JP3145243B2 - 被膜形成装置 - Google Patents

被膜形成装置

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JP3145243B2
JP3145243B2 JP04644694A JP4644694A JP3145243B2 JP 3145243 B2 JP3145243 B2 JP 3145243B2 JP 04644694 A JP04644694 A JP 04644694A JP 4644694 A JP4644694 A JP 4644694A JP 3145243 B2 JP3145243 B2 JP 3145243B2
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健二 伊藤
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、高耐久性の高記録密度
を有する量産性に優れた磁気記録媒体を高分子基板材料
上に形成する製造装置に関するものである。特に耐摩耗
性、潤滑性の機能が要求される保護膜の形成装置に関す
るものである。その産業上の利用分野は映像機器、及び
情報機器分野等多岐にわたる。
【0002】
【従来の技術】近年、磁気記録媒体は高密度化の傾向に
ある。従来の磁気記録媒体の例としては、オーディオ,
ビデオ用テープ材料に用いられるγ−Fe23 粉末,
CrO粉末,純鉄粉末等を研磨材,バインダーと共に高
分子基板材料上に塗布した塗布型のものが知られてい
る。さらに性能の高い磁気記録媒体では金属磁性材料を
蒸着したものが用いられる。
【0003】また、これらの磁気記録媒体の表面に炭素
を主成分とする被膜(炭素膜、DLCや硬質炭素膜とも
呼ばれる)を成膜し、表面保護、耐摩耗性あるいは潤滑
性を有せしめる技術が知られている。この炭素を主成分
とする被膜はプラズマCVD法に代表されるCVD法に
より形成されるのが普通である。
【0004】代表的なプラズマCVD法は高周波電圧給
電側(カソード)に基板を設置し、カソード近傍に形成
されるセルフバイアスを用いて高硬度膜を作製してい
る。一般に、接地電極(アノード)側では硬度の高い炭
素膜は形成できない。
【0005】平行平板型のプラズマCVD法を用いて炭
素を主成分とする被膜を成膜せんとする場合、磁気記憶
媒体の基体となる有機樹脂基板はカソード電極側に設置
せねばならない。高密度記録用の磁気記録媒体は一般に
金属磁性材料を蒸着して得られるので、このような基体
をカソード電極に接触させると基体が電極の一部のよう
になり高周波電界が漏れて、好ましくない領域で放電が
発生してしまう。このような放電は基体である有機樹脂
フィルムを破損する可能性が高く、生産の安定性や信頼
性の点で問題があった。
【0006】また、ロールツウロール式の磁性層作製プ
ロセスと同時に保護膜である硬質炭素膜を形成しようと
すると、炭素膜の成膜速度が遅く、不可能であった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の主な目的は、
導電性である金属磁性層を有する磁気記録媒体表面に安
定に高い信頼性で硬質炭素膜を生産できる装置を提供す
ることを目的とする。
【0008】すなわち、接地電極であるアノードに接触
させた状態で十分な耐摩耗性、潤滑性を有する炭素膜が
形成できる装置を提供する。
【0009】本発明の別の目的は、磁性層作製プロセス
と同時に保護膜である硬質炭素膜を形成できる程度の、
高速成膜が可能な装置を提供することである。
【0010】さらに、本発明の目的は、高速成膜を達成
することによる新たな問題である、電極の汚れに起因す
るフレークの発生を抑制できる装置を提供することを目
的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は、高周波電界が
印加される第1の電極と、接地された第2の電極を対向
して配置し、高周波電界の印加により、該第1および第
2の電極間でプラズマを生成し、該プラズマ中に導入し
た原料ガスを活性化せしめて被膜を形成する被膜形成装
置において、前記第1の電極と第2の電極の間隔は6m
m以下であり、かつ、前記電極間の圧力は15Torr
から100Torrの間であることを特徴とする被膜形
成装置である。
【0012】本発明は、第1および第2の電極の間隔が
6mm以下で、かつ、圧力が15Torrから100T
orrの間であれば、基体を接地電極である第二の電極
に接触させていても高硬度な炭素膜の形成が可能である
という点が主旨であり、発明人の実験的な知見によるも
のである。
【0013】本発明人は上記の知見に先立ち、一般に、
プラズマCVDで選択される圧力領域(10mTorr
から1Torr)よりかなり高い圧力領域(5Torr
から760Torr)での、プラズマの物性を観察し
た。このような一般に考えられるものより高い圧力範囲
に着目したのは、通常のプラズマCVDの成膜速度を桁
違いに向上させたいと考えたからである。
【0014】プラズマCVDでの成膜素過程(ラジカル
の発生、基板表面への輸送、表面での反応)を考慮すれ
ば、 (1)成膜の前駆体となるラジカル密度の向上 (2)ラジカルの基体表面への輸送効率の向上 の2点を改善できれば成膜速度が向上することが理解で
きる。プラズマCVDの場合はラジカルはプラズマ空間
全体で発生しており、ラジカルの輸送よりは発生の方が
成膜速度への影響は大きいと推察できる。ラジカル密度
の増加は反応圧力の上昇で可能と期待できる。つまり、
高い圧力領域での成膜は高速成膜になることが期待でき
る。
【0015】成膜素過程にはさらに、 (3)膜表面での反応(表面脱離の抑制) も考えられるが、プラズマCVDのような低温プロセス
の場合は表面反応律速になることはなく、成膜速度への
膜表面での反応過程は寄与しない。ただし、硬質炭素膜
を製膜する場合は表面でのイオンの作用が膜質におおき
く影響する。すなわち、硬質炭素膜では成膜中にイオン
のボンバードメントを積極的に作用させ、膜中の強い結
合を残し、弱い結合を切断しつつ成膜するものだからで
ある。よって、一般にはカソード側に基板を設置し、セ
ルフバイアスを用いて成膜する。
【0016】ラジカル密度の増加を成膜時の圧力増加で
実現するとしても、ラジカル発生の前提となるプラズマ
が、圧力上昇によりその物性を大きく変化させては意味
がない。そこで、本発明人は先に述べた通り、高い圧力
領域(5Torrから760Torr)でのプラズマを
観察した。
【0017】まず、高い圧力領域(5Torrから76
0Torr)でプラズマを発生させるための要件であ
る。従来、低圧グロー放電が、10mTorrから1T
orrの圧力領域で生成されていたのは、該圧力領域で
最も放電が生成しやすい(すなわち、放電が安定であ
る)からである。ある電極間隔d(通常の低圧グローの
場合d=数十mm)の平行平板電極の間に存在する粒子
が、電子と衝突する回数(電子は電極間の電界で加速さ
れ、一方の電極からもう一方の電極の方向に飛翔してい
ると仮定する)は、その雰囲気の圧力に比例する(平均
自由行程に逆比例する)。すなわち、圧力が低く、衝突
回数が少ないと、電子は十分なエネルギーを持つため、
衝突すれば粒子の電離はおこるものの、低圧力のため粒
子自体が少なく、プラズマに成りえない。一方、圧力が
高いと、電子の衝突回数が増加し、次の衝突までに電子
は十分なエネルギーを持ちえず、衝突しても粒子をイオ
ン化することができない。これは、パッシェンの法則と
して知られているもので、放電開始電圧Vが、圧力pと
電極間隔dの積(pd積)の関数になり、あるpd積の
値で最低放電開始電圧Vminが存在するというもので
ある。
【0018】すなわち、高い圧力領域でプラズマを生成
するには、短い自由行程間で粒子を電離するに十分な電
界を電子に与える必要がある。これは電極間隔dを小さ
くすることと、電極間に印加する電圧を上げることで対
処できる。
【0019】ただし、電極間に印加する電圧を上げるこ
とによる効果には限界がある。すなわち、グロー放電の
場合、プラズマ内での電界分布は一様ではなく、電界は
電極近傍に形成されるシース部に最も大きくかかる。次
に、シース部に続く陽光柱部にかかる。シース部の長さ
はプラズマに特有のデバイ長さ程度であり、空間的に大
部分を占める陽光柱にはあまり電界はかからない。よっ
て、電極間に、多大な電圧を印加したとしても、空間的
に大部分を占める陽光柱部での実質的な電界増加はあま
り見込めない。もっとも、電極間電圧の増加分はシース
部にかかるため、該領域での電離は促進される。シース
部にかかる電界が限度を越えると、加速された電子が電
極表面に衝突し、電極を加熱する事による電極からの熱
電子放出が発生してくる。グロー放電の場合の電極から
の電子放出機構は電界放出および二次電子放出である
が、熱電子放出が発生すると、電極からの電子放出に費
やされる電界がほとんどなくなり、その分の電界はシー
ス部にかかるようになる。そうなると、シース部の電子
はさらに加速されて電極を加熱し、電極電位が維持され
る限り熱暴走を起こしてしまう。このような状態は負性
抵抗であり、全路にわたって電流が流れるとアーク放電
に移行する。
【0020】よって、高い圧力領域でのプラズマ生成に
は電極間隔の小さくすることが効果がある。ただし、電
極間隔の下限値も存在する。プラズマを存在させるに
は、電極間隔はデバイ距離の数倍は少なくとも必要であ
る。デバイ距離λは以下の式で表される。 λ=(ε0 ・κ・Te/q2 ・Ne)1/2 ただし、ε0 は真空の誘電率 κはボルツマン定数 qは電荷素量 Teは電子温度 Neは電荷密度 である。本発明のプラズマは電子密度が1015/m3
電子温度が2eV程度であることよりデバイ距離は約
0.3mmとなる。よって、電極間隔は1mm以上ある
ことが望ましい。
【0021】上記の通り、1Torrから760Tor
rまでの圧力での放電は可能であるが、プラズマの物性
は大きく変化する。100Torr程度から760To
rrの圧力領域では、通常の電極構造では先に示したア
ーク放電への移行メカニズムにも示したように、放電が
不安定になりやすい。そこで、本発明人の他の発明であ
る大気圧放電の発生方法を利用することができる。
【0022】放電が負性抵抗を示しても系全体で負性抵
抗を示さないように電極表面に耐熱性の誘電体を挿入す
る。該誘電体が正抵抗を持つため、系全体では正抵抗と
なる。この場合、誘電体が等価回路的には直列に入るた
め、電極間に印加する電界は交流とする必要がある。
【0023】さらに、該領域では、圧力が高く、空間中
でのイオンおよび電子の衝突・再結合の確率が大きくな
り、プラズマが消滅しやすくなる。よって、イオンおよ
び電子の拡散(特にイオンの拡散)を促進してプラズマ
を広げる必要がある。そのために、準安定状態を有する
希ガス特にヘリウムもしくはアルゴンの添加が効果があ
る。希ガスは全ガスの80%以上とするのが好ましい。
【0024】前記のように、100Torr程度から7
60Torrの圧力領域では、電極表面の誘電体と希ガ
スの添加が必要であるが、100Torr程度以下の圧
力領域では、誘電体と希ガスは必ずしも必要ではない。
しかし、100Torr程度以下の圧力領域での誘電体
と希ガスの存在は放電を安定させる効果があり有効であ
る。ただし、コストの上昇と成膜速度の低下を招く要素
となる。
【0025】本発明人は、前記の手段をもちいて、5T
orrから760Torrでのプラズマの物性を観察し
た。実験に用いたガスはアルゴンで、電極はプラズマ安
定化のため誘電体を挿入したものを用いた。誘電体は
0.5mm厚さの焼結アルミナを用いた。高周波の周波
数は13.56MHzである。
【0026】プラズマの代表的な物性値として電子温度
(Te)と電子密度(Ne)とプラズマを維持するに必
要な最低の電圧(Sustaining Voltag
e)を測定した。電子温度(Te)と電子密度(Ne)
はラングミュアプローブ法(シングルプローブ法)を用
いて、プラズマを維持するに必要な最低の電圧(Sus
taining Voltage)は電源の端子電圧を
測定した。結果を図7及び図9に示す。
【0027】図9に電子温度(Te)と電子密度(N
e)を同時に示す。電子密度(Ne)は、プローブ電圧
を正電圧方向にかけていくと観察することのできる電子
飽和電流領域が、観測できない圧力領域(60Torr
以上)が存在するため、計算ができず、よって、60T
orr以上は図示していない。40Torr以下での電
子密度(Ne)は、圧力の上昇とともに1×1014/m
3 から1.7×1014/m3 に徐々に上昇し、40To
rrから60Torrの領域では急激に8×1014/m
3 まで上昇している。これは約40Torrを境にし
て、局部的にアーク放電が発生していることを示してお
り、該領域(40Torrから60Torr)のプラズ
マが不安定に成りつつあることを示している。しかし、
これを利用すると、非常に高密度なプラズマを得ること
ができる。
【0028】図7は電子温度(Te)とプラズマを維持
するに必要な最低の電圧(Sustaining Vo
ltage)を同時に示す。プラズマを維持するに必要
な最低の電圧(Sustaining Voltag
e)は、その物理的意味はともかく、装置としてのプラ
ズマの取り扱い易さを示す物であり。出来るだけ低いこ
とが好ましい。この観点からすると、10Torrから
100Torrの間で極小を示しており、該領域で使用
することが好ましい。
【0029】一方、電子温度(Te)のグラフは、60
Torrを極小とし、U字型の形状となっている。15
Torrから100Torrの中圧力領域では、これよ
り低い圧力領域および高い圧力領域より、電子温度(T
e)が低く、3eV以下となっている。
【0030】上記の結果はあくまで代表的な結果であ
り、全てを表しているわけではない。例えばガスをヘリ
ウム、ネオン等に変えたり、炭化水素ガスを加えたり、
ガス流量を変化させたりすると、結果は異なる。たとえ
ば、電子温度(Te)が極小となる圧力は60Torr
から100Torrの範囲で変化し、電子密度(Ne)
が急激に増加する圧力は40Torrから80Torr
の範囲で変化し、プラズマを維持するに必要な最低の電
圧(Sustaining Voltage)が極小と
なる圧力は20Torrから100Torrの範囲で変
化する。しかしながら、定性的にはほぼ同様の結果を得
る。
【0031】以上のべたことより、中圧力領域(15T
orrから100Torrの範囲)では、プラズマを維
持するに必要な最低の電圧(Sustaining V
oltage)が低くなることは装置の使い勝手、電源
の軽量化および低コスト化の点から好ましく、電子密度
(Ne)の増加はラジカル密度を増加させる効果の点で
好ましい。
【0032】更に、中圧力領域(15Torrから10
0Torrの範囲)では、電子温度が低くなるため、ラ
ジカルの生成に対しては不利ではあるが、プラズマの電
位が接地電位であるアノードに対して上昇するため、ア
ノードへのイオンのボンバードメントが発生する。これ
は、アノード側に設置した硬質炭素膜の作製には大変都
合がよい。理由を以下に説明する。
【0033】プラズマ内の電子とイオンはその質量の差
より、同じ電界強度の下で、電子の方が容易に運動す
る。よっで、電子の方がより容器に到達する確率が高く
なる。容器が絶縁体であれば、容器が負に帯電すること
となる。容器が導電体であれば、プラズマに接する容器
がプラズマと同電位であると仮定すると、容器を介して
プラズマの方向に電流が流れる。電流が流れては電荷中
性の条件に反するので、電流のながれをキャンセルする
ようにプラズマの電位は容器に対して正の方向に動く。
すなわち、容器が導電体であろうと絶縁体であろうと、
電子とイオンの移動度の相違により、プラズマは容器に
対して正に帯電する。
【0034】これは、接地電極側にもイオンシースが存
在することを示す。もちろん、カソード(給電電極側)
にもイオンシースが存在する。しかし、通常は、自然に
発生するイオンシースはセルフバイアスにより発生する
シースよりも十分小さいために無視されている。
【0035】イオンシースにより発生する電界は、イオ
ンシースを電気二重層によるコンデンサと等価として見
積もることが可能である。
【0036】電子の速度がボルツマン分布していると仮
定すると、イオンシース内の電子密度は指数関数的に減
少し、イオンシース内の空間電荷はエクスポネンシャル
カーブとなる。イオンシースとプラズマとの境界は、プ
ラズマのバルク電位に対して、 Vt=−κ・Te/2q 程度の電位になる位置と定義するのが妥当である。これ
は、プラズマバルク内の電子がκ・Te/2程度のエネ
ルギーで運動していることによる。
【0037】電子温度(Te)が大きくなると電子がイ
オンシース内に侵入するためイオンシースの厚さdは減
少し、電気二重層の容量Cは増加する。逆に、電子温度
(Te)が小さくなると、電気二重層の容量Cは減少す
る。イオンシースに蓄積される電荷量は電子密度(N
e)すまわちイオン密度(Ni)に比例するため、電気
二重層の両端にかかる電圧Vは、 V = Q/C = (Ne)2/3 ・d/ε0 ・S ただし、 dはイオンシースの厚さ Sは電極面積 となる。すなわち、電子温度(Te)が小さいほどイオ
ンシース内の電界は強くなり、アノードへのイオンのボ
ンバードメントは大きくなる。
【0038】従来、アノード側では硬質炭素膜が生成で
きなかったが、本発明の装置では、圧力を中圧力(15
Torrから100Torr)とし、結果として電子温
度を低下させ、もって、アノードにもイオンのボンバー
ドメントを発生させることにより、アノード側でも硬質
炭素膜が成膜できるようになった。
【0039】また、本発明は、第1の電極に対向して、
接地された円筒形状の第2の電極を有し、該第2の電極
の一部に、被膜が形成されるべき基体であるフィルムが
巻き付けられ、前記円筒形状の第2の電極が回転するこ
とにより、前記フィルムが前記第1および第2の電極の
間を通過する機構を有し、前記第一の電極に高周波の電
界を印加して前記第一及び第二の電極間の空間をプラズ
マ化せしめて、該プラズマ中に導入した原料ガスを活性
化せしめて被膜を形成する被膜形成装置において、前記
第1の電極の周端部が絶縁体で覆われ、前記第1の電極
および第2の電極と絶縁体により実質的に閉空間が構成
され、該閉空間には前記第1の電極に設けられた細孔を
介してガスが供給され、前記閉空間内にプラズマが閉じ
込められて外部に漏れにくくなっている構造を有し、か
つ、前記第1の電極と第2の電極の間隔は6mm以下で
あり、かつ、前記閉空間内の圧力は15Torrから1
00Torrの間であることを特徴とする被膜形成装置
である。
【0040】これは、中圧力とすることに加えて、プラ
ズマを閉空間に閉じ込めることにより、好ましくない領
域での放電を防止し、更に、より高密度のプラズマを生
成して、アノードへのボンバードメントの増加を実現し
たものである。
【0041】更に、本発明は、第1の電極に対向して、
接地された円筒形状の第2の電極を有し、該第2の電極
の一部に、被膜が形成されるべき基体であるフィルムが
巻き付けられ、前記円筒形状の第2の電極が回転するこ
とにより、前記フィルムが前記第1および第2の電極の
間を通過する機構を有し、前記第1の電極に高周波の電
界を印加して前記第1及び第2の電極間の空間をプラズ
マ化せしめて、該プラズマ中に導入した原料ガスを活性
化せしめて被膜を形成する被膜形成装置において、前記
第1の電極が前記第2の電極に対して形成する電界強度
が前記第1の電極の表面において最も強く、前記第2の
電極の表面において最も弱くなるように、電極を構成す
るとともに、前記第1の電極と第2の電極の最短間隔は
6mm以下であり、かつ、前記第1の電極と第2の電極
の間の圧力は15Torrから100Torrの間であ
ることを特徴とする被膜形成装置である。
【0042】これは、中圧力とすることに加えて、第1
の電極すなわちカソード周辺の電界強度を高め、該領域
でプラズマの密度を増加させたものである。第1の電極
すなわちカソード電極の形状としては平板の端部を用い
た物のほか、ナイフ状、針状のものが有効である。
【0043】また、本発明は、高周波電界が印加される
第1の電極と、接地された円筒第2の電極を対向して配
置し、高周波電界の印加により、該第1および第2の電
極間でプラズマを生成し、該プラズマ中に導入した原料
ガスを活性化せしめて被膜を形成する被膜形成装置であ
って、接地された円筒形状金属表面に、前記第1および
第2の電極間で発生したプラズマが吹きつけられるよう
に、該円筒形状金属を配置し、該円筒形状金属の一部
に、被膜が形成されるべき基体であるフィルムが巻き付
けられ、前記円筒形状金属が回転することにより、前記
プラズマが吹きつけられる領域を前記フィルムが通過す
る機構を有してなる被膜形成装置において、前記第1の
電極と第2の電極の間隔は6mm以下であり、かつ、前
第1の電極と第2の電極の間の圧力は15Torrか
ら100Torrの間であることを特徴とする被膜形成
装置。
【0044】これは、平行平板もしくは同心円筒状電極
構造を有するプラズマ発生装置で、同様に中圧力とする
ことにより高密度プラズマが形成できるが、これをガス
流でもって積極的に基体に吹きつける物である。中圧力
のため、ガスの拡散は低圧に比べて遅くなり、ラジカル
の輸送が律速する場合がある。これを吹きつけにより解
決したものである。
【0045】また、本発明は、前記プラズマ空間内に供
給されるガスは炭化水素、ハロゲン化炭素およびハロゲ
ン化炭化水素からなる群より選ばれたガスと水素の混合
ガス、もしくは、該混合ガスと希ガスの混合ガスである
ことを特徴とする各請求項に記載の被膜形成装置であ
る。
【0046】中圧力としたことにより高速度での成膜が
実現できるが、一方、カソードへの膜の付着が問題とな
る。これを、炭素のハロゲン化物を添加することにより
解決するものである。
【0047】本発明では、アノード側にイオンのボンバ
ードメントを作用させて、アノード側でも硬質炭素膜が
形成きるものであるが、カソード側にもアノード側より
も大きなセルフバイアスがかかるので、イオンのボンバ
ードメントはアノード側よりも強くなる。本発明では、
この現象を利用して、エッチング作用を有したハロゲン
系ガスを原料ガスに添加し、カソード側では成膜ではな
くエッチングをおこなうものである。
【0048】炭素のハロゲン化物、たとえば4フッ化炭
素はエッチングガスとして知られている。4フッ化炭素
ではエッチング作用のみ見られるわけだが、6フッ化2
炭素もしくは8フッ化3炭素等では、セルフバイアスの
強さにより、エッチングされたり、成膜されたりする。
すなわち、セルフバイアスが強く、イオンのボンバード
メントが強い場合にはエッチングされ、セルフバイアス
が弱く、イオンのボンバードメントが弱い場合には成膜
される。
【0049】本発明では、成膜されることが好ましくな
いカソード側の方がボンバードメントが強く、大変都合
がよい。これにより、カソード側の膜生成が抑制でき、
フレークの発生を抑制できる。さらに、装置のメンテナ
ンス期間が延ばせるので、スループットが向上し、コス
ト削減に大きく寄与できる。
【0050】また、超LSIプロセス等の場合はコンタ
ミネーションの原因となるため、避けられることがおお
いが、本発明のように炭素膜の形成の場合はコンタミネ
ーションを気にする必要もない。
【0051】また、本発明は、基体であるフィルムは導
電性のフィルムであることを特徴とする被膜形成装置で
ある。カソード側でなく、アノード側にしか置くことが
出来ない導電性フィルムの場合、本発明は最も有効とな
る。
【0052】
【実施例】以下、実施例において、本発明を更に詳しく
説明する。なお、実施例では、金属磁性層の形成と同時
に本発明を実施する例を示し、本発明が最も有効に作用
刷る例を示した。
【0053】〔実施例1〕本発明の実施例を図に基づい
て説明する。図4において、真空容器1内の供給ロール
2から送られる高分子基板材料3はフリーローラガイド
4を経由して、円筒状キャン7に沿って矢印の向きに走
行する。
【0054】本実施例では、高分子基板材料3として幅
4cm,厚さ6μmのポリイミドフィルムを使用した。
【0055】蒸発源6から蒸発した金属原子は高分子基
板材料3上に堆積し、磁性層して0.15〜0.18μ
mの膜厚に形成される。
【0056】本実施例では、蒸発物質として、Co−C
r−Ni合金を用い、広範囲な走査が可能なピアス型電
子銃を用い、加速電圧を35KV加え、5×10-4To
rrの動作圧力で電子ビーム蒸着法により形成した。高
分子基板材料3の通過速度は135m/min とした。な
お、遮へい板5は堆積領域を制限する為に設けられたも
のである。
【0057】円筒状キャン7と形成された磁性層との間
には、フリーローラガイド4を介して、直流電源15に
よって電位差が与えられる。ここでは、高分子基板材料
3と円筒状キャン7とは静電的に密着するよう80Vの
電圧を印加した。磁性層が形成された高分子基板材料3
は、中間ロール8を経由して真空容器9へ導かれ、プラ
ズマ活性化処理がなされる。
【0058】ここで、プラズマ活性化処理工程について
説明する。接地電極10と高周波給電電極11が平行に
3cmの間隔で配設された電極間に原料ガス供給系18
より水素ガスを導入し、排気系19で排気しながら動作
圧力を10-1〜10-2Torrに制御し、13.56M
Hzの高周波を0.5W/cm2 の電力密度で高周波電源
系12から印加し、水素プラズマを形成する。そして形
成されたプラズマ領域16を高分子基板材料3が磁性層
形成工程に同期した速度で通過するように構成されてい
る。
【0059】この工程を施すことで、磁性層表面が活性
な水素ラジカルあるいは、水素イオンに曝される。この
結果、適度に清浄化されると同時に磁性層の表面の活性
化が促進される。同様な効果はアルゴンガス及びアルゴ
ンと水素の混合ガスを用いた場合でも行なうことができ
る。尚、真空容器9バッファー室20を隔てる壁に開け
られた高分子基板材料3が通過するべき隙間の大きさは
前記真空容器2で生成されるプラズマ16のデバイ距離
もしくは該プラズマ領域16の圧力における平均自由行
程より小さくするとよい。そうするとプラズマがバッフ
ァー室20に漏れだすことがなくなる。
【0060】次に炭素を主成分とする被膜の形成領域で
ある真空容器13について説明する。フリーローラガイ
ド4を介して導かれた磁性層が堆積された高分子基板材
料3には、複数のビーム型プラズマ発生装置が配置され
た領域を通過する過程で良質の炭素を主成分とする被膜
が形成される。
【0061】ここで、ビーム型プラズマを発生させるプ
ラズマ発生装置について図1を用いて説明する。図1に
示すプラズマ発生装置は、ヘリウムやアルゴン等の希ガ
スを主体としたガスを用いて、1Torrを越え200
Torr未満の中圧力、好ましくは5〜150Tor
r、さらに好ましくは50〜100Torrの圧力にお
いてプラズマを生成することができる。希ガスとして
は、ヘリウム、アルゴン、キセノン、ネオン、クリプト
ンから選ばれた少なくとも一種類のガスを用いることが
できる。勿論これら希ガスを混合して用いてもよい。
【0062】本実施例においては、図1に示す一つのプ
ラズマ発生装置が発生させるプラズマの領域が20mm
φ強であるので、図5に示すように、4つのプラズマ発
生装置52を互い違いに配置し、幅20mmの高分子基
板材料3の表面に均一に炭素を主成分とする被膜が成膜
できる構成としてある。
【0063】以下において図1に示すプラズマ発生装置
の概要を説明する。図1に示すプラズマ発生装置は、同
軸状に構成された電極間において放電を起こしてプラズ
マを生成し、このプラズマを装置外にビーム状に噴射す
る。放電は希ガスを主体としたガスを用いることによっ
て行なう。炭素を主成分とする被膜を成膜するには、希
ガス中にメタンやアルコール等の原料ガスとして炭化水
素気体を添加することによって行なわれる。また後述す
るように電極構造を工夫し、原料ガスを別途供給するこ
とで成膜を行なうこともできる。
【0064】図1に示す装置において、放電は中心導体
31、円筒状絶縁体33、外側導体29により構成され
る同軸円筒電極で行なわれる。具体的には、中心導体3
1と円筒状絶縁体33との隙間において放電が行なわれ
る。本実施例においては、円筒状絶縁体33と外側導体
29との隙間にはガスが供給されないのでこの部分での
放電は行なわれない。
【0065】本実施例では中心導体31はステンレス、
円筒状絶縁体33は石英ガラス、外側導体29はステン
レスを用いて構成されている。円筒状絶縁体としてはな
るべく誘電率の大きな材料を用いることが望ましい。ま
た中心導体31の表面に凹凸や突起物を設け、放電が容
易になるようにすることは有用である。
【0066】中心導体31はMHV同軸接栓21に接続
され、MHV同軸接栓21につながれた同軸ケーブルを
介して交流電源12(図4参照)より交流電界が印加さ
れ、中心導体31と外部導体29との間に電磁エネルギ
ーが供給される。中心導体31と円筒状絶縁体33との
間に供給される希ガス(例えばヘリウム)を主成分とす
る気体は、ガス導入口30より供給され、テフロン製絶
縁体22、27の間を通って流れ込む。テフロン製絶縁
体22、27は不要な場所での放電を防止する役割もあ
る。匡体23、28は締めつけ治具25、26により固
定される。匡体23、28と締めつけ治具25、26は
ステンレスで作製され、外側導体29と共に接地電位に
保たれる。
【0067】希ガスを主体とするガスにおける希ガスの
割合は、希ガスが80%以上であることが望ましい。こ
れは、数Torr以上の圧力においては、主に希ガスが
プラズマ化し、このプラズマ化した希ガスのエネルギー
によって、原料ガスが活性化され、原料ガス(例えばメ
タン)は殆ど直接活性化されないからである。また、不
要になったガスは排気系19(図4参照)より排気され
る。
【0068】導入された希ガスを主体とする気体が各部
品の隙間より漏れないようにOリング24でシールされ
ている。また、円筒状絶縁体33と外側導体29との隙
間には導電性の金属フォイルが充填されている。従っ
て、円筒状絶縁体33と外側導体29との隙間にはガス
は流れない。勿論この隙間にガスを流してもよい。
【0069】本実施例においては、被形成面(高分子基
板材料3)と中心導体31の距離は2mmである。な
お、中心導体31の直径は5mm、円筒状絶縁体33外
径は22mm、厚さは1mmである。また電極の長さは
30mmである。発生するプラズマは希ガスとしてヘリ
ウム90%のガスを用いた場合、直径20mm強のプラ
ズマが生成される。即ち、直径20mm強の領域にプラ
ズマ処理を施すことができる。
【0070】図1のA−A’で切った断面を図2に示
す。図2には、中心導体31、外側導体29、円筒状絶
縁体33が示されている。希ガスと原料ガスとの混合ガ
ス(希ガスを主体としたガス)は、隙間32を通り、こ
の隙間32でプラズマ化される。そして装置の外部へと
ビーム状のプラズマが噴射され、活性化された原料ガス
によって成膜が行なわれる。
【0071】図4に示す構成においては、(高分子基板
材料3の幅が20mmであるので、図5に示すように図
1に示すプラズマ発生装置(図5では52で示される)
を4つ互い違いに配置し、均一な成膜が行なわれる構成
としてある。この4つのプラズマ発生装置52は、図4
の41で示される部分に配置され、電源12から13.
56MHzの高周波が個々500W供給される。プラズ
マは51で示される領領域で発生し、その領域において
成膜が行なわれる。本実施例においては、希ガスとして
ヘリウム、原料ガスとしてメタンを用いることにより、
炭素を主成分とする被膜を成膜することができる。
【0072】成膜条件を以下に示す。 投入電力 500W(1基あたり) 圧力 100Torr ガス ヘリウム:メタン=100sccm:10s
ccm(1基あたり)
【0073】また生成されるプラズマは低温グロー放電
であり、その温度は100℃以下である。従って、基体
が高分子基板材料であっても何ら問題はなく、良好な成
膜を行なうことができる。
【0074】なお図4の42で示されているバイアス電
源42を用いて直流、または交流(高周波)のバイアス
電圧を被形成面に対し加えてもよい。さらに被形成面に
対して磁場を加え、ビーム状のプラズマが効果的に被形
成面に噴射されるようにしてもよい。
【0075】図5に示されるようなプラズマ発生装置に
配置方法は、必要とされる成膜速度や被形成面の大きさ
によって自由に設定することができる。例えば、図5に
示すような構成をさらにもう一組設ければ、成膜速度を
2倍にすることができる。
【0076】この炭素を主成分とする被膜の成膜は、前
述の2つの工程と連動した通過速度で行なわれ、約20
0Åの膜厚の炭素を主成分とする被膜が成膜されること
となる。成膜が終了した高分子基板材料3は、フリーロ
ーラガイド4を介して巻取りロール14に回収される。
【0077】本発明を実施するにあたり、磁性層の形成
前の処理としては、必要に応じイオン及び電子等の照
射、あるいは加熱等公知の技術を用いて行うことができ
る。ま/基板として、例えば、本実施例ではポリイミド
フィルムを用いたが、金属樹脂,プラスチック等をロー
ル状あるいは板状にして用いてもよい。
【0078】本実施例において作製した磁気記録媒体を
8mm幅のテープ状にカットし、市[の8mmビデオデ
ッキを用い、再生出力及び耐久性の評価を行ったところ
炭素を主成分とする被膜の膜厚が200Å以上のもので
は、走行安定性,スチル耐久性の優れたドロップアップ
の少ない安定な再生出力が得られた。
【0079】また、正規の再生動作の他に特殊な再生動
作の連続,断続試験においても優れた耐久性を示すこと
が確認できた。
【0080】〔実施例2〕本実施例は、実施例1に示し
た構成において、同軸状の放電電極部分において反応生
成物が付着しない構成とした例である。本実施例が実施
例1に示す構成と異なるのは、図3に示すように、中心
導体(中心電極31)を中空とし、その中空部分30に
原料ガスを流す構成とした点である。なお図3は図1の
A−A’で切った断面の概略図である。
【0081】このような構成を採用した場合、隙間32
に希ガス(例えばヘリウム)を流し、中空部分30に原
料ガス(例えばメタン)を流すこととなる。中空部分3
0では放電が起こらないからここでは原料ガスは全く活
性化されず、装置外部に排出される。一方、隙間32を
流れる希ガスは、中心導体31と外側導体29との間で
行なわれる高周波放電によってプラズマ化される。そし
て装置を出た所で活性化されていない原料ガスがプラズ
マ化された希ガスによって同軸状に包み込まれ、希ガス
のプラズマエネルギーによって活性化あるいはプラズマ
化されることとなる。
【0082】原料ガスは装置の外部で活性化されるの
で、装置内に反応生成物が付着し、フレークが発生する
可能性を根本的に排除することができる。また装置の外
部において原料ガスがプラズマ化された希ガスによって
包み込まれることになるので、その収集効率を極めて高
くすることができる。
【0083】〔実施例3〕本実施例は、図4の41で示
される部分に配置されるプラズマ発生装置をシート状
(板状)のプラズマ発生装置とした例である。このシー
ト状プラズマ発生装置の構成を図6に示す。
【0084】図6に示す装置は、平行平板型の電極を有
し、この平行平板電極で生成されたプラズマを板状のプ
ラズマとして装置外部に引出し、このシート状のプラズ
マを用いるものである。
【0085】図6において、平行平板電極部分は、電極
板61、絶縁体板63、外側匡体62より構成される。
絶縁体板63は外側匡体62に密接して設けられてい
る。本実施例では電極板61はステンレス、絶縁体板6
3は石英ガラス、外側匡体62はステンレスを用いてあ
る。電極板61は3つのテフロンシールド620、62
1、622にて他と絶縁され、MHV同軸接栓611に
接続されている。そして電極板61にはMHV同軸接栓
611につながれた同軸ケーブル(図示せず)を介して
交流電源(13.56NHz)64(図4の42に対応)より交
流電界が印加される。電極板61と絶縁体板63の間に
供給される希ガスは、ガス導入口612より供給され、
テフロン製絶縁体613に彫り込んだガス溝を通って供
給される。テフロン製絶縁体613は不要な場所での放
電を防止する役割もある。外側匡体62と電極板ホルダ
ー616は天板617において螺子固定される。電極板
ホルダー616と天板617はステンレスで作製され、
外側匡体62と共に接地電位に保たれる。対向する絶縁
体板の幅すなわち放電部幅(図6でいうと電極の奥行き
方向の長さ)は25mm、絶縁体厚さは1.0mmであ
る。また電極間隔は5mm、電極長(図6でいうと縦方
向の長さ)は30mmである。従って、概略5mm×2
5mmのシート型プラズマが生成されることとなる。
【0086】上記の装置にヘリウムを100sccmを
供給し、100Torrの圧力において周波数13.56MHz
の高周波電力を500W加えたところ、該放電部幅全域
において安定な放電が得られ、シート状(板状)プラズ
マを装置外部に放出させることができた。またこの状態
を10分間以上に渡って保持しても、過熱など装置上の障
害はなんら発生しなかった。
【0087】放電によって形成されたプラズマの温度を
プラズマを熱電対に吹きつけることによって、測定した
ところ、室温〜70℃程度の温度を示した。このことよ
り、低温のグロー放電が行われていることが確認され
る。
【0088】図4に示す構成に利用する場合は、添加ガ
スとしてメタンやエチレン等の原料ガスを流せばよい。
また成膜速度を高める場合や、成膜面積を大きくする場
合は、複数の装置を図5に示すように配置すればよい。
【0089】〔実施例4〕 本実施例は、図4の41で示される部分を図8で示され
る構成とした例である。図8において、81はフィルム
状の基体である。このようなフィルム状基体としては、
磁気記憶媒体のテープを挙げることができる。82は、
カソード電極であり、高周波電源87にマッチングボッ
クス86を介して接続されている。85はアノード電極
を構成する円筒形状電極であり、接地されている。この
アノード電極85とカソード電極82との間におけるプ
ラズマ反応空間89において高周波放電が行われる。ま
カソード電極82は回転し、フィルム状基体81がス
ムーズに移動するように構成されている。83は絶縁体
である。84は、ガス導入管であり、原料ガスや希釈ガ
ス、さらには添加ガスは、このガス導入管84を通って
プラズマ放電空間89に導かれる。これらのガスは、ガ
ス導入管84からカソード電極82に設けられた細孔8
8に導かれ、プラズマ反応空間に噴出する。
【0090】カソード電極82の幅(放電に有効な幅)
は、20mmであり、その長さは30cmである。また
円筒状のアノード電極85は、直径が20mmであり、
その長さが30cmである。またカソード電極82とア
ノード電極85との間隔は5mmである。この一対の電
極の間隔は10mm以下であることが好ましい。
【0091】以下にフィルム状の基体81として、金属
磁性体が蒸着された幅10インチの有機樹脂フィルムを
用い、その表面に硬質炭素被膜を300Åの厚さに成膜
する例を示す。ここでは、フィルム状の基体を12m/
min(20cm/sec)で移動させるとする。この
場合幅20mmの放電空間89をフィルム状の基体が0.
1 秒で移動することになる。従って、300Åの厚さに
成膜を行うには、成膜速度として、3000Å/sec
が必要とされる。
【0092】以下において、図8に示す構成を用いて、
3000Å/secの成膜速度を得るための条件を示
す。 反応圧力 60Torr 投入電力 300W(5W/cm2 )(13.56
MHz) 原料ガス C24 :H2 :Ar=1:1:2(計
1000sccm) 添加ガス C26 (C24 に対して10%添
加)
【0093】上記成膜条件とすることによって、300
0Å/secの成膜速度を得ることができる。そして、
フィルム状の基体81の表面に300Åの厚さに硬質炭
素被膜を成膜することができる。
【0094】添加ガスとして、C26 を用いたのは以
下の理由による。一般に上記のように高い成膜速度で成
膜を行うと、カソード電極に多量の反応生成物が付着す
る。この反応生成物はフレークとなり、成膜の障害とな
る。従って、カソード電極に反応生成物が付着しない工
夫が必要とされる。
【0095】一方、図8に示すような構成とした場合、
自己バイアスの作用によって、カソード電極82がマイ
ナス電位にバイアスされ、プラズマ放電によって生じた
プラスイオンがカソード電極82側に引き寄せられる。
その結果、カソード電極82側がスパッタされることに
なる。
【0096】そこで、本実施例のように添加ガスとして
26 を用いると、カソード電極82側がスパッタさ
れ、エッチングされることになる。従って、カソード電
極82に付着する反応生成物は付着と同時にエッチング
されることになる。こうして、カソード電極に反応生成
物が付着することなく、硬質炭素被膜の成膜を行うこと
ができる。
【0097】ここで、C26 を用いるのは、C26
には、Fによるエッチング作用とCによる硬質炭素膜の
成膜作用とがあるからである。ここで、CF4 を添加ガ
スとして用いることもできる。しかし、CF4 は硬質炭
素膜に対する成膜作用がないため、硬質炭素膜の成膜に
寄与するC26 を用いることが好ましい。
【0098】以上説明したように、カソード電極82を
ハロゲン系ガスによってエッチングしつつ、アノード電
極85側の基体上に成膜を行うことによって、カソード
電極82に反応生成物を付着させることなしに、フィル
ム状の基体81の表面上に成膜を行うことができる。
【0099】
【発明の効果】本発明により、導電性である金属磁性層
を有する磁気記録媒体表面に安定に高い信頼性で硬質炭
素膜を生産できる装置を提供することができる。
【0100】また、従来では十分に硬度の高い炭素膜が
接地電極側で形成することができなかったが、本発明に
より、接地電極であるアノードに接触させた状態でも十
分な耐摩耗性、潤滑性を有する炭素膜が形成できる装置
を提供することができる。
【0101】さらに、本発明により磁性層作製プロセス
と同時に、保護膜である硬質炭素膜を形成できる程度
の、高速成膜が可能な装置を提供することができる。
【0102】また、本発明により、高速成膜を達成する
ことによる新たな問題である、電極の汚れに起因するフ
レークの発生を抑制できる装置を提供することができ
る。これにより、カソード側の膜生成が抑制でき、フレ
ークの発生を抑制できる。さらに、装置のメンテナンス
期間が延ばせるので、スループットが向上し、コスト削
減に大きく寄与できる。
【0103】また、本発明の製造装置で作製された磁気
記録媒体は、磁性層と炭素を主成分とする被膜との界面
特性,密着性が改善され、高品質なもとすることができ
る。更に大気にさらすことを避けるだけでは、磁性層表
面に生成される低級酸化物は本質的に除去できないが、
本発明によるプラズマ活性化処理が効果的である。
【0104】また、炭素を主成分とする被膜の表面特性
すなわち、耐摩耗性、高平滑性、硬度等が著しく向上
し、産業的にも十分価値のある磁気記録媒体の製造を可
能とし、従来問題とされていた連続形成上の律速点も回
避することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】プラズマ発生装置の概略の断面を示す。
【図2】図1のA−A’で切った断面を示す。
【図3】図1のA−A’で切った断面を示す。
【図4】実施例の成膜装置の概要を示す。
【図5】プラズマ発生装置の配置の状態を示す。
【図6】プラズマ発生装置の概略の断面図を示す。
【図7】圧力と電子温度(Te)、及び圧力とプラズマ
を維持するに必要な最低の電圧(Sustaining
Voltage)との関係を示す。
【図8】プラズマ発生装置の概略の断面を示す。
【図9】圧力と電子温度(Te)、及び圧力と電子密度
(Ne)との関係を示す。
【符号の説明】
1・・・真空容器 2・・・供給ロール 3・・・高分子基板材料 4・・・フリーローラガイド 5・・・遮へい板 6・・・蒸発源 7・・・円筒状キャン 8・・・中間ロール 9・・・真空容器(2) 10・・接地電極 11・・高周波給電電極 12・・高周波電源系 13・・真空容器 14・・巻取りロール 15・・直流電源 16・・プラズマ領域 17・・シートビーム型プラズマ領域 18・・原料ガス供給系 19・・排気系 20・・バッファー室 21・・MHV接栓 31・・中心導体 33・・円筒状絶縁体 29・・外側導体 30・・ガス導入口 22・・テフロン製絶縁体 27・・テフロン製絶縁体 23・・筐体 28・・筐体 25・・治具 26・・治具 52・・プラズマ発生装置 42・・バイアス電源 61・・電極板 63・・絶縁体板 62・・外側筐体 81・・フィルム状の基体 82・・カソード電極 83・・絶縁体 84・・ガス導入管 85・・アノード電極 86・・マッチングボックス 87・・高周波電源 88・・細孔 89・・プラズマ放電空間 620・テフロンシールド 621・テフロンシールド 622・テフロンシールド 611・MHV接栓 612・ガス導入口 616・ホルダー 617・天板 613・テフロン製絶縁体
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平4−157152(JP,A) 特開 昭63−44318(JP,A) 特開 平6−41758(JP,A) 特開 平3−52937(JP,A) 特開 平5−44041(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C23C 16/00 - 16/56 C23C 14/00 - 14/58 G11B 5/84

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 高周波電界が印加される第1の電極と、
    接地された第2の電極を対向して配置し、高周波電界の
    印加により、該第1および第2の電極間でプラズマを生
    成し、該プラズマ中に導入した原料ガスを活性化せしめ
    て被膜を形成する被膜形成装置において、 前記第1の電極と第2の電極の間隔は6mm以下であ
    り、かつ、15Torrから100Torrの間の圧力
    で成膜することを特徴とする被膜形成装置。
  2. 【請求項2】 第1の電極に対向して、接地された円筒
    形状の第2の電極を有し、該第2の電極の一部に、被膜
    が形成されるべき基体であるフィルムが巻き付けられ、
    前記円筒形状の第2の電極が回転することにより、前記
    フィルムが前記第1および第2の電極の間を通過する機
    構を有し、前記第一の電極に高周波の電界を印加して前
    記第一及び第二の電極間の空間をプラズマ化せしめて、
    該プラズマ中に導入した原料ガスを活性化せしめて被膜
    を形成する被膜形成装置において、前記第1の電極の周
    端部が絶縁体で覆われ、前記第1の電極および第2の電
    極と絶縁体により実質的に閉空間が構成され、該閉空間
    には前記第1の電極に設けられた細孔を介してガスが供
    給され、前記閉空間内にプラズマが閉じ込められて外部
    に漏れにくくなっている構造を有し、かつ、前記第1の
    電極と第2の電極の間隔は6mm以下であり、かつ、1
    5Torrから100Torrの間の圧力で成膜するこ
    とを特徴とする被膜形成装置。
  3. 【請求項3】 第1の電極に対向して、接地された円筒
    形状の第2の電極を有し、該第2の電極の一部に、被膜
    が形成されるべき基体であるフィルムが巻き付けられ、
    前記円筒形状の第2の電極が回転することにより、前記
    フィルムが前記第1および第2の電極の間を通過する機
    構を有し、前記第1の電極に高周波の電界を印加して前
    記第1及び第2の電極間の空間をプラズマ化せしめて、
    該プラズマ中に導入した原料ガスを活性化せしめて被膜
    を形成する被膜形成装置において、前記第1の電極が前
    記第2の電極に対して形成する電界強度が前記第1の電
    極の表面において最も強く、前記第2の電極の表面にお
    いて最も弱くなるように、電極を構成するとともに、前
    記第1の電極と第2の電極の最短間隔は6mm以下であ
    り、かつ、15Torrから100Torrの間の圧力
    で成膜することを特徴とする被膜形成装置。
  4. 【請求項4】 高周波電界が印加される第1の電極と、
    接地された第2の電極を対向して配置し、高周波電界の
    印加により、該第1および第2の電極間でプラズマを生
    成し、該プラズマ中に導入した原料ガスを活性化せしめ
    て被膜を形成する被膜形成装置であって、接地された円
    筒形状金属表面に、前記第1および第2の電極間で発生
    したプラズマが吹きつけられるように、該円筒形状金属
    を配置し、該円筒形状金属の一部に、被膜が形成される
    べき基体であるフィルムが巻き付けられ、前記円筒形状
    金属が回転することにより、前記プラズマが吹きつけら
    れる領域を前記フィルムが通過する機構を有してなる被
    膜形成装置において、前記第1の電極と第2の電極の間
    隔は6mm以下であり、かつ、15Torrから100
    Torrの間の圧力で成膜することを特徴とする被膜形
    成装置。
  5. 【請求項5】 請求項1ないし請求項4のいずれか一項
    において前記プラズマ空間内に供給されるガスは炭化水
    素、ハロゲン化炭素およびハロゲン化炭化水素からなる
    群より選ばれたガスと水素の混合ガス、もしくは、該混
    合ガスと希ガスの混合ガスであることを特徴とする被膜
    形成装置。
  6. 【請求項6】 請求項2ないし請求項4のいずれか一項
    において前記フィルムは導電性のフィルムであることを
    特徴とする被膜形成装置。
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