JP4558755B2 - プラズマcvd装置 - Google Patents

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Description

本発明は、プラズマCVD装置に関する。
特許文献1には、プラズマ処理装置の電極の導電性領域にモリブデン等の電極を適用することが記載されている。
特開2005−63973号公報
前述のように、特許文献1のプラズマ処理装置をプラズマCVD装置として適用すると、成膜対象の基板が、プラズマを生成するための電極の上に直接載置される。しかしながら、基板と電極との間の実際の接触面積は、基板や電極の接触する対向面の表面粗さや、基板の形状、重量、平面度等で大きく影響され、基板の裏面の面積に対して非常に小さな値となる。したがって、熱流の伝搬にばらつきが生じやすくなる。よって、電極上への基板の配置位置が異なるだけでも、基板と電極との間の実際の接触面積が大きく変化してしまい、電極と基板との間の熱伝導の状態が著しく変わるので、特に基板の温度が高温になるようなプラズマCVDの場合、成膜条件がばらついてしまうという不安定要因となっていた。
本発明は、成膜時の基板温度のばらつきを抑制することが可能なプラズマCVD装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の第1の観点に係るプラズマCVD装置は、
陰極と、
処理対象の基板が載置される基板載置面を有し、前記基板載置面に前記基板が収納できる凹部が形成され、表面がグラファイトで形成されている陽極と、
前記陽極の一部が前記基板の周囲で露出した状態で前記陽極と前記陰極との間にプラズマを発生させて前記基板に炭素膜を成膜する所定の処理を行うプラズマ発生手段と、
を備えることを特徴とする。
なお、前記陽極を支持するステージを備え、
前記ステージを冷却することにより、前記陽極を冷却して前記基板温度を下げる冷却手段をさらに備えてもよい。
前記冷却手段は、前記基板に成膜が行われているときに該基板の冷却を開始してもよい。
また、前記プラズマ発生手段が行う所定の処理は、炭化水素を反応ガスとしてプラズマ化して前記基板に前記炭素膜の成膜を行うことであってもよい。
本発明によれば、成膜時の基板温度のばらつきを抑制することができ、成膜が安定化する。
以下、図面に基づき、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
図1は、本発明の実施形態に係るプラズマCVD装置の概要を示す構成図である。
この直流プラズマCVD装置は、処理対象の基板1の表面に膜を形成する装置であり、反応槽であるチャンバー10を備えている。チャンバー10は、基板1を外気から遮断する。
チャンバー10内には、円柱状の鋼製のステージ11が配置され、ステージ11の上部の電極載置面11aに、円板状の陽極12が載置されている。陽極12の上側の基板載置面12aに、例えば矩形の基板1が載置される。陽極12は、グラファイトで形成され、その表面の算術平均粗さRaは5μm程度である。
陽極12の外周面は、石英ガラス等の絶縁体で構成されたリング14で囲まれている。ステージ11、陽極12及びリング14は、軸11xを中心にして回転するように設定されている。
陽極12の下側のステージ11には、閉塞された円柱状の空間11bが設けられ、ステージ11の電極載置面11aの部分が板状になっている。
ステージ11の空間11bには、柱状の冷却部材13が配置されている。冷却部材13は基板1を必要に応じて冷却するために設けられたものであり、銅等の熱伝導率の高い金属で形成されている。冷却部材13は、図示しない移動機構により、矢印の通り上下に移動する構成になっている。
冷却部材13の上端面は、ステージ11の電極載置面11aとは反対側の面(以下、この面を裏面という)11cに対向する対向面13aであり、外径が大きくなっている。冷却部材13が上方に移動することにより、対向面13aが、ステージ11の裏面11cに近接するように或いは当接するように対向する。
冷却部材13の内部には、冷却された水或は塩化カルシウム水溶液等の冷却媒体を流す流路13bが形成されている。流路13bは、冷却部材13の側面から対向面13aの近傍を通り、再び冷却部材13の側面に達している。流路13bは、管路13c,13dを介して冷却機15と接続され、冷却媒体が冷却機15によって冷却されて、流路13bと冷却機15との間を循環して流れる。
冷却部材13の対向面13aの中央には、通気口13eが開口されている。通気口13eは、冷却部材13の下方の側面に貫通している。冷却部材13の下方の側面において、通気口13cは、管路16と接続されている。管路16は、バルブ17及び流量調節器18を介してボンベ19に接続されている。ボンベ19には、冷却ガスとしてのヘリウムガス或は窒素ガス等が封入されている。冷却ガスは、空間11b内に充満されるが、陽極12の基板載置面12a側に充満されることはない。
このように、冷却部材13には、冷却媒体によってステージ11を冷却する機構ばかりでなく、通気口13eから冷却ガスをステージ11に吹き付けてステージ11を冷却する機構を備えている。そのため、陽極12及び基板1を冷却する場合に、対向面13aをステージ11の裏面11cに部分的または全体的に当接する方法や、対向面13aを裏面11cに近づけて冷却ガスをステージ11に吹き付けてステージ11を冷却する方法や、その両方のいずれかを選択することができる。
陽極12の基板載置面12aに対向するように、陰極20が支持されている。陰極20と陽極12との間には、プラズマを発生させるための電圧を印加する電源21が接続されている。
チャンバー10の陰極20よりも高い位置には、図示しない原料ガス系から供給された原料ガスをチャンバー10内に導入するガス導入管22が設けられている。チャンバー10の底部には、原料ガスを排出するガス排気管23が設けられている。
ガス導入管22及びガス排気管23は、チャンバー10に設けられた孔をそれぞれ通過し、各孔とガス導入管22及びガス排気管23との外周との間は、シール材でシールされ、チャンバー10の内の気密性が確保されている。ガス排気管23には、原料ガスをガス排気管23から排出してチャンバー10内の気圧を調整する図示しない排気系が接続されている。
チャンバー10の側面に、チャンバー10の内部を観察するための窓25を形成してもよい。この場合、窓25には、耐熱性ガラスがはめ込まれ、チャンバー10内の気密性が確保される。チャンバー10の外側に、窓25の耐熱ガラスを介して基板1の温度を測定するための分光放射輝度計26が配置される。
この直流プラズマCVD装置を用いて基板1に成膜を行う場合には、最初に、基板1を、陽極12の基板載置面12a上に載置する。基板1の載置が完了すると、次に、チャンバー10内を、排気系を用いて減圧し、続いて、ガス導入管22から原料ガスをチャンバー10内に導入する。原料ガスは、成膜の材料となるメタン等の反応ガスと、成膜の成膜材料とならない水素等のマトリクスガス(キャリアガス)とが所定の比率で混合されたものである。例えばグラファイトやダイヤモンド微粒子等の炭素膜を基板1に成膜する場合、反応ガスは炭素を含有する化合物のガスになる。
原料ガスの導入量及び排気量を調節し、チャンバー10内の気圧を、所定値或は所定値からのずれが許容範囲に収まるように設定する。また、ステージ11を例えば10rpmで回転させて基板1及び陽極12を回転させる。この状態で、陽極12と陰極20との間に直流電圧を印加し、プラズマを発生させる。プラズマが発生すると、プラズマにより反応ガスから活性種が生成されて基板1への成膜が開始される。基板1及び陽極12を回転させることにより、基板1の位置による温度ばらつきが小さくなり、基板1上での成膜のばらつきが防止される。
成膜による基板1の温度上昇を抑制して所望の膜質を確保するため、或は、成膜途中で基板1の温度を変化させて膜質を変化させるために、冷却部材12に組込まれた冷却機構を適宜に選択して使用する。即ち、冷却機15で冷却された冷却媒体を冷却部材13の流路13bに流しつつ、対向面13aを裏面11cに当接させてもよいし、対向面13aを裏面11cに近接させて冷却ガスを裏面11cに吹き付けてもよいし、流路13bに冷却媒体を流しつつ、対向面13aの一部を裏面11cに当接させて冷却ガスを裏面11cに吹き付けてもよい。
分光放射輝度計26により、基板1の表面温度が測定できるので、プラズマによる基板1の表面温度に応じて、基板1の冷却タイミングや陽極12及び陰極20間に印加する電圧が制御可能である。
成膜が開始されてから所定時間が経過し、成膜が終了段階になったとき、陽極12と陰極20との間の電圧の印加を停止し、続いて、原料ガスの供給を停止し、パージガスとして窒素ガスをチャンバー10内に供給して常圧に復帰させた後、基板1を取り出す。
次に、この直流プラズマCVD装置の利点を説明する。
基板1に成膜を行うと、基板1、陽極12及び陰極20は、陽極12と陰極20との間に発生するプラズマにさらされることによって加熱される。基板1に与えられたエネルギーの一部は、熱輻射によってもチャンバー10に伝えられるものの、その大部分は、基板1から陽極12及びステージ11、加えてステージ11を介して冷却部材12へと伝えられ、与えられる伝熱量と拡散する伝熱量がつり合うことで、基板1の温度は一定に保たれる。
ここで、陽極12をグラファイトで構成した場合(以下、この電極をグラファイト電極という)と、モリブデンで構成した場合(以下、この電極をモリブデン電極という)とで成膜を行い、その比較を行った。
成膜条件は、グラファイト電極及びモリブデン電極のいずれの場合も、反応ガスのメタンの流量を50sccm、マトリクスガスの水素の流量を500sccmとした原料ガスをチャンバー10内に導入し、排気スピードを調節することで全体圧力を7999.32Paに維持した。また、陰極20とグラファイト電極及びモリブデン電極との間の電流密度が、0.15A/cm(電流/電極面積)となるように電力を印加し、プラズマを発生させた。
モリブデン電極の表面の算術平均粗さRaは、1.5μmであり、バルクの移動による熱伝導率λは、132W・m−1・K−1であった。陽極12としたグラファイトの表面の算術平均粗さRaは5μmで、バルクの熱伝導率λは、120W・m−1・K−1であった。
基板1には、厚さ0.5mmのシリコンを使用し、基板1の温度を変化させるために、成膜開始時刻から約2時間までは、図1の対向面13aとステージ11の裏面11cとの距離xを60mmとした。この間、グラファイト電極を用いたプラズマCVD装置では、基板1上に、曲面をなす花弁状(扇状)の複数の炭素薄片が起立しながら互いにランダムな方向に繋がりあって構成されるカーボンナノウォールが成膜された。各炭素薄片は、格子間隔が0.34nmの数層〜数十層のグラフェンシートであった。それ以降では、距離xを0.5mmに近接させた。そして、ステージ11の下側の空間11bに、冷却ガスとしてのヘリウムガスを、通気口13eを介して500sccmで導入することで基板1の温度を下降させた。この間、グラファイト電極を用いたプラズマCVD装置では、基板1上のカーボンナノウォール上に、粒径がナノメートルオーダー(1μm未満)の複数の微結晶ダイヤモンド微粒子を含む層である微結晶ダイヤモンド膜が堆積され、微結晶ダイヤモンド微粒子の成長とともに、主にカーボンナノウォールの一部が成長し、微結晶ダイヤモンド膜の隙間を貫通し、微結晶ダイヤモンド膜の表面から突き出ている針状の炭素棒が形成された。この炭素棒は、内部まで炭素が形成されており、カーボンナノチューブのように薄い炭素層で内部が空洞になるように形成された筒状構造体ではなく、剛直であり、カーボンナノウォールから成長しているので機械強度が強い。
基板1の温度の計測には分光放射輝度計26を用い、基板1からの赤外輻射強度を分光測定し、灰色体近似を適用して基板1の温度、ならびに放射率を評価した。
図2は、陽極12の違いによる基板1の測定温度を示すグラフである。
図2に示すように、どちらの電極においても、成膜開始30分以内に、基板1の温度が最高点に達し、その後、電流密度一定の状態で基板1の温度が下降傾向を示している。このような基板1の温度が下降傾向をもつ理由は、基板1にグラフェンシートの集合体であるカーボンナノウォールが堆積していくことで、基板1の上面の放射率が上昇し、基板1の表面からチャンバー内への輻射による伝熱量が増大していくためである。さらにカーボンナノウォールが基板1上に成膜されることによって基板1の放射率が定値に達してのちは、基板1の温度は安定している。この様な現象は、基板1の温度が900℃を超えるようなCVDによる成膜に際しては、基板1の温度に対して、周辺の放射率が大きく影響を与えることを示している。
電極による基板1の温度を比較すると、基板1の温度が大きく変動する初期成膜領域においてはグラファイト電極上の基板1の温度はモリブデン電極上のそれに対して100℃以上低い温度と成った。また、それ以降の温度が安定した状態では、距離xが0.5mmのときも、グラファイト電極の場合の基板1の温度がモリブデン電極の場合の基板1の温度よりも40℃低くなる。
図3は、図2の操炉において印加電流を一定にした状態でのプラズマに印加された電力の変化を示すグラフである。
この成膜の際には、陽極12と陰極20との間に流れる電流密度は0.15A/cmと一定となるように制御されており、印加電圧はガスの状態によって自動的に変動する。実際には電極間のガスの密度が低いほど、印加電圧は減少する傾向をもつ。基板1の温度の高いモリブデン電極の場合のほうが、基板1や電極によって周囲のガス温度が高くなり、その分、密度を減少させることになるため、基板1の温度の低いグラファイト電極に対して同じ電流密度を流すための電圧は小さくなる。このため、モリブデン電極の場合に印加される電力のほうがグラファイト電極の場合に比べて常に小さくなるが、その変化量は印加電力に対して1.5%以下である。
このような印加電力がほとんど変化しないにもかかわらず、基板1の温度が常にモリブデン電極とグラファイト電極とで100℃の差が生じる原因は、この温度領域においてグラファイト電極のほうが、モリブデン電極より熱を逃がしやすくなっていたためである。モリブデンに対して熱伝導率が小さく、かつ、表面が粗いグラファイト電極のほうが熱を逃がしやすい傾向をもつことは、両者の電極において、接触による熱伝導よりも、熱輻射による熱伝導の寄与が大きくなっているためと説明できる。接触熱抵抗が大きいために電極材料自体の熱伝導率が意味を成さなければ、0.9以上の放射率もつグラファイトに対して、モリブデンは表面による反射のために0.3程度の放射率しか持たないため、グラファイト電極のほうが、基板1の温度が小さくなることを容易に説明できる。
また、基板1の温度の高いときほどモリブデン電極とグラファイト電極との間の温度差がより大きくなる傾向は、接触による熱伝導が温度差に比例して伝熱量が変化するのに対して、熱輻射では絶対温度の4乗に比例して伝熱量が大きくなるため、基板1の温度が高くなるほど急激に放出される伝熱量が増えて温度が上がりにくくなることと対応している。これらのことからも成膜中の熱伝導においては熱輻射の割合が大きいことが示唆される。
ここで、各、伝熱方式による伝熱量の推測を行うために、表面粗さRaの陽極の上に、鏡面研磨された基板を設置したときを考える。表面yを基板の裏面、表面zを陽極の表面とし、基板の裏面yが鏡面とすれば陽極の表面粗さRaに比してほぼ平面とできるので、接触による伝熱は長さがRaの陽極の突起を介して伝わると考えられる。この場合、基板1の温度をT1、陽極温度をT2としたとき、接触によって基板から陽極の間に流れる単位面積当たりの伝熱量Wt1は、
と表すことができる。ただし、λは陽極材料の熱伝導率、rは基板1と陽極12との間の見かけの接触面積に対する基板1と陽極12との間の真実接触面積の比率、Raは表面の算術平均粗さである。より正確な式には基板1と電極12の間の間隔に対して補正項が導入されるが、本件では概算することが目的であるのでこれは省略する。
上述の固体同士の接触による伝熱のほかに、基板1−陽極12間の隙間の気体を介して伝えられる熱伝導がある。温度の異なる平行二平板間にある静止層を通しての熱伝導と単純化して考えたとき、図2に示すデータを得た際のプラズマCVDで一般に行われる0.1気圧以下の雰囲気下において、平均自由行路は基板の裏側の表面粗さよりも充分大きいとみなせるので、伝熱は自由分子熱伝導と考えることできる。また、このとき、伝熱量Wg1
と表すことができる。ここでΛ:自由分子熱伝導率、α:適応係数、p:圧力、γ:比熱比、k:ボルツマン定数、m:気体分子の質量である。概算のための簡略化として適応係数を最もおおきい1とし、比熱比、気体分子の質量をプラズマの主要ガスである水素分子の7/5.3.3×10−27Kgとして計算する。
最後に、輻射による伝熱量を考察する。陽極を無限並行平板と考えたとき、面yから面zに熱輻射によって伝えられる伝熱量Wr1
で表される。ここで、ε1、ε2はそれぞれ面y、面zの放射率、σはステファン・ボルツマン係数(5.67×10-8 Wm-2-4)である。
これらの三つの伝熱のメカニズムについて、基板となるシリコンの放射率を0.6、モリブデンの放射率を0.3、グラファイトの放射率を0.9、基板1と陽極12との間の見かけの接触面積に対する基板1と陽極12との間の真実接触面積の比率を1/1000000、基板温度が920℃で、陽極温度860℃で基板面積□30mmの場合の伝熱量の計算を行うと、モリブデン電極では、基板1との接触熱伝導が約5W、モリブデン電極と基板との間の自由分子による熱伝導が約10W、熱輻射による加熱が約5Wとなるのに対し、グラファイト電極では、基板との接触熱伝導が約1W、グラファイト電極と基板1との間の自由分子による熱伝導が約10W、熱輻射による加熱が約11Wとなる。このように界面に応力が印加されずrが非常に小さな値となるとき、rに依存しない熱輻射、自由分子熱伝導による伝熱の割合が高くなる。
このようにrが小さい場合に、プラズマから基板への伝熱が一定の場合を考える。基板と陽極との間の見かけの接触面積に対する基板と陽極との間の真実接触面積の比率rが、配置ずれによりばらついても、rの絶対値が小さいため基板から陽極へ伝わる伝熱量の変化は輻射による伝熱にはほとんど依存せず、rに比例して変化する接触による伝熱量のみを変化させることになる。このとき、輻射による伝熱の寄与が大きいほど、接触による伝熱量の変化の大部は、(T1 4-T2 4)に比例して変化するため温度変化に対して伝熱量変化が大きい、輻射による伝熱量の変化よって補われ、相対的にT1の変化量を小さくすることができる。このように、輻射による熱伝導の寄与の大きいグラファイト電極は、より輻射率の小さい電極に対してrの変化による基板温度のばらつきを抑え、成膜条件を安定させることが可能となる。
また、陽極12をグラファイト電極とすることにより、不要な堆積物が陽極12に堆積することが防止できることを以下に示す。
図4(a),(b)は、それぞれ成膜後のモリブデン電極、グラファイト電極の状態を示す写真である。
陽極12がモリブデン電極の場合、図4(a)に示すように、成膜後に、基板1が載せられていなかった部分には、炭化皮膜が形成されていた。このため、炭化皮膜が形成されたモリブデン電極に新たな基板を配置すると、炭化皮膜が形成されている位置での表面粗さがさらにばらつき、接触熱伝導によって温度制御がさらに困難となった。
これに対し、グラファイト電極では、図4(b)のように、ほとんど堆積物が存在しなかったため、表面粗さのばらつきがなく、より安定した温度制御が可能となった。
モリブデン電極の炭化皮膜とモリブデン電極の裏面間の抵抗は、3MΩ以上であり、陽極と陰極との間の印加電圧自体のばらつきも発生したが、グラファイト電極の表面(基板を載せられた部分とそうでない部分によらず)と裏面間の抵抗は、成膜前の状態と変化がなく、陽極の表面での陰極との間の印加電圧は面内均等にすることができた。
このように、陽極12をグラファイト電極とすることにより、陽極12に絶縁物となる炭化被膜がほとんど堆積しないので、実質的な陽極12の形状が成膜過程で変化せず、これにより、プラズマ形状も変化することを防止でき、成膜の安定化も期待できる。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されず、種々の変形が可能である。
図5に示すように、熱輻射を増大するために、陽極12の熱輻射面を広くするように基板載置面12aに基板1が収納できる凹部を形成してもよい。
この場合、陽極12での温度が均等になるように陽極12の厚さを等しくするため、陽極12の裏側が陽極12の凹部の深さにあうように突出した凸部となっていることが好ましく、陽極12の凸部に合わせてステージ11の電極載置面11aに凹部が形成され、ステージ11での温度が均等になるようにステージ11の厚さを等しくするため、ステージ11の裏側が、電極載置面11aに凹部の深さにあうように突出した凸部となっていることが好ましい。そして、ステージ11の裏側に嵌合するように対向面13aに凹部が形成されることが好ましい。
また図6に示すように、基板1の裏面が平滑でなくても、基板1の裏面の形状に合わせて基板1が嵌合できるように凹部を形成してもよい。
この場合、陽極12での温度が均等になるように陽極12の厚さを等しくするため、陽極12の裏側が陽極12の凹部の深さにあうように突出した凸部となっていることが好ましく、陽極12の凸部に合わせてステージ11の電極載置面11aに凹部が形成され、ステージ11での温度が均等になるようにステージ11の厚さを等しくするため、ステージ11の裏側が、電極載置面11aに凹部の深さにあうように突出した凸部となっていることが好ましい。そして、ステージ11の裏側に嵌合するように対向面13aに凹部が形成されることが好ましい。
また例えば、電源21が直流電圧を陽極12と陰極20との間に印加する構成でなくても、高周波を印加するプラズマCVD装置でもよい。この場合も、基板1を冷却する電極にグラファイトを用いることにより、基板を熱の輻射で冷却することができ、成膜を安定化できる。
本発明の実施形態に係るプラズマCVD装置の概要を示す構成図である。 成膜時のグラファイト電極とモリブデン電極の温度の差を説明する図である。 プラズマに印加された電力の変化を示すグラフである。 成膜後の陽極の状態を示す図である。 本発明の実施形態に係るプラズマCVD装置の概要を示す構成図である。 本発明の実施形態に係るプラズマCVD装置の概要を示す構成図である。
符号の説明
1・・・基板、10・・・チャンバー、11・・・ステージ、11a・・・電極載置面、11b・・・空間、11c・・・裏面、12・・・陽極、12a・・・基板載置面、13・・・冷却部材、13a・・・対向面、13b・・・流路、13e・・・通気口、15・・・冷却機、19・・・ボンベ、20・・・陰極、21・・・電源、22・・・ガス導入管、23・・・ガス排気管

Claims (4)

  1. 陰極と、
    処理対象の基板が載置される基板載置面を有し、前記基板載置面に前記基板が収納できる凹部が形成され、表面がグラファイトで形成されている陽極と、
    前記陽極の一部が前記基板の周囲で露出した状態で前記陽極と前記陰極との間にプラズマを発生させて前記基板に炭素膜を成膜する所定の処理を行うプラズマ発生手段と、
    を備えることを特徴とするプラズマCVD装置。
  2. 前記陽極を支持するステージを備え、
    前記ステージを冷却することにより、前記陽極を冷却して前記基板温度を下げる冷却手段をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載のプラズマCVD装置。
  3. 前記冷却手段は、前記基板に成膜が行われているときに該基板の冷却を開始することを特徴とする請求項2に記載のプラズマCVD装置。
  4. 前記プラズマ発生手段が行う前記所定の処理は、炭化水素を反応ガスとしてプラズマ化して前記基板に前記炭素膜の成膜を行うことであることを特徴とする請求項1に記載のプラズマCVD装置。
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