JP4151803B2 - 硬貨選別用コイル装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、硬貨選別装置、特に磁界中を通過する硬貨の真贋を確実に識別できる硬貨選別用コイル装置に関連する。
【0002】
【従来の技術】
磁気コイルセンサを使用して硬貨を選別する装置は例えば特開平9−147170号公報に開示されている。この選別装置は、同相又は逆相に接続されかつ同軸に対向して配置された2つのコイルセンサ素子を有する磁気コイルセンサを備えている。コイルセンサ素子は、硬貨通路を通る識別対象の硬貨に面する壁面内に配置されかつ硬貨の径より小径で硬貨に対向する検出面を有する。磁気コイルセンサは、磁気コイルセンサとして検出面が硬貨を走査する面積が最大時でも、磁気コイルセンサ自体の検出面の面積未満となるように、硬貨通路の基面の近傍に配置され、磁気コイルセンサの検出信号から硬貨の中心が硬貨通路の所定位置に到来したことを判別して、硬貨の厚みや外径を検出して、従来より高い精度で硬貨を選別することができる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
前記の公報に開示された選別装置は複数のコイルセンサ素子を硬貨の異なる位置に配置して硬貨の磁気インピーダンスを測定するため、磁気インピーダンスにより硬貨の特徴を十分に識別できない欠点があった。
【0004】
この発明は硬貨を十分に識別できる硬貨選別用コイル装置を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
硬貨の通過による磁場の変化を検出するこの発明による硬貨選別用コイル装置は、円板部(14)と、円板部(14)から直角に突出する複数の突起(3〜11)を有しかつ鉄系材料により形成されたコア(12)と、コア(12)の複数の突起(3〜11)にそれぞれ取り付けられた複数の巻線(13)とを備える。複数の突起(3〜11)は、中心に配置された中心突起(3)と、中心突起(3)の中心と同心円状に中心突起(3)の外側に配置された第1の突起(4〜7)と、中心突起(3)の中心と同心円状に中心突起(3)に対して第1の突起(4〜7)と対称位置に配置された第2の突起(8〜11)とを備える。中心突起(3)の直径は、第1の突起(4〜7)及び第2の突起(8〜11)の各直径より大きい。複数の巻線(13)は、コア(12)の中心突起(3)、第1の突起(4〜7)及び第2の突起(8〜11)にそれぞれ捲回されかつ1本の導線(15)により直列に接続される複数の巻線(L0、L1〜L4、L5〜L8)である。第1の突起(4〜7)及び第2の突起(8〜11)に捲回される巻線(L1〜L8)の巻方向に対して逆方向に中心突起(3)に巻線(L0)を捲回するので、磁界の変化として各種硬貨の特徴を確実に検出できる。
【0006】
硬貨の通過による磁場の変化を検出するこの発明による他の硬貨選別用コイル装置(1)は、円板部(14)と、円板部(14)から直角に突出する複数の突起(3〜11)を有しかつ鉄系材料により形成されたコア(12)と、コア(12)の複数の突起(3〜11)にそれぞれ取り付けられた複数の巻線(13)とを備える。複数の突起(3〜11)は、中心に配置された中心突起(3)と、中心突起(3)の中心と同心円状に中心突起(3)の外側に配置された複数の第1の突起(4〜7)と、中心突起(3)の中心と同心円状に中心突起(3)に対して第1の突起(4〜7)と対称位置に配置された複数の第2の突起(8〜11)とを備える。中心突起(3)の直径は、第1の突起(4〜7)及び第2の突起(8〜11)の各直径より大きい。複数の巻線(13)は、コア(12)の中心突起(3)、第1の突起(4〜7)及び第2の突起(8〜11)にそれぞれ捲回されかつ1本の導線(15)により直列に接続される複数の巻線(L0、L1〜L4、L5〜L8)である。対角線上互いに反対位置にある複数の巻線(L1とL5、L2とL6、L3とL7、L4とL8)を選択的に逆方向に捲回するので、磁界の変化として各種硬貨の特徴を確実に検出できる。
【0007】
この発明の実施の形態では、中心突起(3)に対して同心円状にそれぞれ複数個、例えば4個の第1の突起(4〜7)及び第2の突起(8〜11)が形成される。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、この発明による硬貨選別用コイル装置の実施の形態を図1〜図8について説明する。
【0009】
図1に示すように、この発明による硬貨選別用コイル装置1は、鉄系材料により形成されたコア12と、コア12に取り付けられた複数の巻線13とを備えている。コア12は、円板部14と、円板部14からほぼ直角に突出する複数の突起3〜11とを有する。円板部14のぼほ中央に設けられた中心突起3には中央巻線L0が捲回される。中心突起3より上方に第1の突起4〜7が配置され、中心突起3より下方に第2の突起8〜11が配置され、第1の突起4〜7及び第2の突起8〜11は、図2に示すように、中心突起3に対して同一半径上の同心円状に配置される。また、第1の突起4〜7及び第2の突起8〜11にはそれぞれ巻線L1〜L4及びL5〜L8が捲回される。図3に示すように、巻線L0、L1〜L4及びL5〜L8は1本の導線15により直列に接続されるが、第1の突起4〜7及び第2の突起8〜11に捲回される巻線L1〜L4及びL5〜L8の巻方向に対して逆方向に中心突起3に巻線L0を捲回する。
【0010】
図4に示すように、硬貨選別用コイル装置1に対向してコア12から一定間隔離間して磁場発生装置20が配置される。磁場発生装置20は、円形のコア21と、コア21に捲回された巻線22とを備えている。図5に示す硬貨選別回路では、磁場発生装置20の巻線22は駆動回路23を介して振動パルスを発生する発振器24に接続されると共に、駆動回路23の制御端子は、発振出力のパルス幅、パルス波形、振幅等を制御する制御回路25に接続される。磁場発生装置20に対向しかつ一定間隔離間して配置される硬貨選別用コイル装置1の巻線13は検波回路30、オフセット減算回路31及び増幅器32を介して第1のA/Dコンバータ33に接続され、検波回路30の出力は、電源オン時の受信信号の信号レベルを調整する第2のA/Dコンバータ34に接続される。磁場発生装置20と硬貨選別用コイル装置1との間には硬貨が通過する通路35が形成される。
【0011】
図5の構成において、発振回路24から駆動回路23を介して磁場発生装置20の巻線22に矩形波、三角波又はサイン波等の振動パルスが印加され、通路35に磁場が形成される。この磁場は硬貨選別用コイル装置1により検出され、通路35を硬貨が通過すると、磁場が変化する。このとき、硬貨選別用コイル装置1の出力は検波回路30により包絡線出力に変換されるため、図6A〜Cに示すように、巻線L1〜L4及びL5〜L8は山形の出力を発生し、巻線L0は、溝形の出力を発生するから、合成信号は図6Dに示すように溝形の出力となる。この合成出力は図7Aに示すように、ほぼ1ボルト(V)の変動電圧で表されるため、図7B及びCに示すように、オフセット減算回路31により下方にオフセットされた後、0.7〜3.5ボルト(V)の範囲で増幅器32により増幅されて、波形成形される。図7Cに示す検出波形は第1のA/Dコンバータ33によりデジタル信号に変換されるが、図7Aの波形に比べて拡大された検出波形の各部の深さは時間経過に対して高精度でデジタル信号に変換される。図8は、50円、100円、500円及び10円の各硬貨を硬貨選別用コイル装置1により検出したときの増幅器32の出力波形を示す。このように、第1の突起4〜7及び第2の突起8〜11に捲回される巻線の巻方向に対して中心突起3に逆方向に巻線を捲回するので、磁界の変化として各種硬貨の特徴を確実に検出することができる。各硬貨に対する増幅器32の出力が完全に相違するため、第1のA/Dコンバータ33のデジタル信号により各硬貨を完全に識別することが可能である。
【0012】
この発明の実施の形態は、変更が可能である。例えば、磁場発生装置20を省略して、駆動回路23の出力により硬貨選別用コイル装置1に振動パルスを印加すると同時に、通路35を硬貨が通過したときに、磁界の変動を硬貨選別用コイル装置1により検出してもよい。図3に示す例では、巻線L0のみを巻線L1〜L4及びL5〜L8に対して逆方向に捲回する例を示したが、対角線上にある巻線L1とL5、L2とL6、L3とL7、L4とL8とを選択的に逆方向に捲回してもよい。巻線L1〜L4及びL5〜L8は4個ずつに限定されず1個ずつ以上であればよい。
【0013】
また、コア12の形状は円形に限定されず、図9に示すように棒状でもよく、又はX状又は四角形若しくは六角形等の多角形でもよい。
【0014】
【発明の効果】
前記のように、この発明による硬貨選別用コイル装置では、磁界の変化として各種硬貨の特徴を確実に検出でき、硬貨選別の際のトラブルを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明による硬貨選別用コイル装置の斜視図
【図2】 この発明による硬貨選別用コイル装置の平面図
【図3】 各巻線の接続状態を示す配線図
【図4】 磁場発生装置と対向して配置した硬貨選別用コイル装置の側面図
【図5】 この発明による硬貨選別用コイル装置を使用する硬貨選別回路を示す回路図
【図6】 図5の硬貨選別回路に使用する硬貨選別用コイルの各部の出力波形図
【図7】 図6に示す出力を波形成形した状態を示す波形図
【図8】 各種の硬貨から得られた波形図
【図9】 この発明による硬貨選別用コイル装置の他の実施の形態を示す斜視図
【符号の説明】
1・・硬貨選別用コイル装置、 3・・中心突起、 4〜7・・第1の突起、8〜11・・第2の突起、 12・・コア、 13・・巻線、 14・・円板部、 L0、L1〜L4、L5〜L8・・巻線、 20・・磁場発生装置、 21・・コア、 22・・巻線、 23・・駆動回路、 24・・発振回路、 25・・制御回路、 30・・検波回路、 31・・オフセット減算回路、 32・・増幅器、 33・・第1のA/Dコンバータ、 34・・第2のA/Dコンバータ、 35・・通路、

Claims (4)

  1. 硬貨の通過による磁場の変化を検出する硬貨選別用コイル装置において、
    円板部と、円板部から直角に突出する複数の突起を有しかつ鉄系材料により形成されたコアと、
    コアの複数の突起にそれぞれ取り付けられた複数の巻線とを備え、
    複数の突起は、中心に配置された中心突起と、中心突起の中心と同心円状に中心突起の外側に配置された第1の突起と、中心突起の中心と同心円状に中心突起に対して第1の突起と対称位置に配置された第2の突起とを備え、
    中心突起の直径は、第1の突起及び第2の突起の各直径より大きく、
    複数の巻線は、コアの中心突起、第1の突起及び第2の突起にそれぞれ捲回されかつ1本の導線により直列に接続され、
    第1の突起及び第2の突起に捲回される巻線の巻方向に対して逆方向に中心突起に巻線を捲回したことを特徴とする硬貨選別用コイル装置。
  2. 中心突起に対して同心円状にそれぞれ複数個の第1の突起及び第2の突起を形成した請求項1に記載の硬貨選別用コイル装置。
  3. 硬貨の通過による磁場の変化を検出する硬貨選別用コイル装置において、
    円板部と、円板部から直角に突出する複数の突起を有しかつ鉄系材料により形成されたコアと、コアの複数の突起にそれぞれ取り付けられた複数の巻線とを備え、
    複数の突起は、中心に配置された中心突起と、中心突起の中心と同心円状に中心突起の外側に配置された複数の第1の突起と、中心突起の中心と同心円状に中心突起に対して第1の突起と対称位置に配置された複数の第2の突起とを備え、
    中心突起の直径は、第1の突起及び第2の突起の各直径より大きく、
    複数の巻線は、コアの中心突起、第1の突起及び第2の突起にそれぞれ捲回されかつ1本の導線により直列に接続され、
    対角線上互いに反対位置にある複数の巻線を選択的に逆方向に捲回したことを特徴とする硬貨選別用コイル装置。
  4. それぞれ4個の第1の突起及び第2の突起を形成した請求項1〜3の何れか1項に記載の硬貨選別用コイル装置。
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