添加元素としての金は生体親和性に優れかつ人体に無害な金属であるので、得られる合金も生体親和性に優れかつ人体に無害であると考えられ、医療用用途への適用が期待できる
【0059】
【表2】
【0060】
実施例6
実施例2〜4及び5で得られた合金および比較例1の純Tiについて、大気開放下での1N塩酸中で、対極として白金線、照合電極としてAg/AgCl電極を備えるガラス電解セルとポテンシオ/ガルバノスタット及び関数発生器を用いて、動電位アノード分極曲線を測定し、酸に対する耐食性を評価した。なお、本実施例において、電解セルは298Kの恒温水槽中に保持した。結果を図2に示す。
【0061】
図2から明らかなように、実施例2〜4及び5で得られた本発明の合金および純Tiはすべて不働態化していたが、実施例2〜4及び5の合金はすべて純Tiより不働態電流密度が低く、純Tiより優れた耐食性を有することが分かった。また、実施例2〜4及び5の合金の中で、特に実施例2の合金は最も低い不働態電流密度を示し、最も優れた高耐食性を備えることが示された。
【0062】
実施例7
スポンジチタン、スポンジジルコニウム、純ニオブ及び純タンタルをそれぞれ下記表3に示される割合となるように秤量し、これを水冷銅ハース内でアーク溶解し、合金化し、インゴットとした。
【0063】
次に、得られた合金について、実施例1〜4と同様にして、機械的性質を評価し、その結果を下記表3に示す。
【0064】
実施例7の合金は、Ti、Zr、Nb及びTaからなる4元合金の構成成分のうちTaの含有量を比較的減少させた合金である。本実施例7の合金は、生体骨に最も近いしなやかさを示すところから、人工骨用素材として好適であり、また、医療用金属合金として現在注目されている代表的なTi−6Al−4V、Ti−13Nb−13Zr、Ti−29Nb−13Ta−4.6Zrなどと比べ(表1参照)、耐食性並びに強度、ヤング率及び硬さ等の機械的性質においてもより優れた数値を示しており、医療用金属合金として最適である。
【0065】
【表3】
【0066】
実施例8
スポンジチタン、スポンジジルコニウム、純ニオブ及び無機スズをそれぞれ下記表4に示される割合となるように秤量し、これを水冷銅ハース内でアーク溶解し、合金化し、インゴットとした。
【0067】
次に、得られた合金について、実施例1〜4と同様にして、機械的性質を評価し、その結果を下記表4に示す。
【0068】
【表4】
【0069】
【発明の効果】
上述したように、本発明のTi−Zr系合金は、Ti 25〜50質量%、Zr 25〜60質量%、Nb 5〜30質量%及びTa 5〜40質量%からなり、かつTiに対するZrの質量比が0.5〜1.5であり、かつTaに対するNbの質量比が0.125〜1.5であることを特徴とするものである。したがって、本発明のTi−Zr系合金の金属組織は、Ti及びZrを主成分とする合金であるにもかかわらず、特別な熱処理を施さなくても、その金属組織は常温でβ相を示すので、圧延・鍛造或いは機械加工などを常温で行うことができ、非常に優れた加工性を示し、また、このように常温での非常に優れた塑性加工性を示すことから、一般工業用材料としてTi基合金の新たな道を開くものであり、しかも、構成元素である、Zr、Ta及びNbは、いずれも緻密で強力な酸化被膜構成元素であり、かつ生体親和性に優れているので、医療用合金としても最適である。
【0070】
また、上記4元のTi−Zr系合金におけるNbまたはTaの少なくともいずれか一方がNi、Cu、Pd、Pt、Al、Si、Cr、Mn、Co、V、Fe、Ag、Au、Sn、Mo、Hf、Zn、Ga、W、Tc、Ru、Rh、Cd及びInからなる群より選ばれる少なくとも一種の置換元素で置換されることを特徴とするTi−Zr系合金;および上記4元のTi−Zr系合金にさらに構成元素の全質量に対して、0.01〜5質量%のNi、Cu、Pd、Pt、Al、Si、Cr、Mn、Co、O、N、V、Fe、Ag、Au、Sn、Mo及びHfからなる群より選ばれる少なくとも一種の添加元素を含ませることを特徴とするTi−Zr系合金は、より優れた母材の耐食性・耐酸性ならびに母材の機械的強度を有するため、一般工業用さらには医療用Ti−Zr系合金として使用される。
【図面の簡単な説明】
【図1】は、実施例2で作製された四元のTi−Zr系合金のβ相を示すX線回折グラフである。
【図2】は、実施例6における、実施例2〜5で得られたTi−Zr系合金および純Tiの耐食性比較グラフである。
Claims (3)
- Ti 25〜50質量%、Zr 25〜60質量%、Nb 10〜20質量%及びTa 5〜40質量%からなり、かつTiに対するZrの質量比が0.5〜1.5であり、かつTaに対するNbの質量比が0.125〜1.5であり、さらにヤング率E(Pa)に対する引張強度σf(Pa)の割合(σf/E)が0.016以上でありかつ、ヤング率Eが70GPa以下であることを特徴とするTi−Zr系合金。
- 請求項1に記載のTi−Zr系合金におけるNbまたはTaの少なくともいずれか一方がNi、Cu、Pd、Pt、Al、Si、Cr、Mn、Co、V、Fe、Ag、Au、Sn、Mo、Hf、Zn、Ga、W、Tc、Ru、Rh、Cd及びInからなる群より選ばれる少なくとも一種の置換元素で置換されることを特徴とするTi−Zr系合金。
- さらに構成元素の全質量に対して、0.01〜5質量%のNi、Cu、Pd、Pt、Al、Si、Cr、Mn、Co、O、N、V、Fe、Ag、Au、Sn、Mo及びHfからなる群より選ばれる少なくとも一種の添加元素を含むことを特徴とする請求項1に記載のTi−Zr系合金。
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