JP4151792B2 - 被膜形成方法 - Google Patents

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本発明は、高耐久性の高記録密度を有する量産性に優れた磁気記録媒体を高分子基板材料上に形成する製造装置、および形成方法に関するものである。特に耐摩耗性、潤滑性の機能が要求される保護膜の形成装置及び形成方法に関するものである。その産業上の利用分野は映像機器、及び情報機器分野等多岐にわたる。
近年、磁気記録媒体は高密度化の傾向にある。従来の磁気記録媒体の例としては、オーディオ,ビデオ用テープ材料に用いられるγ−Fe23粉末、CrO粉末、純鉄粉末等を研磨材、バインダーと共に高分子基板材料上に塗布した塗布型のものが知られている。さらに性能の高い磁気記録媒体では金属磁性材料を蒸着したものが用いられる。
また、これらの磁気記録媒体の表面に炭素を主成分とする被膜(炭素膜、DLCや硬質炭素膜とも呼ばれる)を成膜し、表面保護、耐摩耗性あるいは潤滑性を有せしめる技術が知られている。この炭素を主成分とする被膜はプラズマCVD法に代表されるCVD法により形成されるのが普通である。
代表的なプラズマCVD法は高周波電圧給電側(カソード)に基板を設置し、カソード近傍に形成されるセルフバイアスを用いて高硬度膜を作製している。一般に、接地電極(アノード)側では硬度の高い炭素膜は形成できない。
平行平板型のプラズマCVD法を用いて炭素を主成分とする被膜を成膜せんとする場合、磁気記憶媒体の基体となる有機樹脂基板はカソード電極側に設置せねばならない。高密度記録用の磁気記録媒体は一般に金属磁性材料を蒸着して得られるので、このような基体をカソード電極に接触させると基体が電極の一部のようになり高周波電界が漏れて、好ましくない領域で放電が発生してしまう。このような放電は基体である有機樹脂フィルムを破損する可能性が高く、生産の安定性や信頼性の点で問題があった。
また、ロールツウロール式の磁性層作製プロセスと同時に保護膜である硬質炭素膜を形成しようとすると、炭素膜の成膜速度が遅く、不可能であった。
また従来より、ダイヤモンド状の炭素被膜を成膜する技術が知られている。このダイヤモンド状の炭素被膜は、ダイヤモンド構造を有した炭素被膜であり、ダイヤモンドライクカーボン(DLC)膜とも呼ばれている。以下このような炭素被膜を硬質炭素被膜という。
このような硬質炭素被膜は、樹脂や高分子フィルムの表面にコーティングされ、耐磨耗層や保護膜として用いることができる。このような硬質炭素被膜を形成する方法として、図11に示すような成膜装置が知られている。図11に示す成膜装置は真空容器111内に、一対の電極112、114が設けられており、一方の電極112は高周波(一般には13.56MHz)電源115に接続されており、一方の電極114は接地されている。成膜がされる基板または基体は、113で示され、高周波電力が供給される電極112側に配置される。また、図示はしないが、反応性気体の供給系や排気系、さらには給電のための整合装置が設けられている。
図11に示すプラズマCVD装置は、高周波電源が接続された電極側、即ち接地電極の反対側の電極側、さらには基体側に電子が帯電するので、自己バイアスの作用によって基体側に膜の高品質化に寄与するHイオンやHラジカルが衝突し、ダイヤモンド構造を有する炭素被膜を形成できる。
この様な硬質炭素被膜は、磁気テープや光磁気ディスク等の磁気記録媒体の保護膜として利用することができる。これら磁気記録媒体は、磁性材料を利用するものであり、異物が混入したり、傷つけられたりするのを防ぐために、保護する必要がある。
このような技術として、特許文献1に記載されているような技術がある。この公報には、高周波放電に加えて、DCバイアスを印加することによって、ピンホールが102〜105個/mm2形成された炭素被膜を磁気記録媒体表面に形成することが記載されている。
特公平3−23973号公報
しかしながら、本発明者らの実験によれば、ピンホールの存在する硬質炭素被膜は、ピンホール中に水分等が侵入して、保護膜としての長期信頼性には欠けるものであることが判明した。また、硬質炭素被膜の硬度や密着性とピンホールの存在を無くすこととは、必ずしも両立しないことが判明した。
本発明の主な目的は、導電性である金属磁性層を有する磁気記録媒体表面に安定に高い信頼性で硬質炭素膜を生産できる装置を提供するものである。
すなわち、接地電極であるアノードに接触させた状態で十分な耐摩耗性、潤滑性を有する炭素膜が形成できる装置を提供することができる。
本発明の別の目的は、磁性層作製プロセスと同時に保護膜である硬質炭素膜を形成できる程度の、高速成膜が可能な装置を提供することである。
さらに、本発明の目的は、高速成膜を達成することによる新たな問題である、電極の汚れに起因するフレークの発生を抑制できる装置を提供するものである。
また本発明は、緻密で高い硬度と密着性を有し、かつピンホールの少ない硬質炭素被膜を磁気記録媒体の保護膜として形成することを目的とする。
本発明は、電磁エネルギーが印加される第1の電極と、接地された第2の電極を対向して配置し、高周波電界の印加により、該第1および第2の電極間でプラズマを生成し、該プラズマ中に導入した原料ガスを活性化せしめて被膜を形成する被膜形成装置において、前記第1の電極と第2の電極の間隔は6mm以下であり、かつ、前記電極間の圧力は15Torrから100Torrの間であることを特徴とする被膜形成装置である。
電磁エネルギーとしては、数十KHz〜数GHzの周波数を用いることができる。一般には、13.56MHzの高周波が利用される。また、複数の周波数を組み合わせたものを電磁エネルギーとして用いてもよい。例えば、1〜200Hzの極低周波と、1KHz〜1MHzの低周波、さらに10〜100MHzの高周波を組み合わせて電磁エネルギーとする方法を採用してもよい。即ち、それぞれの周波数が有する特質を複数組み合わせる方法を採用してもよい。
また本発明は、第1および第2の電極の間隔が6mm以下で、かつ、圧力が15Torrから100Torrの間であれば、基体を接地電極である第二の電極に接触させていても高硬度な炭素膜の形成が可能であるという点が主旨であり、発明人の実験的な知見によるものである。
本発明人は上記の知見に先立ち、一般に、プラズマCVDで選択される圧力領域(10mTorrから1Torr)よりかなり高い圧力領域(5Torrから760Torr)での、プラズマの物性を観察した。このような一般に考えられるものより高い圧力範囲に着目したのは、通常のプラズマCVDの成膜速度を桁違いに向上させたいと考えたからである。
プラズマCVDでの成膜素過程(ラジカルの発生、基板表面への輸送、表面での反応)を考慮すれば、
(1)成膜の前駆体となるラジカル密度の向上
(2)ラジカルの基体表面への輸送効率の向上
の2点を改善できれば成膜速度が向上することが理解できる。プラズマCVDの場合はラジカルはプラズマ空間全体で発生しており、ラジカルの輸送よりは発生の方が成膜速度への影響は大きいと推察できる。ラジカル密度の増加は反応圧力の上昇で可能と期待できる。つまり、高い圧力領域での成膜は高速成膜になることが期待できる。
成膜素過程にはさらに、
(3)膜表面での反応(表面脱離の抑制)
も考えられるが、プラズマCVDのような低温プロセスの場合は表面反応律速になることはなく、成膜速度への膜表面での反応過程は寄与しない。ただし、硬質炭素膜を製膜する場合は表面でのイオンの作用が膜質に大きく影響する。すなわち、硬質炭素膜では成膜中にイオンのボンバードメントを積極的に作用させ、膜中の強い結合を残し、弱い結合を切断しつつ成膜するものだからである。よって、一般にはカソード側に基板を設置し、セルフバイアスを用いて成膜する。
ラジカル密度の増加を成膜時の圧力増加で実現するとしても、ラジカル発生の前提となるプラズマが、圧力上昇によりその物性を大きく変化させては意味がない。そこで、本発明人は先に述べた通り、高い圧力領域(5Torrから760Torr)でのプラズマを観察した。
まず、高い圧力領域(5Torrから760Torr)でプラズマを発生させるための要件である。従来、低圧グロー放電が、10mTorrから1Torrの圧力領域で生成されていたのは、該圧力領域で最も放電が生成しやすい(すなわち、放電が安定である)からである。ある電極間隔d(通常の低圧グローの場合d=数十mm)の平行平板電極の間に存在する粒子が、電子と衝突する回数(電子は電極間の電界で加速され、一方の電極からもう一方の電極の方向に飛翔していると仮定する)は、その雰囲気の圧力に比例する(平均自由行程に逆比例する)。すなわち、圧力が低く、衝突回数が少ないと、電子は十分なエネルギーを持つため、衝突すれば粒子の電離はおこるものの、低圧力のため粒子自体が少なく、プラズマに成りえない。一方、圧力が高いと、電子の衝突回数が増加し、次の衝突までに電子は十分なエネルギーを持ちえず、衝突しても粒子をイオン化することができない。これは、パッシェンの法則として知られているもので、放電開始電圧Vが、圧力pと電極間隔dの積(pd積)の関数になり、あるpd積の値で最低放電開始電圧Vminが存在するというものである。
すなわち、高い圧力領域でプラズマを生成するには、短い自由行程間で粒子を電離するに十分な電界を電子に与える必要がある。これは電極間隔dを小さくすることと、電極間に印加する電圧を上げることで対処できる。
ただし、電極間に印加する電圧を上げることによる効果には限界がある。すなわち、グロー放電の場合、プラズマ内での電界分布は一様ではなく、電界は電極近傍に形成されるシース部に最も大きくかかる。次に、シース部に続く陽光柱部にかかる。シース部の長さはプラズマに特有のデバイ長さ程度であり、空間的に大部分を占める陽光柱にはあまり電界はかからない。よって、電極間に、多大な電圧を印加したとしても、空間的に大部分を占める陽光柱部での実質的な電界増加はあまり見込めない。もっとも、電極間電圧の増加分はシース部にかかるため、該領域での電離は促進される。シース部にかかる電界が限度を越えると、加速された電子が電極表面に衝突し、電極を加熱する事による電極からの熱電子放出が発生してくる。グロー放電の場合の電極からの電子放出機構は電界放出および二次電子放出であるが、熱電子放出が発生すると、電極からの電子放出に費やされる電界がほとんどなくなり、その分の電界はシース部にかかるようになる。そうなると、シース部の電子はさらに加速されて電極を加熱し、電極電位が維持される限り熱暴走を起こしてしまう。このような状態は負性抵抗であり、全路にわたって電流が流れるとアーク放電に移行する。
よって、高い圧力領域でのプラズマ生成には電極間隔の小さくすることが効果がある。ただし、電極間隔の下限値も存在する。プラズマを存在させるには、電極間隔はデバイ距離の数倍は少なくとも必要である。デバイ距離λは以下の式で表される。
λ=(ε0・κ・Te/q2・Ne)1/2
ただし、ε0は真空の誘電率
κはボルツマン定数
qは電荷素量
Teは電子温度
Neは電荷密度
である。
本発明のプラズマは電子密度が1015/m3、電子温度が2eV程度であることよりデバイ距離は約0.3mmとなる。よって、電極間隔は1mm以上あることが望ましい。
上記の通り、1Torrから760Torrまでの圧力での放電は可能であるが、プラズマの物性は大きく変化する。
100Torr程度から760Torrの圧力領域では、通常の電極構造では先に示したアーク放電への移行メカニズムにも示したように、放電が不安定になりやすい。そこで、本発明人の他の発明である大気圧放電の発生方法を利用することができる。
放電が負性抵抗を示しても系全体で負性抵抗を示さないように電極表面に耐熱性の誘電体を挿入する。該誘電体が正抵抗を持つため、系全体では正抵抗となる。この場合、誘電体が等価回路的には直列に入るため、電極間に印加する電界は交流とする必要がある。
さらに、該領域では、圧力が高く、空間中でのイオンおよび電子の衝突・再結合の確率が大きくなり、プラズマが消滅しやすくなる。よって、イオンおよび電子の拡散(特にイオンの拡散)を促進してプラズマを広げる必要がある。そのために、準安定状態を有する希ガス特にヘリウムもしくはアルゴンの添加が効果がある。希ガスは全ガスの80%以上とするのが好ましい。
また、磁場を作用させてプラズマを構成する粒子を拡散させることも効果がある。磁場の分布は電極の中心部より外部の方向に磁束を発散させるようにすると良い。こうすると、発散する磁束に沿って電子がドリフトし、該電子のつくる電場を打ち消すように陽イオンが引き寄せられる。結果としてプラズマが拡散する事となる。
前記のように、100Torr程度から760Torrの圧力領域では、電極表面の誘電体と希ガスの添加が必要であるが、100Torr程度以下の圧力領域では、誘電体と希ガスは必ずしも必要ではない。しかし、100Torr程度以下の圧力領域での誘電体と希ガスの存在は放電を安定させる効果があり有効である。ただし、コストの上昇と成膜速度の低下を招く要素となる。
本発明人は、前記の手段を用いて、5Torrから760Torrでのプラズマの物性を観察した。
実験に用いたガスはアルゴンで、電極はプラズマ安定化のため誘電体を挿入したものを用いた。誘電体は0.5mm厚さの焼結アルミナを用いた。高周波の周波数は13.56MHzである。
プラズマの代表的な物性値として電子温度(Te)と電子密度(Ne)とプラズマを維持するに必要な最低の電圧(Sustaining Voltage)を測定した。電子温度(Te)と電子密度(Ne)はラングミュアプローブ法(シングルプローブ法)を用いて、プラズマを維持するに必要な最低の電圧(Sustaining Voltage)は電源の端子電圧を測定した。結果を図7及び図9に示す。
図9に電子温度(Te)と電子密度(Ne)を同時に示す。電子密度(Ne)は、プローブ電圧を正電圧方向にかけていくと観察することのできる電子飽和電流領域が、観測できない圧力領域(60Torr以上)が存在するため、計算ができず、よって、60Torr以上は図示していない。40Torr以下での電子密度(Ne)は、圧力の上昇とともに1×1014/m3から1.7×1014/m3に徐々に上昇し、40Torrから60Torrの領域では急激に8×1014/m3まで上昇している。これは約40Torrを境にして、局部的にアーク放電が発生していることを示しており、該領域(40Torrから60Torr)のプラズマが不安定に成りつつあることを示している。しかし、これを利用すると、非常に高密度なプラズマを得ることができる。
図7は電子温度(Te)とプラズマを維持するに必要な最低の電圧(Sustaining Voltage)を同時に示す。プラズマを維持するに必要な最低の電圧(Sustaining Voltage)は、その物理的意味はともかく、装置としてのプラズマの取り扱い易さを示す物であり、出来るだけ低いことが好ましい。この観点からすると、10Torrから100Torrの間で極小を示しており、該領域で使用することが好ましい。
一方、電子温度(Te)のグラフは、60Torrを極小とし、U字型の形状となっている。15Torrから100Torrの中圧力領域では、これより低い圧力領域および高い圧力領域より、電子温度(Te)が低く、3eV以下となっている。
上記の結果はあくまで代表的な結果であり、全てを表しているわけではない。例えばガスをヘリウム、ネオン等に変えたり、炭化水素ガスを加えたり、ガス流量を変化させたりすると、結果は異なる。たとえば、電子温度(Te)が極小となる圧力は60Torrから100Torrの範囲で変化し、電子密度(Ne)が急激に増加する圧力は40Torrから80Torrの範囲で変化し、プラズマを維持するに必要な最低の電圧(Sustaining Voltage)が極小となる圧力は20Torrから100Torrの範囲で変化する。しかしながら、定性的にはほぼ同様の結果を得る。
以上のべたことより、中圧力領域(15Torrから100Torrの範囲)では、プラズマを維持するに必要な最低の電圧(Sustaining Voltage)が低くなることは装置の使い勝手、電源の軽量化および低コスト化の点から好ましく、電子密度(Ne)の増加はラジカル密度を増加させる効果の点で好ましい。
更に、中圧力領域(15Torrから100Torrの範囲)では、電子温度が低くなるため、ラジカルの生成に対しては不利ではあるが、プラズマの電位が接地電位であるアノードに対して上昇するため、アノードへのイオンのボンバードメントが発生する。これは、アノード側に設置した硬質炭素膜の作製には大変都合がよい。理由を以下に説明する。
プラズマ内の電子とイオンはその質量の差より、同じ電界強度の下で、電子の方が容易に運動する。よっで、電子の方がより容器に到達する確率が高くなる。容器が絶縁体であれば、容器が負に帯電することとなる。容器が導電体であれば、プラズマに接する容器がプラズマと同電位であると仮定すると、容器を介してプラズマの方向に電流が流れる。電流が流れては電荷中性の条件に反するので、電流のながれをキャンセルするようにプラズマの電位は容器に対して正の方向に動く。すなわち、容器が導電体であろうと絶縁体であろうと、電子とイオンの移動度の相違により、プラズマは容器に対して正に帯電する。
これは、接地電極側にもイオンシースが存在することを示す。もちろん、カソード(給電電極側)にもイオンシースが存在する。しかし、通常は、自然に発生するイオンシースはセルフバイアスにより発生するシースよりも十分小さいために無視されている。
イオンシースにより発生する電界は、イオンシースを電気二重層によるコンデンサと等価として見積もることが可能である。
電子の速度がボルツマン分布していると仮定すると、イオンシース内の電子密度は指数関数的に減少し、イオンシース内の空間電荷はエクスポネンシャルカーブとなる。イオンシースとプラズマとの境界は、プラズマのバルク電位に対して、
Vt=−κ・Te/2q
程度の電位になる位置と定義するのが妥当である。
これは、プラズマバルク内の電子がκ・Te/2程度のエネルギーで運動していることによる。
電子温度(Te)が大きくなると電子がイオンシース内に侵入するためイオンシースの厚さdは減少し、電気二重層の容量Cは増加する。逆に、電子温度(Te)が小さくなると、電気二重層の容量Cは減少する。
イオンシースに蓄積される電荷量は電子密度(Ne)すまわちイオン密度(Ni)に比例するため、電気二重層の両端にかかる電圧Vは、
V = Q/C
= (Ne)2/3・d/ε0・S
ただし、 dはイオンシースの厚さ
Sは電極面積
となる。すなわち、電子温度(Te)が小さいほどイオンシース内の電界は強くなり、アノードへのイオンのボンバードメントは大きくなる。
従来、アノード側では硬質炭素膜が生成できなかったが、本発明の装置では、圧力を中圧力(15Torrから100Torr)とし、結果として電子温度を低下させ、もって、アノードにもイオンのボンバードメントを発生させることにより、アノード側でも硬質炭素膜が成膜できるようになった。
また、本発明は、第1の電極に対向して、接地された円筒形状の第2の電極を有し、該第2の電極の一部に、被膜が形成されるべき基体であるフィルムが巻き付けられ、前記円筒形状の第2の電極が回転することにより、前記フィルムが前記第1および第2の電極の間を通過する機構を有し、前記第一の電極に高周波の電界を印加して前記第一及び第二の電極間の空間をプラズマ化せしめて、該プラズマ中に導入した原料ガスを活性化せしめて被膜を形成する被膜形成装置において、前記第1の電極の周端部が絶縁体で覆われ、前記第1の電極および第2の電極と絶縁体により実質的に閉空間が構成され、該閉空間には前記第1の電極に設けられた細孔を介してガスが供給され、前記閉空間内にプラズマが閉じ込められて外部に漏れにくくなっている構造を有し、かつ、前記第1の電極と第2の電極の間隔は6mm以下であり、かつ、前記閉空間内の圧力は15Torrから100Torrの間であることを特徴とする被膜形成装置である。
これは、中圧力とすることに加えて、プラズマを閉空間に閉じ込めることにより、好ましくない領域での放電を防止し、更に、より高密度のプラズマを生成して、アノードへのボンバードメントの増加を実現したものである。
好ましくない領域は、具体的には電極周辺部である。電極中心部は一般に電界は一定もしくは均一な変化率を有している。しかし、電極周辺部特に給電電極の端部では電界強度は大きくなり、該領域に放電が集中することとなる。すなわち、該領域のプラズマ密度の増加によりインピーダンスが低下し、電流は該領域に多く流れるようになる。すると、電力の多くは周辺部で消費され、電極中心部でのプラズマ密度は低下してしまう。これは電子密度の上昇を招き、電極中心部のイオンのボンバードメントが低下することとなる。
よって、給電電極(第1の電極)の周端部を絶縁体で覆い、プラズマを中心部分に閉じ込めることにより前記問題を解決したものである。
更に、本発明は、第1の電極に対向して、接地された円筒形状の第2の電極を有し、該第2の電極の一部に、被膜が形成されるべき基体であるフィルムが巻き付けられ、前記円筒形状の第2の電極が回転することにより、前記フィルムが前記第1および第2の電極の間を通過する機構を有し、前記第1の電極に高周波の電界を印加して前記第1及び第2の電極間の空間をプラズマ化せしめて、該プラズマ中に導入した原料ガスを活性化せしめて被膜を形成する被膜形成装置において、前記第1の電極が前記第2の電極に対して形成する電界強度が前記第1の電極の表面において最も強く、前記第2の電極の表面において最も弱くなるように、電極を構成するとともに、前記第1の電極と第2の電極の最短間隔は6mm以下であり、かつ、前記第1の電極と第2の電極の間の圧力は15Torrから100Torrの間であることを特徴とする被膜形成装置である。
これは、中圧力とすることに加えて、第1の電極すなわちカソード周辺の電界強度を高め、該領域でプラズマの密度を増加させたものである。第1の電極すなわちカソード電極の形状としては平板の端部を用いた物のほか、ナイフ状、針状のものが有効である。
すなわち、電界強度の不均一な領域を積極的に利用して、高密度のプラズマを実現したものである。
また、本発明は、高周波電界が印加される第1の電極と、接地された第2の電極を対向して配置し、高周波電界の印加により、該第1および第2の電極間でプラズマを生成し、該プラズマ中に導入した原料ガスを活性化せしめて被膜を形成する被膜形成装置であって、接地された円筒形状金属表面に、前記第1および第2の電極間で発生したプラズマが吹きつけられるように、該円筒形状金属を配置し、該円筒形状金属の一部に、被膜が形成されるべき基体であるフィルムが巻き付けられ、前記円筒形状金属が回転することにより、前記フィルムが吹きつけられたプラズマ領域を通過する機構を有してなる被膜形成装置において、前記第1の電極と第2の電極の間隔は6mm以下であり、かつ、前記1の電極と第2の電極の間の圧力は15Torrから100Torrの間であることを特徴とする被膜形成装置である。
これは、平行平板もしくは同心円筒状電極構造を有するプラズマ発生装置で、同様に中圧力とすることにより高密度プラズマが形成できるが、これをガス流でもって積極的に基体に吹きつける物である。中圧力のため、ガスの拡散は低圧に比べて遅くなり、ラジカルの輸送が律速する場合がある。これを吹きつけにより解決したものである。
また、本発明は、前記プラズマ空間内に供給されるガスは炭化水素、ハロゲン化炭素およびハロゲン化炭化水素からなる群より選ばれたガスと水素の混合ガス、もしくは、該混合ガスと希ガスの混合ガスであることを特徴とする各請求項に記載の被膜形成装置である。
中圧力としたことにより高速度での成膜が実現できるが、一方、カソードへの膜の付着が問題となる。これを、炭素のハロゲン化物を添加することにより解決するものである。
本発明では、アノード側にイオンのボンバードメントを作用させて、アノード側でも硬質炭素膜が形成きるものであるが、カソード側にもアノード側よりも大きなセルフバイアスがかかるので、イオンのボンバードメントはアノード側よりも強くなる。本発明では、この現象を利用して、エッチング作用を有したハロゲン系ガスを原料ガスに添加し、カソード側では成膜ではなくエッチングをおこなうものである。
炭素のハロゲン化物、たとえば4フッ化炭素はエッチングガスとして知られている。4フッ化炭素ではエッチング作用のみ見られるわけだが、6フッ化2炭素もしくは8フッ化3炭素等では、セルフバイアスの強さにより、エッチングされたり、成膜されたりする。すなわち、セルフバイアスが強く、イオンのボンバードメントが強い場合にはエッチングされ、セルフバイアスが弱く、イオンのボンバードメントが弱い場合には成膜される。
本発明では、成膜されることが好ましくないカソード側の方がボンバードメントが強く、大変都合がよい。
これにより、カソード側の膜生成が抑制でき、フレークの発生を抑制できる。さらに、装置のメンテナンス期間が延ばせるので、スループットが向上し、コスト削減に大きく寄与できる。
また、超LSIプロセス等の場合はコンタミネーションの原因となるため、避けられることがおおいが、本発明のように炭素膜の形成の場合はコンタミネーションを気にする必要もない。
また、本発明は、基体であるフィルムは導電性のフィルムであることを特徴とする被膜形成装置である。
カソード側でなく、アノード側にしか置くことが出来ない導電性フィルムの場合、本発明は最も有効となる。
さらに本発明は、基体を超音波振動させながら、硬質炭素被膜を形成することを要旨とする。特に基体として磁気記録媒体を用い、この磁気記録媒体の保護膜として硬質炭素被膜を形成することを特徴とする。
また、硬質炭素被膜が形成される基体が配置される方の電極に高周波電源を接続し、他方の電極を接地電極とした平行平板構成のプラズマCVD装置において、基体に超音波振動を加えつつ、炭素被膜を形成することを特徴とする。
さらに本発明は、基体として帯状のフィルム基体(例えばテープ状のフィルム)を用い、この基体に超音波振動を与えつつ走行させ、その表面に硬質炭素被膜を形成することを特徴とする。
また基体としてフィルム状基体を用い、この基体が電極間方向に振動するようにすることによって、パルスモード、あるいは高周波モードでバイアスを加えた状態を実現することを特徴とする。
さらに本発明は、硬質炭素被膜の1mm2当たりのピンホールの数が30個以下であることを特徴とする。この硬質炭素被膜の膜厚は、5nm〜200nm、好ましくは10nm〜50nmとすればよい。
この保護膜として利用される硬質炭素被膜中に、Si、B、N、P、Fから選ばれた少なくとも一種類の元素を20原子%以下含有させることは、被膜の密着性を向上させたり、導電性を与えたりするのに効果がある。例えば、硬質炭素被膜中にSiとPを含有させることによって、その導電率を高め、静電気が帯電しにくい保護膜とすることができる。
基体が超音波振動することによって、粒の小さいクラスタ状炭素、あるいは炭素分子を基体表面に堆積することができ、成膜される炭素被膜を緻密で均質なものとすることができる。これは、基体が超音波振動していることによって、大きな炭素分子は振動している基板から弾かれてしまい、特定の大きさ以下の分子が基体表面に堆積し易くなるからである。
また基体として、磁気テープ等の細長いフィルム状のものを用いた場合には、基体に超音波振動を与えることによって、基体が絡むことを防ぐことができる。
また、基体表面に付着したパーティクル(膜とならない粉状の原材料)を超音波振動によって除去することができる。
また、平行に配置された電極間方向に超音波振動を加えることによって、電極間に交流バイアス電圧を加えた状態を実現できる。この作用は、フレキシブルで大きな振幅がとれる磁気テープ等のフィルム状基体を用いる場合に特に有効に作用する。
上記基体に超音波振動を与える構成は、本明細書で開示する全ての発明に利用することができる。
本発明により、導電性である金属磁性層を有する磁気記録媒体表面に安定に高い信頼性で硬質炭素膜を生産できる装置を提供することができる。
また、従来では十分に硬度の高い炭素膜が接地電極側で形成することができなかったが、本発明により、接地電極であるアノードに接触させた状態でも十分な耐摩耗性、潤滑性を有する炭素膜が形成できる装置を提供することができる。
さらに、本発明により磁性層作製プロセスと同時に、保護膜である硬質炭素膜を形成できる程度の、高速成膜が可能な装置を提供することができる。
また、本発明により、高速成膜を達成することによる新たな問題である、電極の汚れに起因するフレークの発生を抑制できる装置を提供することができる。
これにより、カソード側の膜生成が抑制でき、フレークの発生を抑制できる。さらに、装置のメンテナンス期間が延ばせるので、スループットが向上し、コスト削減に大きく寄与できる。
また、本発明の製造装置で作製された磁気記録媒体は、磁性層と炭素を主成分とする被膜との界面特性,密着性が改善され、高品質なもとすることができる。更に大気にさらすことを避けるだけでは、磁性層表面に生成される低級酸化物は本質的に除去できないが、本発明によるプラズマ活性化処理が効果的である。
また、炭素を主成分とする被膜の表面特性すなわち、耐摩耗性、高平滑性,硬度等が著しく向上し、産業的にも十分価値のある磁気記録媒体の製造を可能とし、従来問題とされていた連続形成上の律則点も回避することができる。
基体に超音波振動を与えながら硬質炭素被膜を形成することで、緻密で良好な膜質を得ることができる。特にピンホールの数が30個/mm2以下であるという極めて緻密な炭素被膜を得ることができ、保護膜として極めて有用である。
本発明の実施例を図に基づいて説明する。
図4において、真空容器1内の供給ロール2から送られる高分子基板材料3はフリーローラガイド4を経由して、円筒状キャン7に沿って矢印の向きに走行する。
本実施例では、高分子基板材料3として幅4cm,厚さ6μmのポリイミドフィルム(一般に磁気テープの基体として利用される)を使用した。
蒸発源6から蒸発した金属原子は高分子基板材料3上に堆積し、磁性層して0.15〜0.18μmの膜厚に形成される。
本実施例では、蒸発物質として、Co−Cr−Ni合金を用い、広範囲な走査が可能なピアス型電子銃を用い、加速電圧を35KV加え、5×10-4Torrの動作圧力で電子ビーム蒸着法により形成した。高分子基板材料3の通過速度は135m/minとした。なお、遮へい板5は堆積領域を制限する為に設けられたものである。
円筒状キャン7と形成された磁性層との間には、フリーローラガイド4を介して、直流電源15によって電位差が与えられる。ここでは、高分子基板材料3と円筒状キャン7とは静電的に密着するよう80Vの電圧を印加した。
磁性層が形成された高分子基板材料3は、中間ロール8を経由して真空容器9へ導かれ、プラズマ活性化処理がなされる。
ここで、プラズマ活性化処理工程について説明する。
接地電極10と高周波給電電極11が平行に3cmの間隔で配設された電極間に原料ガス供給系18より水素ガスを導入し、排気系19で排気しながら動作圧力を10-1〜10-2Torrに制御し、13.56MHzの高周波を0.5W/cm2の電力密度で高周波電源系12から印加し、水素プラズマを形成する。そして形成されたプラズマ領域16を高分子基板材料3が磁性層形成工程に同期した速度で通過するように構成されている。
この工程を施すことで、磁性層表面が活性な水素ラジカルあるいは、水素イオンに曝される。この結果、適度に清浄化されると同時に磁性層の表面の活性化が促進される。同様な効果はアルゴンガス及びアルゴンと水素の混合ガスを用いた場合でも行なうことができる。
尚、真空容器9バッファー室20を隔てる壁に開けられた高分子基板材料3が通過するべき隙間の大きさは前記真空容器2で生成されるプラズマ16のデバイ距離もしくは該プラズマ領域16の圧力における平均自由行程より小さくするとよい。そうするとプラズマがバッファー室20に漏れだすことがなくなる。
次に炭素を主成分とする被膜の形成領域である真空容器13について説明する。フリーローラガイド4を介して導かれた磁性層が堆積された高分子基板材料3には、複数のビーム型プラズマ発生装置が配置された領域を通過する過程で良質の炭素を主成分とする被膜が形成される。
ここで、ビーム型プラズマを発生させるプラズマ発生装置について図1を用いて説明する。図1に示すプラズマ発生装置は、ヘリウムやアルゴン等の希ガスを主体としたガスを用いて、1Torrを越え200Torr未満の中圧力、好ましくは5〜150Torr、さらに好ましくは50〜100Torrの圧力においてプラズマを生成することができる。希ガスとしては、ヘリウム、アルゴン、キセノン、ネオン、クリプトンから選ばれた少なくとも一種類のガスを用いることができる。勿論これら希ガスを混合して用いてもよい。
ただし、コストを度外視すればヘリウムが放電の安定性が良く好ましい。コストを考慮すれば、放電安定性には難があるもののアルゴンがより安価である点で有利である。アルゴンを用いる場合には、絶縁体の比誘電率が9以上のもの例えばアルミナ等が好ましい。
本実施例においては、図1に示す一つのプラズマ発生装置が発生させるプラズマの領域が20mmφ強であるので、図5に示すように、4つのプラズマ発生装置52を互い違いに配置し、幅20mmの高分子基板材料3の表面に均一に炭素を主成分とする被膜が成膜できる構成としてある。
以下において図1に示すプラズマ発生装置の概要を説明する。
図1に示すプラズマ発生装置は、同軸状に構成された電極間において放電を起こしてプラズマを生成し、このプラズマを装置外にビーム状に噴射する。放電は希ガスを主体としたガスを用いることによって行なう。炭素を主成分とする被膜を成膜するには、希ガス中にメタンやアルコール等の原料ガスとして炭化水素気体を添加することによって行なわれる。また後述するように電極構造を工夫し、原料ガスを別途供給することで成膜を行なうこともできる。
図1に示す装置において、放電は中心導体31、円筒状絶縁体33、外側導体29により構成される同軸円筒電極で行なわれる。具体的には、中心導体31と円筒状絶縁体33との隙間において放電が行なわれる。本実施例においては、円筒状絶縁体33と外側導体29との隙間にはガスが供給されないのでこの部分での放電は行なわれない。
本実施例では中心導体31はステンレス、円筒状絶縁体33は石英ガラス、外側導体29はステンレスを用いて構成されている。円筒状絶縁体としてはなるべく誘電率の大きな材料を用いることが望ましい。また中心導体31の表面に凹凸や突起物を設け、放電が容易になるようにすることは有用である。
中心導体31はMHV同軸接栓21に接続され、MHV同軸接栓21につながれた同軸ケーブルを介して交流電源12(図4参照)より交流電界が印加され、中心導体31と外部導体29との間に電磁エネルギーが供給される。中心導体31と円筒状絶縁体33との間に供給される希ガス(例えばヘリウム)を主成分とする気体は、ガス導入口10より供給され、テフロン(登録商標)製絶縁体22、27の間を通って流れ込む。テフロン(登録商標)製絶縁体22、27は不要な場所での放電を防止する役割もある。匡体23、28は締めつけ治具25、26により固定される。匡体23、28と締めつけ治具25、26はステンレスで作製され、外側導体29と共に接地電位に保たれる。
希ガスを主体とするガスにおける希ガスの割合は、希ガスが80%以上であることが望ましい。これは、数Torr以上の圧力においては、主に希ガスがプラズマ化し、このプラズマ化した希ガスのエネルギーによって、原料ガスが活性化され、原料ガス(例えばメタン)は殆ど直接活性化されないからである。また、不要になったガスは排気系19(図4参照)より排気される。
導入された希ガスを主体とする気体が各部品の隙間より漏れないようにOリング24でシールされている。また、円筒状絶縁体33と外側導体29との隙間には導電性の金属フォイルが充填されている。従って、円筒状絶縁体33と外側導体29との隙間にはガスは流れない。勿論この隙間にガスを流してもよい。
本実施例においては、被形成面(高分子基板材料3)と中心導体31の距離は2mmである。なお、中心導体31の直径は5mm、円筒状絶縁体33外径は22mm、厚さは1mmである。また電極の長さは30mmである。発生するプラズマは希ガスとしてヘリウム90%のガスを用いた場合、直径20mm強のプラズマが生成される。即ち、直径20mm強の領域にプラズマ処理を施すことができる。
図1のA−A’で切った断面を図2に示す。図2には、中心導体31、外側導体29、円筒状絶縁体33が示されている。希ガスと原料ガスとの混合ガス(希ガスを主体としたガス)は、隙間32を通り、この隙間32でプラズマ化される。そして装置の外部へとビーム状のプラズマが噴射され、活性化された原料ガスによって成膜が行なわれる。
図4に示す構成においては、高分子基板材料3の幅が20mmであるので、図5に示すように図1に示すプラズマ発生装置(図5では52で示される)を4つ互い違いに配置し、均一な成膜が行なわれる構成としてある。この4つのプラズマ発生装置52は、図4の41で示される部分に配置され、電源12から13.56MHzの高周波が個々500W供給される。プラズマは51で示される領領域で発生し、その領域において成膜が行なわれる。本実施例においては、希ガスとしてヘリウム、原料ガスとしてメタンを用いることにより、炭素を主成分とする被膜を成膜することができる。
成膜条件を以下に示す。
投入電力 500W(1基あたり)
圧力 100Torr
ガス ヘリウム:メタン=100sccm:10sccm(1基あたり)
また生成されるプラズマは低温グロー放電であり、その温度は100℃以下である。従って、気体が高分子基板材料であっても何ら問題はなく、良好な成膜を行なうことができる。
なお図4の42で示されているバイアス電源42を用いて直流、または交流(高周波)のバイアス電圧を被形成面に対し加えてもよい。さらに被形成面に対して磁場を加え、ビーム状のプラズマが効果的に被形成面に噴射されるようにしてもよい。
図5に示されるようなプラズマ発生装置の配置方法は、必要とされる成膜速度や被形成面の大きさによって自由に設定することができる。例えば、図5に示すような構成をさらにもう一組設ければ、成膜速度を2倍にすることができる。
この炭素を主成分とする被膜の成膜は、前述の2つの工程と連動した通過速度で行なわれ、約20nmの膜厚の炭素を主成分とする被膜が成膜されることとなる。成膜が終了した高分子基板材料3は、フリーローラガイド4を介して巻取りロール14に回収される。
本発明を実施するにあたり、磁性層の形成前の処理としては、必要に応じイオン及び電子等の照射、あるいは加熱等公知の技術を用いて行うことができる。また基板として、例えば、本実施例ではポリイミドフィルムを用いたが、金属樹脂,プラスチック等をロール状あるいは板状にして用いてもよい。
本実施例において作製した磁気記録媒体を8mm幅のテープ状にカットし、市販の8mmビデオデッキを用い、再生出力及び耐久性の評価を行ったところ炭素を主成分とする被膜の膜厚が20nm以上のものでは、走行安定性,スチル耐久性の優れたドロップアップの少ない安定な再生出力が得られた。
また、正規の再生動作の他に特殊な再生動作の連続,断続試験においても優れた耐久性を示すことが確認できた。
本実施例は、実施例1に示した構成において、同軸状の放電電極部分において反応生成物が付着しない構成とした例である。本実施例が実施例1に示す構成と異なるのは、図3に示すように、中心導体(中心電極31)を中空とし、その中空部分30に原料ガスを流す構成とした点である。なお図3は図1のA−A’で切った断面の概略図である。
このような構成を採用した場合、隙間32に希ガス(例えばヘリウム)を流し、中空部分30に原料ガス(例えばメタン)を流すこととなる。中空部分30では放電が起こらないからここでは原料ガスは全く活性化されず、装置外部に排出される。一方、隙間32を流れる希ガスは、中心導体31と外側導体29との間で行なわれる高周波放電によってプラズマ化される。そして装置を出た所で活性化されていない原料ガスがプラズマ化された希ガスによって同軸状に包み込まれ、希ガスのプラズマエネルギーによって活性化あるいはプラズマ化されることとなる。
原料ガスは装置の外部で活性化されるので、装置内に反応生成物が付着し、フレークが発生する可能性を根本的に排除することができる。また装置の外部において原料ガスがプラズマ化された希ガスによって包み込まれることになるので、その収集効率を極めて高くすることができる。
本実施例は、図4の41で示される部分に配置されるプラズマ発生装置をシート状(板状)のプラズマ発生装置とした例である。このシート状プラズマ発生装置の構成を図6に示す。
図6に示す装置は、平行平板型の電極を有し、この平行平板電極で生成されたプラズマを板状のプラズマとして装置外部に引出し、このシート状のプラズマを用いるものである。
図6において、平行平板電極部分は、電極板61、絶縁体板63、外側匡体62より構成される。絶縁体板63は外側匡体62に密接して設けられている。本実施例では電極板61はステンレス、絶縁体板63は石英ガラス、外側匡体62はステンレスを用いてある。電極板61は3つのテフロン(登録商標)シールド620、621、622にて他と絶縁され、MHV同軸接栓611に接続されている。そして電極板61にはMHV同軸接栓611につながれた同軸ケーブル(図示せず)を介して交流電源(13.56MHz)64(図4の42に対応)より交流電界が印加される。電極板61と絶縁体板63の間に供給される希ガスは、ガス導入口612より供給され、テフロン(登録商標)製絶縁体613に彫り込んだガス溝を通って供給される。テフロン(登録商標)製絶縁体613は不要な場所での放電を防止する役割もある。外側匡体62と電極板ホルダー616は天板617において螺子固定される。電極板ホルダー616と天板617はステンレスで作製され、外側匡体62と共に接地電位に保たれる。対向する絶縁体板の幅すなわち放電部幅(図6でいうと電極の奥行き方向の長さ)は25mm、絶縁体厚さは1.0mmである。また電極間隔は5mm、電極長(図6でいうと縦方向の長さ)は30mmである。従って、概略5mm×25mmのシート型プラズマが生成されることとなる。
上記の装置にヘリウムを100sccmを供給し、100Torrの圧力において周波数13.56MHzの高周波電力を500W加えたところ、該放電部幅全域において安定な放電が得られ、シート状(板状)プラズマを装置外部に放出させることができた。またこの状態を10分間以上に渡って保持しても、過熱など装置上の障害はなんら発生しなかった。
放電によって形成されたプラズマの温度をプラズマを熱電対に吹きつけることによって、測定したところ、室温〜70℃程度の温度を示した。このことより、低温のグロー放電が行われていることが確認される。
図4に示す構成に利用する場合は、添加ガスとしてメタンやエチレン等の原料ガスを流せばよい。また成膜速度を高める場合や、成膜面積を大きくする場合は、複数の装置を図5に示すように配置すればよい。
本実施例は、図4の41で示される部分を図8で示される構成とした例である。図8において、81はフィルム状の基体である。このようなフィルム状基体としては、磁気記憶媒体のテープを挙げることができる。82は、カソード電極であり、高周波電源87にマッチングボックス86を介して接続されている。85はアノード電極を構成する円筒形状電極であり、接地されている。このアノード電極85とカソード電極82との間におけるプラズマ反応空間89において高周波放電が行われる。またアノード電極82は回転し、フィルム状基体81がスムーズに移動するように構成されている。83は絶縁体である。84は、ガス導入管であり、原料ガスや希釈ガス、さらには添加ガスは、このガス導入管84を通ってプラズマ放電空間89に導かれる。これらのガスは、ガス導入管84からアノード電極82に設けられた細孔88に導かれ、プラズマ反応空間に噴出する。
カソード電極82の幅(放電に有効な幅)は、20mmであり、その長さは30cmである。また円筒状のアノード電極85は、直径が20mmであり、その長さが30cmである。またカソード電極82とアノード電極85との間隔は5mmである。この一対の電極の間隔は10mm以下であることが好ましい。
以下にフィルム状の基体81として、金属磁性体が蒸着された幅10インチの有機樹脂フィルムを用い、その表面に硬質炭素被膜を30nmの厚さに成膜する例を示す。ここでは、フィルム状の基体を12m/min(20cm/sec)で移動させるとする。この場合幅20mmの放電空間89をフィルム状の基体が0.1秒で移動することになる。従って、30nmの厚さに成膜を行うには、成膜速度として、300nm/secが必要とされる。
以下において、図8に示す構成を用いて、300nm/secの成膜速度を得るための条件を示す。
反応圧力 60Torr
投入電力 300W(5W/cm2)(13.56MHz)
原料ガス C24:H2:Ar=1:1:2(計1000sccm)
添加ガス C26(C24 に対して10%添加)
上記成膜条件とすることによって、300nm/secの成膜速度を得ることができる。そして、フィルム状の基体81の表面に30nmの厚さに硬質炭素被膜を成膜することができる。
添加ガスとして、C26を用いたのは以下の理由による。一般に上記のように高い成膜速度で成膜を行うと、カソード電極に多量の反応生成物が付着する。この反応生成物はフレークとなり、成膜の障害となる。従って、カソード電極に反応生成物が付着しない工夫が必要とされる。
一方、図8に示すような構成とした場合、自己バイアスの作用によって、カソード電極82がマイナス電位にバイアスされ、プラズマ放電によって生じたプラスイオンがカソード電極82側に引き寄せられる。その結果、カソード電極82側がスパッタされることになる。
そこで、本実施例のように添加ガスとしてC26を用いると、カソード電極82側がスパッタされ、エッチングされることになる。従って、カソード電極82に付着する反応生成物は付着と同時にエッチングされることになる。こうして、カソード電極に反応生成物が付着することなく、硬質炭素被膜の成膜を行うことができる。
ここで、C26を用いるのは、C26には、Fによるエッチング作用とCによる硬質炭素膜の成膜作用とがあるからである。ここで、CF4を添加ガスとして用いることもできる。しかし、CF4は硬質炭素膜に対する成膜作用がないため、硬質炭素膜の成膜に寄与するC26を用いることが好ましい。
以上説明したように、カソード電極82をハロゲン系ガスによってエッチングしつつ、アノード電極85側の基体上に成膜を行うことによって、カソード電極82に反応生成物を付着させることなしに、フィルム状の基体81の表面上に成膜を行うことができる。
図10に示すのは、基体113表面に硬質炭素被膜を形成するプラズマCVD装置である。図10に示す装置は、基体113を超音波振動させながら成膜を行うことが特徴である。以下、図10に示すプラズマCVD装置について説明する。また、基体113としては、光磁気ディスク等の磁気記録媒体を用いる。
図10に示すプラズマCVD装置は、反応性気体を活性化(プラズマ化)させるための一対の電極112と114を真空容器111内に有している。電極114は接地されており、電極112は高周波電源115に接続されている。ここでは高周波電源115として、13.56MHzの高周波を発生するものを用いる。また、図には示さないが、ガス導入系や排気系、さらにはマッチング装置等が配置される。また必要に応じて、ヒータや赤外光ランプによる加熱手段が設けられる。
電極112上には、一対の電極122と123とに挟まれた圧電素子121が設けられ、その上に基体113が配置される。圧電素子121へは、電源125より高周波が加えられ、所定の周波数で圧電素子121は振動する。この周波数は任意であるが、例えば1KHz〜100MHzまでの周波数を利用することができる。
また、電極123と電極112とは絶縁する必要がある。さらに、必要に応じて基体113は電極122にろう材や接着材、さらには突起や鍵型の係止部材(基体を固定する部材)により機械的に固定される。
圧電素子121としては、水晶、ロッシュル塩、ニオブ酸リチウム、チタン酸バリウム、チタン酸ジルコン酸鉛(PZP)、その他有機圧電物質、圧電セラミックス等を用いることができる。
図12に圧電素子121の部分を拡大した概略図を示す。図12に示されているのは、圧電素子121と該圧電素子に電圧を加えるための一対の電極122と123、さらに硬質炭素被膜が成膜される基体113、それに圧電素子に電圧を加えるための高周波電源125である。また基体113は、圧電素子121が超音波振動するに従って振動する。
圧電素子121は、そのカット方向によって、振動方向や振動数を選択することができる。振動方向は、圧電素子121の厚さ方向、面方向を選択することができ、その振動のモードもすべり振動、あるいはたわみ振動とすることができる。振動出力の制御は、圧電素子121に加わる電圧をモニターすることによって行うことができる。
また、図10に示すプラズマCVD装置において、一対の電極112と114との間隔はできうる限り狭くすることが好ましい。これは実験的に見出された事実である。具体的には、10mm以下の間隔であると、速い成膜速度と良質な膜質が得られる。しかし、図10に示したような構成を採用した場合、この電極間隔は、圧電素子121の厚さや基体113の厚さによって制限されるので、その値を20mm以下とすることが好ましい。
以下に基体113上に硬質炭素被膜を成膜する条件を示す。ここでは、基体113として光磁気ディスクの代わりに有機樹脂板を用いた。
原料ガス エチレンガス+水素ガス
動作圧力 80Pa
高周波電力 1.5KW
基体温度 非加熱
上記条件で基体113上に成膜された硬質炭素被膜は膜厚が20nmであり、剥離が少なく、緻密な膜質であった。また、硬質炭素被膜中におけるピンホールの数も平均して10個/mm2以下であった。
本実施例は、実施例5とは異なる手段で、基体113に超音波振動を与える構成に関する。図13に本実施例のプラズマCVD装置の概略を示す。図13において特徴とするのは、電極112を超音波振動子141によって振動させる構成である。このような構成とすることによって、基体113を超音波振動させることができる。また、図13に示すような構成を採ることで、一対の電極112と114との間隔を10mm以下とすることができ、高速成膜を実現することがで
きる。
本実施例は、磁気テープ等のテープ状の材料に硬質炭素被膜を被覆する例である。図14に本実施例で用いられるプラズマCVD装置の概要を示す。図14に示すプラズマCVD装置は、真空容器内にロール状の電極155とこのロール状の電極155と対をなす電極156と、超音波振動子を兼ねたガイドローラー153、154と、巻き送り用のドラム151または152、巻き取り用のドラム152または151が備えられている。また図示はしていないが、反応性ガスやドーピングガス、さらには希釈ガス等のガス導入系と、ガス排気系が設けられている。
ここでは、テープ状の基体として、ポリイミドフィルムの帯状基体(磁気テープの基体材料)を用いている。図14に示すように、帯状のフィルム基体157は、一方のドラム151または152から他方のドラム152または151へと巻き取られ移動する。ドラム状の電極155は13.56MHzの高周波電源115に接続されており、接地電極である電極156との間で放電が行われる。この際、ドラム状の電極155も基体157の移動に従って回転する。そしてこの時、フィルム状の基体157の表面に硬質炭素被膜が成膜される。
即ち、各ドラムとローラーが回転することによって、一方のドラムから他方のドラムにフィルム状の基体が移動し、その際にフィルム状の基体表面に硬質炭素被膜が形成される。
以下に実際の成膜条件の一例を示す。
基体 :幅180mmのポリイミドフィルム
投入電力:1.5KW
成膜圧力:100Pa
基板間隔:10mm
成膜ガス:C26 200sccm
2 50sccm
基体の移動速度は、50m/minとした。また成膜された硬質炭素被膜の膜厚は20nmである。
成膜された硬質炭素被膜の膜質をラマンスペクトルにより測定したところ、ダイヤモンド状の炭素膜としての特徴を示し、良質な硬質炭素被膜であることが確認された。またピンホールの数も30個/mm2以下であり、耐薬品性や水分に対するブロッキング作用も良好であった。
図14に示す構成においては、フィルム状の基体157にガイドローラー153、154より超音波振動を与える構成であるが、このようにすると、一対のガイドローラ153、154より面振動として、フィルム状の基体157に超音波振動を与えることができる。
特に、ガイドローラ153、154による超音波振動を基体157に与えることによって、反応空間(放電が行われる電極155と156の間の空間)以外の場所において、テープ状に細長いフィルム状の基体157が絡むことを防ぐことができる。さらには基体157の表面に付着したパーティクルを除去することができ、生産性の向上を得ることができる。
また、成膜が終了した基体157は、ドラム151または152に巻き取られる。
フィルム状の基体157への超音波の与え方は、ガイドローラー153、154によるものでなく、別に超音波振動子をフィルム状の基体157に接触させて、超音波振動を与える方法でもよい。また、フィルム状の基体157と接触しているドラム状の電極155を超音波振動させるのでもよい。
本実施例は、図14に示す装置において、ドラム状の電極155を振動させる構成についてである。ドラム状の電極155を超音波振動させるには、超音波振動子を電極155に密着して配置すればよい。
電極155の振動の状態としては、図14の矢印で示されるように、電極間方向、即ち基体157に垂直な方向(図面でいうと上下方向)に振動を与える方法と、電極間方向とは垂直な方向、即ち基体157に平行な方向(図面でいうと左右方向)に振動を与える方法とがある。
図14において、電極155を上下に超音波振動させた場合、丁度交流バイアスを加えた状態を実現できる。周知のように、図14のような構成を採用した場合、接地された電極156側に対して、高周波電源に接続された電極155側は負に帯電し、丁度負のバイアス(自己バイアスという)が印加された状態となる。この状態において、電極155が上下に振動すると、電極155方向に加速されるイオンにとっては、基体157がある周期(電極155に加えられる超音波振動の周波数によって決まる)で加速して近づいて来たり、遠ざかっていく状態が実現される。即ち、交流バイアスが電極155に印加された状態が実現される。
上記の作用は、ガイドローラー153、154に超音波振動を与えた場合でも得ることができるが、電極155に超音波振動を与えた場合の方が顕著である。また図5に示すような状態で、フレキシブルな基体(例えば磁気テープ等の基体)に超音波振動を加えた場合によりその効果を顕著に得ることができる。
本実施例は、図10または図14に示す装置を用いて、磁気記録媒体である光磁気ディスクの表面保護膜を形成する例を示す。光磁気ディスクあるいは光ディスクメモリは、CD(コンパクトディスク)に代表されるように、記録媒体として広く知られている。これらは、有機樹脂や工業用プラスチックー材料でディスクを構成しており、生産性の高さ、取扱の良さ、といった特徴を有する。
しかしながら、その表面層を保護する保護膜は必要となる。この保護膜は、可視光領域の光(一般に700〜800nmの半導体レーザー光が利用される)を透過させる必要があり、かつ高い硬度と密着性が要求される。
このような要求を満たす保護膜として、図10や図14に示す装置で成膜される硬質炭素被膜を利用することが考えられる。成膜方法としては、基体113として光ディスクを用いればよい。硬質炭素被膜は加熱を行わずに成膜が行えるので、熱に弱い材料を用いた光ディスクの表面保護膜として最適である。
以上の実施例においては、放電を起こすための高周波として、13.56MHzの周波数を用いる例を示したが、これはこの周波数に限定されるものではない。また、パルス放電を利用してもよい。さらに高周波放電に加えて、DCまたはACのバイアスを印加するのでもよい。
また、硬質炭素被膜のための原料ガスとしては、メタン等の炭化水素ガスやアルコール等を利用することができる。さらに、成膜の際には、水素や他の添加ガスやドーピングガスを導入することもできる。
本実施例の概略を図8に示す。図8に示す装置は、テープやフィルム状の基体の表面に被膜を形成するための装置である。本実施例では特に磁気テープの表面に表面保護膜として炭素被膜を形成する構成について説明する。
図8に示す構成において、81がフィルム状の基体であり、ここではポリイミド等の樹脂材料の表面に磁性材料が蒸着法等により成膜されたものである。
82はカソード電極であり、高周波電源87にマッチングボックス86を介して接続されている。85は、アノード電極を構成するキャンロールであり、基体81を移送するために成膜中は回転する。また、この電極85は圧電素子によって超音波振動するように構成されている。即ち、成膜の最中において、基体81は円筒状の電極85によって超音波振動が与えられ、超音波振動することになる。
成膜においては、アノード電極85とカソード電極82との間のプラズマ反応空間89において高周波放電が行われる。83は絶縁体であり、84はガス導入管である。ガス導入管からは、原料ガスであるメタンと水素等の希釈ガスがプラズマ反応空間89に導入される。ガスは、アノード電極82に設けられた細孔88から反応空間89に噴出する。
カソード電極の幅は例えば20mmとする。またその長さは例えば30cmとする。また、円筒状のアノード電極801の直径は例えば20mmとする。またその長さは例えば30cmとする。このような場合、基体81として幅30cm以内のものを用いることができる。
上記に示す寸法の電極を用いた場合の成膜条件例を以下に示す。
反応圧力 60Torr
投入電力 300W(13.56MHz)
原料ガス C24:H2:Ar=1:1:2(計1000sccm)
添加ガス C26(C24に対して10%添加)
超音波周波数 30KHz(電極801に与えられる超音波振動)
電極85を介して基体81に超音波振動を与えることによって、基体81の被形成面に反応生成物のフレークが付着したりすることがなく、緻密なピンホールの無い炭素被膜を形成することができる。
プラズマ発生装置の概略の断面を示す。 図1のA−A’で切った断面を示す。 図1のA−A’で切った断面を示す。 実施例の成膜装置の概要を示す。 プラズマ発生装置の配置の状態を示す。 プラズマ発生装置の概略の断面図を示す。 圧力と電子温度(Te)、及び圧力とプラズマを維持するに必要な最低の電圧(Sustaining Voltage)との関係を示す。 プラズマ発生装置の概略の断面を示す。 圧力と電子温度(Te)、及び圧力と電子密度(Ne)との関係を示す。 実施例の構成を示す。 従来例の構成を示す。 実施例の構成を示す。 実施例の構成を示す。 実施例の構成を示す。
符号の説明
1・・・真空容器
2・・・供給ロール
3・・・高分子基板材料
4・・・フリーローラガイド
5・・・遮へい板
6・・・蒸発源
7・・・円筒状キャン
8・・・中間ロール
9・・・真空容器(2)
10・・接地電極
11・・高周波給電電極
12・・高周波電源系
13・・真空容器
14・・巻取りロール
15・・直流電源
16・・プラズマ領域
17・・シートビーム型プラズマ領域
18・・原料ガス供給系
19・・排気系
20・・バッファー室
21・・MHV接栓
22・・テフロン(登録商標)製絶縁体
23・・筐体
25・・治具
26・・治具
27・・テフロン(登録商標)製絶縁体
28・・筐体
29・・外側導体
30・・ガス導入口
31・・中心導体
33・・円筒状絶縁体
42・・バイアス電源
52・・プラズマ発生装置
61・・電極板
62・・外側筐体
63・・絶縁体板
81・・フィルム状の基体
82・・カソード電極
83・・絶縁体
84・・ガス導入管
85・・アノード電極
86・・マッチングボックス
87・・高周波電源
88・・細孔
89・・プラズマ放電空間
111・・・・真空容器
112・・・・電極
113・・・・基体
114・・・・電極
115・・・・高周波電源
121・・・・圧電素子
122・・・・電極
123・・・・電極
125・・・・高周波電源
141・・・・超音波振動子
151・・・・送り出しドラム/巻き取りドラム
152・・・・巻き取りドラム/送り出しドラム
153・・・・ガイドローラー
154・・・・ガイドローラー
155・・・・ドラム状電極
156・・・・接地電極
157・・・・フィルム状の基体
611・MHV接栓
612・ガス導入口
613・テフロン(登録商標)製絶縁体
616・ホルダー
617・天板
620・テフロン(登録商標)シールド
621・テフロン(登録商標)シールド
622・テフロン(登録商標)シールド


Claims (6)

  1. 第1の電極と、前記第1の電極の外側に設けられ、前記第1の電極に対向する第2の電極とを有する筒状電極を複数互い違いに配置し、
    前記複数の筒状電極は、それぞれ第1の電極である中心導体、筒状絶縁体、第2の電極である外側導体を有し、
    前記第1の電極は中空部分を有し、
    前記中空部分に反応ガスを供給し、
    前記第1の電極と前記筒状絶縁体との間の隙間に希ガスを供給し、
    前記第1の電極と前記筒状絶縁体との間で放電を行って前記希ガスを活性化し、
    前記反応ガスと前記活性化された希ガスとを前記筒状電極に対して垂直に配置された基体上にビーム状に吹き付けて前記基体上に被膜を形成する被膜形成方法であって、
    前記第1の電極と前記第2の電極との間隔を1mm以上6mm以下とし、且つ、前記第1の電極と前記第2の電極との間の圧力を15Torr乃至100Torrとすることを特徴とする被膜形成方法。
  2. 請求項1において、
    前記基体にバイアス電圧を印加することを特徴とする被膜形成方法。
  3. 請求項1または2において、
    前記基体に磁場を印加することを特徴とする被膜形成方法。
  4. 請求項1乃至3のいずれか一項において、
    前記第1の電極には複数の周波数を組み合わせた電磁エネルギーが印加されることを特徴とする被膜形成方法。
  5. 請求項4において、
    前記複数の周波数は少なくとも1kHz〜1MHzの低周波と10〜100MHzの高周波とを組み合わせたものであることを特徴とする被膜形成方法。
  6. 請求項4において、
    前記複数の周波数は1〜200Hzの極低周波、1kHz〜1MHzの低周波、10〜100MHzの高周波を組み合わせたものであることを特徴とする被膜形成方法。
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